「鬼畜」です。

この音楽聴くと、記憶がありありと蘇ってきました。
いや~な気持ちにさせてくれます、今でも。
だけど俳優さんたちの熱演や、人間の怖ろしさ、子供のいじらしさに引き込まれて最後まで見ました。

小川真由美さんも、岩下志麻さんも、ものすご~く怖い。
鬼ですよ、鬼の形相とはこの事だと思いました。
でも、女たちを鬼にさせているのは、この気の弱い男なんですよね。
鬼と化した女たちの間に立って、オロオロするだけの男。

この緒形さん演じる男があまりに弱く、情けなくて。
守らなきゃいけない立場の者が、こんなにも心が弱いなんて、それはもう罪だ。
そう思いながら見ました。

それから、大人の都合とか争いとか、この子達に何の関係があるんだ、と心底、感じました。
抗うことさえできないんです、この子達。
こんなに小さくて弱いんですよ…。

そして、そこまでされても最後に父親をかばう、子供の気持ち。
父親との絆を断ち切らない、子供の姿はこの救いのない映画が見せた最後の希望なんだろうか。




嫌な気持ちになってしまったら、こちらの緒形さんと猫を。
そりゃあ、魚が目の前で焼けてたら、気になっちゃいますわ。
それにしても、ほんとに変幻自在な俳優さんです。

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2008.11.05 / Top↑
夕べはものすごい久しぶりに会う友達と食事して、盛り上がって、それで今日は午前中、気が抜けてたんですね。
13-7=が、とっさにわからないようなボンヤリっぷり。
とんでもないっすよ、ほんとに。

緒形拳さんの訃報を聞いた友達が、何年も貸りていた「必殺必中仕事屋稼業」のDVDを返します!と連絡してきてくれたからなんだけど。
気心知れてるから、DVD何年も貸してるけどいいや、借りてるけどいいやって感じです。
家が近所だからいつでも会えるっていうのもあるし。
これから久々にまた、「仕事屋」を見直してみようと思ってるところ。



これは第一回。
緒形拳さんの演じる蕎麦屋の半兵衛が、初めて殺しに手を染めるシーンです。
仕事屋は毎回、どんでん返しがある展開なのですが、ここではこれから先、相棒になる政吉と同じターゲット相手に鉢合わせ、殺し合いになる展開。
更にはその政吉、この元締めが赤ん坊の頃に旗本に預けたはずの息子だったという話も入ってる。
これはできすぎのようですが、この伏線、ずっと放置されていて、最終回近くにかなり重い「因縁」というか、「人殺しの業」というドラマとなって出てきます。

今は人のいいおじさまを演じることが多い石橋蓮司さんだけど、ここでは女をネチネチいびる、いや~な役人を演じてます。
この方の演じる放火魔とかシャレにならない怖さがあった。
上手い俳優さんですね。
もう1人、殺しの手引きをする元盗賊の蔵破りが「渡る世間は鬼ばかり」の中華料理店「幸楽」の従業員さんです。
こんな怖ろしい過去があったとは…(笑)。
2008.10.22 / Top↑
その後の佐久間は工事現場で働き、鈴江は正月には佐久間を呼んで餅を一緒に食べました。
そして…、ある日、工事現場で佐久間は安らかに、眠るように息を引き取ったのでした。
この壮絶なドラマは、佐久間の墓参りの帰り、ビルが立ち並び、車が行きかう中、佐久間が歌っていた歌を口ずさみながら歩く鈴江で終わりました。

佐久間は何故、何度も破獄したのでしょう。
最初、私は看守達の横暴、見下した視線への反抗だと思いました。
彼なりの、たった一人のレジスタンス。

しかしドラマが進むにつれ、破獄に執念を燃やす緒形さんの佐久間を見ていて思いました。
佐久間はおそらく、最初は貧しいながらも家庭を持ち、人間として暮らしていたのでしょう。
しかし、刑務所に来た時の佐久間は野生動物のようでした。

野生動物は捕えられた時、外に出ることを考えるのだと思います。
佐久間は野生動物の本能のようなもので、外にひたすら出ようとしたのではないか。
大人しく服役した方が、ずっと早く出られるとかそういう理屈は通用しない。
戦争の最中は刑務所にいたほうが良いとか、労働はあるものの衣食住は保証されているとか、そういう計算もない。


もちろん、佐久間の罪は許されるものではありません。
きちんと償うべきだったし、反省がないと言われてもしかたがありません。

ただ、緒形さんの演じる佐久間を見て思ったことは人間は人間らしく扱わなければ人として振舞わないし、他人を人間扱いもしない。
人間として尊厳を与えられなければ、他人に尊厳を持って接しない。
認めないと言うよりも持っていない人間は、持っていないのだから人の尊厳を認めろと言っても無理なのかもしれない。
そんな風に思いました。


野生動物と化した佐久間に、鈴江だけが人間として接したのです。
だから佐久間の最後の脱獄は、ただ鈴江に会いに来る為の破獄だった。
そして憎しみから始まった2人の奇妙な関係は、友情で終わったのです。

このドラマ、津川さんの冷静かつ優しい視線と、生命力と執念をみなぎらせた緒形さんの視線がぶつかり合います。
こんな俳優同士の目力がぶつかるドラマ、なかなか見られません。

追悼番組というのが本当に悲しいですが、緒形さんのおかげで今も良質なドラマが見られることに改めて感謝したいと思います。
2008.10.13 / Top↑
昭和19年。
太平洋戦争も3年目に突入した年、鈴江の気持ちを裏切って、佐久間は網走刑務所から3度目の脱獄をします。
1年間毎日、味噌汁をかけて腐らせた手錠と鉄格子をあっさり外し、房をよじ登ると天井のガラスを頭で割ります。
そして猛吹雪の中、外に出て、軍隊まで出動した中、まんまと逃げおおせました。
佐久間と心が通い合い始めたと思っていた鈴江は、深く失望し、自分に自信をなくします。

草の根を食べ、盗みを重ねる佐久間の耳に玉音放送が流れてきます。
昭和20年8月。
世の中は激動しているのに、佐久間の時間は止まったままです。
ウサギを抱き、ウサギと同じにんじんを食べる佐久間。
それはウサギのぬくもりを求めてなのか、生来の優しさなのか。

その間も佐久間は餅を盗み、鎌を持って追いかけてきた男が誤って自分に鎌を刺す事件も起こります。
人間業では盗みに入れないという三菱マークの倉庫に泥棒が入り、佐久間の仕業と断定されました。
重態に陥っていたかつての盗みの仲間は、鈴江の訴えも虚しくGHQに連行されていき、亡くなりました。

絶望した鈴江は、東京の府中刑務所に転勤することになりました。
佐久間が自分がいる間に捕まらなかったことが心残りだと言いながら駅で汽車を待っているその時、佐久間逮捕の知らせが入ります。
佐久間と会った鈴江の態度は怒りでも、軽蔑でもなく、哀しみでした。
餞別だ!と自分が着ていたセーターを脱ぎ捨て、鉄格子の間から放り投げる鈴江。

そして昭和23年。 
ある夜、鈴江が暮らす家に突然、佐久間がやってきます。
札幌刑務所から4度目の脱獄です。

「また逃げたのか…」
「あんたに会いたくて…」。

佐久間は鈴江に会う為に脱獄してきたのです。
佐久間の野獣ではない目を見た鈴江は、「頼むから、最後はシャバで手足を伸ばして死んでくれ。ちゃんと戻って罪を償ってくれ。
そうでなければこのままどっかへ行ってくれ」と、心からの頼みを口にします。

佐久間は自首しました。
鈴江のいる府中刑務所にその後は模範囚として、23年間服役しました。
その間、娘が会いに来て結婚したこと、結婚相手は父親のことを知っても逃げなかったこと、だからその人の為に尽くすこと。
弟たちも就職してがんばっていること、母親が苦労したことを告げ、もう他人だと言い放って出て行きます。
23年後、老いた佐久間が出所したところを一足早く退役していた鈴江が迎えに来ます。
日本はすっかり変わっていました。
2008.10.12 / Top↑
佐久間は今度は当時、一番過酷だった網走刑務所へ移送されます。
そこで佐久間は、再び鈴江の顔を見る事になるのです。
鈴江を見て暴れる佐久間、それに呼応するかのように騒ぎ始める囚人達。
佐久間は手錠をかけられ、鈴江は佐久間の担当にされました。
しかし鈴江が食事を運んだ時、佐久間は手錠のない自由な手で椀を手にするのです。
愕然とする鈴江。
何度手錠をしても、佐久間はその都度、鈴江をあざ笑うように自由になった手を見せ付けます。
その為、佐久間には足輪もつけられることになります。
しかしやはり、見回りの時、佐久間は鈴江に自由になった手足を見せつけるのです。

ついに佐久間には鍵穴のない、馬につける蹄鉄のような手錠と足輪がはめられ、鎖でがんじがらめにされます。
更に食事を半分にするという提案が、されます。
それに対し、佐久間に煮え湯を飲まされたはずの鈴江はそれで死んだ囚人を何人も見ていると、反対するのです。
さすがにこの処置には佐久間も嫌だと抵抗しますが、どうにもなりません。
食事も自分ではできず、鈴江が食べさせるような状態。
しかし佐久間は口を閉じ、無理に流し込めば吐き出してしまい、頑として食事を口にしません。
鈴江が去った後、犬のようにガツガツ食べる佐久間。
人の手からは絶対に食べ物を受け取らない野犬のような、その姿。

下の始末も自分ではできない為、房の中は悪臭で、決まった時間に入浴させられ、身体を洗われるのです。
その際にも反抗的な佐久間に、身体を洗う看守は仕事を放棄しようとします。
しかし鈴江は「決まりだ」と言い、ちゃんと佐久間を扱います。
やがて、鈴江は看守を辞めたいと申し出ます。
佐久間を見るのが嫌になったんだろう、と言う上司。
自分だって犬のようなあの姿を見ると、反吐が出そうになると。

「こんなバケモンみたいな鎖つけられて」さすがに弱って大人しくなったように見えた佐久間に、鈴江は熱は下がったか、具合は良くなったかと気遣いを見せます。
優しい言葉をかけ、佐久間に対して人間として接するようになるのです。
やがて少しずつ、鈴江に対して心を開くかに見えた佐久間。
鈴江の秋田刑務所の懲罰房からどうやって脱獄したのかの問いに、誰にも言うなよ、と言って、教えてくれるほどになります。
感心する鈴江。

やがて鈴江は佐久間に、お前は自分と同じ3人の子供、男が2人で女が1人という話をするのですが、佐久間は「1人がいい」と言います。
その前に佐久間は、妻に離婚届を送っていました。
おそらく、本当は拒否してくれることを願っていたのでしょうが、佐久間に一緒に強盗をした仲間を通して返ってきた答えは「助かった」でした。
子煩悩で家に戻ることを夢見ていた佐久間に、当然の結果とはいえ、これは人間社会への絶縁状のようなものだったと思います。

「つつじの蜜を吸って、蜂の子食べて、アケビ食べて、キノコ食べて」と言う佐久間に、「一生、山のつつじの蜜なんか吸っていられないだろう」と。
つまり、「人間らしく外で生きる為に、ちゃんと服役してくれ」と言うのです。
そんな鈴江に、「房に帰してくれ」と言う佐久間。
2008.10.12 / Top↑