魔王ゼノンから人間を滅ぼす最前線を担うため、人間界に降りたデビルマンは、不動明の体を借りる。
だがそこで牧村美樹という少女と出会ったデビルマンは一瞬で恋をし、美樹を守ることにする。
人間に味方することはデーモンを裏切ることであり、この時からデビルマンは裏切り者として孤独な戦いをするようになる。

美樹を通して、デビルマンこと不動明は人間と触れ合うようになった。
やがてデビルマンは、美樹の周りの大切な人を知り、守るようになる。
そして人の世の愛、優しさ、美しい世界を守りたいと思うようになった。
デビルマンは孤独なヒーローであり、変化するヒーローなのだった。

最終回「妖獣ゴッド 神の奇跡」。
デーモン一の猛者・デビルマン。
デビルマンは、魔王ゼノンの親衛隊だった。

親衛隊の隊長がゴッドだった。
つまり、デビルマンの上官。
ゴッドには、思考を現実にする能力がある。
その能力を使い、羽田空港にバベルの塔を、銀座にスフィンクスを登場させる。

デビルマンの前に現れたゴッドへ、美樹に正体をばらされたくなければ黙って見ていろと言う。
しかたなく、デビルマンはゴッドが世界をめちゃくちゃにするのをただ見ている。
だがゴッドのせいでタレちゃんとミヨちゃんが、火の海の中に取り残されてしまった。

どうしても火の海になった道路を渡って、こちらに来ることができない。
恐怖と絶望に抱き合って泣く、タレちゃんとミヨちゃん。
やはり、絶望する美樹の両親。

明はゴッドとの約束を破り、変身。
2人を助けて戻る。
ただ見守るしかなかった美樹の父と母に2人を渡すと、病院に急ぐように言う。
「ありがとう!」と言って、美樹の両親はタレちゃんとミヨちゃんを連れて病院に行く。

「ありがとう、明くん」。
美樹の顔には、危険を顧みずタレちゃんとミヨちゃんを助けてくれた明への感謝と愛しさがあふれている。
そこに、ゴッドの笑い声が響く。
現れたゴッドを見た美樹は「化け物!」と言う。

ゴッドは言う。
「俺は確かに化け物だ。人によっては神と呼ぶものも、いるがな」。
そう言うとゴッドは「雨よ、あれ!」と叫び、雨を呼ぶ。

「雷よ、あれ!」
今度は雷が鳴り響き、落雷する。
自分の能力を見せつけたゴッドは、「わかったか牧村美樹」と言う。

「俺は全知全能の神。心に念ずるだけで、ありとあらゆる奇跡を起こすことができるのだ」。
「じゃあ、バベルの塔もスフィンクスも!」
「その通りだ、だが驚くのはまだ早い。不動明!奴もまた、俺と同じ化け物だ!」

「ええっ」。
「デビルマンとは、彼のことだ」。
観念したように目を閉じ、美樹に背を向けて歩く明。

変身を呼ぼうとして叫ぶ声が、悲しみのあまり途切れる。
うつむいたまま、明はデビルマンに変身した。
「美樹の目の前でついに変身したか、デビルマン」。

そうデビルマンに言うとゴッドは、勝ち誇ったように今度は美樹に言う。
「これが不動明の正体だ。わかったか!」
「正体を見られてしまったな、美樹」。

デビルマンの声は、悲しく、優しかった。
だが美樹は叫ぶ。
「嘘!」

ゴッドが仰天する。
「何だと!」
「あなたなのね、また、奇跡とやらを起こしたんでしょう!」

驚いたゴッドは「今の変身は俺の仕業ではない、不動明の」と言いかけた。
「嘘つき!」
美樹は聞かない。

「あなたのせいに決まってる!明くんが化け物であるはずないわ!」
さらに美樹は叫ぶ。
「むろん、あなたは神でもない。神様があなたみたいに人間の世界に害をくわえるもんですか!」

「神様なら!」
美樹は胸に手をやる。
「あたしたちの、ここに住んでるわ!」

美樹の言葉に、ゴッドは怒り狂った。
だが美樹は、ひるまない。
「神の名を語る化け物!さあ、明くんを元の姿に戻してよ!」

ゴッドはついに、切れた。
「神を恐れぬ罰当たりめ!」
怒り狂ったゴッドは、「竜巻よ、あれ!」と叫ぶ。

竜巻が美樹に向かって、進んでくる。
「はっ!」
美樹がおののく。

デビルマンが、デビルアローで竜巻を粉砕する。
「こうなれば、神と悪魔の一戦を交えるしかないようだな」とゴッドが言う。
「望むところだ!」

ゴッドは次々、竜巻、雷を繰り出す。
デビルマンは竜巻に巻き込まれ、雷に打たれ、落下していく。
そして火を噴く怪鳥が現れ、デビルマンを追って来る。

デビルアローで怪鳥をかき消したデビルマンはゴッドに「神なら神らしく戦え」と言う。
ゴッドとデビルマンの、お互いの力を尽くした一騎打ちが始まった。
「デビルカッター!」
「ゴッドカッター!」

「デビルアロー!」
「ゴッドアロー!」
デビルマンが持つ能力は、ゴッドも持つ。

戦いは全くの互角。
2人は空中で組み合った。
「ゴッドビーム!」
「デビルビーム!」

双方がビームを放ち、どちらも落下する。
地上に落ちたゴッドは、満身創痍。
だがデビルマンもまた、満身創痍で立ち上がれない。

「明くん、負けないで」。
美樹が固唾をのんで見守り、心の中で叫ぶ。
「負けないで明くん」。

「明くん」。
「明くん」。
「…美樹」。

デビルマンが起き上がる。
ゴッドを羽交い絞めにして、飛ぶ。
「デビルビーム!」

ゴッドがデビルビームを浴び、断末魔の叫びをあげる。
地上に向かって、ゴッドは落下していく。
炎に包まれ、ゴッドは消滅した。

翌日。
明は、美樹をバイクの後ろに乗せて走っていた。
「良かったわ。元の明くんに戻って。化け物のままだったら、どうしようかと思ったわ」。
明の背に頬を寄せ、美樹が言う。

「もしそうなら、俺を嫌いになったかい」。
「そうでもないわ」。
「ふうん」。

「案外、かっこよかったわ」。
「ありがとうよ」。
「何が」。

「俺を信じてくれたことさ。目の前でデビルマンになった俺を」。
「どんな格好になったって、中身は同じ明くんじゃない」。
「そうだよ」。

明はそっと、ささやく。
「好きだぜ美樹」。
「なんか言った?」と美樹が聞く。
「何でもねえよ!」

明は乱暴にバイクを飛ばした。
「きゃあっ」と、美樹が言う。
「明くんったら」。
そう言うと、明の背に頬を寄せる。


最終回。
やっぱり美樹は「デビルマン」の女神だった。
明がどんな姿になろうとも、明は明だ。
変わらないと、美樹は信じている。

ゴッドは自分を神と称していたが、美樹の言葉はそのプライドを打ち砕いた。
神が、人間の少女に拒絶される。
美樹の前ではゴッドは神でも何でもない。
悪魔であり、化け物でしかない。

対して、悪魔に変身したのに明は悪魔ではない。
デビルマンを脅す、最強の切り札が無力になってしまった。
もうデビルマンに恐れるものはない。

神を名乗る悪魔ゴッドと、悪魔だが悪魔ではないデビルマンの対決。
今考えると、非常におもしろいです。
デビルマンは、デーモン族一の猛者。
ゴッドはその猛者のデビルマンの上官。

妖元帥とか魔将軍、妖将軍はいましたが、親衛隊というのはまた別組織なんでしょうね。
ゼノンの側近中の側近。
さらにゴッドは、思考を現実にする能力がある。

デビルマンも、その力には苦戦。
しかしそれだけでは、苦戦はしてもデビルマンを殺すには至らない。
結局最後は、力と力のぶつかり合い。

デビルマンが持つ武器は、ゴッドも持っている。
能力は互角、いや、それ以上の力を持つ上官ゴッド。
デビルマンとゴッド、どちらも能力の限りを尽くし、落下。

どちらも立ち上がれないほどの傷を負っている。
そこで勝敗を分けたのは、「明くん」「明くん」と祈る美樹の心の声だった。
目の前で変身した明を化け物呼ばわりして逃げていたら、デビルマンはゴッドに負けていたかもしれない。

「明くん」。
見守る美樹の祈りの声に、デビルマンは起き上がる。
最後の力を振り絞り、ゴッドにビームを炸裂させた。

途中、ララのけなげさに印象が薄くなった感じもした美樹。
確かに最初の頃の美樹なら、明が変身したのを見て逃げたかもしれない。
シレーヌやザンニン、誘拐されたり崖から落ちたり、アドバルーンに吊るされたり。
美樹も結構、ひどい目に遭ってるんです。

でもこのゴッドに向かって叫んだ美樹には、この時のような弱さはなかった。
美樹を通して人間を知り、デビルマンは人間界をデーモンから守る存在に変わった。
デビルマンが変わったように、美樹もまた変わった。

デビルマンは、成長していくヒーローの物語だった。
さらにヒロイン美樹も、成長していく物語だったのです。
そしてやっぱり美樹は、「デビルマン」世界の女神だった。

もしかしたら美樹とは、神が選んだ人間だったのかも。
デビルマンと美樹の出会いこそ、神の奇跡だった。
この出会いが世界を救った。

最後に美樹は「良かった、明くんが元に戻って」と言います。
美樹は明の正体を、本当はデビルマンと知った上で、知らないふりをして受け入れたのか。
それとも本当に、ゴッドの仕業と思っているのか。
ここのところは見ている方に判断させて、デビルマンは終わります。

初めて知った人の愛。
その優しさに目覚めた男。
この世界には、戦う価値がある。

アニメ版の「デビルマン」は、原作とは全く違う終わり方をした。
カリスマ的な魅力を持ち、いまだにファンが多く、いろんな人や作品に影響を与えた原作は名作。
それに対して、アニメの評価は、いまいちなのかもしれません。
でも一つのデビルマン世界の完結として、私はこのアニメ版が大好きなのです。


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2017.05.13 / Top↑
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