戦争の色が濃かった時代の悲劇 「ゼロの焦点」
2009.11.07 (Sat)
「ゼロの焦点」が映画化されるんですね。
「ゼロの焦点」は、1961年と1983年に映像化されています。
1961年の時の監督は、「鬼畜」「砂の器」などの松本清張で次々名作を生み出した野村芳太郎監督。
黒澤明監督の「羅生門」「七人の侍」の脚本を手がけた橋本忍氏とのコンビです。
原作とちょっと違う点がいくつかあるので、その辺は賛否が分かれるところでしょうか。
ここは原作より映像化に当たっては良かったけれど、ここはちょっと…とか。
クライマックスの崖のシーン。
橋本氏が独自に考えて作ったシーンで、迫力満点です。
今はサスペンスのお約束になった崖の原点は、もしかしてこれ?!
広末涼子さん、中谷美紀さん、木村多江さんの共演。
主人公の夫を探す妻に広末涼子さん。
61年度版では、久我美子さんが演じた役ですね。
中谷美紀さんは社長夫人。
61年度版では、高千穂ひづるさんが演じました。
謎の受付嬢に木村多江さん。
61年度版は、有馬稲子さんが演じました。
1983年度版のキャストは、竹下景子、星野知子、大谷直子。
こちらは観た記憶がなく、誰が誰だったかわかりません。
ものすごくあっさりした言い方で、すみません。
北陸の能登、荒れる日本海。
重く灰色の雲が垂れ込める空。
暗く寂しい、その風景の中、繰り広げられる、3人を中心にした濃厚な人間ドラマ。
戦争の影がまだ色濃く残っていた時代。
人間関係が濃厚にならざるをえない時代だったんだなあと思います。
それが悲劇と出てしまった3人。
この重さ、暗さ、哀しさを今度はどんな風に描いているのでしょうか。
「ゼロの焦点」は、1961年と1983年に映像化されています。
1961年の時の監督は、「鬼畜」「砂の器」などの松本清張で次々名作を生み出した野村芳太郎監督。
黒澤明監督の「羅生門」「七人の侍」の脚本を手がけた橋本忍氏とのコンビです。
原作とちょっと違う点がいくつかあるので、その辺は賛否が分かれるところでしょうか。
ここは原作より映像化に当たっては良かったけれど、ここはちょっと…とか。
クライマックスの崖のシーン。
橋本氏が独自に考えて作ったシーンで、迫力満点です。
今はサスペンスのお約束になった崖の原点は、もしかしてこれ?!
広末涼子さん、中谷美紀さん、木村多江さんの共演。
主人公の夫を探す妻に広末涼子さん。
61年度版では、久我美子さんが演じた役ですね。
中谷美紀さんは社長夫人。
61年度版では、高千穂ひづるさんが演じました。
謎の受付嬢に木村多江さん。
61年度版は、有馬稲子さんが演じました。
1983年度版のキャストは、竹下景子、星野知子、大谷直子。
こちらは観た記憶がなく、誰が誰だったかわかりません。
ものすごくあっさりした言い方で、すみません。
北陸の能登、荒れる日本海。
重く灰色の雲が垂れ込める空。
暗く寂しい、その風景の中、繰り広げられる、3人を中心にした濃厚な人間ドラマ。
戦争の影がまだ色濃く残っていた時代。
人間関係が濃厚にならざるをえない時代だったんだなあと思います。
それが悲劇と出てしまった3人。
この重さ、暗さ、哀しさを今度はどんな風に描いているのでしょうか。
空から日本を見てみよう 第1回を見られた〜
2009.11.07 (Sat)
「空から日本を見てみよう」で、クローズアップされる建物が現れた時にかかるBGM。
イエローマジックオーケストラの「Firecracker」。
このピコピコした音が、の〜んびり空から街をながめるのにピッタリ。
11月3日に第1回の再放送を見ることができました。
くもじいが好きなビルの上に家シリーズは、1〜3階が店舗で、屋上ハウスは子供の部屋と寝る部屋。
2つの部屋は壁で仕切られていて、移動は一度家を出て移動します。
よく見ると隙間だらけだし、壁がちょっと薄い…。
台風の時、怖いんじゃ…?
手は入れていくそうですが、子供は夜寝るのは寒い!とはっきり言ってました。
でも横浜の景色が一望できて、なかなか楽しそう。
くもみがヒャッホ〜と喜ぶのは、トンガリ物件。
ガソリンスタンドでした。
一番とんがってる部分は従業員の休憩所だった場所で、今はコンビニになってました。
角度は18度!
とんがってる〜!
でも「おめでとうございます、18度です!」と言われても店員さん、「あ、そうですか。ありがとうございます」としか言えないよね!
第2回では残念ながら、この記録を更新することはできませんでした。
お台場から京浜工業地帯へ、横浜、そして横須賀。
工業地帯では工場の風景を見る工場萌え〜の方々に説明を受ける。
ああ、確かに火を噴く風景なんか、ちょっと非日常な感じがして、SFっぽい。
夜なんか、ブレードランナーみたいな風景になります。
文明開化の香りがする横浜の建物、横須賀ではアメリカ第七艦隊の軍艦や、海上自衛隊の艦艇を見るツアーに。
大阪からこの為に来ている軍艦萌え〜?の人が、いろいろと説明してくれる。
更に木更津方面へ、以前とは一変した風景の浦安、そして今度は豊洲へと、本当に東京湾をぐるりと一周。
途中、ビールの醸造工場を見たり、大手寿司チェーンや、コーヒーメーカーの工場も見る。
空からまるで魚の目のように見える元・工業用水の試験所の池を見たり、たんぱく質の研究所を見たり。
その土地の人に親しまれている食堂、そのオーナーが経営している旅館から、市場やそこで買ったものをバーベキューできる食堂や木場。
ずらりと並んだ船とアナゴ漁、そのアナゴを食べられるお寿司屋さん。
高層ビルから外を眺められる、マンガ喫茶。
橋梁を作っていたり、密漁を監視する海の上の小屋。
もう、全然飽きない。
くもじいの伊武雅刀さんの語り口もほのぼのしてるし、くもみの柳原可奈子さんもなかなかかわいらしく、伊武さんの話を受けている。
そうそう、番組ではトンガリ物件を募集しているようです。
私もトンガリ物件は知ってますけど、その上空には来てくれるのだろうか。
第3回は「京都を空から見てみよう」で、録画してまだ未見ですが、これもおもしろそう。
第4回は「山手線 第2弾」、これはまたまたおもしろそう!
イエローマジックオーケストラの「Firecracker」。
このピコピコした音が、の〜んびり空から街をながめるのにピッタリ。
11月3日に第1回の再放送を見ることができました。
くもじいが好きなビルの上に家シリーズは、1〜3階が店舗で、屋上ハウスは子供の部屋と寝る部屋。
2つの部屋は壁で仕切られていて、移動は一度家を出て移動します。
よく見ると隙間だらけだし、壁がちょっと薄い…。
台風の時、怖いんじゃ…?
手は入れていくそうですが、子供は夜寝るのは寒い!とはっきり言ってました。
でも横浜の景色が一望できて、なかなか楽しそう。
くもみがヒャッホ〜と喜ぶのは、トンガリ物件。
ガソリンスタンドでした。
一番とんがってる部分は従業員の休憩所だった場所で、今はコンビニになってました。
角度は18度!
とんがってる〜!
でも「おめでとうございます、18度です!」と言われても店員さん、「あ、そうですか。ありがとうございます」としか言えないよね!
第2回では残念ながら、この記録を更新することはできませんでした。
お台場から京浜工業地帯へ、横浜、そして横須賀。
工業地帯では工場の風景を見る工場萌え〜の方々に説明を受ける。
ああ、確かに火を噴く風景なんか、ちょっと非日常な感じがして、SFっぽい。
夜なんか、ブレードランナーみたいな風景になります。
文明開化の香りがする横浜の建物、横須賀ではアメリカ第七艦隊の軍艦や、海上自衛隊の艦艇を見るツアーに。
大阪からこの為に来ている軍艦萌え〜?の人が、いろいろと説明してくれる。
更に木更津方面へ、以前とは一変した風景の浦安、そして今度は豊洲へと、本当に東京湾をぐるりと一周。
途中、ビールの醸造工場を見たり、大手寿司チェーンや、コーヒーメーカーの工場も見る。
空からまるで魚の目のように見える元・工業用水の試験所の池を見たり、たんぱく質の研究所を見たり。
その土地の人に親しまれている食堂、そのオーナーが経営している旅館から、市場やそこで買ったものをバーベキューできる食堂や木場。
ずらりと並んだ船とアナゴ漁、そのアナゴを食べられるお寿司屋さん。
高層ビルから外を眺められる、マンガ喫茶。
橋梁を作っていたり、密漁を監視する海の上の小屋。
もう、全然飽きない。
くもじいの伊武雅刀さんの語り口もほのぼのしてるし、くもみの柳原可奈子さんもなかなかかわいらしく、伊武さんの話を受けている。
そうそう、番組ではトンガリ物件を募集しているようです。
私もトンガリ物件は知ってますけど、その上空には来てくれるのだろうか。
第3回は「京都を空から見てみよう」で、録画してまだ未見ですが、これもおもしろそう。
第4回は「山手線 第2弾」、これはまたまたおもしろそう!
お月さんを見ながら聴きたい 「SOUL FIGHT」
2009.11.07 (Sat)
PINKというバンドの曲「SOUL FIGHT」。
アルバムを持っていたのですが、いつの間にか紛失してしまいました。
おそらく引越しの際。
それから聴きたいと思って聴けずにいたものをYoutubeで発見。
懐かしさのあまり、悶絶しそうになりました。
この曲は最初、「ソニーミュージックTV」のエンディング「水の都」として耳に入ってきました。
PINKは福岡ユタカさん、岡野ハジメさん、ホッピー神山さんなどで構成されていたバンド。
バンドの構成メンバーがスタジオミュージシャンとして第一線で活躍されている方々だった為、活動は非常に流動的で1989年を最後に活動停止しています。
「SOUL FIGHT」は「雨上がりの夜空に」とともに、綺麗な満月を見上げながら聴きたい曲です。
アルバムを持っていたのですが、いつの間にか紛失してしまいました。
おそらく引越しの際。
それから聴きたいと思って聴けずにいたものをYoutubeで発見。
懐かしさのあまり、悶絶しそうになりました。
この曲は最初、「ソニーミュージックTV」のエンディング「水の都」として耳に入ってきました。
PINKは福岡ユタカさん、岡野ハジメさん、ホッピー神山さんなどで構成されていたバンド。
バンドの構成メンバーがスタジオミュージシャンとして第一線で活躍されている方々だった為、活動は非常に流動的で1989年を最後に活動停止しています。
「SOUL FIGHT」は「雨上がりの夜空に」とともに、綺麗な満月を見上げながら聴きたい曲です。
一生の願いだ。仇をとってくれ 25話「能なしカラス爪をトグ」
2009.11.06 (Fri)
必殺仕置人25話 「能なしカラス爪をトグ」
湯島の幕府の学問所に入る為、1年、島崎海山の元で勉強してきた内藤和馬、そして長崎奉行の息子・松坂隆之助。
父親の命日の墓参りに行く為、和馬を迎えに来た秋絵を見た隆之助はその美しさに目を留める。
隆之助は海山も手を焼いていた問題児で、まだ学問所に通うような身分で酒を飲み、女中に乱暴を働くような少年だった。
母の吉乃は権力を持つ書院番・小沼土佐守の妹であり、隆之助をまだ19の年で、女に手が早いことだけは父親に似ていると嘆く。
しかし、吉乃は学問所の林宗春に話をつけ、必ず学問所に入れてくれるよう頼んでいた。
隆之助の父親である夫は、学問所を出ていない為に江戸を遠く離れた長崎奉行の地位にしかつけず、同じ格式の家なのに学問所を出た為に大目付に出世した家もあると言うのが吉乃の言い分だった。
しかし隆之助もまた、できの良い兄と自分は違うと思い、兄は母に勉強をあまりに強いられた為、病死したと思っていた。
鉄と錠が釣った魚を持って半次は秋絵のところに行って、料理をしていた。
和馬が学問所に入れば、貧乏旗本でも差別されることなく使ってもらえると期待を語る秋絵。
そして試験の日が来て、和馬は見事、合格した。
半次は錠の元へ走り、1両貸してくれと頼むが魚の件もあり追い出され、鉄の元に行くが鉄には「金はない!」とあっさり言われてしまう。
考えた半次は主水の元へ行き、何とか1両借りることができたが、その為に主水はへそくりがバレ、りつに庭先へ転がされてしまった。
その1両で半次は鯛と酒を買って、秋絵のところへ行き、和馬の合格を祝った。
その頃、貧乏旗本の和馬が合格し、息子が不合格だった吉乃は憤慨していた。
兄の小沼に同行してもらい、林宗春の家に向かったが、なにぶんにも十数名の合議で合格を決めることだし、一度発表してしまった合格を取り消すことは不可能だと言う。
ただ、学問所に入るはずの学生が入学を辞退するか、急死した場合は欠員が出る。
その場合は隆之助を入学させられると聞いた小沼は、秋絵に和馬の入学を辞退させて1年延ばしてくれたら金を出すと申し出るが、秋絵は拒否する。
貧乏旗本が生意気に…!と言うが秋絵はだからこそ、学問の前では平等だと言った。
その日、父親の墓前に合格の報告をしていた和馬が小沼が雇った黒川兵庫に斬られた。
和馬の帰りが遅いと秋絵と半次が墓に探しに行き、倒れている和馬を発見した。
半次は鉄と錠に相談したが、錠は人間1人わざわざ殺すのだから殺して得をする人間が必ずいる、とすれば和馬の代わりに学問所に入れる奴だろうと言う。
そんなことはわかっているし、怪しい奴もいる、だが証拠がないと言う半次に鉄が「こんな時、八丁堀がいると助かるんだが」と頭をかいた。
「八丁堀?」と半次は反応したが、鉄によるとへそくりがバレて庭に転がされて腰を痛めたらしい。
「あいつらしいな」と言って鉄はへへへ、と笑ったが半次はガッカリした。
鉄は「焦らずに様子を見ろ、学問所に入った奴がいるはずだ」と言った。
錠は秋絵を1人にして大丈夫なのかと言ったが、半次は見ているのがつらかった。
秋絵は和馬の遺体を前に何か決心し、書をしたためると松坂の家に向かい、隆之助に面会した。
隆之助に和馬の死を告げたが隆之助は葬儀の日取りを聞き、同門のよしみで出席をしてやるとだけ答えた。
和馬の死と松坂家とは何の関係もないと言われた秋絵は怒ったが、隆之助はそんな秋絵をますます美しいと言った。
すると秋絵は懐剣を抜き、「弟の仇!」と斬りかかって来た。
うろたえて逃げる隆之助は、「兵庫!」と黒川兵庫の名を呼んだ。
廊下を逃げる隆之助を見た兵庫は秋絵の懐剣を受け止めて取り上げると、部屋の中に秋絵を突き飛ばした。
その部屋に隆之助が入ると、兵庫は戸を閉めた。
隆之助が秋絵を引っぱたいている音を背中で聞きながら、兵庫は立ち去った。
逃げる秋絵に迫る隆之助だったが、吉乃がやってくる。
みっともないと言って隆之助を止めた吉乃だが、秋絵をこのままにすれば何を言い出すかわからない。
生かして帰す訳にはいきません、と言う吉乃。
夕闇が迫る中、半次は姿の見えない秋絵を探していると、秋絵の家の前で何かにつまづいて転んだ。
それはむしろにくるまれた秋絵の遺体だった。
「お嬢さん!」と抱き起こし、半次は号泣した。
秋絵と和馬の遺体が並んだ暗い部屋の中、錠が棺桶を2つ運び込んでくる。
和馬の遺体を棺桶に入れ、次に秋絵を運び込むと半次が「やめてくれ」とすがりついてくる。
「いつまでも死んだ者見ててもしょうがねえじゃねえか!」と言って錠は棺桶に釘を打ちつけ始める。
釘を叩く音が響く中、鉄がやってきて、秋絵の遺書の通り、学問所は松坂隆之助の追加入学を発表したと言う。
「ちくしょう…」とうなだれる半次に、鉄は黒幕は小沼だろうと言った。
それにしても何故この姉弟と知り合ったのかと聞かれた半次は、「傘貸してもらったんだ。それだけだよ」と言う。
ひどい雨が降って来た日、半次は軒下で雨宿りをしていると、秋絵と和馬が通りかかった。
秋絵がうなづくと和馬が半次に近づき、傘を持たせた。
半次が恐縮して手を振るが、和馬は傘を預け、姉と2人で傘に入った。
去り際、秋絵が振り返って微笑んだ。
「惚れてたのか」と聞く錠に半次は、「惚れてたなんて…、そんな…。相手は旗本の娘だぜ」と言った。
「いいじゃねえか、男と女に変わりはねえや、なあ?」と錠が言うと、半次は泣き始めた。
そして、和馬が学問所に入ってから役立てようと、秋絵が内職までして溜めた金を出した。
「世話になった半次さんに差し上げますって書いてあったんだ。この俺にだぞ!」と半次は泣き、鉄と錠に頭を下げた。
「頼む。一生の願いだ。あの姉弟の仇をとってやってくれ!」
すると錠が「半次、心配すんなよ。おめえが惚れた女の為だ。今度は一銭の銭にならなくても、端っからやる気だったがな、俺は」と言った。
「ようし、八丁堀がいねえのはちょっと寂しいが…、やるか!」と鉄は言った。
ありがとう、ありがとうと半次は頭を下げた。
その夜、隆之助は仲間を集めて酒盛りをしながら、貧乏旗本が学問所に入ろうなんて生意気だ、人には分相応があると騒ぎ立てていた。
隆之助が用足しをしている厠に鉄が入ってくると、隆之助は「無礼者!直参旗本、松坂隆之助なるぞ!」と叫んだが、鉄は「うるせえ、わめくんじゃねえ!」と言って当身をくらわせて気絶させた。
酔っ払った隆之助を介抱する風を装って、鉄は錠と半次が待つ布団部屋に隆之助を連れてきた。
そこで半次が秋絵姉弟を殺したのは、松坂家の者だろうと詰問した。
半次を跳ね除けた隆之助を錠が押さえつけて「ガキは大人しくしてるもんだ」と座らせ、鉄が扇子で隆之助の頭をはたきながら「吐け」と言った。
しかし隆之助は立ち上がると、「無礼者!」と叫んだ。
すると鉄が立ち上がり、「何?無礼者だと?」と言って隆之助の襟元を掴んだ。
そして「おめえの言ってることは全部、おめえたち侍同士の中でしか通用しねえことなんだ」と言うと、一発張り倒した。
その勢いで隆之助は吹っ飛びそうになったが、もう一度、鉄は隆之助を殴り飛ばす。
しりもちをついた隆之助はおっかなびっくり、刀を抜いたが錠が手槍を突きつけながら、「ああ、刃物はよした方がいいな」と言った。
動けない隆之助に向かって錠は「役には立たねえんだ!」と怒鳴り、隆之助の頭の横スレスレの壁に手槍を突き刺した。
ずるずると壁からずり落ちた隆之助は大声で、「助けてくれー!」と言い始めた。
鉄は隆之助を捕まえ立たせると半次に「おい、半公、助けてくれとよ。どうする?」と聞いた。
半次が隆之助に掴みかかると今度は隆之助は半次に逆に掴みかかり、2人は格闘し始めた。
しかし隆之助は半次に組み伏せられ、着物をめくられると、隆之助は恐怖のあまり失禁していた。
「きたねえな!」と半次に殴られた隆之助は鉄に、母の吉乃と叔父の小沼宛に手紙を書けと言われる。
隆之助が黙っていると鉄は、「書け、このやろう!」と殴り飛ばした。
松坂の家に小沼がやってきた。
吉乃は小沼に手紙を見せ、間違いなく隆之助の筆跡だと告げた。
手紙は隆之助の命が惜しければ、千両持って指定の場所に来るようにとしたためられていた。
すぐに奉行所へと言う吉乃に対して小沼は敵の正体も人数もわからない状態で動き、万一、1人でも取り逃がせば今回の入学の件が明るみに出る、そうすれば自分の立場も危ういと止めた。
千両で隆之助が帰って来るのなら、持って行くしかあるまいと言う小沼に、吉乃は隆之助の為なら千両、二千両でも!と言う。
約束の場所に小沼は兵庫を連れてやってきた。
「金は持って来た!」と言って小沼が籠の中にある千両箱を見せるのを、門の梁によじ登った鉄が上から見下ろしていた。
その頃、松坂家に半次と錠は棺桶に入った隆之助を運んでいた。
棺桶の蓋を開けた半次は、「もうすぐ引導渡してやるからよ」と言うと隆之助は大きな声で、「母上ー!」と叫んだ。
その声で吉乃がかけつけ、座敷の真ん中に置いてある棺桶を開けて隆之助を見た。
「どうしてこんなことに」と吉乃が言った途端、戸が開いて錠、そして半次が現れた。
威厳を取り戻した吉乃が「誰じゃ!」と言うと錠が「バカ息子を送り届けに来た」と言い、半次が「ちょいとばかりおめえたち親子に恨みがあるのよ!」と言って吉乃を突き飛ばした。
そして隆之助の入っている棺桶を転がすと、縛られたままの隆之助も倒れた。
「母上、母上」と叫ぶ隆之助に駆け寄った吉乃は、「かわいそうに」と言って縄を解き始めた。
その横で半次が棺桶に足をかけ、「よぅく見ろ!これがおめえの、大事な息子の姿だ!長男を労咳で殺し、次男はちょいと脅かされりゃしょんべんちびるようなクズに育てやがって!」と怒鳴った。
吉乃が隆之助を抱き寄せながら、半次を振り返る。
「おめえはな!2人とも息子を殺したんだ!」
黙って半次を見ている吉乃に半次は「何とか言ったらどうだ、こぉの、くそばばあ−!」と言って振り回した。
隣の部屋に突き飛ばされた吉乃は、「隆之助!」と言って怯えた。
半次は「そうか!おめえみてえな悪党でも息子がかわいいか!そうだろうな!何の罪咎もねえ姉弟を虫けらみてえに殺しやがって!」と怒鳴った。
「おめえが憎い!おめえたちが憎い!」。
吉乃は立ちすくんでいた。
「はらわた引きちぎり、目ん玉くりぬいて狂い死にさせても飽き足らねえぐらいだよ!」
吉乃はおそるおそる、半次の方を見た。
「だがな!そんなことしたところで、あの姉弟はな!もう帰ってこねえんだよ!」
そう言うと半次は吉乃を畳に投げつけた。
吉乃は隆之助と抱き合って、怯えた。
「良く聞けよ!本当に息子がかわいかったらな!赤い血が流れるような育て方、することだ!」
吉乃と隆之助は怯え切って半次を見上げていた。
「そうすりゃあ…、ちったあ人間らしくなるだろうぜ!」
怯えきり、声も出ずに肩で息をしている吉乃と隆之助、怒りで震える半次を離れて見ていた錠は、「半公。もう良いだろう」と言って連れて行った。
残った吉乃と隆之助は錠と半次が消えた方をじっと見ていたが、やがて抱き合って泣き始めた。
鉄の方は、兵庫が数人の家来に小沼の危険があるようならすぐに飛び出せ、と言っていた。
兵庫が去った後、その背後に鉄の指が迫る。
鉄は背後から男の骨を外して倒した。
他に見張っている男をまた1人、次にまとめて2人。
怪しんで戻ってきた男も倒した。
「どうした、安心して出て来い」と呼びかける小沼。
倒した見張りの刀を奪って鉄が兵庫に近づく。
気づいた兵庫が斬りかかって来たが、鉄は受け止めて兵庫を刺した。
兵庫が倒れると、鉄に気づいた小沼が鉄に刀を向けて来た。
しかし、鉄は受け止めると首の骨を外した。
そして鉄は籠に乗っている千両箱を引っ張り出した。
翌朝、ぼんやりと川を見ている半次に、鉄が橋の上から声をかけた。
鉄は小沼の千両箱を半次にやると言って、橋の上から放り投げた。
千両箱は河原に当たって砕け散り、中からは大小の石が飛び出してきた。
半次のところまで降りてきた鉄は、「石じゃねえか!」と言う半次に「あいつらのすることは、こんなもんだ」と言った。
最終回を前にして、半次のほのかな純情・恋物語。
おきんは今回、お休み。
必殺にたまにある、バカ息子を出世させたい、あるいは不祥事を隠したい為に何の罪もない人を犠牲にするお話。
自分では何一つできないくせに、自分の身分を口にして無理を通すバカ息子に腹が立ちます。
そしてそれを自分の実力とでも思っているのか、情けないという気持ちが全くなくてえばっているのが、すごく腹立ちます。
だから鉄の「お前の言っていること」、つまりお前の威光はお前の世界でしか通用しないという言葉には、スッキリします。
そーなんです、無法者鉄ちゃんには肩書きなんて通用しないんですね。
でもこれって、現代劇でも通用するキャラクター。
政治家の親の威光で罪を逃れようとするバカ息子とか、サスペンスには出てきますよね。
いつの時代も人をムカつかせるキャラクターなわけです。
息子もムカつきますが、出来が良い長男へのコンプレックスで一杯で、長男がなくなるまで肩身の狭い次男だったこと。
それがいきなり期待されて、それでも期待に応えられなくて、この息子なりにドツボにはまっているようではある。
しかしそれを考えても、あんまり許したくない。
もうちょっとこういう面が強調されていれば、違ったかも。
「助け人」では放蕩息子たちも仕置きしちゃってましたが、「仕置人」はいろいろと問題視されていたからかえってやれなかったのかも。
更に許せないのは、この母親。
エリートが揃った学問所なんだから無理やり入れたって、その先もずーっと無理を通せるわけないと思う。
この母と息子は殺されはしなかったけど、頼りになる叔父は仕置きされちゃったし、呼べば来てくれる兵庫も殺されちゃって、後は身動き取れないでしょう。
第一、あそこまで怯えさせられて、自分たち以外はみんな仕置きされたんじゃ、怖くて学問所にも行けないはず。
半次になら勝てると踏んでいたんだろうけど、結局勝てなかったし。
それにこんな息子に育てちゃうんだから、それでこの息子じゃあ、この家の栄華も先は長くあるまい。
家にやってきた半次に1両ねだられた主水。
半次の浮気の暴露に対して、主水はしかたなく本をくりぬいてそこにはめ込んで隠しておいたところから1両抜いて渡した。
そうしたらそれをりつが見ていて、目を吊り上げる。
主水が半次に1両渡して戻ると、部屋が荒らされていて、残りの5両はりつが持っている。
自分に内緒で「クヤシー!」と怒りまくったりつ、主水の「一家の主としていざという時の為に」とか一切聞かず、主水にものを投げるわ、叩くわ。
身を縮めて主水が逃げると縁側まで追いかけて行って、ついに主水、庭に転がされる。
そこに石があってしたたかに腰を打った主水、今回の仕置きをお休み。
でも今回の吉乃って隆之助の父親にとって、りつよりも嫌な妻に違いない。
隆之助が父親に似て女性に手が早いと言っていたけど、父親は吉乃がいる以外の場所であちこち安らいでいるに違いない。
半次が武家の息子である和馬に傘を差し出されて、恐縮しているところがいい。
貧乏旗本とはいえ武家の人間にとって半次みたいな男が雨宿りしていようが、ぬれていようが、関係ないのが普通というのがすごくわかる。
後の吉乃の態度なんかで、もっと良くわかる。
仕置人たちは親切にされたこと、情けを受けたことは忘れない。
そんな半次のほのかな恋心は12話に続いて、またしても悲劇に終わってしまった。
わりとクールに見えていた錠だけど、半次の仕置きしてくれという願いに対して、半次の惚れた女の為だから一銭にもならなくてもやる気でいたと優しい言葉。
でもそれに対して鉄ちゃん、「そうか、一銭もなくてもいいのか」と言って、「じゃ、これは俺が」とお金を取ろうとするんだから…。
だから錠が「おい、ちょっと待て!例えばの話だ、たとえ話だ」って。
そりゃ、なくても引き受ける気でいたけど、あるんだから、貰いますよね〜。
秋絵役は島かおりさん。
今年の夏のドラマ「任侠ヘルパー」では、詐欺ヘルパーに騙される役をやっていましたが、まだまだお綺麗でした。
このドラマでは隆之助が「お前の姉か。美人だのう」「怒るとますます美しい」と言うように、綺麗ですよ〜。
息子の為なら千両が二千両だって!と言う吉乃に対して、千両箱に石を詰めて持って来た小沼。
甥っ子がかわいいわけでも何でもなかったのね。
出世でもしてくれたら、バカ息子だから自分の良いように動かせる、ぐらいの気持ちだったんでしょう。
鉄の言うとおり、所詮、隆之助と吉乃みたいな人間の周りにはそういう人間しかいない、と。
逆に半次の周りには、口は悪いし、身分は低いけど、良い人たちが集まってるってことで、それは最終回でもっとはっきりします。
湯島の幕府の学問所に入る為、1年、島崎海山の元で勉強してきた内藤和馬、そして長崎奉行の息子・松坂隆之助。
父親の命日の墓参りに行く為、和馬を迎えに来た秋絵を見た隆之助はその美しさに目を留める。
隆之助は海山も手を焼いていた問題児で、まだ学問所に通うような身分で酒を飲み、女中に乱暴を働くような少年だった。
母の吉乃は権力を持つ書院番・小沼土佐守の妹であり、隆之助をまだ19の年で、女に手が早いことだけは父親に似ていると嘆く。
しかし、吉乃は学問所の林宗春に話をつけ、必ず学問所に入れてくれるよう頼んでいた。
隆之助の父親である夫は、学問所を出ていない為に江戸を遠く離れた長崎奉行の地位にしかつけず、同じ格式の家なのに学問所を出た為に大目付に出世した家もあると言うのが吉乃の言い分だった。
しかし隆之助もまた、できの良い兄と自分は違うと思い、兄は母に勉強をあまりに強いられた為、病死したと思っていた。
鉄と錠が釣った魚を持って半次は秋絵のところに行って、料理をしていた。
和馬が学問所に入れば、貧乏旗本でも差別されることなく使ってもらえると期待を語る秋絵。
そして試験の日が来て、和馬は見事、合格した。
半次は錠の元へ走り、1両貸してくれと頼むが魚の件もあり追い出され、鉄の元に行くが鉄には「金はない!」とあっさり言われてしまう。
考えた半次は主水の元へ行き、何とか1両借りることができたが、その為に主水はへそくりがバレ、りつに庭先へ転がされてしまった。
その1両で半次は鯛と酒を買って、秋絵のところへ行き、和馬の合格を祝った。
その頃、貧乏旗本の和馬が合格し、息子が不合格だった吉乃は憤慨していた。
兄の小沼に同行してもらい、林宗春の家に向かったが、なにぶんにも十数名の合議で合格を決めることだし、一度発表してしまった合格を取り消すことは不可能だと言う。
ただ、学問所に入るはずの学生が入学を辞退するか、急死した場合は欠員が出る。
その場合は隆之助を入学させられると聞いた小沼は、秋絵に和馬の入学を辞退させて1年延ばしてくれたら金を出すと申し出るが、秋絵は拒否する。
貧乏旗本が生意気に…!と言うが秋絵はだからこそ、学問の前では平等だと言った。
その日、父親の墓前に合格の報告をしていた和馬が小沼が雇った黒川兵庫に斬られた。
和馬の帰りが遅いと秋絵と半次が墓に探しに行き、倒れている和馬を発見した。
半次は鉄と錠に相談したが、錠は人間1人わざわざ殺すのだから殺して得をする人間が必ずいる、とすれば和馬の代わりに学問所に入れる奴だろうと言う。
そんなことはわかっているし、怪しい奴もいる、だが証拠がないと言う半次に鉄が「こんな時、八丁堀がいると助かるんだが」と頭をかいた。
「八丁堀?」と半次は反応したが、鉄によるとへそくりがバレて庭に転がされて腰を痛めたらしい。
「あいつらしいな」と言って鉄はへへへ、と笑ったが半次はガッカリした。
鉄は「焦らずに様子を見ろ、学問所に入った奴がいるはずだ」と言った。
錠は秋絵を1人にして大丈夫なのかと言ったが、半次は見ているのがつらかった。
秋絵は和馬の遺体を前に何か決心し、書をしたためると松坂の家に向かい、隆之助に面会した。
隆之助に和馬の死を告げたが隆之助は葬儀の日取りを聞き、同門のよしみで出席をしてやるとだけ答えた。
和馬の死と松坂家とは何の関係もないと言われた秋絵は怒ったが、隆之助はそんな秋絵をますます美しいと言った。
すると秋絵は懐剣を抜き、「弟の仇!」と斬りかかって来た。
うろたえて逃げる隆之助は、「兵庫!」と黒川兵庫の名を呼んだ。
廊下を逃げる隆之助を見た兵庫は秋絵の懐剣を受け止めて取り上げると、部屋の中に秋絵を突き飛ばした。
その部屋に隆之助が入ると、兵庫は戸を閉めた。
隆之助が秋絵を引っぱたいている音を背中で聞きながら、兵庫は立ち去った。
逃げる秋絵に迫る隆之助だったが、吉乃がやってくる。
みっともないと言って隆之助を止めた吉乃だが、秋絵をこのままにすれば何を言い出すかわからない。
生かして帰す訳にはいきません、と言う吉乃。
夕闇が迫る中、半次は姿の見えない秋絵を探していると、秋絵の家の前で何かにつまづいて転んだ。
それはむしろにくるまれた秋絵の遺体だった。
「お嬢さん!」と抱き起こし、半次は号泣した。
秋絵と和馬の遺体が並んだ暗い部屋の中、錠が棺桶を2つ運び込んでくる。
和馬の遺体を棺桶に入れ、次に秋絵を運び込むと半次が「やめてくれ」とすがりついてくる。
「いつまでも死んだ者見ててもしょうがねえじゃねえか!」と言って錠は棺桶に釘を打ちつけ始める。
釘を叩く音が響く中、鉄がやってきて、秋絵の遺書の通り、学問所は松坂隆之助の追加入学を発表したと言う。
「ちくしょう…」とうなだれる半次に、鉄は黒幕は小沼だろうと言った。
それにしても何故この姉弟と知り合ったのかと聞かれた半次は、「傘貸してもらったんだ。それだけだよ」と言う。
ひどい雨が降って来た日、半次は軒下で雨宿りをしていると、秋絵と和馬が通りかかった。
秋絵がうなづくと和馬が半次に近づき、傘を持たせた。
半次が恐縮して手を振るが、和馬は傘を預け、姉と2人で傘に入った。
去り際、秋絵が振り返って微笑んだ。
「惚れてたのか」と聞く錠に半次は、「惚れてたなんて…、そんな…。相手は旗本の娘だぜ」と言った。
「いいじゃねえか、男と女に変わりはねえや、なあ?」と錠が言うと、半次は泣き始めた。
そして、和馬が学問所に入ってから役立てようと、秋絵が内職までして溜めた金を出した。
「世話になった半次さんに差し上げますって書いてあったんだ。この俺にだぞ!」と半次は泣き、鉄と錠に頭を下げた。
「頼む。一生の願いだ。あの姉弟の仇をとってやってくれ!」
すると錠が「半次、心配すんなよ。おめえが惚れた女の為だ。今度は一銭の銭にならなくても、端っからやる気だったがな、俺は」と言った。
「ようし、八丁堀がいねえのはちょっと寂しいが…、やるか!」と鉄は言った。
ありがとう、ありがとうと半次は頭を下げた。
その夜、隆之助は仲間を集めて酒盛りをしながら、貧乏旗本が学問所に入ろうなんて生意気だ、人には分相応があると騒ぎ立てていた。
隆之助が用足しをしている厠に鉄が入ってくると、隆之助は「無礼者!直参旗本、松坂隆之助なるぞ!」と叫んだが、鉄は「うるせえ、わめくんじゃねえ!」と言って当身をくらわせて気絶させた。
酔っ払った隆之助を介抱する風を装って、鉄は錠と半次が待つ布団部屋に隆之助を連れてきた。
そこで半次が秋絵姉弟を殺したのは、松坂家の者だろうと詰問した。
半次を跳ね除けた隆之助を錠が押さえつけて「ガキは大人しくしてるもんだ」と座らせ、鉄が扇子で隆之助の頭をはたきながら「吐け」と言った。
しかし隆之助は立ち上がると、「無礼者!」と叫んだ。
すると鉄が立ち上がり、「何?無礼者だと?」と言って隆之助の襟元を掴んだ。
そして「おめえの言ってることは全部、おめえたち侍同士の中でしか通用しねえことなんだ」と言うと、一発張り倒した。
その勢いで隆之助は吹っ飛びそうになったが、もう一度、鉄は隆之助を殴り飛ばす。
しりもちをついた隆之助はおっかなびっくり、刀を抜いたが錠が手槍を突きつけながら、「ああ、刃物はよした方がいいな」と言った。
動けない隆之助に向かって錠は「役には立たねえんだ!」と怒鳴り、隆之助の頭の横スレスレの壁に手槍を突き刺した。
ずるずると壁からずり落ちた隆之助は大声で、「助けてくれー!」と言い始めた。
鉄は隆之助を捕まえ立たせると半次に「おい、半公、助けてくれとよ。どうする?」と聞いた。
半次が隆之助に掴みかかると今度は隆之助は半次に逆に掴みかかり、2人は格闘し始めた。
しかし隆之助は半次に組み伏せられ、着物をめくられると、隆之助は恐怖のあまり失禁していた。
「きたねえな!」と半次に殴られた隆之助は鉄に、母の吉乃と叔父の小沼宛に手紙を書けと言われる。
隆之助が黙っていると鉄は、「書け、このやろう!」と殴り飛ばした。
松坂の家に小沼がやってきた。
吉乃は小沼に手紙を見せ、間違いなく隆之助の筆跡だと告げた。
手紙は隆之助の命が惜しければ、千両持って指定の場所に来るようにとしたためられていた。
すぐに奉行所へと言う吉乃に対して小沼は敵の正体も人数もわからない状態で動き、万一、1人でも取り逃がせば今回の入学の件が明るみに出る、そうすれば自分の立場も危ういと止めた。
千両で隆之助が帰って来るのなら、持って行くしかあるまいと言う小沼に、吉乃は隆之助の為なら千両、二千両でも!と言う。
約束の場所に小沼は兵庫を連れてやってきた。
「金は持って来た!」と言って小沼が籠の中にある千両箱を見せるのを、門の梁によじ登った鉄が上から見下ろしていた。
その頃、松坂家に半次と錠は棺桶に入った隆之助を運んでいた。
棺桶の蓋を開けた半次は、「もうすぐ引導渡してやるからよ」と言うと隆之助は大きな声で、「母上ー!」と叫んだ。
その声で吉乃がかけつけ、座敷の真ん中に置いてある棺桶を開けて隆之助を見た。
「どうしてこんなことに」と吉乃が言った途端、戸が開いて錠、そして半次が現れた。
威厳を取り戻した吉乃が「誰じゃ!」と言うと錠が「バカ息子を送り届けに来た」と言い、半次が「ちょいとばかりおめえたち親子に恨みがあるのよ!」と言って吉乃を突き飛ばした。
そして隆之助の入っている棺桶を転がすと、縛られたままの隆之助も倒れた。
「母上、母上」と叫ぶ隆之助に駆け寄った吉乃は、「かわいそうに」と言って縄を解き始めた。
その横で半次が棺桶に足をかけ、「よぅく見ろ!これがおめえの、大事な息子の姿だ!長男を労咳で殺し、次男はちょいと脅かされりゃしょんべんちびるようなクズに育てやがって!」と怒鳴った。
吉乃が隆之助を抱き寄せながら、半次を振り返る。
「おめえはな!2人とも息子を殺したんだ!」
黙って半次を見ている吉乃に半次は「何とか言ったらどうだ、こぉの、くそばばあ−!」と言って振り回した。
隣の部屋に突き飛ばされた吉乃は、「隆之助!」と言って怯えた。
半次は「そうか!おめえみてえな悪党でも息子がかわいいか!そうだろうな!何の罪咎もねえ姉弟を虫けらみてえに殺しやがって!」と怒鳴った。
「おめえが憎い!おめえたちが憎い!」。
吉乃は立ちすくんでいた。
「はらわた引きちぎり、目ん玉くりぬいて狂い死にさせても飽き足らねえぐらいだよ!」
吉乃はおそるおそる、半次の方を見た。
「だがな!そんなことしたところで、あの姉弟はな!もう帰ってこねえんだよ!」
そう言うと半次は吉乃を畳に投げつけた。
吉乃は隆之助と抱き合って、怯えた。
「良く聞けよ!本当に息子がかわいかったらな!赤い血が流れるような育て方、することだ!」
吉乃と隆之助は怯え切って半次を見上げていた。
「そうすりゃあ…、ちったあ人間らしくなるだろうぜ!」
怯えきり、声も出ずに肩で息をしている吉乃と隆之助、怒りで震える半次を離れて見ていた錠は、「半公。もう良いだろう」と言って連れて行った。
残った吉乃と隆之助は錠と半次が消えた方をじっと見ていたが、やがて抱き合って泣き始めた。
鉄の方は、兵庫が数人の家来に小沼の危険があるようならすぐに飛び出せ、と言っていた。
兵庫が去った後、その背後に鉄の指が迫る。
鉄は背後から男の骨を外して倒した。
他に見張っている男をまた1人、次にまとめて2人。
怪しんで戻ってきた男も倒した。
「どうした、安心して出て来い」と呼びかける小沼。
倒した見張りの刀を奪って鉄が兵庫に近づく。
気づいた兵庫が斬りかかって来たが、鉄は受け止めて兵庫を刺した。
兵庫が倒れると、鉄に気づいた小沼が鉄に刀を向けて来た。
しかし、鉄は受け止めると首の骨を外した。
そして鉄は籠に乗っている千両箱を引っ張り出した。
翌朝、ぼんやりと川を見ている半次に、鉄が橋の上から声をかけた。
鉄は小沼の千両箱を半次にやると言って、橋の上から放り投げた。
千両箱は河原に当たって砕け散り、中からは大小の石が飛び出してきた。
半次のところまで降りてきた鉄は、「石じゃねえか!」と言う半次に「あいつらのすることは、こんなもんだ」と言った。
最終回を前にして、半次のほのかな純情・恋物語。
おきんは今回、お休み。
必殺にたまにある、バカ息子を出世させたい、あるいは不祥事を隠したい為に何の罪もない人を犠牲にするお話。
自分では何一つできないくせに、自分の身分を口にして無理を通すバカ息子に腹が立ちます。
そしてそれを自分の実力とでも思っているのか、情けないという気持ちが全くなくてえばっているのが、すごく腹立ちます。
だから鉄の「お前の言っていること」、つまりお前の威光はお前の世界でしか通用しないという言葉には、スッキリします。
そーなんです、無法者鉄ちゃんには肩書きなんて通用しないんですね。
でもこれって、現代劇でも通用するキャラクター。
政治家の親の威光で罪を逃れようとするバカ息子とか、サスペンスには出てきますよね。
いつの時代も人をムカつかせるキャラクターなわけです。
息子もムカつきますが、出来が良い長男へのコンプレックスで一杯で、長男がなくなるまで肩身の狭い次男だったこと。
それがいきなり期待されて、それでも期待に応えられなくて、この息子なりにドツボにはまっているようではある。
しかしそれを考えても、あんまり許したくない。
もうちょっとこういう面が強調されていれば、違ったかも。
「助け人」では放蕩息子たちも仕置きしちゃってましたが、「仕置人」はいろいろと問題視されていたからかえってやれなかったのかも。
更に許せないのは、この母親。
エリートが揃った学問所なんだから無理やり入れたって、その先もずーっと無理を通せるわけないと思う。
この母と息子は殺されはしなかったけど、頼りになる叔父は仕置きされちゃったし、呼べば来てくれる兵庫も殺されちゃって、後は身動き取れないでしょう。
第一、あそこまで怯えさせられて、自分たち以外はみんな仕置きされたんじゃ、怖くて学問所にも行けないはず。
半次になら勝てると踏んでいたんだろうけど、結局勝てなかったし。
それにこんな息子に育てちゃうんだから、それでこの息子じゃあ、この家の栄華も先は長くあるまい。
家にやってきた半次に1両ねだられた主水。
半次の浮気の暴露に対して、主水はしかたなく本をくりぬいてそこにはめ込んで隠しておいたところから1両抜いて渡した。
そうしたらそれをりつが見ていて、目を吊り上げる。
主水が半次に1両渡して戻ると、部屋が荒らされていて、残りの5両はりつが持っている。
自分に内緒で「クヤシー!」と怒りまくったりつ、主水の「一家の主としていざという時の為に」とか一切聞かず、主水にものを投げるわ、叩くわ。
身を縮めて主水が逃げると縁側まで追いかけて行って、ついに主水、庭に転がされる。
そこに石があってしたたかに腰を打った主水、今回の仕置きをお休み。
でも今回の吉乃って隆之助の父親にとって、りつよりも嫌な妻に違いない。
隆之助が父親に似て女性に手が早いと言っていたけど、父親は吉乃がいる以外の場所であちこち安らいでいるに違いない。
半次が武家の息子である和馬に傘を差し出されて、恐縮しているところがいい。
貧乏旗本とはいえ武家の人間にとって半次みたいな男が雨宿りしていようが、ぬれていようが、関係ないのが普通というのがすごくわかる。
後の吉乃の態度なんかで、もっと良くわかる。
仕置人たちは親切にされたこと、情けを受けたことは忘れない。
そんな半次のほのかな恋心は12話に続いて、またしても悲劇に終わってしまった。
わりとクールに見えていた錠だけど、半次の仕置きしてくれという願いに対して、半次の惚れた女の為だから一銭にもならなくてもやる気でいたと優しい言葉。
でもそれに対して鉄ちゃん、「そうか、一銭もなくてもいいのか」と言って、「じゃ、これは俺が」とお金を取ろうとするんだから…。
だから錠が「おい、ちょっと待て!例えばの話だ、たとえ話だ」って。
そりゃ、なくても引き受ける気でいたけど、あるんだから、貰いますよね〜。
秋絵役は島かおりさん。
今年の夏のドラマ「任侠ヘルパー」では、詐欺ヘルパーに騙される役をやっていましたが、まだまだお綺麗でした。
このドラマでは隆之助が「お前の姉か。美人だのう」「怒るとますます美しい」と言うように、綺麗ですよ〜。
息子の為なら千両が二千両だって!と言う吉乃に対して、千両箱に石を詰めて持って来た小沼。
甥っ子がかわいいわけでも何でもなかったのね。
出世でもしてくれたら、バカ息子だから自分の良いように動かせる、ぐらいの気持ちだったんでしょう。
鉄の言うとおり、所詮、隆之助と吉乃みたいな人間の周りにはそういう人間しかいない、と。
逆に半次の周りには、口は悪いし、身分は低いけど、良い人たちが集まってるってことで、それは最終回でもっとはっきりします。
知らない方が幸せだ 24話「疑う愛に迫る魔手」
2009.11.05 (Thu)
必殺仕置人24話 「疑う愛に迫る魔手」
妙に静かな朝を迎えた、かんのん長屋。
外に出た鉄はやってくる大家・喜助(美川陽一郎)の姿で、静かな理由がわかった。
おきんの部屋に潜み、外をうかがっていると浪人の大羽が大家と遭遇したが、傘張りをした傘を持った大羽はうまいこと逃れた。
鉄もおきんも、一度もまともに家賃を払ったことがない。
大家はもう年齢が行っているので、このままだとかんのん長屋は自分たちのものになるかもしれないと言うおきんだが、鉄は大家には隠し子でもいるんじゃないかと言う。
何故なら、大家に頼まれて錠がある娘を連れに、八王子に行っていたのだった。
仏壇に向かって大家は「お咲」と呼びかけ、あの娘の心だけは傷つけたくないと悩んでいた。
錠はおとよという娘が寺から出てくるのを待って、連れて行く。
途中、分かれ道で振り返るおとよに錠は、「住み慣れた土地を離れるってのは…、嫌なもんだ」と言った。
「人間できりゃあ、生まれた土地で暮らせるのが一番幸せだよ」と錠。
おとよは喜助を江戸の喜助おじさんと呼んでおり、何故自分を呼び寄せるのか不思議に思っていた。
喜助は幼い頃から江戸に帰る途中だと言っては立ち寄り、いつも風車をみやげに持ってきてくれた。
おとよはいつも、喜助が父親なら良いのにと思っていた。
母親は父親についても喜助についても何も言わずに急死してしまい、残されたおとよは迎えに来てくれた錠を仏に会ったように心強く思ったと話す。
「あんたには江戸に、喜助さんという親父さんに代わる人がいるじゃねえか」と錠は言う。
「天涯孤独の一人ぼっち。それがどんな味がするのか知らねえ方が良い。その方が幸せだ」。
喜助には、かんのん長屋を売れという話が来ていた。
お上はかんのん長屋の風紀の悪さを気にしており、角屋の金蔵にその対処を一任した。
角屋の遣いの為吉は、いずれ打ち壊しになるのだから今が売り時だと言うが、長屋は自分のものでもあるが、住んでいる住人のものでもあると言って喜助は断った。
金蔵は高島主膳に金を渡して、長屋を打ち壊し、吉原に匹敵する歓楽街を作る許可を得ていた。
既に昨今の飢饉で苦しむ農村から、タダのような値で娘たちを買い集めていた。
その夜、かんのん長屋を岡っ引きの黒駒が見張っていた。
喜助はおとよに、実は自分がおとよの本当の父親だと打ち明けていた。
それなら何故一緒に暮らしてくれなかったのか、どうして黙っていたのかと言うおとよに、事情を話せない喜助。
おとよは働いて一人で生きていくと言って、出て行った。
出て行ったものの、外で途方にくれているおとよの元に錠がやってきて、自分の家に入れた。
自分の都合の良い時だけ父親だなんて、と喜助に対してとまどいと怒りを口にするおとよをなだめた錠は、おとよに今夜は錠の家に泊まるように勧めた。
翌朝、おきんは鉄のところに来て、錠がおとよを泊めたことを気にしていた。
しかし錠が夕べ鉄の家に泊まって、鉄がそのせいで寝不足なことを聞くと安心して笑った。
そこへ半次が妙な噂を聞いたとやってきた。
かんのん長屋を打ち壊す話だった。
おきんと半次は長屋の者を集めて抗議の声をあげていたが、鉄は出て行けというなら出て行けばいいじゃないかとつれない。
半次が先頭になって大家に文句を言いに行ったのを、おとよは心配そうに見ていた。
抗議に来た長屋の連中に、大家は誰も家賃を払っていないのに権利だけを主張するといさめた。
しかし、おとなしくなった長屋の連中に、大家はその話は断ったと言う。
半次もおきんも喜んで帰っていった。
それを見ていたおとよに錠は、大家は良い人だっただろうと言い、誰にだって人に言いたくないことの一つや二つはあると言うと、おとよはうれしそうに錠のところにおいてもらう代わりに作る食事の買い物に出かけた。
再び喜助に、2百両で長屋を売る話が来た。
今度は角屋の主人の金蔵が出てくる。
「暗闇の」と喜助を呼んだ金蔵は、後ろに黒駒を従えて、喜助が10年前に消えた「暗闇の菩薩」という義賊だったことを喋った。
金蔵も元は盗賊で、その時に稼いだ金で角屋を開いたのだった。
この話を飲まなければ、おとよに喜助が盗賊だったことを話す。
そして黒駒に喜助を捕えさせ、佐渡に送る。
そう言われて喜助は書付を出され、そこに署名するように言われた。
観念した喜助が署名してしまうと、すぐに角屋の者が長屋にやってきて、長屋を出て行けと言い渡した。
立退き料は今まで滞納した家賃だと言われ、明日中に荷物をまとめるように言われた長屋の連中は立てこもることに決めた。
そして大家が許せないと言って、喜助の家に向かおうとしたが、おとよが頭を下げ、何か理由がある、それを自分に聞きに行かせてくれと頼んだ。
いくら娘とはいえ、昨日や今日やってきた娘にそんなことができるか、と言いかけた連中の後ろから錠が、「行かせてやったらどうだ」と言った。
おとよが聞きに行ってからでも掛け合いはできるだろうと錠が言うと長屋の連中は黙り、おとよは喜助の元に向かった。
荷物の整理をしている喜助におとよは、「逃げ出すの?」と声をかけた。
「長屋の人たちを騙したの?そんな人私のおとっつぁんじゃない!」とおとよは言い、喜助に「私のおとっつぁんはみんなに自慢できるような人であってほしかった」と言う。
「自分さえ良ければ子供を捨てて、おっかさんを捨てて、自分さえ良ければ長屋の人はどうなってもいいの?」と聞くおとよに喜助は、「わしのものをわしがどうしようと勝手だ、とやかく言われる筋合いはない。思わぬ金も手に入った」と言って、こうなるとおとよは足手まといだと、八王子に帰るように言った。
長屋の連中が溜めた家賃の通いを渡し、家賃が取れたら今後の生活の足しになると言われたが、おとよは「こんなものいらない!」と叫んで飛び出した。
泣きながら戻ったおとよは錠に、みんな喜助に騙されたと言う。
だから出て行くのかと言う錠に、足手まといだから帰れと言われたとおとよが言うと、錠はおとよを連れてもう一度喜助に会いに行こうとする。
おとよは拒絶したが、錠は無理やり引っ張って行った。
その頃、喜助の家には黒駒が押し入り、喜助に渡した2百両を返せと言っていた。
喜助が金の在り処を言わないので、黒駒は喜助を刺してしまった。
黒駒が金を見つけた時、表から錠の「大家さん」という声がした。
喜助の始末ができず、あわてて逃げていく黒駒をおとよは見た。
おとよを連れて上がりこんだ錠だが、喜助がいない。
荒れた部屋を見て「あ〜あ」と言う錠だが、おとよは錠が通り過ぎた部屋の奥に喜助がうずくまっているのを見つけた。
「どうしたの!」と駆け寄るおとよ、傷を見た錠は医者を呼びに走った。
意識がない喜助に呼びかけていたおとよは、「しっかりして」と言い、「おとっつぁん!」と叫んだ。
「おとよです!」と呼びかけられた喜助は目を開き、おとよに「包みを」と言った。
おとよは喜助が指した包みを開けて喜助の手紙を読み、喜助の心がわからなかったと死んだ喜助にすがって泣いていた。
その時、長屋の立ち退きに黒駒が人を連れてやってきた。
おとよを見て一瞬、黒駒はギョッとし、おとよは黒駒を見て、「人殺し!」と叫んだ。
「俺は十手持ちだぞ」と言う黒駒はおとよは気が違ったと言って、おとよの口を塞ぐと連れ去った。
誰もいなくなった部屋で鉄と錠、半次とおきんは喜助の手紙を読んでいた。
手紙には貰った2百両のうち、150両は長屋のみんなで分けること、50両は父親として何もしてやれなかったおとよに、と書かれていた。
どうか受け取ってくれという言葉と、勇気のない自分を許してくれという言葉に錠は半次とおきんに「てめえたちが!無責任に騒ぎやがるから!」と怒鳴って出て行った。
うなだれる半次とおきん。
「無責任もいけねえが、俺みたいな無関心もあんまり感心したもんじゃねえなあ」と鉄。
しょんぼりしているおきんと半次だったが鉄に、「何ぼんやりしてんだよ!おとよちゃんでも探しに行ったらどうなんだよ!」と言われ、出て行った。
「ようし、こうなったら徹底的に暴いてやる」と鉄は言った。
翌日、かんのん長屋では、住民がバリケードを築いて立てこもっていた。
主膳が来ているのを見た住民は、相手は侍だと言って大羽を前面に出した。
「刀にかけても…」と言う大羽に黒駒や金蔵はひるんだが、主膳は「命を捨てたいと申しているのであろう。刀を抜け」と言った。
恐る恐る刀を抜いてかかって行った大羽を、主膳は簡単に斬り捨てた。
おきんと半次は必死になって、おとよを探していた。
おとよは、買われてきた女郎にされる百姓娘たちと一緒にいた。
半次は角屋の正体を調べてきて、鉄に報告していた。
角屋は隠し女郎屋の主人で、それに許可を与えているのは組頭の主膳だと。
この長屋に女郎屋なんて建てられてたまるかと憤るおきんに、鉄は金蔵を見張ればおとよもその線から見つかると言った。
鉄と半次、錠は角屋の前にいたが、人が多く、踏み込めそうになかった。
町方の見回りが来たので、3人は散った。
その頃、おとよは主膳に連れ込まれていた。
手篭めにされるぐらいなら死ぬとおとよは舌を噛み、あわてた主膳は金蔵を呼ぶ。
そして金蔵は、「いくらキレイ事を言ってもお前の血には汚いものが流れている」と、喜助が盗賊だったことを告げる。
「おめえは生まれながらに汚れてるんだ」、そう言って金蔵はおとよをひん剥けと手下に命じた。
おとよの脳裏に優しい喜助の笑顔と、風車が蘇る。
口から血を流して戻ったおとよを女たちは介抱しながら、悔しがった。
おとよはここから逃げて、長屋の人たちに喜助の本心を告げに行きたいと願った。
ここから逃げるのは命がけだが、覚悟はしていると言うおとよ。
そして女たちは協力して帯を結び合わせ、縄を作って二階から投げ、おとよを降ろした。
だが、おとよは下に降りる直前に、見張りに見つかってしまった。
その騒ぎに乗じて鉄と錠、半次は角屋に侵入したが、おとよはいなかった。
「ちょうど良い機会だ」と言い、金蔵たちは逃げようとするものへの見せしめとしておとよを蔵で吊るし上げ、黒駒がめちゃくちゃに叩き始めた。
女たちの悲鳴を聞いた半次が「まさか」と言ったが、おとよはその間に死んでしまった。
「なぁんだ。もうくたばりやがった」と黒駒は言い捨て、女たちはおとよに駆け寄ろうとした。
庭でその様子を伺っていた錠が怒りのあまり飛び出しそうになるのを、半次と鉄は必死に抑えた。
「もう勘弁ならねえ…」と立ち上がる錠を鉄は「おとよちゃんを長屋に帰すのが先だ」と言う。
金蔵たちと女たちが出て行くと、錠は蔵に飛び込んだ。
吊るされたまま、息絶えているおとよに駆け寄り、震える声で呼びかける。
鉄と半次がおとよの縄を外してやる。
長屋におとよを戻して寝かせた半次は「どんなにか、この長屋に帰りたかっただろうな」と涙声になり、おきんは半泣きで「勘弁しておくれよね…、おとよちゃん」と謝った。
角屋の蔵の暗闇で、錠が手槍をギリギリと言わせながら組み立てる。
鎖の影には鉄がいた。
蔵を見回りに来た黒駒の背後で、戸が閉まった。
驚いた黒駒の前に錠が現れる。
手槍を光らせた錠に向かって、黒駒は「誰だ…」と怯えた。
壁際まで後退した黒駒の首根っこを鉄が押さえ、「かんのん長屋から家賃を払いに来た」と告げる。
恐怖で声も出ない黒駒を押さえつけ、鉄は錠の前に連れて行く。
鉄が押さえつけている黒駒の首の下を、錠は正面から刺した。
金蔵は為吉に、長屋の連中は明日中にたたき出すよう命じていた。
廊下を歩き、部屋に戻ろうとした為吉を、中から障子を突き破った錠の手が捉える。
悲鳴をあげることもできず、為吉は錠に刺された。
金蔵は短筒を布団の下に隠して、寝床に入った。
ひそかに金蔵の隣部屋の障子が開き、そして閉じた。
身を縮めて忍んでいく鉄の気配に気づいた金蔵が、「誰だ?為吉か?」と声をかける。
答えがないので、金蔵は短筒を手にふすまに近寄っていった。
その向こうで鉄が指を鳴らす。
忍び寄った金蔵は、ふすまを開ける。
その時、金蔵は正面から鉄と鉢合わせした。
お互い、目を丸くしたが一瞬早く、鉄が頭を下げると同時に金蔵の喉笛を押さえた。
グエッと叫んだ金蔵が短筒を発射するが、鉄は金蔵の喉を砕いた。
錠は再び夜の町を走り、そして塀を飛び越える。
寝静まった主膳の屋敷に入ると、主膳の寝ている部屋に踏み込む。
手槍を構えた錠を見た主膳は「何者だ!」と跳ね起き、刀を取ろうとした。
しかし刀を手に取った瞬間、錠は刀を手槍の柄で押さえて抜かせず、主膳の後ろ首を刺した。
主膳は錠を見つめると崩れ落ちたが、錠は主膳をにらみつけたままだった。
翌日から、かんのん長屋はいつもの猥雑な活気を取り戻していた。
いろんな錠の表情がたくさん見られる回。
そうか〜、長屋の大家はどうなってるんだろうと思っていたら、ちゃんと当たり前にいたんだ。
しかも誰も家賃払ってないって…。
それで抗議に押しかけるって、それは少々勝手じゃないか、って思っていたらやっぱり指摘された。
でも追い出さない大家さん、あの猥雑なエネルギーに満ちたかんのん長屋が好きらしい。
そんな人は訳ありなのかな、と思ったら、やっぱり過去あり。
義賊とはいえ、盗賊でした。
美川陽一郎さんは「仕業人」では、主水の同僚の牢屋見回り同心。
ちらりと出てくる大羽浪人は、「必殺」では良く見た古川ロックさん。
浪人とはいえ武士である彼は一目置かれていて、長屋では仲裁役だったようですが、実はとっても腕には自信がなかった風。
それを一応、立てこもりの先頭に立たされる形で、追い払おうとしたらバッサリ…。
平和な浪人さんだったのに〜!
「住み慣れた土地を離れるってのは嫌なもんだ。生まれた土地で暮らせるのが一番幸せだよ」って錠の言葉で、故郷を追われたらしい身の上が伺える。
さらに「天涯孤独の一人ぼっち。それがどんな味がするのか知らねえ方が良い。その方が幸せだ」って言葉が、本当に寂しい。
錠は強くて生命力あったから江戸に来られて、一人でやって来たんだろうけど、それでも本当に寂しい。
そして、おとよを見守る錠が優しい。
おとよを泊めたと聞いて、ガックリするおきん姐さんもかわいい。
町を走り回っておとよを探していた時、半次の口がムグムグしていたら、「何だい、お前!何食べてんだよ!まじめにやれっ!」って怒るのが楽しい。
野川由美子さんの啖呵って、大好き。
おきんも半次もお調子者なだけで良い人だから、錠に怒られて、おとよは死んじゃって、泣くんだけど。
ちゃんと鉄の家で寝てた錠が律儀で、かわいい。
家に置いてもらう代わりに食事を作ると言われて、「何でもいいよ」とお金渡す錠が、またかわいい。
おとよが「いってきます」と出て行った後に何だかうれしそうな錠は、もっとかわいい。
そしておとよが折檻されている時、歯軋りせんばかりに「もう我慢できねえ!」って言いながら止められている錠。
その後、蔵に駆け込んで、吊るされて死んでるおとよに、「お、おい…、おい…」っておとよに呼びかける声が震えてる。
怒りに燃える錠の仕置きはダイナミック。
仕置人の最大の武器は人の怨念だと、つくづく思います。
沖さんのアクションは、とーってもカッコイイ。
良くジャンプする、良く走る!
熱い錠や「絶対やだ!」と言うおきんは半次に対して、出て行けって言うなら立退き料貰って出て行けばいいじゃねえか、とクールな鉄。
何に対してもあんまり執着がないのか、どこにいても鉄は鉄のペースで自分らしさを失わないせいか。
結果、「無責任もいけねえが、俺みたいな無関心もあんまり感心したもんじゃねえなあ」と。
山崎努さんの足の怪我のせいで、この辺りは錠が活躍する話が多いそうですが、でも突っ走りそうな錠を押さえたり、動きは少なくても鉄の大人の対応がまた良い。
鉄、冒頭、大家さんを見て逃げる時、やっぱり足引きずってます。
「かんのん長屋から家賃を払いに来た」って言葉も気が利いてる!
最後の仕置きでは金蔵も元盗賊らしく、鉄の気配は感じるし、ふすまに近寄るのも鉄に気づかれずに忍び寄ってる。
お互い、相手の動きが読みきれず、鉢合わせしてビックリなんですね。
自分がドア開けた時、予期せず人がいて、お互い仰天しちゃったことがありますが、いないと思ったところに人がいるって、すごいビックリするもんですね。
動けなくなるの、お互い。
大家さんも、おとよもいなくなって、あのかんのん長屋の所有権ってどうなるんだろう?
ラストシーンはいつもどおりの長屋だったけど。
大家がいなくなれば自分たちのものだって、おきんは言ってたけど、そんなことってあるんだろうか?
もう占拠し放題ってこと?
お上のものになっちゃったりしないの?
今回、主水はお休み。
主水がいたら、黒駒の動きやら金蔵の脅しやらが、また違った展開になったんだろうな。
仕置きの順番とか、メインの仕置きとかはその時、被害者との関わりや事件への思い入れによって変わる。
こういうのは、おもしろいと思う。
今回は本当に錠が魅力的なエピソードでした。
妙に静かな朝を迎えた、かんのん長屋。
外に出た鉄はやってくる大家・喜助(美川陽一郎)の姿で、静かな理由がわかった。
おきんの部屋に潜み、外をうかがっていると浪人の大羽が大家と遭遇したが、傘張りをした傘を持った大羽はうまいこと逃れた。
鉄もおきんも、一度もまともに家賃を払ったことがない。
大家はもう年齢が行っているので、このままだとかんのん長屋は自分たちのものになるかもしれないと言うおきんだが、鉄は大家には隠し子でもいるんじゃないかと言う。
何故なら、大家に頼まれて錠がある娘を連れに、八王子に行っていたのだった。
仏壇に向かって大家は「お咲」と呼びかけ、あの娘の心だけは傷つけたくないと悩んでいた。
錠はおとよという娘が寺から出てくるのを待って、連れて行く。
途中、分かれ道で振り返るおとよに錠は、「住み慣れた土地を離れるってのは…、嫌なもんだ」と言った。
「人間できりゃあ、生まれた土地で暮らせるのが一番幸せだよ」と錠。
おとよは喜助を江戸の喜助おじさんと呼んでおり、何故自分を呼び寄せるのか不思議に思っていた。
喜助は幼い頃から江戸に帰る途中だと言っては立ち寄り、いつも風車をみやげに持ってきてくれた。
おとよはいつも、喜助が父親なら良いのにと思っていた。
母親は父親についても喜助についても何も言わずに急死してしまい、残されたおとよは迎えに来てくれた錠を仏に会ったように心強く思ったと話す。
「あんたには江戸に、喜助さんという親父さんに代わる人がいるじゃねえか」と錠は言う。
「天涯孤独の一人ぼっち。それがどんな味がするのか知らねえ方が良い。その方が幸せだ」。
喜助には、かんのん長屋を売れという話が来ていた。
お上はかんのん長屋の風紀の悪さを気にしており、角屋の金蔵にその対処を一任した。
角屋の遣いの為吉は、いずれ打ち壊しになるのだから今が売り時だと言うが、長屋は自分のものでもあるが、住んでいる住人のものでもあると言って喜助は断った。
金蔵は高島主膳に金を渡して、長屋を打ち壊し、吉原に匹敵する歓楽街を作る許可を得ていた。
既に昨今の飢饉で苦しむ農村から、タダのような値で娘たちを買い集めていた。
その夜、かんのん長屋を岡っ引きの黒駒が見張っていた。
喜助はおとよに、実は自分がおとよの本当の父親だと打ち明けていた。
それなら何故一緒に暮らしてくれなかったのか、どうして黙っていたのかと言うおとよに、事情を話せない喜助。
おとよは働いて一人で生きていくと言って、出て行った。
出て行ったものの、外で途方にくれているおとよの元に錠がやってきて、自分の家に入れた。
自分の都合の良い時だけ父親だなんて、と喜助に対してとまどいと怒りを口にするおとよをなだめた錠は、おとよに今夜は錠の家に泊まるように勧めた。
翌朝、おきんは鉄のところに来て、錠がおとよを泊めたことを気にしていた。
しかし錠が夕べ鉄の家に泊まって、鉄がそのせいで寝不足なことを聞くと安心して笑った。
そこへ半次が妙な噂を聞いたとやってきた。
かんのん長屋を打ち壊す話だった。
おきんと半次は長屋の者を集めて抗議の声をあげていたが、鉄は出て行けというなら出て行けばいいじゃないかとつれない。
半次が先頭になって大家に文句を言いに行ったのを、おとよは心配そうに見ていた。
抗議に来た長屋の連中に、大家は誰も家賃を払っていないのに権利だけを主張するといさめた。
しかし、おとなしくなった長屋の連中に、大家はその話は断ったと言う。
半次もおきんも喜んで帰っていった。
それを見ていたおとよに錠は、大家は良い人だっただろうと言い、誰にだって人に言いたくないことの一つや二つはあると言うと、おとよはうれしそうに錠のところにおいてもらう代わりに作る食事の買い物に出かけた。
再び喜助に、2百両で長屋を売る話が来た。
今度は角屋の主人の金蔵が出てくる。
「暗闇の」と喜助を呼んだ金蔵は、後ろに黒駒を従えて、喜助が10年前に消えた「暗闇の菩薩」という義賊だったことを喋った。
金蔵も元は盗賊で、その時に稼いだ金で角屋を開いたのだった。
この話を飲まなければ、おとよに喜助が盗賊だったことを話す。
そして黒駒に喜助を捕えさせ、佐渡に送る。
そう言われて喜助は書付を出され、そこに署名するように言われた。
観念した喜助が署名してしまうと、すぐに角屋の者が長屋にやってきて、長屋を出て行けと言い渡した。
立退き料は今まで滞納した家賃だと言われ、明日中に荷物をまとめるように言われた長屋の連中は立てこもることに決めた。
そして大家が許せないと言って、喜助の家に向かおうとしたが、おとよが頭を下げ、何か理由がある、それを自分に聞きに行かせてくれと頼んだ。
いくら娘とはいえ、昨日や今日やってきた娘にそんなことができるか、と言いかけた連中の後ろから錠が、「行かせてやったらどうだ」と言った。
おとよが聞きに行ってからでも掛け合いはできるだろうと錠が言うと長屋の連中は黙り、おとよは喜助の元に向かった。
荷物の整理をしている喜助におとよは、「逃げ出すの?」と声をかけた。
「長屋の人たちを騙したの?そんな人私のおとっつぁんじゃない!」とおとよは言い、喜助に「私のおとっつぁんはみんなに自慢できるような人であってほしかった」と言う。
「自分さえ良ければ子供を捨てて、おっかさんを捨てて、自分さえ良ければ長屋の人はどうなってもいいの?」と聞くおとよに喜助は、「わしのものをわしがどうしようと勝手だ、とやかく言われる筋合いはない。思わぬ金も手に入った」と言って、こうなるとおとよは足手まといだと、八王子に帰るように言った。
長屋の連中が溜めた家賃の通いを渡し、家賃が取れたら今後の生活の足しになると言われたが、おとよは「こんなものいらない!」と叫んで飛び出した。
泣きながら戻ったおとよは錠に、みんな喜助に騙されたと言う。
だから出て行くのかと言う錠に、足手まといだから帰れと言われたとおとよが言うと、錠はおとよを連れてもう一度喜助に会いに行こうとする。
おとよは拒絶したが、錠は無理やり引っ張って行った。
その頃、喜助の家には黒駒が押し入り、喜助に渡した2百両を返せと言っていた。
喜助が金の在り処を言わないので、黒駒は喜助を刺してしまった。
黒駒が金を見つけた時、表から錠の「大家さん」という声がした。
喜助の始末ができず、あわてて逃げていく黒駒をおとよは見た。
おとよを連れて上がりこんだ錠だが、喜助がいない。
荒れた部屋を見て「あ〜あ」と言う錠だが、おとよは錠が通り過ぎた部屋の奥に喜助がうずくまっているのを見つけた。
「どうしたの!」と駆け寄るおとよ、傷を見た錠は医者を呼びに走った。
意識がない喜助に呼びかけていたおとよは、「しっかりして」と言い、「おとっつぁん!」と叫んだ。
「おとよです!」と呼びかけられた喜助は目を開き、おとよに「包みを」と言った。
おとよは喜助が指した包みを開けて喜助の手紙を読み、喜助の心がわからなかったと死んだ喜助にすがって泣いていた。
その時、長屋の立ち退きに黒駒が人を連れてやってきた。
おとよを見て一瞬、黒駒はギョッとし、おとよは黒駒を見て、「人殺し!」と叫んだ。
「俺は十手持ちだぞ」と言う黒駒はおとよは気が違ったと言って、おとよの口を塞ぐと連れ去った。
誰もいなくなった部屋で鉄と錠、半次とおきんは喜助の手紙を読んでいた。
手紙には貰った2百両のうち、150両は長屋のみんなで分けること、50両は父親として何もしてやれなかったおとよに、と書かれていた。
どうか受け取ってくれという言葉と、勇気のない自分を許してくれという言葉に錠は半次とおきんに「てめえたちが!無責任に騒ぎやがるから!」と怒鳴って出て行った。
うなだれる半次とおきん。
「無責任もいけねえが、俺みたいな無関心もあんまり感心したもんじゃねえなあ」と鉄。
しょんぼりしているおきんと半次だったが鉄に、「何ぼんやりしてんだよ!おとよちゃんでも探しに行ったらどうなんだよ!」と言われ、出て行った。
「ようし、こうなったら徹底的に暴いてやる」と鉄は言った。
翌日、かんのん長屋では、住民がバリケードを築いて立てこもっていた。
主膳が来ているのを見た住民は、相手は侍だと言って大羽を前面に出した。
「刀にかけても…」と言う大羽に黒駒や金蔵はひるんだが、主膳は「命を捨てたいと申しているのであろう。刀を抜け」と言った。
恐る恐る刀を抜いてかかって行った大羽を、主膳は簡単に斬り捨てた。
おきんと半次は必死になって、おとよを探していた。
おとよは、買われてきた女郎にされる百姓娘たちと一緒にいた。
半次は角屋の正体を調べてきて、鉄に報告していた。
角屋は隠し女郎屋の主人で、それに許可を与えているのは組頭の主膳だと。
この長屋に女郎屋なんて建てられてたまるかと憤るおきんに、鉄は金蔵を見張ればおとよもその線から見つかると言った。
鉄と半次、錠は角屋の前にいたが、人が多く、踏み込めそうになかった。
町方の見回りが来たので、3人は散った。
その頃、おとよは主膳に連れ込まれていた。
手篭めにされるぐらいなら死ぬとおとよは舌を噛み、あわてた主膳は金蔵を呼ぶ。
そして金蔵は、「いくらキレイ事を言ってもお前の血には汚いものが流れている」と、喜助が盗賊だったことを告げる。
「おめえは生まれながらに汚れてるんだ」、そう言って金蔵はおとよをひん剥けと手下に命じた。
おとよの脳裏に優しい喜助の笑顔と、風車が蘇る。
口から血を流して戻ったおとよを女たちは介抱しながら、悔しがった。
おとよはここから逃げて、長屋の人たちに喜助の本心を告げに行きたいと願った。
ここから逃げるのは命がけだが、覚悟はしていると言うおとよ。
そして女たちは協力して帯を結び合わせ、縄を作って二階から投げ、おとよを降ろした。
だが、おとよは下に降りる直前に、見張りに見つかってしまった。
その騒ぎに乗じて鉄と錠、半次は角屋に侵入したが、おとよはいなかった。
「ちょうど良い機会だ」と言い、金蔵たちは逃げようとするものへの見せしめとしておとよを蔵で吊るし上げ、黒駒がめちゃくちゃに叩き始めた。
女たちの悲鳴を聞いた半次が「まさか」と言ったが、おとよはその間に死んでしまった。
「なぁんだ。もうくたばりやがった」と黒駒は言い捨て、女たちはおとよに駆け寄ろうとした。
庭でその様子を伺っていた錠が怒りのあまり飛び出しそうになるのを、半次と鉄は必死に抑えた。
「もう勘弁ならねえ…」と立ち上がる錠を鉄は「おとよちゃんを長屋に帰すのが先だ」と言う。
金蔵たちと女たちが出て行くと、錠は蔵に飛び込んだ。
吊るされたまま、息絶えているおとよに駆け寄り、震える声で呼びかける。
鉄と半次がおとよの縄を外してやる。
長屋におとよを戻して寝かせた半次は「どんなにか、この長屋に帰りたかっただろうな」と涙声になり、おきんは半泣きで「勘弁しておくれよね…、おとよちゃん」と謝った。
角屋の蔵の暗闇で、錠が手槍をギリギリと言わせながら組み立てる。
鎖の影には鉄がいた。
蔵を見回りに来た黒駒の背後で、戸が閉まった。
驚いた黒駒の前に錠が現れる。
手槍を光らせた錠に向かって、黒駒は「誰だ…」と怯えた。
壁際まで後退した黒駒の首根っこを鉄が押さえ、「かんのん長屋から家賃を払いに来た」と告げる。
恐怖で声も出ない黒駒を押さえつけ、鉄は錠の前に連れて行く。
鉄が押さえつけている黒駒の首の下を、錠は正面から刺した。
金蔵は為吉に、長屋の連中は明日中にたたき出すよう命じていた。
廊下を歩き、部屋に戻ろうとした為吉を、中から障子を突き破った錠の手が捉える。
悲鳴をあげることもできず、為吉は錠に刺された。
金蔵は短筒を布団の下に隠して、寝床に入った。
ひそかに金蔵の隣部屋の障子が開き、そして閉じた。
身を縮めて忍んでいく鉄の気配に気づいた金蔵が、「誰だ?為吉か?」と声をかける。
答えがないので、金蔵は短筒を手にふすまに近寄っていった。
その向こうで鉄が指を鳴らす。
忍び寄った金蔵は、ふすまを開ける。
その時、金蔵は正面から鉄と鉢合わせした。
お互い、目を丸くしたが一瞬早く、鉄が頭を下げると同時に金蔵の喉笛を押さえた。
グエッと叫んだ金蔵が短筒を発射するが、鉄は金蔵の喉を砕いた。
錠は再び夜の町を走り、そして塀を飛び越える。
寝静まった主膳の屋敷に入ると、主膳の寝ている部屋に踏み込む。
手槍を構えた錠を見た主膳は「何者だ!」と跳ね起き、刀を取ろうとした。
しかし刀を手に取った瞬間、錠は刀を手槍の柄で押さえて抜かせず、主膳の後ろ首を刺した。
主膳は錠を見つめると崩れ落ちたが、錠は主膳をにらみつけたままだった。
翌日から、かんのん長屋はいつもの猥雑な活気を取り戻していた。
いろんな錠の表情がたくさん見られる回。
そうか〜、長屋の大家はどうなってるんだろうと思っていたら、ちゃんと当たり前にいたんだ。
しかも誰も家賃払ってないって…。
それで抗議に押しかけるって、それは少々勝手じゃないか、って思っていたらやっぱり指摘された。
でも追い出さない大家さん、あの猥雑なエネルギーに満ちたかんのん長屋が好きらしい。
そんな人は訳ありなのかな、と思ったら、やっぱり過去あり。
義賊とはいえ、盗賊でした。
美川陽一郎さんは「仕業人」では、主水の同僚の牢屋見回り同心。
ちらりと出てくる大羽浪人は、「必殺」では良く見た古川ロックさん。
浪人とはいえ武士である彼は一目置かれていて、長屋では仲裁役だったようですが、実はとっても腕には自信がなかった風。
それを一応、立てこもりの先頭に立たされる形で、追い払おうとしたらバッサリ…。
平和な浪人さんだったのに〜!
「住み慣れた土地を離れるってのは嫌なもんだ。生まれた土地で暮らせるのが一番幸せだよ」って錠の言葉で、故郷を追われたらしい身の上が伺える。
さらに「天涯孤独の一人ぼっち。それがどんな味がするのか知らねえ方が良い。その方が幸せだ」って言葉が、本当に寂しい。
錠は強くて生命力あったから江戸に来られて、一人でやって来たんだろうけど、それでも本当に寂しい。
そして、おとよを見守る錠が優しい。
おとよを泊めたと聞いて、ガックリするおきん姐さんもかわいい。
町を走り回っておとよを探していた時、半次の口がムグムグしていたら、「何だい、お前!何食べてんだよ!まじめにやれっ!」って怒るのが楽しい。
野川由美子さんの啖呵って、大好き。
おきんも半次もお調子者なだけで良い人だから、錠に怒られて、おとよは死んじゃって、泣くんだけど。
ちゃんと鉄の家で寝てた錠が律儀で、かわいい。
家に置いてもらう代わりに食事を作ると言われて、「何でもいいよ」とお金渡す錠が、またかわいい。
おとよが「いってきます」と出て行った後に何だかうれしそうな錠は、もっとかわいい。
そしておとよが折檻されている時、歯軋りせんばかりに「もう我慢できねえ!」って言いながら止められている錠。
その後、蔵に駆け込んで、吊るされて死んでるおとよに、「お、おい…、おい…」っておとよに呼びかける声が震えてる。
怒りに燃える錠の仕置きはダイナミック。
仕置人の最大の武器は人の怨念だと、つくづく思います。
沖さんのアクションは、とーってもカッコイイ。
良くジャンプする、良く走る!
熱い錠や「絶対やだ!」と言うおきんは半次に対して、出て行けって言うなら立退き料貰って出て行けばいいじゃねえか、とクールな鉄。
何に対してもあんまり執着がないのか、どこにいても鉄は鉄のペースで自分らしさを失わないせいか。
結果、「無責任もいけねえが、俺みたいな無関心もあんまり感心したもんじゃねえなあ」と。
山崎努さんの足の怪我のせいで、この辺りは錠が活躍する話が多いそうですが、でも突っ走りそうな錠を押さえたり、動きは少なくても鉄の大人の対応がまた良い。
鉄、冒頭、大家さんを見て逃げる時、やっぱり足引きずってます。
「かんのん長屋から家賃を払いに来た」って言葉も気が利いてる!
最後の仕置きでは金蔵も元盗賊らしく、鉄の気配は感じるし、ふすまに近寄るのも鉄に気づかれずに忍び寄ってる。
お互い、相手の動きが読みきれず、鉢合わせしてビックリなんですね。
自分がドア開けた時、予期せず人がいて、お互い仰天しちゃったことがありますが、いないと思ったところに人がいるって、すごいビックリするもんですね。
動けなくなるの、お互い。
大家さんも、おとよもいなくなって、あのかんのん長屋の所有権ってどうなるんだろう?
ラストシーンはいつもどおりの長屋だったけど。
大家がいなくなれば自分たちのものだって、おきんは言ってたけど、そんなことってあるんだろうか?
もう占拠し放題ってこと?
お上のものになっちゃったりしないの?
今回、主水はお休み。
主水がいたら、黒駒の動きやら金蔵の脅しやらが、また違った展開になったんだろうな。
仕置きの順番とか、メインの仕置きとかはその時、被害者との関わりや事件への思い入れによって変わる。
こういうのは、おもしろいと思う。
今回は本当に錠が魅力的なエピソードでした。




