「任侠ヘルパー」もうちょっと

もう何年、十何年、さらに何十年前の作品と違って公開中の映画。
見ていない人に向かって、ネタバレしてはいけない。
でも語りたい。
ちょっと語ると「待って!連休に見る予定なんだから、言わないで!」と言われる。

う、ネタバレしそうな危うさがあるんだろうな。
…当然の反応ですよね。
なので見る予定の友人に、「早く見てくれ」とうるさい私です。
子供か、って。

平日の映画館で、私の隣はなんと、老夫婦でした。
旦那様の方が最初、飴をなめていて、ガサガサと袋を鳴らしたりしていたんですが、それも最初の20分ぐらいまで。
あとは静かに見入っていたようですが、ドラマのファンだった方でしょうか。

ドラマのキャストは、りこちゃん以外は出演しなかったんですが、それがかえってドラマを知らない人でも楽しめる要素になっていると思いました。
ここぞという場面でドラマでかかっていた「オーマイソー」。
あれが流れると、確かに盛り上がる。

でもそれをあえてしなかったことが、単に彦一・ダークヒーロー物語にしない、この映画の本気度に思えましたよ。
ドラマを見ていない人でも、見て、そして楽しんで考えてくださいというメッセージじゃないかと。
ただ、あれを流してほしかった人もいるはずで、そのあたりは賛否両論になると思います。

ここから先はちょっとネタバレ。
映画をまだ見ていない人、楽しみにしている人がいらっしゃるので、ご注意を。


なんていうんですかねえ…。
またしても、狼にたとえてみよう。
狼の群れの前に、力尽きた小動物がいる。

群れの中から鋭い目をした、精悍な狼が一匹、前に進んでくる。
目に殺気をたたえた、一匹の流れ者。
だがこの狼には、妙に子供がなついている。

その狼は小動物たちに襲い掛かるかと思った。
もう、終わりだと、誰もが思った。
しかしその狼はいきなり向きを変えると、群れの狼たちに噛み付いた。

たった一匹で群れと戦う狼は、傷だらけになった。
だが血まみれになり、肩で息をするその狼は、やってきた猟師に追われた。
傍目には同じ狼なのだから。

でも保安官は知っている、狼がやったことを。
今度は自分も戦わなければならないことを。
狼は、守ってもらった者たちと、彼の真実を知った者たちを背にまたどこかへ去っていく。
…寓話にしたら、こんな感じなんでしょうか。


「俺ら、戻んだぞ!…極道に!」
そうして弱い者を食い物にして生きていくんだ、それしかないんだ。
彦一はドラマでは、そう言った。

自分たちだってそうやって来たと言うのに、人がやっているのを見て、どうしようもなく心が痛む。
苦境に落とされている人たちを見て、やりすごせない。
だからといってどうにもできず、元の道に戻って、いや、現実に、自分にもっと心を荒ませて、酒と女で何とかしようと思うも、素直におぼれることができない。

水商売の女性が、自分をほめる。
その言葉に酔えばいいのに、それができない。
言葉はかえって刃のように、彦一を切り刻んでいく。
酔うどころか、心は冷えていく。


このあたりの草なぎさんの葛藤はやっぱり、よかった。
そうしていつものように彦一が考えて考えた末に取ったのが、身を捨てての大暴れ。
こうすることによって、世間の目が向く。

自分を捨てて、何かを変える。
そんなやり方しかできない彦一が、哀しいやら爽快やら。
映画は、撮り方よかったです。
カメラの枠の中で、暴れてる彦一が見えるというのが楽しい。


さて、ちょっとネタバレ。
本当に気をつけてください。


クライマックス、杉本さん演じる日吉が彦一の行動を見て、戦意を喪失する。
たとえ権力をバックにしていても、自分にはあの行動はとれない。
己はただ、優位な立場にいるだけ。
自分には絶対にできないことを目の前でやられたら、「負けたな…」と思ってしまう。

戦意喪失すると思います。
器の違いとでもいいましょうか。
大物感はない日吉ですが、それでも「侠」の器の違いは思い知ったと思いますよ。

何も完全解決はしていませんが、組長も組も無傷では終わらない。
事情聴取と立ち入り検査が入れば、ただでさえ叩けばほこりが出る身です。
余罪が出て、大変なことになるんじゃないですか。
SPのように。

人はみな、年をとる。
「元」の人も、「現」の人も。
誰もがいずれ、直面する話。
でも、りこちゃんの言うように、しんじゃだめだよ、彦一。

ちょっと思ったんですが「かかわりのねえことでござんす」と言いながら、思いっきり命のやり取りをする渡世人が好きな人にもこの映画、受け入れられるんじゃないですか。
彦一ロードムービーができそう。
ぜひ、作ってください!


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愛すべき愛しい極道者・彦一 「任侠ヘルパー」

まさに現在、公開中の映画についてネタバレしてはいけないので、書き方が非常に難しいのですが…。
ああっ、このシーン、あのシーン。
全てネタバレ全開で、事細かに語ってしまいたいっ!
ギリギリッ!

「任侠」=ルールを無視できるヒーロー的存在。
それが何もかもその型破りな言動で、停滞していた問題を解決する。
これは、そんな映画じゃないんですね。

元極道の、どうしようもないと思われた男が、誰もやらないことをやって傷ついて守ろうとする。
それが自分の信じる任侠道だから、そうする。
結果、傷だらけになる。
これは、そういう映画なんですね。

言い方が悪くなりますが、彦一という男は愛すべき大バカ野郎。
「あれから」彦一が真っ当に生きているかと思ったら、この男はそんなにすぐに見も心もカタギになれる男じゃない。
いや、ここで元極道というのは、非常に生きにくいのだという現実が見える。

その現実に立ち向かって、地味に市井の片隅で生きている…というのなら、高倉健さんになるのかもしれない。
ところが、彦一はそんな立派な男じゃない。
というわけで、久々に目にする彦一に掛ける言葉があるとしたら「何やってるの…」「こら、いけません!」です。

しつけがなってなくて、口が悪くて、ずるいところがあって、それがまたやってることが大きいかと思えばせこくて、いちいち乱暴。
そんな彦一を見ていて「育ちが悪い」と眉をひそめる人がいても、しかたがない。
一緒に食事をしたら、大概の人間は眉が中央に寄ってしまうと思う。
これだから「兄貴」「兄貴」と慕ってくる男も、世渡り上手の賢い男であるわけがない。

言葉はひどく乱暴。
泣いている子供に優しい言葉をかける、なんてことができるわけじゃない。
それだけなら、アッサリ「どうしようもない男!」と切り捨てられるんですが…。

この男、妙なところで男気がある。
庇護欲、保護欲が強すぎる。
結果、任侠という生き方を選んでしまった節がある。

そこで任侠を選ぶ不器用さ!
だから「愛すべき大バカ野郎」なんです。
映画では、冷静に考えたら、殺されるでしょ!
そんなこと、普通わかるでしょ!と思うようなことをするんですから。

大バカ野郎です。
でも、彦一のようなことは誰にもできない。
彦一というのは普段どれだけダメな極道者でも、自分の心の琴線に触れた人を守ろうとした時、平気でそれをやる男。
だから見ているこちらが彦一に思いっきり肩入れしてしまって、困る。

大体、ドラマの時からして自分のことを考える男なら、「タイヨウ」の時、幹部の座を断るわけがない。
こんなにも傷だらけになって、前科が増えちゃうだけ。
そう、どう考えても「そっち行っちゃダメでしょ」という方に行くんだな、彦一は。
自分の中の「任侠」の声の赴くままに。

連続ドラマだって、羽鳥さんの若年性アルツハイマーが治るわけじゃなかった。
介護の問題が片付いたわけじゃなかった。
でも彦一は、「弱気を助け、強気をくじく」、自分の感じるところの「任侠」にしたがって動く。
だから、「この口が悪くて行儀が悪い男に、また会いたい」という思いを抱かせてくれる。

ネタバレにならないように気をつけてるんですが、俳優さんたちは、全員、ハマって熱演。
香川さんはどんな役でもやるけど、どんな役でもちゃんと見せる。
久々の安田成美さんは、生活に疲れた感じが良く出てました。

杉本哲太さん、宇崎竜堂さんも、堺さんもいい味出してます。
それから、老人たちがすごい。
実際、どこかから連れてきたんじゃないかと言う迫力。
舎弟と彦一は、いいコンビでした。

子役は…、泣かせてくれるじゃないですか。
彦一に向かって子供が走る姿は、涙腺を緩ませます。
夏帆ちゃんが、意外なと言っては失礼なんですが、意外な良さを見せてくれました。
私が知っている夏帆ちゃんでは、今までで一番良かったかもしれません。

そして、りこちゃん。
出ました。
りこちゃん、彦一に対して「ちくしょー!」と思ったかもしれませんが、大丈夫。
女性絡みで、りこちゃんが思うようなことには、なってないから。

まあ、りこちゃんも、極道だからしょうがないのはわかっているだろうけど、彦一に関してはりこちゃんの内面は女の子100%。
頭の軽い舎弟にうらやましがられたら、決して彦一は否定はしないだろうけど…、真相知っているこちらは、笑った。
でもりこちゃん、こんな男いたら人生かける価値ありですよね、りこちゃんの気持ちは見ているこちらの気持ちです。
そうそう、「しょーがねーなー、うちのお嬢ちゃんはー」って言うりこちゃんの組の若頭、田中哲司さんが見たかった。

彦一=草なぎさんのすごさは、もう言うまでもない。
完璧にやってくるだろうなとは、思ってました。
でも、いや~、もし私がずっと遠い国で暮らしていて、ほとんど予備知識がなくて見たら、この人はこういう俳優さんなんだなと思うでしょう。
こういうって、いや、極道役とかが得意な俳優さんなんだろうな、と。

37歳で医者になって、患者さんに涙しているのと同じ人とは思わない…、ほんと。
改めて振り返ると、何なんだ、ほんとに。
何でこんなに変わってるんだ?!と言う感じです。

草なぎさんのこの演技の幅を見る為に見ても、損はないほど。
運動神経は、ほんと、良いですね。
文字通り、体当たり演技。
やっぱり映画見た友人が、「演技、本当にうまいんだねえ…」と言ってました。

前半は「これに救いはあるのだろうか」と思うような、重い展開。
でもラストでは、「彦一、どこかでまたね」と言いたくなる。
少し苦くて切ないのは、「任侠ヘルパー」の味かも。

続編があるとしたら、最初に「また彦一はバカやってる」と思わせる。
だけど、愛しい小さな弱い者を守って戦う。
そして彼らとの別れがあって、また前科増えちゃったかと思わせて終わる。
こうなるかな?

少し前、ある名優さんが自分の演じた役について、「管理されない楽しさ、1人で生きる強さ、寂しさ」ということを言いました。
彦一もまさに、そういうキャラクターだと思います。
映画は、俳優さんの演技と共に、私の期待を裏切らなかったです。
迷っている方には、この草なぎさんは一見の価値ありと言うでしょう。


悪役商会のみなさん、ご推薦

公開中の映画「任侠ヘルパー」。
今日、八名信夫さん率いる「悪役商会」の方たちが出演しているCMを見ました。
黒ずくめのコワモテの悪役商会のみなさんが、映画館に座る。
草なぎさん演じる彦一のタンカが、スクリーンに展開。

おおっ、まるで悪役商会のみなさんが演じてきたような、どすの聞いたおにーさん。←誉め言葉です。
というか、悪役商会の人と言ってもいいぐらい、目に凶暴性が潜んでいるじゃないですか。←誉め言葉です。
そして映画を見た悪役商会のみなさんが、任侠を感じたと言う。
八名信夫さんが、涙ぐむ。

おもしろいCMですね!
「任侠ヘルパー」の再放送の時間に流れていたんですが、これはもっと他の時間帯にもどんどん流してほしい。
他の局で流れないのが、惜しい。

この時間帯のCMには、草なぎさんが自分の演じた彦一を語るものもありました。
彦一は弱い者に惚れやすい、みたいなことを言っていました。
何回か見て、私も思うのは、彦一というのは非常に庇護欲とか、保護欲の強い男だなということです。
それ強すぎて、任侠になっちゃった、不器用な男。

ドラマでは加藤清四郎くん演じる子供がなぜか、大人から見たらなぜかと思うほど、この目つきと態度の悪い男に懐く。
彼が体を張って、お年寄りを守ったのを見たからなんですが、それはその時の子供の母親にはわからない。
母親はまるでボールのように弾んで子供が会いに行く相手が、危険な狼と知った時のような反応をする。
あの子に近づかないで、と。

お約束といわれるかもしれませんが、実に心をくすぐるキャラクターではないでしょうか。
明日出かける場所の近くには、大きな映画館があります。
用事が終わった後、最終の上映時間には間に合いそうです。


「あれから」彦一は?

「任侠ヘルパー」が再放送している。
そして、その放送の合間に映画「任侠ヘルパー」のCMが入った!
あっ、そうだ、もう11月なんだ。
ついに11月なんだ。

「任侠ヘルパー」の公開なんだ!
遠いわぁ…、なんて思っていたのに、すごい!
月日はこうして、流れていくのね。
感心している場合じゃない。

胸が痛くなるようなラストだった、スペシャル。
彦一が暴れるぞ~というところで、ライトがなくなって真っ暗に。
そこで盛り上がってCM!

すると次は病院だったので、ちょっと肩透かしされちゃったような気がしてたんですね。
そして苦いラストシーンへ。
たぶん、「もやもや~」を残して映画へつないだんだと思うんですが、思い出す度、「どーなっちゃうんだろう」「スッキリさせてね!」と思っていました。

これだけ気を引かれてるんだから、あのスペシャルは大成功なんでしょうね。
やっぱり、草なぎさんの彦一のアクションを見たいな。
あのキックとか、さりげな~くやってるけど、ビックリでしたもん。
映画はキャスト見ても、すごく楽しみ!

おそらく敵対するであろう人物に宇崎竜堂さん、杉本哲太さんが揃っていて、こりゃあ相手に不足はないですね。
スペシャルより数段、手強そう。
迫力ある悪役を相手に、思う存分やってくれていそう。
しかもストーリーを見ると、テレビでは描けないところまで切り込んだ内容になっていそう。

映画だから、テレビ放送ではできない、映画ならではの描写があることを期待。
公開は17日!
おお、もうすぐだ。
「あれから」の彦一の移り変わり、そして「今」「これから」の彦一に期待は高まる。


新たな彦一の戦い

夕べの「任侠ヘルパーSP」、まず草なぎさんに感動。
あの表情、彦一としか思えません。
完全に、彦一の人生を生きてますよ。
憑衣してます。

羽鳥晶は彦一と出会ってなければなかった幸せがあったでしょう。
実業家の晶に、良くしてくれる人はいるでしょう。
だけど彦一は晶に、人間として接してくれましたから。

彦一は粗野だけど、人そのものを見る。
人に付属してるものなんか見ない。
彦一は人への評価が、まっすぐなんです。

はっきり、続編がないと気が済まないラストではありました。
鷲頭組が無傷で彦一たちだけが傷を負ったのか…みたいなラストがきっと、モヤモヤする原因では。
いや、あれ、堅気さんに手を出して、社会的に大変なことになってないでしょうか?
鷲頭組はあれ、最後に彦一が笑顔だったので、彦一たち以上にひどいことになってるのでは…?

だって彦一、そして五郎も六車も一応、堅気さんですよね。
元極道とはいえ、堅気さんをあんなにして、社会的には終わりでは?
鷹山の「堅気さんに無茶させるな」は、そういう意図がないでしょうか。

私はあれは彦一の身を捨てた殴り込みと思いました。
りこちゃんもあれで何とかなったのでは。
彦一さんならどうしたかな、なんて言われるのって、つらい。
彦一ならそもそも、なめられたりしない。

そんな彦一を繋いで牙を抜いた晶に、やっぱり内心穏やかではない。
彦一にもイライラした。
だから最後、りこは謝りたかった。
女心がりこを少し、狂わせた、ってことはないかな。
りこも切ない。

ラスト、彦一は何かを心に秘めて旅立った。
羽鳥さんという、繋いでおくものがなくなったこれからの彦一に期待…していいかな?
りこともまだ、続きがありそうです。

今回のテーマは「一人で死ぬこと」「死に方を選ぶ」。
彦一は常々、自分の最期は野性の狼のように噛み合って孤独に死ぬ…と決めていたのでしょうね。
だから死に場所と方法を鷲頭組との一蓮托生と選んだ。

自分はやっぱり、こうやって死ぬんだと思っていた。
つかの間の優しい日々だった。
やっぱり自分は堅気じゃないんだ。
そういう、極道になってしまった彦一の悲しみも感じました。
でも彦一は生き延びた。

もうひとつ残ったモヤモヤは、涼太との別れ。
涼太の運命は結構、過酷です。
彦一の幼少期も過酷でした。

彦一は涼太を、同じ運命を持つ者として送り出した。
名前を呼んだということは、彼を守るべき弱い存在ではなく、対等の存在として認めたのでしょうね。
涼太はどこか堅気さんじゃない、でもたくましい彦一をぬいぐるみに見た。
強く、生き抜けよ。

好きに生きて、好きに死ぬと言った彦一。
これからまた、彦一は自分に向けられた「死んではいけない」「まだやることがある」というメッセージを受け止めて、別の人生を行くんでしょう。
今回のラストも、次回の楽しみに繋がると思いたい!

主演の草なぎさんは、絶賛したいです。
かつての私がそうだったんですが、彼の持つ背景で判断して、彼自身を見ないで評価するってダメですね。
草なぎさんそのものを見ると、すごい才能持ってると思います。
絶対、続編作ってくださいね!


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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