こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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俺を殺してくれる奴を待っていた 必殺仕事人 第6話

「聖二郎!なぜ獣のような真似をするのですか」。
尼僧の桃源院の声が、悲痛に響く。
相手は葵の紋を背負い、狼藉無法の限りを尽くす松平聖二郎だった。
剣の腕も、剣豪といって良い腕を持っている。

「必殺仕事人」、第6話「主水は葵の紋を斬れるか?」。

道場破りをした聖二郎が、外に出て来る。
「看板もらって行きましょう」。
「先生の仇」。
「叩ききってやる」。

聖二郎は、道場の看板の上を土足で歩いている。
襲い掛かる門弟たちを、看板の上を土足で行き来しながら叩きのめす。
左門が見ている。

倒れた門弟たちの刀をまとめて、防火用水に突っ込むのは、用心棒の舎熊。
葵の紋の提灯を倒れた門弟に見せ付けるようにかざして、用人の陣内が行く。
先頭には着流しの聖二郎。

「待てい!」
一人の男が刀をかざしながら、追ってくる。
「お前に俺が斬れるかな」。
聖二郎は見向きもしない。

「これが目に入らぬか」と陣内が提灯を持つ。
「葵のご紋にはむかうってことは、わかってるなあ?」
「一族郎党、死罪だぞお」と、舎熊も言う。
しかし、男は追って来た。

振り向きざま、聖二郎は刀を抜くと走りながら、男を斬った。
ものすごい腕だった。
主水たちが来る。

「おい、役人、なぜ、俺を捕まえん」。
聖二郎が言う。
「十手が泣くぞう!」
「どうだ、意地を見せて俺を捕まえるか」。

「それともこの、葵の紋をくぐるか、どちらにする?」
陣内が提灯を手に、股を広げる。
そこをくぐれ、と言うのだ。
「黙って引き下がるんですか」。

筆頭同心井沢が屈辱に、思わず、身を乗り出す。
その殺気を感じた主水は、「いけません。絶対に逆らっちゃいけません」と止める。
主水たちは地面に這いつくばい、葵の紋の提灯を持つ陣内の股の下をくぐった。

この無法を、役人たちは取り締まらない。
主水が袖の下をもらった商人が、怒りの目で主水をにらんでいる。
しかたなく、主水は袖の下を返した。

金をむしられた挙げ句、妻子を死に追いやられた恨みを晴らしてくれと、鹿蔵に頼んできた商人は、無理だと判断され、鹿蔵の前で川に飛び込んだ。
これに打たれた鹿蔵は、仕事を引き受けた。
だが主水も左門も秀も、相手が葵の紋を背負っているため、仕事は断った。

しかし意外にも聖二郎の殺しを、老中稲葉が鹿蔵に頼んできた。
子供のいない稲葉は、甥っ子の伊藤伊織を息子と思って育ててきた。
その伊織の妻が、聖二郎に辱めを受け、死んだ。
妻の無念を果たそうとした稲葉の甥を、聖二郎は斬った。

市中で主水たちを辱めた時、斬ったあの男が伊織だったのだ。
それだけではない。
秀と左門の暮らす長屋の娘の嫁入り行列の前に聖二郎は立ちはだかり、娘をさらった。
娘は殺された。

左門も秀も、嫁入り行列からさらわれ殺された娘を前にしてはもう、許せなかった。
再三にわたり、この仕事を断った主水もついに引き受ける。
「この仕事から逃げる奴は仕事人じゃねえ。元締めはそう言いてえんだね」。

仕事料は25両という大金だった。
大物の証だ。
「気をつけろぉ。相手はばけもんだぞお」。
主水は左門と秀に、そう言った。

主水たちが仕事に向かう頃、聖二郎を尼僧・桃源院となった実の母親が訪ねてきていた。
追い返せという聖二郎だったが、母はすでに部屋に来ていた。
「聖二郎、やはり、生みの母をお忘れか」。

用心棒の舎熊と用人・陣内がギョッとする。
舎熊が思わず、顔をそらす。
聖二郎は母親の顔を見て、「出て失せろ」と言った。
「出て行け」。

母は聖二郎の前に座った。
聖二郎が、刀を抜く。
母親の前に刺す。
だが桃源院は動じない。

聖二郎は舎熊と陣内に「表へ連れ出しなさい」と言った。
「聖二郎!なぜ獣のような真似をするのですか」。
尼僧の桃源院の声が、悲痛に響く。

「同じ松平家の血を引きながら兄じゃは将軍、お前は日陰の身!そんな風にした私を恨んでいるのですか!」
「聖二郎!せめて人様に迷惑をかけないような人間に!」
「聖二郎!聖二郎!」

だが舎熊と陣内は、桃源院を門前に放り出した。
「若がああ言っている。2度と来ないほうが良いよ」。
そう言って、扉を閉めた。

その直後、秀が、舎熊と別れた陣内を襲う。
壁に押し付けられた陣内はろくに抵抗もできず、秀に首筋を刺された。
酒蔵に酒を取りに来た舎熊を、左門が襲う。
刃を合わせた末、左門が斬る。

葵の紋の入った提灯が、燃えている。
暗い廊下を誰かがやってくる。
明かりのついた座敷が見える。

聖二郎が飲んでいる。
廊下から現れた主水が頭を下げる。
聖二郎が、不思議そうに見る。

市中で老中・稲葉の甥っ子を斬った時にいた、同心の1人だ。
斬ったのが稲葉の甥っ子だったとは知らなかったが、妻を辱められたために刀を抜いてきた。
だから一刀の元に、返り討ちにしてやった。

市中だったため、同心たちがやってきた。
だから同心たちを、葵の紋で震え上がらせてやった。
舎熊の股の下をくぐらせてやった。

その時にいた、同心の1人だ。
一番風采が上がらない、下っ端のようだった。
「何の用だ」。

「はい、ちと悪いお知らせがあってやってまいりました」。
「何?」
「はっ。ただいま、葵のご紋の提灯持ちが2人、なくなられましてな」。
「それで」。

聖二郎の声には、驚きもなかった。
「わたくしめ、八丁堀同心中村主水と申します」。
主水が平伏する。

「お願いでございます。提灯持ちにわたくしめを新規ご採用願えませんか」。
主水は大刀を、自分の前に横にしておいた。
その前、主水と聖二郎の間には膳がある。
これ以上ないほど、主水は頭を下げる。

聖二郎が、じっと見る。
「葵のご紋から」。
そう言いながら主水の手は、眼の前で横に置いた大刀をつかんでいる。

「月々いただく三十俵二人扶持のお手当てでは」。
平伏した主水はそっと、大刀の柄をつかみ、鞘から出している。
主水の前におかれていた、聖二郎の刀がすうっと引いていく。

入れ替わりに主水の抜き身の刀が、聖二郎と主水の間にある膳の下に入っていく。
膳が聖二郎に、ひっくり返される。
主水が膝を立てる。
聖二郎と主水、お互いの刃がはじかれる。

立ち上がった聖次郎がもう一度、刀を振り下ろす。
主水は交わす。
聖二郎は、刀の切っ先を回転させる。
「ええい!」

膝を立てたままの主水の左手に握った小刀が、聖二郎に突き刺さっていた。
主水の頭の上には、聖二郎の刃がある。
刃は主水の頭まで、降りてこなかった。

深く、もう一度、主水は聖二郎に自分の刃を突き刺す。
主水が立ち上がる。
聖二郎は主水に刃を向けたままの姿勢で、ジッと見つめる。
主水が立ち上がり、聖二郎と対峙する。

「良い奴に巡り合った…」。
聖二郎の刃は、主水の肩の上にあった。
「いつか俺を殺してくれる奴を、ずうっと待っていた…」。

聖二郎の声には、わずかだが笑いが含まれていた。
「葵の紋に、逆らう奴をな」。
聖二郎は首にも、一筋の傷を負っていた。

主水はそのまま、聖二郎を刺す。
黒い着流しに白く染め抜かれた、葵の紋が見える。
聖二郎の手が、だらりと落ちた。
目は、主水を凝視したままだった。

主水が清次郎から刀を抜いた。
「うぅ」。
聖二郎が倒れる。

刀を杖として支えながらもう一度、聖二郎は立ち上がろうとする。
そしてなおも振り返り、主水に向かって刃を閃かせた。
だが主水は一気に、今度は右手の大刀で聖二郎を斬った。
さらにもう一度、横殴りに斬った。

聖二郎が、うずくまる。
主水は両手に刀を持っている。
両手に刀を持ったまま、部屋の奥に歩く。
ろうそくの炎を吹き消す。

聖二郎は暗闇の中、1人残った。
「母上、これで良いんだろう」。
そう言うと、聖二郎は動かなくなった。
暗い、部屋の隅で。

数珠が飛び散る。
聖二郎の母・桃源院は、門前で自害していた。
秀と左門が、主水を待っている。
主水が来る。

「門の前を見たか」。
左門が聞いた。
「あんまり気にするな。後味の悪いのはお互い様だ」。
「人にはそれぞれ、いろんな生き様ってもんがあるんだ。じゃ、けえるぞ」。

主水が去っていく。
先ほどの激闘を、微塵も感じさせない口調だった。
左門と秀も帰って行く。



松平聖二郎は、目黒祐樹さん。
やっぱり、すごく良いね!
葵の紋が入った、黒の着流しがお似合いです。
裾裁きも綺麗。

すばらしいのは、道場破りをして取り上げた看板の上を歩くシーン。
一直線に線を引いたようにまっすぐ、歩く。
端まで行くと、引き返す。
この所作が、すごく綺麗。

着流しの裾のさばき方も、綺麗。
殺陣はやはり、さすがの迫力。
さすがだなあと思いながら、見ていました。

無法をしても、それで聖二郎の心が休まるわけではない。
聖二郎の兄が将軍であり、自分は日陰者であることは変わらない。
兄にこの気持ちも、感情もぶつけることはできない。

自分の根本が解決しない限り、人にぶつけても解決はしない。
心は荒む一方。
しかし、そんなことは他の人間には何一つ、関係がない。

そんなことに巻き込まれた人間が、納得できるはずはない。
聖二郎がやったことは決して許されない。
市中の者の怨嗟のまなざし。

あれは放置したら、そのうち幕府、将軍への非難となっていくことでありましょう。
いや、聖二郎は案外、そうなってほしかったのかもしれない。
それが兄への、将軍への何よりの復讐になる。

葵の紋には、誰も逆らえない。
聖二郎は葵の紋をたてにして無法を働くが、その実、葵の紋に誰も逆らってこないことに苛立っている。
少しも楽しくない。
それは自分もまた、葵の紋の力には決して勝てないと思い知らされるだけだから。

逆らってきた相手はいても、聖二郎を斬るに至らない腕ばかり。
本気を出した聖二郎には、あっさり斬られてしまう。
誰も自分を斬ってくれない、葵の紋を地に落としてくれないのだ。

ついに主水が、闇の暗殺者としてやってくる。
対決。
じわじわと高まる緊張感。

平伏しながら、刀を抜き始める主水。
聖二郎は密かな殺気を察知し、こちらもまた太刀を引き寄せる。
交わされる主水の刃、交わされる聖二郎の刃。
刃が閃き、重なる。

これはもう、暗殺ではない。
優れた剣の腕を持つ同士の、ぶつかり合い。
初めて、初めて聖二郎は充実感を感じたのかもしれない。

勝負は一瞬の間で決まった。
一瞬で決まったようだが、それはどちらが斬られていても不思議はない勝負だった。
主水が、二刀流で対抗するほど。
そして聖二郎の武士としての意地は、最期まで主水に向かって抵抗を試みる。

一方、聖二郎は言う。
誰か、俺を斬りに来る奴を、と。
俺を眠らせる奴を待っていたのだ、と。
憎み、憎みながらも離れることができなかった葵の紋を地に落とす奴を。

「誰も斬ってくれなかった…」。
葵の紋があるゆえに。
異常に強い腕があるゆえに。

聖次郎の苦悩は、全覚の地獄を彷彿とさせる。
主水が全覚との地獄を見ていなかったら、勝てなかったかもしれない。
いや、この時の主水なら、全覚にこうして安らぎを与えられたのだろうか。

激闘の末、やってきた主水は門前で尼僧が自害していることを聞く。
左門も秀も、嫌な気分だった。
だが剣士として勝負を決めてきた主水は、あっさりしている。


さてこの回は、この後、元締めの鹿蔵とっつぁんが主水の家までやってきます。
そして、当分の間、戻らないと言う。
今回、直接仕事を依頼した稲葉に、自分がいることで迷惑が掛かるかもしれない。

鹿蔵は主水に、半吉の面倒をよろしくと言っていく。
尾張の方に大きな仕事があるから、それをして帰ってくる。
その時はまた、2~3人殺してもらいますよと言って、晴れ晴れと笑う。

この晴れ晴れさに、凄みがある。
笑顔で去っていく鹿蔵。
実に貫禄があり、大物の元締めという感じがある。

次回から、山田五十鈴さんが登場。
舎熊と左門さんの侍対決もあり、こちらの殺陣も楽しめる。
いろいろと見所ある回です。

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おしま頑張る 「必殺仕事人」79話

テレビ埼玉で放送された「必殺仕事人」79話。
「暗闇仕留人」の妙心尼も演じた、三島ゆり子さんの熱演。

常々、年増扱いされて「許せないわぁ~」というおしまが大ピンチ。
三島さんの演じるキャラクターって、どこか暖かみがあって、コミカルで笑いを誘うものが多い。
この、おしまも加代と良いコンビ。
それが、それが、火付け盗賊改めに捕縛されてしまった。

火付け盗賊改め、「鬼平犯科帳」で知られる通称、火盗改め。
放火、盗賊、博奕を主に取り締まり、奉行所とは違って機動性を重視しているので、奉行所では管轄外の僧侶や旗本も取り調べられる。
つまり、手順を踏まないで取調べができる。

その取調べは相当に厳しく、奉行所では禁止されている拷問もやったそうです。
だから火盗にかかると、大概の者は白状するらしい。
もちろん、やってなくても白状してしまったりもするし、死んじゃったりもする。

でもここは奉行所と違って裁判やったり、治安守ったりもしないで、犯罪者を減らせばいいので、これもありだったらしい。
とにかく恐れられることも、犯罪を減らす手段のひとつ…というわけでしょうか。
しかし、これ、迷惑だったりもするんじゃないですかね。

強盗とか、紙と木でできている江戸の町に放火とか、今だってとんでもない凶悪犯罪なので、恐れられて取り締まることは絶対必要なのはわかるんですけど。
鬼平みたいな火盗より、悪役の方が多いせいかもしれませんが。
「江戸を斬る」という時代劇で、西郷輝彦さん演じる遠山金四郎と対立する火盗改めを演じた成田三樹夫さんは、カッコよかったですけど。

それで、ここは町奉行所とは違う組織の為、取調べは役宅で行うんですね。
ここに送られたら、生きて出られないと言われる恐怖の屋敷。
そこにおしまが、捕まっちゃったんですね。

おしまも普段のおしまを知っていると、心が痛むほど過酷な拷問を受けます。
それでも仕事人のことは話さないおしま、根性あります。
それだけでもう、只者じゃないです。
おしまを助けに、潜入する仕事人たち。

そしておしま、これ以上責められるなら、斬られた方がいいだろう、もしかしたら喋ってしまうかもしれないし、と思ったのか、逃げ出そうとする。
斬られそうになったおしまを、仕事人たちが助ける。
瀕死のおしまの足に、綺麗だと言ってむしゃぶりつく外道は、秀さんが仕留めてくれました。
いやー、おしま頑張った!

年増女とか何だとか、いろいろ言われて、どちらかというと笑われるキャラクターだけど、根性は普通じゃないところを見せた。
やっぱり、仕事人だ。
おしま、お疲れ様。
誰も、おしまをバカにはできない。


「必殺仕事人」の女性2人 おしまが妙心尼、加代が秀英尼 

テレビ埼玉で再放送中の「必殺仕事人」、三島ゆり子さんが「暗闇仕留人」で演じた尼僧・妙心尼を思わせる尼僧で悪党をおびき出しました。
妙心尼は「私は御仏に仕える身。なりませぬ」と言いながら、主水の仕事仲間・石屋の大吉と通じている尼僧。
もう、毎回、「なりませぬ」と言いながら、それは言葉だけ。

でもこの妙心尼、とってもかわいらしい。
美しいし、男性がほっとけないだろうなという感じ。
そしてそれだけではなく、やはり御仏に仕える身…というか、元々性格が良く、優しい女性なのだと思います。
人に対して悪意を持たない。

ええ、男性に対する煩悩を捨てきれないだけの、だけの、って大問題か、素敵な尼僧です。
最後は旅立つ大吉を「なりませぬ」と引き止めるも、大吉は「行かねばなりませぬ!」と振り切って雪の降る表へ。
枕を投げながらも、去っていく大吉を戸口まで追いかけ、悲しそうに見送る妙心尼、真面目な顔つきで振り返る大吉で2人のシーンは終わりました。

その妙心尼じゃない、おしまは、悪党の刀傷を確認する為、懺悔がしたいと尼僧姿になり、潜入。
懺悔の内容はもちろん、「煩悩を捨て切れませぬ」。
「尼僧にしておくにはもったいない、いい女」と、悪党がさっそく尼僧に扮したおしまに迫る。

おしま、「なりませぬ~」と言いながら、しっかり相手の体に刻まれた刀傷を確認。
途中、秀に助けられながら逃げてきます。
これはもう、昔からのファンに対するサービス、スタッフの遊びでもあるのでしょうか。

おしまに迫る悪党は、神田隆さん。
さらに悪党役に、八名信夫さん。
ベテランさんたちが、楽しませてくれました。

そういえば、おしまの相棒・加代の鮎川いずみさんもまた、「必殺商売人」では秀英尼という尼僧を演じてました。
子供たちの面倒を見て、根津の町角に立ち「御報謝を」と声をかけ、正八が彼女目当てに寄付をする。
正八は秀英尼に迫り、最初は逃げていた秀英尼も、やはりどこか煩悩を捨てきれない尼僧。
ちゃっかりしているところが、ありました。

でも彼女も煩悩を捨てきれないというより、正八に惹かれて、最後は明らかに2人は好きあってましたっけ。
こちらは最後、罠にはめられ追われる身となったおせいを匿いながら、正八たちの正体に気づいていたと打ち明ける。
「私の父も殺し屋でした」と、さらりと告白する彼女、尼僧になったのはこのあたりに理由があったのかもしれません。

この事件の後、正八は吹っ切るように川で水浴びをして、江戸を離れた。
正八とは、当然、2度と会うことはなかったのではないかと思います。

どちらの尼僧も、やっぱり裏稼業の思い人とは、切ない別れとなりました。
そうそう、おしまと加代、2人して尼僧に扮して潜入捜査した回もありました。
これなんか、ほんと、妙心尼、秀英尼を知るファンへのサービスの回で楽しかったです。
コミカルなことしている「仕事人」相棒2人でも、お2人とも尼僧姿も美しかった。


仕事以外は猫の子1匹殺っちゃいけねえ 必殺仕事人 第26話

以前の記事に拍手をいただいたり、コメントをいただいたりする場合があります。
ありがとうございます。
とても、うれしいです。


第26話、「半吉は女の愛で立ち直れるか?」
密偵を勤めていた半吉の退場劇。


半吉はおふくを失い、ふさぎこむ日々だったが、ある日、幼馴染で同じ長屋に住んでいたお袖と再会した。
お袖は今、薩摩藩中・萩野に仕えていた。
だが萩野は御年寄・藤波にいびられる毎日。
お袖は元気のなくなる主人を心配していた。

そこで、半吉はお袖に頼まれ、荻野を励ますことになる。
半吉は駕籠に乗せられ、薩摩藩の男子禁制の奥の間に入り込んだ。
ひょうきん者の半吉は荻野とお袖をおどけて笑わせ、楽しませた。

しかし、それを伊集院伝八という男が知ってしまった。
伊集院は薩摩藩の奥向きの警護をしており、薩摩示現流の使い手だった。
主水は伊集院の果し合いを見て、相当な腕と察知する。

半吉のことは、藤波に知られることとなった。
藤波は萩野を自害に追い込めようとする。
現場を押さえられた半吉は、籠に再び乗って帰されるが、その帰り、伊集院に襲われ、斬り捨てられる。

主水たちが次の日、死んでいる駕篭かきたちを検死していた。
「あそこにも1人、いるぞ」。
その声で主水が見たのは、半吉の遺体だった。

その夜、荻野も自害して果てていた。
藤波が寝室にいるところをお袖は廊下から走り込み、主人の仇と懐剣で刺し殺す。
お袖は薩摩藩江戸屋敷にて罪を償う為、自害しようとした。
だが懐剣の刃を首に向けた途端、「天晴れ」という声がかかる。

主人の仇を討ったお袖は忠義の女として誉められ、荻野の後を継ぐことになる。
忠義の女・お袖の話で、町の瓦版は売れに売れた。
せんとりつも、お袖の話をうっとりしながら読んでいた。

だが半吉が殺されたことで、秀は激怒していた。
しかし呼び出された左門も娘に手習いをせがまれたと言って、遅れてくる始末。
主水も冷たく「俺たちがやっているのは、銭を貰って人を殺すという、地獄の稼業だ。そりゃあ、まあ、半公もかわいそうだ。だが言ってみりゃあ、あの野郎は、てめえで勝手に死んでいったんだ。あんな野郎のケツ、いちいちふいてちゃキリがねえ」と言う。

しかも半吉を殺した相手は、わからない。
反発する秀に主水は言う。
「俺たちは、頼み人の晴らせねえ恨みつらみを銭貰って殺す。それ以外は、猫の子1匹殺っちゃいけねえんだ」。

だが、主水は秀に半吉たちを殺した太刀筋は、薩摩示現流と見抜いていた。
伊集院を調べろと主水は秀に言う。
そして、左門に、暴走しそうな秀を見てやるように頼む。

二代目・荻野に治まったお袖は寺にいた。
そこに来たのは伊集院。
警護のことで話があるから、とお袖は伊集院と2人きりになった。
「お袖、いや、荻野さまと言うべきかな」。

そこで語られたのは、伊集院が荻野を殺した事実。
伊集院は荻野を遅い、気絶した荻野の首に荻野の懐剣で斬りつけ、悶絶する荻野の手にその懐剣を握らせた。
「さすがに嫌な気分だったぜ」。
そしてお袖は主人の仇、と藤波を刺す。

何もかも2人の対立を利用し、2人とも葬り去って自分がその地位につこうとしたお袖の計略だった。
伊集院はお袖に抱きつき、着物を脱がせながら言う。
「俺はお前の悪女ぶりに惚れたんだ…。お前の道具になってやろう」。

お袖は甲高い声で笑った。
その時、伊集院がお袖の口をふさぐ。
伊集院が畳みに突き刺した刀は、床下に潜んでいた秀の前に突き刺さった。

秀はそっと出て行く。
主水と左門に秀は、全てはお袖の計画、そしてそれを実行したのは伊集院だったと知らせる。
頼み人は自分だ、と秀は身銭を切り、仕事を依頼する。
伊集院に勝てるか、と主水は左門に聞く。
左門は、やってみなければわからないと答えた。

外は雨だった。
格子の外の雨を見ながら、お袖はつぶやく。
「あたし、あの、雨漏りのする長屋が、おとっつぁんと暮らした長屋が、だいっきらいだった…」。

偉くなりたかった。
そして、偉くなって金持ちになりたかった。
雨を見つめて、お袖は言った。

寺からの帰り、籠の前に立つ左門。
駕篭かきは怯えて立ち去る。
対峙する伊集院。
籠から出るお袖。

刀を合わせる2人。
左門の胴太貫が、道の傍らにあった車輪にはまる。
だが伊集院の上の屋根から秀が舞い降り、伊集院の首筋を刺した。

伊集院が倒れ、お袖がパニックになる。
内掛けを投げ捨て、お袖は霧雨の中、走る。
「助けて」。
お袖は、ぬれた砂利道に転び、手を突く。

そこへ主水の影が現れた。
「助けてたもれ」。
「どうかしましたか」。
近づく主水に、お袖は助けを求める。

「どちらの御家中の方か」。
主水の問いにお袖は「わらわを知らぬのか。わらわは…」と叫ぶ。
その途端、主水の刃がお袖を刺し貫く。
「おめえみてえな、うす汚え中臈は知らねえや」。

驚愕の表情を浮かべ、霧雨の中、内掛けを脱ぎ捨てて白装束となっているお袖が倒れる。
主水は黙って、お袖を後に去っていく。



「不幸なのは俺だけじゃないとわかった。そして幸せなのも、他人ばかりじゃない」。
そう言った半吉。
山田隆夫ちゃん、笑点の座布団運びさん、熱演です。

今まで、おふくちゃんにいつも押しつぶされるだけで笑いを誘っていた半吉。
あんまり影を感じさせることもなかった半吉がおふくちゃんを失う。
陰の部分を感じさせるようになり、そして半吉もまた、その後を追うように斬られる。

しかし、主水たちがクール。
一度見たきりだったので忘れていましたが、半吉の頼みにもクールでしたが、半吉の最期にもここまでクールだったとは。
やっぱり、いろんな仲間の最期に接してきたせいでしょうか。

自分の思想と、仕留めの現実の前に怯んで斬られてしまった。
仲間の為に命を張った。
守りたいものを守って、死んだ。
外道との抗争の果てに、仕置人として譲れない精神を曲げずに死んだ。
たった一人で立ち向かって、死んだ。

こういう仲間の死に直面していた主水にとっては、「バカな野郎だ!」としか言いようのない最期だったんでしょう。
最期までハンパ者だった…、そんな奴の後始末を仕事でもないのにやってはいけない。
かわいそうとか、ひどいという感情は置いておいて、仕事人としては手を出すべきではない。

秀だけですね、半吉の死に激怒したのは。
この辺、年齢の近さとか、同じような仕事人としての未熟さを持つ同士。
感情が先に出てしまうところとか、半吉と秀は距離が近いと思いました。

「頼み人の晴らせねえ恨みつらみを銭貰って殺す。それ以外は、猫の子1匹殺っちゃいけねえんだ」。
主水は、大人で徹底したプロ。
絶対、殺しに私的な感情入れちゃいけない。

歯止めがなくなっちゃう。
左門さんだって、家庭という、背負っているものがある。
感情で危ない橋は渡れない。

だけど、試験みたいにヒントはくれる。
自分で確かめて来い、といわんばかりに。
そして、強敵・伊集院は2人で仕留める。

さて、ゲスト出演者はお袖に佳那晃子さん。
大関優子さんとして、過去の必殺シリーズにもご出演。
でも「仕置屋稼業」では、必死の狂気を装うも、蟹江敬三さんにひどくいたぶられ、吊るされてしまう。
最後に市松が刺したのと同時に体が揺れて振り返った青白い恨みの形相、すさまじい。
熱演でしたねー。

「新・仕置人」では2回出演、2回とも被害者。
「からくり人」でも体に日本地図を彫られて、その地図がどうやったら浮かび上がるかで散々熱せられたりしてました。
そういえば、「犬神家の一族」で青沼菊乃さん役でしたが、この時の松子竹子梅子からの痛めつけられ方!
ゾッとしました。

しかし、ここでは「必殺」らしい悪女!
伊集院の志賀勝さんが、あまりの野心と悪女ぶりに惚れこむような悪女。
佳那さん、これが似合うんだなあ。

「鬼龍院花子の生涯」や「魔界転生」の転生した細川ガラシャ夫人、「陽暉楼」の丸子、「三つ首塔」の佐竹由香利など。
見事な悪女だったので、この方は悪女の印象が強いんです。
出てくると、どんな悪女ぶりを見せてくれるか、楽しみになってしまう。

体当たりの演技が好きで、闘病の為にちょっとお休みしていたようですが、これからまた出て来てほしいです。
好きなんですよ、この女優さん!
似てる女優さんを見ては、「あっ、佳那さん!」と言ってたんです、もうしょっちゅう…。
何と、日本怪談名作劇場としてドラマ化された「高野聖」の舞台で、復帰されているとか。


「仕事人」に話を戻しますが、雨を見て、昔の自分の家を思い出す時、憂いを含んだ表情で、「だいっきらいだった」と語る。
その表情を見て、確かに野心家で、貧乏で苦労はしたんだろうけど、見栄や贅沢をしたいだけでこんな悪女になったんじゃないと思ってしまう。
彼女が悪に染まるまでに、何かあったんだろうなと感じさせる。
こういうところが「必殺」の、そして佳那さんの味ですね。

半吉にとっては懐かしい子供時代でも、彼女にとっては忌まわしい思い出でしかない。
だから、そんな思い出の中にいる半吉なんか、出世の道具に使っても少しも幼馴染だから、という気持ちはない。
心は痛まない。

伊集院は志賀勝さん。
必殺にも「仕事屋稼業」で半兵衛さんが好きだった初老の男を惨殺したり、「仕置屋稼業」で市松に外道仕事を問い詰められる同業者だったり、「新・仕置人」ではアラカンさん演じる引退した老仕置人を殺そうとするし。

「前略おふくろ様2」で、ショーケンや小松政夫さんを怯えさせた板前さん。
しかし、その凶悪そうなお顔とは裏腹に、普通の腕のいい板前さんだった。

そうなんです!
この方、このお顔でコミカルにコントしてくださるんです!
すると、ものすご~く、おかしい。
また、出てくださらないでしょうか~。

佳那さんと志賀さん、この2人が出てて、すごく楽しかった。
2人の凶悪ぶりも良かった。
最後に主水が斬り捨てて、霧雨の中、お袖が白装束だけになって倒れている。
何もかもなくしたお袖から主水が去って行。
切ない余韻を感じた、半吉の退場劇の回の、良いラストシーンだったと思います。


放送中の「必殺」の今週

現在、放送中の「必殺」に今週はかなり、動きがありました。
といっても、内容の話ですけど。

まず、テレビ埼玉で放送中の「必殺仕事人」では、レギュラー出演者の1人、密偵の半吉の恋人のおふくちゃんが殺されてしまいました。

札差板倉屋一家が殺され、凶器の植木ばさみから、仕事人の密偵・半吉の知り合いの植木職人捨吉に容疑がかかる。
南町同心・服部鉄造は捨吉を捕え、自白させようと拷問する。
しかし、捨吉は植木ばさみは紛失したものと訴えた。
だが、捨吉は無実の罪で処刑される。

捨吉の娘・お滝は夜鷹となり、半吉はやめさせようとするが、お滝は貯めた金で仕事人に捨吉を捕えた服部の依頼をする。
だが現在、仕事人はおとわという元締めを失い、仕事をしないでいる状態だった。
その頃、板倉屋の番頭だった忠助が質屋を開く。
実は忠助は完治と仁平とともに板倉屋一家を殺害、奪った金で質屋を開いたのだった。

そして服部は植木ばさみをもとに、その罪を捨吉になすりつけ、手柄を上げる。
さらに同じように大店を襲い、服部が別人に罪をなすりつけて手柄を上げることをもくろんでいた。
だがこの一件を探っていた半吉は、探りを入れていることに気づかれ、そのことが原因でお滝は殺されてしまった。

半吉の恋人・おふくが働く密会宿「わら卯」で半吉の始末を相談していた忠助と完治だが、おふくがその話を聞いてしまう。
おふくは番屋へ急ぎ、半吉を助けてもらうよう訴えたが、相手は服部だった。
自分たちの悪事をおふくが聞いたことを知った服部は、おふくに半吉との密会の場所を案内させると、そこでおふくを斬り殺してしまう。

「あのでぶ女が奉行所に駆け込んだらどうなったか、考えただけでもゾッとするわ」と笑う服部たち。
それを聞いた半吉は秀の家から、ノミを奪って服部たちを自らの手で殺そうとする。
しかし、それを見た秀、そして、やってきた左門に止められる。

半吉は改めてお滝の稼いだ金を主水たちの前に並べ、そして、おふくの為にと小銭も並べた。
主水たちは半吉の言うことに間違いはないのか、もし嘘なら半吉の命をもらうと言う。
「おふくちゃんの仇を討ってください。服部金造を、殺ってください」。
そう言う半吉に主水たちはお滝の金だけを受け取り、半吉に「この金は要らない、飴玉でも買え」と言って仕事にでかける。

既に閉店している質屋に左門がどうしても金を用立てて欲しいと訪ね、戸を開けさせた。
腰の同田貫を質に入れようとした左門は、査定をしている完治と仁平を斬り捨てる。
逃げ出した忠助だが、待っていた秀がしとめた。
顔を見合わせて、左門と秀は質屋を後にする。

上機嫌の服部が芸者遊びをした帰り、堀で釣り糸をたれている主水に気づく。
ちっとも釣れないと言う主水を、服部は遊びに誘う。
その時、釣り糸が引いているのに気づいた服部は魚籠を持ってくるという主水に代わって、釣り糸を引く。
すると、その先には小判があった。

驚く服部を主水は一気に突き刺した。
だが背後から見覚えのある芸者たちがやってくる。
芸者たちは主水に声をかけるが、主水は服部を突き刺し、口を抑えたまま、芸者遊びをしている余裕はないと答える。
声もあげられず、芸者たちが笑って去った後、服部は突き刺さった刀を抜かれ、堀の中に落ちた。
そして、仕事が終わり、戻った主水をいつものようにせんとりつが待ち構えていた…。



おふくちゃん、かわいそうでした…。
ちょっとエロチックな役回りでしたが、罪がなくて、ほがらかで、それがあんな風に斬殺されるとは。
初めて見た時、ショックでした。

いつも大きなおふくちゃんに押しつぶされそうな半吉でしたが、おふくちゃんのことは大好きだった。
それがこんなことになろうとは。
お滝のお金とともに、おふくちゃんの仇を討ってくれと懇願する半吉。

しかし主水たちはあくまで、冷徹。
この話、嘘や間違いがあったら、半吉の命がないと言い放つ。
そして、半吉の金は受け取らない。
私情は排除する。

この回、「新・仕置人」で恋人の仇を取ろうとした正八を思い出しました。
でも、あの時は鉄が正八に殺しをさせてやった。
己代松がサポートしてやった。

だけど、半吉は正八のように参加させてもらえなかった。
半吉と正八の相手への付き合いの深さの違いもあったし、同じ若い密偵でも2人の性格の違いと仕置きに関わった深さの違いがあった。

正八の仇討ちを決定した鉄の存在もあったし、元締めがいるといないの違いもあった。
まあ、「新・仕置人」と「仕事人」では構成している人物たちが主水以外違うので、比べてもしょうがないんですが。
「飴玉でも買いな」は、主水たちのプロ意識の高さと半吉への優しさでもあったと思いました。

服部役は川合伸旺さん。
いつも憎々しげに演じてくださいます。
だけど、貫禄あって良いですね~、こういう方が悪役だと話が引き締まります。
でもこの方は金の羽織でお代官様が一番、お似合いな気がしてしまいますが。

もうすぐ、半吉も退場。
「仕事人」、シビアな展開を見せます。

そしてもうひとつ。
時代劇専門チャンネルで放送中の「助け人走る」は、24話「悲痛大解散」でした。
これはもう、悲惨で、何度見ても途中で目を伏せてしまいたくなります。
さらにこの話を境に、「助け人」は作風が明朗快活時代劇風から、一気に重く、ダークな雰囲気になります。

過酷な拷問の末、口を割らずに死んで行った為吉の姿は、明るかった文十郎にも影を落とします。
自分はとても、あんな風に耐える自信がない、と。
精神的に弱っちゃうんですね。
それほど、この話は悲惨でした。

「助け人」の奉行所はかなり怖くて、この後も文十郎たちにつきまといます。
これを見ると、後のあんまり機能してない奉行所とは違う。
奉行所とは怖い組織なんだ、と思います。

拷問、すごいですし。
実際には拷問で殺しちゃうと、同心の責任になって大変なことになったらしいので、拷問ってする方も「だ、大丈夫かな?」とびくびくしながら、やっていたと聞いたことがあります。

20話の、伊藤雄之助さんの怪演と龍の登場の「邪恋大迷惑」からもずっと、「助け人」は傑作そろいなんですが、この話は第一部最終回と言えるほど。
今、あまり時間が取れなくて書けないのですが、今週、「必殺」の放送話としては、大きな転機の週でした。