世界中は夢の木が見ている夢だ 「夢の木」

手元に本がないので、うろ覚えで書きます。
睦月とみさんの作品「夢の木」。
このタイトルさえ、正確かどうか自信がありません。

ある街の丘に、立派な古い木がある。
暑い夏など、その木の下で人が休む。
その木の根元には、刃が入った跡がある。

どうして切ろうとしたのか。
なぜ、途中でやめたのか。
誰も知らない。

昔、村には芽見(めみ、この字でいいのかわかりませんが)という娘と、芽見の恋人で木こりのトム(登夢?)という青年がいた。
村の丘のてっぺんには大きな木があり、夢の木と呼ばれていた。
長老は、その木を決して、傷つけてはならないと言っていた。

芽見とトムは、その木のある丘の上で会っていた。
その時、アクシデントが起きて芽見は木の上から落ちてしまう。
下では危機一髪、トムが芽見を受け止めた。

だが…。
「トム、木が!」
芽見が捕まった木の枝が、折れて落下していた。

その夜だった。
フラフラになった女性が、村にたどり着いた。
女性は酔生子(ようこ)と言って、都に上る途中だった。

馬に水をやるために池のほとりで休んでいたところ、馬も、供も忽然と消えてしまったのだ。
酔生子の話を聞くと、馬や供が消えた時刻は、芽見が夢の木の枝を折った時刻だった。
恐怖におののく芽見だが、トムは笑い飛ばす。
酔生子は、しばらく村で休んで、体力を回復させることにした。

「笑い飛ばして。そうでなきゃ、あたし、不安で不安でしかたがない」。
そして芽見は何でもないことを証明しようと、夢の木の小さい枝をポキポキと折る。
いくつもいくつも折る。
数日たった。

すると村の人が言い始める。
「おらのところのニワトリ小屋がニワトリごと、消えちまった」。
「おらの牛が消えた」。
次々、村で何かが消えて行った。

それをトムに知らせようとした芽見の目に、トムと酔生子が入って来る。
酔生子は、トムに字を教えていた。
トムの手のひらに酔生子が字を書き、トムがそれを声に出す。
酔生子が何か書く。

トムが大声で、読む。
「す」。
「き」。
「だ」。

その言葉の意味に気付いたトムが、ハッとする。
酔生子が笑う。
「学問をなさいな、トム殿」。

2人は芽見がいるのに気づく。
微笑んで言う。
「酔生子さんに、字を教えてもらってたんだ」。
「本当ですよ、それだけです」。

「嘘だ」。
芽見は叫ぶ。
「嘘!」

そして思わず、手に握りしめていた石を投げてしまった。
石は、トムの額に当たった。
血が流れる。
「トム殿!」

「何てこと!」
「早く、こちらへ!」
トムを手当てするため、急いで連れて行く酔生子。
芽見がひとり、残った。

雨が降って来る。
雷が鳴る。
ショックで戻ってきた芽見を、父親が驚いて出迎える。

「芽見」。
その時、落雷が夢の木の枝に落ちる。
枝が燃え上がり、落ちる。

芽見の目の前にいた父親の影が、すうっと薄くなる。
「父ちゃん!」
芽見の目の前から、父親が消える。

翌朝。
カーン、カーンと音が響く。
芽見が父親の斧を持ち出し、夢の木を切っている。

父親が失踪し、芽見はおかしくなった。
村人たちはそう言った。
芽見は思った。

世界中は夢の木が見ている夢だ。
夢の木を切れば、みんな消える。
トムも消えてしまう。
自分も、自分の醜い心も消える。

全部消えて、綺麗にしたい。
トムが見ている。
酔生子がやってくる。

芽見はトムも、酔生子も恨まない。
その代わり、全部消してしまうことを選んだ。
俺は芽見の望むとおりにしてやりたい。

疲れた芽見が、へたりこんだ。
すると、トムが斧を拾った。
カーン。

今度はトムが、夢の木を切ろうとする。
「お前の望むとおりにしてやりたい」。
カーン、カーン。
芽見が叫ぶ。

「やめて」。
「やめて、トム」。
「消えないで」。
「都に行っても良い。幸せに暮らして」。

酔生子が、旅支度をしている。
2人を見ながら言う。
「夢の木を切れば、世界中が、消える…?」

「わたくし、そのような考えにはついていけません」。
「一人でまいります」。
そう言いながら、酔生子の頬を涙がつたっていた。
芽見とトムは、固く抱き合っていた。

現代。
大きな丘の上の木。
その木の根元には、刃が入った跡がある。
どうして切ろうとしたのか。

なぜ、途中でやめたのか。
誰も知らない。
だがその木の下で昼寝をした者はみんな、幸せそうに寄り添って暮らす娘と木こりの夢を見る。



酔生子のスタイルからすると、平安時代みたいなんです。
だけど名前が、芽見、トム、酔生子。
どこか異国っぽい。
この作家さん、こういう無国籍、時代不詳な雰囲気を出すのがうまい。

小さな村に、外からやってきた洗練された女性。
新鮮で刺激的で、トムもちょっと惹かれたと思います。
酔生子にも、疲れ切ったところに頼もしく優しいワイルドなトムは新鮮だったはず。
何となく、惹かれ合っちゃうんですねえ。

トムも外で学問することに憧れたでしょうし。
でも冷静に考えたら、この2人は都に一緒に出てもうまくいかなかったでしょうね。
酔生子が村で暮らせるはずもない。

だけど、芽見にはそんなこと判断できない。
結局、トムは芽見への思いを再認識。
口では付き合え切れないと言っている酔生子の頬に涙は、ジンと来ます。

世界中が本当に、夢の木が見ている夢なのかどうか。
それはわかりません。
ただ、謎の失踪と夢の木の枝が折れることはシンクロしているんです。
あのまま、芽見が木を切ったら、世界は消えたんでしょうか。

結局、2人はより強く、結びついた。
末永く、この村で幸せに暮らしたはず。
その証拠に、人はこの木の下で芽見とトムの夢を見る。
うまいラストです。


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あなたを信じます 「王女アレキサンドラ」

「ガラスの仮面」が有名な美内すずえ先生ですが、他にもいろんな骨太の話を描いています。
ホラー作品だと本当に怖かった。
当時の少女マンガにしては、革命の描写など残酷な描写もありました。
王女を描いた作品の中で、自分が印象に残っている作品は「王女アレキサンドラ」です。

たぶん、長編の読み切り作品として掲載された作品だと思います。
王女アレキサンドラは、幼い頃、爆弾テロにあって失明。
目の見えないアレキサンドラに母は「あなたにできることは、人を信じること」と言い残します。

父の王の後妻は、自分が生んだ男の子に王位を継がせたい。
アレキサンドラが王位継承にふさわしくないと判断されるように、策略を巡らせます。
その一つが、反逆の疑いで父親が投獄されて死んだ、医師のアルバートをアレキサンドラの主治医にすることだった。

自分の生い立ちを知っているはずの王妃が、なぜアレキサンドラを任せるのか。
アルバート自身も不審に思う。
最初はアレキサンドラに冷たかったアルバートだが、次第に心優しいアレキサンドラを本気で心配するようになる。
晴れの挨拶の日、アレキサンドラが国民に手を振るために出て来る。

その時の衣装には、不吉にも血のシミがついていた。
しかし、自分にはそれはわからなかった。
侍女のマーゴが、王妃に言われてやったのだった。

アレキサンドラは、目を治したいと切実に思う。
だがアルバートに目はもう、治らないと言われて絶望する。
その嘆きを見たアルバートは、目が見えなければ他のやり方があるとアドバイスする。

ある日、アレキサンドラは美術館で、画家たちの作品を見ることになる。
王妃、そして王妃の子・ライラスたちが作品にいろんな意見を言う。
和やかな輪に、アレキサンドラは入れない。
目が見えない王女が、なぜ、この場にいるのか。

画家たちも困惑する。
めげそうになったアレキサンドラを励ましたのは、アルバートだった。
気を取り直したアレキサンドラは、画家たちと握手をしたいと申し出る。
画家たちと握手をしながらアレキサンドラは、「この手で傑作をお描きになるのね」と声をかける。

「抽象画でも手はそうじゃなくて良かった」と言う王女の周りに笑い声が上がる。
王女と握手した画家たちは、感激する。
継母たちの影は薄くなってしまった。

次に王妃は、国内で起きた自然災害で被害をこうむった地域の視察に、アレキサンドラを行かせた。
「目が見えない王女に何がわかるんだ」。
「うわべだけの言葉などいらない」。
そう言っていた国民たちだが、現れたアレキサンドラを見て驚く。

アレキサンドラは一人で、被災地を歩いた。
がれきの山を歩き、転倒した。
その手に、家の屋根が触れた。

こんなところに屋根が!
アレキサンドラは、身をもって、その被害のひどさを知った。
ドレスの裾が破れ、傷だらけで現れたアレキサンドラは言う。
ひどい被害だ。

しかしそれに負けずに皆さんが復興を遂げることを、私は信じます…。
アレキサンドラの言葉に励まされた人々は、次々と復興のために動き出す。
ここでも王妃の思惑は外れた。

そしてついに最大の危機がやってきた。
かつてアレキサンドラの視力を奪った爆弾犯が、コンタクトを取ってきたのだ。
犯人は隣国の支援を受けていた。

王妃はこの交渉に、アレキサンドラを行かせた。
場合によっては、もともと仲の悪かった隣国との戦争に発展するかもしれない。
犯人はアレキサンドラに自分が憎いか、と聞く。

だがアレキサンドラは、もう過ぎたことだと言う。
すると今度は犯人は、アレキサンドラに自分を許すという書類へのサインを求めた。
だがアレキサンドラには、その書類が何かはわからない。
もし、このラストニア国を譲るという書類だったら…。

ためらうアレキサンドラの頭の中に、母の声が響いた。
『信じなさい、アレキサンドラ』。
…!

『目の見えないあなたにできることは、人を信じること』。
「おお、そうだわ」。
背筋を伸ばしたアレキサンドラは、「そこにいてください。声を頼りにそちらへ行きます」と言う。
その毅然とした様子に、犯人が後ずさっていく。

まっすぐに手を伸ばし、やってくるアレキサンドラ。
アレキサンドラと犯人は、互いにサインをしあう。
サインをし終わると、犯人が人々に言う。

「安心してくれ」。
犯人が掲げた書類は、白紙だった。
アレキサンドラはサインしなければ、自分もするつもりはなかった。
改めて、犯人はアレキサンドラに深くわび、許しを乞うた。

見事に交渉をまとめ、隣国との紛争にもならずに事態を収めたアレキサンドラを国民は絶大的に支持した。
それを見守るアルバートだが、使用人はアルバートが主治医の範囲を超えているのではと心配する。
王女が心配なだけだと言うアルバートに、老人は「だと良いが。身分違いは悲劇の元」と言った。
その時、アルバートは自分が王女を愛していることに気付いた。

王妃になり、しかるべき王室と縁を結ぶ運命のアレキサンドラ。
アルバートはもう、そばにはいられない。
暇をもらいたいと言って去っていくアルバートに、アレキサンドラも泣き崩れる。
愛している。

戴冠式の日が来た。
アレキサンドラを馬車に乗せたのは、侍女のマーゴだ。
マーゴは王妃に言われた通り、アレキサンドラが戴冠式に着けないよう、馬車を郊外に走らせた。

道がごつごつしていることを不審に思いながらも、アレキサンドラは乗っている。
その時、羊飼いの少年の鳴らす鈴が耳に入って来る。
アレキサンドラが、はっとする。

マーゴも顔色を変えた。
しまった…!
気付かれた!

アレキサンドラも、自分が戴冠式の場から遠ざかっていることに気付く。
しかしニッコリ笑うと、マーゴに語り掛ける。
「今のは、どこかの教会の鐘ね」。

マーゴの胸に、その言葉は突き刺さった。
さわさわと草原を渡る風。
鐘の音。
気付かないはずはない、気付かないはずは。

アレキサンドラは言う。
「目の見えない私には、人を信じることがすべてです」。
「マーゴ。あなたを信じています」。
マーゴの心は、完全に砕けた。

アレキサンドラは来ない。
王妃が、ほくそ笑んだ時だった。
「アレキサンドラ様のお成りー!」という声が響く。

そこにはアレキサンドラがいた。
横には深く首を垂れ、うやうやしく手を取るマーゴの姿があった。
まさか、あのマーゴが私を裏切るなんて!
王妃は声も出ない。

戴冠式が始まり、アレキサンドラは無事、王妃となった。
その途端、アレキサンドラは王冠を取り、叫ぶ。
「来てください、ライラス!ラストニア次期国王は、あなたです!」

王妃も、ライラスも仰天した。
アレキサンドラは目の見えない自分には、国王としての義務が果たせない。
初めからアレキサンドラは一度王となり、ライラスに王位を譲る考えだったのだ。

戴冠する息子の姿を見た王妃は、泣いた。
「私は…、何という、何という愚かな…」。
王妃はアレキサンドラに詫びた。

アレキサンドラは言う。
「お義母様、あなたを信じています」。
そして、アレキサンドラの近くには再び、アルバートがいた。

「身分違いの、由々しき事態!」と言う側近に王妃は微笑む。
爵位がないなら与えれば良いではありませんか、と。
でももう、そんなことは問題ではない。
アレキサンドラは光の中を、歩いているのだから…。



この国、私はリトアニアだったか、ラトビアだったか、思い出しながら悩みました。
確か、ラストニア…って言ってたような、どっちだったか、わからないなあと。
それなので、バルト三国のニュースが流れると、注目して見ていたことがありました。
架空の国のお話だったみたいですね。

美内さんの王女の物語でもうひとつ、印象的なのは「ジュリエッタの嵐」です。
こちらは革命にあった王女が軟禁された城を抜け出し、最後は革命を起こした男とその村で一人の女性として生きていく話でした。
普通の少女マンガの展開なら、抜け出して苦労した後、王女に返り咲くんですけどね。

自分たちの贅沢な生活を思い知り、革命の意味を知り、自分たちを不幸にした男の生い立ちを知る。
そしていつしか惹かれ合った2人は、ただの男女として暮らしていく。
骨太のストーリーでした。

人を信じる。
これはアレキサンドラのような立場にあれば、普通の人間より困難なこと。
アレキサンドラは、人の悪意には気付いているんです。
王妃の子、娘の方は割とアレキサンドラに悪意がありましたが、弟のライラスは良い子でした。

アレキサンドラは悪意に気付いているうえで、それでも信じていると言って、相手の判断にゆだねる。
アレキサンドラの人を信じるという危ういように見えて、人の良心を揺さぶる生き方。
彼女に信じていますと言われた者は、「人間の証明」をしなくてはいけなくなる。

最後のマーゴとのシーンは、感動を呼びます。
うやうやしくアレキサンドラの手を取るマーゴの姿。
あれを見れば、彼女が今後、一生かけてアレキサンドラに尽くしたであろうことが予想できます。
そして最後にアレキサンドラによって、自分の愚かさを思い知った王妃も。

アレキサンドラの気高さ。
美内さんの画力は、それをしっかり表現してます。
やっぱりこの作家さんは、力があるなあ。
なのに、本が今は手元にないという…。

だけど、あの犯人との交渉にアレキサンドラを行かせるって、王妃も相当危ないことをする。
アルバートの出番は、それほど多くないですが、最後もハッピーエンドで良かった。
感動の話だけど、人を心底信じるって本当に難しい。

信じて、そしてうまくいくことは本当に難しいと思います。
だからこそ、アレキサンドラの姿は忘れられないのでしょうね。
良い話です。


ざまあかんかんかっぱの♪

悲しい話ばかりだと悲しいので、もう一つ「ど根性ガエル」の話。
内容はあんまり覚えていないのですが、ヒロシの担任の先生の話は覚えています。
町田先生という、初老…に見えた先生です。

冴えない先生で「教師生活25年、こんな経験はしたことがないーっ」と目をこすって嘆きます。
この先生がヒロシ、ガキ大将のゴリライモ、ヒロシのガールフレンドの京子ちゃんと一緒に帰っている。
その時、会社の中から声をかけられる。
見ると、車の中にいたのは町田先生の同級生。

今は大会社の社長で、豪勢な生活を送っているらしい。
誘われて町田先生とヒロシたちは、社長の家に行く。
社長の家といい、生活といい、町田先生とは大違い。

最初は社長の生活に興味津々で、感心していたヒロシたち。
豪華な食事を振舞われ、町田先生の情けなさを一緒になって笑っていた。
しかしヒロシたちは、町田先生をバカにする社長に次第に不快感を覚え始める。

社長に向かって、怒るヒロシたち。
だが社長はまったく取り合わない。
ヒロシたちは怒って、帰る。

社長は車で、ヒロシたちを送る。
その車の中でも、社長は町田先生をバカにすることをやめない。
いや、バカにするために送っているのだ。

憤慨するヒロシたちだが、社長は、たった一つ、手に入らなかったものがあったと言う。
学生時代に憧れていた美少女がいたが、彼女には振り向いてもらえなかった。
その美少女はその学校にいた学生たち、すべての憧れのマドンナだった。

遠い目をした時、町田先生の帰りが遅いと、先生の奥さんが迎えに来た。
奥さんを見た社長は、驚きのあまり、声も出ない。
町田先生の奥さんは、あの憧れのマドンナ、美少女だった。

奥さんは町田先生に駆け寄り、社長には目もくれない。
彼のことをまったく、覚えていない。
…「あら?」ぐらいは言ったかもしれません。

ヒロシたちは「先生、すごいな」と言う。
「どうやって憧れのマドンナと付き合ったの?」
奥さんとヒロシたちに囲まれ、町田先生は帰っていく。
後にはガックリと膝を折った社長だけが、残っていた。


この話、最初はごちそうにへらへらしていたヒロシたちが、次第に憤慨するところが良かった。
そして最後に、高慢ちきな社長の憧れの美少女が町田先生の奥さんだったというのが痛快でした。
いつも「教師生活25年…」と泣いている先生ですが、とっても良い人柄なんですね。

たくさんの登場人物がいましたが、私は寿司屋のすし職人・梅さんが好きでした。
良く出前でひっくり返ってました。
ヒロシの学校のグラマラスな美女・ヨシ子先生が好きで、ヒロシの担任の男性教員と争っていました。
どっちも武道の達人で、ケンカは勝負がつかなかったような記憶があります。

オープニングの曲も印象深いですが、エンディングテーマの曲も印象深い。
♪男の道はど根性でやんす 厳しいでやんす♪
そしてなぜか、♪ざまあかんかんかっぱのへ~!
土曜日の夜、楽しく見ていたことを思い出します。

♪ぴょこん、ぺたん、ぴったんこ

♪ぴょこん、ぺたん、ぴったんこ♪
♪殿様ガエル アマガエル♪
印象的なメロディーで始まるアニメ、「ド根性ガエル」。

楽しいアニメで毎週楽しく見ていましたが、マンガで悲しい話を読んだのを覚えています。
ぴょん吉に興味を持つ少年が現れた。
その子は周りからバカにされているが、一向に気にしない。

ぴょん吉が好きなようだが、ぴょん吉はひろしのシャツの中から出られない。
だがその子は別のカエルを見つけ、そのカエルと遊ぶようになる。
周りは「カエルバーカ」「カエルバーカ」とはやし立てる。

しかしその子は全く気にせず、地面をカエルと一緒にはねて遊んでいる。
ところが、カエルは目の前で車にひかれてしまった。
ショックを受けたその子は、カエルの前から動かない。

かわいそうに思ったヒロシは、シャツにぴょん吉を描いて送ろうと考える。
ぴょん吉も喜ぶ。
最後のページ、あまりにひどい似顔絵に怒ったぴょん吉とヒロシがケンカをしているシーンで話は終わる。


これ、歯医者さんかどこかに置いてあったマンガで見たんです。
結局、ぺしゃんこになったカエルの前で泣いてたこの子はそのまま。
ぴょん吉とヒロシのケンカで終わっているので、この子にその後、シャツをあげられたのかもわからない。

この子が救われたのかもわからない。
残酷だなあ…と思って、忘れられませんでした。
アニメでこの話はなかったと思いますが、楽しいアニメがさりげなく残酷だったことにもショックを受けました。
昔のマンガって、結構、油断できないものがありました…。


裏切り者の名を受けて

引き続き、アニメの「デビルマン」を見ているんですが、おもしろいです。
妖将軍ザンニン、魔将軍ムザンと来て、妖元帥レイコック登場。
しかしその前に、ララと言うデーモンが登場します。

ララは頭が軽くて、デーモン族みんなから「おバカ」扱いされている。
でも本人はとてもポジティブで明るくて、根拠のない自信に満ち溢れている。
その能天気さは、ダークなエネルギーに満ちているデーモン族らしくない。
魔王ゼノンも、ララの扱いには困っているほど。

ギャグ担当で現れたようなキャラクター、ララ。
それなのに、後半のデビルマン世界にはとても大きな存在となるんです。
当初の予想を超えた、名キャラクターとなるララ。

ララの手はあらゆるものを、瞬時にぐにゃぐにゃに溶解させる。
そして、思う通りの物体に作り替えることができる。
ララは顔も作ることができて、自分の顔を作ってしまう。
だがくしゃみをすると老婆のように顔が崩れてしまうので、そのたびに顔を作り直す。

ララは人間界に、自分の美しい顔を見せびらかしに行くつもりだった。
そんな時、ゼノンは人間界にいるデーモン・ドドに対し、ララを使いに出した。
ララは最初に明たちが乗っているスキー列車の窓の外に現れ、列車では幽霊が出たと大騒ぎになった。

ゼノンのドドへのメッセージは「デビルマンと戦うな」であったが、それは正確に伝わらなかった。
ララにお使いは、無理だったのだ!
デビルマンを倒そうとしたドドは、罠を張って檻に閉じ込めることには成功した。

だが、脱出したデビルマンに消滅させられてしまう。
残ったララはデビルマンに戦いを挑むが、全く相手にされない。
最後には頭がおかしいと判断され、明たちが見ている前で精神病院に強制入院させられてしまう。

ところが次回の話でララはこの精神病院を、何度も脱走していることがわかる。
そのため、病院の評判が落ちることを恐れた医師と看護師は、ララを海に捨てることを考える。
だが救急車は海に向かう途中、妖元帥の配下の妖獣ジュエルの宝石の雨に遭遇。
医師と看護師は、夢中になって宝石をあさる。

その隙に、ララは救急車のドアから外に飛び出すことに成功する。
しかしララは手足を拘束されていたため、橋から川に落下。
学校帰りの明と美樹、タレちゃんとミヨちゃんの前に落ちて行く。

流れていく女性を見た美樹もタレちゃんもミヨちゃんも、仰天。
ララとは知らない明は、落ちた女性を助けに行かされるはめになる。
下水道の中で、つまみ上げた女性がララと知った明。

一方、デビルマンと再会したララは、再びデビルマン討伐をしようとする。
だが、明はララが作った剣に流れてきたおもちゃやゴミを投げて刺したりと、おちょくるばかり。
覚悟を決めたララは、さあ殺せとデビルマンに迫る。

「さあ殺しなさい!殺せったら」。
「一人前のこと言うじゃん、ララ」。
「ふん、デーモンの国に帰って笑いものにされるより、ずっとましだわ!さあ殺してちょうだい」。

「よせよせ、ララ。美人がもったいねえよ。お前は長生きするたちだよ」。
「ふん、ごまかすな!あたしが美人だなんてさ。そりゃあ、まあ…、美人だけどさ。デビルマン、そう思う?あなたも?」
「実はあたしも、鏡を見るたびに惚れ惚れしちゃってんの」。

「類い稀れなる美貌だなあって。慎み深いからさ、あたし、そんなこと口に出しては言わないけど」。
「でもあたしを誉めるなんて、デビルマンも目が高いわあ」。
ここでデビルマンこと明は、相手にしていられなくて去っていく。

辺りを見回して、デビルマンがいないのに気づいたララ。
「あら?あらん!?デビルマン?デビルマンどこ行ったのよ?」
「どうしてあたしを殺さなかったのよぉ~、デビルマン!」

すると、どぶ川に一輪の花が流れてきた。
それを手にしたララは「わかってるわ。あなたがあたしを殺さなかったわけ…」。
花を手に、陶酔したララは言う。
「あまりの美しさに手が震えて、あたしを傷つけることができなかったのよね」。

「いいえ、いいえ、傷ついたのはあなたなのね、デビルマン!」
「あたしの魅力でハートに、ひびが入ったのでしょう。ああ、かわいそうなデビルマン」。
それを下水道の別トンネルから見ていた明は「はあ、冗談じゃねえや」と、遠ざかっていく。
ララは、うっとりしている。

「あたしは今こそ決心したわ。あたしの美しさを認めてくれたデビルマンとともに生きることを」。
「掟に背き、恋に殉ずる純情可憐なララ…」。
傾けた花から水がこぼれ、ララはそれを頭からかぶる。
つまり、ララは、デビルマンは自分の美しさに恋をしたために自分を殺せなかったのだと思い込んでしまったのだ!

ララを放置して出口を探していたデビルマンは偶然、人間を操っているジュエルを発見。
戦いとなる。
不意を突かれたデビルマンは、ジュエルの攻撃でピンチに陥った。
ダイヤモンドの硬度を持つジュエルのドリル攻撃は、デビルマンをとらえ、穴をあけようとしている。

しかしそこに、もう一人のデビルマンが現れた。
どちらが本物のデビルマンなのか?!
2人のデビルマンを見比べながら、ジュエルは戸惑った。
攻撃を止めたジュエルは、デビルマンに倒される。

もう一人のデビルマンは、変身したララだった。
すり寄って来るララを、くすぐったがるデビルマン。
この時からララは、デビルマンの恋人気分。

ララの登場は、美樹にも影響があった。
美樹ちゃんはとっても良い娘だし、さばさばした男前な娘。
だけど、たまに明には横暴な態度を取ることもあった。

氷村がいた頃は、時に氷村側に立ったりもした。
もう氷村はいなけど、ララが現れた。
美樹を見ても、ララの自信は全く揺るがない。
それどころか、美樹は「あたしの」「明くん」に片思いをするかわいそうな娘と言う。

あからさまに明に付きまとうララは、美樹にとってライバル登場だった。
美樹の、明に対しての態度が変わった。
優しくなったし、好意を隠さなくなった。

軽快なテーマソングとともに、現れるララ。
それは明にとっても罪のない時間であり、視聴者にとってもギャグの時間だった。
何だかんだ言って、ララの登場はデビルマンには良かったのだ。

デビルマンはララに「お前はデーモン族で一番、長生きするよ」と言っていた。
ところがララは、妖元帥を倒した後、妖獣マグドラーの火焔攻撃で死んでしまう。
ララは、最期まで、デビルマンを気遣っていた。

燃え盛る炎の中、やってきた明にララは、来てはいけないと叫ぶ。
明までが、マグドラーの炎に焼かれてしまうと。
「あたしみたいにね」。

ララは言う。
「でもあたし、明くんに会えて幸せだったよ。だって明くん、楽しい思い出をいっぱいくれたんだもん」。
「それだけが言いたくてさ、やっとここまで来たんだよ」。

ララはここまでは、「明くん」と言っていた。
美樹はたまに、ものすごくララに怒っていたが、人間界でララはデーモン族の中ではじかれるようなことはなかった。
これまで登場した女性デーモンのように、ララは平然と殺戮ができるようなデーモンではない。

こんな性格のララに、人間界は居心地が良かったのだろう。
ララの方が、「あたし、人間が怖いー!」って泣いたりしていたぐらいだ。
人間の世界の明と過ごした日々は、ララにとっても罪がなく、とても楽しかったんだろう。
そんなララの気持ちが反映したように、今度はララはデビルマンと呼びかける。

「さようならデビルマン」。
「あたしは死ぬまで、ロマンチックだもん」。
そこにマグドラーがやってきて、また炎が上がる。

ララがマグドラーを睨む。
「いいとこなのに待ってくれないの!嫌な奴だね」。
しかしすぐに、ララは目の前の明に顔を向ける。

「愛してる」。
ララは、明に投げキッスをする。
そして燃え尽きる。

ララの輪郭の残像が消える。
呆然と見ている明、いや、デビルマン。
「あたし、明くんに会えて幸せだったよお」。
ララの声が、こだまする。

呆然としていた明が、走り出す。
「逃げるのか、裏切り者」。
マグドラーの声が追いかけて来る。

明は心の中で叫ぶ。
『逃げるんじゃねえ!』
『ララの墓に火の粉がかからねえように、場所を選んで戦うまでよ』。
デビルマンの声には、怒りが満ちている。

地球の地下のマグマをエネルギーにして復活し、火山を噴火させるマグドラー。
もはや、デビルマンの武器は通じないと思われた。
その時、デビルマンは空を見上げ、はっとする。
宇宙!

勝ち誇ったマグドラーをまとわりつかせたまま、デビルマンは上空へ上空へ飛んでいく。
まとわりつかれた体に、炎の熱さが伝わって来る。
しかし、デビルマンは飛び続ける。

雲が現れ、やがて青い空は紺色になる。
星が瞬き始める。
「デ、デビルマン?!」
マグドラーは驚愕する。


デビルマンは、孤独だった。
最初、デビルマンは美樹一人守れば良いと考えていた。
それが牧村家の人々の優しさ、美樹を取り巻く友人と関わって、変わっていく。
美樹の周りの人を守る。

そしてそれは、人間を守る方向に変わっていく。
美樹を通してデビルマンは、人の世には愛があり、美しい世界が存在していることに気付く。
それをデーモン族に支配させてはならないと、思うようになる。
後に知ったのですが、この辺り、マンガとは真逆なのですね、おもしろい。

♪裏切り者の名を受けてすべてを捨てて戦う男♪
歌詞の通り、すべてのデーモンは敵だし、人間界に理解者はいない。
デビルマンは、孤独のヒーローだった。
自分の種族であるデーモンを裏切らせるきっかけになった美樹でさえ、デビルマンの正体は知らない。

そんなことは、最初から承知している。
何とも思っていない。
そこに現れた同じ種族が、ララだった。

最初は、デビルマンは自分に恋しているという激しい思い込みにイラついていたデビルマン。
だが、デーモンとの戦いに協力するララは、デビルマンにとって、かけがえのない仲間になっていった。
おバカだろうがララは、デビルマンと同じデーモン族だ。

冷静に見るとララは結構な能力の持ち主なのだが、あまりに抜けているため、それをデーモンらしい破壊に生かせないだけなのだ。
また、デーモンがいると、デビルマンとララだけはそれを感じ取ることができる。
人間が凍り付き、動きを止めた中では、明とララだけが動いているのだ。

そうした中でララは、ララなりにデビルマンをサポートし始めるのは普通のことだった。
あるいはサポートしていると思わずに、助けになることになる。
ララのサポートが、デビルマンを勝利に導くこともたびたびあった。

戦いを終えて人間の姿に戻った明がどれほど、疲労困憊しているのか。
知っていて怒り、思いやれるのはララだけだ。
そう、ララはたった一人のデビルマンの仲間。

戦友だ。
愛する者のために、人間界に残ったデーモン。
いろんな意味で、ララはデビルマンと同じなのだ。

ララだけがデビルマンの孤独を知り、癒してやれる。
デーモンを愛のために裏切った、同じ仲間なのだ。
裏切り者の名を受けて。


戦友ともいえるララの死を見届け、宇宙に飛んで行ったデビルマン。
マグドラーが気が付いた時は、遅かった。
宇宙空間では、マグドラーはエネルギーを得ることができず、燃える炎の体は凍り付いた。
あわてて地球に戻ろうとするマグドラーだったが、デビルマンが逃すはずはない。

怒りに燃えるデビルマンはララの分も執拗に攻撃を加え、マグドラーを粉砕する。
マグドラーを粉砕したデビルマンは、宇宙でつぶやいた。
「ララ。バカな奴だ、死んじまいやがって」。

すると、暗い宇宙空間にララの姿が現れる。
「いやぁん、あたしのバカは死んじゃったから治っちゃったのよ」。
いつものララだった。
ララの姿が消えると、そこには輝く星があった。

宇宙に輝く、ララの星。
「そうか、そうだったな」。
「あばよ、ララ!」

そう言ってデビルマンは、地球に帰っていく。
ララもデビルマンも明日をも知れぬ、デーモン族同士だからだろうか。
愛のためにデーモンを捨てた仲間同士。
その絆が、かえって別れをアッサリさせるのだろうか。

アッサリした別れが、かえって胸に迫る。
かえってデビルマンの傷心が、胸をえぐる。
ララの最期には泣いた。
まさか、ララで泣くとは思ってもみなかった。


マグドラーの次の回、妖獣ウッドドゥ。
その攻撃に縛られたデビルマンが「左手!左手さえ出られたら」と苦しむ。
もし、ララがいたら「デビルマ~ン!」と叫び、ウッドドゥの邪魔をしたことだろう。
デビルマンの左手を開放し、ウッドドゥにひどい目に遭わされたララは「デビルマン、デビルビームよー!」と叫ぶだろう。

だがもう、ララはいない。
デビルマンは一人、ララが来る前と同じように、1人で戦い続けるのだ。
ララとの別れが、境目のようになったかのように、この回から「デビルマン」世界は深刻さを増して行く。
デーモンの攻撃は、地球規模の危機となるのだった。


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Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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