猫を投影し、現代をシンクロさせた「龍馬伝」

「龍馬伝」が昨夜、最終回を迎えましたが、やはりクライマックスでの選挙速報のテロップはみなさん、相当気に触った様子。
やっぱり、そうでしょう。

「龍馬伝」、昨夜は特に猫の鳴き声と猫の姿が目立ちました。
そういえば「龍馬伝」には猫が結構、印象的に登場したりしてましたね。
いや、私がつい見ちゃうだけかもしれませんが。

私の友人なんか、階下の近江屋の人じゃなくて、「猫心配しちゃったよー」なんてひどいこと言ってました。
いや、関係ないものが巻き込まれるのって、嫌な気分よね、って言ってましたけど。
猫の姿や鳴き声というのは、日常の平穏な時を表しているようにも思えました。

殺気だった時代でも、猫はマイペース。
それが人間世界の争いなど、超然としている存在もあるという暗示なのか。
暗殺の後、猫が鳴いていることで、血なまぐさい世界とそこには変わらない日常を送るものがいることを表現しているのか。
殺伐とした描写と、猫ののんびりした姿と鳴き声のギャップが、諸行無常を感じさせたことは確かです。

そういえば、慶喜様の飼い猫の写真ってありますよね。
明治幕府と事を構える気はないという表現なのか、生来、そういう性格なのか、慶喜様は写真を趣味にして、たくさん撮ってらっしゃるようですね。
慶喜様の飼い猫の写真。
丸々太って、「ああ、これが将軍様の猫!」と思ったのを覚えています。

かわいがられてるなー、とか。
人間社会と関係ない存在が、激動の時代を生きた将軍を癒したんだろうなーとか、思いました。
この猫、いなくなると家来が真っ青になったんだろうな、とか。
「必殺」なんかでは、飼い犬の為に手討ちになる話とかあったと思いますし。

さて、この慶喜様。
大政奉還されたものの、朝廷は去っていく慶喜様を引き止めたんですね。
そりゃもう、ずーっと朝廷は政治に関わっていないですから、この激動の時代にいきなり政権を渡されても統治能力はないわけです。
龍馬が松平様に協力を仰いだように、幕府の側に頼らなければならないところがたくさんあった。

しかし、この物語の中では中岡慎太郎が反発していましたが、それじゃあ大政奉還した意味がないと考えた勤皇の志士側の人間は多かった。
幕府の人間を新しい政治に関わらせちゃダメだ、と主張する。
でも結局、そんなことをすれば朝廷と明治政府はたちまち、立ち行かなくなる。
龍馬と中岡慎太郎みたいな人の考えでしょう。

実権を今までの政府に握らせ、新政府が傀儡となることなく、それでも国を混乱に陥れることない方法。
まず、今までの身分に関係なく、優秀な人材を登用すること。
その人間で議会を作り、政治はそこで行うこと。
旧政権側を徹底して排除するのではなく、あの、三条実美様にだって、松平春嶽様にだって協力していただく。

彼らは都合のいい時だけ徳川に頼り、手柄は全部自分がやったと言って、都合の悪い面は「自民が」「官僚が」と言って自分たちの素人さ加減を人のせいにしたりしない考えを持っていた。
ネクスト幕府なんて作っていた割りに、素人だった、なんてことは少なくともなかった。

内政も大変だが、外交に失敗すれば取り返しのつかないことになりますしね。
僕たち、素人なんで温かく見守ってくださいなんていうのが通じるほど、諸外国は甘くない。
今も昔も、うかうかしてるといろんなもの取られちゃうんですね。

でも手柄は自分のもの、失敗と責任は相手や部下になすりつける。
こんな態度では相手も部下も協力してくれない、動かないのは当たり前。
結果として、国は混乱に陥る。

あ、いけない。
過去の日本の価値観や正義を、現代の基準ではかることはできないと言いながら、つい、現代の政治とシンクロさせちゃった。
いや、現代の価値観の押し付けではなく、これは歴史に学ぶということか?なんて、ぶつぶつと考えたりもしてました。

まあとにかく、坂本龍馬と中岡慎太郎は広い視点で幕府にも協力してもらうことを考えていたようです。
しかし、2人は殺されました。
弥太郎が言っていた、権力争いが激化してきます。
この後、徳川家は完全に排除されるわけですが、容堂様はこれには反対していたんですね。

「必殺からくり人 血風編」で官軍のスパイだった主人公側から描かれたように、真の意味で「新しい」世の中なんて来なかったんですね。
権力者が新しい権力者に取って代わっただけ。
無力な市民はまた、新しい権力者に蹂躙されていくだけ。
江戸市中で薩摩藩士が無法を働くシーンが、ここにはあります。

これが幕府側の怒りとなり、流血の事態を招く。
龍馬が一番、避けたかった事態です。
彼がいれば避けられた事態があり、結果としてバカバカしい権力闘争と流血が起きた。

弥太郎が最後、あんな男はおらん!と叫んでいました。
この辺り、最後の5分でもいいから描かれているとこの叫びが単なるセンチメンタルな叫びではないことが、わかったんじゃないでしょうか。

弥太郎が明治政府からの資金協力への依頼にも、どこかバカにしていたような態度も、わかったのではないでしょうか。
龍馬を失った彼には、今の政府も全部、俗物、自分と同じ俗物に見えたのではないでしょうか。

いや、実際、岩崎弥太郎さんは龍馬の神格性を高める為に、ああいう描写になっただけで、俗物ではない。
傑出した人物に間違いないですけど。
「仁 -JIN-」で仁が龍馬暗殺を阻止しようとした理由も、龍馬という男の重要性も、しっかりと確認できたのではないか…と思います。

関係のないものの平穏な日常が猫に象徴されていたなら、あの後、日本はしばらく激動の時代を迎えることになりますね。
あの後、龍馬たちが移動していた場所に、鉄道が通るような発展もあったのも事実。
こんな風に、つい、現代といろいろとシンクロして考えてしまうのも、今回の大河のおもしろかった点だったのかなーと、思い返しています。


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あんな男はおらんぜよ!アイラブユー 「龍馬伝」 最終回

「龍馬伝」、ついに最終回。


最終回「龍の魂」。
龍馬は、今は亡き、武市、以蔵、長次郎たち、懐かしい面々から大政奉還を「よおやったのう」と言われている。
夢だった。
龍馬は、「新政府綱領八策」を送る。

そこで新しい日本のリーダーとなるべき人物を、龍馬は「○○○」と記してあった。
「○○○」とは、誰か?
それを読んだ幕末の志士たちは、いろんな思いに囚われる。
一体、誰にしたら良いだろう?
越前の松平春嶽(夏八木勲)を訪ねた龍馬は、それを相談する。

弥太郎は、あちこち探して、やっと龍馬が潜む近江屋を見つけ、龍馬を訪ねる。
5245両を儲けた弥太郎は、弥太郎が大成功したことを喜ぶ龍馬に対し、浮かない顔をしていた。
そして、「これは、おまんの金じゃ」と言って、その大金を龍馬に渡そうとする。

弥太郎は龍馬が言うことを、そんなはずはないと思っていた。
だが、結局、弥太郎は龍馬の戦にはならないと言う言葉を信じ、銃を売り払った。
結果、大金を得た。
だからこれは、龍馬にやる。

弥太郎は龍馬に「わしは死ぬまで、おまんの友達じゃ」と言われても、どうしても素直に喜べない。
龍馬には、いつも劣等感を抱かされた。
だから反発していた。
しかし、この大きなチャンスに、正しい…と思っているものには抗えなかった。

けれども、龍馬の言う、新しい世の中だって、誰もが喜んで受け入れていけるものか。
新しい世の中を恨む人間もいる。
その怒りは、龍馬に向くだろう。

「まぶしすぎる光が無性に腹立ついうことを、わしは知っとるきにの」。
すると、龍馬が言う。
「世の人は我を何とも言わば言え。我が為すことは、我のみぞ知る」、と。

「わしはの、自分にできることをしただけじゃ。おまんもそうじゃろ、弥太郎。おまんも、おまんの好きなように生きたらええがじゃ。わしのことはもう、相手にせんでええ。
おまんは、この金で世界とつながっとるがじゃ。この世で、岩崎弥太郎ゆう男だけができる大仕事が、おまんにしかできんことが、必ずあるがじゃ」。
あくまで金を要らないと拒絶する弥太郎の懐に、龍馬は為替を受け取らせる。

拒絶する弥太郎だったが、龍馬は「達者での、弥太郎」と笑顔で別れを告げる。
弥太郎は、ふらふらと近江屋を出て行く。
これが弥太郎と龍馬の、最後の別れだった。

海援隊は、英語の辞書を製作中。
龍馬はお龍に、「アイラブユー」と書いた手紙を送る。
「アイはわし、ラブは好き、ユーはおまんのことじゃ」。

「○○○」が誰か。
ことと次第によっては坂本を斬る!
中岡慎太郎はそうした薩摩をなだめようと、龍馬に誰なのか聞きに京都へ向かった。
京都の町で殺気立つ新撰組と会ってしまい、刀を交えることになる。

荒んだ近藤勇は、腕に噛み付いたりする。
狂気の近藤に、原田泰造が似合っている。
中岡、「刀が役に立たん世の中が、もうじき来るがじゃ」と言って刀を捨てる。
しかし、新撰組はその時代にどう生きていくか、答えを持たぬ、と言って立ち去る。

荒れて酒を飲んでいる弥太郎は、京都見廻組に呼び止められる。
その中には、今井信郎(市川亀治郎)がいた。
弥太郎が土佐の者と知った見廻組は、坂本龍馬の居場所を知っているか問い詰める。

「あんな男は殺されて当然ぜよ!」と言う弥太郎。
しかし、彼らの目的が、本当に本気で龍馬殺害であると知る。
それを知った弥太郎は、「あいつは殺されるほどのことはしてはおらんがじゃ」と懇願し始める。

「あいつは、日本のことを考えてやっただけがじゃ。なんちゃあ、悪気はない」。
そして、懐の為替を出して「こん金をやる、殺さんとってくれ!」と叫ぶ。
しかし、大政奉還を成し遂げた龍馬への恨みは深い彼らは龍馬を、自分たちがずっと信じてきたもの、生きてきたものを「無にした」と怒りを爆発させる。
弥太郎の涙の懇願をはねのけ、見廻組は殺意を抱き、雨の中、出て行く。

風邪を引いている龍馬は、近江屋の2階で酒を飲んでいた。
中岡が訪ねてくる。
龍馬のいる2階に来た中岡は、「○○○」は誰かと聞く。
中岡が訪ねてきたことに喜んだ龍馬は、近江屋にいる相撲取りに「軍鶏を買ってきてくれ」と頼む。

軍鶏鍋で一杯…。
相撲取りは快く引き受け、表に出る。
軍鶏を買いに出た相撲取りは、途中、殺気が体から出ているのだろうか、異様な雰囲気を漂わせる一団とすれ違い、思わず見る。

そこで龍馬、大統領選挙の頭があるのか、「志があるもんをみんなで選んで、この中の人らで支えたらええ」と言う。
松平など、幕府側の人間の名があることを、入れてはいけないと中岡はとがめる。
さらにこの中、龍馬が書いた中には龍馬の名はなかった。
中岡がなぜかと聞くと、龍馬は「わしは、役人になる気はない」と言う。

かつて、勝の元で見た地球儀。
龍馬は、地球儀を見せ、これから世界へ出て、新しいことに出会う希望を語る。
いつでも龍馬は自由で、そして身分にこだわりがない。
新しいことに目を向けていく。

いつしか、中岡はそんな龍馬の言葉に引き込まれる。
「わしは泳げん」と笑う中岡。
その時、近江屋では誰かが訪ねて来ていた。

中岡の妻だと名乗る、女性の声。
いぶかしげに思いながらも、戸を開ける。
龍馬と中岡のいる2階からは下の階の音は、何も聞こえなかった。
階下は静まり返っていた。

だが、刺客は突然やってきた。
抵抗する間もなく、刺客は龍馬を刺し、中岡を刺す。
「なぜ、わからんのか」と日本人同士で斬りあうことの愚かさを常日頃、説いていた龍馬が叫ぶ。
刀で見廻組の刃を押さえる。

しかし、致命傷を負わせた確信を持つ見廻組は引き上げて行った。
部屋に飛び散る血。
物が、家具が散乱している。
龍馬が名前を書いた紙が、血で染まっている。

血まみれの龍馬と中岡。
頭を押さえ、自分の血と傷を確認したような龍馬。
部屋の向こうでもがく、中岡に問う。
「わしはこの命、使い切れたがかえ?」

息も絶え絶えの中岡が答える。
「何を言うがじゃ。おまんは、まだまだ…」。
「そうかえ。まだまだかえ」。

龍馬が笑みを浮かべる。
「そうじゃのう」。
それが最期の言葉だった。

中岡が、龍馬の名を叫びながら、窓に向かって這いずっていく。
外に向かって叫ぶ。
弥太郎は龍馬の近江屋を探していた。

そこに、京都見廻組が通りかかる。
彼らの顔に、血がついている。
抜き身の刀にも。

何が起きたか、弥太郎は一瞬で悟る。
殺したのか、龍馬を…。
弥太郎がつかみかかる。
「捨て置け」と弥太郎は突き飛ばされ、雨の路上に転がる。
雨の中、弥太郎は泥まみれになりながら、泣き叫ぶ。

桂浜。
晴れた日に、浜辺にお龍が海を見て立っている。
背後から龍馬の声がする。

お龍とこの海を渡り、世界を旅する。
「アイラブユーじゃ」。
その時、浜の向こうから龍馬の兄と姉の乙女がやってくる。

手を上げて、お龍に呼びかける。
お龍が振り向くと、龍馬の姿はもうない。
かすかにお龍の目に、涙が浮かぶ。

新聞記者に、龍馬のことを語り終えた岩崎財閥の当主、岩崎弥太郎。
「龍馬は能天気で…、自分勝手で…」。
弥太郎の知っている龍馬の数々の面影が頭の中をよぎる。
「人たらしで、女子に好かれて…」。
「あんな、腹の立つ男はおらんかった!」

弥太郎は声を張り上げる。
「わしはこの世で、あいつが一番嫌いやった!あんな男は…」。
弥太郎の目から頬に、涙が落ちる。
「あんな龍は、どこにもおらんがぜよ!」

弥太郎は吐き捨てながらも、どこかで坂本龍馬という男を誰よりも、認めていた。
後に残った明治政府の権力争いなど、弥太郎には興味のないことだった。
明治18年、岩崎弥太郎は50歳で、その生涯を終えた。



えー、関心を持っている人もたくさんいらっしゃるから、テロップって出るんでしょう。
知らせなきゃいけないニュースで、テロップが出るのもわかる。
災害や事故や交通情報。

しかし、「今のニュースとタイミングは、もうちょっと…、気を遣っても良かったんじゃないかな…」と思う時もあります。
今日のテロップはね、龍馬暗殺のシーンで出ました。
以前、人が一生懸命作り上げ、俳優が精魂込めて演じたシーンに入るテロップが悲しいと言っていた方がいますが、それを思い出しました。

さて、最終回「龍の魂」。
弥太郎の回想でもある、龍馬伝。
暗殺犯は、暗殺シーンはどうなるんでしょう?と思っていたら、なるほど、こういう方法で来ましたか。

龍馬は、今は亡き、武市、以蔵、長次郎たちから「よおやったのう」と言われている。
全員、もう、この世にいない龍馬の仲間たち…。
最終回は、もう、暗殺に向かって暗示がされ、そして過去の登場人物を思い出させました。

弥太郎は龍馬が言うことに、反発していた。
だが、結局、弥太郎は龍馬を信じて大金を得た。
いつもどこかで、龍馬が正しいと知っていたから。

だからこれは、自分の力で得た金じゃない。
龍馬の力を借りて得た金。
それは弥太郎が、龍馬にはどうしてもかなわないと思い知った時でもある。
いわば、弥太郎の龍馬への敗北。

弥太郎は龍馬に「わしは死ぬまで、おまんの友達じゃ」と言われても、どうしても素直に喜べない。
龍馬はいつも周りに受け入れられて、そして自分の思うがままに生きていけた。
それに比べて自分は、何もできない。
つまらない、小さな人間だと思い知らされ続けた。

「世の人は我を何とも言わば言え。我が為すことは、我のみぞ知る」。
こう言ってしまえるところが、龍馬の大きさだった。
それが自分にはない、どうしてもそんなことは言えないと弥太郎は思う。
龍馬が金を受け取ってくれたら、弥太郎は救われた。
でももう、これからずっと、成功した弥太郎は龍馬に引け目を感じていなければならない。

だから嫌いだ。
嫌いだけど、認めざるを得ない。
自分が俗物だということも。
光り輝くものは、同時に濃い影を落とす。

その影になる人間は、光輝く存在を憎むことを、弥太郎は身を持って知っている。
あんな男は殺されてしまえばいい…と言った次に、弥太郎は殺さないでくれと懇願する。
人の心は複雑なもの。
嫌い、だけど、好きなんだ、いい奴なんだ、友達なんだ、友達を奪わないでくれ。

武市半平太の名を、ここに記したかったという龍馬は中岡に言う。
以蔵のことも思い出してあげてください…と思ったら、人の為に頑張りすぎてしまう以蔵を活かす方法を考えたり。
まさに最終回、総集編。

相撲取りの人に「軍鶏買ってきてくれ」で、「うわー、来た」と思いました。
確か、下の階にいた人も斬られてしまったんでしたっけ。
相撲取りも、斬られたんじゃなかったかな?
むしろ、狙われたのは中岡で、龍馬がとばっちり、という説もあるようですね。

結局、龍馬暗殺は、自分たちが信じて仕えてきたものを壊した龍馬への恨みでしたか。
新しい時代を築く為、文字通り龍馬は旧体制の憎しみを一身に浴びた。
光の作った影に刺された、ということでしょうか。

新しい時代、刀が通用しない時代への言葉を持たぬという新撰組。
時代に取り残されていく新撰組の、それでも他に生き方を見つけられない哀しさでもあります。
龍馬が斬られた時は、意外にもあっさりした感じを受けました。
そんなものなんでしょうね…。

ただ、今までの登場人物が、龍馬暗殺を聞いてどうしたか、も見たかったですね。
佐那とか、千葉重太郎とか、後藤様とか、容堂様とか、薩摩や長州、新撰組。
特に佐那ちゃんなんか明治でも思い続けている描写が、途中あっただけに。

明治政府への、主導権争い…みたいなところは、感じさせてくれましたが。
弥太郎しか出てこなかったですが、けなげな妻もホッとして暮らしているところも見たかった。
まあ、それだけ今年は1年間、見ていたということで。

弥太郎は龍馬に対して、大嫌いと言うほど、龍馬にこだわりがあった。
大成功したのに、ついに龍馬に優越感を抱くことがなかった。
だから、嫌いと言いながら、誰よりも心の中に龍馬を住まわせていた男かと思っていました。

しかし、最終回の弥太郎は「大好き」を、「大嫌い」としか言えない、意地っ張りに見えましたね。
この変化が1部の頃の、わしが俗物だと思い知らせる「おんしが嫌いじゃあ!」から、認めちゃうと自分が負けちゃうから、というより、「素直に言えないけど、おんしが好きじゃあ!おんしはわしのただ1人の友達じゃあ!」への変化だったらすごいです。
でも、弥太郎の最期の描写がなんだか、あまりに簡単でかわいそうな気が…。

来週から「坂の上の雲」。
うーん、今年の繋がり方は楽しい気がします。
今年は1年見ましたよー。
1年間、福山さんお疲れ様でした!
香さん、熱演でした。

あんな男はおらんぜよ!
アイラブユー、龍馬。
弥太郎の叫びが、そう聞こえたラストシーンでした。


本日、最終回を迎える「龍馬伝」

「龍馬伝」が、日曜日、何だかんだで忙しくうだうだしていたら、もう最終回。
はー。
今年は、いろんなことがあった…、日曜日。
悲しい。

毎回、見てはいたんですけど、全く書けなくなった。
特に夏ごろ、長崎に行く第3部からは、書いていられなくなりました。
しかし、見てはいた。
1年間、やめずに見続けられた大河ドラマなんて、どのぐらいぶりでしょうか。


最近、大河ドラマでは主人公を引き立てる為に、主人公の周りの人を落とす描写が多いという印象でした。
それから、主人公のダークな面は描写しない。
戦国時代や幕末みたいな時はもう、世の中が変わる時だったし、今までの価値観が壊れる混乱の時代だった。
現代の基準や正義でははかれないものがあり、平和な現代の言い分は通らなかったりしたと思います。

しかし、現代の基準で描こうとすると、当然、あったはずのダークな面って描けないんですね。
だから相手を悪く描き、周りを無能に描く。
主人公は、そうやって持ち上げる。
特に今まであまり知られてない人物が主人公だと、そうなりがち。

まあ、しかたないんでしょうね。
だけど、あんまりやり過ぎると、挫折や苦悩は、ほとんど描かれず、最初から出来上がってる万能の人物となる。
そうなると、物語に入り込めないし、時には主人公に反感も出て来てしまう。

一方、同じ大河で扱い、あれほど取り上げた人物が脇に回ったり、敵方だったりすると、狂犬さながらに描いたりもする。
まあ、これもしかたない。
でも、制作の姿勢が似てると、主人公や時代が違っても話の展開が似てしまうんですね。

その為、何年も年間を通しては大河ドラマを見られないことが続きました。
しかし、今回、「龍馬伝」は最初から見続けることができました。
主人公に「苦労もせず、綺麗事ばっかり言ってる」と思わなくて済んだ。

主演の福山雅治さんが、かなり良いキャラクターだった為かもしれません。
無理なキャラクターに、ならなかった。
龍馬以外の登場人物も、良かった。

主人公、主演を輝かせることだけを考えず、かすむかもしれないことを恐れず、しっかり周りも活かした。
ここが「龍馬伝」の良かったところだったと思います。
結果的に主人公にも、福山雅治さんにも良かったんじゃないでしょうか。
締めくくりの最終回にも、期待しています。


「船宿?(フッ)」女の戦 龍馬伝 第37回「龍馬の妻」

第37回、「龍馬の妻」。


寺田屋から脱出し、瀕死のところを薩摩藩邸に運ばれた龍馬。
左手からの出血がひどく、龍馬は痛みに暴れ、水も飲める状態ではない。
器から水をこぼしてしまう為、意を決したお龍さん、口移しで龍馬に水を飲ませる。
薩摩藩邸にも奉行所がやってくるが、薩摩藩士は門前で対応し、龍馬を引き渡せという捕り方たちに龍馬など知らないと言い張る。

人がたくさんいる前で、肝が据わっているとか、いや、もう龍馬を助けたい一心。
落ち着いた龍馬はおとなしくなり、その後、お龍さんは龍馬の枕元から離れない。
血まみれの着物のままの三吉さんも、同様。
そして龍馬が目を覚ます。

龍馬に薬を飲ませ、おかゆを運んで食べさせ、包帯を変え、龍馬を支えて歩く。
庭の紅梅の花が美しい。
まだ左手が不自由な龍馬の下に、桂小五郎こと木戸から箱に入った文書が届く。

箱の中身は、薩長の同盟文書。
ここに龍馬は、お龍の助けを借りて、裏書をする。
第三者である龍馬が証人となり、ここに薩摩と長州は正式に同盟を結ぶことになった。
木戸はその文書を殿に差し出す。

そこに西郷さんから、龍馬にここは危ないから薩摩に行くよう、話が来る。
お龍さん、複雑な表情…。
治って欲しかった、でもそれは自分との別れでもある。
そんなことはわかっていた、自分の元に引き止められるような人じゃない、大きな仕事を背負っている人。

見返りは求めないはずだったが、それとこみ上げる寂しさと哀しさは別。
でもケジメをつけて、ふっきろうとお龍さんはいつか妹をヤクザから取り戻す為に龍馬から借りたお金を返す。
足りないけど、残りも必ず返す。

そこに龍馬、おまんも一緒に薩摩に行くがじゃ、と一言。
思っても見なかった龍馬の言葉に、お龍さん絶句。
「このまま、別れてしもうたら、わしらはもう一生、会えんかもしれんがじゃぞ。それでもええがか?」

そうでしょうね、この時代は新幹線や飛行機に乗って行くわけにもいかないし、龍馬は狙われているし。
「いやや、うちも坂本さんと一緒にいたい」。
お龍を引き寄せ、「わしらは夫婦になるがじゃ」。

里中満智子の「花影」で、結局さな子は、平和な時代なら良かっただろうと龍馬は言うんですね。
だけど、自分が死んだらさな子も死にますというような一途な女性を巻き込むわけには行かない、と龍馬は言う。
そしてこのマンガの中のお龍さんは、「あの人は自分の運命をわかっていたのよ。だから重荷にならない女性を選んだだけよ」と自嘲気味に言いますが、自分の人生に沿わせるにはお龍さんだと思ったことだけは確かなんでしょう。

「ほんまに…、うちでええんどすか?」
弥太郎が言った「あいかわらず女にもてちゅうのう」が、頭にあったと思います。
自分の知っている龍馬は、一部分だとわかっていたと思います。

「おまんじゃないと、いかんじゃき」。
「はい。坂本さん」。
「龍馬でええ」。

特別な存在と認めてもらって、そしてプロポーズされた、生涯最高の瞬間でしょう。
「はい。龍馬さん」。
自分を助けてくれ、そして自分を支えてくれる存在に対して、「ありがとう、お龍」。
良かったね、お龍さんと言いたくなりました。

そして、2人は薩摩藩士に守られて、薩摩、途中長崎の亀山社中に立ち寄る。
まず、薩長の同盟が結ばれたことを報告。
歓声を上げる亀山社中。
しかし、このことを広めるのが大事。
それによって、いろんな動きが出て来て変わってくるだろう、と。

予想どうり、土佐では薩長同盟を聞いて、お久しぶり、山内容堂さまが「…風向きが変わったのう」と言う。
そしてこのことを進言していた後藤象二郎は、殿にお褒めの言葉をいただく。
上機嫌の後藤さまに、お酒なんか注いでもらった弥太郎。

これは坂本龍馬の手腕によるもの、と聞いて後藤さまは「下士の分際でわしに…」といつか龍馬に組み伏せられたことを思い出し、「あいつだけは許さーん!」と激昂。
弥太郎は何であいつと接触しながら捕えなかったのかと無茶を言う。
新撰組と見回り組に捕えられていたのは、弥太郎ですって。
命令一つの人と違って、現場はいつも大変なんですって。

しかし、龍馬に言われ、血の雨の京都に行った弥太郎はちょっと違う。
もう、龍馬を下士として蔑んでいてはいけないのではないかと後藤さまに言う。
そんな古い概念に捉えられていては、かえってまずいことになる、と。

弥太郎は、「自分が日本という国の為に、何かしたい!何かできることはないですろうか!」と訴える。
後藤象二郎は、この辺りから考えを改めるんでしょうか。
弥太郎も今までとは違う。
そりゃねえ、歴史の舞台に立って、日本を変えようとしている人たちを目の前にしていれば変わるでしょう…。

次に「わしの女房じゃ」とお龍を紹介。
自分がここにいるのは、お龍のおかげだと。
みんな喜んでお龍を迎えてくれましたけど、陸奥は「こんな大変な時に女なんて」とふくれっつら。

陸奥さん、後にすごーい、すごい美しい奥さんを娶るじゃないんですか。
いや、何となくお龍さんへの嫉妬みたいに思えましたけどね。
俺たちの龍馬、俺の尊敬するお兄さんをを知らない女が…、みたいな。

引田屋で、2人の祝言の祝いの宴が開かれる。
お元は長崎奉行に、薩長同盟の動きがわからなかったのかと当たられていた。
その間、龍馬はグラバー邸へ。
うーん、大半の人が歓迎しているとは言え、龍馬がいないとお龍さん、ちょっと不安ですよねー、それに龍馬も心配だし。
龍馬は大浦慶さんたちと再会。

グラバー邸では、高杉晋作が匿ってもらっている。
高杉晋作は、藩からもらった千両で密航して、留学するつもり。
再会を龍馬は無邪気に喜びますが、でも少し、体調が悪いような…。

さて、引田屋ではお元も呼ばれた。
龍馬が結婚したと聞いて、お元の顔色が変わる。
密偵であった自分と、それを見抜いて逃がした龍馬と、何かしら他の人とは違う何かが通じ合っていると思ったのに…。
知らないところで、知らない女性と…、…う、こ、こわい。

にこやかにお酌をしながら、お龍は何をしていたのかと聞くお元。
「寺田屋という船宿で働いていた」と聞いて、「船宿?」と鼻で笑った。
うわ、宣戦布告だ。
ケンカ売ってる。

この謂われない敵意、そりゃわかる。
何で最初から嫌われているの、私。
どうしてか、女性ならわかる。
龍馬が女にもててるっていうのは、こういうことだ。
世間と戦ってきたお龍さんではありますが、こんな心理戦というか、こんな戦いは初めてでしょう。

そこに龍馬登場。
当然のように、お龍の横に座り、アツアツなところを見せちゃう。
お元さん、ムカ。
さりげなく、お元、「龍馬さんは、武家の娘さんをもらうと思っていたので、驚きました」とチクリ。

龍馬は笑って、自分は脱藩浪人なんだから武家とかそんなこと関係ないと言う。
すると、今度はお龍さんが脱藩浪人じゃなかったら自分は選ばれなかったのかとお龍さん。
ああ、そういう意味じゃないんだけど、言葉の端にこだわってしまうのが女心。
片方にすれば、「そうなんだよ!」と言いたいところでしょう。
コワイ。

それでも一応、「これからよろしくお願いします。お龍さん」「こちらこそ、お元さん」と挨拶。
内心、バチバチと火花が散ってる。
「そうじゃ、そうじゃ、仲良くしいや」って、それに全然気づかない龍馬とか、男性陣はいつの時代もこんなものか。
幕府の動きとか、そういうことには敏感でも。

よく言われることだけど、男性、いや龍馬はやっぱり頭の一番働くところで仕事をし、女性たちは頭の一番働くところで龍馬のことを想っている。
彼ら戦士にとって、女性は安らぎ。
だから、女性の戦いにはあんまり、考えが及ばない…。

廊下で、お元と話す龍馬。
お龍さんが看病した手を取り、龍馬は龍馬でお元は、奉行の隠密をまだしちゅうか、と。
「もうやめい。おまんの為に言うとるがじゃ」。
「うちの為?」

こんな言葉、別の女を娶ったあなたから言われたくない!
そーですよね、そーでしょう。
本当に私の為にしてほしいのは、こんなことじゃない!

お前の為、と言われれば言われるほどつらい。
そんなこと、言ってくれる人がいなかっただけに、この人が自分のものじゃないことがつらい、哀しい。
その龍馬の様子に、全然そんな気がなかったことにも、大いに傷つくお元。
私のことなんか、何でもなかったのね、と。

「そいやったら、うちを身請けして」とお元。
例によって、驚く龍馬。
だから、あなた、残酷です。
あんな女が看病した傷なんて大嫌いって何だかわかんないけど、龍馬の傷をひねって去っていくお元。

「痛ーっ」と叫ぶ龍馬。
背後の座敷には、お龍さんが。
うわ、今回は飲んでいる最中に修羅場に居合わせたような、いたたまれなさを味わいました。
もし自分がこの場にいたら、「わ、私、帰る」と言ってしまうかも。

部屋に帰ってお龍さん、「お元さん、龍馬さんに惚れてはるわ」。
まさかあ、と否定し、「ヤキモチかい?おまんにそんなところがあったとはの」と龍馬。
うちにだって…と、嫉妬と不安を隠せないお龍さん。
相手は垢抜けた美しい女性ですからねー。
そこに龍馬、母から貰ったお守り、「希(のぞみ)」と書いてある首飾りをお龍に見せる。

「どんな時でものぞみはある。のぞみがわしを生かしてくれちゅう」。
そう言って龍馬は、それをお龍の首にかける。
うあー、母親のものを譲るって、そりゃもう、言うまでもないこと。

「そんな大事なもん、うち、いただけまへん」と恐縮するお龍に「わしらはもう、ひとつじゃ」。
「おまんも一緒に戦こうて欲しいがじゃ」。
「戦う…?」
「この世の中を変えるゆう、坂本龍馬の希を叶えるために」。

ここまで来たら、自分がやっているヤキモチなんて小さなことだってわかる。
うーん、やっぱりお龍さんには「戦友」みたいな感じがあったのかもしれませんね。
でも、好きな人に対して自分の気持ちを見せて、安心させてくれるって言うのは、すごい誠意だと思います。

女同士の戦いをめんどくさいと思うかもしれないけど、そんなことでわずらわせないようにする配慮と言うか。
女性一人安心させられないようでは、大仕事はできないというか。
薩長同盟も、やっぱり西郷さんや桂さんとの信頼関係がなかったら、裏書さえも信用できないと思いますね。
龍馬は、この人が証人と言って、胸をはれる人だった。

この重要な同盟を結ぶ際に、龍馬と言う男が信頼に足る人物であると思わせることが重要だった。
とすれば、人を惹きつける魅力だけではなく、龍馬への信頼というものは人間関係全般、女性に対しても発揮されて当然ではないかと。
駆け引き云々より、龍馬の人を惹きつける魅力と、人を安心させる人間の大きさ。
まあ、実際には龍馬をめぐる女性たちの感情はいろいろあったし、お龍さんと亀山社中の人の関係も今回描かれているようなものばかりじゃなかったようですが、そこはここでは置いておいて。

一方、グラバー邸にいた高杉晋作は、留学はやめると言い出す。
驚くグラバーを振り切って外に出た高杉晋作。
庭で激しく咳き込み、喀血する…。

ああ、自分は新時代の夜明けを見ることはできない…。
つらい。
残酷です…。
もう、ほんとにね、明治を見ることができなかった志士たちってたくさん、たくさんいたんですよね。

次回、第3部終わり。
龍馬とお龍の日本初の新婚旅行、そしていよいよ最終部です。
しかし、今回はお龍とお元の女の戦いが怖かった。
どんな侍も、こればっかりは怖いと思いますよ。


死んでも良い 龍馬伝 第36回「寺田屋騒動」

第36回、「寺田屋騒動」。


おーっ、ついに来ました。
私の知り合いのように、「お龍さんが走る」のを待っていた人もいるのではないでしょうか!
でもNHKで8時の大河ドラマですからね、限界ありますからね…って何ですか!

さて、何とか解放されて寺田屋にいる弥太郎、ちゃんとご飯も食べられて良かった良かった。
おまん、京で何しゅうがぜよ?と聞くと、龍馬はそんなこと探りに来るようなことは弥太郎には無理だ、と。
はい、私もそう思います。
彼は荒っぽいことに向いてない。

だけど、後藤様に逆らったら弥太郎には生きていく場所はない、いや、そんなのは弥太郎だけではない。
そんな弥太郎に龍馬は、「世の中に新しい仕組みを作る」と宣言。
今や幕府はフランスの操り人形。
ということは、いずれこの日本ごと、フランスのものになる。
だったらもう、幕府に任せておいてはダメだ。

「この国は、大きゅう変わるがぜや」。
そして、高杉晋作に貰った最新式のピストルを持ち、弥太郎に向ける。
ばーん…。

これは冗談、としても、龍馬の話にも、ピストルにも圧倒されて絶句する弥太郎。
龍馬はとてつもない奴に代わり、とてつもないことをしている。
この国は大きく変わる。
弥太郎はその時、何をしていたらいいか、良く考えろと言って龍馬は弥太郎と別れる。

翌日、旅立つ弥太郎は寺田屋のお登勢さんとお龍さんに、龍馬と関わればとんでもないことにまきこまれると忠告。
弥太郎を正面から見据え、「そんなもん、怖いことありゃしまへん」ときっぱり言うお龍さん。
同じく、動じないお登勢さん。

2人を見て、お龍さんを見て、お龍さんの龍馬への思いを見た弥太郎。
「相変わらず女にもてちゅうのう…」。
「え?」
弥太郎にしたら、そんな目をして龍馬を見る女性ばっかり、見ていなくてはならなかった。
そして今も。

この一言に動じなかったお龍さんが動いたのが、女心でしたね。
新撰組も幕府も、恋する女には怖くない。
ただ、龍馬の心だけが怖い。

そして龍馬はどこに行くのか、長崎へ行くとのこと。
薩長が同盟を組んだという噂は、既に京都に流れていた。
そして、その立役者が龍馬であることも。

本当ならば、世の中が変わる。
龍馬は幕府にとって、敵になった。
だから龍馬はもう、京には戻らない、長崎へ行く。
「長崎…」。
あまりに遠い、それは「さよなら」。

お登勢さんは龍馬に、既にお龍ちゃんは覚悟はできていると伝える。
「あの子は、龍馬さんの事が好きで、好きで、たまらんのや」。
それを聞いた龍馬は、あの女性の一生を、自分につき合わせていいものだろうか…と考える。

その夜。
仕事が終わり、お風呂に入るお龍さん。
伏見奉行所の大勢の捕り方が、寺田屋の戸を叩く。
入浴しているお龍さんは、風呂の外の不穏な気配に気づく。

既に寺田屋は、捕り方に囲まれていた。
入浴していた肌に襦袢をまとい、龍馬のいる2階に走るお龍さん。
「逃げて!」
しかし、寺田屋には大勢の捕り方が迫っていた。

龍馬と三吉は戦い、この状況を突破する覚悟を決めた。
戦う気の龍馬。
龍馬はお龍の襦袢の上に自分の羽織をふわり、と着せると、薩摩藩邸に知らせてくれと頼む。
「死なんで!」

龍馬はお龍の頬を両手で覆うと、笑顔で「約束するき、お龍」と言う。
お龍がゆっくり、伏見奉行所の捕り方でいっぱいの階段を下りてくる。
上には、すごくケンカの強い人がいるから、行かないほうがいいと言いながら。

そのお龍に、つかみかかる奉行所の者。
しかし、お龍は負けない。
龍馬と一緒に死んでもいい。
そう覚悟を決めた女性の気持ちは、揺るがない。

「アイラブユー」を「死んでもいい」と約したのは、二葉亭四迷でしたっけ。
日本語でどう当てはめるか悩んだ末のことらしいですが、まさにこのこと。
「龍馬の為に、死んでもいい」。

しかもいくらでも嘘をつける言葉と違って、お龍さんは行動ですからね。
そりゃ、生きて会えたら、この人と一緒になろうと思うでしょう。
この時はもう、一緒になっていたらしいですけど。
佐那ちゃんなら、一緒に戦うでしょうね。

さて、お龍の覚悟の目に「ふん、女なんかどうでもいいか」とばかりに与力はお龍を離し、2階へ進んでいく。
階下に待っているお登勢が降りてきたお龍を抱きしめると、お龍はひっそり「坂本さんは戦う気です」と言う。
この2人も既に親子のよう。
そして、お龍は2階の龍馬たちに集中している捕り方たちを背に、そっと外に出る。

お龍は走る。
薩摩藩邸に走る。
裸足のまま、材木や立てかけてあるものを飛び越え、夜の町をひたすら走る。

なだれ込んでくる捕り方に向かって、龍馬はピストルを向け、空へ威嚇射撃。
一瞬、奉行所の者はひるむが、相手は多数、龍馬は三吉と2人。
どんな時でも希望を失わない龍馬は「ちっくと難儀じゃのう」と言うが、状況は圧倒的な不利。

こういうのは、「必殺」でも何度か見ているけど、捕り方たちは圧倒的に人数を揃えていて、結局逃げられないことが多いんです。
組織の怖さ。
絶望的な状況の中、龍馬は与力を人質に龍馬はピストルを構えて階下へ進む。
龍馬と三吉を取り囲みながら、輪が移動する。

斬り込んでくる捕り方たち。
ピストルを発射する龍馬。
龍馬を逃がそうとする三吉だが、龍馬は1人逃げることはしないと叫ぶ。
絶対に見捨てない。

しかし、龍馬は左の指を切られる。
何とか寺田屋を脱出し、三吉と逃げるが、龍馬は「血が、血が止まらん」と言う。
動脈やら神経やら切りましたか。

必死に走ったお龍は薩摩藩邸に着き、戸を叩く。
出てきた薩摩藩士はうさんくさそうに「何じゃ」と言って、戸を閉めてしまう。
再び、狂ったように戸を叩くお龍。

左手を縛ってもらったものの、龍馬は体力を消耗し、もう逃げられないと三吉と小屋に隠れる。
捕えられるぐらいなら、腹を斬ろうと言う三吉。
彼もまた、死んでも良いと思っている。

それに対して死ぬのはいつでもできる、腹はいつでも斬ることができると龍馬。
三吉に、1人で薩摩藩邸に行かせる。
途中で見つかったら、その時は腹を斬ろう、と。

必ず、戻ってくると言って、出て行く三吉。
途中、見つかったが竹ざおを槍に、何とか切り抜ける。
龍馬は小屋の2階の物置から、天井に出る。
痛みと薄れていく意識の中、屋根の上に潜む。

捕り方たちが下を通る。
もし、自分がダメでも、後は西郷と木戸に任せればいい…。
家族の顔が龍馬の脳裏に浮かんだのか、「兄上」「姉上」と龍馬が口走る。
そして、お龍に、「約束、守れんかもしれん」。

その頃、お龍は薩摩藩邸で火の側に座り、西郷に龍馬の危機が知らされていた。
「坂本さんを死なせたらいかん!」
そこに三吉が到着。
三吉を見たお龍も立ち上がる。

龍馬は?
三吉は薩摩藩士を案内し、龍馬が隠れているはずの小屋へ急ぐ。
しかし、いるはずの龍馬がいない。
屋根に続く隙間を見つけ、三吉は意識のない龍馬を見つける。

龍馬が戸板に載せられ、運ばれてくる。
意識はない。
「目を、目を開けて!」と、お龍が叫び、すがりつく…。

非常事態を乗り越えた龍馬とお龍は、これで決意するんですね。
お龍は一緒に死ぬことを選び、龍馬はお龍を自分の運命に、巻き込むことを決意した。
どこまでも一緒に行くことを決意した2人。

え、と、でも本当はこの時はもう、一緒になっていたんですよね?
ま、今、ここを追求する方が野暮!と言われそうな出来でした。
しかし、この回、龍馬とお龍の気持ちがグッと結びつく経緯と、そして寺田屋事件そのものが非常に緊迫感を持ってドラマチックに仕上がってました。
いやー、女性たちの一途な思いも見ていて良かったし、危機感溢れる龍馬の逃亡劇もみごたえありました。

余計なことを思うと、新撰組というのは本当に実戦に強いし、人を斬ったり捕縛したりするのは上手かったんだろうな、と。
きっと、逃げることは大変だったんだろうと思いました。

龍馬と三吉の絆、龍馬とお龍の絆、龍馬とお登勢の絆、お龍とお登勢、それぞれの揺るがない絆も描かれていました。
やっぱり、京都に舞台が移ると、相当動きが出ますね。
これは、何度見ても良い回だと思いました。


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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