「塚原ト伝」最終回。


一つの太刀を習得した新右衛門の名声は、ますます諸国に轟いていた。
たくさんの武芸者が腕試しに訪れが、初めて見る、異国から来たような武器でも、新右衛門を傷つけることはできなかった。
養父は新右衛門に家督を譲りたいと言うが、新右衛門はまだその時期ではないと断る。

鹿嶋では物忌さまである龍子の跡継ぎとして、幼い物忌が決まった。
玉造常陸介は殿に重用され、その主張の通りにことが運ばれていた。
先代からの家臣は、玉造に反発を深めていく。

ある日、鹿嶋に山本勘助が現れた。
軍師を目指す勘助は、自分が仕えたいと思う主人を求めて、諸国を訪れる予定だと言う。
既にあちこちの国を見て来た勘助は、山口にも寄っており、平賀家の様子を伝えてきた。

鹿乃は家臣から婿を取り、男子を産んでいた。
一緒に諸国を回らないかと言われる新右衛門。
だが供をした左門はそろそろ、嫁を娶り、この地に落ち着きたいと考えていた。

そんなある夜、左門と夜道を歩いていた新右衛門は玉造が刺客に襲撃されているところに出くわす。
新右衛門の姿を見た刺客は、早々に退散して行った。
心当たりを聞かれた玉造だが、敵が多すぎてわからないと言う。
しかし、玉造は自分の主張を見直す気は全くなかった。

軍備を増強して、敵に備える。
必要あらば責める。
この戦乱の世に、それ以外にどうやって国を守っていくというのだ。

だが新右衛門は、左門に言う。
玉造の言葉には理はあるが、義がない。
それでは人は、ついてはいかない。

やがて、1人の男の死体があがる。
その男が玉造を襲った刺客であることに、新右衛門は気づく。
さらに男に残された太刀筋から、新右衛門は師匠の松本備前守が斬ったことにも気づいた。

備前守を訪ねていくと、それは新右衛門の養父・土佐守の計画だったことを打ち明けられる。
暗殺が失敗に終わった為、備前守が刺客を殺したのだった。
さらに備前守は、新右衛門に土佐守側につくか、玉造側につくかと聞かれる。
新右衛門は迷った。

迷う新右衛門の元に、真尋が現れる。
それは、「平法の剣こそが、鹿島の太刀」との言葉だった。
物忌さまが、新右衛門が迷った時に伝えよと言った言葉。
新右衛門の心は、決まった。

授かった剣で、「平法の剣」という鹿島の太刀を伝えたい。
備前守に申し出ると、戦わずして勝てるのかと言われ、師弟はその言葉を証明する為に真剣で立ち会うこととなった。
心配した左門が、駆けつける。

左門が見守る中、師弟の対決は始まった。
かつて、人を実際に斬ったことがある備前守の剣の凄みに、新右衛門は怯んだ。
備前守の刃が、新右衛門をかすめる。

新右衛門には、当たらない。
そして、新右衛門は目を閉じた。
次の瞬間、備前守の額で新右衛門の太刀は止まっていた。

新右衛門が止めなれば、斬られていた…。
勝負はつき、師弟は互いに礼を尽くして挨拶をする。
見守っていた左門が、安堵する。

備前守は新右衛門に、新しい流派として「新当流」を興すことを勧める。
そして新右衛門の旅立ちを後押しした。
これから鹿嶋が戦乱に巻き込まれようとも、自分が戦死しようともそれは自分の定め。
「新当流」を広めるまでは、戻ってきてはならぬ。

新右衛門は名を「卜伝」と改めることを、備前守に告げる。
そして左門を伴い、勘助と共に諸国を回る旅に出る。
この後、鹿嶋は内乱に陥り、備前守も戦死する。
しかし、ト伝は鹿嶋の剣と、「新当流」を世に広め、剣聖として名を残したのだった。



強くなればなるほど、迷って行く。
そこで物忌さまの「試練が次々と襲うであろう」「だが神がついている」が生きてくる。
技では、強さでは超えられない精神の危機。
その時、救ってくれるものこそが、鹿嶋の神であった。

強さだけが剣ではない。
それが鹿嶋の太刀。
悟った新右衛門は人々を救う剣として、鹿嶋の太刀を広めに旅に出る。
しかしそれは、強さを追求した最初の旅とは意味が違う。

うまくまとまりました!
でも、7回目で最終回とは、短い!
倍ぐらいはかけて、見たかったですね。
そうしたら堺さんの初々しい青年から、悟りを開いた剣聖までがじっくり見られたのに。

人にはそれぞれ、運命と言うものがある。
何が自分たちに起ころうと、戻って来るな、それは自分たちの運命。
新右衛門は新右衛門の道を、行くのだ。
そう言った備前守は、さすが師匠でした。

初め、殺陣などから、娯楽特撮もの、神話が入っているものとして割り切って見る時代劇かと思ったこともありました。
そうしたら、ちゃんとしたメッセージが入っている時代劇だった。
短い間でも、こうして見ると新右衛門が最初とは明らかに違いますし。
自然に変化を演じた堺さんは、やっぱり良い俳優さんです。

キャストがみなさん、ハマっていて、うまかったですね。
公方さまの本田博太郎さんが出ていたので、絶対見なきゃ!と思っていたのですが、出番が終わった後でも興味が薄れることがなかった。
鹿乃も最初は現代の価値観を押し付けてくる為のキャラクターかと思ったら、最後は切なかった。
家臣から婿を取り、幸せそうでよかった。

左門役の平さんも、これからまた時代劇ができそうな俳優さんで楽しみになります。
時代劇のベテラン俳優さんで脇を支えて、何とか見せる…というのではなくて、若手の俳優さんでしっかり作っていたのが良かった。
ト伝という剣豪、剣聖を題材にしているのに、スーパーヒーローにしないのが良かった。

とにかく主人公は最初から何でもできて、何でも正しくて、周りから崇められている。
その為に周りが愚かで、邪悪。
こんな作りではなくて、本当に良かった!
それに、時代劇はまだまだ作れるし、まだまだやれる俳優さんも育てられる。

ト伝と名乗り、左門と勘助と旅に出たことですし、続編をできたら作ってほしいです。
良かった~。
日曜日が楽しかったですよ。


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2011.11.27 / Top↑
「塚原ト伝」第6回。

新右衛門が鹿島から修行に旅立ち、京都に来て10年。
名声は轟き、多くの弟子を抱えていた。
だが、奥津が落とした影は濃く、新右衛門の前には、自分が倒した剣客の姿がしばしば蘇るようになっていた。
自分に襲い掛かってくる亡霊たち。

新右衛門は一瞬、惑わされかかる。
間一髪、我に帰った新右衛門は、自分に襲い掛かってきた刺客を斬り捨てる事ができた。
それは長い間、大内の屋敷に勤めていた男だった。
ずっと間者として、屋敷に潜んで平賀丹後守と大内家のことを探っていたのだ。

あと少し遅かったら…、斬られていた。
新右衛門の頭に公方さまの、手が血で真っ赤だ、と言う言葉が蘇る。
権力争いと謀略にまみれた都、それに巻き込まれるしかない今の自分。

鹿島の剣を広めたいと思って、鹿島を出たはずだった。
なのに、自分の剣は神から離れているのではないか。
既に血にまみれた、鬼になっているのではないか。

山に登り、自分を見つめ直す日々が続く。
そしてある日、鹿島の海を思い出す。
「鹿島に帰ろう」。

丹後守の主家である大内義興は細川高国との政争に勝利し、明との貿易を勝ち取った。
大内は、山口に戻ることを決める。
家臣である丹後守も山口に戻ることになり、鹿乃も当然、山口へ戻ることとなる。

新右衛門は丹後守に一緒に山口には行かず、鹿島に帰ることを伝える。
「神に向き合いとう、ございます」。
その夜、丹後守の娘・鹿乃は新右衛門に寄り添い、連れて行ってほしいとつぶやく。
だが平賀の家を継ぐ鹿乃には無理な話だということは、鹿乃自身にもわかっていた。

新右衛門も鹿乃への想いを秘めたまま、旅立ちの朝は来た。
丹後守、京都で親交のあった者たちが新右衛門を見送る。
鹿乃もそっと見送る。
京都の町、鹿乃と手を取って歩いた思い出が新右衛門に蘇る。

やがて、新右衛門と左門は鹿島に戻る。
鹿島では、後を継いだ鹿島義幹が玉造常陸介の言う通り、城の改築をするところだった。
先代からの家臣たちは費用がないと反対するが、殿は玉造の意見を聞き入れてしまう。

そこに新右衛門が戻ってきた。
諸国に名が轟く新右衛門が帰ってきたことで、玉造を牽制できる。
みな、大喜びで新右衛門を迎え、武勇伝を聞きたがる。
しかし、新右衛門は鹿島神宮で千日、俗世と縁を切ってこもる修業に入ると伝える。

養父は納得できない。
だが、実父は新右衛門の気持ちに理解を示す。
実母が心配する中、新右衛門と共に成長した木を見つめ、おこもり場も用意する。

真尋も祈る中、千日の修業が始まった。
誰とも口を利かず、関わりを持たず、1人で滝に打たれ、水に入り、祈り、剣を振るう日々が続く。
左門も心配をして見に来ている。

千日の修行が、終わる前の夜だった。
幼い頃、真尋と一緒に、物忌さまともう1人の自分と遭遇した場所。
そこで剣を振るっていた新右衛門の前に、もう1人の自分が現れる。
向かい合い、剣を交える2人。

あなたは…。
鹿島の剣の祖・真人さまでは…。
もう1人の自分の太刀が、新右衛門の頭の上に振り下ろされ、止まった。
新右衛門の頭の中に、声が響く。

「恐るるな」。
「己は相手とともにある」。
「心新しくして事に当たれ」。

あの夜と同じように、雷が鳴り響く。
新右衛門の手には、真人がくれた剣、一つの太刀があった。
夜が明ける。

新右衛門は剣の道は、形や腕にはないことを悟る。
ついに悟りを開いた新右衛門。
千日の修業を終え、戻ってきた新右衛門に左門も胸をなでおろす。



強くなればなるほど、迷って行ってしまった新右衛門。
自分が倒した亡霊たちが現れ、襲いかかろうとする。
奥津は、言った通り、自分と同じ地獄へ堕ちかかっている新右衛門を嘲笑いに現れる。

これまでに対戦した相手、斬り捨てた盗賊のことが思い出される。
血で染まった手を見るように促した公方さま。
本田博太郎さんが回想場面で現れたのは、うれしい。

業苦の世界に入りかけた新右衛門の癒しは、鹿乃だった。
今回、鹿乃は新右衛門に「なぜ戦うのです」と食って掛かったりせず、そっと支えていました。
山口へ戻る鹿乃は、おそらく2度と会うことはない新右衛門に向かって、鹿島へ連れて行ってくれたら…と胸のうちを打ち明ける。
新右衛門も、心の中では鹿乃を連れて行きたいと思っている。

しかし、迷いの中にあり、これから鹿島へ戻る自分が、平賀の家を継ぐ鹿乃を連れて行くことはありえない。
お互いに気持ちをわかっている2人には、お互いの無理もわかっている。
2人はそっと、目に心を込めて、別れていく。
鹿乃が切なくて、良かった。

今回は迷い、怖れ、そして悟り。
試合や斬り合いよりも、堺さんの内面の演技に比重がかかった回。
堺さん、飄々としているようで、こういうところの演技はしっかりしてますねー。
本田さんは一瞬しか出ないし、物語としては内面の葛藤に徹した回だったのですが、退屈することなく見られました。

こういう人間としての挫折や苦悩あってのト伝誕生だと、強さに説得力が増しますね。
ト伝を無敵のスーパーヒーローに描く物語も、あってもいい。
ですが、これはそういう物語とは違う話でした。
悟りを開く展開は、第1話の神話のような世界に戻るんですが、この神秘的な展開は良かったです。

そうそう、新右衛門が見たもう1人の自分は鬼ではなかった。
鹿島の真人さまだった。
なんと失礼な解釈を、私はしていたのでしょう。

物忌さまが、新右衛門には試練がかかるが、鹿島の神と共にある、大丈夫だというのはこのことだったんですね。
新右衛門はまさに、鹿島の神の太刀を継ぐものだった。
鬼を知って、神を知る。

これまでは、その為の戦いの日々だったんですね。
悟りを開いて次回、最終回!
早い~。


2011.11.16 / Top↑
「塚原ト伝」第5回。
「一筆啓上業苦が見えた」を見て、これも見て、晩年の武将が寺を立てたり、腕の立つ武士が仏門に入るのがわかる気がしましたよ。


新右衛門の名は京に轟き、次々、手合わせを願った武士が新右衛門の元へ訪れる。
だが新右衛門は、あっという間に叩き伏せる。
新右衛門の剣はますます鋭く、非情になっていく。
そんな変化を、左門は感じ取っていた。

新右衛門は丹後守から、御前試合の時におり、町で話をした奥津源三郎(榎木孝明)がかつては新右衛門のように御前試合を次々勝ち抜いた剣豪だったことを知る。
強い相手がいない。
そう思っていた新右衛門は奥津との手合わせを願い、屋敷を訪れるが、奥津は剣は捨てたと言う。

なぜ。
奥津は次々、強い相手を求めて戦ったが、それには飽きたと言った。
京の都で武士が辻斬りに遭い、ついに細川家の家臣も被害にあった。
六郎次郎の探索により、辻斬りは奥津の仕業とわかる。

悩む新右衛門の前に奥津が現れ、試合を申し込む。
新右衛門は左門と数名を連れ、奥津の待つ山へ向かった。
奥津は新右衛門を待ち受けており、数名の金で雇った侍が斬りかかってくる。
左門はここは自分にまかせて、奥津を追うように言う。

奥津は二刀流で、新右衛門に斬りかかる。
辻斬りも管領の家来が襲われれば、新右衛門が出てくることを知っての挑発であった。
新右衛門は袖を切られる。
こんなことは、初めてだった。

新右衛門の剣を片手で受け、もう片方の手で新右衛門に斬りかかる。
または二つの刃を重ねて、斬りかかる。
奥津の繰り出す二刀流を、すんでのところでかわし、受け続ける新右衛門。
新右衛門の差している小刀の柄に、奥津の刃が当たった。

奥津が含み笑う。
「お前はわしの若い頃にそっくりだ」。
「お前はわしのようになる」。

覚えているはずだ。
人を斬った時の感触を。
高ぶりを。
新右衛門に、これまでの人を斬った記憶が蘇る。

「俺はお前とは違う!」
新右衛門の刃が、奥津の腕に当たり、続いて奥津は斬られる。
刀を振りかざそうとした奥津を、新右衛門は刺す。

奥津は新右衛門の刃を握ると、自ら深く深く刺し貫く。
倒れると、新右衛門を見て、笑った。
そして、事切れた。

鹿島では好戦的な殿の弟が後を継ぎ、家臣たちとの間には不穏な空気が漂っていた。
物忌みさまは、新右衛門を占うが、新右衛門の未来は見えない。
新右衛門の敵は、己自身…。
その言葉を聞いた真尋は、新右衛門の無事を一身に祈る。

真尋の前に物忌みさまが現れ、新右衛門の為に鹿島の神に祈り続けるように言う。
だが、それは夢と思われた。
その時、物忌みさまが倒れたとの知らせが来る。

京で、新右衛門は悩み続けていた。
自分は奥津のようになるのか、もしや既に、奥津のようになっているのか。
庭でその思いを振り払うように、鹿島の剣を振るい続ける。



「一筆啓上業苦が見えた」の世界でしたね。
剣の腕を磨き続け、やがて師匠でさえも脅威を覚え、闇討ちを計るが、撃退してしまう。
人の心の浅ましさに触れ、強い相手を求めてどんどん腕を上げて行く。
やがて血を見なくてはいられなくなり、そんな自分を斬ってほしいが、敵はいない玄覚。

殺し屋の主水が、そんな形で、剣の腕を活かせる主水が、うらやましい。
剣の斬り合いには勝ったが、人として負けた自分。
だが、誰も自分を斬ってくれない。
私はどうしたらいいのだ、どうしたら…。

あれを見ていたので、奥津は昔の自分にそっくりな新右衛門を知り、この男こそ自分を斬ってくれると期待した。
自分をこの地獄から救ってくれる、と。
同時に、血に飢えた魂が騒いでしまった。
強い相手と立ち合いたい、勝ちたい。

新右衛門が自分に斬られたら、それまで。
自分が負けたら、新右衛門には自分の姿を見せ付けてやろう。
新右衛門に自分の姿を見せ付け、このようにならないようにしてほしかった。
同時に、自分と同じ地獄に堕としてやりたかった。

結果、新右衛門は勝つ。
天は自分ではなく、新右衛門が生き残ることを選んだ。
満足して、覚悟していた奥津は新右衛門の太刀を深く自分で突き刺す。
後はこの男が自分を引き継ぐかどうか、とにかく自分の地獄は見せ付けた…。

いやー、見所あったー。
「必殺仕事人 激突!」の滝田栄さんもなんですが、実際に武道をやっている榎木さんの殺陣は迫力!
そして二刀流が流れるよう。
今回の立ち合いは腕の対決であり、精神のぶつかり合い。

剣と狂気が混ざり合い、ぶつかり合う。
それを榎木さんが、十分に表現してくれました。
新右衛門を、自分を嘲笑うような最後のまなざし。
あれは新右衛門に、残ってしまいますねー。

本田さんの公方さまは回想シーンだけでしたが、それでも人を斬ることを考え始めた新右衛門にとってあのセリフが重要でした。
第1回で出た物忌みさまに会った幼い日、妹の真尋が見たもう1人の兄・新右衛門。
真尋は必死にもう1人の兄と近づきそうになった兄を連れ戻したんですが、あの意味が今回わかった気がします。

あれはもう1人の新右衛門、強さゆえに鬼と化すかもしれない、もう1人の新右衛門だったんですね。
物忌みさまの、新右衛門の敵は己というのは、そういうこと。
そして、神の試練とは、そういうことだったんですね。
物忌みさまが倒れたとうろたえる老婆の役、「任侠ヘルパー」の3話に出てきたおばあちゃんですね。

真尋は既に兄が直面する精神の危機を、感じ取っていたということでしょうか。
これから先も真尋が兄を支え、やがて兄と神の橋渡しをする存在ということでしょうか。
真尋以外の女性についてですが、奥津を知っていそうなお美津さんでしたが、あまりその辺は関係なかった。
鹿乃が新右衛門を心配する場面はありますが、恋愛にあまり重きをおかないドラマなのは剣豪を描くのにいい感じだと思います。

そうそう、山本勘助が登場しました。
冴えない感じでしたが、後の軍師。
史実でト伝と勘助は交流があったとか聞いたことがありますが、あと2回で、どこまで描くんでしょうね。
7回で終わらずに、第2弾もお願いしたいところです。


2011.11.01 / Top↑
「塚原ト伝」第4回。

永正8年、船岡山の戦いに勝利した足利義尹将軍と、細川高国、大内義興。
戦の褒賞を与える宴に、新右衛門も呼ばれる。
だが御前試合を根に持った高国は、新右衛門が不当に評価されすぎているのではないかという噂があると言う。
その噂を打ち消す為に、今一度、御前試合をするべきだという高国の策略で、新右衛門は再び御前試合に臨むこととなる。

新右衛門と左門は町で野次馬が走っていくのを見て、何ごとか尋ねると真剣勝負が行われるのだと教えられる。
そこで見たものは、南栄という両端に刃がつ付いた長刀の使い手。
南栄は大男で仮面を外さず、参ったと降参した相手まで斬り殺す。

あまりだと思った新右衛門は南栄を呼び止めるが、刃を突きつけられた新右衛門は動けなかったと後で左門に打ち明ける。
御前試合の相手はこの南栄だった。
左門を相手に、両刃の長刀で稽古をするが、どうあっても防げない。

南栄に対抗する手がないまま、御前試合の日が迫る。
新右衛門を案ずる鹿乃は、心配のあまり、新右衛門の寝所にやってきてしまう。
鹿乃に気づいた新右衛門は無言で、庭に出る。

御前試合の日。
向かい合った新右衛門は南栄に、正面から向かう。
わずかに南栄がひるんだその時、新右衛門が踏み込んで南栄を斬った。
構える間もなく、面が割れ、南栄は倒れる。

「なんや、あっけないの」 と公方さまが気が抜けたように言う。
苛立った高国は降りてきて、倒れた南栄に刀を突き刺す。
その手を新右衛門が抑える。

「むごいことはおやめください。敗れたりとはいえ、この者は、高国さまの名代として戦ったものではありませぬか」。
激怒した高国は、新右衛門にも刃を突きつける。
その時、「高国!」と公方さまの声が飛ぶ。
「そなたは短気で困る」。

去り際に公方さまは新右衛門を見つめ、「おぬしの手、南栄の血で真っ赤じゃ」と言った。
その通り、新右衛門の手は真っ赤だった。
振り向いた公方さまは「きれいじゃの」と言って去った。

その夜、新右衛門は手を洗った。
何度も何度も洗ったが、手に鮮血のついた幻想は取れない。
夜更けに手を洗っている新右衛門の近くに、鹿乃が立つ。
「ご無事で…」と言った鹿乃を抱きしめようとした新右衛門だが、そのもどかしく開いた手からは血の幻想は消えていた。

新右衛門と左門は大内の殿から、いつまででもいても良いと許しを貰う。
喜ぶ2人。
新右衛門は町で、御前試合の時にいた奥津と出会う。
軽く言葉を交わして別れる2人だったが、2人の出会いはそんなものでは終わらなかったのである…。



今回は戦に勝利した宴で、本田博太郎さんの公方さまが敦盛を舞ってくれましたー。
褒賞に刀を手渡す時、新右衛門に鹿島の太刀を広めて何が望みかと聞くと、新右衛門は答えられない。
まだ答えは見つかってないんですね。

新右衛門の望みはお金でも名誉でも、地位でもない。
すると、公方さまは「この者は良い!」とお気に召したご様子。
ますますムカついているのは、高国。

その高国の策略で、今度は南栄と勝負することになってしまう。
南栄は、常にお面をつけている大男。
その理由は、新右衛門に面を割られてわかったのですが、南栄は異人さんだったのですね。

どうして日本に来たのか。
そして、どうして剣客となったのか。
どこでこの両刃の長刀を会得したのか。
全ては謎のまま。

南栄は、降参した相手を斬り殺す、新右衛門に刃を突きつけて「お前も死ぬのが怖いか」と聞く。
「人はいずれ死ぬ。なぜ生まれてきたのか、それもわからないまま」。
こんなことを異国の言葉で言うほど、何かとても深い理由が南栄にはあったのでしょう。

公方さま、あっという間に、本当にあっという間に試合が終わっちゃって、不機嫌。
高国が「おもしろい試合になる」って言ったのに、試合にもならないうち終わっちゃったって感じ。
つまんないお顔して小姓に向かって杯を突き出すけど、お酒もちょうど終わっちゃったみたいでした。

高国の仕打ちを止めた新右衛門が刃を突きつけられ、公方さまは高国を止める。
新右衛門の行為を武士らしいと思ったことは思ったんでしょう。
でも、「おぬしの手、南栄の血で真っ赤じゃ」という公方さまの言葉で、新右衛門には所詮は人殺しだという意識が生々しくわいてくる。

新右衛門が我に帰る、というか。
「きれいじゃの」と言った公方さまの顔が去り際のほんの一瞬、歪む。
戦で勝利したばかりの公方さま。

つまり、自分の手も血で染まっている、という現実を蘇らせたかのよう。
「きれいじゃの」には、血をきれいと思う狂気も含まれている。
この狂気、真剣を臨む御前試合は、奴隷とライオンの試合を見物した権力者の残酷さと退廃に通じてますよね。

血の赤さが、美しい。
それは、生きている証。
生き残った者、勝利者の勲章。
そして、人の血を流した痛み。

生き残っていくということは、人の死の上に自分があること。
権力者の残酷な娯楽と共に、戦を終えた公方さまの心境は、映画「ディアハンター」のように戦争に病んだ男たちが、死ぬほど怯えたロシアンルーレットをせずにはいられないものなのかも。
そんなことを、一瞬の公方さまの表情を見て思いました。
いやー、お歯黒、白塗りの公方さまだけど、本田博太郎さんの作り上げる将軍像は、やっぱりなかなか深いです。。

今回は相手の技と、試合を左門が親切に解説。
なーるほどー、だから勝ったのかーと思いましたが、新右衛門は計算してではなくて、どうせ斬られるなら正面から行こうと思っただけだと言ってました。
そこがセンスというか、勘というか、天才なんでしょうねー。
でもわかりにくかったから、新右衛門が鹿島の海を思い浮かべて無念無想になるところとかあったらよかった。

奥津源三郎が、新右衛門の試合を見ていました。
そして、町で新右衛門を呼び止めました。
これ榎木孝明さんですよー、次回の「最強の敵」です。

新右衛門に「そなたもわしのようになる…」と言ってました。
強い者が強い者を求め、どんどん人を斬って行く。
人を斬るのがやめられないが、強くなった自分を誰も斬ってくれない。
まるで「仕置屋稼業」の「一筆啓上業苦が見えた」の玄覚ですね。

物忌みさまが「新右衛門の敵は己の中に」とか言ってました。
前回の敵、円珍も最初は優しい男だったのに、妹がかどわかされて殺された時から変わったみたいですね。
そして、娘をさらってきて、それが自分の妹と同じ目にあわせられても平気な鬼のような男になってしまっていた。
第1回で新右衛門は村人を盗賊から救っても、村人たちからは自分も同じ鬼に見えると言ってました。

公方さまの言葉。
勝ち進んでいく新右衛門に、だんだんと、そしてどんどんとその意味が重くのしかかってくる。
剣の使い手が鬼にならない道。
次回は、もしかしたらなったかもしれない鬼との対決で、新右衛門が悟りを開くのかも。

そうそう、鹿島の里も戦で大変なんですよー!
7回は少なすぎる。
そして、公方さま、もっとプリーズ。
しかし…、鹿乃さん…、いてもたってもいられなくて寝所に行っただけで、あんまり考えはなかったにしても大胆でした。


2011.10.24 / Top↑
「塚原ト伝」第3回。

将軍・足利義尹が寝所で暗殺されかかった。
護衛の14名は全員、一太刀で斬られており、相手は相当な使い手と思われた。
幸い、将軍は傷は負ったが、命に別状はなかった。
将軍は暗殺者の首を持ってくるよう、激怒していた。

細川高国は、手練の者を多く抱える大内義興に征伐を頼めば良いと発言する。
先だっての御前試合で、新右衛門に自分のお抱えが破れたことを根に持っているのだった。
新右衛門も御前試合で負けた高国が、剣術指南をしていた道場に暇を出したことから恨まれ、夜道で襲われていた。

平賀丹後守から頼まれ、新右衛門は将軍を暗殺しようとした男を征伐することになる。
しかし、遺体を見た新右衛門は、その傷が何によってできたものかがわからず、気になった。
新右衛門を最初に尾行して気づかれた平賀丹後守の忍び、六郎次郎がやってくる。
左門は警戒するが、新右衛門は六郎次郎が自分たちをつけていた男だと見抜く。

六郎次郎は暗殺者の正体を知っており、それは自分と同じ故郷の出身の円珍という男だと言った。
円珍も妹絡みで、悲劇に見舞われた男だった。
話を聞いた新右衛門は、自分にも妹がいることを思う。

だがいまや、六郎次郎さえも腕を磨くうち、殺戮を楽しむ悪党に成り下がってしまった円珍を擁護できない。
案内で山に行った新右衛門と左門が見たのは、でさらった娘たちを前に酒宴を開く円珍だった。
円珍の前に、新右衛門と左門が現れる。

その頃、鹿島では新右衛門の妹の真尋が兄の身を案じていた。
物忌みさまは、新右衛門は鹿島の剣を継ぐもの、これからも何度となく、神の試練に遭うだろうと予言する。
真尋は、幼い頃、兄と物忌みさまを覗き見した時の不思議な体験を思い出していた。
兄の前に、もう1人の兄が現れたこと。

部下たちは左門が引き受け、円珍と新右衛門の戦いが始まった。
戦いの最中、新右衛門はこめかみを打たれる。
新右衛門には、円珍の振り回す錫杖の長さが変わったように思われた。

すると、円珍の錫杖からは、鎖が出てきた。
一瞬、刀に鎖が巻きつくが、新右衛門はそれを見抜いて振りほどく。
技を見抜かれた円珍は焦り、新右衛門は円珍に勝利する。

幼い頃、お家騒動に巻き込まれ、家族を目の前で殺され、平賀丹後守の養生になった鹿乃は、新右衛門を案ずる。
これからも戦い続けなければならないのか。
そして、新右衛門に絶対に死なないでくださいと告げるのだった。



ジャンプもスローもない殺陣でしたが、そこが段々本格的な感じがして、良くなってきました。
左門は何気に、円珍以外の山賊を全員相手にして無事。
強いー!
女性が襲い掛かってきましたが、ちゃんと女性は斬らずに当身を食らわしていたのが、余裕!を感じました。

円珍を倒した後、円珍の杖の仕掛けを知って、大変勉強になったと言う新右衛門。
それに対して、侍バカ、いやバカ侍と言ってしまうのも笑い。
この主従、大変微笑ましい。

鹿乃の恨みが返って来る心配は、早くも的中。
生い立ちが生い立ちですし、新右衛門に対し、戦いを否定するのはわかります。
でも、時代の背景を思えば、あんまり言うと現実離れしてる気がするんですよね。
既に細川と大内は争いを始めているわけですし、将軍の地位を巡っても争いは起きている。

鹿島では、新右衛門の師・松本備前守が殿に戦が怖いか、と言われた。
このままでは国が滅びると言ったり、不穏な時代の空気がひしひしと迫ってきます。
新右衛門に鹿乃が、絶対に死なないでくださいと言うのは、恋心を感じてかわいらしかったですが。
せっかく、ト伝という素材をドラマにしているので、あまり女性サイドの話を描かず、ト伝の武者修行ぶりに重点を置いていただければ。

それから、何と言っても本田博太郎さんが良かったー!
あのお歯黒、白塗り。
最高ですよ、あの怪しさ。

性格がちょっと悪そうで、歪んでる感じも良く出てる。
しかも、寝ている時も白かったし、歯は黒かった。
そんなオシャレ心というか、こだわりは忘れていなくても、刀を手に取る辺りはやはりただの麻呂ではない。

おののいて、それでも刀を手に向かう。
しかし、刀をあっさりはじかれ、今度はしりもちをついて後ろに下がって行く。
そして、家来たちの死体に触れて、悲鳴。

間一髪助かったら、今度は家来たちを前に「キーッ!」となっている。
「首を持って来い!早う!は~よ~う~」と、ワナワナ。
包帯だらけなのが痛々しいんだけど、ごめんなさい、笑っちゃった。
ほんと、最高に楽しい。

しかし、全部で7回しかないので、将軍様ともすぐにお別れしなくてはいけないようです。
将軍様ー、寂しいです。
来週も私は、本田博太郎さんの将軍様に釘付けでしょう。


2011.10.19 / Top↑