こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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夜0時に寝て朝7時に起きる、悪夢は見ない

夜0時に寝て、朝7時に起きる。
悪夢は見ない。
ウラジミール・プーチン。

ワールドカップロシア大会やってる。
だから、というわけじゃないけど、今読んでいる本。
「オリバーストーン・オン・プーチン」。

映画監督のオリバー・ストーン氏がロシア大統領・プーチン氏にインタビューしました。
それを記録したのが、この「オリバーストーン・オン・プーチン」。
この中で、プーチン氏が言ったのが、冒頭の言葉。

生活習慣の話なんですけど、プーチン氏が言うとすごく意味が深い気がしてしまう。
映画の名台詞のように、決まってしまう。
これがカリスマというものなのでしょう。



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「おかしい」と思った時に引き返せ 「ドキュメント 道迷い遭難」

毎年発生する山の遭難事故。
その3分の1を占めるのが、道迷い遭難だという。
「道に迷い、山中をさまよう道迷い遭難の、恐怖の実態をあきらかにする」羽根田治氏の著書。
ヤマケイ文庫から出版の、その名も「道迷い遭難」。

その場にいるような気分になる。
迷って行く様子に、想像がつく。
絶望感を感じる。

とても他人事として客観視できない。
無謀な判断にゾッとするのは、想像がつくからと同時に、自分がその場にいたらやりそうだから。
たった一人、自分しか頼れない中、どんどん窮地に陥って行く遭難者が、自分に重なって行く。

でもここに出ているのは生還した方。
ですから、そういう点では安心して読める。
生還しなかった方の絶望感と言ったら、それはもう…。

何が起きたのか、こちらには知るすべもなく、しかしここに書かれているようなことが起きたに違いない。
この本で語っている方たちは、本当に運が良かった。
報道された記憶があるものも、あります。

時間が迫っている時に迷った、あの焦り。
たどり着けない不安。
繁華街、住宅地でも、観光地でも絶望的になるというのに、誰もいない山の中。
絶望感と無力感で、考えただけでも、うずくまりたくなる。

『山登りをやっている人なら、誰でも一度や二度は道に迷った、あるいは道に迷いかけた経験があると思う。
それが幸い大事に至らなかったのは、「あれ、おかしいぞ」と思った時点で引き返したからではないだろうか。
引き返していれば、「ここで間違えたんだ」というポイントが、必ず見つかるはずである』。

『ところがこの、「引き返す」ということが、なかなかできない。
「おかしいな」と思いながらも、「もうちょっと行ってみよう」と、ずるずる先に進んでいってしまう。
そして進めば進むほど、引き返すのが億劫になり、どんどん深みにはまってしまうのである』。

そう。
もうちょっと行けば、わかるんじゃないかと思ってしまう。
実際はわかるより、迷うほうが多い。

『はっきりと「しまった。道を間違えた」と自覚した時には、もうかなりの距離を歩いてきているので、今さら引き返す気にはなれなくなっている。
この時点であっても、引き返すのが最良の手段なのだが、当事者の頭の中にもう、その選択肢はない。
「このまま行けばどこかに出るはずだ」という淡い期待にすがり、闇雲に突進を続けていく』。

そう!
誰もが連想したことだと思いますが、これは日常の、そしていろんな決断をする時のタイミングにも当てはまります。
「ここまでやって、今さらやめることなんかできない」。
「あれだけ待って、今さらやめることなんかできない」。

『しかしやがて、行く手には滝や崖や藪が立ちふさがる。
それを避けながら進むうちに、ますます袋小路に追い詰められていき、最後は滝や崖を強引に突破しようとして転落してしまう。
あるいは体力が尽きて、行動不能に陥ってしまう。
これが、道迷い遭難の典型的なパターンである』。

『だからほとんどの道迷い遭難は、ごく単純なことで防ぐことができる。
なにしろ、「おかしい」と思った時点で引き返せばいいのだから。
ところがこの、簡単なことが難しい。
それはたぶん、道迷い遭難が人の本能と葛藤に起因するものだからだと思う。

「今たどっているルートが、正しいものであってほしい」とする願望と、本能が発する、「そっちは違うぞ」という危険信号との、せめぎあい。
その結果、人はどうしても楽なほう、安易なほうに流されがちであるから、願望が勝ってしまう。
かくして道迷い遭難が起きる』。

だと思う。
まさしく、そうだと思う。
そして人生の迷い道も、こうして起こる…。
ありふれたつまんない意見だろうけど、そうだと思う。

いろいろな事件も、この、人の心の弱みが関係しているものが多い。
策略、謀略、作戦もここを考えて練られていると思う。
株やら投資で破滅する人も、内容としては同じようなことだと思う。

最後に、捜索にかかった費用が書かれている。
生還した方も、これが命の値段とはいえ、大変なことだと思いました。
いろんな意味でゾッとした本です。


魅力的なキャラクターてんこ盛り

作家の平井和正さん。
ずいぶん前になるけど、結構、読みました。
現代に生きる狼男・ウルフガイ、その名も犬神明が主人公。
狼男顔負けの現代の怪物相手に、犬神明は戦いを繰り広げる。

ウルフガイ、魅力的でしたよ。
かなり残酷で、どぎつい描写もありましたけど。
脇役たちも、魅力的。

やっぱりというか、予想通りというか、私が好きだったのは、虎娘の虎4。
犬神明が狼に変身するなら、虎4は虎に変身します。
ほっそり美しいが、獰猛で危険な虎。

最初に犬神明に怒った虎4は、犬神明と、年上の狼男の神明に攻撃をかける。
「もう許さない…」と言った虎4の顔に、隈取り模様が浮かぶ。
虎4の正体を知った神明は、迂闊だったと思う。
この娘には、人間離れしたところがあったのだ。

しかし、狼たちの絶妙なチームプレイの前に、強力な牙も爪も使うことなく絶命させられた。
しかし、狼男も虎娘も、満月の夜は不死身。
あっさり生き返った虎4は、犬神明に惚れぬいてしまう。

「あんな女のことは忘れなさい!」と明に言う虎4。
神明に「わかってないな~」と言われてる。
嫉妬深いが、一途。

「行かせないわ…」。
虎4に変身の兆候が現れる。
だが父親の虎1が「彼らを止めることはできないよ」と言う。
泣き顔になる虎4。

虎4、大好きだった。
ファンは多かったようです。
狼男より体力、戦闘能力が上を行く虎娘。
この凶暴なキャラに、どうしてこんなにファンが多いのかと、作者は不思議だったようですが、虎4はすごく私好みでした。

虎4を筆頭に、平井和正さんの生み出す女性キャラクターがまた、良い。
サイボーグお鷹、アンドロイドお雪、エスパーお蘭、読みました。
カドカワ映画にもなった「幻魔大戦」。

ウルフガイシリーズも、幻魔大戦も途中で読まなくなっちゃったんですけどね。
長くて。
ちょっと違って来たな~、と思うところもあって。
完結してるのでしょうか。

でも、平井和正さんはやはり思い出の作家さん。
おなくなりになられて、悲しい。
寂しい。

もう、あのキャラクターたちと新作では会えない。
平井和正さん、ありがとうございました。
御冥福をお祈りします。

遠藤周作著 「怪奇小説集 3つの幽霊」2つめ

2つ目の経験は、それから1年半後。
留学しているリヨンの町の、学生寮で経験した。
その寮は、昔は娼館だったらしいが、廃業後、学校が買い取り改造した。

1階は門番の老夫婦の部屋。
2階と3階が寮で、4階は元は女中部屋で、今は物置になっていた。
住んでいる学生は20数人だったが、クリスマスが近づくとみんな帰省してしまっていた。

冬のリヨンは霧が濃く、深く立ち込め、空はどんよりと曇り、ほとんど晴れの日がない。
午後4時ごろになると霧は街全体を包み、静まり返る。
クリスマス近く、この寮に残っているのは遠藤先生と門番夫婦だけだった。
もちろん、ほとんど交渉はないため、遠藤先生と門番夫婦と鍵は1つずつ持って出入りしていた。

4階建ての建物に、ほとんど1人しかいないというのは寂しいどころではない。
日本の密集した住宅とは違い、隣と隣は離れている。
廊下も部屋も静まり返り、自分の靴音だけが響く。

12月の22日の朝、遠藤先生は門番の夫婦の夫から、鍵をかけずに部屋に上ったと怒られた。
しかし遠藤先生は否定した。
神経質な遠藤先生は、何度もドアのノブを回して開いていないことを確認している。
だが門番夫婦は、ノン、扉は開いていたと言う。

「真夜中に階段を上がっていく足音がした」とも言う。
「何時ごろですか」。
「午前1時ごろだ。女房に時計を見てもらったから、間違いない」。

21日の夜がそんなだったので、22日の夜は遠藤先生は扉を何度も押して、開かないことを確かめた。
それから3階の部屋に戻り、本を読んだ。
いつもより霧が厚く、外を見ると街頭がぽつんぽつんと青くにじむように見えて、通りには誰もいなかった。
遠くで教会の鐘の音が聞こえる。

12時の鐘の音を聞いて、遠藤先生はベッドに入った。
異国で考えるのは、故郷のこと。
駅からの道、道端にある家、あんな家があった。
あの通りにはあんな店があった。

異国に1人でいる人間が考える回想。
寂しい回想。
その時、遠藤先生は足音を聞いた。

足音は階段をゆっくり上がってくる。
1階から2階へ、反響する足音。
足音が大きくなる。
3階に近づいてくるのだ。

遠藤先生は飛び起きた。
耳を済ませていると、足音は3階に上ると踊り場でしばらく消えていた。
だが今度は、4階に向かって上がっていく。

「誰ですか」と遠藤先生は声をかけた。
返事はなかった。
4階の物置部屋の戸が軋んで、閉まる音がした。

廊下に出た。
この時は遠藤先生は、浮浪者がねぐらを求めて入ってきたのだと思っていた。
誰もいない。

非常用のベルを押した。
門番がかけつけた。
「4階に誰かいる」。
階段の手すりから顔をのぞかせて、遠藤先生は叫んだ。

門番と遠藤先生は、建物の電気と言う電気をつけた。
さすがに建物内は、昼間のように明るくなる。
明るさに勇気をもらって、2人は4階に上がった。
物置の戸は、閉まっていた。

戸を開けると、かび臭い匂いがする。
物置の中には壊れたベッドや、マットレス、陶器があったが、猫の子1匹いなかった。
窓の隙間から、霧が入ってきていた。

玄関の扉を見たが、堅く閉ざされていた。
裏口も、他の窓も閉まっている。
ではあの足音はどこから始まり、どこに消えたのか。

その夜、門番夫婦は遠藤先生の隣の部屋に寝た。
遠藤先生はともかく、門番夫婦はひどくおびえたのだった。
そして足音はもう、二度としなかった。

学生たちがクリスマス休暇を終えて戻ってきた時、遠藤先生はこの話をしてみた。
「昔、ここの女中と恋仲だった男の死霊が、霧の夜に訪ねて来たんだぜ」。
したり顔で言う学生もいたが、もちろん、そんなことは作った話だ。

靴音を聞いたのは、遠藤先生と門番夫婦の3人だ。
幻聴とか、聞き間違いとは思えない。
あの学生寮には、こんな怪談ができて語り継がれているのかもしれない。
だがあのクリスマス近くに寮に現れた足音は、今もって理由がわからない。


冷えた空気。
どんよりした雲の下の、重苦しさ。
厚い霧の街。
まるでその中にいるような描写。

独りの寂しい異国のクリスマス。
そこでする回想が、リアル。
外国の夜、一人でするにはあまりに寂しい回想。
でもたぶん、そういう状況ではするであろう回想。

広い建物に響く靴音が、聞こえるよう。
静けさ。
足音の理由も、現れた場所も消えた理由も、2日だけで消えた理由も、わからない。
実話だから当たり前だけど、こういう不思議が一番不思議でリアリティがある気がする。

実は毎年あるけど、誰もいないからわからなかっただけ?
いや、だったら門番夫婦は知ってるか。
独りの雰囲気と夜の雰囲気が、怖さを増幅させます。

さて、2つの話はいずれもフランス。
だが最後、3つ目の話は日本で経験した話だ、ということで3つ目の話もあります。
これが同じ作家の人と一緒に、経験しているなかなか怖い話。

そして後日、遠藤先生はこの宿に再び、カメラマンと学生を連れて検証に泊まっているのです。
も~、さすが狐狸庵先生。
遠藤先生は幽霊屋敷に1泊して検証するという企画をやっていたようですが、これはその第1弾。

「夏のよき物語を、私たちは破壊してしまった」という結果に終わった話もあります。
しかしこの3つ目の幽霊話の検証は、最後にやっぱり「うわああああ」となっています。
他にもタイプを変えた「怖い」話が、何本も掲載されていました。
今読んでも、「うわあ…、怖いな」と思えた本で、年月が経っているのに怖いんですから、ほんとに怖い本だと思います。


遠藤周作著 「怪奇小説集 3つの幽霊」

もう、すごい前に読んだ遠藤周作先生の「怪奇小説集」という本。
引っ張り出して読んでみました。
あの頃はこわかったけど…となるかと思ったら、いや!
すごい怖い。

まず、最初の「3つの幽霊」が怖い。
これは遠藤先生の体験談。
遠藤先生がフランス留学した時の体験から、始まります。

学生の遠藤先生は、ルーアンを訪ねた。
理由は、ジャンヌ・ダルクが魔女として火炙りになった街、ルーアンを見たかったから。
遠藤先生は、粗末な料理屋に入る。
そこではルーアンの港で働く水夫が数人、トランプをしていた。

こういう小さな料理屋は、2階からワンルームの小さいホテルになっていることが多かった。
ここも同じで、遠藤先生は主人に部屋はあるかと聞いてみた。
すると、トランプに興じていた水夫たちが顔をこちらに向けた。

料理屋の主人が鍵を渡し、遠藤先生が2階に上がる。
水夫たちが何か言う。
その言葉がわかったなら、危険を察知できたかもしれない。
しかし当時の遠藤先生は、彼らの俗語が理解できるほどまでまだフランス語はできなかった。

遠藤先生が部屋に行ってみると、粗末なベッドに部屋備え付けのタンス、枕元に小さなタンスとその上に、はげちょろの水差しがあるだけの部屋だった。
窓があり、下は夏草が茂る空き地で、空き地の向こうは工場の灰色の塀。
ホテルは静まりかえっていて、他に泊まり客はいないようだった。

遠藤先生は下に降り、チーズとオムレツの食事をとった。
水夫たちは、チラチラこちらを見ている。
当時は珍しい、東洋人に対する好奇の視線だと、遠藤先生は思った。

食事の後、遠藤先生は部屋に帰った。
蒸し暑く、それでも遠藤先生は眠りについた。
数時間後、遠藤先生は息苦しくて目を覚ました。
何かに押さえつけられるような苦しさだった。

後に遠藤先生は、幽霊話で良く言う胸の苦しさは、これなんじゃないかと思った。
得体の知れない恐怖感に襲われ、遠藤先生は飛び起きた。
部屋に何かいる。

人間か動物か、わからない。
だがそれは、開け放しにした窓の外に立っていると思った。

遠藤先生は飛び起きて、灯りをつけた。
誰もいない。
タンスと、はげちょろの水差しがあるだけ。

灯りに誘われて、蛾が飛んできた。
蛾は遠藤先生の顔をかすめて飛び、また窓の外の闇の中に消えた。
窓に近寄ってみた。

その時、悪寒がひどくなった。
昼間の空き地の熱気が、工場の塀に当たって嫌な空気がこの部屋に入るのだろう。
遠藤先生は、そう思った。

夏の日差しが強い、朝になっていた。
帰る時、料理屋の主人は何も言わなかった。
水夫たちは、働きに出たのかいなかった。
外から空き地を見ると、夏草が茂り、その先に灰色の塀があった。

遠藤先生はパリに帰ってから、知人にルーアンは見たかと聞かれた。
なので、この不快な部屋の話もした。
すると知人は、そのホテルは新聞にも載ったホテルだと教えてくれた。

大戦時、ルーアンはアメリカ軍とドイツ軍が戦い、どちらにも空襲された。
あの空き地で、工場の労働者が多数死んだ。
以来、この辺りには不思議な話が聞かれるようになった。

怪談なんて、後からいろんな話がついてくるもの。
遠藤先生はそう言った。
だが、あの夜の不快な気持ちは甦って来た。
…これが、1つめの話です。

フランスの異邦人である遠藤先生。
暗いルーアンの、真っ暗な闇が感じられるような描写。
ゾッとさせる、得体の知れない気配。
さすが、引き込まれます。