「子連れ狼」萬屋版では、病に倒れた一刀親子をお百姓一家が世話してくれた。
その娘が、お女郎になって姉が死んだので、代わりに明日は売られていく。
旅立った一刀が、田舎道の途中、娘を連れに来たヤクザの前に立つ。

女郎が負った借金は、その女郎が死ねば終わりのはず。
一刀は言う。
だが、このヤクザたちは何も知らない百姓一家の、今度は妹を取っていこうというのだった。
一刀はヤクザたちを全員、斬り捨てる。

そして無言で去っていく。
一家も、娘も、救われたのだった…、というお話を思い出しました。
受けた恩は誰も見ていないところでも、必ず返す。
この一刀は、一家にとって、このヤクザたちの無法に泣く人々にとって、救世主。


18話、「犬と道連れ」。


「娘さんたちを地獄に送るような、棹はさせねえ」と、ヤクザが村娘たちを売り飛ばす為に出す船を拒否する船頭夫婦。
ヤクザは「ならばお前たちが地獄に行け」と、船着場を壊そうとする。
船に乗っていたお客を無理やり蹴散らしたが、1人だけ背を向けて降りない男がいた。
「何だ、按摩か」。

ヤクザが刀を突きつけた按摩は、市だった。
振り向くが早く、市はヤクザたちを斬り捨てる。
娘たちを捕まえていた女衒は、腰を抜かして逃げていく。
市は死んだヤクザたちを乗せたまま、船を出す。

街道を行く市に、一匹の犬がまとわりつく。
犬も1人旅。
「苦労したんだろうな、うまいものにはありつけないが、一緒に旅をしよう」と市は犬と道連れになる。
市が橋の下にいると、突然、数人の渡世人が斬りかかってくる。

だが、市の仕込み杖がうなり、渡世人たちは倒れた。
1人、起き上がって逃げていくのを見た犬は、吠え掛かる。
犬を呼び寄せた市は「逃げてく者を、追うんじゃねえよ」と言い聞かせた。

街道を行く市と犬の前に、若い渡世人が立っている。
命は貰ったと若者は叫ぶが、犬が猛然と飛び掛る。
渡世人は市に斬られるが、犬もまた、足を斬られて傷を負った。
市は犬を連れ、医者を探す。

一軒の家に、黒い犬がつながれていた。
犬は市のつれた犬を見て、吠えてしっぽを振った。
市が訪ねていくと、どうも治療中で、若い男が「痛い」「もっと丁寧に扱え」と文句を言っていた。
医者は市にちょっと抑えてくれと言い、市が若い男を抑えた。

その男は、市を襲った渡世人だった。
市に気づいた渡世人が途端に静かになり、医者は「抑えるツボを心得ているな」と言った。
だが市の目を見て、「それは治せない」と言うが、市は犬だと言った。
「犬なら治せる」と医者は言った。

医者は獣医だったのだ。
治療をしてもらい、市は犬と納屋に泊まらせてもらう。
若い渡世人は、足を吊られてしまったので、座敷で寝ているしかない。
付き添いの婆さんは、「兄さん、渡世人だね。イイ男だねえ」と言って、流し目を使ったりする。

さっさと自由にしろと渡世人は言うが、足が立たない。
医者は出て行けるようになったら教えてやると言って、出て行く。
市は納屋で、犬と一杯のどんぶりを分け合って食べている。

その様子を医者の家の黒い犬が、見ている。
この犬の右前足は、なかった。
市は自分の為に怪我をした犬に、どんぶりのほとんどを与える。

どんぶりを下げに来た市が、「あの犬は治療に来た犬ですか」と聞くと、「あれは自分が飼っている犬」と医者は答える。
医者は市の連れてきた犬を、良い犬だと言った。
自分の道案内をしてくれていると市が言うと、「よっぽどお前さんの匂いが気に入ったんだなあ」と医者は言う。
市が医者の体を揉むと、医者は小さい頃から父親が柔術を教えていたので、鍛えられたのだと言った。

しかし自分の好きな道を進めと言われ、長崎で医術を学んで医師になった。
市は「先生はどうして、人間はご覧にならないんでございますか?」と聞く。
医者は、「人間は金をいくらでも出せば、診てくれる奴はいる。馬や牛はそうはいかん。それにああいう動物を見ることで、自分自身の勉強にもなるんだ」と答えた。

馬に酒を飲ませる、自身も酔っ払いの馬子。
医者のところに、馬が具合が良くないと診せに来たのだが、あきらかに酒のせい。
だが馬子は自分は飲んではいけないと言っているのにと、言い張る。
この馬子は、梅津栄さん。

医者は犬に「仁」という、名前をつけてくれた。
そして市はずっと、犬を連れて旅をするのかと聞くが、市は自分と道連れだとロクな目に遭わないと言った。
すると、医者は市の連れている犬と、自分の犬を夫婦にしてやらないかと提案する。

黒と呼ばれたその犬は、市の犬が好きなようだ。
「かみさんにしてもらうか」。
仁もわん、と一声吠えた。
黒犬と仁は、野山を一緒に駆け回った。

市を追って、数人のヤクザが医者の家にやってくる。
医者は「家の外と内の区別がつかないお人か。わしは頭は治せんぞ」と言って、撃退した。
その夜、若い渡世人は市に声をかけた。

市はこの渡世人が、自分が斬った男だとわかっていた。
渡世人は言う。
「船着場での一件、あんなのを見たら、誰だって助けたくならあな」。
渡世人は、市の行動を肯定していた。

しかし、この渡世人はわらじを脱いだ川筋のあのヤクザ一家に一宿一飯の義理があって、市を殺さなければならないのだ。
だが、傷が治るまで、やりあうのは待ってくれと言った。
話すうち、お互い上州の生まれで、土地勘があることがわかる。
「なるべく足の傷が長引くのを祈ってるぜ」と、市は言う。

その朝、「仁、先生にかわいがってもらうんだぜ」と市は旅立とうとする。
馬子が来て、表に天神一家が集まっているが、何かあるのかと聞く。
若い渡世人が市の隣に来て、「裏から出ろ」と言う。
だが市は、「婆さんが別れにくくなっているんだから、もうちっといてやれ」と言って、当身を食らわした。

表に出た市を、天神一家が待ち構えていた。
気配を消すかのように止まっていた天神一家は、動き出した途端、市に斬りかかる。
市はあの若い渡世人は、「いい男だった」と言う。

つまらない一宿一飯の恩義を果たす為に、自分に刃向かってきた。
「かわえそうに。もう、おまえさんたちとは、2度と口のきけねえところに行っちまったよ」。
そう言った市に、天神一家が斬りかかってきた。

だが、十数名はいる天神一家は、あっという間に全滅させられた。
おそるおそる外に出た馬子と、婆さんは天神一家の遺体を見る。
医者が外に出て、悲壮な顔をして、坊さんを呼んでやれと言う。

市の後を、仁が追ってきた。
「来るんじゃあ、ねえ」。
鳴かなかった犬が、声をあげた。
「来るんじゃあ、ねえ」。

市は両手を広げて、犬を制した。
「俺なんぞにくっついてきたんんじゃあ、ろくなことがありゃあしねえ。せっかくあんな立派な亭主を見つけたんだ。夫婦になって、いい子供を産むんだぜえ」。
市は手を下ろすと、優しく「帰えんな」と言った。

犬は市を見ると、戻って行った。
道の途中で、市を振り返り、じっと見つめていたが、やがて、道を引き返して行く。
市は去っていく犬に、手を上げ、自分もまた去って行った。


もう、犬が斬られちゃわないか、お医者さんが無事か、ヒヤヒヤしながら見ました。
犬は市が連れているのは、柴犬でしょうか。
女の子だったんですね。

医者宅にいるのは、黒い雑種のようなワンちゃん。
2匹の出会いを、黒ちゃんが振るしっぽで表す。
どういう経緯かわかりませんが、足が一本ないけど元気!

渡世人は、「スター」にしきのあきらさん。
若い。
市の行動に理解を示すこの若い渡世人を、市は抗争に巻き込まない。
あの時の市は、娘たちにも、船頭夫婦にも救世主だった。
自分だって、きっと同じ事をしてしまったのではないか。

青年はそう思っている。
だから、市は斬らない。
前の時も斬らなかった。
悪党なら、市は確実に斬っている。

あの若い渡世人に、市は医師宅で人生をやり直す機会をくれたんでしょう。
恩義のある天神一家は、市に全滅させられたし。
「死んだ」と言わんばかりの言葉だった。

言い換えれば、生き返らせる、人生をやり直させたってことなんでしょうね。
お婆さんは渡世人を、「女性として」気に入ってるみたいだけど、結構、渡世人さんはぶっきらぼうながら優しいのでうまくやれそう。
あのまま、あの家に留まって、カタギさんになって先生の側にいそうです。

先生は豪胆で、市が気に入りそうな好人物。
剣ではなく、柔術を使うのも、殺生が嫌だからなんじゃないかな。
最後に天神一家を見て、市を責めるわけでもなく、命をやり取りしてしまったことに哀しそうな顔をして、坊さんを呼んでやれと言う。

このお婆さんが、亭主が昔、呑み助で別れたと言うんだけど、何だか渡世人さんに色気出してるのが楽しい。
馬子がお婆さんに何か手渡すと、今度は「けっ、色目なんか使って」と言う。
しかし、うれしそうに包みを開くと、そこにあるのは梅干し。

お婆さんが怒る。
「あたしゃ、こんなシワシワじゃないよ!」ってところなんでしょう。
馬子はきょとんとしてましたが。

最後に慕って追ってきた仁ちゃんを、押し留める市。
自分と違って、仁ちゃんに帰る家ができた時、市は本当にうれしそう。
「逃げていく者を追うんじゃねえよ」。
「なるべく人は殺したかあ、ねえんだよ」と犬に市の哲学、美学が語られる。

一杯のどんぶりを分け合い、夜は身を寄せて一緒に寝る市と犬の姿が微笑ましい。
最後、仁ちゃんの市を見る表情が、立派な演技。
なんで「座頭市」って、子供もかわいいけど、犬もかわいいんだろう。

市が呼びかける言葉も、まるで女性に言って聞かせているよう。
こういうところが、市が慕われる理由なんだろうな。
仁ちゃんの幸せを確信して、市は去っていく。
つかの間の、心温まる道連れと、ちょっと切ない別れ。


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2012.05.04 / Top↑
「新・座頭市III」17話「この子誰の子」も、市が子供と交流する。


庄屋の葬儀の席に現れ、死んだ亭主の隠し子だと言っては手切れ金を受け取る女。
だが、それは詐欺であった。
この女と幼い息子には、ろくでもない男が付きまとっていた。
男と一緒になる約束を捨てきれず、母親は言われるままにお金を詐欺で稼ぎ続ける。

母親は、藤村志保さん。
ここではすごい汚れ役ですが、どこか品が良い。
男は、蟹江敬三さん!
若い!

しかし、この親子と市が道連れになる。
やがて母親は詐欺に失敗し、番屋に突き出される。
それを見た男はかばうどころか、「バカ」と舌打ちする。
幼い子は、番屋の前の暗がりでいつまでも待ち続ける。

屋台で蕎麦を食べていた市は、オヤジに「まだ子供はいますか」と聞く。
「いますよ、何でしょうかねえ」とオヤジが言う。
市は子供に、蕎麦を持っていってやる。

「おっかちゃんに、叱られたのかい?」
「ううん、おっかちゃんが叱られてるんだ」。
何てしっかりした子供。

母親と子供と市がいるところに、男がやってくる。
男は母親に、何もしてくれなかったことをなじられ、子供に追い出される。
だが、男は子供を引っぱたき、怒った母親を廊下に引きずり出す。
子供は怒り、男から母親を救いに行こうとするのを、市が押し留める。

廊下に出た市が、男に言う。
葬式で稼ごうというぐらい、頭がいいんだから、今夜はここで引き上げたほうがいい。
しかし男は手をあげ、市にぶちのめされる。
たまには悪い血を流して、綺麗にしたほうがいい。

子供は市に懐き、2人が連れ立って歩いているところに、ヤクザが市を狙って斬りかかってくる。
あっという間に、ヤクザたちは斬り伏せられた。
子供がそれを見て、自分もブンブンと棒を振り回しているのがかわいい。
市の腕を見た男は、やがて相棒から市に百両の賞金がかかっていることを聞く。

強い市に毒を盛ることを考えた男は、相棒に毒を持って見て、その威力を確かめる。
「こりゃ効くなー」って、蟹江さん。
男は、地元のヤクザに賞金首の市のことを知らせる。
市に女房を取られたので、自分も市を恨んでいると言い訳をする。

やがて、女は不実な男と別れ、故郷に帰ることを決心した。
ずっとずっと、葬式詐欺の片棒を担いできたのだろう。
眠っている子の頭に市が手をやっただけで、眠りながらも泣き声をあげるようになっている。
そんな子供にしてしまって…。

だが、親子と市がいる宿屋に男が現れ、市に酒を勧める。
女と子供は、無言で男を無視している。
男は、市に毒の入った酒を飲ませたとほくそえむ。
しかし市が飲んだと思った毒の酒は、市の徳利を避けて飲んだはずの自分の酒だった。

「そっちは甘口ですよ」と、とぼけて言う市がおかしい。
表に潜む男たちの気配を感じて、「誰かいますね?」とも言う。
「誰もいませんよ」と答える男。

「甘口がいいですね」と言って飲んで、「あれ?」と杯を落とす。
自分の間違いに気がついた怖ろしい場面なのに、おかしい。
「ま、ちがえたあぁ…」。

腰を抜かし、「水」「水」とつぶやきながら男は井戸まで這って行く。
その闇の中、ヤクザたちが姿を現す。
市は障子を閉め、女は子供を抱きしめる。

仕込み杖がうなると、障子が斜めに真っ二つとなる。
ものすごい迫力。
次々、市に襲い掛かるヤクザたちだが、市は一瞬で仕留めて行く。

この乱闘の最中、ひたすら水を求めて男がもがいているのが、悲惨やらおかしいやら。
女は子供が市の側に行こうとするのを止めるが、子供は母親を突き飛ばして外に走る。
母親の手を抜け出した子供は、市が杖を振るう背後に回り、市の手をギュッと握る。
市もまた、子供の手を握り返す。

母親の目から涙がこぼれる。
子供は自分のような弱い、だらしない女より、戦う市に共感したのだ。
自分が振り切れなかった男は、水を求めて無惨にもがいていた。
情けない男、情けない自分。

ついに親分が、市に斬られる。
倒れる間際、子供は親分を棒で引っぱたく。
親分は「痛てえなあ」と言って、倒れる。

この親分が、江幡高志さん。
男から市のことを聞いている時、むぐむぐとまんじゅうを頬張っている姿が不気味な迫力。
何気ない仕草なのに、残忍さが潜む。

小柄な姿が迫力。
しかし、倒れる時はどこかおかしい。
名演技!
江幡さーん、まだまだお元気でいてくださいねー!

翌朝、いなくなった市を追って親子が街道を走ってくる。
だが市は見えない。
子供は母親に「俺についてくれば大丈夫だよ」と言って、励ます。
市に勇気をもらったのだ。

前からしっかりした子供だったが、その姿は母親を引っ張っていく立派な男の姿だった。
近くの草むらに寝転んでいた市だが、もう親子の前に姿は現さない。
やがて、親子はしっかりと手を握り合い、歩いていく。
親子が見えなくなると、市は立ち上がり、反対の方向へ歩いていく。

蟹江さんと江幡さんの、どこか抜けたコミカルな悪役、最高!
次回は子供ではなく、市は犬と交流するという。
子供、犬。
市を怖いとは思わないで懐けるのは、市の優しい本質を感じ取れる純朴な者だけらしい。


2012.04.17 / Top↑
友人がフレッシュネスバーガーを買って来たので、昨日のお昼は風で散る桜を見ながら公園でハンバーガー。
たくさんの人が桜が散る下で、お茶していたり、遊んでいたり。
子供が半そでや袖なしで遊んでいるので、「すごー」と思ったんですが、あったかかったですね。

ちょっと厚手の「ニットガウン」が、暑いぐらいでした。
冬に買ったこのニット、座頭市が羽織っているのに似ているカーディガンと共に、私はカーディガンと言ってたんですが、「これはガウンだよ」と教えてもらいました。
たはは。

「座頭市ガウンの方は確かにポンチョ風で、このボンボンはフリンジと言う」とのことで、まぁ、恥かしい!
教えてくれて、ありがと。
この年で新しいことをひとつ、覚えました。


さて「新・座頭市」16話「送り火 迎え火 灯籠流し」では、再び倍賞美津子さんがゲスト。
器量も町一番で、仕立て屋として腕も良い。
どんな男と一緒になるのかと言われていた小町娘だったのに、担ぎ呉服の旅の男と一緒になってしまった。
しかもその男、取引先の店の金に手をつけて行方をくらました。

賭場で恩を受けた男の家へ、市はお金を届けに行くと、いきなり出産に立ち会うことになる。
娘は色の白い女の子を産んだ。
それから3年、女には毎年2両のお金が届けられ、それを亭主からと信じた女は帰りを待ち続ける。
再びその地に立ち寄った市は、女とあの時の赤ん坊・ゆきと会う。

市は今回も、子供と関わる。
ゆきが遊んでいると、毬が転がって行ってしまう。
毬の前には市をずっと追っていた渡世人がいて、渡世人は毬を拾うどころか嫌な顔をして蹴り飛ばした。
だがその渡世人が、ゆきの父親だったのだ。

まさか、ヤクザになっていたとは…。
市にすんなり懐いたゆきが、父親に懐かないわけもわかる。
この男の性質を、この場面はよく表している。

しかし、女は亭主の帰りを喜び、今までの仕送りの礼を言う。
男はその感謝の言葉を受け入れるが、女が貯めた金をすぐさま、博打ですってしまった。
「あんたのお金を、あんたがどう使おうと勝手…」と、女は理解を示そうとする。
倍賞美津子さんが美しく、けなげ。

地回りの親分への金の無心をする男は、市を仕留めることを持ちかける。
「市の仕込み杖を取り上げてしまえば良い、その役目はカタギの者ならできるだろう」と言って、男は女房にその役目をさせようとした。
男はさらに金の為ならあの女房も、娘も売るつもりでいた。
女は返って来た亭主の不実に気づきながら、一緒に暮らせる夢がやっと叶うのだと信じようとしていた。

そこに、市の杖を取り上げろと言う亭主の冷たい言葉。
女は亭主の情けのなさに、涙をこぼす。
ゆきが、それを見ている。

翌日、ゆきは市に「おっかちゃん、泣いてた」と言って涙ぐむ。
幼い心の痛みに、市は優しく「白玉、食べるかい?」と聞く。
この子役の泣き顔が、本当にかわいそうになる。
市じゃなくても、一生懸命、かばってやりたくなる。

市の、何と優しい声。
ゆきは首を振る。
その涙に市は「ゆきちゃんは、何も心配しなくて良いんだよ」と言ってやる。

女は市に、早くこの宿場から逃げるように言うが、市は逃げない。
ゆきと灯篭流しを見に行く約束をしていた市は、仕込み杖を置いて行く。
市の気持ちに、女が「市さん、ごめん…、ごめん」とつぶやく。

だが仕込み杖を取り上げたと聞いた亭主の態度に、女は絶望した。
川辺で灯篭を見ているゆきの元に、友達がやってきた。
ゆきの母親が市に渡してくれと言った、提灯を持って…。

提灯を持った市を、女の亭主が呼びに来る。
影に潜んでいた地回りたちは市を見て、「提灯がないと歩きにくいのかね」と哂う。
仕込み杖がないと見た地回りたちは、まったくの無警戒で市の前に現れた。
しかし、提灯をぶら下げた棒は、仕込み杖だった。

仕込み杖を抜いた市は、亭主も、地回りたちも斬り捨てた。
眠ってしまったゆきを背負って、市が帰って来る。
市が無事に帰って来たということは…。

女は市に自分にはゆきがいる。
2人で生きていくと言う。
そして、あの2両、あれは亭主ではなく市さん…と言いかけた女を制し、市は去っていくのだった。
優しい人だから、幸せになってほしいと女に市が言い残した後には、盆の送り火の跡だけがあった。


2012.04.13 / Top↑
うう、食べ過ぎた…。
別にお花見の宴会で食べ過ぎたわけじゃなくて、オムライスを作りたくなってつい多めに作ってしまって食べ過ぎた。
子供じゃないんだから、と自分に呆れる。
こういう時には、早めに正露丸。


冬のバーゲンで買った、カーディガン。
裾や袖口にボンボンついていて、そこからリボン…というより、10cmほどの紐が下がってます。
ポンチョ風なんですが、色…、色は商品タグによるとキャメルカラーとなっております。
らくだ色か。

ちょっとボロ風でもある。
それで気づいたんですが、今見ている「座頭市」が羽織っている着物に、似てないか、これ…。
似てるぞ~。
楽しいかもしれない、いっぱい活用しよう。


「座頭市」って、子供との交流が多いですね。
あんまり子供との交流が多いというイメージがなかったのですが、市はよく、子供と接してます。
接するというか、結果的に守ってます。

15話「かかしっ子」では、両親が死んでしまい、強欲で意地悪な叔父夫婦に引き取られた兄とまだ幼い妹の、妹と関わります。
幼いながらも妹の器量の良さを見抜いた地回りの親分兼岡っ引きの鬼熊の手引きで、妹が売られそうになる。
そして叔父夫婦は殺され、凶器の鎌を持った血まみれの兄に疑いがかかる。
兄は逃げ、そのショックで口がきけなくなった妹は屋根にかかしの立つ小屋で、兄の無実を信じて帰りを待ち続けた。

妹が川で魚を釣ろうとしていた釣り針に、市が引っかかった。
針を取った後、妹が近所の子供たちに「ひとごろしー」といじめられているのを、市が追い払ってくれる。
悪ガキが投げた石を、棒でコンと打ち返し、悪ガキの額に当てる。

「痛え!」ってそうなんだよ、当たったら痛いんだよ、痛みがわかったら石を投げるなんてやっちゃいけないんだよ。
しかし市は、そんなことは言わない。
市と妹は小屋に戻り、2人で夕飯を食べる。
年を聞くと、妹は茶碗を9回叩く。

市がこの小さい娘が置かれている、厳しく哀しい境遇を思いやって顔が曇る。
その時、妹が市を隠す。
妹の小屋には鬼熊の手下が来て、何も話せない妹を「兄が帰ってきただろう」と脅すのだった。
さらに妹を「カワイイ顔してるなあ」と言い、「早く大人になれ、かわいがってやる」などと言う。

不愉快。
市は妹のつらい境遇に、胸を痛めた。
口のきけない妹と、見えない市。
市は竹笛を作り、妹とそれで意思を通じ合った。

妹は市の作った竹笛を町角で売るが、一向に売れない。
次第に涙ぐんでくる妹を見た市は、密かに町を歩くおばあさんに20文渡し、笛を買ってくれるように頼んだ。
すると、おばあさんは大量に買い込んできて、市に渡す。
市が困惑してしまうという笑えるシーンもあり。

しかしその後、鬼熊の手下が2人やってきて妹を張り飛ばした。
さらに無体を加えようとする手を市が抑え、2人をたちまち撃退する。
この時の市の怒りがすごい。
手下の1人の顔を下駄で踏み、「顔洗って出直して来な」と凄む。

その通り、小さい子供に大人がやることじゃないです。
かねてから兄妹の境遇に同情し、鬼熊たちの我が物顔に腹を立てていた飯屋のオヤジがそれを見て、市に喝采を送る。
翌日、その飯屋にそっと、帰ってきていた兄が潜む。
兄に気づいたオヤジは客の目を逸らし、2階へと兄を逃がしてやる。

そこで兄は妹に渡してくれと、働いて得たまとまったお金をオヤジに渡す。
オヤジは按摩に出た市を呼び止め、兄を市の羽織り物の中に隠し、妹と会わせてやろうとする。
このオヤジさんが、殿山泰司さん。
良い役、悪い役、本当にどっちもできる方!

道中、市は兄から、叔父殺しの真相を聞いた。
まるで二人羽織り、よく見ると市の足の後ろにもう2本、細い足が出て、調子をあわせて歩いているのがおかしい。
兄は叔父夫婦が妹を売り飛ばす金額が少ない、妹の器量ならもっと金が出るはずだと言って鬼熊ともめ、鬼熊に殺されるのを見たのだ。

だが鬼熊に血まみれの鎌を持たされ、叔父夫婦の死体の上に突き飛ばされたところ、叔父殺しの容疑にかけられたのだ。
小屋に戻った市は妹に金を渡し、驚く妹に「礼ならかかしに」と言う。
妹はいつもしているように屋根に登り、兄の姿を探す。
そして兄妹は再会できたが、小屋には鬼熊一家が迫ってきていた。

小屋をおっかなびっくり、覗き込む親分に「もう誰もいませんよ」と市が後ろから声をかけると親分が「じゃ、どこに」と言って市だと気づき、飛び上がるのもおかしい。
市は笛を吹き、妹は兄に「出ちゃダメって言っている」と口を利いた。
次々、市の仕込み杖の前に倒されていく鬼熊一家。
下駄で踏みつけた男に杖を突きつけ、鬼熊に真相を話さなければ子分を殺すと市は言うが、鬼熊は殺せと言い放つ。

「おめえも薄情な親分の杯を受けたものだ」と言う市に、口の中に仕込み杖が差し込まれた子分は恐怖のあまり「叔父夫婦を殺したのは親分だ!」と叫ぶ。
市が「代官所でそれをちゃんと言えるか」と聞くと、子分は誓う。
すると市は親分を目にも留まらぬ早業で斬り殺す。

自分を信じるのかと子分は言うが、市は「信じない者に物は頼まねえ」と言う。
それを聞いた子分は狂喜し、必ず兄の身の潔白は立てると叫んで代官所に走った。
本当に信用できるのかと心配になりますが、これだけの恐怖を味わって、そこから解放されたら安心感と喜びは尋常じゃないから。
それにもう、親分はいないし、兄の潔白を証明しても誰にも何も言われない。

「市さん、ありがとう」と、兄の影膳をすえていた面をかぶった妹が言う。
声を聞いた市は「良い声だ」と言う。
この声が、本当に暖かみがある。

面を外すと、妹は涙を流していた。
「鬼の目にも涙、か…。仲良く、な」。
妹は市が去るまで、市の指をしっかり握っていた。
虐げられている子供を見ると放置できない市の、真骨頂とも言えるお話。


2012.04.07 / Top↑
第14話「あんま志願」。
火野正平さんがゲストです!
正平ちゃんは、正吉役。

道中、偶然に市が数人の渡世人と用心棒を倒すのを見た青年・正吉。
正吉は市に按摩志願した。
「お前さん、目開いてるね?」
「開いてます」。

「じゃ、世の中見えるね。世の中見える人は、按摩なんぞになるこたぁねえや」と市は笑う。
「それに、目の開いている人が目の開いてない人の商売、邪魔しちゃいけねえや」。
しかし正吉は弟子にしてくれるまで、諦めないと言う。
正吉の手を触り、「お前さん、力仕事したことありませんね?食うに困っての按摩仕事じゃないね?」

朝早く旅立った市の後を、正吉はついて来た。
「いくら貰ったんだか知らないが、命を捨てるようなことするんじゃねえ」と言う市は、正吉から殺気を感じたのかもしれない。
実は正吉、父母の仇討ちを胸に秘めて、技を教えてもらおうと市に近づいたのだった。
市は、正吉が道連れになることを許した。

道中、正吉は4人の渡世人に襲われた。
普通、狙われているのは市なのだが、彼らは庄吉を襲ってきた。
自分のたった一人の弟子だから、見逃してくれと言う市だが、渡世人は斬りかかってきた。

しかし、たちまち市に斬られる。
おののいた1人は、あわてて去っていく。
その頃、正吉の父母の仇であるヤクザは、造り酒屋に酒を水で薄めて売れと迫っていた。

親分の額には、刀傷があった。
酒を水で薄めることはできないと断るオヤジさんを、ヤクザどもは叩きのめす。
途中、急なしゃくで苦しむ女を助けた市に御代を払おうとすると、正吉は「親切だから」と断る。
ちょっぴり、へそを曲げる市だが、正吉の懐こさについ、許してしまう。

悪いと思った正吉は市に、うなぎを買ってきたが、市は「銭は払ったのかい」と聞く。
だが、正吉が着物を着ていない。
すると、うなぎを買ったところのお婆さんが追いかけてくる。
ナイショ、ナイショと自分の口を抑える正吉だが、お婆さんは正吉が置いてきた着物に小判があったから届けに来たのだった。

お婆さんもまた、正直者。
だって、女郎屋のやり手婆さんと比べちゃいけないけど、「助け人」でこっちの婆さんは平内さんが出した2両を1両くすねてお女郎さんに渡していた。
正吉は小判が縫い付けられていたなんて、知らなかった。
母親が自分の為に、やってくれていたんだ。

おふくろのありがたみがわかったなら、旅なんかしていないで帰って親孝行してやれと言う市に、正吉は「孝行したい時に親はなし」と自分は親殺しだと言う。
直接やったのではなく、自分の為に殺されたのだと言う。
本当は自分も父母のところに行きたい、だが1人では行きたくない。
道連れにしたい奴がいる。

「針を教えてくれませんか」。
「針?針を覚えておめえ、どうする?」
「だから、一緒に死にてえやろうを…」。

「プツッてやる気かい?」
「へえ」。
「針てのはな、命を絶つ為に打つんじゃねえ」。

「でもあるでしょう!すぐプツッと死んじまうツボ!」
「だからよ、殺すための針は教えない」。
「でも汚ねえやろうなんですよ!」
「じゃあ、おめえは綺麗なやろうか?」と聞かれて黙るしかない。

正吉が言うには自分がくだらない為、父と母を殺され、姉は遊郭に身を売ったらしい。
自分だって綺麗じゃないけど、そいつが父母を殺した。
しかし今、正吉は自分が殺したと言ったはずだ。
なのに、人のせいにしている。

「よーく、考えてみろ」。
言われて正吉は、遊郭へ走る。
遊郭の姉に会いに来て、姉に坊主頭を指摘されると正吉は按摩になるんだと言う。
市という人に弟子入りしたけど、すごく良い人だあと正吉は姉に話す。

「必殺」シリーズに出演している正平ちゃんの針で人を殺したいというセリフ、個人的にウケました。
姉との会話で正吉は、父親が自分で死ぬような性格じゃないと言い、父母が死んだ理由をたった10日前に聞いたことがわかる。
出て行く弟に「無茶しないで、自分のこと大事にして」と言う姉。

妙に構ってやりたくなる、火野正平節とも言えるセリフまわし。
「いくつになっても姉ちゃんに頭あがんねえ」と、着物の裾を縫ってもらう。
良い事があったら、願いがかなったら、この笛を鳴らすからと言って弟は出て行く。
それは、父母の仇討ちを意味していたのだ。

「どうだ、親父、そっちの居心地は?」
父親の墓を前に、物言わぬ父親と、酒を酌み交わす正吉。
火野正平、1人芝居。

この1年、正吉は旅から旅で、いろんなことをやってきたらしい。
遊郭の正吉の姉に会った市は、両親は弟を大層かわいがり、甘やかしたと聞いた。
しかし、1年ぶりに会った弟は、信じられないぐらい、強くなったとも言った。
正吉の居場所を尋ねられた姉は、押し黙る。

仏壇に手を合わせ、酒を持ってくる。
姉は市にその酒を振舞った。
その言葉から、正吉は造り酒屋の息子で、その酒を造っていたことがわかる。
ヤクザと正吉、そして正吉の父母、姉のシーンはないが、造り酒屋を脅すシーンや、正吉や姉の様子から何があったかの予想はつく。

正吉はその足で、地元のヤクザ一家を按摩として訪ね、親分の近くにまで行く。
だが親分は正吉に気づいていた。
「この傷の礼は、たっぷりしてもらうぜ」。
正吉が無茶に突進し、押さえつけられてなぶり殺しに合うと思われたその時、手下がいきなり倒れる。

廊下から現れた座頭市。
驚く正吉。
「てめえ座頭市だな!」

「ならどうする」。
市を見た親分たちは「賞金首」と目の色を変える。
「その賞金首、貰った!」というが、市の仕込み杖がうなり、あっという間にヤクザたちは1人残らず斬られる。
「痛い」とつぶやいて刺される親分、市の敵ではなかった。

父母の位牌に手を合わせる姉の耳に、按摩の笛の音が聞こえてくる。
表を見た姉の目には、弟が笛を口にしながら走る姿が見えてくる。
正吉は泣きじゃくりながら走り、姉もまた、泣き崩れる。

どこかろくでなしだが、憎めない。
人が良くて、いつも必死で、見ているだけで切なくなる。
火野さんの個性は「座頭市」でも健在だなあ、と思いました。

でも決して同じ人物にはならない。
この正吉には、育ちの良さから来る人の良さがあった。
正吉が死ななくて、良かった~。
この後は正吉は昔を生かして造り酒屋に勤めて、姉のことも何とかしたと頭の中で補完しました。


2012.04.05 / Top↑