人間なんてのは大体が嘘つきなんだよ 「暗闇仕留人」第24話

第24話、「嘘つきにて候」。


しじみ売りの少年・佐助は中村家でせんとりつに、「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれますよ」と叱られる。
ところが佐助は「この前抜かれた舌が、生えてきました」と言いのけ、せんに「子供の癖に末恐ろしい」と言われるような少年だった。
佐助のしじみを買ってくれる米問屋「備前屋」では、主人の大八が火事で焼け出された人々に食事を振る舞っている。

一生懸命働けば、お天道様は見ていてくれる。
必ず、報われる。
人間の本当の勇気は、人の為に何かができることだ。

その言葉を聞いた佐助は、大八に尊敬のまなざしを送る。
大八は先代の主人の妻のよねに、食事を運んでいく。
よねは気が触れたということで、座敷牢にいるのだった。

町で芝居小屋の為に絵を描いている貢は、大吉と外で飯を食っていた。
佐助が忠臣蔵の芝居の絵を見て、「ちぇっ。吉良の殿様はいい殿様なんだ。忠臣蔵の芝居は、でたらめだよ」と言う。
貢のところに来て、「ねえ、絵描きさん、あんた、嘘描くのかい?おいら、三州の生まれで知ってるんだ。吉良の殿様は良い殿様でね、赤穂の殿様はケチなんだよ!」と言う。

貢は笑って、「本当はそうだったかもしれないなあ。でも本当のことは本当のこと。芝居は芝居じゃないか」と言う。
描き直しなよと佐助は言うが、大吉も「固いこと言うんじゃねえよ」と笑った。
その時、数人のならず者に、若い女性が追われて来た。
女性は助けを求めるが、誰も助けない。

大吉に女性がしがみつくが、ヤクザ者は「余計なことするな」と言う。
佐助が「かわいそうじゃないか」とかばおうとするが、ヤクザに突き飛ばされ、足を強く打ってしまう。
女性はなおも逃げようとしてヤクザに捕まるが、貢も大吉も表立って目立ったことができず、見て見ぬ振りをするしかない。

その時、佐助の頭に、大八の「人間の勇気は…」という言葉が蘇った。
決心した佐助は天秤棒を持って、「やめろ!」とヤクザ者に向かって行った。
女性を逃がした佐助は、ヤクザ者に袋叩きにあう。
大吉が見ていられず、立ち上がった時、佐助は通りかかった大八に助けを求めた。

だが大八は無言で佐助を振り切ると、歩いていく。
佐助は叩きのめされてしまった。
貢が声をかけると、佐助はフラフラと立ち上がる。

大吉が「大丈夫か」と声をかける。
佐助は「大人なんて、大人なんて嘘つきだ!」と言って、絵に絵の具をぶちまけて壊す。
「嘘つきだ!嘘つきだ!」と言って、佐助は絵に絵の具をぶちまける。

その日、よねが食事を終えて、座敷に声をかけると、座敷牢の戸が開いた。
よねは牢から出ると町に出て「助けてくれ」と騒ぐが、大八が来て、「この女は気が触れている」とみんなに教える。
そして、やってきた十手持ちの虎松に袖の下を渡し、人を追い払わせると、佐助が来る。
大吉がそれを見ているが、虎松は佐助を殴って追い出す。

大吉が茶店で、おきんを見つける。
おきんに大吉が聞いたところによると、この虎松は十手は打ち出の小槌だと言い、十手をかさにきて金を巻き上げる男だと言う。
「あれは虎松ではなく、猫松だ」とおきんは言った。
大吉は佐助のことを心配していた。

主水が奉行所に戻ると、虎松が半年前の備前屋の、前の主人の殺しを調べ直していた。
備前屋を殺した犯人は、夜烏の三次という男で、この男は島抜けをしている。
虎松が再び備前屋に現れた時、表に佐助がいた。
佐助を覚えていた虎松は、追い払おうとする。

備前屋の人足の中に、三次がいた。
三次は虎松に「自分の話を聞いてくれ」、そして「手柄にするか、儲けにするか考えてくれ」と持ちかけた。
その夜、三次を連れて虎松が絵描きの留吉を訪ねて来た。
だが留吉は今、体を悪くして休養しており、代わりにいたのは貢だった。

虎松は、ならば貢でも良いと言って、人の顔を描いてもらいたいと言う。
そして三次を呼ぶ。
手ぬぐいを取った三次の顔を、貢は凝視する。

その翌日、佐助は備前屋に入ると、座敷牢まで踏み込み、しじみをばらまいた。
大八にもしじみをぶつけ、金はいらない、施しだと言って出て行く。
「ざまあみろ!」と言うと、「おいしそうなしじみだろう」と座敷牢のよねにも、大八にもぶつける。
奉公人に「なぜこんなことをするのか」と聞かれると佐吉は、「理由は旦那様に聞いてみろ」と言う。

その時、備前屋に虎松が来た。
佐助は虎松に自分を差し出しても良いと言うが、大八は「お前も気が済んだならお帰り」と言って、虎松に会いに行った。
あしらわれた佐助は、「ちぇっ」と言って見送った。

虎松は貢の描いた人相書きを手にしていた。
貢が描いたのは、この先代の主人殺しの三次だった。
この三次が島抜けして、大八に借りを返してもらおうと帰ってきていると虎松は言う。

三次の言う、借りとは何か。
実は先代の主人殺しは三次ではなく、本当は大八がやっていた。
三次は、このことをネタに、虎松と組んで、備前屋にたかろうというのだった。

その頃、よねの前で、佐助は「人間の本当の勇気とは、人様の為に何かできるということだ」と大声を出していた。
しじみをそっと回収しながら、よねは佐助の顔を見る。
虎松が大八に「よねに会いたい」と言った時、奥から大八を呼ぶ声がした。

すると、よねにしじみの殻剥きの小さな刃物を押し付けた佐助が現れ、「女将さんを返してほしかったら、大八が自分に頭を下げて詫びに来い」と叫ぶ。
虎松がどうしてほしいんだと聞くと、大八はとりあえず、よねを取り戻したいと言う。
それを聞いた虎松が、佐助の前に出る。

よねは「奉行所へ行きましょう」と言うが、佐助は大八に「出て来て謝れ!」と言って、しじみの殻剥きを振り回す。
「みんなの前で謝れ!」
やがて追い詰められた佐助は、自身番に立てこもった。

だがよねは、佐助から逃げたりしないと言う。
佐助は「女将さん、正気なんだね?気が触れてないんだね?」と驚く。
「初めから私と一緒に、奉行所に行ってればこんなことにならなかったのに」と言われると佐助は「大人は信用できない!」と答える。

自身番の前には、人が集まってきていた。
よねは佐助にはまだわからないだろうけど、「まじめ一方の番頭だった大八をあんな風にしてしまったのは、自分かもしれない」と言う。
大八はよねがほしいばかりに、備前屋の前の主人を殺したのだ。

佐助は「出て来い」という呼びかけに対して、大八が「一人だけで入って来い」と叫び、「大八の化けの皮をはがしたい」「それまでは出て行かない」と言い張る。
叫んでいる佐助の横で、よねは懐から小判を出し、佐助に「逃げて」と言った。
「逃げられるなら逃げて、幸せになってください」。
「女将さん…!」

見物人の中、貢もやってくる。
捕り方が大勢、やってきた。
それに感付いた虎松が、戸を破って入ってきた。

捕り方が来た脇を、佐助が逃げていく。
虎松は、「あの小僧ですよ」と捕り方たちに佐助が犯人だと教える。
自身番にいるよねに、大八が迫っていた。
大八は佐助が持っていた、しじみの殻剥きをよねから取り上げる。

貢と見物人たちが見ている前で、自身番から大八の泣き叫ぶ声が聞こえる。
よねに取りすがって、大八が泣いている。
「あの小僧、女将さんを殺しやがった」。

だが貢だけは何も言わず、ただ、眉をひそめて見ている。
同心がよねを殺した凶器であるしじみの殻剥きを取り、懐紙で血をぬぐう。
貢はますます、眉をひそめる。

その夜、町には捕り方が溢れた。
大吉の家に戻って来た貢が「おーい、石屋」と声をかけるが、中は暗いままだった。
すると、家に上がった貢の後ろから「灯りをつけるなよ!」と佐助が布団をはねのけて現れる。
「お前、三州の小僧だな」と、貢が冷静な声で言う。

「そんなこと、どうだっていいや!」
「お前、大変な騒ぎを起こしたな。外に出ないほうがいいぞ」。
そう言った時、大吉が鼻歌を歌いながら戻って来る。
佐助が、土間の作業部屋に走っていく。

人の気配に気づいた大吉が「誰だい」と声をかけると、貢が「ああ、私だよ」と答える。
「糸さんか、脅かすんじゃねえよ」と言って家に入った大吉に佐吉が「し、静かにしろ」と言う。
「なんだい、こりゃあ」。

「うん?例のしじみ売りの小僧さ」と、貢が笑う。
大吉も佐助を見て、「なぁんだ、おめえかぁ」と笑う。
灯りをつけようとした貢を見て、「つけるな。つけるとこいつの命ねえぞ」と大吉を刺す振りをして言うが、大吉は「ああ~、つけたってつけなくったって同じなんだよ」と笑う。
「おめえは、えれえことやりやがったなあ」。

灯りをつけている貢に、佐助は悲壮な声で「つけるな。つけるなよぉ~」と言う。
明るくなると佐助は「ひっ」と言って、顔を伏せる。
「おめえ、備前屋の女将さん、殺したんだってなあ」。
それを聞いた佐助は大吉を振り返って「ええっ?女将さんを?!」と言った。

「おいらが?」
「私ゃ、見たんだよ」と貢が言う。
「嘘だ!」
「嘘じゃない。女将さんはな、お前が持っていた殻剥きで刺されて死んでたんだよ」。

「おいらがやったんじゃない。おいらじゃないんだ。そんなはずないんだよ。だって女将さん、おいらに逃げろってお金までくれたんだよ」。
佐助は、よねに貰った金を見せる。
「しかし、備前屋と岡っ引きが踏み込んだ時、女将さん、もう死んでたんだぞ」。
だが佐助は「おいらがやったんじゃない。おいらじゃないんだよ」と言い張る。

「糸さんよ、あんた見たんだろう」と大吉が聞く。
「ああ」。
そう言うと貢は、佐助を見る。
「しかし、女将さんが殺されるところを見たわけじゃない」。

大吉は佐助に、なぜ、女将を自身番になど引き込んだのかと言うが、佐助は「そんなつもりじゃなかった」と言う。
人様の為に何かができる人こそ、勇気のある人だと大八は言ったのに、佐助が困っていた時、知らん顔をして行ってしまった。
貢も大吉も、それは見ていたはずだ。
大八は嘘つきだ。

「嘘をついたぐらいで、あんな大それたことをしたのか」と貢が言う。
「だって!」
貢は「人間なんてのはな、大体が嘘つきなんだよ」と言い、「人のことには関わりたくねえや!」と大吉は苛立つ。

その時、表からおきんの「よっ、八丁堀!」と言う声がする。
主水がずっと、大吉の家の表で話を聞いていたのだ。
佐助は怯えるが、主水が入ってきながら言う。
「小僧、外出るんじゃねえぜ。御用提灯がウロウロしてる」。

大吉は佐助が嘘ついてるとは思えない、何とかならないかと聞く。
しかし、虎松が見ていると言うし、証拠も揃っている。
佐助の無実を証明するのは、難しそうだ。
それを聞いて、佐助は大声で泣き始めた。

「おいら、もう、どうなってもいいや!でも…、おいら、何もしちゃいねえんだよ。おいらがあんなことしたばっかりに、女将さん死なちまった。おいら、おいら、申し訳なくて!」
しかし、佐助は本当にやっていない。
本当にやった奴を探し出してくださいと言って、佐助は頭を下げた。

佐助は主水によねがどこにいるか聞くと、主水は「自身番だ」と答えた。
「謝んなくっちゃ…」と言うと、佐助は「これ、置いてきます」と貰った小判を置いて外に出る。
主水がその包みを突付き、「4両へえってるぞ」と言った時、おきんが早くしないと佐助が捕まってしまうと叫んだ。
「おい、坊主!」と主水が追っていくが、佐助は「放っておいてくれよ」と走っていく。

佐助はその足で「女将さん、おいらだよ!」と言いながら、自身番に飛び込む。
主水が戻った時、自身番には虎松がいて、土間にはムシロをかけた佐助の遺体が置いてあった。
座敷にはよねの遺体と、寄り添う大八が座っていた。
虎松によると佐助は血迷って、今度は大八にまで向かって行ったのだと言う。

手こずったが、所詮は子供。
一発でぽっくりと、と、虎松は十手を拭きながら、「まあ、これも御上のご威光ってやつですかねえ」と言う。
佐助は十手で殴り殺されたのだ。
主水は黙って、ムシロを元に戻す。

大吉の家で、戻ってきた主水の話を聞いて、大吉はどうも佐助がやったとは思えないと言う。
その横で、貢は絵を描いている。
主水は大八がよねを殺す意味があるのかと、疑問に思っている。
貢が描いていたのは、虎松が連れてきた男の人相書きだった。

それを見た主水は、三次だと気づく。
全員が驚き、虎松と三次がグルだったことがわかる。
大八がよねを殺したわけが、これでわかった。

「そうか。あの小僧、誰もやったわけじゃねえんだな」。
「そうだろう、だから俺が言ってるじゃねえか!小僧の置いて行った銭だ!」
大吉が佐助の置いて行った小判を投げ出す。

さっそく、その夜、備前屋で部屋にいる大八の元に女中が、河岸の蔵に来てくれと言う人がいると知らせに来た。
これを見ればわかると言って、大八が渡されたのは、貢が描いた三次の人相書きだった。
虎松も三次に、大八が用があるからということで、河岸の蔵に呼び出されていた。
三次にかぶせた濡れ衣のことで、大八が金を出すのだと思った2人は笑っていた。

大八が蔵の鍵を開けていると、表で女が歌う声がする。
何かと思った大八が表を見に、ほんの少し、蔵の前を離れた時、貢と大吉が蔵に入る。
歌っていたのは、おきんだった。

大八を見ておきんが笑う。
おきんを見て、大八は蔵に戻り、暗い中に灯りをともす。
表で虎松が合図をすると、大八が蔵の中から戸を開けに行く。

虎松と三次が、蔵に入ってくる。
そして、大切な用とは何かと聞く。
大八の方が虎松と三次が、自分を呼び出した用は何かと聞く。
不審に思った大八が貢の描いた人相書きを見せると、虎松が自分が持っている人相書きを出して、同じものだと言う。

どうもおかしい。
だが今はそれより、金の話だと虎松と三次は言う。
三次に罪を着せて島送りにしたのだし、よねの殺しもある。
大八がいくら出すかと話をしている陰で、米俵に米を確かめる為の竹筒が差し込まれ、さらさらと米粒がこぼれ出す。

その音に大八が、気づく。
大八が金の話をごまかしているのかと思った虎松と三次だが、大量にこぼれ出した米粒の音に2人も気づく。
三次の後ろに、人影が映る。

「だ、誰かいやがるな」。
影が見えなくなる。
「誰もいるはずはない」と大八は言う。
しかし、三次と虎松は蔵の中を探しに行く。

米俵が積まれているだけで、蔵は静寂に包まれていた。
だが、三次の耳には、胡桃のすり合わせる音が響く。
しかし虎松が米粒がこぼれている俵を見つけ、三次に「これだよ」と声をかける。
一瞬、ビクッとした三次に虎松が「誰か細工しやがった奴がいるはずだな」と言う。

三次は匕首を手に、虎松は十手を手に、探し始める。
大八は座って竹筒を手に、2人を待っていた。
ピンという、貢が矢立の仕掛けを押す音がして、大八が顔を上げる。

匕首を手に、三次が進んでいく。
貢が突如現れ、三次をつかんで、大八の方に突き飛ばす。
大八が握っていた竹筒に、三次が刺される。

血に染まった竹筒を手に、大八が震え、竹筒を投げ出して逃げる。
大八が走ってきたところを、大吉が捕える。
目の前に迫る大吉の手を、必死になった大八が握って押さえる。

すると、グキリという音がして、大八の指が握りつぶされる。
目の前で胡桃が砕かれて、落ちて来る。
大吉が心臓をつかむ。

虎松は1人、蔵の中を進む。
ふと覗き込んだ先に、主水が歩いているのが見える。
驚いた虎松は、頭を引っ込める。

十手を持ったまま、歩いていくと、俵の陰に三次が倒れているのが見える。
虎松が駆け寄るが、三次が死んでいるのを見て、怯える。
貢の矢立の音がする。
虎松が、辺りを見回す。

そっと進んでいく虎松の前に、突然、貢が現れ、虎松の目に向かって矢立を振るう。
虎松が悲鳴をあげる。
貢が刃を収める。
目を押さえて虎松は走り、大八の死体につまづく。

手探りで大八の遺体と知った虎松は、声にならない悲鳴をあげながら戸口に走る。
必死に戸を開けようとしていた時、主水が虎松に近づく。
虎松の背中から、一気に刀を振り下ろす。
悲鳴をあげた虎松を、今度は正面から斬る。

仕事を終えた主水が振り返る。
貢がいる。
おきんが蔵の前を走っていく。

大吉は妙心尼に鐘がつきたいと言った。
その為に、1両持って来ていた。
主水が戻ると、せんとりつがツンツンしながら出て行く。

貢は再び、芝居小屋でかかる見世物の絵を描いていた。
鐘をつく大吉の手に、妙心尼が自分の手を添える。
2人は顔を見合わせ、笑って一緒に鐘をつく。



佐助に、すごく見覚えがありました。
すごく懐かしかった!
金子吉延さんですね。
「仮面の忍者 赤影」「河童の三平 妖怪大作戦」「どっこい大作」。

佐助、しじみ売りの少年、というより、まだ子供。
出かけていく主水に「旦那様、いってらっしゃいまし」と丁寧に挨拶するところがわざとらしくておかしい。
貢に芝居が嘘だと言って、描き直しなよと言うのでわかるけど、融通の利かないところがある。

しかし、部屋にしじみをばらまくぐらいなら、「こらー!」でお客さんを1人なくすだけだった。
何でよねを人質にしちゃったんだー!
ばかばかー。

だけど、佐助がよねに謝りに走るところは、純粋でかわいそう。
よねはもう、死んでいるのはわかったけど、佐助が殺されているのはショック。
どっこい大作が殺されてる~。

虎松役も、すごく懐かしい。
潮建志氏です。
「悪魔くん」のメフィスト、そして何と言っても「仮面ライダー」の地獄大使!

この人に似ている人を、私は知っている。
小学校の時、近くに住んでいた人だけど。
10年ほど前に小学校を訪ねたら、この人の家はまだあった!
その人はとっても気が弱い人だったけど、まだここに住んでいるんだろうかと思った。

貢と大吉が、芝居小屋の外で一緒にいるのが、個人的におもしろい。
よく一緒に遊んでるな~と。
佐助が街のヤクザにやられているのなんか、大吉は本来なら止めたかったと思います。
頭に来た佐助が「嘘つきだ!」と言って、貢の芝居小屋の絵をメチャクチャにするのを見た貢の「あちゃー」って顔がおかしい。

大吉の家に来た貢、暗い大吉の家を見て、「なんだ、『なりませぬ』の最中じゃないだろうな」って言う。
まじめな貢の言葉だからおかしい。
「あがるぞ!」と暗い中、上がりこんだ貢は散らかっていた茶碗につまづく。
「ああ~、汚ねえ奴だなあ」と言うのも、地味におかしい。

貢、それでも崩れた茶碗を元に戻していると、後ろから佐助が現れる。
それで、佐助をまともに扱わない貢。
さらに家にいるのが佐助だとわかると、「なーんだ」って感じの大吉。

そうだよね、当たりは柔らかくても、殺し屋なんだから、佐助が怖いわけはない。
佐助の話を聞いていると、おきんが来て、表で主水が聞いているのがわかるのも上手い。
「人間なんてのは大体が嘘つきなんだよ」と、貢が話す。
貢は頭がいいし、大人だから、そういうものも許容する懐の深さがある。

仕留め仕事では、蔵の中、佐助を追い詰めた男、殺した男を散々、怯えさせる仕留人たち。
さらさら、さらさら、米が流れる音が不気味。
ここのシーン、殺人鬼が潜む蔵で、エジキになる被害者のシーンに思えるほど、緊張感があって怖い。
まさに「暗闇」仕留人。

貢が手を下すのではなくて、三次は大八に刺される形になるのが意表をついてます。
意外にも、大吉の手を押し留めようと奮闘する大八。
でもその指が折れるから、すごい。

虎松が見ると、蔵の闇の中、主水がふっと見えて消えるのが不気味。
場違いなところに、場違いなものが見えるって怖い。
静寂の世界で、貢の矢立の、ピンという音が効果的。

いつ、どこから仕留人が来るか。
そして突如現れ、襲い掛かる貢が、虎松の目を封じる。
結構、残酷。

逃げる虎松が遺体につまづき、パニックを起こす。
そこを主水がバッサリ。
仕留めシーンは潮氏の動きがメインで、潮氏の演技がこのクライマックスを支えている。

最後におきんが、仕留めが終わった蔵の前を走って行く。
大吉が妙心尼に鐘をつきたいというと、妙心尼が何か勘違いして横たわるのがおかしい。
ちゃんと代金として、1両持ってくる大吉。
2人で鐘をついているのが、微笑ましい。

その鐘が響く中、せんとりつにツンツンされる主水が対照的に映る。
絵を描いている貢も映る。
佐助と、よねの供養になる鐘の音の中、ほのぼのして終わります。


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冷えてなきゃ、こんな稼業できやしねえ 「暗闇仕留人」第23話

第23話、「晴らして候」。


ある夜、大吉が深川で、女衒の和助を仕留める仕事を行った。
そっと相手の家を抜け出し、屋根の上を歩いて辺りを見回し、飛び降りる。
すると背後から1人の男が現れ、思わず大吉は右手を構えたところだった。

その男は大吉に気づくと軽く会釈して、屋台に寄った。
大吉が密かに後をつけると、屋台の親父は笑って男に「イイコが揃っているでしょ。そこの岡場所には」と言っていた。
夜が明け、その男は呉服屋の手代・佐吉で、与力の一家を殺した罪で、南町奉行所にお縄になった。
妹のおそのは、何かの間違いだと叫ぶ。

南町で佐吉は叩きの拷問を受けながら、同心・間宮は佐吉が与力・原の娘に懸想しており、手篭めにしようとしてついに原の一家を刺し殺すに至ったと責めた。
現場に佐吉の手ぬぐいが落ちており、返り血を浴びた着物を脱ぎ捨てた際に落としたのだと言われた。
だが、原一家を刺し殺した相手は今、間宮と共に佐吉を攻め立てている勘助であった。
佐吉は岡場所に行こうとしたが、途中で気が変わって引き返したのだと訴える。

その間宮は、湊屋郷右衛門と密談していた。
湊屋はいっそ、拷問で責め殺してはと言うが、与力殺しといえば人々の面前で処刑しなければ奉行所の面目が立たないと言う。
長引けばこちらが危うくなると言う湊屋に対して、間宮は望みを断てば良いと言った。
今、佐吉はいつかは無実とわかるという希望を持っている。

だから佐吉に絶望させ、嘘の自白をして楽になろうというように追い詰めれば良いのだ。
今、佐吉の無実を信じているのは妹のおそのだ。
佐吉の一縷の望みは、おそのだろう。
それを断てば良い。

なじみの飲み屋の主人が、通りかかった大吉に、深川の芸者が大吉を訪ねて来ていると言う。
深川の芸者と聞いて、デレデレとしてやってきた大吉だが、それはおそのだった。
大吉を見ておそのは、これで兄が救われると言った。

おそのの話を聞いた大吉は、飲み屋の外におそのを連れ出して、話を聞く。
先々月の晦日の夜、兄と出会ったことを白洲で言ってくれれば、兄の潔白が明らかになるとおそのは言う。
それで大吉はあの夜、出会った男が佐吉だと知る。
兄の佐吉は岡場所に行こうとして思い直して引き返し、その途中で大吉と会っているのだ。

佐吉は先ほど、大吉がいた飲み屋に仕事帰りに寄っていたが、そこでは大吉がいつもにぎやかに騒いでいた。
だから佐吉は大吉の顔を覚えていた。
その為、夜道でぶつかった時、大吉だとわかったのだ。
しかし、仕留め仕事の帰りだった大吉は名乗り出ることはできない。

大吉はおそのに、佐吉とぶつかった男は自分と似ているのかもしれないが、自分は深川に行ったことはない、それは人違いだと言う。
おそのの顔色が変わった。
先々月のことだから忘れているのでは?と言うおそのを振り切り、大吉は走って逃げた。

大吉が家に飛び帰ると、貢がいる。
思わず飲み干そうとして茶を噴いた大吉に、貢が何かあったのかと聞く。
大吉は女衒の和助を殺したことが、ばれると言った。

「女衒の和助?」
「弱ったなあ、こいつは」。
大吉は貢に先ほどの話をした。

「それで?おそのさんには何て言ったんだ?」
「もちろん、人違いだと突っぱねたよ」。
「そうか、それはよかった」。

これで佐吉は獄門か、磔だ。
「まあ、濡れ衣なんだから、いずれ晴れるんじゃないのか」。
「いや、晴れねえからこそ、一生懸命俺を探してたんじゃねえのか」。

飲み屋のオヤジにも口止めをしておこうと、貢に同意を求める。
絵に夢中になっている貢は返事をしなかったが、大吉が同意を求めているのに気づくと、「そうとわかったら、とっとと行けばいいじゃないか」と言う。
「けっ」と言って、大吉は出て行く。

しかし、大吉はすぐに気づいた。
大吉のほかに、佐吉を見た男がいる。
蕎麦屋の屋台のオヤジがいたではないか。

気づいた大吉が家に戻り、貢に明るく説明をすると、貢も「ああ、なるほどな」と言う。
大吉は蕎麦屋を探しに出て行く。
だが、蕎麦屋の伊三次は商売をやめて、引っ越していた。

夜が空けたら、伊三次の家はもぬけの殻になっていたらしい。
富くじが当たったということだったが、大吉に話した男は、そんなわけがないと言う。
そしてそういえば伊三次を訪ねて、若い女が来ていたとも言った。

翌日、町で大吉は、おそのの後をつける。
しかし、おそのの後をもう1人、目明しがつけているのに気づく。
伊三次を訪ねたおそのは、今は金貸しとなっている伊三次に体を強要された。
おそのは兄が牢から出たらと言うが、伊三次は先の話は当てにならないと言う。

兄の無実の証言の為、伊三次に迫られるおそのを、大吉は天井裏から見ていた。
頭に来た大吉は、その夜、家に戻ると徳利を蹴飛ばして怒った。
貢に「どこへ行くんだよ」と聞かれ、「決まってるじゃねえか!いちかばちか、俺ぁ奉行所に名乗って出る」と言う。

「あーあ」と呆れる貢に「俺は見ちまったんだぜ!兄貴を助けたい一念で、体を売った女を!」と言った。
しかし貢は「しかし、それで伊三次という男が商人になるって言うんなら、それでいいじゃないか。お前さんがそれ以上何、やることがあるんだい」と言う。
「それじゃ、おそのさんが、かわいそう過ぎるじゃねえか」。
おそのは伊三次が嫌で、必死に大吉を探したに違いない。

「もう済んだこったい!」
そう言うと、貢は矢立の刃を拭いていた手ぬぐいをたたきつける。
「かーっ、冷てえ男だな、おめえも!」

「ああ、冷てえさ。冷えてなきゃ、こんな稼業できやしねえんだよ!」と、貢が大吉に向かって矢立の針を突き出す。
大吉が黙る。
「お前だってわかっているはずだぜえ?俺たちにはなあ、人助けなんかできやしねえんだよ。そんなこと考えるのはな、それこそ身の程知らずってやつだい」。

「ぬ、抜かしやがって」。
「ああ、何とでも抜かしやがってやるぞ。おめえさんがわかるまではな!」
貢に口答えできなくなった大吉は、「ちくしょう、わかったよ!やめりゃあいいんだろ、やめりゃ!どうってことねえや!」と言った。

その夜、金貸しの伊三次の家から、勘助が出て行くのを見た大吉は伊三次の家に入る。
すると、伊三次は首を吊っていた。
おそでがやってきて大吉を見て「あなたさまは!」と言う。
「入っちゃいけねえよ」と大吉はおそでを連れて去っていく。

「そんな!」
「俺がこの目で見たんだ。間違いねえ」。
「どうして…、どうしてあたしたち、いつもこんな不幸なことばっかり…。せっかく明日、一緒に奉行所に行ってくれると言ったのに」。

今度のことはどうでも佐吉を下手人に仕立てないと、都合の悪い奴がいるのだろう。
伊三次が自殺などするわけない、殺されたのだ。
大吉はそれで誰か得をする奴がいないのか、佐吉はどんな罪で捕まったのかと、おそのに聞く。

おそでによると、兄の佐吉は与力の原のお嬢様には気に入られており、その為、佐吉は反物を持ってお屋敷にあがっていた。
でも佐吉は、小さい頃から虫も殺せず、からかわれていたぐらいなので人殺しなどできない。
だがどうしても大吉は、佐吉に会ったとは言えない。
他におそのに身よりはいないのかと、大吉は聞いた。

おそでが10歳の時、両親がいなくなって、16になったばかりの佐吉が、おそでの手を引いて江戸に来た。
それから2人は呉服問屋に奉公し、8年間懸命に働いた。
何一つ、悪いことなどしていない。
なのに店の者からも白い目で見られ、鬼の兄弟と言われて追い出されて、おそのは芸者となった。

佐吉の妹とわかると、どこも雇ってくれず、塩までまかれたこともある。
「誰もこの世の中で、味方になってくれる人などいません。誰も」。
おそでは涙をこぼして話すのを、大吉はただじっと黙って聞いていた。

翌日、大吉は主水に、南町の与力の間宮のことを聞いた。
主水によると、南町の切れ者だと言う。
貢から聞いていた主水は、大吉1人が殺されるならまだしも、自分たちまで巻き添えはごめんだと言った。
絶対に迷惑はかけないと言う大吉に、主水は「それならいいんだけどな」と言う。

「まかしておけって」と大吉は言うが、与力一家殺しは北町ではどう考えているのか。
主水は南町の知り合いに聞いたが、原はある抜け荷について調べていたらしい。
狙いはここ1、2年で急にのし上がった、海産物問屋の湊屋だ。
この主の郷右衛門が、なかなかしっぽを出さない。

どうも原が殺されたのは、この件ではないのか。
妻や娘まで殺したのは、目的がばれないようにだろう。
そして、間宮が郷右衛門の家に出入りしていたとなれば、どうなる?
郷右衛門と間宮がグルで、自分たちの罪を追う原を殺し、その罪を佐吉になすりつけようとしているのではないか。

「何だっていいんだよ」と大吉が立ち上がるが、主水が戸を閉める。
大吉が「何にもしやしねえよ」と笑うが、主水ににらまれて、おそのを付回していた目明しを捕まえれば、本当のことがわかると言った。
すると主水は十手を出して、大吉に押し付けると「ここ当分な、おめえを張らせてもらうぜ」と言った。

その頃、間宮は郷右衛門と、伊三次を殺したことと、大吉はどうも後ろ暗いところがあるらしく、逃げ回っていることなどを話していた。
おそのは絶望しているだろうが、間宮はあともう一押しが必要だと言う。
一方、大吉は妙心尼との逢引にも上の空だ。

どうもどっかから、義兄さんに見られているような気がする。
そんなわけはないと妙心尼が言った時、主水のクシャミが聞こえる。
背後の戸が開いて主水が見えると、妙心尼は気まずそうに大吉から離れる。

「こうなったら」と大吉は平然と妙心尼を抱き寄せるが、主水がいるのを知った妙心尼は「なりませぬ」と言う。
しかし大吉は妙心尼の耳元で、主水にナイショで行きたいところがあるから、このまま続けてくれと言う。
「なりませぬ!」と言う声に追いかけられながら、大吉は出て行く。

抜け出した大吉は、料亭の座敷に芸者のおそのを呼んだ。
おそのは大吉を見て驚いたが、頭を下げて座敷に入ってくる。
酌をしながら、大吉は、佐吉の無実を晴らすには、「本当の犯人を捜す以外に手はねえとと思うんだがな」と言った。
間宮が何かあるような気がすると言うと、おそのは「もういいんです」と言う。

「兄さんの身の証を立ててくれる人が見つかったんです」。
「本当か。どんな野郎だ」。
それは貸し本屋の直次郎で、明日の白洲で見たとおりのことを言ってくれると言った。

「その直次郎ってのは、信用おけるのかな」。
その時、その直次郎が入ってくる。
「直次郎さん!」

「おそのさん、この人ですね?」
「ええ」。
直次郎はしっかりした身なりを整えなおすと、大吉の前に座り「あなたは卑怯だ」と言った。

おそのの話を聞いたら、どう考えたって、佐吉にぶつかったのは大吉だ。
「人違いだ!」
大吉が直次郎に何を見たのか聞くと、同じ晩に岡場所から引き返す佐吉をはっきりと見たのだと言う。
直次郎は岡場所に何しに行ったと大吉が笑って聞くと、直次郎はキッパリと言う。

月の15日と晦日の日には、決まって必ず、お女郎さんたちに貸本を見せに行く。
だが先々月は翌日から上方へ新しい本の仕入れに行っていた為、事件を知らなかったのだと言う。
3日前に知って驚き、直次郎はおそのを探した。

佐吉も直次郎は知っている。
「今度こそ、きっと」と、おそのは言った。
「だけどよ、間宮って野郎は、相当の代物だぜ。気をつけねえと…、金貸しの伊三次の例もあることだしな」。
「このことを知っているのは、おそのさんとあなたと私だけです。あなたさえ、他所にもらさなければ」ち直次郎は言う。

「俺はしゃべりゃしねえよ!」
「それじゃ、大丈夫ですよ!」と言うと、直次郎はおそのに言った。
「おそのさん、佐吉さんは無実なんです。何もやっていない人が、もう三月も暗くてジメジメした牢の中で助けもなく、苦しんでいる。こんなバカなことがあって、たまりますか!」

おそのは目を伏せた。
「私は我慢できない」。
直次郎はおそのを見つめ「おそのさん、私は命なんか惜しくありませんよ。正しい者が負けるはずないじゃありませんか」。
おそのと直次郎は、大吉の前で見詰め合い、互いにうなづいた。

2人を見ていた大吉は居場所がなくなり、そっと立ち上がり、出て行く。
「おそのさん」。
「直次郎さん」。
大吉が出て行くと、2人はしっかり抱きしめあった。

翌朝、おそのと直次郎は白洲にいた。
おそのは、わずかに微笑んでいた。
佐吉が引き立てられてくる。
振り向いた佐吉を、おそのはしっかりとした視線で見つめた。

直次郎の名前が呼ばれた。
奉行から、先々月の晦日、深川の岡場所で佐吉を見たのかと聞かれ、「はい、確かにこの目で佐吉さんを見ました」と言う。
後ろで、おそのが見守っている。

「それはいつ頃か」と聞かれ、直次郎は「五つ半頃だったと思います」と答えた。
「思います?」と言われ、「五つ半でございます」と言い直す。
岡場所のどの辺りかと聞かれると、「はっ?」と言う。
「門の外で、ございます」。

「直次郎、お前、誰に頼まれた?」と間宮が言う。
「ええっ?」
白洲で偽りを申し立てれば、どうなるかと言われた直次郎は、直次郎が佐吉を見たという9月30日の翌日、つまり10月1日に直次郎を京で見たという者がいると言われる。

江戸から京までは、飛脚の足でも6日。
どうやって一晩で、直次郎は京までたどり着いたというのか。
後ろで聞いたおそのも驚く。
黙っていた直次郎だが、突然、「申し訳ございません!全部、でたらめでございます。本当はこの夏から佐吉さんには会っていませんのです」と言い出す。

「悪いのは私ではございません。ここにいるおそのです!」と直次郎はおそのを指差す。
「おそのさん、何か言ったらどうなんだ!何もかも、おそのがたくらんだことでございます!」
「何を言うの!」

「怖ろしい女だ。体で私を誘惑しておいて、根も葉もないことをお白洲で言うのは嫌だというと、やれ、家に火をつける、人殺しをした男を何人も知っていると夜叉のような顔で私を脅かすのでございます」。
これには佐吉が「嘘だ!妹はそんな女じゃない!」と叫んだ。
だが直次郎はなおも、「私だってまだ死にたくはない!殺されるぐらいならいっそ、佐吉に会ったと言った方が」と言う。

佐吉は直次郎に詰め寄ろうとして、おそのが悲鳴をあげる中、連行されて行った。
白洲で嘘を言った罪で、おそでも直次郎も縄をかけられた。
必死の訴えのおそのも、組み伏せられた。
連れて行かれる直次郎が鋭い目つきをしてうなづき、奉行の横に控えていた間宮がかすかにうなづいて合図をした。

その夜、牢の佐吉のところに間宮がやってきた。
間宮は、「おそのをかわいそうだとは思わないか」と言った。
本当ならそろそろ、好いた男と幸せになれる年頃だ。
だが今は女牢の中で、すすり泣いていることだろう。

しかし、おそのの罪は軽い。
佐吉さえ、素直になってくれれば、おそのの罪は見逃してやってもいい。
間宮はそう言うと、佐吉に「「どうだ、佐吉、白状するか?楽になれ。お前の苦しみはこのわしが一番良く知っている。さあ、楽になれ」と言った。
佐吉はむせび泣いた。

翌日、雨の中、ついに佐吉の処刑が行われた。
間宮が満足そうに見ていた。
主水が大吉に、佐吉が処刑されたことを告げに来た。
どうもおかしいと思ったら、昨日許可が下りて、今日すぐにこっそりと行われた。

直次郎はというと、おそのに脅されてやむを得ずということで、とっくに解き放しになっていた。
それを聞いて、貢も渋い顔をした。
「何もかもはめるつもりで企みやがったな」と大吉が言う。

間宮にとって、証人を作ることなどたやすい。
都合が悪ければ、握り潰す。
「おめえだってノコノコ出て行けば、今頃は…」と主水が言った時、物音がして、貢が制する。
目で「表だ」と合図する。

表の戸には目明しの勘助が張り付き、聞き耳を立てていた。
主水が刀に手をかけ、戸口に近づく。
雨戸に向かって、刀を刺し貫く。

勘助が張り付いている雨戸越しに倒れ、貢と大吉が勘助を運ぶ。
戸を閉める大吉の後ろから、おそのが現れる。
「おそのさん!」

おそのは中に入ると「あなたたちは、もしかしたら」と言う。
背中を向けたまま、主水が「もしかしたら、なんでえ」と聞く。
「お金を出せば、恨みを晴らしてくれると…?」

3人が顔を見合わせる。
おそのが金を出す。
「ここにお金があります。これで兄さんの仇を。頼みます。頼みます」。

おそのは大吉に向かって金を出し、貢に、主水に両手を合わせる。
「わかったぜ、おそのさん」。
大吉が4両を持ってそう言うと、おそのは泣きながら笑顔になった。

雨が上がり、直次郎が、湊屋も間宮も喜んでいるとひとりごちた。
その時、直次郎は外の物音に気づいて「どなたですか」と声をかける。
障子に影が映り、貢が「湊屋さんの紹介で参ったんですが」と答える。

「湊屋さん?」
「私、ちょっと趣向の変わった絵が描けるんですがね。こちらで雇ってもらえると聞いたもんで」。
「ほお?」
「何ならここで、ためしに描かせてもらえませんか?」と貢が言うので、直次郎は横柄に「そうかい。それならちょっと描いてもらおうか」と直次郎は貢を招きいれた。

貢が矢立を手に、筆を取り出し、おもむろに直次郎の前で描き始める。
直次郎が貢の持って来た絵を見て、「なかなか良く描けているね」と感心する。
貢の描いている絵が、女の顔になっていく。

ちらりと貢が、直次郎を見る。
描いている絵に髪を描き、唇に紅を入れる。
おそのの顔が浮かぶ。

直次郎が絵を取り上げ、「おそのに似ている…」と凝視する。
貢が筆を矢立に仕舞う。
直次郎が、絵を目の前に近づけて見ていく。

貢が矢立の針を、絵に押し付ける。
絵のおそのの額を貫いて、針が直次郎の額に刺さる。
おそのの額から、血のついた刃が下がる。

貢が睨む中、おそのの絵を額に押し付けたまま、直次郎が倒れる。
直次郎はおそのの絵の上で、死んでいるのを、貢が見下ろす。
刃を収め、矢立を懐に入れる。

湊屋では、間宮が郷右衛門と飲んでいた。
明日、また抜け荷の船が来るという。
そこに直次郎のところから絵を持って来た男が来たと言って、使用人が来る。
湊屋が、間宮が気に入るような絵を持って来させる約束だったらしい。

通されてきたのは、貢だった。
貢は湊屋に絵を見せ、ふと天井を見上げる。
天井の板が外れ、大吉が顔をのぞかせる。

2人は貢の持って来た絵を見ているが、最後に女の顔の絵が出てくる。
おそのの絵だった。
額に赤く、点がついている。
「おその」と間宮が言う。

「何?おその?」と湊屋が絵を見る。
「何かその絵が?」と貢が聞き、ちらりと間宮を見る。
間宮の顔が歪む。
貢を見て、「きさまぁ」と言って立ち上がる。

刀を抜いた間宮を見て、貢が「何をなさいます」と驚く。
「何奴!」
その時、胡桃をすり合わせる音がする。
間宮が気づいて、後ろを向く。

貢がすばやく間宮に近寄り、矢立を開く。
矢立から出た刃が、間宮の首筋に刺さる。
間宮が目を見開き、固まる。
貢が矢立を抜く。

突然、目の前で倒れた間宮を見て、不思議そうにしていた湊屋が仰天する。
這うように進み、置いてあった刀を抜く。
貢が矢立を構えている。

湊屋の背後で、大吉が胡桃を砕く。
その音に振り向き、大吉のほうを見た湊屋の正面の鎧の、首の部分から大吉の手が出てくる。
大吉は湊屋の心臓をつかむ。

湊屋が倒れ、大吉が睨む。
貢が矢立を仕舞い、絵を持つ。
大吉が湊屋から刀を取り、もとの場所に収める。

酔客を連れて、おそのが出会い茶屋の前にいる。
男が「部屋空いてるかい」と、茶屋に声をかけに中に入る。
おそのが先の暗闇を見ていると、貢が歩いてくるのが見える。

光に照らされて、貢がおそのを見るが、すぐに目を伏せる。
貢はただ、酔客の間を歩いて進む。
おそのが、目で追う。

もう一度、おそのが先の暗闇を見ると、今度は大吉が歩いてくる。
おそのと大吉が、見詰め合う。
大吉が止まり、おそのを見つめる。
わずかにうなづいたように、見える。

おそのもかすかに、唇に笑みを浮かべたように見える。
大吉は去っていく。
「おそのちゃん」と男が声をかける。

「はいはい」とおそのが笑いながら、男についていく。
その顔は、晴れ晴れとしている。
大吉はおそのの声を聞きながら、1人、暗い道を歩いていく。
貢が暗闇に消えて行き、大吉が後に続く。



冒頭、大吉が仕留めた相手が小判を撒き散らして絶命。
一瞬拾おうとした大吉。
ハッとして、「冥土まで持っていきやがれ!」と言って置いて行く。

いつも感心するんですが、どれほどお金があっても「必殺」の殺し屋さんたちはほとんどが頼み料以外には手をつけない。
「仕置人」で一度、鉄が金座の仕置きをした時、拾ってましたけど。
人の血がしみこんでる金ということもあるだろうし、ただの物取りじゃないということですね。

捕えられた佐吉が、拷問を受ける。
間宮が佐吉に自白を迫り、犯行の様子が語られる。
犯行が再現される。

赤い、血のような画面。
与力の娘、妻、そして与力が殺される。
しかし、「仕掛人」の音楽終了と共に振り向いた男が、佐吉じゃない。

それは目明しの勘助。
勘助が恐怖におののきながらも、手についた血をぬぐう。
ここで見ているほうには、佐吉の無実がわかり、犯人は勘助だとわかる。
うまい。

妹のおそのは、大谷直子さん。
おそのと一瞬、いい仲になりそうだった直次郎は石山律雄さん。
こちらも2度目の登場。

しかし今回は、人が良さそうで実直そうなのを逆手に取った。
これは誰でも騙されると思わせるキャスティング。
石山さんはそんな悪役を、たまにやってくれて、そういう時は本当にたちが悪くて怖い。

おそのを心配してきた大吉だけど、直次郎と言う誠実そうな証人を得たおそのは、冷たい目を大吉に向ける。
そして、おそのと直次郎の惚れあった感じに、大吉は当てられて出て行く。
この一晩のおそのは、本当に幸せだったんだろう。
翌日のお白洲で、おそのの顔が充実している。

しかし、奉行というか、奉行に入れ知恵した間宮の追及で、たちまち証言を翻し、おそのを罵倒する。
そこで、「妹はそんな女じゃない!」と怒る佐吉。
2人きりで頑張って来たという、兄妹の絆の深さがうかがえる。

今回も相変わらず貢が、大吉の家にいる。
それで、口調がさらに砕けている。
おそのに証言してくれと迫られ、あわてて振り切って家に戻った大吉が、やかんから直接茶を飲んで、すぐに噴いてしまう。
すると貢、「汚ねえ奴だなあ。 何だやばいことでもあったのかい」と言う。

さらに屋台の蕎麦屋のオヤジのことを思い出して、さっそくそのオヤジを探しに行く大吉に、「出たり入ったり忙しい奴だな、まったく」と言っている。
ところが出て行ってすぐに引き返してきた大吉、座敷にいる貢に、「おい、その飲み食いした分、ちゃんと銭置いてけよ!ここは俺んちだからな!」と言う。
ごもっとも。

しかし、貢、「ってやがんでえ、するめの足しかねえじゃねえか」と、するめを手にして言う。
かつての貢さんには、考えられない口調。
貢が大吉が訴え出ると言った時、貢は何をしているかと思ったら、矢立の手入れをしてるんですね。
分解掃除?

名乗り出ると言った大吉を諭している間、貢は矢立を磨いているんですね。
「かーっ、冷てえ男だな、おめえも!」と怒った大吉に「ああ、冷てえさ!冷えてなきゃ、こんな稼業できやしねえんだよ!」と言う。
そして、針を大吉に向ける。

最初の頃、仕留め稼業に、自分なりの理想と正義感を持って、かろうじて罪悪感を紛らわしていた貢。
それが「冷えている」と言う。
「俺たちには、人助けなんかできやしねえんだよ。そんなこと考えるのはな、それこそ身の程知らずってやつだ」という言葉は、貢が仕留めの経験で得たところから来た言葉か。

あやさんがいる時は、こういった口のききかたはしなかった。
こんな態度は、しなかったと思う。
そして、大吉に説教して、また針を磨き始める。
身も心も裏稼業に染まったように見える貢。

おそのが来た時、貢がくすんだ黄色っぽい、縞模様の着物を着ている。
珍しい。
貢のイメージって、青なんです。
でもこれも以前の貢なら考えられない服装。

この後、おそのの身の上を聞いた大吉が、今度は家で主水と火鉢に当たりながらするめを食べている。
今回は、するめばっかり?
大吉がおそのをかわいそうに思ってしまって、奉行所に行きそうなので主水も見張る。

そこで主水は、妙心尼のところにまで行っている。
お義兄さまがいるわけがないと言う妙心尼と大吉とがイチャつきはじめると、主水はクシャミで存在アピール。
しかも鼻をかむ紙を大吉に貰って、「遠慮なく、続けてくれ」と言って出て行かれても妙心尼だって困る。
情けなさそうな妙心さん。

主水の殺しは、勘助。
おそのが大吉の家に入ってくると、主水は背を向けている。
おそのに手を合わせられ、冷たいことを言っていた貢が気まずそう。
主水の殺しから、おそのが頼むまで「旅愁」が流れる。

直次郎を訪ねた貢が、絵を描き始める前に、おもむろに矢立を取り出す。
ピン、という音が響く。
緊張感。

ちらりと直次郎が見た貢の持って来た絵は、どうも責め絵らしい。
うーん、皆さん、責め絵、お好きですね!
貢の描いている絵が、女の顔になっていき、直次郎が絵を取り上げ、「おそのに似ている…」と凝視する。

筆が矢立に仕舞われ、ピン!という音がする。
針がおそのの額を貫いて、それを見ている直次郎の額に刺さるスピーディーさ。
はっきり、女の恨みだと言っているよう。
おそのの額から、血のついた刃が下がって、絵のおそのの額に血の点がつく演出もすごい。

主水が殺した目明しを貢と大吉がすっと運んだり、貢が天井を見上げると大吉がいたり、仕留め3兄弟の息がピッタリ。
湊屋で、おそのの絵の額に赤く点がついているのが怖い。
刀を抜いた間宮を見た貢が「何をなさいます」と言う口調が、とっても驚きに満ちていて、礼儀正しい。

間宮が胡桃の音で後ろを向くと、貢が矢立を首筋に押し付けてピンと開くと針が出てくる。
針が深々と、間宮の首筋に刺さる。
この動きが、とってもスピーディー。

湊屋の正面の鎧の、首の部分から大吉の手が出てくるのもすごい。
間宮が主水じゃなくて、貢なのも意外。
後の主水のシリーズなら、ここは絶対主水でしょう。

仕留めが終わった後、酔客の相手をしているおそのの前に貢が現れるのが良い。
暗闇から現れて、ちらりとおそのを見る。
仕事の完了をさりげなく、知らせている演出。
そして、助けてやれなくてすまないと思っているのかもしれない。

その後、大吉が歩いて来る。
おそのと大吉が、見詰め合う。
大吉のかすかな表情。
おそのの唇も、かすかに笑うような、笑わないような、微妙な動き。

貢にも大吉にもセリフはない。
でも、互いに言いたいことが通じ合う。
石坂浩二さん、近藤洋介さん、大谷直子さんの無言の演技がすばらしい。
寂しげな、でも暖かそうなハーモニカの音楽が流れる。

おそのがどういう境遇に落ちたのかは、言わなくてもわかる。
だけど、恨みは晴れた。
おそのはこれで、生きていけるんだ。
強い女だ。

そんな思いがするほど、おそのの最後の表情は晴れやか。
貢と大吉が、暗い道を歩いていく。
やがて闇の中に消えていくのが、闇の仕留人として象徴的。
しかし、この後、貢は大吉の家に泊まっちゃうっぽいですね。


あんな悪党、生かしておきません 「暗闇仕留め人」第21話

第22話、「怖れて候」。
ホラー並み。
ジェイソンかと思うくらい、怖い男が出て来ます。


秩父の山奥まで墓石の買い付けに来た大吉は、駕籠屋と競争しながら道を行く。
駕籠に乗っていたのは材木問屋「檜屋」の主人・喜三郎だった。
大吉が見ている目の前で、喜三郎はこれ以上山奥にはいけないと言われ、歩いて自分の店の材木の伐採場所まで行った。
喜三郎は、娘の櫛が上流から流れてきたと人足たちから聞いてやってきたのだ。

その頃、金を採掘しに来た3人組の首領・熊蔵から隙を見て逃げ出した娘のちよと喜三郎は、偶然出会った。
大吉を見つけた喜三郎は、大吉の引いている車にぐったりしたちよと、ちよの抱いている子供を乗せてくれるよう頼む。
ちよを預けた人足たちは、ちよを攫った熊蔵を探しに行く。

大吉は座ってタバコを吸っていたのだが、間もなく1人の男が大吉の前で背中に手斧を刺されて死んだ。
驚いた大吉が見に行くと、熊蔵を探しに行った者たちは1人残らず、手斧を打ち込まれて殺されていた。
ふもとの町まで降りた大吉に、喜三郎は引き続き、江戸まで連れて行ってくれと頼む。
大吉は代官所に行けば良いと言うが、こんなところに代官所はないし、第一、山の奥のことまでは関知しないだろう。

熊蔵は虎次と丑松という男たちとともにいたが、丑松はちよなど放っておいて、お上の目をかいくぐって掘った金を使おうと言う。
その途端、熊蔵は丑松を刺し殺した。
丑松の背中を通って、刃が戸を貫くほどの力だった。
仰天した虎次は、熊蔵が江戸に行ってちよを連れ帰るまで待っていると約束した。

喜三郎は奉行所に駆け込み、熊蔵がちよを取り戻しに来ると訴えた。
だが、奉行所は忙しいので、わけのわからない仕事はやりたくないと主水を寄越した。
主水が檜屋に行くと、ちよは黙り込み、喜三郎と喜三郎の死んだ女房の弟で、店のことを任せている儀助が応対に出た。

喜三郎の話はこうだった。
3年前、ちよに婿養子を取り、夫の仕事を知らなければ良い女将にはなれないと言って、婿養子と一緒に材木の買い付けに行かせた。
そこでちよの夫は熊蔵に殺され、ちよは熊蔵にさらわれたのだ。

ちよの抱いている子供の三吉は熊蔵の子供ではなく、夫の子供だ。
だが熊蔵はちよと暮らしているうち、いよいよ、三吉が邪魔になってきた。
ちよは三吉を殺されるくらいなら、山で一緒に死んだほうがましだと思い、逃げてきたのだ。

喜三郎は、奉行所に守ってほしいと頼む。
主水はそんな山奥に引っ込んでいる悪党なら、何かやましいことがあるに違いないと言う。
だから、山に逃げ込んでいたはずだ。
それがノコノコ、江戸に来るとは思えないが、気が休まるというのなら、奉行所とは別に、内密で主水が用心棒を用意すると言った。

話を終えた主水が夕焼けの中、大吉の家に行くと、貢が鍋を作っていた。
「やあ、どうしました。そんな冴えない顔をして」。
「今夜、寝ずの張り番、頼まれてな」。

その頃、大吉は浮気の疑惑をかけられ、妙心尼に責められていた。
しかし、大吉が秩父での事情を話すと妙心尼は、檜屋の先代の女将の墓がこの寺にあると言う。
妙心尼によると、若夫婦がいたが、夫は若いのに死んでしまい、若女将は2年前に行方不明になっていたということだった。
だから大吉がその若女将を見つけて連れてきたのだと言うと、妙心尼の誤解はやっと解けた。

大吉の家で、主水と貢と、寺から帰ってきた大吉が鍋を囲む。
主水は大吉が3両も貰ったのに、自分は寝ずの番で、一文にもならないと愚痴る。
「当然じゃないか、八丁堀は仕事なんだからさあ」と貢が言うが、大吉は「この3両は貰いすぎだと思う」と言った。

よほど、娘が帰ってきたのがうれしかったのか。
はたまた、怖ろしかったのか。
主水が暇なら化け物見物に来ないかと誘うが、主水は来ないと思っていた。

その夜、主水は檜屋の縁側で見張りをしていた。
夜半、うとうととした主水だが、喜三郎もちよも、儀助も一睡もできずに起きていた。
パキン、という音がして、緊張が走るが、主水が冷えたので厠を貸してくれと入ってきた。
何事もなく、夜が明けた。

取り越し苦労と言って主水は帰るが、喜三郎は今夜もお願いしたいと言う。
主水はあくまで、何もいただかずに好意で行ったことだと言って、何かあれば奉行所に来てくれと言う。
だが、ちよは熊蔵は必ず来ると断言する。

喜三郎は思いあまって、店の金子を持ち出そうとしていた。
2年前から店のことは全て預かっているという儀助が止めようとするが、喜三郎はこの金でちよを守る人を探すのだと言う。
理由を聞いた儀助は、それならと言う。

ちよは、たった一人の姪だし、自分はちよがいなくなってから体調を崩した喜三郎に代わって、仮に店を預かっているだけだ。
みんなで助け合って行こうと言う儀助に、ちよも喜三郎も涙する。
ちよは自分のことを「帰ってこなければ良かったのでは」と言うが、喜三郎はちよをもう、誰にも渡さないと決心していた。

喜三郎は道場から用心棒の武士を2名雇ったが、その夜、手斧や小刀が用心棒の目の前に打ち込まれる。
用心棒が外に出るが、夜の闇の中、相手の姿が見えない。
だが相手は確実に、自分たちに向かって刃物を打ち込んでくる。

闇の中にいて出てこないのでは、自分たちの腕も役に立たないと言って、用心棒は儀助に金を返した。
喜三郎は頼み込むが、用心棒は出て行ってしまう。
打ち込まれた手斧を取り、喜三郎は表に出て、「ちよは誰にも渡さない。出て来い、熊蔵!」と叫ぶ。

奥の部屋では赤ん坊の三吉が泣いていると、かけていたちよの着物が落ちる。
何にもいないことを確かめたちよが、ホッとした時、「わしからは逃げられねえんだ」と熊蔵の声がする。
「例え、地獄の果てまで逃げようとも、必ず連れ戻すと言っておいたはず。どんな手ぇ使っても誰もわしを捕まえたり、殺したりできん。山へ帰れ。1人でな。これ以上、手をかけさせるとそのガキも親父も叩き殺してやる」。

ちよが立ち上がり、背後の戸を凝視する。
「大人しく江戸を離れるんだ。いいか、あすび谷の小屋で待ってるからな。このことをしゃべったら、聞いた野郎が殺されることになる。いつでもお前を見張ってるからな」。
背後の戸が開き、熊蔵の顔が見えた。

喜三郎は「出て来い、熊蔵!」と叫んで、店の外で座り込んでしまい、儀助が運んでいた。
儀助は固い表情で座っているちよを見ると、儀助は喜三郎は気が張り詰めて倒れてしまったのだろうと、医者を呼んでくると言い、出て行く。
ちよは自分の為にと言って、泣いた。

儀助は外に出ると、「いるんだろう?」とささやいた。
「いるんだろう?儀助だよ」。
すると、背後からいきなり、熊蔵が現れた。

「よう、しばらくだな」。
儀助は熊蔵の口を押さえると、「約束が違うじゃないか!」と言った。
儀助と熊蔵の話からすると、人を殺して檜屋の木場に逃げ込んだ熊蔵を見逃す代わりに、儀助はちよの夫を殺してもらった。

そして、檜屋を乗っ取ったのだ。
儀助が店を手に入れたなら、熊蔵がちよを手に入れて何が悪い。
ちよを手に入れたら、もう2度と顔を見せないと熊蔵は言う。
「そう願いたいよ」と儀助は言った。

貢が居候している茶屋で、1人の女が腹を立てながら人を待っていた。
女将は留守で、女は貢に目を留める。
「あんた、いい男ね。ここの旦那?」
「いや、とんでもない」。

「あたし、乗り換えようかしら」と女は言う。
「そんなこと言って、旦那に叱られますよ」と貢が言うと、女は「ちょっと聞いてくださいよ!」と愚痴をこぼす。
女によると、男が自分を嫁にしてやると約束したのに、もう2年も放置しているらしい。
「もっとも、深川の檜屋へは、あたしのような水茶屋女が、そう簡単には入れるとは思ってませんでしたけどね!」上

女の言葉に、貢の筆を持つ手が止まる。
その時、女の待ち人がやってきたと女将が知らせに来る。
貢が立ち上がり、出て行く。
先ほどの女が会っていたのは、儀助だった。

本当の娘が戻ってきたなら、儀助、そして自分はどうなるのだとなじる女に儀助は「心配するなよ。ちよはほどなく、この江戸から出て行く」と言って酒を飲み干した。「熊蔵と言うならず者が連れて行き、2度と帰ってこない。おいぼれの方がそれを苦にしてあの世に行くのは、そう遠くはない。そうなりゃ、お前、誰に遠慮がいるもんかい」。
女は「うれしい」と儀助に抱きついた。
その話を、廊下に立っている貢は聞いていた。

翌朝、ちよが三吉を連れて店を出てしまい、喜三郎がちよの名を呼びながら外に出て行く。
儀助が、ちよは自分が必ず探して来るからと、喜三郎を店に連れ戻す。
三吉を抱いて寺に向かうちよの姿を、目を覚まして家の戸を開けて外に出た大吉が目撃する。
ちよは檜屋の墓に参りながら、自分の行く場所はないと、母親の側に行かせてくださいと言った。

眠っている三吉の首に手をかけた時、墓石の影から見ていた大吉が走ってくる。
その時、三吉が目を覚ます。
思わずちよは三吉の首から手を離すと三吉を抱きしめて、「許して」と泣き始めた。
墓を清めに来た妙心尼の前に、大吉が来る。

その後、墓の前にいるちよに妙心尼が声をかける。
妙心尼を見たちよは、激しく泣き始める。
「おかわいそうに…。さあ、参りましょう」。

妙心尼は三吉をあやしていると、ちよは何事か決心する。
喜三郎は大吉に連れられ、寺にやってくるが、喜三郎は階段で「ちよに会えない。私が何をしてやれましょう。何をしてやることもできないんです」と立ち止まってしまう。
「ちよを、私たちをこんな目にあわせた奴が憎い。なぜ、こんな目にあわなきゃならないんだ。何を私たちが悪いことをしたというんでしょう」。

そして、大吉の袖をつかんで、誰でも良い、婿の恨みを晴らしてほしい。
ちよを苦しめる奴を殺してほしいと言った。
「今はこれだけしかありませんが」と言って、2両を出すと、「たとえ50両、100両とかかろうと、自分も商人です。金で恨みを晴らさせてもらいます」と大吉に2両を握らせた。
「お願いします。私に力を貸してくださる方を、お探しください」。

ちよが妙心尼に連れられて、外に出てくる。
喜三郎と会っているところを、儀助がのぞいている。
「私の戻るところはもう、熊蔵のところしかありません」と言う。

だが喜三郎はちよを置いて、安楽に暮らせることはないと断る。
ちよは夕べ、熊蔵がやってきた、もう逃れることはできないと言って、三吉を喜三郎に託す。
妙心尼は思わず、もらい泣きをしてしまう。

その足で妙心尼は大吉の元に行き、「人が殺され、死ぬほどの苦しみを受けているのに助けてやることができない。そんなこと許されていいんですか」と訴える。
しょうがないと言う大吉に「こちの人のご返事はそれですか。なんと情けない」と言うと、「わたくしが男にうまれていたら、あんな悪党、生かしておきません!」と言って去る。
首をかしげながら、大吉が戸を開けると、座敷には主水と貢がいる。

主水が「おい、仏に仕える身としては、少々乱暴な言葉だったな」と言う。
貢が火鉢で手をかざしている。
大吉がやってきて、「俺の腹はもう、決まってんだがな」と言った。

そして自分は先に3両貰っているからと、先ほど、喜三郎に渡された2両を投げ出す。
主水に「おめえ、どうする?」と聞かれた貢は「私は一緒には行かれないよ。江戸に仕事が残ってるんだ」と言って立ち上がった。
「仕事?」
「ああ、危うく大悪を見落とすところだった。檜屋の儀助な、熊蔵と繋がってることがわかった」。

そう言いながら、貢は笠をかぶる。
「熊蔵と儀助か!」
「そうか」と主水は1両受け取り、「石屋、気をつけて行けよ」と言う。
大吉がうなづく。

ちよが江戸を離れていく。
喜三郎が三吉を抱きながら、人気のない町はずれまで見送る。
その後を儀助が、ついていく。

儀助の手には布に包まれていたが、手斧があった。
だがふと、儀助が立ち止まる。
行く手に貢がいて、絵を描いていたからだ。

儀助は顔をそむけると、貢のいる方向に歩いて行く。
すれ違う時、貢が描いている絵をチラリと見た儀助は、驚いて貢の顔を見る。
貢が描いているのは、自分の似顔絵だったからだ。

矢立を口にくわえ、絵を描く貢を通り過ぎた儀助は見つめる。
後ろを振り返りながら進み、人気のない寺まで来ると喜三郎の後ろに忍び寄ろうとした。
縁側に上がった儀助の前に、貢が座って絵を描いていた。
儀助はギョッとした。

絵には、手斧が描かれていた。
儀助は焦りながら、縁側を降りていく。
貢がチラリと、儀助を見送る。

建物の陰に見えなくなった喜三郎と三吉の後を、儀助が走って追っていく。
だが、すぐに手に手斧を持った儀助が後ろに下がって来る。
行く手に貢がいたからだ。

絵を描いていた貢が、ふと、近づいてくる。
儀助は怯え、手斧を手に襲い掛かってきた。
貢は儀助を抑えると、額に矢立を押し付ける。

矢立の仕掛けが開き、儀助に張りが刺さる。
儀助は座ったまま、息絶えていた。
その少し離れた先に、何も知らない喜三郎と三吉がいた。

山道に向かう茶店で団子を食べながら、大吉はちよを待っていた。
ちよの姿を見た大吉は、ちよの後を追う。
どんどん、ちよは山奥に、獣道に入っていく。
大吉が、ちよを見ている。

ふと、ちよの鼻緒が切れる。
ちよが座り、鼻緒を直す。
大吉がちよを見ながら、小屋に気づく。
小屋には、人のいる気配があった。

大吉が小屋に踏み込む。
頭上に人影があった。
大吉目掛けて、人が降りてくる。
虎次だった。

大吉は虎次の心臓をつかみ、虎次を仕留める。
小屋に入ってきたちよの口を塞ぐと、ちよは大吉を見て「あなたが、どうしてここへ?」と聞く。
「あんたのお父っつあんに頼まれましてね」。
「父に!」

「さあ、そこの隅でじっとしてんだぜ!」
大吉は、胡桃をすり合わせる。
戸が開き、熊蔵が入ってくる。
大吉は熊蔵を殴り、表に出す。

あわてた熊蔵の心臓をつかむが、大吉の手は何もつかめなかった。
驚いて手を抜いた大吉に向かって熊蔵は笑い、大吉を殴り飛ばした。
小屋に逃げた大吉は、手を見つめながら「ひょっとすると、奴の心の臓は右に?」と考える。

手斧を手に、熊蔵が踏み込んできた。
大吉が壁を破って、表に飛び出す。
小屋が傾き、崩れていく。

熊蔵が、手斧を振り回す。
大吉が熊蔵の手斧を叩き落すが、熊蔵は大吉の首に腰紐をかける。
締め付けようとする熊蔵に向かって、大吉は右手を振り上げるが、すぐに左手をあげ、右胸に手をめりこませる。
右胸にあった心臓をつかみ、熊蔵は「あ」というと倒れた。

ちよが走ってくる。
左手を押さえて、大吉がちよを見る。
そして大吉は、秩父に以前いった墓石の買い付けに向かうのだった。



最初、山賊の人攫い話かと思いましたが、すぐに熊蔵がとんでもない怪物であることがわかる。
何人もの人が、凄惨に殺される。
武器が手斧というのが、とっても獣じみているし怖い。
雇った用心棒も、獣じみて夜目がきき、手斧を投げてくる熊蔵に対して逃げ出す。

そこで護衛に来た主水が、「一文も貰っていない」「仕事だから!」と、袖の下アピールがおかしい。
家に戻った主水が、せんとりつに身ぐるみはがれるのもおかしい。
檜屋は金持ちなんだから、袖の下ぐらい貰ってきたと、せんとりつも思ってるんですね。
いかに檜屋が堅実か。

主水が大吉の家に行くと、貢が鍋を作っているのがおかしい。
貢は出会い茶屋と、大吉の家に居候してるのでしょうか。
大吉が感心した、小奇麗な家にいた貢が。
インテリの匂いがして、三味線を弾いていた貢が。

あやさんがいなくなって、本当に居場所がないというか、定めなくなってしまった。
それまで支えてきた生活を、本当になくしてしまった。
主水が「石屋は?」と聞くと、貢が「なりませぬ」と答えるのがおかしい。
妙心尼のところだって言うんですね。

主水が「幸せな野郎だな」と言う。
それで、貢が作った鍋を3人で囲むんですね。
「当然じゃないか、八丁堀は仕事なんだからさあ」とが言う調子も、以前とは違う。
おかしいけど、変貌した貢をうかがわせます。

もぐもぐ、主水と貢が食べているのに、大吉が食べない。
貢が「食わないのかい?」と聞く。
「あのおっかねえ殺しを見た後だ。まだ胸がムズムズする」と大吉が答え、主水に気をつけるように言う。
3人仲良く、鍋をつつくの微笑ましい。

主水は食べる一方。
大吉は飲む一方。
貢は鍋がかかっている火の具合を気にして、吹いたりしてる。

檜屋の寝ずの番から帰ってきた主水を、せんとりつは丁寧に迎える。
と思ったら、主水の着物をはぎ始める。
檜屋といえば、江戸では指折りの金持ちだから、当然、謝礼を貰ってきたと思ったんですね。

しかし、主水は本当に貰っていない。
実はさりげなく、「好意で!」「好意でやってる!」と強調して要求はしてたんですが、檜屋さんはとっても固い人らしい。
全然そんなことには気づかず、主水は手ぶらで帰ってきたんです。
その檜屋が用心棒を雇おうとする、しまいには大吉に商人なら商人の身の守り方があるとお金を出して、熊蔵を殺してくれる人を探す決心をするんだから、追い詰められたのがわかります。

妙心尼が喜三郎とちよの苦境を見て、「人が苦しみ、死ぬほどの思いをしているのに助けてやることができない。そんなこと許されていいんですか」と怒る。
大吉にも「なんと情けない」と怒り、「男にうまれていたら、あんな悪党、生かしておきません!」と言う。
主水も言いますが、仏の道に生きる女性とは思えない。
いろいろな面で仏に仕える身とは思えないことをする妙心尼さんだけど、やっぱり基本、良い人で、大吉と似ている。

儀助は、柳生博さん。
人の良さそうに見えるところを逆に利用して、全ては店を乗っ取るための計画だった。
それが大吉のところから茶屋に帰った貢に、知られてしまう。
この居候先って、案外いろいろと情報が手に入る場所なんですね~。

儀助は喜三郎と、もしかしたら子供も殺すつもりだったのか。
あの子は、跡取りだから。
手斧を持っているところからすると、熊蔵の仕業に見せかけるつもりだったんでしょう。
ここで2人を殺せば、熊蔵の仕業に見える。

その行く手に貢が現れる。
貢が絵を描いているのを見ると、儀助の似顔絵。
儀助にしたら、なかなか不気味だったでしょう。

行く先、行く先に絵を描いている貢がいる。
不気味。
絵には、手斧が描かれているのも怖い。

喜三郎と三吉の後を、儀助が走って追って見えなくなったのに、後ろに下がって来て姿がまた見える。
すると、貢が現れる。
儀助をアッサリと押さえて、貢が額に矢立の針を刺す。

座ったまま、息絶えている儀助の少し先に、何も知らない喜三郎と三吉がいる。
いかにも暗殺者。
誰も知らないけど、さりげない日常を守っていたというのが良いです。

そして最初に関わった大吉は、結局最後まで面倒を見てしまう。
喜三郎は50両でも100両でもと言うのに、2両貰ってそれっきりの大吉がいい。
最後に大吉と怪物・熊蔵。
上から大吉を見ている、虎次。

まず、この虎次を通常の仕留めのように仕留める。
そして、熊蔵が登場。
この怪力同士の対決に、小屋が壊れる!

大吉が熊蔵の心臓をつかもうとして、手が何もない宙をつかみ続けるレントゲン。
そう、熊蔵は全てにおいて、特異体質だったのです!
見抜かれた熊蔵は、大吉に心臓をつかまれる。
この時、大吉が右手をいつものように上げて、ややためらいながら左手を構えるところも細かい。

熊蔵が大吉にやられた時の「あ」という、脱力した顔が見事。
山谷初男さん、最初から最後までお見事です。
武器が手斧というのが、野蛮で怖い。
やっぱり、慣れない左手での仕留め仕事のせいか、大吉はこの後も左手を押さえている細かさ。

この後、大吉は当初の予定の、墓石の買い付けに行っているのが映る。
平穏な日常が、戻ってきた。
こういう、特異体質の男が、山奥なんかで暮らしていて、妖怪にされたのかもしれないなあ。
などと思うのでありました。


仕留人が世直しみたいな面するなって 「暗闇仕留人」第21話

第21話、「仏に代わりて候」。


妙心尼の寺に捨て子があった。
自分の窮状と自らを責める言葉、そして仏の慈悲にすがり、庵主の情けにすがって育ててもらうしかないと書いた手紙もあった。
手紙の内容から、母親は既に死んでいると思われた。
姿絵から大吉は、この赤ん坊の母親はこの姿絵に描かれた女・おしげではないかと推測した。

その夜、歌川秋水という売れっ子画家が、首吊りしたおしげの絵を描いていた。
夜が明けると、死体の始末が面倒だ。
秋水の絵を出版している版元の雅泉堂は、手下の釘六に命じて、おしげの遺体を弁天池に捨てさせた。
その様子を、おらんという夜鷹が見ていた。

大吉が主水からおしげという女の情報を得たところによると、それは秋水のモデルになった女ではないかということだった。
妙心尼は赤ん坊に夢中になってしまって、大吉さえも側に寄せ付けなくて、大吉は困っている。
主水は笑うが、もう1人、いい女がいるのを教えてやろうと言う。

今、秋水のモデルとなっているのは茶店のおそでという女で、秋水はおそでの12ヶ月の絵姿を描いた。
それでおそでは人気になったらしく、大吉が行った「一の木茶屋」は男たちがひっきりなしに訪れていた。
目当てのおそでには会えなかったが、同じ茶店で働くおなみもなかなか美しく、人気があるようだ。

その頃、おそでは秋水のモデルとなっていたが、秋水はおそでが子供を身ごもっていることを見抜く。
おそでは秋水の子供だと言って、もう絵姿にならなくても構わない、とうれしそうに報告するが、秋水は固い表情で、ご法度となっている子供が流れてしまう薬をおそでに渡す。
だが、おそではそれを飲むのを拒否した。

秋水は父なし子を生むつもりかと言うと、気の強いおそでは激怒し、店に来る客に全てを喋ってやると言って出て行く。
歌川秋水は、ご法度の毒草でお腹の中の子供を殺そうとしたことも。
見ていた雅泉堂は、このままではまとまりかけた秋水の縁談も破談になりかねないと言う。
そろそろ、おそでの人気も見切り時なので、失って惜しい女ではない。

夕刻に雅泉堂はおそでの努める「一の木茶屋」に行き、おなみと話をする。
実はおなみには腕のいい大工だが、ちょっとしたトラブルで島帰りとなってしまった兄・留吉がいた。
島帰りになった留吉は大工の仕事もなく、おなみが面倒を見ている状態だった。

雅泉堂はもう罪の償いをしてきた男を虐げるのには反対だと言って、兄を支えるけなげなおなみも応援したいと言う。
そして、兄を自分の離れの修理に寄越すように言う。
この話に、おなみは喜ぶ。

中村家では、妙心尼が連れてきた捨て子をあやしていた。
妙心尼は義兄の主水に名付け親になってほしいと思って、連れてきたのだが、主水は素性がまったくわからないと言う。
妙心尼が育てるなら、妙吉とかが良いのではないかと気のない返事しかしない。
ガッカリした妙心尼だが、せんは主水は赤ん坊を目の仇にしていると軽蔑の目で見送る。

町では雅泉堂に、弁天池で遺体を遺棄するのを見ていた夜鷹のおらんが近づいていた。
おらんは、弁天池に沈んでいる仏様のお線香代を貰いたいと笑う。
雅泉堂はおらんをにらみながら財布を出すと、おらんはすかさず財布から小判を抜いていく。

その日、雅泉堂がおそでを連れて戻るのを、屋根を直している留吉が見ていた。
おそでは怒っていたが、雅泉堂から秋水が子供を産んでもいいと言ったことを告げると、大喜びする。
しかし、次の瞬間、釘六が背後からおそでの口を塞ぎ、胸に匕首を刺して殺した。

おそでの遺体が見つかり、検視には、主水が来た。
秋水はちょっとの間、席を外したが、錦絵の仕上げに戻って来ると、待たせておいたおそでが殺されていたのだと話す。
「凶器のノミに見覚えはないか」と言われると、雅泉堂は「人に情けをかけたのが、かえって仇でございました」と言った。

その頃、転げるようにおなみの家に戻った留吉の懐から、5両の大金が落ちる。
留吉は、目が覚めたら目の前に、おそでが自分のノミで胸を刺されて死んでいたと怯えて語る。
仕事が終わってから雅泉堂に馳走になっていたところ、誰かに後ろから当身を食らわされ気絶した。
おなみは誰かの罠だと言うが、留吉は島帰りの言い分など、誰も信じないと言った。

奉行所で訴えようと言うおなみに留吉は、おなみは奉行所の怖ろしさを知らないと言う。
その時、主水が留吉をお縄にしに来た。
留吉は拷問にかけられるが、主水はどうも留吉の仕業とは思えない。
雅泉堂も調べた方が良いと提案する。

しかし、同僚の同心は雅泉堂は奉行とも付き合いがあるし、主水に手柄をふいにし、奉行を怒らせる覚悟はあるのかと聞いた。
「覚悟とは?」と聞く主水に同僚は主水のことを、「昼行灯め」と言いながら教えた。
つまり、もう奉行の井戸対馬守から留吉に白状させ、一両日中に獄門にせよと命令が出ているのだ。
「柄にもないことを考えるな」と言われ、主水は「そうか、そういうことですか…」とつぶやいた。

対馬守は雅泉堂から、秋水の描いた女の地獄絵、責め絵を見せられて「これはいい」と夢中になっていた。
その中には、おしげの首吊りの絵もあった。
雅泉堂は対馬守に留吉の処刑を急ぐように頼み、今度、秋水の画室に案内すると言った。
「実物を見るのも、また絵とは違って格別なおもしろみがございますよ」と、雅泉堂は笑う。

主水はおなみの家を訪ね、雅泉堂には手を出せないと話していた。
どうしたらいいのかと泣くおなみに、主水は「物事には裏がある」と持ちかけた。
世の中にはつらい思いをしている人がたくさんいるので、同心の自分が言うのもおかしいが、そういう人たちに頼むことも手だと言った。
だがおなみから「では、その人たちに頼めば、兄を救うこともできるんでしょうか」と言われ、主水は沈黙するしかない。

「それじゃ同じじゃありませんか!兄がお仕置きになってからじゃ、恨みを晴らしてもらったってもう、遅いんです。私は兄を返してもらいたいんです」。
おなみは泣き崩れた。
主水は返す言葉もなく、出て行く。

その夜、大吉は、寺に来る絵師に赤ん坊に添えられていた絵を見せたら、確かに秋水の作品だと言われた話をする。
貢はそれではあの赤ん坊の母親も、おそで同様、秋水に殺されたのではないかと推測した。
大吉は「鬼め!女を立て続けに殺すなんて、勘弁できねえ!」と怒る。
主水は鬼は秋水だけではない、その後ろ盾の雅泉堂の方がよっぽどたちが悪い赤鬼かもしれないと言う。

貢は、留吉を助けるには、何とかして殺しの証拠をつかむことだと言うが、せめて死体をどこに隠したか突き止めないと無理だ。
だがもう、留吉は明日、処刑が決まっている。
主水の言葉に「何だって?」と驚く大吉に、主水は「奉行は色狸だ。雅泉堂の小判と地獄絵が奥の手だろうぜ」と言う。
貢の「証拠はあるのか」という問いに、「おおよその筋は読める」と言った。

「あんな奉行の下で安い扶持を得て働いているのが、本当に嫌になった」と言う主水に大吉は「嫌になったら、さっさとやめろ」と怒る。
「石屋!」と、貢がたしなめる。
「なあ、八丁堀。俺たちにできることは、今夜、留吉を逃がしてやることだと思うんだが」。

しかし留吉は伝馬町の牢内で、拷問によって虫の息だ。
「伝馬町じゃ、手も足も出ないか」。
「俺ももう、10年若かったらなあ」。
主水がため息をつくと、大吉は「俺たちは仕留人じゃねえか。相応の仕事をしてりゃ、それでいいんだ!なまじ粋がって、世直し大名人みたいな面するなってんだ」と言う。

「そうだな。大吉の言う通りだ」と貢も言う。
「俺は明日、小塚原に行くぜ。かわいそうな留吉の死に様をとっぷり拝んで、いずれ必ず、赤鬼どもに地獄の子守唄を歌ってやるんだ」。
大吉の言葉に、貢も「そうさ。奴らだっていずれ必ずしっぽを出す。その時は…」と前をにらむ。

翌朝、怯えきって無実を訴える留吉が、刑場に引っ張り出された。
大吉も貢も見ている。
雅泉堂も、釘六も、処刑される留吉を見ている。

そんな中、おらんが近づき、「旦那」と声をかける。
着物を見せ、おかげさまでこの着物を買ったと言って、再び雅泉堂の前に手を突き出す。
その前では悲鳴をあげ、震える留吉に目隠しがされた。

おらんは、今日は新仏のお線香代だと言う。
「男と」と言って留吉の方を向き、「女の」と笑う。
人だかりから離れた雅泉堂と、ついてくる釘六を見て、おらんは釘六が井戸端でやったことを見ていたと笑って手を出す。

その時、留吉の処刑が行われ、おなみが悲鳴をあげて崩れ落ちる。
秋水が駆け寄り、「こういう時こそ、しっかりしなきゃいけませんよ」と肩を抱く。
雅泉堂はおらんに4両渡すと、釘六に人気のないところで殺せと命じた。
見ていた大吉は、おらんに接近することにする。

夜、賭場でおらんと一緒になった大吉が声をかけると、おらんは負けているが、「こういう遊びは負けるぐらいが運が良い」と言う。
景気のよいおらんは大吉に金を貸そうかと言い、自分は金のなる木を持っていると笑う。
大吉は賭場から一緒に帰るおらんに、金のなる木は雅泉堂じゃないかと話す。

警戒したおらんだが、大吉はさきほどからおらんの後をつけている男がいると言うと、おらんは「知ってるよ。だからお前さんに連れになってもらったのさ」と笑う。
しばらく自分を用心棒にしないかと持ちかける大吉に、おらんは「悪くないねえ」と笑い、一杯やろうと承知した。
その時、釘六が見え、大吉はおらんの手をとって逃げ出す。

大吉は一軒の飯屋におらんを連れて入り、釘六をまくのに成功する。
おらんの信用を得た大吉は、雅泉堂の悪事を聞くが、おらんは後でと言う。
機嫌よく酔った2人は夜道を行くが、おらんは小用をたしに離れた。

大吉と離れてすぐ、おらんの悲鳴が響き、大吉が急ぐと、背中に匕首を刺されたおらんが倒れていた。
「あたしゃ、ついてないねえ」と言うおらんを、大吉はおらんが寝ぐらにしている、あばら家に連れて帰った。
灯りをつけ、薬を出すとおらんは「ありがとう。お前さん、顔に似合わず、優しいんだねえ」と言う。
手当てをしようとする大吉を制し、おらんは話し始めた。

世の中には、女を次から次へ殺す悪い奴がいる。
自分だってえらそうなことが言える女じゃないが、そんな自分でも奴らにははらわたが煮える。
おらんは、雅泉堂と釘六が、昔の自分の友達のおしげを殺して弁天池に沈めるのを見たと言った。

「金のなる木は、お前さんに譲るよ」と、おらんは笑った。
おらんは大吉に雅泉堂からもらった金を出し、悔しいと言った。
そして大吉も男なら、おしげや他の女たちの恨みを晴らしてくれと言うと、事切れた。

翌日、大吉はおらんの言った弁天池をさらい、おしげの遺体を見つけた。
むしろがはがれてうつぶせに鳴ったおしげを、懸命に岸に引き寄せようとしている大吉の後ろで、念仏が聞こえる。
妙心尼が念仏を唱えてくれていた。

大吉は主水と貢に、おらんから渡された金を出した。
「かわいい女だったぜ。体の血が全部抜けてるっていうのによう、最後には俺の肌まさぐりやがって」。
貢が、視線を落とした。
「まだいるぞ。留吉の妹のおなみだ。おなみが昨日から行方がわからねえ」と主水が言う。

「何?」
「奴らのけだものの遊びが始まったかも知れねえんだ。ひょっとすると…、もう兄貴の後を追ったかもしれねえ」。
「やめろよ、縁起でもねえ!」と大吉が遮る
貢が「そうか、それじゃグズグズしちゃいられないな」と言う。

主水によると、今夜、奉行の対馬守が雅泉堂に招かれていることをつかんでいた。
貢と大吉が顔を見合わせて、「八丁堀、おめえ、ま、まさか、奉行を」と大吉が驚く。
「うん。雅泉堂と秋水だけじゃ、留吉も女たちも浮かばれねえだろう」。
貢が、ゆっくりとうなづく。

雅泉堂は秋水が責め絵を描く準備を整え、釘六におなみを連れてこさせた。
おなみは猿轡をかまされ、引きずり出された。
夜道で、主水は頭巾をした対馬守を待っていた。

主水を見て驚き、咎める対馬守だが、主水は雅泉堂のところに行くのを知っていた。
そして、人目につかない道を案内すると言うと、道案内を買って出た。
雅泉堂は対馬守を待っていたが、遅いので始めることにした。

その頃、人気のない森に来た対馬守は「中村!回り道にしても、遠すぎる。道が違ってはいないか」と聞いた。
「いえ、違ってはおりません」。
主水は提灯をかざす。
「この道は、地獄への近道」。

対馬守が驚いて後ろに下がっていくところに、主水は迫って行き、一気に斬る。
応戦しようとした対馬守の刀を交わし、もう一太刀浴びせると、対馬守は弁天池に落ちた。
主水は懐紙で刀をぬぐうと、撒き散らして帰る。

秋水の画室では、おなみが手足を縛られ、釘六がのしかかろうとしていた。
「じゃあ、頼みましたよ」と言うと、雅泉堂は出て行く。
秋水は夢中になって、描き始めた。

雅泉堂が画室の外に出た時、胡桃をすり合わせる音がする。
歩いていく雅泉堂の足が止まると、庭に誰かいるのが見える。
一瞬、それは頭巾をした女に見える。
ギョッとした雅泉堂が足を止める。

だがすぐに、女の姿は大吉に変わった。
「どちらさんですか」。
大吉が胡桃を鳴らしながら、雅泉堂に近づく。

雅泉堂が異様さを感じ、逃げようとした時、大吉が捕まえる。
胡桃が砕け、大吉が心臓をつかむ。
雅泉堂は立ったまま、絶命した。

おなみに襲い掛かっていた釘六の前の戸が、そっと開く。
釘六が顔を上げると、貢に蹴られた。
貢が矢立を出すと、秋水が驚いて立ち上がる。
逃げる秋水を捕え、床に押し倒すと貢の矢立から鋭い長い針が出る。

「あ、あ、あ」と秋水が悲鳴をあげ、貢の手をつかんで抵抗する。
だが、貢の矢立の針は秋水に刺さる。
釘六が叫びながら、貢に突進してくる。
次の瞬間、釘六は倒れる。

釘六の心臓に、矢立の針が刺さっていた。
貢は起き上がると、針を元に戻す。
大吉がおなみに着物をかけ、助け起こす。
おなみは泣きじゃくっていた。

主水が道で待っていた。
貢がやってくる。
その後から大吉が歩いてくる。
3人は闇の中、消えていく。



今井健二さんが2度目の登場。
配下に、志賀勝さん。
歌川秋水は、藤岡重慶さん。

奉行は外山高士さん。
悪役、すごい面々です。
1人でも十分なのに、3人揃ってます。

それで被害者が、綿引勝彦さん、この時はまだ、名前が綿引洪さんです。
おらんは、磯村みどりさん。
全体的に濃いキャスト。

赤ん坊を拾って、大吉より赤ん坊に夢中になった妙心尼。
主水に名前をつけてもらおうと中村家に行くが、主水が全然その気がない。
ここでとってもガッカリする妙心尼が、かわいい。

そして、軽蔑のまなざしを送るせんとりつが、「種無しかぼちゃ!」と禁断の一言を。
するとガッカリしていた妙心尼が「やぁーだ」と笑い出す。
ここが、とっても艶っぽい。
やっぱりまだまだ、色気が抜けませんね。

裏の話を持ちかける主水におなみが「では、その人たちに頼めば、兄を救うこともできるんでしょうか」と言われると、沈黙してしまう。
「それじゃ同じじゃありませんか!」と言われると、改めて自分たちは人を助けることはできないんだと思い知る。
主水は仕事になるだろうと思ってきたのだが、死んでからじゃ遅いという基本を忘れていた。
仕留人は、今、助けてほしい人の救いにはならない。

大吉が雅泉堂のことを「鬼め!女を立て続けに殺すなんて、勘弁できねえ!」と怒るところが、素朴な男、優しい大吉らしくて好きです。
裏稼業をやるようになった原点のように、主水が「あんな奉行の下で安い扶持を得て働いているのが、本当に嫌になった」と言う。
「もう、10年若かったら」と言うつぶやきも、裏稼業に入った主水の原点のように聞こえる。

だから今回は主水は恐れを知らぬ仕置人時代のように、奉行も手にかける。
あれ、遺体あがらないんでしょうか。
大吉の「世直し大名人みたいな面するなってんだ」と言うのも、原点な気がします。
小塚原に行って、かわいそうな留吉の死に様をとっぷり拝んで、恨みを返す、これが、仕留人。

雅泉堂に手を出して、金をねだるおらんの手つきと表情がなかなかなまめかしくて、怖い。
留吉の処刑前にも同じで、なかなか無慈悲な感じで、雅泉堂のイライラが伝わってくる。
イライラさせてやりたかったんですね。

刺された後、大吉が担ぎ込んできたのがおらんの寝ぐらだとしたら、結構厳しい生活してたんですね。
夜鷹だし。
秋水のモデルになったおしげと友達だったということから、おらんはなぜ、夜鷹になったのかとふと思ってしまう。
強請りは雅泉堂への、おらんを騙した男がいたとしたらその男への復讐にも見えた。

大吉がおらんは、かわいい女だったという。
そうだったんだと思う。
おらんに言われた通り、弁天池をさらっている大吉の背後で、念仏を唱えてくれる妙心尼。
俗念は捨てきれないけど、さすが尼僧、とても優しい。

仕留めシーンでは、雅泉堂にごつい大吉が、おらんに見えるわけはないと思いますが、それは罪の意識がそうさせたのかも。
いや、実際におらんか…、おそでか…、おしげが出たのかも?
奉行を刺殺した後、主水が汚いものを斬ったように懐紙で刀をぬぐって、去って行きます。

雅泉堂は、大吉。
心臓をつかんだ手を抜くと、着物が裂けているのが細かい。
秋水と釘六は、貢。
両方、ごついので、貢の華奢さと繊細さが目立つ。

貢と大吉は、おなみに顔を見られているけど、OKなんでしょうね。
おなみは、それどころじゃない。
助けられたんだし。
夜道を歩いていく3人の後姿と、口笛の音楽で終わりました。


とっくの昔になくしたもの・主水編 「暗闇仕留人」第20話

第20話、「一途にて候」。


加納一平という若い同心が、北町奉行所にやってきた。
一平は一刻者だった父に反発し、京都で焼き物などを焼く生活をしていたが、父が亡くなって同心の後を継いだ。
父の頼母は浪人たちと斬りあって、後ろから斬られて殺されたとのことだった。

主水がそう説明していたところ、与力の平田玄一郎がやってきて、頼母は本当に立派だったと誉める。
頼母の最期は、平田が見届けたのだと言う。
その夜、賭場に手入れがあり、親分の勘八が捕えられそうになるが、平田に袖の下を渡して事なきを得る。
だがまじめに手入れしていた一平は納得がいかず、そのまま奉行所に連行する。

それを見た主水は、顔を曇らせる。
同じ北町の同心・水上や佐山は一平にも賄賂をつかませようとするが、一平は毅然と拒否する。
水上と佐山はこのことを平田に報告し、主水は憤然と奉行所を1人で歩く一平の姿に不安を感じる。

一平には同心の叔父・笠井新兵衛がおり、その娘に美しい百江という娘がいた。
百江と一平は幼なじみで、お互い、密かに子供の頃から想いあっていた。
墓参りをしながら、一平は新兵衛から、実は自分とは違った道を行く息子を頼母は頼もしく思っていたと聞く。

本当は、自分の後を継がせたかったには違いない。
今の一平を見たら喜ぶだろうと言う新兵衛に、一平は本当に父は盗賊に斬られたのかという疑問をぶつける。
背中から斬られたというが、頼母は相当の使い手だった。

よほど油断していなければ、考えられないことだ。
すると、新兵衛は「要領よくやることだ」と言う。
その言葉にひっかかった一平だが、百江を非番の一平に預けて、新兵衛は奉行所に向かう。

奉行所の書庫で主水は平田から、一平になんとしてもつかませろと命ぜられて、賄賂として5両を渡された。
平田が出て行く時、入れ違いに新兵衛がやってきた。
新兵衛は平田の与力部屋に呼び出されると「この間の一件のことだ」と言って、またしても財布から1両出して渡そうとする。

「大したことはしていないので」と新兵衛が辞退すると、平田は「いらんというのなら」とアッサリと金をしまいながら「叔父上から何か聞かなかったか?」と訊ねる。
平田の叔父は奉行で、今は病に臥せっていて、あまり奉行所には出所できない。
奉行からの話というのは、新兵衛の娘の百江のことだった。

平田は叔父である奉行から早く身を固めろと言われているが、それならば百江を嫁にしたいと考えていた。
それは光栄だが…と新兵衛は口ごもるが、平田は奉行に媒酌を頼んでもいいと言って黙らせる。
主水はそれを、通りかかった廊下で聞いていた。

勘八と平田と水上と佐山は完全に結託しており、勘八は金はもちろん、自分の情婦のおしまさえ平田に差し出していた。
その勘八の賭場に、一平が踏み込んできた。
勘八を連行しようとする一平を、平田が止める。
だが一平は、無理やり勘八を連行して行った。

しかし、勘八は、すぐに解き放しになった。
主水は「そのうちにわかるだろうが、いろいろと裏があってな」と言うが、一平は「それはお奉行が平田様の叔父であるですか」と聞く。
「長いものには巻かれろ、だ。見ざる、言わざる、聞かざる」と言って主水は、平田から預かったと4両を握らせようとする。

だが一平は受け取るどころか、「中村さん、あんたは汚い!」と怒った。
「汚い?」
「これでは正しい道理は通らない。私は戦う。私はこの不正と戦います」。

「あんたの父上も、それを口癖のように言っておられたが」。
「父上も?」
一平のまっすぐな視線に、主水が視線を落とす。

主水は仕留人たちに、このままでは一平が危ないと相談する。
「町方が町方に始末されるというのかい?」と、全員が驚く。
主水はそもそも、一平の父・頼母が斬られたことにも疑惑を持っていた。

なぜ、そんなことになるのか。
主水は、自分の口から言うのもなんだが、今の奉行所では悪い事をしていない者はほんの一握りだと言う。
扶持高は低いし、懐は寒い。
正直、綺麗事は言っていられない。

だがそれも、程度によりけりだ。
おひねり程度の袖の下なら、かわいいものだ。
しかしいくらなんでも、御定法を破っている連中に悪事を見逃す代わりに金を絞るのは、泥棒の上前をはねているようなものだ。
そしてその企みに乗らないまじめな者は、目の上のこぶだ。

「それで八丁堀、俺たちにどうしろって言うんだ?」と貢が言う。
「つまりだ。その、加納一平という男を、守ってやりてえんだ」。
「守る?」
「このままだとな、必ず、あの男は親父の二の舞で始末される」。

主水は一拍置いて言う。
「俺はな、あのくそまじめな野郎が何となくかわいくてな。俺が…、とっくの昔になくしちまったものを…、まざまざと見せ付けられたような気がするんだ」。
だが貢は、「甘いよ、八丁堀は」と言った。

「甘い?」
「俺たちは仕留人なんだよ。人助けをするほど、立派なもんじゃない」。
主水は言い返せなかった。

おきんは、金はどうなってるんだと言い、大吉も町方の命を守るという話に難色を示した。
ことによると、命取りになるかもしれない。
結局、誰も賛同しなかった。

家に戻ると、せんとりつが隣の田口家に貢物が来ているのを見ていた。
何を見ているのかと伸びをして見る主水に、せんとりつが「覗き見などみっともない」とたしなめる。
田口にはあのように次々と貢物が来るのに、中村家には何も来ないとせんとりつが愚痴る。

主水は田口は上役にゴマをするのが上手いと言うが、せんは主水のふがいなさを責め、あのように貢物があるならいいではないかと言う。
おまけに、懐妊していると思っていたりつは懐妊していないことがわかり、「種無しカボチャ」などと言われて主水はため息をついた。
「今日は三隣亡だなあ」。

その夜は茶屋で一平の歓迎会が開かれ、主水は仮装してドジョウすくいを踊り、大いに受けていた。
座敷のにぎやかさに、茶屋に居候している貢が何かと女将に訊ねる。
加納一平の歓迎会だと聞いて、貢がその名前に気に留めた。

その時、仮装した主水がやってきて、女将に女物の襦袢を貸してくれと言いに来た。
頬かむりした主水と貢の目が合うが、お互いに視線をそらした。
女将が笑って用意しに行くと、主水は貢に「何だおめえ、こんなとこで、しけこんでたのかい」と言う。

「おめえあんまりこの話には乗らねえだろうと思うけどな、今日の集まりには何か企みがあるに違げえねえんだ。加納の身辺を俺が気にしてりゃあ良いが、まあとにかくおめえら冷てえよな」。
貢は主水を振り返って見るが、すっと立ち上がって、部屋を出て行ってしまう。

主水の危惧した通り、勘八が別部屋に来ていて、平田を廊下から部屋に呼ぶ。
それを、廊下で貢が見ていた。
部屋では勘八の情婦のおしまが、紅を塗っていた。

もうすぐ一平は酔いつぶれるので、そうしたらこの部屋に運ぶ。
気がついたときには、おしまとひとつ布団に寝ている。
そこに勘八がねじこむ…、という、平田と勘八の計画だった。

主水が女装して踊っている時、一平が酔いつぶれてしまった。
一平は計画通り、部屋で少し休めと連れ込まれた。
少しして、勘八がやってくる。
部屋の前で立ち止まり、中に入って来る。

暗い部屋の中で勘八は「やいやいやいやい!人の女、寝取りやがって!」と大声を出して凄む。
「どこのどいつでえ!」と言って、布団をはぐ。
だが布団の下から現れたのは、貢だった。
「だっ…、誰だい、てめえは!」

「あ、いや、どうも、部屋を間違えたらしいな」。
隣では、おしまが手足を縛られ、口には猿轡をされてもがいていた。
「いや、この人がね、無理やり私をここに引きずりこむので。はあ、危ないところだった」と言うと、「ごめん」と貢は首を振って立ち去る。
おしまはもがいていた。

廊下を歩いていく貢を勘八が見ており、廊下には平田たち3人が立っていた。
女装した主水が、暖簾の下から顔をのぞかせた。
「何かあったんですか?」と平田たちに声をかけると、平田たちは無言で散っていく。

そしてまた次の夜、大吉が妙心尼のところに行っている時だった。
捕り方の笛の音が響き、大吉が耳を澄ます。
「やけに騒々しいな」と言って、気になった大吉は妙心尼を置いて外に出る。

手分けして賊を追うと平田が指示し、一平だけを別方向に行かせた。
主水はそれを、じっと見ているしかない。
大勢の捕り方が散っていく中、一平は浪人者を見つけた。
斬り合いになるのを、平田が離れたところから見ている。

一平が構えている背後に、平田がそっと近づく。
刀を振り上げ、一平に向かって振り下ろそうとした。
影から見ていた大吉は「どうなってんだ、こりゃあ」とつぶやく。
おきんの「町方が町方に始末される」という言葉が、思い出される。

ハッとした大吉は、一平に向かって刀を振り下ろそうとした平田の手に向かって、胡桃を投げた。
一平は、「おっ」と驚いて声をあげた平田に気づいた。
平田は刀を収めながら、背後から襲いかかろうとした者がいたと言って去っていくが、一平は平田に疑惑を持つ。
後には、胡桃が落ちているだけだった。

一平は新兵衛に父の頼母は、もしかしたら平田に斬られたのではないかと疑問をぶつける。
「私は近頃、いろいろなことがわかってきました。奉行所の中は腐りきっている。叔父さん、あなたまで汚い金を?父はその汚い金をとらなかったばかりに、殺された。そうでしょう、叔父さん」。
一平の言葉に、新兵衛が傍らで花を生けている百江を気にする。
百江も、ちらりと座敷に目を向けるが、花を生け続ける。

新兵衛は、平田は奉行の甥だと言う。
めったなことを言うものではないと言う新兵衛に、一平は「それは自分も父と同じ目に遇うと言うのか」と聞いた。
だが、一平は、奉行が私情に流されるとは思えないと言い、自分は父の死を無駄にしないためにも戦うと言う。

帰り道、百江は「お父様」と新兵衛を呼び止めた。
「わたくし、一平さんについていきます」。
そのキッパリとした口調に、新兵衛も覚悟を決めた。

奉行所に戻った新兵衛は同僚の田口に、今日、奉行は出てこられるのかと確かめた。
だいぶ具合が良いので、今日は出てくると田口は言う。
新兵衛が奉行の部屋に向かうのを、水上と佐山が見ている。

廊下をこわばった表情で歩く新兵衛を、主水が呼び止めた。
だが、新兵衛は返事をせず、歩いていく。
新兵衛は訴状を前に、陰腹を斬り、座っていた。
そこに平田が入って来て、「叔父上は具合が悪くて、来られんそうだ」と言う。

驚く新兵衛の前から訴状を取りあげ、「陰腹を斬っての訴状か。よほどのことが書いてあるらしいな」と言って読み始める。
新兵衛の訴状には、奉行の甥という立場、与力と言う立場を利用しての平田の悪事が書いてあった。
平田はそれを新兵衛の前で、燃やしてしまった。
新兵衛は燃える訴状に手を伸ばしながら、息絶えた。

すると水上と佐山がやってきて、新兵衛に切腹の形を取らせた。
一平が走ってくるが、平田は「役人にあるまじきことをしたというので、自ら腹を斬った」とだけ言って出て行く。
新兵衛の屋敷では、新兵衛のなきがらを前に、百江は気丈に耐えていた。
主水がただ1人だけ、焼香に見えた。

その翌日、一平が奉行所に向かって走っていた。
目安箱に一平の悪事の数々を書いた訴状が、投げ込まれていたというのだ。
人の女房を取り、金を強請る、やくざの情婦と通じ、賭場の手入れを見逃したなどだった。
どれも身に覚えがないと言う一平に、「だろうな。それを書いたのは、この俺だよ」と平田は言った。

「あなたが」。
全てを平田の仕業と確信した一平は思わず、刀に手をやる。
それを見た平田は「おい、加納。奉行所内で刃物沙汰を起こしたら、どうなるかわかってるのか。家名断絶、お前は切腹だぞ」と言う。

ハッとした一平は、一旦は手を収めた。
だが平田はいくら一平が正義を通そうとしても無駄だ、言う通り賄賂を受け取れと言う。
「お固いばかりが能じゃないぞ」と言われても、一平はキッと平田をにらんでいた。

「どうしても俺の言うことが聞けないってのか。それじゃあ、言ってやろう。貴様の親父も、コチコチの堅物でな。それがゆえに死んだんだ」。
平田は一平の前に立ち、一平を見下ろす。
そして「新兵衛が忠義面して、お奉行に何か言いたかったらしいが、そいつも無駄だったな!」と吐き捨てるように言った。
「叔父さんまで」。

うつむいた一平は平田に向き直ると「きさまぁ!」と叫び、刀を手にする。
平田は「乱心者だ。出会え、出会え、出会えー!」と叫びながら廊下を走る。
一平が刀を手に振り上げながら、「平田ーっ!」と走ってくる。
「あっ」と出てきた主水が、一平を抑えようとする。

「加納さん!」
「どいてください!」と一平は主水を突き飛ばす。
一平の反対側から走ってきた水上と佐山が、すれ違いざま、一平の両側から2人して一平を斬る。

倒れる一平を見て、主水が目を見開く。
駆け寄った主水を水上たちは突き飛ばし、一平にトドメを刺した。
刺される一平を前に、主水が思わず目を閉じる。
絶望の面持ちで、うつむく。

「片付けい」。
平田の一言で仰向けに死んだ一平が、引きずられていく。
同心たちが何事かと、出てくる。
主水は怒りの表情で、平田たちを振り返る。

仕留人たちに、主水が、百江が一平の後を追って死んだことを話す。
主水が、4両を投げる。
平田が加納一平につかませるつもりだった金だ。
「薄汚れた銭だけど、別にこの小判には綺麗、汚ねえって書いてあるわけじゃねえよな!」

大吉は、平田は自分で自分の仕留料を出したということになると笑った。
おきんも、平田は賢いつもりだろうが、間の抜けた話だと笑う。
主水はちょっとやそっとのやり方じゃ、気がすまないと言った。

その夜、勘八の賭場にどこかの商家の女将にしか見えない風を装ったおきんが博打をしていた。
負けが込み、ブツブツ言うおきんに、勘八が目を留める。
すると大吉がやってきて、「日本橋の飛脚屋の女将さん!」と言って、挨拶をする。
大吉との話によると、おきん扮する女将は旦那があちこちに妾を作るので、頭に来て遊んでいるように思えた。

つかないと言うおきんは、ついに店で預かった封筒の封を切る。
大吉が「そんなことをしたら手が後ろに回る」と言って止めるが、おきんは構わずに中から小判を出す。
しかし、それは表面の数枚だけが本物で、あとは木でできていた。
おきんは、その数枚を次の博打に賭けた。

勘八が鋭く目をつける。
次におきんは勝って、取り戻せたと言って、上機嫌で帰る。
勘八がおきんが残して行った、飛脚の封筒を水上と佐山に持ってやってくる。
すぐにおきんの後を、2人が追って行く。

夜道を行くおきんを、水上と佐山が呼び止めた。
「ちょっと待て」。
「何でございましょう?」

「今、勘八の賭場で、持ち主の封印のある金に手をつけたな?」
「お役人様が、どうしてそれをご存知で?あの賭場にいらしたんですか?!」
「飛脚屋のご新造が、御定法を破ったらどうなるか…」。
十手を突き出されたおきんは「お許しくださいまし。あまりの主人のやり口に、ついカッとなって…、怖ろしいこととは知りながら、でも、この通り!お金は取り戻しましたゆえ」と言う。

「金を取り戻して、済むことではない」。
「では、どうすればよろしいんでございましょう」。
このことが知られれば、店は潰れると言われたおきんは、「どうか、お見逃しくださいまし!」と青くなった。

すると2人は「何なら、俺たちが相談に乗ってやってもいいぞ」と言った。
まず、見逃し料として3百両を2人は要求した。
「店が潰れることを思えば、安いものだ」。
「はい…、3百両出せば、見逃していただけるんですね」。

おきんの言葉が終わると、「はははは」と笑い声がする。
「上手い話ですなあ」と言うのは、主水の声だった。
闇の向こうから、主水が歩いてくる。
「なんだ、貴公か」と、水上も佐山も侮った。

おきんを捕まえても、一文にもならない。
ならば絞り上げて、銭を出させる。
上手い儲け口だ。
「私もちょいと、おこぼれを頂戴したいんですがな」。

「平田様に言って、目こぼし料を貰ってやる」。
2人は主水を軽蔑したように言う。
「目こぼし料か。いや、私はね、その3百両、そっくりそのまま頂戴したいんですがね」。
「何?」

2人の真ん中を歩いて行った主水が振り返り、刀を抜く。
反射的に水上と佐山も刀を抜くが、主水はあっという間に一太刀で2人を斬る。
主水が2人の真ん中から外に出ると、水上と佐山は刀を抜いて向かい合って座り込んだ。
お互いの方に刀を押し付けあって、固まる。

「ふふふふ」と、おきんが笑う。
「おきん。おめえのご新造も、なかなか板についてるな」。
「惚れたってダメよ」と、おきんは襟を合わせながら去っていく。
主水は去り際に座り込んでいる1人を蹴ると、2人は倒れる。

その頃、勘八は賭場の奥の部屋で、平田と酒を飲んでいた。
さきほどのおきんを金づると見て、2人は笑う。
平田が十手を打ち出の小槌と言った時、胡桃をすり合わせる音がする。

何の音かと勘八が廊下に出てきた時、大吉が胡桃を砕く。
勘八を捕え、心臓をつかむ。
手を抜くと、勘八の懐から匕首を取り出し、握らせる。

「勘八、どうした」と平田が立ち上がってくるのを見て、大吉は勘八の体を押して平田に振り向かせる。
平田は勘八の手に匕首があるのを見て、驚いて刀を構えながら後ずさりする。
背後には貢がいる。

下がってくる平田の首筋に矢立が当たった時、貢は矢立を押す。
平田が小さく叫ぶ。
貢が平田を見つめながら、矢立の針を抜く。

大吉に向かって小さくうなづくと、大吉もうなづく。
2人は平田と勘八を勢い良く、突き飛ばした。
平田と勘八は、互いに持っていた刃で相手を刺して、座敷にひざをつく。

貢と大吉が賭場から出て行くと、主水がやってくる。
合図をすると、捕り方が踏み込む。
客や壷振りが刺し合っている平田と勘八を取り囲み、そっと見ていた。
主水がやってきて、2人を見て「どうやら相打ちのようだな」と言う。

その夜、平田が勘八とつるみ、悪事をした揚句、仲間割れをして相打ちとなった調書を書いていた。
「まことに御定法をつかさどる身に、あるまじき振る舞いなり」。
書き終わった主水は、満足そうにまんじゅうを頬張る。



新兵衛役は「仮面ライダー」のおやっさんこと、小林昭二さん。
一平役は「ミラーマン」の石田信之さん。
どちらも無念を抱えて、殺される。
当時、このヒーローものを見ていた子供には、ショッキングな映像です。

主水が平田に、つかませろと命じられたのは5両。
しかし、一平に渡す時に4両になっている~!
「中村さん、あんたは汚い!」と言われたら、いろんな意味でギョッとする。

主水のドジョウすくいが、すばらしい。
顔を白塗り、頬を赤くして、女物の襦袢を来て、シナを作る。
この仕草が最高。

昼行灯の役立たずが輝くのは、こういった宴会場所という説得力がある!
こういう芝居が、堂々とできる人だから、中村主水ができるんだろうと。
表から裏に変わった凄みや、カッコよさが引き立つんだろうと。

表では「長いものには巻かれろ、だ。見ざる、言わざる、聞かざる」が、身についてしまってるといえば身についてしまってる。
13話で家庭教師をしている子供に、自分がなくした純粋さや未来を見た貢が、子供のお家を守ってやろうとした気持ちと同じ。
主水は一平の感性をうらやましく、そしてかわいく思って守ってやろうとする。
仕留め稼業に堕ちた者だからこそ、抱く思い。

しかし、達観しちゃったような貢は拒絶。
主水が表立って動くには、限界がある。
今回、貢が居候している場所を、主水が初めて知ったのも驚き。

関わりたくないはずの貢は、企みを前にしてつい、一平を助けてしまう。
その助け方が貢らしくて、微笑ましい。
勘八が踏み込むと、情婦の声が聞こえる。

そのくぐもった声に、すっかり一平が罠にかかったと思ったら、貢。
貢がおしまと?と思ったら、おしまが見事に縛られて身動きできなくなっている。
「あー、危なかった」と貢に、おしまの迫りっぷりが目に浮かんでおかしい。

さらに大吉は、妙心尼と「なりませぬ」の最中。
捕り方の笛に気を取られて駆けつけ、胡桃を投げて助けてやるというのも、やっぱり微笑ましい。
後には胡桃だけが落ちていて、誰も知らないけど助けてくれていたというのが良い。

新兵衛のお焼香に、主水以外誰も来ていない。
ここに、奉行所の現状が語られている。
しかし、一平にはどんどん罠がかけられていく。

ついに平田は、一平を挑発することに成功。
平田が百江を好いているという伏線が張られていたし、一平と百江がとっても微笑ましかったので、その関係で一平を追い詰めてくるかと思いました。
そして平田が嫁にと狙ってた百江は、父親と恋人と両方失って後を追うという、哀しい結末。
一平が刀を持って奉行所内を走っているのを見た時の、主水の止め方。

「あっ」と言って、必死に止めようとする。
それも空しく、目の前で斬られたのを見た時の主水の絶望的な、悲愴な顔。
「ああああ…」と声にならない声が出ている。
その後に平田を振り返る時の、怒りの形相。

怒りの主水は、平田たちを仕留め仕事にかける。
貢は「まあ、八丁堀にすれば無理のない話だよ」と言う。
大吉とおきんは、「十手持ちを仕留めるなんて、ゾクゾクする」と言う。

どんな料理で仕留めてやるか、考えながら主水が1両を懐に入れた時、チャリンという音がする。
おきんが主水の懐を叩くと、金の音がする。
手を差し出されて、「うん、そ、そうか、ご、5両だったんだぜ」。

そうです、平田が渡したのは5両でした。
「後で4人で分けようぜ」と言って主水が1両を投げる。
うーん、みんな、お金にはシビアだ。

その後、おきんが賭場で仕掛ける小判が笑えます。
上の1~2枚だけが本物。
後は木で、小判の形をしているものがあるだけ。

主水じゃないけど、なかなか、どこか良いとこのご新造さんぶりも板についている。
おきんが封を切るのを他の客は、「あーあ」という顔。
博打場では見慣れた風景なのかな。

おきんを脅す水上と佐山が主水に見られても、ドジョウすくいなんかやっている昼行灯なんかどうってことない。
それをあっという間に斬っちゃうから、カッコいいんですねえ~。
主水に「惚れたってダメよ」と言って、しゃなりしゃなりと帰って行くおきん。
「なぁに言ってやんでえ、タコ!」と言う主水。

平田は、後ずさりしたところを貢が待っていて、首筋に矢立を当てると自動的に針が出るという省エネの仕留め。
十手持ちが相手なので、平田と勘八も、水上と佐山も相打ちにする。
しかも、不正を働いての仲間割れなので、あんまり追及されない。
一平がやりたかった平田の罪を暴いて、最後の調書で満足そうな主水で終わりました。


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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