こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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鬼平って良い 「兇賊 鬼平犯科帳スペシャル」

久々に「鬼平犯科帳スペシャル 兇賊」を見ました。
数ある鬼平スペシャルの中でも大好きな話。
2006年2月放送って、もう10年も前になるんですね。

粂八の友人である与吉が、網切りの甚五郎に殺された。
俺のせいだと無く粂八に、平蔵はお前のせいではないと言う。
1人働きの盗賊で、未だにあげられたことがない初老の男・九平。
旅の途中、くりから峠で雨宿りをしていたあばら屋の表に、男が3人やってきた。

男たちは火付盗賊改方長谷川平蔵の暗殺の相談をしている。
九平は息を潜めていると、甚五郎たちは雨がやんで出て行く。
長谷川平蔵といえば、盗賊は震え上がる鬼の平蔵だ。
九平はえらい話を聞いてしまったと思った。

その夜、長谷川平蔵は小さな芋酒屋で酒を飲んでいた。
親父の九平の作る酒とつまみを、平蔵は大層気に入った。
九平は平蔵のことをただの浪人ではないと思った。
その品格、立ち居振る舞い。

だが平蔵は笑って、九平こそただ者ではないと言った。
お互い、素性を明かさず、ただの客として扱ってほしいと言う平蔵に九平は好感を持った。
そこに夜鷹が酒を飲みに立ち寄る。

九平が武士がいると知らせると、夜鷹は遠慮して出て行こうとする。
しかし平蔵は夜鷹を留める。
さらには寒い席で身を縮ませるように飲もうとする夜鷹を、隣に呼ぶ。
酌をする平蔵に、夜鷹は自分を人間扱いしてくれたと感謝する。

すると平蔵は、夜鷹は人間ではないか。
自分も人間。
ここの酒屋の親父も人間。
人間扱いするのは当たり前と言う。

平蔵が去る時、夜鷹は深くお辞儀をして見送る。
九平もみやげを持たせて、送る。
夜鷹は言う。

罵倒や軽蔑には慣れている。
やり返して、場合によっては取っ組み合いのケンカもする。
だがああされたら、どうにもできない。
そこに数名の浪人が来て、平蔵の後を追っていった。

心配した九平が走ると、人々が走ってくる。
斬り合いだと聞いた九平もまた、走る。
浪人たちは平蔵を闇討ちにしようとしていた。
平蔵は浪人を返り討ちにすると、役宅へ戻る。

後をつけていた九平を振り返ると、ニヤリと笑って「親父、ご苦労」と声をかけた。
平蔵が入っていった屋敷を見て、九平は腰を抜かさんばかりに驚いた。
鬼の平蔵。
火付盗賊改め方、長谷川平蔵だ。

九平は1人働きをする盗賊で、未だにお縄にかかったことはなかった。
それでも平蔵の名前は知っている。
知っていて、恐れていた。
その恐れていた平蔵に、九平はすっかり魅了されてしまっていた。

しかしその翌日から、九平の店は閉まってしまった。
密偵のおまさはそのことを平蔵に告げる。
九平が耳にした話、平蔵の命を狙っていたのは兇賊・網切りの甚五郎であった。

甚五郎は押し込み先の人間を、一人残らず殺す兇賊。
だが甚五郎は平蔵が若い頃、斬った男の息子でもあった。
用意周到な罠を用意して、甚五郎は平蔵を殺そうとする。

大村という料亭の小女である少女が、野良猫の面倒を見ている。
それを九平が見つける。
この猫と少女が、後に平蔵の危機を救う。

旗本のもめ事を装った甚五郎は、平蔵を大村に呼び出す。
その前に甚五郎の手下は、大村の女中に取り入って、木戸を開けさせていた。
甚五郎たちは大村の者を皆殺しにした上で、店の者になりすまし、平蔵を待ち受けていた。

刀を預けた平蔵に、正体を明かす甚五郎。
大村の人間を皆殺しにした甚五郎に、怒りの炎を燃やす平蔵。
その頃、平蔵を罠にかけたことに気づいた九平と粂八は行方を捜す。
九平は猫の鳴き声に気づいた。

探すとそこには重傷を負った、大村の小女の少女が倒れていた。
明け方に大勢の人がやってきて、皆殺されてしまったと少女は言う。
粂八はおまさに少女の手当を頼むと、火付盗賊改方に走る。

その頃、平蔵は小刀だけで大人数の敵に立ち向かっていた。
平蔵の腕が切りつけられ、血が流れる。
間一髪、平蔵の危機に盗賊改方4人は間に合う。

九平に気づいた平蔵は、「親父、久しぶりだな」と笑う。
戸惑いながら、「ご無沙汰しております」と頭を下げる九平。
平蔵は豪快に笑った。
甚五郎たち3人は逃げ出した。

しかしくりから峠に差し掛かった時、甚五郎たちの前に現れたのは平蔵だった。
九平が甚五郎たちはここを通ることを、教えたのだった。
大村始め、押し込み先の人間を皆殺しにする甚五郎を平蔵は赦さない。
粂八、仇を取れ!

その声で、粂八が現れる。
与平の恨み!と粂八は与平が持っていた石を投げた。
甚五郎の額から、血が流れる。

うぬが殺した者の恨み、思い知れ!
平蔵は甚五郎たちを斬る。
全てが終わった時、九平もまた、平蔵の前にお縄を覚悟した。
だが平蔵は笑って、九平を見逃す。

再開した芋酒屋には、今夜もあの夜鷹が来ていた。
もう一度、会いたいねえ…。
夜鷹が言う。

お前さん、惚れなすったね。
まさか。
九平の言葉に夜鷹は、そんな恐れ多いこと、あるわけがないと言う。
ただ、もう一度会いたいだけ…。

あのお方は、いつかまた、おいでになることあるだろうか。
いつかまた、きっと、と言う九平。
「親父、ご苦労」。
九平の中の平蔵が、ニヤリと笑った。



これと「泥鰌の和助始末」「浅草御厨河岸」は、とても好きな話です。
レギュラー放送の1時間枠の時に、見ました。
これも「土壌の和助始末」も後に2時間スペシャルになりました。

1時間でまとめていた時はやはり、中身が濃かったです。
仕方が無いことですが、出演者の皆さんも若かった。
それを見ると、さすがにお年は召したと思いますが、やっぱりおもしろいですね。
1時間の時は良かったなあと思いながらも、引き込まれてしまう。

最初に出てくるのが、本田博太郎さんの与吉平ですし。
すぐに殺されてしまって、残念。
九平は小林稔侍さん。
ちょっと、窓辺太郎みたいです。

夜鷹は、若村麻由美さん。
こんな美しい夜鷹はいるだろうか。
かなり汚してはいますが、美しさは隠せない。
これは花魁だよねえ。

でも演技はさすがです。
平蔵の魅力を表すのに、この夜鷹エピソードはかなり利いてます。
酒をおごられて、しなを作って着物の襟を肩に落とし始めるところなんか、ちょっと悲しい。
この人は、こうして感謝を示すしか方法がないんだと哀れさを感じました。

「必殺からくり人」の「鳩に豆鉄砲をどうぞ」で時次郎が女郎・しぐれを身請けする時。
自由の身になれるとわかったしぐれが、全身に喜びをみなぎらせながら、帯を解こうとする。
彼女にとって、これ以上の感謝はない。
それを帯を解くことでしか、返せないのだと思った時と同じでした。

もちろん、平蔵は柔らかく断る。
それは夜鷹なんかいらないというのではなく、見返りはいらないということ。
俺はそっちの方はダメなんだという言い方が良い。

吉右衛門さんは、すごいですねえ。
鬼平の魅力を存分に感じさせる。
器の大きさとか、度量の大きさとか、いるだけで感じます。

甚五郎は大杉漣さん。
兇賊らしい冷酷さ、怖ろしさ。
手下の野尻の虎三は、徳井優さん。
最後に平蔵に追い詰められて、泥の中を這いずり回る思い切った演技。

もう一人の手下の文挟の友吉は、伊藤洋三郎さん。
大村の女中に「姐さんにはこれが似合うよ」と、かんざしを挿して籠絡する。
もちろん、ためらいもせずに殺したでありましょう。
1時間枠の時は、江幡高志さんが絶品です。

猫にご飯をやっているところを見つかった少女の、九平を見る怪訝そうな目。
用心深そうな表情も、うまかった。
助かって良かった。
おまさや五郎蔵の計らいで、どこかで猫と一緒に暮らせたと思います。

甚五郎の正体を知った時の、一瞬の平蔵の怒りの目。
罠にかかり、敵に囲まれ、刀を奪われたことを知っても、うろたえません。
小刀で畳を刺し、持ち上げて矢を防ぐ。

次々襲いかかってくる浪人、盗賊たちを斬り伏せる。
どこまでも冷静に、死地を脱しようとする。
追い詰められた時に、人間の本質が出るとしたら、これは相当なもの。

しかし多勢に無勢。
腕から流血し、絶体絶命!
こんなお頭を失うわけには行かないと、決死の火付盗賊改が馬で走る。
粂八はその後を走る。

ご苦労様です。
蟹江敬三さんは、この後、甚五郎に石を投げる見せ場がある。
いや、甚五郎を刺すのかと思いましたが。

最後、再び若村さんの夜鷹が出てくる。
もう一度会いたいの言葉と目が、切ない。
口では否定しても、惚れ抜いてしまったことがわかる。
10年前に見た時もこの作品は良かったけど、やっぱり良かった。

レギュラー放送では、第1シリーズで放送されました。
「泥鰌の和助始末」「浅草御厨河岸」も第1シリーズ。
やっぱりすごい第1シリーズ。
「泥鰌の和助始末」も「浅草御厨河岸」も2時間スペシャルになりました。

和助は2時間スペシャルの石橋蓮司さんも良いけど、財津一郎さんが良い。
「浅草御厨河岸」は、本田博太郎さんが良い。
直次郎みたいで、最後に明るく去って行く姿が微笑ましい。
本田さんは2時間スペシャルの「見張りの糸」では、中村嘉葎雄さんと笑っちゃう名コンビぶりを発揮。

2時間スペシャルの田辺誠一さんも、なかなか良いですけどね。
こちらはだいぶ、違うアレンジがされていたと思います。
「兇賊」の九平は米倉斉加年が素晴らしかった。
網切の甚五郎の青木義朗さんもさすが。

旧作では、今はいらっしゃらない、あまり出演されなくなった俳優さんたちの生き生きとした姿が見られました。
でも今回、2時間スペシャルで同じようなことが起きました。
この前、ファイナルを迎えた鬼平。
時間の経過を思い、それに負けない素晴らしい存在感を持つ俳優さんたちを思いました。


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ずっとここにいたい… 「鬼平犯科帳SP 引き込み女」

「鬼平犯科帳」SP「引き込み女」。
大店の質屋が盗賊に狙われている。
奉公人の中にいる引き込み女は、誰か。
平蔵は密偵のおまさを質屋に奉公させ、探らせる。

引き込み女は「おもと」という、店前で倒れていた女だった。
店で介抱され、そのまま奉公するようになった。
気が利くし、頭は良いし、人柄も良い。

ところが元・引き込み女のおまさは、おもとが引き込み女であることを見抜く。
お互いの正体をさらして話を持ち込むおまさ。
本性をあらわにするおもと。

引き込み女のつらさは、お頭にはわからない。
正体がばれていないか、何かおかしなことはしなかったか。
誰かが疑っていないか。

気の休まる時がない。
夜も眠れない。
おまさには、おもとのつらさがわかる。

そして、おもとは店の主人との道ならぬ恋に悩んでいたのだ。
番頭上がりで婿養子の主人は、姑と妻に軽んじられている。
そんな毎日の中、優しいおもとに惹かれ、恋に落ちた。

だが、おもとはお頭の残酷さ、執拗さ、欲深さを知っている。
主人はおもととの駆け落ちを考えていた。
しかしそんなことをすれば、地の果てまでも追われ、2人とも殺される。
押し込みの日は迫ってきていた。


おもとは、余貴美子さん。
余さんとおまさ役の梶芽衣子さん。
素敵な女優さんのツーショットを堪能しました。

互いが盗賊であることを知ると、途端に体から凄みが立ち上る。
しかし同じ立場であることおまさを、あっさり足を洗わせると言うお頭。
このお頭には、平蔵が扮しています。

おまさのお頭の優しさを見たおもとは、おまさを心底うらやましがった。
凄みは消え、おまさへの共感と友情で一杯になる。
子供のように、無邪気におまさが一緒になるという男のことを聞く。
店に戻らなくて良いのかと言われても、あんたと一緒にいたいんだよと言う。

主人への思いと自分の罪深さで悩み、哀しみをにじませる余さん。
その横顔は寂しく、悲しく、美しい。
こんな瞳の余さんを見ていると、こちらも哀しい。
「シン・ゴジラ」の花森防衛大臣も良かったし、余さんは本当に良い女優さんだな~。


結局、おもとはお盗めを前に姿を消す。
駆け落ちするはずの主人さえ、遺して、一人で江戸を去る。
船に乗り、江戸を離れていくおもとが、振り返る。

その目には未練と哀しさと、愛おしさが満ちている。
おもとの胸中、いかばかりか。
去っていくおもとを、平蔵は追わない。
待ち構えていた平蔵率いる火盗改めに、盗賊は捕らえられる。

全てが終わったと思った時、おもとの水死体があがる。
おもとの遺体には傷がなく、身投げであった。
呆然とするおまさの目に、姑と妻と店の主人が映る。

店に傷がつくから、奉公人だったなんてことは名乗らない。
関係がない振り、知らない振りをして去ろうと言う姑と妻に主人は連れて行かれる。
主人もまた、魂が抜けたように立ち尽くしていた。
遺体が上がった岸辺は、おもとがおまさにもっと一緒にいたいとせがんだ岸辺だった。
何か愛着があった場所なのだろうと言う平蔵は、おまさにおもととの別れの時間を与える。

「ずっとここにいたいんだよ」。
「もう少し、いておくれ」。
うれしそうに、おまさと話すおもと。

引き込みとして心休まる日がなかったおもとにとって、おまさは唯一、心を許せた相手だったのだろう。
また、おまさにとっておもとは、もう一人の自分だったに違いない。
おもとの声が蘇り、おまさは泣いた。


純情仇討ち 「遠山の金さん捕物帳」

時代劇専門チャンネルで放送中の「遠山の金さん捕物帳」。
中村梅之助さん主演です。

今回のゲストは、亀石征一郎さん。
山田(原田)大二郎という、腕の立つ浪人役です。
八重という美しい武家娘に、八木孝子さん。

浪人・大二郎はある日、和泉屋の主人から高利貸しの堺屋殺しを頼まれる。
和泉屋の主人は大二郎の名が今は山田と名乗っているが、本当の名前は原田ということを知っていた。
そして、原田大二郎が故郷で木村という男を斬って逐電していることも知っていた。

殺しは気が乗らないと、大二郎は断る。
だが和泉屋によると、堺屋は高利貸しの間でも嫌われているほどの男で、これは人助けと言えるとの話だった。。
これを聞いた大二郎は、ふんと鼻で笑ったが金は受け取った。

その時、騒ぎが起きる。
大二郎が振り向くと、和泉屋は野暮はするなと止める。
廊下に出てそちらを見れば、女が大店の主人らしき老人から逃れようとしている。

大二郎は座敷に踏み込んだ。
「女が嫌がっている!」
「わしが金で買った女をどうしようと、わしの勝手だ」。

「二度とツラを見せるな!」
大二郎は老人をたたき出した。
女将は「乱暴は困ります、この娘は承知の上です」と言う。

その八重という女は、自分は女中奉公に来ただけなのに、客をとらされそうになったと訴える。
すると女将は、どこの世界に女中に25両出すものがいるかとバカにした。
聞いていた大二郎は「20両返せばいいのか!証文を持ってこい!」と怒鳴る。

証文をかざした大二郎は八重に「これに間違いはないか」と聞く。
「はい」。
大二郎は、証文を破く。

そしてたった今、刺客料として受け取った25両を「利息を入れても文句はあるまい!」と女将に出す。
女将は金さえもらえば文句はなかった。
上機嫌で、「ごゆっくり」と言って引き上げる。

大二郎は「こんなところに長居は無用だ。早く親元に帰るが良い」と言う。
八重は「ありがとうございました。お礼の申し上げようも…」と頭を下げた。
その時、大二郎が金を包んでいた、ふくさが落ちた。
ふくさは、「い」の文字が染め抜いてあった。

「あの」。
「あ、いけない」。
大二郎は、ふくさを受け取り、去っていく。
その後姿を八重は、熱を持ったような目で見送る。

夜、高利貸しの堺屋が殺された。
やったのは、大二郎だった。
その現場に、「い」という字が染め抜かれたふくさが落ちていた。

翌日、金さんたちが集まっている飯屋に、八重がやってくる。
みんな、八重が奉公にあがった料亭の名を知った後、心配していたのだった。
その料亭は女中という名目で奉公に来た女性に客をとらせることで知られていたからだ。
だから八重が無事帰ってきたことを、みんなが喜んだ。

そこに殺しがあったと、かなぶんと呼ばれる岡引きがやってくる。
かなぶんの親分は、現場に残されていたふくさを見せる。
そしてこれがあるから、犯人はすぐに捕らえられると言った。
ふくさを見た八重の顔色が変わったのを、金さんは見逃さなかった。

八重と兄は相良の出身であり、父の仇を追う身であった。
2人は、相良藩の江戸家老の屋敷に呼ばれた。
用人が家老に「木村琢磨が来ました」と告げに来る。
家老は和泉屋から、堺屋殺害の報告を受けているところだった。

「木村と言いますと。あの、14年前の木村…」。
和泉屋の問いに家老は「ふん、バカな奴らだ」と鼻で笑った。
八重の名前は、木村と言うのだった。

琢磨と八重の兄妹は、仇を追う身だった。
隣国の藩で仇討ちがあった。
だが、八重たちは14年も仇を追っていていまだに果たせない。
そのため、殿がえらく不機嫌になっていると家老は言った。

一向に仇を見つけられない八重と兄は、窮状に陥った。
その結果、八重は奉公に出ることになり、今回のようなことになったのだ。
家老は美しい八重を執拗な目つきで見る。
八重はゾッとして、身を震わせた。

その頃、大二郎は八重の美しさを忘れることができないでいた。
八重の絵を描いていたところ、大二郎を探していた八重がやってきた。
礼を言う八重と大二郎との間に、温かい雰囲気が流れていた。

長屋に戻った八重を、金さんが訪ねてくる。
おみつに頼んで親分からふくさを奪った金さんは、八重にこれに覚えがあるかと聞いた。
八重は知らないと言う。
金さんが帰った後、八重は再び、大二郎の元へ急ぐ。

大二郎に会った八重は、ふくさがあるかと聞く。
だが、大二郎はどこかに落としたと言う。
八重は、不安な気持ちで帰った。

その翌日、兄の琢磨が八重に言う。
家老のところに行ってくれないかと言うのだ。
それは、家老の側室になるということを意味していた。

今のままでは仇が討てず、藩に戻ることができない。
しかし、八重が家老の側室になってくれれば戻ることができるのだ。
兄はもう、浪人の暮らしに疲れ果てていた。
今度は大二郎が、八重の長屋を訪ねてくる。

八重の部屋の前で入りづらく、うろうろとする大二郎。
すると八重が出て来る。
挨拶もそこそこに、八重は目に涙をためて走り去る。
その後を大二郎が追う。

夜、家老の屋敷から八重を迎えに籠がやってくる。
それに乗って家老の屋敷に向かう途中、金さんが追いはぎに化けて籠を襲う。
金さんは八重を解放し、兄のところに戻るように言う。

しかし八重はその足で、大二郎の家に向かう。
もう兄も家もない。
自分を連れて、逃げてくれと言う八重を大二郎は抱きしめる。

翌日、大二郎と八重は旅に出た。
富士山が綺麗に見えている。
八重は言う。
自分の故郷でも、富士が美しかった。

八重は相良の出身なのか。
すると八重は、自分の父は討たれ、本当は仇を追っている身なのだと言う。
八重の話を聞いていた大二郎の顔色が、真っ青になる。

その翌朝、大二郎は八重に「兄のところに戻りなさい」という置手紙を残し、姿を消した。
八重の父を討ったのは、大二郎の・原田であった。
いや、正確に言うと大二郎の父が八重の父の木村に斬られそうになった。
父親の危機と見た子供の大二郎が、八重の父を刺してしまったのだ。

つまり、2人は仇同士だった。
決して好きになってはいけない相手。
八重を想い、そして自分の罪のせめてものつぐないのため、大二郎は相良藩の江戸家老の屋敷に乗り込む。

そこには自分に殺しの依頼をした、和泉屋の主人もいた。
金さんは密偵の寅に、相良で起きた15年前の事件を調べさせていた。
すると寅は、大二郎の父と八重の父が斬りあった夜の目撃者を連れて戻ってきた。

目撃したのは、仕事帰りの百姓だった。
彼の話からすべてを知った金さんは、屋敷に向かった。
そこでは大二郎が家老の家来たちと、斬り合いとなっていた。

金さんは大二郎に加勢し、啖呵を切って背中の桜吹雪を見せる。
斬りあいになり、金さんが家老たちを叩きのめす。
捕り方が乗り込み、全員が遠山金四郎の白州に揃った。

そこで知らされたのは、14年前の真相だった。
目撃した男が、野良仕事の帰りに自分が見たことをすべて話した。
それによると、八重の父と大二郎の父がもみ合いになり、八重の父親は子供に刺された。
だが八重の父親は絶命していなかった。

その後、3人の男がやってきて、八重の父を殺したのだ。
3人の男は、この白州にいるかと奉行に聞かれた男は「はい」と答えた。
男が指差したのは、遠山の側にいる家老だった。
それと、大二郎に刺客依頼をした和泉屋の主人だった。

公金横領していたのは、江戸家老だった。
家老は自分の罪を、大二郎の父になすりつけたのだった。
それを大二郎の父の罪と思い込まされ、義憤に駆られた八重の父が、大二郎の父を果し合いの形にして斬ろうとした。

しかし大二郎に阻まれた。
失敗したことを知った家老は、八重の父を殺した。
直接、手を下したの家老の用人だった。
そして家老たちは八重と兄に父親の仇として、大二郎たちを追わせたのだ。

その用人は武士を辞め、現在は大店の主人として、家老と結託している。
3人のうち、その場にいない最後の1人こそ、大二郎に斬られた堺屋の主人だった。
この男は後に高利貸しとなってはいたが、何かにつけて家老に金の無心をしていた。
邪魔になった家老たちは、大二郎に刺客依頼をして斬らせたのだ。

それでも白を切る家老たちに、遠山は背中の桜吹雪を見せた。
さらに遠山は仇討ち免状を、持ってきていた。
この白州で、八重と兄に本当の父の仇を討たせる。
助太刀は、大二郎だ。

白装束に身を包んだ八重と兄が現れる。
それに助太刀する大二郎。
八重に襲い掛かる家老の刀を、大二郎が叩き落とす。

「父の仇!」
八重の刃が、家老を貫く。
一方、兄の方も大二郎の助けで見事、仇討ちを果たす。

それを見届けた大二郎は、切腹しようとする。
与力がそれを止める。
金四郎は、大二郎には打ち首の刑を下す。

八重の顔が、哀しみに歪む。
その場で刑が執行されることになった。
大二郎が目を閉じた。
与力の刀が、振り下ろされる。

だが刀は、大二郎の首、すれすれで止まっていた。
金四郎は言う。
浪人・大二郎は今、死んだ。
3人で相良藩に帰り、力をあわせて暮らすが良い。

大二郎と八重は、手を取り合う。
やがて、江戸を去る3人の姿があった。
見事な遠山裁きであった。



若き日の亀石さんの熱演。
苦労をしたのか、世の中を斜めに見てはいる。
だけど、女性の悲鳴を放置できない。

その場で客を追い払い、命のやり取りとなる刺客料で自由にしてやる。
この後の八重の、大二郎を見る目の熱いこと。
誰が見ても、恋に落ちたことがわかる。

そりゃそうだ。
女郎奉公になるところを助けてくれて、自らは手も出さず去っていくんだから。
惚れないわけがない。

腕は立つ。
刺客依頼は、ちゃんと果たす。
そんな男なのに八重の面影が忘れられず、八重の絵なんか描いてる。
その絵を八重に見られて、うろたえることうろたえること。

絵の隠し方も、自分の背後に持ってきたつもりが、裏ではなくて八重を描いた方を表にしている。
だから、八重にはまともに絵が見える状態。
お間抜けでかわいい。
八重を訪ねていったものの、なかなか入れなくて、表をうろうろ。

長屋のおかみさんたちが、「何あれ」という感じで見ている。
「ちょいと、どうしたんだい、あの侍は」。
「さあ」。
八重を追って走っていく大二郎を見て、おかみさんたちはますます「何だろう」という顔をしている。

亀石さんが最初から最後まで良い人役。
純情で笑っちゃう。
逃げてきた八重をたまらず、抱きしめる。

お白州での仇討ちは変則的な展開だけど、爽快感満点。
しかし、大二郎も八重も、家老たちも因縁ありそうな関係だなあ。
これで因縁もなくなって、良かった良かった。

無事、仇討ちを果たした後の大二郎の身の処し方も見事。
大二郎は人を斬っているから、パターンとしてはお白州前に殺されちゃうかもしれない。
もしくは、島流しになって、八重は待ち続けるというパターンかもしれない。

そうはならなくて、粋なお裁きの遠山さま。
拍手したくなる。
最後はもちろん、相良藩にもちゃんと話が通してあるのでしょう。
3人、きっと良い家庭を築くと確信しての終わり。

大二郎と八重、いつまでも幸せに。
お兄ちゃんはちょっと、がんばれ。
あの状態で藩に戻っても、妹を差し出した情けない男と言われてグレそうなお兄ちゃんだった。

悪役もうまい。
だからこういう役をやらせたらやっぱり、亀石さんはうまいんだ。
とても微笑ましい。
悲劇になりませんように、幸せになりますようにと願ってしまった。

「遠山の金さん捕物帳」、予定調和的な作品化と思ったらそうではなく、なかなか意外なキャスティングもされている。
またそれを生かす話も、多いです。
今回はラブリイな亀石さんを、堪能させていただきました!



追悼・蟹江さんの小房の粂八

蟹江敬三さん演じる、密偵・小房の粂八。
盗賊の知恵袋と呼ばれた彼が、鬼平の密偵となる話です。
まだ若い粂八は、押し込んだ先で女性をてごめにしようとしてお頭の血頭の丹兵衛に追放される。

犯さず、殺さず、貧しき者から奪わず。
これが盗人の掟だ。
以来、粂八はこれを守ってきた。

自分にこれを教えたのは、丹兵衛だ。
今、急ぎ働きの外道働きをしている盗賊が血頭の丹兵衛を名乗っているが、絶対に違う。
粂八は自分の正体を明かし、鬼平にその偽者を捕らえる手伝いを名乗り出る。

そのために牢から開放される粂八。
ふと、自分がこのまま逃げたらどうするのかと聞いてみる。
しかし粂八は「お頭はお前はそんな奴ではない」と、鬼平が言ったと聞かされた。

そんな時、江戸に奇妙な盗賊が出た。
家人の誰も気づかないうちに大金を奪い、丹兵衛の名札を残していった。
さらにはその翌日、またまた誰も気づかないうちに奪われたはずの金は元に戻されていた。

それこそが、丹兵衛の仕事だ。
こういう仕事が、お頭の仕事なのだと粂八は言う。
やがて、島田宿で逗留する粂八に丹兵衛一味が接触してくる。

丹兵衛との再会。
だが粂八が心酔する丹兵衛は、人が変わってしまっていた。
あの急ぎ働きの外道は、確かに丹兵衛率いる一味がやったことだった。
粂八の働きで、丹兵衛たちはお縄になる。

鬼平は粂八に自分のところで働かないか、と打診される。
密偵は犬と蔑まれ、正体がわかったら殺される危険な仕事だ。
だが、粂八がためらうのはそんな理由じゃない。
粂八は、人間に絶望しかかっているのだ。

自分が信じてきたことが、崩れ去ろうとしている。
再び、人を信じてやっていけるだろうか…?
こんな気持ちで、密偵と言う仕事ができるのだろうか。
蟹江さんの苦悩の表情。

鬼平は密偵にならないのなら、このままどこかに消えちまえ。
二度と自分のために、面を見せるなと言って、粂八を放免する意思を伝える。
その時、旅人が立ち寄る茶店に、一人の老人が入ってくる。
蓑火のお頭と、粂八は呼んだ。

お頭は先ごろ、丹兵衛を名乗って外道働きをする盗賊が許せなかったと言う。
だから、本当の盗賊の仕事を見せてやったと言う。
先ごろ、江戸に出現した奇妙な盗賊は、このお頭の仕事だったのだ。

冥土のみやげに、一仕事。
今、江戸には鬼の長谷川平蔵という火盗改めがいるが、まだまだ。
お頭はそう言って、笑った。

犯さず。殺さず。
貧しき者から奪わず。
守れよ。
粂八の顔が、晴れやかになっていく。

お頭は去っていく。
鬼平は、すべてを聞いていた。
お縄にしないのですか…。
鬼平は笑って、良いみやげだろうと言う。

お頭の後姿を見送った粂八は、長谷川さまー!と叫び、鬼平の後を追ってきた。
鬼平の器の大きさ。
暖かさ。
情け深さ。

自分が仕えるべきは、この人だ。
この人に必要とされ、認められることが喜びだ。
粂八の吹っ切った表情。

蓑火のお頭は、名優・島田正吾さん。
短い出番ながら、さすがです。
鬼平のすばらしい人間ドラマがしっかり描き出されるのは、この俳優さんたちの演技があるからだと改めて思いました。
この回でいえば、鬼平、粂八、蓑火のお頭が織り成す人間模様。

名優の演技を、がっちり受け止め、応える蟹江さん。
ああ、本当にこれからが楽しみの俳優さんでした。
でも蟹江さんの演技は、しっかり残っていて、これからも楽しめます。
本当にすばらしい俳優さんです。


鬼平外伝

このお正月、時代劇専門チャンネル漬けでした。
1月4日にはオリジナル時代劇「老盗流転」も、見られました。
鬼平外伝が多いんですが、「夜兎の角右衛門」、「熊五郎の顔」も、去年見た「1月4日の客」も良かったですしね。

真田そばの店主が、1月4日に来る客と徐々に交流を持つようになる。
しかし、その客は盗賊の頭だった。
押し込みをして、そのたびに女をおもちゃにすると知った時、店主は頭を役人に捕らえさせるために協力をする。

「だんな。旦那は押し込みをする時、必ず、女をおもちゃにするんだってね」。
「それさえ知らなければ…」。
「御用だ!」と、張り込んでいた捕り方たちが頭に迫る。
「店主!」

だがそれは、捕まった子分の外道が、罪を軽くしてもらいたくてついた嘘だった。
それを知り、悔いた店主は、客の好きだった真田そばを打ち、牢に運ぶ。
いつかこうなると思っていた…、これが盗賊の末路。
頭は店主の気持ちを受け入れ、そばを食べる。

この世の名残のそば。
2人の笑顔。
通じ合う、暖かい気持ち。

頭は、極刑となった。
そして、次の年の1月4日。
店には一人の客も、来なかった。

頭は自分のことを貶めた子分と対面し、そのおかげで子分は島流しですんだことを知る。
島には、頭の下にいた者が何人もいる。
良かったな。
無事、お勤めが終わると良いな?

震え上がった子分は、助けてくれと懇願する。
この子分の運命も、描ききっている。
この松平健さんがまた、良いんですよ。
将軍様の印象が強いけど、すごい俳優さんです。

さすが、時代劇専門チャンネル。
やっぱり見ごたえある、上質な時代劇を作ってるんですね。
当たり前なのかもしれませんが、鬼平やら斬九郎やらを放送していた時の、フジテレビの時代劇を思い出させます。