最終回に向かって、デーモンの攻撃は地球規模になっていくアニメ「デビルマン」。
マグドラーの次は木という木、植物が人間に牙をむくウッドドゥが登場。
そして最後は、地球が月に吸い寄せられていく地球全体の危機。
妖獣ドリムーンです。

私が見た最終回は、このドリムーンだった。
でもこの後、妖獣ゴッドという、デビルマンの上官だった妖獣が出て来るんです。
これが本当の最終回。
知らなかった。

ドリムーンが最終回と思っていた人、多いんじゃないでしょうか。
少なくとも、家の近所(!)ではそうだったはず。
ゴッドが最終回だとすると、確かにとっても最終回らしい。
でもドリムーンも最終回らしかった。

月が地球に接近してきた。
引力のために日本では洪水が起き、今度は逆に海が干上がる。
世界中で異常事態が起きる。

ニューヨークでは、列車が片っ端から脱線した。
月の引力に引き寄せられたのだ。
誰もいなくなった学校でアルフォンヌ先生は授業をし、用務員さんは中学の生徒となって立たされる。
ポチ校長は「海ゆかば」を大声で歌っている。

あと3日。
満月の夜。
美樹は宙に浮く。
明も宙に浮く。

もう、最期なのね、あたしたち。
そうらしいな。
2人はしっかり抱き合ったまま、月に向かって行く。

今度の満月が来たら、地球のものはすべて月の引力で吸い寄せられる。
地球は滅亡する。
美樹がつぶやく。
大人はみんな、狂ってしまった。

だが明は、これはドリムーンの仕業だと気づいた。
明は、「どこにいる、妖獣ドリムーン!」と叫び、ドリムーンを探すために走っていく。
「誰か来て!明くんまで狂ってしまった」と美樹は叫ぶ。

デビルマンは、ドリムーンを探す。
満月が見えるところにドリムーンは潜み、月を吸い寄せているはずだ。
だがドリムーンは、見つからない。
デビルマンは、気が付く。

地球が、月を吸い寄せているのではない。
月が、地球を吸い寄せているのだ。
ドリムーンは、月にいる!
デビルマンは、月に向かう。

帰らない明を、洪水でソファの上に乗ったまま、美樹は待ち続ける。
タレちゃんが美樹のところに来て、眠らないの?と聞く。
眠っておかないと、洪水で眠れなくなると心配する。
だが美樹は言う。

「先におやすみなさい、タレちゃん」。
「そうやって明兄ちゃんの帰って来るの、待ってるの?」
「そうよ、どうせあたしたちみんな、満月までの命なら、一分一秒でも明くんのそばにいたいから」。

「良く言うよ」と笑ってタレちゃうんは水の中、去っていく。
だが水の中、戻ってきて「心配しなくても明兄ちゃんは帰って来るってば」と言う。
「どうもありがとう」と美樹は微笑む。
「おやすみなさい」。

そして今度は不安げに、言う。
「明日の朝は、また会えるんだよね?美樹姉ちゃん」。
「満月まではあと3日もあるのよ!」
美樹は微笑む。

タレちゃんもミヨちゃんと一緒に死ねることに気付いて、ほっとしている。
勉強一筋、東大一直線だった東大寺も、「そうさ!みんな死ぬんだ!」と言って、本を破り捨てた。
「死ぬのに試験も勉強もあるもんか!」
「こうしちゃいられない!」

東大寺は水でいっぱいになった部屋を出て行く。
そして水でいっぱいの夜道を自転車でこいでいく。
すると道の曲がり角から、チャコが走って来る。

「入郎(はいろう)さん!」
「チャコ!」
東大寺とチャコが抱き合う。

「あと3日で死んじゃうのね」。
「そうさ、まだ3日もある!」
東大寺の声は力強かった。

「今こそ、僕は青春を取り戻すんだ!」
東大寺はチャコを抱きしめる。
「うれしいわ、入郎さん」。

抱きあう2人を見た明は、「はっ、東大寺のやつ、今頃気づきやがって」と言う。
「おめでとうよ」。
心の中でつぶやく明の声は、優しかった。
明は美樹のところに戻ってきた。

大人はみんな、狂っちまった。
子供はみんな、正気に返った。
後はこの俺が、ドリムーンを倒せばいいのよ。

美樹の寝顔に明は話しかける。
ドリムーンは月にいるが、自分の力では片道飛行しかできないだろう。
明は美樹に別れを告げる。
「あばよ、美樹」。

はっと気が付いた美樹が「明くん!」と叫んで追いかけて来る。
美樹は外に出る。
外は静まり返っていた。

水が庭にも満ちていた。
「明くん」。
美樹の目に涙があふれる。

だがデビルマンは月に行かずに済んだ。
ドリムーンは月ではなく、月と同じ周期で飛ぶ人工衛星に潜んでいたのだ。
しかしドリムーンの胸にある穴は、ブラックホールと同じ力を持つ。
すべてを吸い込んでいき、吸い込まれたら二度と外には出られない。

デビルマンも吸い込まれそうになる。
このままでは、吸い込まれて終わりになる。
デビルカッター、デビルアローはドリムーンに吸い込まれ、何もダメージを与えることができない。

最後の手段と言って、デビルマンはデビルビームを放つ。
ドリムーンは一瞬、ひるんだ。
だがすぐに前を向いた。
しかし、デビルマンの姿がない。

「ドリムーン、後ろだ!」
デビルマンの声に驚いたドリムーンは、再び攻撃する。
しかしドリムーンの姿は崩れていき、やがて消滅してしまった。
「成功だ。ドリムーンのやつ、あわてて自分自身を吸い込んでしまったんだ」。

マグドラー、ウッドドゥも被害甚大でしたが、ドリムーンは冷え上がったアマゾンが出てきたり、海の底に沈んだハワイが出てきます。
列車が脱線するニューヨークなど、被害は世界規模で出ています。
誰もいなくなった学校で授業をしているアルフォンヌとポチ校長。

美樹の大人はみんな、狂ってしまったという言葉。
スケールが大きいんです。
月に吸い寄せられていく明と美樹の描写は、幻想的。

美樹はもう、明への思いを隠さない。
印象に残るのが、ガリ勉キャラの東大寺。
親が望み、東大寺が親の望みをかなえようとして偽ってきた自分を捨てる。

同じく、チャコも東大寺のもとへ走っていた。
2人が出会い、チャコがもう終わりなのだと言う。
「あと3日で死んじゃう」と言うチャコに東大寺は「まだ3日もある!」と言う。
ポジティブ!

「今こそ、僕は青春を取り戻すんだ!」
東大寺の声にはもう、迷いはない。
充実し、満足し、力強い。
何と頼りがいのある声。

「3日しかない」ではなくて「3日もある」!
東大寺の賢さが、最大限に発揮された感じがします。
抱きあう2人を見た明は、「東大寺のやつ、今頃気づきやがって」と言う。

しかし、その後に「おめでとう」と祝福する。
最初の頃の明だったら、東大寺のことなんか気にもかけなかったはず。
明の口調は、暖かった。

ここで晃は、美樹と同じ言葉を言う。
「大人はみんな、狂ってしまった」。
でも明は、重要な言葉を付け足す。
「子供はみんな、正気に返った」。

そして言う。
だから、あとは自分がドリムーンを倒せば良いだけだ。
それだけで、世界は蘇る。
明はもう、美樹だけではなくてこの世界を救いたいと思っている。

ドリムーンの回が好きなのは、ここです。
結局ドリムーンは、自分で自分を吸い込んで終わってしまう。
デビルマンって、人間界にいて、知恵をつけて一層強くなったかも。

ドリムーンを倒した後の、大人がみんな狂ってしまった世界は、どうなるのか。
牧村家の理性的で公平な父と母も、出て来ない。
あの両親までもが、おかしくなってしまったのだろうか。
気にはなりますが、この話、良い話だと思います。


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2017.05.08 / Top↑
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