も~、今さら書くなんて、と自分でもあきれるほど、「必殺仕舞人」です。
第10話です。
秋田です。


今回、秀逸なのは直次郎の表情。
怒りから悲しみ。
そして、「必殺」らしい、事件の結末はつけたけど人の心が救えたわけじゃないことを思い知る苦いラスト。

前回、沖縄から今度は秋田へ。
津軽から秋田へ、じゃないんですね、すごい移動ですね。
日本中、飛び回ってますね。
これ、見ている方は1週間だけど、何か月もかけてるんでしょうね。


山中、農民が数人、斬り捨てられている。
村人たちが走って行く。
その中に夫の遺体にすがって泣く村娘・さとの姿があった。

さとの夫は直訴状を握り締めており、兄の冶三郎がその遺体から血に染まった直訴状を取る。
その様子を一座より一足早く寺に向かう為、通りかかったおはなが見ていた。
兄が止めるのも聞かず、さとは寺に駆け込む。

夫の仇を討ってほしい、誰が村人を殺しているのか突き止めてほしいと訴える。
寺にやってきた川越藩の侍は、庵主に何を訴えてきたのか話せとせまる。
しかし庵主は、それは殿の命令と言えど話すわけにいかないと突っぱねる。

夜道を行く一座の前に、行庵寺という提灯を持ったおはなが迎えに来る。
おはなは晋松からの伝言だと言って、京山に行庵寺でひとつ舞うことになったのを知らせた。
が、しかし寺に庵主がいない。
直次郎がおはなに合図すると、鎌倉から早飛脚で来た文を持って晋松がやってくる。

用心深く見張りをする直次郎。
文には秋田の行庵寺に立ち寄って、訴えを聞いてほしいとあったのだが、今、庵主がいないことにはどうにもならない。
おはなはここに来る途中、直訴に出た者たちがむごい殺され方をしたのを目撃したと話す。

秋田藩は、長岡にお国替えになる。
代わりにやってくるのは、川越藩。
秋田の佐竹の殿様は、名君。

百姓は国替えだからといって、殿についていかれない。
国替えを嫌がった百姓たちが佐竹様に秋田を去らないでくれ、直訴しようと騒いでいる。
直訴と言っても、窮状を訴えるだけではない。
「ふむ、そういう直訴もあんのか」と、つぶやく直次郎。

だがこれが、将軍の耳にでも入れば、今度やってくる川越殿や藩の立場がなくなる。
くれぐれも騒ぐ女たちに同調したりしないよう、庵主は川越藩の侍に釘を刺されていた。
一方、秋田に国替えになる川越藩の殿は喜び、森藤左エ門に国替えの件を一任した。
森は「何としても自分は秋田へ行かねば、もうすぐこの川越にもいられなくなる」と、よねという女と竹田、儀右衛門を秋田の百姓たちに潜入させる。

京山は晋松に誰がこの直訴状を書いたのか、誰が百姓を殺しているのか調べて欲しいと言う。
その夜、寺におさとがやってきた。
直次郎は夜道、確かに誰かが自分たちにくっついてきたと言い、「男の癖にと言われるかもしれないけど、ほんと、俺、怖いの」と言う。

「こういうのが出てくんじゃねえかなあ」と、直次郎がおどけて着物をかぶった時だった。
そのシルエットが、外から見てまるで庵主のように見えた。
「庵主さま」と、おさとが話しかける。
京山は直次郎にそのままでいるよう指示し、自分はさとの姿を見る為に庭にこっそり出た。

おさとは「直訴人の夫を殺された、さとです」と言い、「誰が殺したのかまだわからないのでしょうか」と聞いた。
庵主がいなかったのは「江戸に訴えに行ってくれたからですか」と言い、兄がまだ江戸にいる殿に直訴状を出すと言っていると話す。
何度でも、何人殺されても。

殿に自分たちの気持ちをわかってもらえるまで、決してあきらめない。
「お願いです。助けてください」。
寺の明かりが消え、庵主の姿が見えなくなると、おさとは出て行く。
「おいらを庵主と間違えてやんの」と言う直次郎に「あれじゃあ、庵主が逃げ出すわけだ」と京山は言う。

直次郎は何だかこの土地は験が悪いから早く江戸に行こうと言うが、京山は放置できない。
晋松が宿場町にいると、2人の男女が顔を見合わせながら一軒の宿に入って行った。
森から命令を受けたよねと竹田であり、他所の土地から逃げ出してきた逃散者として2人は百姓たちの中に入り込んだ。
いわば、民衆を惑わす為の工作員。

盛りに2人は見て来たことを報告する。
報告によると、百姓たちは直訴はあきらめない。
森は不穏な噂を振りまいて、彼らを疑心暗鬼にさせろと命令した。

中から瓦解させる、仲間割れをさせる。
そして山越えするものは、絶対に叩き斬って直訴を阻止する。
京山一座は町で興行のチラシを配るが、土地の者はまったく相手にしてくれない。

誰も来ない舞台では、一座の娘たちもやる気が出ない。
京山はおさとが気になるので、おはなを様子見にやった。
墓参りをしているおさとに、よねと竹田が逃散者と言って近づき、ここに来る途中、侍が百姓を斬るのを見たと話した。

その侍は城に入って行った。
つまり、秋田藩、佐竹の殿様が斬らせているのではないか。
「城の侍に斬られたのか」とおさとは夫の墓に話しかけ、兄の冶三郎にこのことを話した。

信じられないと言う兄だが、逃散者の夫婦が見ないことを言うはずはないとおさとは主張する。
佐竹の殿様たちは自分たち百姓は一揆を起こそうとしている、と思っているのだろうか。
このことをおはなが京山に報告すると、晋松はこの逃散者は、おそらく川越藩の者とつるんでいるのだろうと言う。
晋松は一軒の宿屋に川越藩の侍が何人も出入りしているのを見ていたが、その中に逃散者を名乗っている2人がいるのも見ていた。

秋田は豊かな土地だ。
川越藩としては、無理してもほしいのだろう。
今度の仕事、藩が相手では、娘たちは一足先に発たせた方がいい。

だが、おはなには残って手伝ってもらわなければならない。
直次郎は、一座がおはなを残して旅立たせるように娘たちを言いくるめるように言われる。
京山は直次郎と一緒に、娘たちを秋田から出したら戻ってくる。

直次郎と京山は山を越えて、秋田を出ようとするが、鋤や鍬を持った百姓たちに途中で囲まれる。
京山は、自分たちは手踊り一座のものと紹介したが、百姓たちは一座を連れて行ってしまった。
閉じ込められた家に、無愛想ながらも、おさとがちゃんと握り飯を持ってくる。

森の命令を受けた竹田たちは領内で、あることないこと、不穏な噂や佐竹の殿様の中傷をふれあるいた。
おはなは、それを聞いていた。
佐竹の殿が、城から金を運び出すという噂を聞いた百姓たちは、一座を装った娘たちがそれを隠して持ち出しているのではないかと京山一座の荷物を改め始める。

娘たちの荷物を調べていた冶三郎が手にしたものを見て、直次郎が目を見開き「やめろ、この野郎。さわるな!」と詰め寄る。
丁寧に巻かれて包まれ、赤いヒモで結ばれた長細いものを、冶三郎はまじまじと見る。
それは直次郎の長ドスだった。

詰め寄ろうとした直次郎は京山に「ケンカはおよし」と頬を張られ、渋々と引き下がった。
直次郎の長ドスを見つめた冶三郎は、「これは…、俺が預かっておく」と言った。
その夜、直次郎はこっそり小屋を抜け出そうとしたが、見つかった。

直次郎が連れて行かれそうになった時、「勝手なことをするんじゃないよ」と京山が出て来て直次郎を叱った。
その時、城に詰め切りになっていた庄屋が帰って来た。
庄屋は京山に非礼を詫び、しかし今は物騒なので領内で成り行きを見た方が良い、と忠告し、京山はそうしますと応えた。
一座はまた寺に戻ってきたことをぼやいたが、直次郎は娘たちに何か買ってくると言って、影に潜んでいるおはなのところに行く。

おはなが庄屋の家に百姓が集まっていると言うと、直次郎はそのまま走る。
庄屋の家には、逃散者を装った2人もいた。
冶三郎は「もう一度、直訴する、誰か一緒についてくるものはいないか」と聞くが、茂吉たちを斬ったのも誰かはっきりしないうちに無茶だと言われる。

だが、冶三郎は佐竹の殿を信じる。
みんなも信じないことには、この先、何もできないのではないか。
いっそのこと、長岡についていくというのはどうだろうと提案した。

しかし、おさとは長岡にも自分たちのような百姓がいる、と言う。
第一、10人が行くと言えば、みんな行くと言うだろう、百姓全部の移動はできないと答える。
その時、逃散者を装った2人が口を挟んだ。

みんなはちょっと、人が良すぎるのではないか。
城にいる人間は、ここにいる人間とは違う。
腹の中はよくわからない。
だから、自分たちは逃げ出してきたのだ、と。

庄屋は自分も直訴に行くと言った。
佐竹の殿に、どうしても国替えしてほしくない。
今の暮らしを壊したくない者は、ついて来いと言った。
その会話を、直次郎は床下に忍び込んで聞いていた。

よねと竹田は、早速、森に庄屋が直訴に江戸に行くと報告する。
百姓たちの代表であるこの集団を殺せば、しばらく直訴はあるまいと森は踏んだ。
早く秋田へ行かねば。
川越で自分がやってきたことがばれたら、森は切腹だ。

その日、庄屋と冶三郎を含む集団が山を越えようとしていた。
冶三郎の手には、直次郎の長ドスがしっかり握られていた。
直次郎は京山にこのことを話し、「一揆だ直訴だと騒ぐ割りには、コロッと心変わりしやがって、よう」と寝転がる。
「人間だもの。迷わないほうがおかしいよ」と、京山は百姓たちに理解を示す。

「あいつら、ちゃんと行けんのかな」。
つぶやく直次郎に「心配ならひと走り、様子を見ておいでな」と囲炉裏の前の京山は言う。
直次郎は起き上がり、走っていく。

よね、竹田、儀右衛門の3人が峠で、刀を抜いて待っている。
庄屋たちがやってくる。
道の下に潜んでいた3人が、庄屋たちを挟み撃ちにして、次々斬り殺す。
直次郎の長ドスを抱えて、冶三郎は1人、道をはずれて山中に逃げ込む。

振り返り、振り返り、冶三郎は逃げる。
だが、竹林で儀右衛門に追い詰められた。
刃から逃げながら、冶三郎は手にしている長ドスを見つめる。

冶三郎は切羽詰って、長ドスを抜く。
悲鳴をあげながら、長ドスを手に儀右衛門に向かっていく。
だが、振り上げたドスは儀右衛門にかすりもせず、冶三郎は斬られる。
仰向けに倒れた冶三郎に、儀右衛門がトドメを刺す。

冶三郎が悶絶して、長ドスを握り締める。
辺りを見回して、儀右衛門が去っていく。
少し遅れて、直次郎が走ってくる。
竹林を降りて、まだわずかに唇が動いている冶三郎に近寄る。

長ドスを握り締めている冶三郎の手を取ると、直次郎は丁寧に冶三郎の手をはがしていく。
なかなか手が離れない。
直次郎は顔をゆがめて、1本1本指を開かせる。

今度は直次郎が、長ドスを握り締める。
ギリギリと言う音をさせて握り締めて、目を閉じる。
目を開けると長ドスの刃を見上げて、小さく「ちきしょう…」と目を血走らせる。

庄屋の家に、直訴の集団の遺体が運び込まれる。
おさとが「ひどい!」と悲鳴をあげる。
百姓たちは背を向け、うつむいていた。

日が沈む中、京山が戸を閉める。
真っ赤な日が刺している中、京山が仕事料を置く。
立っている晋松が拝むようにして、それを受け取り、出て行く。

晋松が出て行くと、直次郎が動く。
腰を低くして小判を受け取ると、手の中に入れて何かを決心したように出て行く。
おはなも一枚、京山に手渡される。
京山の顔を見て、おはなは両手で受ける。

夜、黒尽くめの京山が3人が潜んでいる小屋に向かって、細い渡しを歩いていく。
闇に紛れて、屋根の上を直次郎が動く。
口元を隠し、道中合羽の中に顔を隠す。

戸が開き、よねが水汲みにやってくる。
水の向こうに京山がいる。
よねの桶の水面に京山が映った瞬間、よねが刺される。
声も出さず、よねが倒れ、水桶が引っくり返って音を立てる。

「おい」。
異変に気づいた竹田が出てくる。
戸口の上の直次郎が、ゆっくりと立ち上がる。
竹田が刃を抜いて、辺りを見回す。

直次郎が一気に道中合羽を翻して、飛び降りてくる。
真上に構えた長ドスを、竹田に向かって振り下ろす。
竹田が倒れる。
直次郎が長ドスを収めた時、背後から儀右衛門が襲いかかってくる。

刃をかわしながら、直次郎は姿勢を低くして小屋の中に逃げる。
囲炉裏の鍋が揺れ、煙が立ち昇る。
儀右衛門が気合とともに直次郎に刃を振り下ろし、直次郎がさらに奥に姿勢を低くして走りこむ。
長ドスに手をやり、儀右衛門と向き合って直次郎も構える。

少しずつ、直次郎が横に握ったドスを頭上に上げていく。
儀右衛門の背後で、京山が長かんざしを手にする。
掛け声とともに直次郎が斬り付け、避けた儀右衛門がかわす。

儀右衛門が刀を振り回し、直次郎が再び姿勢を低くして避ける。
仰向けになった直次郎が、長ドスを横にして儀右衛門の刀を受ける。
じりじりと儀右衛門が直次郎に刃をつけようとする。

直次郎が、儀右衛門を蹴飛ばす。
障子まではじかれた儀右衛門の背後から、京山が首を刺す。
ふらふらと歩き出した儀右衛門を、直次郎が横に払って斬る。
儀右衛門が倒れる。

晋松は1人、眠っている森の寝所に忍び込む。
静かに戸を開け、眠っている森の横で縄を用意する。
縄を手繰り寄せるように構えると、森の呼吸を手をかざして確かめる。

突然、晋松が布団の上から森に当身を食らわせる。
おどろいた森が跳ね起きると、その首に縄がかけられる。
一気に縄をまわすと、金具を引き抜く。
倒れた森に、晋松が布団をかける。

翌日、やっと江戸に帰れるよと一座の娘たちが弾んでいる。
そして、一度で良いから地元で踊っていこうとおはなが言う。
「そうだねえ」と京山が同意すると、一座は町に出る。

1人、うつむいて歩くおさとの耳に秋田音頭の旋律が入ってくる。
町の者が走っていくのを見て、おさとも広い通りに出て行く。
京山たちが踊っている。
「みなさんもご一緒に。嫌なことは忘れて」という京山の声で、群集が踊りに加わる。

音頭を取っていた直次郎が、おさとに気づき、手を引いて踊りの輪に連れてくる。
だが、輪の中でおさとは耳を塞いでしゃがんでしまう。
踊る輪の中でおさとは立ち上がると、直次郎を見る。
後ずさりしながら、輪の外に出て行く。

うつむいて背を向けるおさとを、直次郎が見ている。
おさとが直次郎を振り返って見る。
唇を噛み締め、怒りと悲しみの表情のおさとが背を向けて走り去る。
直次郎は、おさとの背を見ている。
去って行ったおさとの後を数歩、追いかけようとしたが、そのまま音頭を取って踊りの輪に戻っていく。



いや~、ラスト、やるせない。
このやるせなさが、必殺!
それで、私、なぜかこのシーン、昔に見たのを覚えている。

夜道を行く直次郎は、娘たちに「出るよ。確か2年前も出たんだよ」と言う。
なのに、おはなが迎えに来た提灯見て一番怯えてる。
そして、庵主がいない寺で鍋作りながらまた、「花の都お江戸で2年ほど板前をしてたことがあんのよーん」と言ってみる。
殺しの時と、ギャップが大きい。
なのに、不自然さがない。

おはなは残らなきゃいけなくなって、案の定、娘たちは何故おはながいないのか、一緒に旅立たないで残るのか、直次郎に聞いて来る。
上手い理由が見つからず、「違うのよ、コレなのよ、コレ!」と直次郎は苦し紛れに、親指を立ててみる。
一座の娘たちは「え~!う~そぉ!」と騒いだけど、京山が「ほんとだよ。直の言う通り」と言う。
「こちとらフラレちゃったよ」と出て行く直次郎を引っ張った京山は「下手な言い訳だねえ」と呆れる。

「だってすぐに考えつかねえもんよ」。
あの後、おはなは相当、娘たちに問い詰められたと見た。
直次郎の言い訳の下手さは、百姓たちに捕えられて、抜け出そうとした時も同じ。

「どこへ行く!」
「いや、おいらずっと、旅してきたわけだよね」。
「旅がどうした」。
「だから…、わかんねえかな」と言って小指を立てた直次郎は「コレ買いに行きたいの、たのんます」と言った。

理由は「コレ」しか、思い浮かばないらしい。
「女なら小屋にいんじゃねえか!」と言われて、「身内は気が乗らねえの」と答える。
これは何となくわかるんだけど、やっぱり、「何だか、くせえな」と言われてしまう。
「よし、連れて行くか」と言われて、京山が助けに入る。

だけどお百姓たちが、娘たちの荷物を引っ掻き回した時は怒った。
そして、自分の長ドスを持った時はもっと怒った。
3話で京山に長ドスがないと何もできないんだろと言われて、まるで子供の毛布みたいにうろたえて取り戻して抱きしめてたけど。
あの時は臆病な直次郎の、いわば毛布みたいなお守りみたいなものだと思ったけど。

考えてみると、命を預け、人様の命をいただく長ドスなんだから安易に触れて欲しくない気持ちはわかる。
そんな軋轢があっても、彼らが無事か気にかかってしかたがない。
前回の琉球を同じく、百姓たちに理解を示すのは京山。

そしてちょっとひと走り行って見つけたのは、自分の長ドスを握り締めている冶三郎の死体。
ふと思い出したのが、包丁を洗っていて、指を傷つけたこと。
感覚的にわかる人には、嫌な話でしょう。
前、「切っちゃったー!」と写メ送ってきて、私を「ギャー」と言わせた人がいましたしね。

フードプロセッサーかなんか洗っていて、手を切って、出血が止まらないので救急車呼んじゃったのもいた。
病院行くまでもなく、救急隊員には「止まりますよ」と言われたそうですが。
こういう人間がいるからいけないんだよねと、しょんぼりしてました。
いや、とっても常識的な人なので、ビックリするほど出血したんだろうと思いましたけどね。

自分もドラマでは物騒なもの見るし、書くけど、実際には指切っただけで「ギャー、コワイ」とか言ってる。
包丁でもこれなんだから、日本刀とか長ドスとか匕首とか、ほんとーに!すごい殺傷能力あると思う。
武器だ、危ないよ、痛いよ。
当たり前?

だから長ドスを持ったものの、何も出来ない冶三郎がよくわかる。
怖くて震えて、一気に自分を追い込むしかない直次郎の気持ちもわかる、ような、気がする。
ドスなんかと縁がない生活をしていた冶三郎がおそらく、追い詰められて必死に抜いたであろう直次郎の長ドス。
何度も自分を守ってくれたドスを握り締めて、虫の息の冶三郎。

これを見た時の、直次郎の表情がすさまじい。
閉じた目を開くと、一気に目が血走っている。
ドスの刃を見上げて歯を食いしばり、震える。
怒りが抑えられない。

仕事料を受け取るシーンの、夕焼けに照らされ、オレンジに染まる部屋が美しい。
殺しの時、静かに怒りを充満させている直次郎。
冶三郎が斬られたのと同じ、真上から振り下ろした刃で相手を斬る。
相手は3人、1人は京山に始末されたが、残る1人が直次郎の背後から襲いかかる。

一発勝負の直次郎の殺し。
斬った後は、もう一度、長ドスは収めて仕切り直し。
奥に、奥に逃げ込んでいきながら、相手と対峙し、長ドスを構えなおす。
ちゃんとした剣術を習ったであろう相手の刃を受け止めて、京山との連携プレー。

晋松の殺しも相手の眠っている息遣いを確かめて、当身を食らわせて起こして縄をかけるなんて凝ってる。
そして、ラスト。
夫を失い、兄を失ったおさとには、事件が解決しても笑顔がない。
直次郎が輪に誘うが、楽しそうな群集の輪には入れない。

悲しみと怒りの表情で直次郎を見て、おさとは逃げて行く。
おさとの気持ちを晴らそうとした直次郎が、それを見送る。
数歩、追いそうになる。

だけど、しかたない。
救えないのだと悟ったように、笑顔で音頭を取り続ける。
このラストの苦さ。

「水戸黄門」などにはないラスト。
仕舞の仕事の、これがやるせなさなのだと悟ったように明るく振る舞う直次郎。
この仕事を重ねていくと、段々わかってきてしまう。

確かに自分たちは恨みを晴らす。
そうしないと浮かばれない人たちがいる。
でもそれだから、救えるというものではないのだと。

こういう苦さが、自分が必殺が好きの理由の一つかも。
そういえば味覚で、苦さをうまいと思えるのは大人。
子供は苦さをうまさとは、認識しないと言われたことがあります。

自分でいえばコーヒーをうまいと思ったのは、学生ではなくなってからでした。
それが今では、ブラックですから。
エスプレッソ大好きだったりしますから。
大人になったどころか、人生後半のことを真剣に考えなくてはいけない年齢ですけど。

さて、やっと江戸に帰れる!
そう言ってますけど、次回は江戸ではなく、紀伊なのだった。
何故。


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2016.11.29 / Top↑
今、「必殺仕舞人」を見ていて、惚れ惚れするのは京マチ子さんの美しさです。
初めて見た時は、何といっても子供というか、あまりに未熟者だっただけにわからなかった。
遥か年上のため、その魅力は良くわからなかった。
しかしこの人は、若い頃、誰もが振り向くものすごい美女だっただろうということはわかった。

今見ると、この年齢でこの美しさを保つこと自体が、脅威であることが良くわかる。
加えて踊りの美しさ。
踊っている一座の娘たちもはつらつと踊っているが、群を抜いて踊りが綺麗。
京マチ子さんが中心にいると、本当に花が咲いたようになる。

あの山田五十鈴さんの仕草も美しいが、京マチ子さんも美しい。
山田さんがのれんをちらりとめくる時の、指先が艶めかしい。
京マチ子さんもまた、階段を上がる時、お座敷に呼ばれて手を揃えて挨拶する時。
指先がとても艶めかしい。

立ち姿、少し体を斜めに立つ姿が美しい。
肩先がとても華奢。
着物の裾に添えた手にまで、神経が行き届いている。

そう言えば、草笛光子さんも美しかった。
品格があった。
加えて彼女たちは厳しく、芯が強いが、人に対する優しさがある。
人生にいろんなことがあったことを思わせる。

それが糧になり、人に対する優しさになっていることを思わせる。
だから厳しくても、彼女たちは慕われる。
男性から見ても、女性から見ても魅力的。
どちらから見ても、「いい女」だなあという言葉がピッタリ。

「必殺」の殺し屋の女性たちの仕草の美しさ。
妖艶さ。
素敵な女っぷり。

市原悦子さんが「うらごろし」で「おばさん」と呼ばれる役を演じていますが、彼女だってたおやか。
決して、女性を捨てているわけじゃないということがわかる。
それらを的確にとらえ、表している撮影スタッフの力もすごい。

昔読んだマンガ「ガラスの仮面」で、なぜ、日舞を習うかと説明しているシーンがありました。
踊るわけじゃないんだ。
指先まで神経が行き届いた美しい姿、着物の時の動きを習う、と、そんなことを言っていたと思います。
まさにそれだと思います。

あまりに未熟な時はわからなかった、彼女たちの美しさ。
やっぱり、基礎がしっかりしているということは強いことなんだな。
こういうのが残っていて、本当に良かった。
彼女たちもまた、まさに日本の美だと、「必殺」を見て思ってしまうのでした。


2016.11.11 / Top↑
「仕事屋稼業」が終わって、翌日から「必殺橋掛人」。
これ、全然見たことないんです。
てんで、ほんと、存在さえ知らなかったから、ちょこっと調べたりしました。

津川さんが殺し屋側を演じてたことも、ちょっと前まで知らなかった。
宅間伸さんが「必殺」経験者だったことも、知らなかった。
万田久子さんと斉藤清六さんが夫婦役だったことも、西崎みどりさんが出てたことも…、ってしつこい。

それで、今日見てたら、ゲストが本田博太郎さんだった。
しかも、妻役が竹井みどりさん。
さらに本田さんの役柄が、漁師だった。

本田さんは「仕舞人」では直次郎、竹井みどりさんは直次郎が「あんな女、嫁にしてえんだよな」と言った漁師の網元の娘。
意識してキャスティングしたと思われる。
「仕舞人」見ていた人へのサービスかな。

そういえば西崎みどりさんは「仕舞人」の最後で、尼僧になったんでした。
ここでは尼僧ながら、父の残していった裏稼業の依頼を引き継ぐ。
こりゃ、「仕舞人」見ていた人はニンマリ…の設定だったかも。

「仕舞人」の時は娘には既に漁師の婚約者がいて、しかも悲劇に見舞われた。
今回は直次郎が3話の音松みたいに真面目で、追い詰められていて、漁師だったらこうなった。
…そりゃ、こじつけすぎ。

本田さんと竹井さんの2人、「火曜サスペンス劇場」では科捜研の技官と、保険金詐欺の犯人だったじゃないかー。
じゃあ、あの物静かな技官は直次郎がどうなってああなるのだ。
って、自分で自分に突っ込み入れるよ。
竹井みどりさんは、どっちでも悲惨でした。

捕えられた妻の為、借金でがんじがらめになっている夫は最終的に悪事に加担させられる。
それを心配し、止める直次郎のポジション・新吉は宅間伸さん。
しかし、直次郎だって妙な親分さんに拾われていたら、人が良いだけに悲惨なことになったかもしれない。
一寸先は闇と思わせてくれる「必殺」世界なのだった。


2011.05.13 / Top↑
忘れてないの、忘れてない。
「仕舞人」書くの、忘れてない。


琉球が舞台の10話。
見ていて、あるある、この話、断片的に記憶がある!
「仕舞人」だったのかー、とちょっと感激。


この頃、琉球では人頭税なるものが薩摩藩から重くかせられていた為、妊婦は人減らしの為、飛べるはずのない崖を飛ばされることになっていた。
だが、1人の村娘・クバは無事、飛んでしまう。
喜びに輝くクバだったが、村人は「何故飛んだ!」「掟を破ったな!」と間引きの掟から逃れてしまったクバを責める。

京山一座は海岸を行き、女郎といちゃついている晋松に出会う。
晋松の相手は、琉球出身の女郎だった。
「今度の仕事に役に立つと思って」。
「じゃあ、今度の仕事は琉球で?」

依頼人はクバ。
島津奉行を討ってくれと言うのが、クバの依頼だった。
クバは身重の身で1人、琉球から渡ってきて、かけこみ寺で寝込んでいる。
うわごとで「知念」と夫の名を呼ぶ。

知念は琉球でクバの夫だったが、知念がいてくれればそれでいいと言うクバに、傷口をなめあうようなそんな幸せはダメだと言い、役人の試験を受けると言った。
まともな侍になって、島津から島を守る。
自分たちの子供が大きくなる頃には、自分で作ったものは自分で食べられるようにする。
だが本土に渡って2ヶ月目、クバは妊娠に気づいたが、夫からの頼りは途絶えたままだった。

もしや、知念に何かあったのでは。
しかし、晋松が女郎で琉球出身の女郎に聞き込みしたところ、琉球の苦しみはヤマトなんかには比べ物にならないと言う。
女郎に知念を知っているかと聞くと、「知ってるよ、あの豚野郎だろ」という答えが返って来た。

知念は島の衆の苦労を知っていながら、琉球を捨て、逆に食い物にしている。
琉球館へ行けばわかるが、名前も琉球の名前を捨て、大和知之助と名乗っていると言った。
そこまで言うと女郎は、何か思い出したのか、「嫌だよ」と言って晋松にしがみついて泣き始めた。

病が癒えたクバもまた琉球館へ行くと、知念は琉球名を捨て、今は知之助と名乗っていると教えられた。
さらに知念は人頭税を視察に行く島津奉行の供で、琉球に行った後だった。
あっという間の出世で、噂では出世競争の相手を闇討ちしたとのことだった。
事情を知ったクバはフラフラと歩き出し、見ていた直次郎は京山に知らせに走る。

クバは山で首を吊ろうとしていたところ、京山が見つけて止める。
自分にも子供を失い、頼りにしていた男が裏切ったつらさが痛いほどわかると京山は言う。
死のうとするぐらいなら何故、身重の体で海を越えたのか。
クバは自分は間引きの掟にそむいた為、隠れて暮らすしかなくなったのだと話す。

飛べたのは、魔性の女だからだと島民にそしられ、知念にどうしても会いたいと海を越えたが、子供は無理の為、流産してしまった。
庵主は瀕死のクバに、お金で女の恨みを晴らす存在があることを話してくれた。
クバは知念が憎い。

知念が裏切ったのは、自分だけではない。
琉球そのものを裏切ったのだ。
だから、憎い。

自分が今生きる意味は、知念に会うこと以外ない。
それは地獄だと、クバは言った。
地獄、か…。
クバの話を聞いた京山が遠い目をする。
「その思いがあるうちは死ねませんよ」と言う京山。

京山は一座が琉球へ渡るので、クバも一緒にそっと帰ったらどうだろうと提案した。
土地案内についてきてくれると、とても助かる。
クバとともに琉球に渡った一座が、宿を頼む島長の家に案内される時だった。

ほら貝の音が響き渡り、島民たちが我先にと必死に走ってくる。
クバは耳を塞ぎ、車の下で縮こまる。
京山が聞くと、この島の掟で、ほら貝の音を合図に作られた門をくぐって門で区切られた中に入る。
入りきれない者は、口減らしに遇うという。

京山と直次郎が見ると、島民たちが先を争って門の中に入る。
倒れた老いた父親を、息子が助け起こして走り、中に入る。
与力が見ている砂時計の砂が、なくなる。

「ようし」と言う合図で縄が切られ、竹で作った門戸が落とされる。
入れなかった島民が、絶望で膝をつく。
門の中に入れなかった島民が、次々と斬られていく。
母親だけは助けてくれと哀願した男も、母親とともに斬られた。

その男を斬った役人が顔を上げ、笠の下から顔が見えた。
「知念」。
「知念だ」と島民から声が上がる。

陰に潜んでいたクバが立ち上がる。
走って行こうとしたクバを直次郎が、「ダメ!」と押しとどめる。
「知念、ヤマトんちゅうの手先になったか!」
島民が声をあげる。

「なっちゃ悪いか」。
与力が「お前らもせいぜい、知之助を見習え。仕えたいものはすぐに来い。我々は当面島長の家に逗留する」と言い残した。
クバは直次郎が押し留めるにも構わず、「行かせて。あたしが行かなきゃ誰が行くの」と飛び出した。
島民はクバを見て、「クバがいるぞ」と騒ぎ、かばった直次郎とクバを取り囲んだ。

京山が来て、自分たちは江戸から来た旅芸人で島津の役人とは関係がないと説明したが、本土の人間がめったに来ない琉球に来るなんて島津の手先に違いないと言われる。
そしてクバにも亭主とつるんで、ヤマトに通じていただろうとつめより、いなかった間はヤマトに行っていたなと言う。
本土に行ったことは本当の話である為、クバがうつむくと、島津も京山たちも呼び寄せたのはクバだと島民は叫ぶ。

島に災いを呼ぶ魔性の女と言われたクバは逃げ出し、島民はクバを追いかける。
島民の中にいた京山を心配した一座の娘たちがやってくる。
こうなったら、島津奉行たちの中に入るしか仕事の方法がない。

その夜、京山一座は島津奉行たちの前で舞を披露した。
島津奉行の剛之介は、島長の娘のマヤに目をつけていた。
楽屋で飯をかっこんでいた直次郎はひそかに晋松と接触し、クバがいなくなったと言うと居所だけは突き止めておくよう言われる。

本土の海と色が違うと、一座の娘たちは海でおおはしゃぎしていた。
直次郎が、クバの隠れ家は、いなばの祠だと知らせに来た。
今のところ、島民も遠巻きにして見ているだけだ。
京山に言いつけられて、直次郎が見に行く。

島津の役人たちの前で、京山たちは琉球民謡を舞っていた。
その前で、島津奉行はマヤに言いより、マヤは逃げた。
知念は奉行に、近いうち、必ずマヤは手に入れて見せると言った。
美しく舞いながらも、京山とおはなが、それを見ていた。

1人、部屋にいる知念の耳にユンタが聞こえてきた。
庭に入り込んだクバが歌っていたのだ。
クバを追って、知念がやってくる。
小屋に入った知念は、いつもここでクバは髪をすいていた、と言い、「また昔どおり一緒に暮らさないか」と話を持ちかけた。

もうすぐ、自分は奉行から褒美を貰う。
マヤを奉行に差し出し、人頭税を増やすいい考えもある。
自分といれば、良い暮らしができる。

そう言う知念に、クバは鎌で襲い掛かる。
しかし、「こんなことだろうと思ったよ」と知念にあっさりかわされてしまう。
クバは今言ったことをみんな、島渡しのことも、全部島民に言ってやると言った。
だが、知念は島民は掟を破ったクバの言うことなど信じないと言う。

知念はクバが持っていた鎌を奪い、クバを殺そうとしたが、小屋に潜んでいた晋松が知念に背後から網をかぶせてクバを逃がす。
首に縄がかかった為、咳き込んで倒れた知念はクバの残した櫛を忌々しげに見つめる。
翌日、浜にいる一座の元にマヤがやってくる。
父親と2人だけのマヤは、にぎやかな一座に入りたいと言うが、飯炊きのおまつが誰かがこちらを見ていることに気づく。

離れた木の下から見ていた男に気づくと、マヤは頬を染めた。
「マヤ」と名を呼ぶのは、恋人の栄進だった。
それを見て直次郎が、「何だ、いるんじゃないの。気ぃ持たしちゃって」と冷やかす。
「島を離れるわけ、いかねえなぁ」。

「行っておあげなさいよ」。
「あたしたちが恨まれちゃうわよ」。
娘たちがマヤをうながす。
恋人同士は、幸せそうだった。

その頃、知念は島長に小判を投げ出していた。
島渡しをやりたいと言う知念に、島長はお前とは違う!と突っぱねた。
「島を売ることは、絶対にできん」。
そう言った島長を、島津奉行は刺し殺してしまった。

「死体でも使いようはあります」と知念は言った。
昼寝をしていた直次郎は、浜を必死に走ってくるマヤに気づく。
その必死な様子が気になって尋ねると、栄進から父親が神隠しにあったと言われたのだと言う。

知念は島民を集め、自分が島の為に侍になったことを証明すると言った。
島民がざわつく。
知念は、今度の視察で、知念は与那国の南に一つ、島があるのを見つけた。
土地も豊かだし、泉があって、水不足の心配もない。

その島のことは、奉行には言わないでいる。
島で採れるものは、島津に持って行かせない為だ。
嘘だ!と叫ぶ島民たちに知念は「信じたくない奴は来なくて良い、今の暮らしに満足している者はここに残れば良い」と言う。
草の陰で、おはなが聞いている。

本当にひえも粟も自分たちのものになるのか、と島民たちがその気になりかけた時だった。
「騙されちゃダメだよ!」と、クバが走ってくる。
「知念は男たちを島渡しにして、マヤを奉行に差し出す気なんだ」。

クバの叫びに、島民が知念に向かって本当かと詰め寄ったが、知念は「どちらを信用するか自由だが、島に渡るのは男だけじゃないぞ。女子供も、島中、みんな一緒だ」と平然としていた。
それを聞いた女たちが、子供と手を取り合って喜ぶ。
島民たちは集まって、相談し始めた。

今の暮らしよりは、マシではないのか。
死ぬとしても、変わらない。
行ってみようか。

もしクバの言うことが本当なら…と言う島民もいたが、「あの女は掟破りだ」「魔性の女にこれ以上、かき回されてたまるか」という意見が勝った。
「ダメだ!出鱈目だよ!」と叫ぶクバを知念は「お前はどこまで性悪な女なんだ!みんなの前で捕まえたらかわいそうだと思っていたが…、もうがまんならん!」と捕えた。
そして、島民に向かって「みんな、島長は神隠しに遇ったんじゃないぞ!この女が殺したんだ!」と叫ぶ。

持って来ていたつづらを知念がひっくり返すと、中からクバの櫛を握り締めた村長の遺体が出てくる。
「クバの櫛だ」。
櫛を拾い上げて、クバは「あたしじゃない!信じておくれよ!」と叫ぶ。

「あたしじゃない!あたしじゃない!」とクバは後ずさりするが、島民はクバを捕まえろと追っていく。
浜を走るクバに島民は「出て行け!」と石を投げる。
クバの頭に石が命中し、クバは岩の上に倒れる。

「やめい!」と知念が合図し、まだ息があるクバに近づく。
「あんたが、こんなことを…。本当に」。
知念はクバにまたがると、刀でクバを刺し貫いた。
クバは悶絶して息絶えた。

全てを、おはなが見ていた。
その夜、島民たちは宴を開き、踊り歌っていた。
栄進が知念に酒を注ぐ。
京山と直次郎が見ている。

「誰1人、止める人はいませんでした。虫の息のクバさんに、最後に知念が…」。
おはなの報告を聞く京山。
「何て連中だ。同じ島の人間殺して、平気な顔で踊ってやがら、ちくしょう」。
怒りの直次郎に京山は「直。見誤っちゃいけないよ。島の衆に石を投げさせたのは知念だよ」と諭す。
「あの人たちは幻を見ているだけなんだよ。新しい島を夢見てね…」。

島民とともに、飲み、踊る知念。
その宴には加わらず、1人、庭でぼんやりとしていたマヤを、後ろから島津奉行が襲う。
マヤは農作業小屋にじりじりと後ずさりして、逃げていく。

「いつまでも強情は張るな。お前ももう、身寄りのない身だ。わしにすがった方が賢くはないか。
「身寄りがない?それじゃあ…」。
「親父も強情を張りすぎて死んだのだ。お前もあまり、わしをじらすな」。
だが、マヤは抵抗し、奉行を拒否し続けた。

奉行はマヤを振り回して押し倒そうとしたが、マヤが悲鳴をあげた。
納屋にあった鋭い銛が、奉行に振り回されたマヤの体に刺さっていた。
その頃、直次郎はマヤの家の前で、マヤの父親が殺されたことを何て言おうかと悩みながらうろうろしていた。

「どうしたらいいんだ…」。
その時、人の気配を感じて直次郎は隠れた。
奉行が走ってきて、辺りを見回し、あわてて逃げていく。
異常を感じた直次郎が奉行が逃げて来た方向へ急ぎ、小屋に入って目を見張る。

銛に刺されて倒れているマヤに駆け寄り、直次郎は絶句する。
「マヤちゃん」と声をかけても、マヤは倒れたまま。
あまりのマヤの死の残酷さに、直次郎が下を向く。

「もうこれ以上、死なせるわけにいかない」。
京山が晋松と直次郎とおはなを前に、「今夜のうちにカタをつけるからね」と巾着に入った仕事料を置く。
晋松が受け取り、顔の横でそれをちゃらっと鳴らす。
そのまま、巾着を直次郎に投げて寄越す。

直次郎はそれを左手で受け、右手を添えて何かに耐えるように目を閉じ、握り締める。
そしてそのまま腰を低くして、両手で立っているおはなに握り締めさせる。
直次郎から金を握らされたおはなは、それを祈るような手つきで受け止める。
京山がうなづく。

奉行、与力、知念の3人が酒を飲んでいた。
その時、クバがいつも歌っていたユンタが聞こえてきた。
知念の顔色が変わり、杯を落とす。
「どうした?」

知念は答えず、立ち上がり、刀を持って出て行く。
「おかしな奴だ」。
晋松がすだれを密かに、めくる。
もう一方のすだれの向こうには、道中合羽に身を包んだ直次郎の姿が透けて見える。

直次郎が長ドスを握り締め、柄を絞るようにねじると、後ろに下がっていく。
酒を飲んでいる奉行と与力の背後を、晋松が横切る。
晋松が縄を手にする。
突然、衝立が倒れ、衝立の前の与力の首に縄がかかる。

与力がもがきながら、晋松のいる座敷にひきずられていく。
晋松が思い切り、縄の中の金具を引き抜く。
奉行が外に逃げ出す。

直次郎が合羽を振り上げ、両手を挙げて走ってくる。
手には長ドス。
すれ違いざま、奉行を横になで斬りにする。

奉行が倒れ、すだれを越えて直次郎が止まる。
長ドスを構えたままの手が、わずかに震える。
まるで長ドスにしがみつくように、刃を収める。

ハイビスカスの赤い花を持って、誰かが歌っていた。
まるでクバのようなシルエットの誰かは、知念が来ると後ろを向いて歩いていく。
おはなだった。
「何奴。こっちを向けい」と知念が刀を抜きながら言う。

背後に立つ京山。
京山に気づいた知念は斬りかかるが、京山は身を交わす。
再び斬りかかる知念の刃を、長かんざしで受け止め、京山は知念を投げ飛ばした。
一回転した知念の首を、後ろから京山が刺す。

知念が、がくりと倒れる。
沖縄の海の上、また10日の船旅とうんざりする一座。
船酔いの薬を貰ったのに、船酔いしている娘。
薬の中身はうつぼの粉と聞いて、娘たちが騒ぐ。

船の上でパイナップルにぱくつく直次郎、「そんなに詰め込んじゃ、かえって気持ちが悪くなる」と京山に言われても「悪くなったってね、食った方が得なのよ、お師匠さん」と答える。
「食べます?」と、京山とおはなにも勧める。
胸が悪くなる京山、知らん振りするおはな。

「ねね、とっつぁん、食べますか」。
「うん、俺は腹いっぱいだよ」と断る晋松。
直次郎は1人で食べまくる。



クバが崖を越えてしまい、島民たちに責められるシーンを見て、「これ記憶にある…」と、突然、記憶が蘇りました。
琉球で誰かが間引きの掟に背いて飛び越して責められてたけど、これ、仕舞人だったのか~!と。
断片的に残っているんですよね。
でも私は本放送で見たっきりなんで、記憶がだいぶ、いい加減。

記憶が繋がった、うれしい!
同じように、緊張しまくる直次郎を見て、「これ覚えがある…。仕舞人だったのか」と言った人がいました。
それぞれに、印象深い場面だけ、断片的に覚えてるものですね。
何か、崖を飛ぶ話は与那国旅行記を書いた人が同じような話を書いていた、これまた記憶があります。
越えても無理をしたので無事にすまなかったとか、下手をすると親子ともどもダメだったとか、悲惨な話でした。

さて、京山一座は鹿児島から琉球まで行きます。
ちょっと前までは、雪深い北海道とかいました。
一気に空気があったかくなりました。

この一座の移動距離は、当時としてはすごい。
見ている方は1週だけ置いて見ていますが、実際には何ヶ月も経っているんでしょう。
琉球残酷物語。
「仕置人」の錠を思い出しました。
錠も言ってました、本土の人間に弾圧される琉球の悔しさ、苦しみがお前らにわかるか!って。

今回も、直次郎は泣いてます。
おはなが結構冷静に報告しているのを見ると、おはなの方が気丈かもしれません。
でも、仕事料を渡されたおはなは、いつも、やや呆然としてる。

この、仕事料を受け取るシーンが、結構おもしろい。
「仕事人」では後半、毎回難しい顔をして仕事料を受け取るだけ、全然芝居がない!と藤田さんがおっしゃったそうです。
ここではまだ、事件の関係者に対するそれぞれの思いが込められていて、おもしろい。

今回は晋松が仕事料を受け取り、それをちゃらちゃらと顔の横で鳴らす。
晋松は冒頭の女郎の恨みも知ってるわけなので、まるでその音で恨みを図って実感しているみたいなんですね。
それで中身を取らずに、今度は直次郎に投げて寄越す。

その直次郎、仕事料を受け止めると、こちらはもう、噛み締めるようにして握り締める。
右手を受け取った左手に添えて、目を閉じる。
まるで殺されたマヤに祈るように。
目を開けた時は、目が完全に殺し屋の目になる。

そして、さささ、と膝を折ったまま移動すると、おはなに仕事料を握らせる。
命の重みを伝えるように、おはなに握らせる。
体制的に、おはなを拝むように、「わかってやって」と言ってるみたいに見える。
それで、おはながやや呆然として受け取る。
仕事料を渡す時、直次郎は、おはなのお兄ちゃんになってる感じ。

クバ役は、「仕業人」でトラウマになりそうな3話に出ていた娘さんじゃありませんか。
犬の為に身を売る少女。
だいぶ、印象が違う。

それで知念役は色男役で良く見た、林ゆたかさん。
「仕置人」で錠に「侍じゃなくたって生きていけるじゃねえか!」と、やりきれない叫びをあげさせた方ですね。
そういえばこの話、「剣客商売」で「その日の三冬」を見た時、ちょっと思い出しました。

いや、届かない身分の女性を密かに慕う、最後に理不尽に対して立てこもるというところですけど。
「その日の三冬」は、岩田勘助を本田さんが演じていて、見事だった。
これはすごかった、哀しかった。

今回の知念は、同じ林ゆたかさんでも侍でなくては生きられなかったのではなく、侍で生きて行きたかった男。
彼が本土に渡って、人を殺してまでのし上がる様は別に物語になりそう。
石が当たって倒れたクバが、馬乗りになって刺される、マヤが死ぬところなど、殺され方が今回、えぐい。
マヤなんか、もう、痛そうで痛そうで。
先端恐怖症の人は、見ないほうがいい。

そういえば津軽では陣痛が始まった妹が、グッサリ刺されたりもしてました。
「仕舞人」って結構、残酷。
マヤが栄進という恋人がいるのに一座に入りたいと言ったのは、奉行が自分を狙っているのを知って逃げたかったのかもしれない。
なのに栄進は知念を信じちゃって、知念に酒なんか注いでます。

島民の、集団でクバ1人に罪があるような、クバを死に追いやったかのようなやり方に対する腹立たしさを、直次郎が代わりにぶちまける。
確かに集団ヒステリーみたいだし、愚かだ。
でもそれは部外者だから思うこと。

京山は島民はただ、このつらい状況から逃げられると幻を見ているのだ、と諭す。
島民を恨むのではなく、煽った知念を、追い詰めている島津奉行を恨めというわけです。
そうなんですけどね、集団の怖さも感じました。

直次郎のマヤちゃんへの態度、島津奉行や島民への憤りがストレート。
京山の言うことはわかるけど、一番、視聴者が感じる理不尽さに寄り添っていると思う。
そんな気の良い兄ちゃんな直次郎は、見ていて良い。

今回は直次郎の殺しも、危なげなく終了。
でもわずかに震えてるというか、長ドスを収める手が硬直してる。
すだれの向こうに透けて見える直次郎が、すごみあります。

それと、沖縄で直次郎がイキイキしてて、おもしろい。
こういう直次郎の日常が「仕舞人」の魅力のひとつだった。
最後には見ているだけでみんなを多少、船酔いにさせる能天気な食べっぷりを見せます。
青い海、砂浜、南国の空気一杯の必殺版「琉球残酷物語」でした。


2011.04.20 / Top↑
首が痛いぞ!
桜が綺麗であろう来週の為に、今週末は大人しくしてよう。


そろそろ「新・仕舞人」も放送が終わります。
地上派だと「仕舞人」「新・仕舞人」と続けて放送されることが、多いみたいですね。
しかし完全なる続編とはいえ、作品が微妙に変わっている。
続けてみると、その違いが顕著だったかも。

「仕舞人」はオープニングからしてドロンとした怨念が淀んでいるようでしたが、「新」は怨念はあれど、明るくにぎやかになっている。
娘手踊りの民謡と踊りが、前面に出てますね。
各地の駆け込み寺を訪問して恨みを晴らすという方法から、「新」は本然寺から指令を受ける方法に変わってる。
その為、本然寺からの使いの権太という男が登場、これがまた指令を書いたこよりをなくしたりと、ひと波乱起こす。

「仕舞人」の方は、未熟で臆病な直次郎を通した「許せねえ」事件が描かれていた感じがします。
今回は直次郎も、怒りに任せて悪党をぶん殴ったりはしません。
一時は手踊り一座を率いて興行していたせいか、落ち着きが出てきました。

大人になった分、「わきまえた」お調子者ぶりが乗ってる感じもして、これはこれで楽しいです。
娘たちとも慣れてきたせいか、「何を隠そう、○○で2年ほど、○○をやってたことがあんのよーん」とホラ吹くことはなくなりました。
あれ、好きだったんですけどね。
落ち着いたみたいですけど、殺しの時は緊張してか手が震えたり、震えなくても呼吸音が激しく「シュー」と言ってたりします。

全部見ると、26回。
半年のシリーズと同じで、お別れするのが寂しいです。
キャラクターがバランスよかったし、仲がよかったなあと思って、愛着わいちゃったから。
覚えてなくてほとんど初見状態だったけど、「新」のオープニングに「昔、女は弱かった」で当時話題の女性ボディビルダーのリサ・ライオンが出てたのは覚えてます。

レギュラーが死にませんでしたけど、「仕舞人3」でも企画にあったんでしょうか。
私は見てないんですが、「仕切人」で京マチ子さんと高橋悦史さん、西崎みどりさんは共演してるんですね。
いないのは、直次郎の本田博太郎さんだけ。
知ってる人が「いや…、あの世界に直次郎がいなくて良かったよ」と言ってましたけど…。

「仕切人」「渡し人」「橋掛人」は私の知らない、「仕事人」以外の必殺。
これも放送してくれますかねー。
時代劇専門チャンネル、全部放送してくれそうですけどね。
あとはDVDの出てない「御家人斬九郎」とか、テレビ東京で放送していた金曜枠の時代劇とか放送して欲しい。

「刺客請負人」なんて、「必殺」っぽくて良かったな。
若村麻由美さんにすごい悪女演じて欲しい、と言ったら、「刺客請負人でやったじゃない」と言われて「あ、そうか」と。
いろいろ広がりがあって、一通りの悪女じゃなかったですけどね。
部下には慕われてたし。

衣装もゴージャス、「魔界転生」系。
その名も「闇猫のお吉」。
「しんじー、今日は何食べよっかぁー」という呼びかけや、ネイルアートな爪が好きだった。
主人公と一種の愛憎関係にあったみたいで、好きでした。

DVDレコーダー、壊れたから買い換えて、もう手元に映像が残ってないの。
さっさとDVD-Rに焼かないのが悪いって思っても、まずDVDを認識しないところから始まってるから無理だったの。
それをごまかしごまかし、使ってたの!
こんなとこで言っても通じないと思うけど、だからもう一度、放送してください、お願いします。


2011.04.01 / Top↑