意外な人を見る

時代劇専門チャンネルで村上弘明さん主演の「腕におぼえあり」を見ています。
ちょうど第1シリーズが終了し、第2シリーズに入ったところです。
この第1シリーズは、平成4年の放送。

見ていると、主人公・青江又八郎の許嫁・由亀の弟・平沼麟之丞に見覚えがある。
あっ、香取慎吾さん!
今から24年前の香取慎吾さんです。

姉の許嫁の又八郎を、父の仇として討たねばならない。
又八郎は藩主毒殺の陰謀を知ったため、由亀の父に襲いかかられる。
そのため由亀をやむなく斬ってしまい、由亀とは仇同士となってしまう。

脱藩し江戸で「腕におぼえあり」と用心棒稼業をして暮らす又八郎。
その任務遂行と同時に、藩からの追っ手も、かわさねばならない。
やがて又八郎は赤穂の浪人たちと知り合い、仇討ちに関わっていく。
そしてついに赤穂浪士の仇討ちを見届けた又八郎は、自らの事件にも決着をつける決心をする。

香取さんの麟之丞は内面では悩んでいるが、青年らしいまっすぐさで又八郎に向かってくる。
しかし元々は又八郎を慕っていた麟之丞。
真相がわかり、又八郎の人柄を改めて知り、仇ではないと認識し行動を共にする。

香取さんは「沙粧妙子・最後の事件」の犯人、谷口役よりも前ですね。
やっぱり光ってます。
まだ子供の面影があるけれど、しっかりした演技している。
こうして見ると、本当にすごいキャリア長いんですね。

いや~、思わぬものを見せてもらいました。
意外な人を見た気持ち。
「腕におぼえあり」もかなり、良いドラマ。
「用心棒日月抄」を原作とするドラマの中では、自分は一番好きです。


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本物にしか 「三屋清左衛門残日録」

BSフジで放送された、北大路欣也さん主演の「三屋清左衛門残日録」。
私が小さい頃から華やかに活躍してきた俳優さんたちが、出演されていました。
この俳優さんたちが、引退して第一線を退いた武士たちの役を演じていました。

中村敦夫さんの徘徊する演技。
紋次郎と言う、国民的スターを演じた中村さん。
あのニヒルさ。
かっこ良さ。

その姿を強烈に目に焼き付けている者としては、お年を召されたなという気持ちは確かにありました。
が、それ以上に、この芸能界で良く、ここまで活躍を続けてきたと感動しました。
若い頃、または壮年の頃、スターになることも大変。
しかしその後、潰れることなく、ここまで来ることに感動します。

ましてや、木枯し紋次郎。
子供が長い楊枝をくわえて怒られて、セリフは流行語にまでなった。
このヒーロー像から抜け出るのは、並大抵の苦労ではないと思います。

良くここまで、そのイメージに付きまとわれることなく、縦横無尽の活躍をしてきたものです。
私などが言うのも失礼なんですが、頭がすばらしく切れて、才能があって。
お人柄も優れていなければできないことでしょう。

数々の時代劇で、悪役を演じてきた小沢象さんも渋い。
悪代官が枯れて、仏門に入ったような、全てを達観したような。
そんな雰囲気でした。

年を取るということ。
その年の取り方。
老いた姿は、もちろん寂しい。

しかしその寂しさを感じさせることも含めて、この俳優さんたちは見ている者に伝えてきているのだと思いました。
生き様を見せてくれているような気がしました。
これはもう、本物にしかできないこと。

やはり何かを続け、極めてきた方にしか身につけられないものがある。
「徳」のようなものが、漂うのですね。
そんなことを思った「残日録」でした。

この方たちを見ていれば、作品の良さは約束されたようなものだと思いました。
さて、自分はやがては、そんな雰囲気がつけられるものだろうか。
そう考えると、ますますもって、この俳優さんたちのすごさを思い知るしかない…。

すずめもつばめも 「桃太郎侍」最終回前

ほぼ1年?毎日、時代劇専門チャンネルで放送していた高橋英樹さん主演「桃太郎侍」。
先月でついに最終回となりました。
しかし「桃太郎侍」の最後は、すごかったんですね。
レギュラー出演者が、次々、お亡くなりに。

中でもずっと視聴者を和ませていた、すずめとつばめの師弟どちらも亡くなってしまうとは!
「必殺」並みのハードな展開。
つばめがかわいがっていた、すずめ。

お調子者で騒がしくて単純で、時には浅はかで人に迷惑をかけることもある。
桃太郎に恋するすずめを、からかうこともある。
でも決して人は悪くない。
むしろ一途で、お人好し。

そんなすずめは、いつも惚れては利用されたり、恋破れたりしていた。
ところが、すずめの結婚が決まった。
しかも相手は美男子!

みんなが祝う祝言の前日。
すずめのフィアンセは、事件に巻き込まれ、記憶喪失になってしまった。
祝言を挙げるはずのすずめのことも、まったく思い出せない。

さらには目撃者と思って抹殺を企んで近づいた盗賊一味の女性を、親切な女性と勘違い。
すずめよりこちらの美女を慕う始末。
自分を事件に巻き込んだ盗賊一味の女性とは思い出せずに…。
ショックのすずめ。

だがすずめは最期、フィアンセをかばって凶刃に倒れる。
フィアンセが無事であることを喜びながら、弱っていくすずめ。
記憶を取り戻したフィアンセは、驚愕。

なぜ、なぜ、すずめが死に掛けているのか!
驚きと嘆きの中、すずめは笑顔で死んでいく。
怒りの桃太郎。

…という、すずめなんて罪のないキャラクターの死は、ちょっと衝撃でした。
すずめなんて、きゃーきゃー騒いでいてほしいキャラクター。
あなたは、死んじゃうなんてハードな展開を迎えてはいけないキャラクターじゃなかったの?!

いやいや、つばめだって死んじゃう。
桃太郎の兄だって、死んじゃう。
どうしたんだ、桃太郎侍。
本当に本当に、全部の世界を断ち切って終わるのか。

すずめのフィアンセは、元フォーリーブスの江木俊夫さん。
これがまた、好演なんですよ。
「日本名作怪談劇場」の「怪談 玉菊燈籠」では男らしい武士でしたが、これは罪な優男。
江木さんって、良い演技するんですよね。


悪がいない!

春日太一氏の著書、「時代劇はなぜ滅びるのか」。
非常につらい話ですが、うなづきながら読んでいます。
かなりな辛口ですが、著者は時代劇が大好きであることがわかります。

時代劇がおもしろくない、理由のひとつ。
「悪がいない」。
おお。
時代劇の悪は、「悪ぶっているお人好し」じゃダメ!

時代劇の悪は憎々しいまでの非道で、強くて良い。
狡猾で良い。
圧倒的な権力を持ち、それで主人公や庶民を上から押さえつければ良い。

人を人とも思わず、自分と同じ人間だと思ってない奴で良い。
ただ、自分の利益や歪んだ欲望から、人をもてあそぶ奴で良い。
こんなことをしていいのかという、後悔も悩みも持たない奴で良い。

そんな奴だからこそ観客は、それに立ち向かう主人公に喝采を送る。
どうにも許しがたい悪だからこそ、「こいつを斬らなければ!」と見ているこちらも思うことができる。
その目標達成に共感し、緊張し、応援することができる。

これ、必殺の基本でしたね。
ちょっとやそっとじゃくたばらない。
仕置きのしがいがある悪でなくては。
俺たちは悪の上を行く極悪になると言わしめる、強い悪でなくては。

春日氏は今の時代劇には悪は悪でつらい背景を持っているとか、実は悪人ではなかったというパターンが多すぎると言うんですね。
それじゃ主人公が必死になって戦う意味がない、と。
誰も彼もが哀しいなら、それは人間ドラマにはなるけれど、エンターテイメントとしてはぼやけてしまう。

今の監督が「七人の侍」を作ったら野武士たちがああなった境遇や内面まで、丁寧に描くだろうと春日さんは言います。
これは私も映画を見ながら、今なら野武士の側も同情すべき人間だということ、悲惨な境遇を詳しく描くだろうなと思いました。
自分たちがヒエを食べても、雇う侍に米を食べさせるほどの悲惨な境遇が百姓だけではなく、野武士も同じだった。
だとすると、死力を尽くして、自分たちの命と引き換えて野武士から村を守る侍たちの戦いが空しくなる。

誰も彼も悲しい。
そういう世の中が、つらい。
だからそういう世の中にしてはならない。
今は幸せだ。

こんな時代劇が多すぎると、春日氏は分析します。
そういうドラマも良い。
でもそれは人間ドラマにはなるが、エンターテイメントとしてはボヤける。

みんな良い人で悲しい人なら、「七人の侍」のクライマックスの激戦はあそこまで盛り上がらない。
どっちもつらいなら、最後のたたかいに「がんばれ!」「いけ、やれっ!」と声援は送れない。
そして最後の、「勝ったのは百姓だ。わしたちではない」と言ってもあれほどの感慨はない。

近年の時代劇が盛り上がらない理由は、この善悪平等をやりすぎるから。
時代劇で観客が主人公に最後に喝采を送るためには作る側が「『こいつが悪』だ!って、腹くくって圧倒的な悪を作ることが必要」と春日氏は言います。
ううむ、それはそうですね。

確かに、この果てに「悪にも愛する人がいた。悪を倒した者に、恨みを持った者はどうしたらいいのか?」
…なんてテーマで話を作ったから、「暗闇仕留人」は答えのない迷路のような強烈な印象を残したんでしょうね。
「新・仕置人」にも仕置人を恨む子供の話がありましたが、主人公のあり方をひっくり返されるような話になった。
あれほど卑怯で、執拗に襲って来た柳生烈堂が大五郎を抱き締めて「我が孫よ」と言うから、強烈なラストになったんでしょう。

山形勲や小沢栄太郎は、観客の憎悪を一身に集めるような「巨悪」「社会悪」を演じたら右に出るものがいなかった。
成田三樹夫、岸田森は冷酷で頭が切れる悪の芝居が一級品だった。
狂気の殿なら、菅貫太郎。
ずるい商人なら、浜田寅彦。

こいつがやられるのを見なきゃ収まらない!と思わせる。
「見ていてムカムカする、早く殺せ!」と視聴者から意見が殺到して、うれしいと言った佐藤慶さんや成田三樹夫さん。
物語に爽快感を与えるには、見ている人からの憎悪を浴びるような俳優さんの熱演が必要!
次の火野正平さんとともに、次の強烈な悪役さんが必要です。


良いお仕事 「暴れん坊将軍」

「暴れん坊将軍II」の第95話「母も切ない鬼は外!」を見ていました。
秩父から江戸に、母親を探しに来た幼い姉と弟。
辻売りをしながらの旅で、途中、お金を稼ぐためにあるお屋敷の若様の節分の鬼役をやった。
同じ年頃の片方は若様。

大切にされている笑っちゃう若様に、鬼は外と容赦なく豆をぶつけられる。
それだけじゃなくて、ほうきで叩かれる。
いや何も、そこまでしなくても。
大人も止めなさいよ、ろくな若様にならないぞ。

弟はついに泣き出し、姉が代わってほうきで打たれる。
その代償に得たお金も、後にかっぱらいに奪われる。
何でこんな子のお金なんか盗るんだ。
正当な?盗人なら、怒るぞ。

さて、子供たちの母親は死んだご亭主の借金のため、江戸に来た。
今は料亭の女将をしている。
しかしまだ、雇われ女将。

3年経ったら、店は自分のものになる。
だが今はまだ、2年半。
未亡人の触れ込みのため、め組の好意で会いに来られた子供たちを知らないと拒絶するしかない。

この料亭を仕切っている殿が、菅貫太郎さん。
砂金の隠し場所を記した書付が、熊の置物に入っている。
その熊の置物、この姉弟の手に渡ってしまった。

置物を取り上げるため、姉弟ごと誘拐。
さすがの母親も、助けに駆けつける。
こんな怖ろしい人の世話になっていたなんて…、許しておくれと泣く母親。

も~、3人揃って斬っちゃう勢いの菅さん。
しかし熊の置物を取り上げるため、子供をなだめる姿がかなりおかしかった。
この人の喜劇は、さぞ、おかしいことでしょう。

だけどそこは菅さん。
かわいがっている置物を、子供の目の前で真っ二つに割っちゃう。
ぱかっ。

きゃー、子供にひどい心の傷を!
大人に不信感、憎しみを植えつける。
悪だわ!

子供の前で母親をびしばし、折檻しちゃうし。
だから怒りの将軍様に、将軍様とも知らないで成敗されちゃう。
砂金を握り締めて息絶える菅さん、良い仕事してます。

だけどこの姉弟、本当にかわいそうになる。
特に姉の表情が秀逸。
しかも美少女。
どこかで見たような…。

そう思ってラストのクレジットを見て納得。
高橋かおりさんじゃありませんか。
そうか、30年も前の作品なんだ。
高橋さん、良い仕事してます。

プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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