俺たちが行くのは地獄だからよ 22話「楽あれば苦あり親はなし」。

必殺仕置人22話 「楽あれば苦あり親はなし」。

伊藤雄之助の恐怖の名演。
こ、こわ…。

水車の粉引きの下で拷問を受ける老人。
娘のお波の居場所を言えと言われても答えない。
「どうします、おかしら?」と聞かれ、おかしらと呼ばれた男・野分けの藤造(伊藤雄之助)という男が「しょうがねえなあ」と言うと、子分は老人を殺した。

主水のところに「旦那さんの子ですよ!」という女が現れた。
さっそくおきんが鉄に報せに来る。
女は白滝という水茶屋の女で、名はお波(朝丘雪路)。
去年、故郷で産んだというが、確かに主水には1年前、身に覚えがあった。

お波は小判を相当持っていて、これで所帯を持ち、身の回りのものを揃えようと言った。
茶屋遊びの際は独身だと言ったが、主水にはりつという妻がいると言う。
怒ったお波はりつのところに乗り込むと言い、おきんは「言っちゃえ言っちゃえ!」とはやし立てる。
しかしお波は、ある店の番頭の清兵衛という男のところにも行き、全く主水と同じ文句で、子供ができたと言っていた。

鉄はお波の後をつけていた主水の耳を引っ張り、「おもしれえ女だなあ~」と言う。
男に拒絶され、お波は途方にくれたように歩き始めたが、渡世人らしき一団を見て顔色を変えて隠れた。

主水はどうもおかしいと鉄に話していたが、白滝には鉄も何度も遊びに行ったらしく、鉄もお波を知っていた。
しかし鉄は自分はお波とは関係がないと言い、相手は水茶屋の女だから、父なし子が産まれて困ったので、主水をはめたのだろうと言った。
「その点、俺のところになんざ、誰も子供ができたなんて言いに来ねえ」と言う鉄は、まあ、ここは番頭の清兵衛に泣いてもらえばいいと言った。

その頃、藤造は子分に体を洗わせながら風呂に入っていた。
その外で伊之助と源次の子分の2人が、おかしらに子供ができたらしいと話をしている。
お波は藤造が西国へ行く際、置いてきた女だったが、跡取りができていたなら探して引き取れと藤造は言う。

主水は清兵衛にちゃんとお波の面倒を見るように言い渡していたが、清兵衛は主水がお波と茶屋で萩の間に入っていくのを見ていた。
自分に何もかも押し付けるつもりなら、表沙汰にすると清兵衛は言う。
清兵衛はあと3年もすれば店の暖簾を分けてもらえるらしく、ここでつまづくわけにいかないのだ。
主水はあわてて何とかすると言い訳した。

藤造の元にお波の客だった者が報告されていた。
八丁堀同心・中村主水、料亭「すいげつ」の板前・新吉、ほねつぎ・念仏の鉄…。
「八丁堀をのぞいて全部消しちめえ」と藤造は命じた。

数日後、清兵衛がお波の行方を聞かれた挙句、伊之助たちに殺された。
新吉もまた、殺された。
お波はそれを見て子供を抱えて逃げ出し、それを見た子分たちがお波を追いかけた。
すんでのところで、お波はおきんが匿った。
やがて鉄も襲われる。

白滝で食事を取っていた主水のところに、鉄がそっと逃げ込んでくる。
ヤクザのような男たちに襲われたと言う鉄に主水は、清兵衛も新吉も殺されたと話す。
鉄はお波と関係があった男たちが殺されているのだ、と話した。
主水は鉄もお波と関係があったのかと驚いて聞くが、鉄はそんなことより、これは野分の藤造が絡んでいると言う。

野分の藤造は盗賊の元締めで、最近では海産物問屋を動かして、アヘンにまで手を伸ばしている大物だった。
お波は藤造の囲われ者だったようだ。
藤造に狙われて、3日と逃げおおせた者はいない。
その時、白滝におきんとお波が一緒に帰って来た。

お波は白滝に潜みながら、父親探しをやっていたらしい。
お波はおきんに、本当の父親は藤造だと教えていた。
だが、子供の父親が藤造ではかわいそうだ。
おきんは人を殺してまで子供を捜しているなら、藤造も子供をかわいいのではないかと言うが、お波は嫌だと言う。

藤造はまさか、自分に子供ができているとは思わなかったのだろうが、藤造は人の親になる資格がある人間ではない。
子供を必ず盗賊に育てるだろう。
お波は、ちゃんとしたカタギの父親がほしい。
主水と鉄はふすまに耳を押し付けて話を聞いていた。

その時、白滝の座敷に藤造の配下の男たちが乱入してきた。
赤ん坊の泣き声が聞こえたと言って探し回り、ついにお波を見つけた。
どうにかしてやれと鉄とおきんに言われた主水だが、躊躇している間に鉄が主水を外に放り出してしまった。
藤造の配下の前に押し出された主水が戻ろうとしたが、鉄は戸を閉めてしまった。

「旦那さん!」と叫ぶお波を前にして、伊之助や源次が「何だ、てめえ!」と主水にすごむ。
こうなっては主水も「お前たちこそ何者だ。女子供を置いて、早々に立ち去れ」と言うしかない。
伊之助たちは「バカヤロウ!」と腕まくりをしたが、主水が十手を出し、「お前たち、奉行所相手にケンカ売ろうってのか!」と言うと引き下がっていった。

藤造は膳を子分に運ばせ、タバコを吸っていると、「おすぎがまいりました」と声がした。
おすぎはお波の身の回りを世話をしていたので、お波の生んだ子供が藤造の子かどうか知っているだろうと聞かれ、間違いないと答えた。
「そぅ~かい…」。
お波はおきんのところで子供の世話をしていた。

主水は与力に呼ばれた。
どうして与力が藤造を知っているのか聞くと、与力は余計なことは聞くな!と言う。
藤造の力は主水が思っている以上に大きく、他にも藤造と繋がっているものはいる。
町方にだけは藤造が手を出さなかったのは、これが理由だった。

主水は藤造の怖さを知らないから子供を匿えたのであり、自分などはそれを聞いて冷や汗が出たと与力は言う。
そして藤造が指定した日時を主水に告げ、そしてこれをもし断れば主水の後任を用意する、と言い渡す。

鉄は見つかれば今度こそ殺されると言って、仕置人の集合場所である沈没船の中に隠れてしまっていた。
藤造は指定の料亭に大勢の手下にかしずかれながら、やってきた。
主水の隣にいる与力は微動だにせず、座っている。
「大丈夫だ、命は拙者が保証する」と言われ、主水は仰天した。

与力は藤造がやってくると深々と頭を下げたので、主水も同じようにお辞儀をした。
主水を見つめた藤造が「藤造です」と一応頭を下げると、与力は「拙者はこれで」と言うと、話が終わったら声をかけてくれと言って引き下がった。
藤造は何も言わず、主水の前で煙管タバコを吸い始め、「おつけになりますか?」と言ったが、主水は「いや」と手を振った。

主水が「話というのは?」と聞くと、藤造は「わしの息子、返してもらえませんか?」と言う。
お波が拒絶していると言うと藤造は前に子供を死なせてしまったことがあるので、なおさら欲しいのだという。
「わしが謝ってこの手で死なせてしまったんだ」。

藤造は子種が薄いと思っており、もう子供はできないと諦めていた時、お真紀という女が子供を産んだ。
その時は喜んだが、藤造はその子は段々自分の子ではないような気がしてきた。
しかしお波に子供ができてみれば、あれも間違いなく自分の子だったと言う。

子供はカタギに育てて、自分の跡は継がせないし、お波も正式に自分の妻にする。
もちろん、主水にも御礼をする。
「お~い、あれ」という声がしてふすまが開くと、数人の男に囲まれ一人のアヘン患者がいた。

アヘンを一服だけ与えられた患者を振り返って藤造は、「わかりませんか。清兵衛殺しの下手人ですよぉ~」と言った。
「バカな」と言う主水に、「じゃ聞いてみましょうか。おい、清兵衛を殺したのは誰だ?」と言うと、アヘン患者は「お、お、俺が殺した」と言い、「じゃ、板前の新吉を殺したのは誰なんだい?」と聞かれると「お、お、俺がやった」と答える。

今の男を主水に渡すから手柄にしろと藤造。
主水はそんな、と言うと、それが嫌なら後は力、ということになる。
「どちらが力がありますかねえ~」と言って、藤造は煙管を口に入れる。
そして煙を主水の方にフッと吐いた。

主水はお波を説得しに行ったが、お波は絶対に戻らないと言う。
藤造も本当に子供がかわいいようだし、世の中は金と力、藤造にはそれがある、2人は幸せになる、カタギにするとも言ったと主水が言うと、お波は「あの男がどんな男か、知らないんだ」と言って自分が見たことを語り始める。

お波はお真紀の子の子供の子守りをしていた時、真夜中に子供と添い寝していて藤造の子供が俺に似ていないという声を聞いて目を覚ました。
自分には子種がないと言う藤造は、屋敷に出入りしている男2人の名前をあげ、どっちなんだとお真紀に迫った。
違うと言うお真紀を殴り飛ばし、さらに自分には子種がない、どっちなんだとお真紀の首を絞めた。

騒ぎにお真紀の子供は目を覚ますと部屋を飛び出し、藤造のところへ飛んでいった。
母親に駆け寄った子供を藤造は「うるさい!」と力強く突き飛ばし、子供は吹っ飛んで頭を打って動かなくなった。
それを見たお真紀は首を絞められながら子供を指差したが、藤造は構わず、よだれをたらしながらお真紀を締め続けた。

お真紀が動かなくなると、藤造は歩いてきて動かない子供を見下ろし、廊下で腰を抜かしているお波の前に座り、「ころしちまった~」と言った。
そしてお波の膝で号泣し始めた。

それを聞いた主水はひどい話だが、藤造も反省しているし、それも自分の子供が欲しいあまりだと考えば…、と言った。
それに、このままでは清兵衛のような死人が出る。
鉄も穴倉から出てこないし、おきんも無事ではすまないだろう。
「殺される…」と言ったお波は「私、みんなを不幸せにしてるんですね」と言うと、明るい表情を作り、「私、帰ります」と言った。

すると今度は主水が気がとがめて無理にとは言わないと言いだし、出てきた鉄は嫌なら無理してもどることない、と言う。
おきんももうすぐしたら藤造も諦めるよと言うが、お波は帰ると言う。
おきんが心配して外までついていったが、お波は「大丈夫」と言って去って行った。

藤造は赤ん坊を抱いて、たいそう喜んだ。
跡継ぎだからいろいろ教えてやる、人のバラシ方、銭の儲け方…、そう言うと子供が泣いた。
「どうして泣きやがるんだよ」と言う藤造を、お波は必死になだめる。

しかし藤造は数日経つと、伊之助に「どうもあれは俺の子じゃねえ」と言いだした。
伊之助も「おかしら、そんなことは」と言ったが、「俺のガキだったらあんな、ピーピー泣くわけねえんだよ」と言った。
お波は子供は藤造にそっくりだと言ったが、藤造は自分の子にしては顔が丸すぎると言う。
赤ん坊のうちは丸いのだと言って、お波はそのうち藤造のように長い顔になると言うが、藤造は「あの同心もずいぶんなげえツラだったね」と言い返す…。

夜、眠っているお波がふと目を覚ますと、藤造がいた。
藤造は、横の赤ん坊の顔をじいっと見つめていた。
お波は寝ている振りをして、向こうを向いた。
藤造はいつまでも、じっと赤ん坊を凝視している。

やがて立ち上がり、自分の部屋に戻った藤造は「やっぱり俺の種じゃねえ」と言う。
危険を感じたお波は起き上がると、子供を背負い、そっと家を抜け出した。
お波が逃げたのを知った藤造は、早く追え!と叫んだ。

必死に逃げるお波は藤造の配下をやりすごしたと思い、走ったが、目の前の暗闇に藤造が立っていた。
藤造は刀を抜き、口から泡を吹いて追って来る。
そして逃げるお波の背中に向かい、刀を上から振り下ろした。
赤ん坊は一声あげると、背中から落ちた。
あっとお波が振り返った途端、今度はお波が斬られた。

一杯飲んで上機嫌で帰って来た鉄は、瀕死のお波が長屋の井戸のところにいるのを見つける。
鉄はおきんを大声で鉄が起こし、お波を運び込む。
おきんはお波を見て仰天し、医者を呼びに走ろうとしたが、鉄はおきんを呼び止めると首を振った。
子供はどうした?と聞いた鉄に、お波は「藤造に」と言った。
鉄が「取られたのか」と聞くと、お波は「殺された」と答えた。

お波が必死に手を動かすと、鉄は「何だ?何がしてほしいんだ?」と聞く。
懐から30両出すとお波は「あの子は…、ほんとは…、あなたの子なんです」と言った。
「俺の?」
お波が「だから、仇をとって。お願い」としがみつく。
「わかったよ、お波さん。俺の子供!だからな!」。
鉄の言葉を聞いたお波はうれしそうに笑った。

お波と子供の墓の前で水を投げ出し、藤造は「む、息子…、俺の息子ぉ~!」と叫ぶと土饅頭にしがみついて泣いていた。
墓標を倒し、土を抱きしめて崩し、口の中に土が入っても号泣していた。
その夜、拉致してきた娘に「てめえ、俺のガキ作るんだよ!」と藤造は言っていた。
娘が泣き叫ぶ様子を、隣の部屋で伊之助と源次が聞き耳を立てて笑っていた。

床下を主水が腰をかがめて進んでいく。
ひそかに刀を抜く。
天井を鉄が這って行く。
娘は藤造に殴り飛ばされ、気絶した。

伊之助と源次は「静かになったな」「いくら張り切ったってもうおかしらに子供なんぞできっこねえよ」と笑っていた。
酒を飲みながら花札をしていた源次の下から、主水は刀を刺す。
源次の背中から刀の先が飛び出る。

「おめえの番だよ」と伊之助が促す。
答えない源次に「どうした?」と聞いた途端、主水は小刀で伊之助を刺す。
主水は床下で刀を戻し、両方に血がついているのを確認する。
上では伊之助と源次が向かいあって倒れていた。

藤造は娘の帯を解き、放り投げたが、帯は天井にいる鉄が受け取った。
梁に結びつけた帯をつたわって、鉄が降りてくる。
後ろから藤造の肩を叩くと、振り向いた藤造の首を押さえる。
「てめえにな、こんなことを三度までもやらせるわけにいかねえんだ」。

そう言って藤造の喉を潰す。
藤造が倒れると、手を振り上げた鉄は藤造のあばらの骨を外した。
動かない藤造をじっと見つめた鉄は拝む。

お波の墓の前、「天国で坊やと一緒になれて、お波さん喜んでるだろうね」とおきんが言う。
「もう一度、あんたの子だって追っかけられてみたいぜ」と主水。
「死ねば会えるよ」と言うおきんに鉄は、「いや、ダメだな」と言う。
「俺たちが行くのは地獄だからよ」。
「待っているのは藤造みたいな奴ばっかり、か」と主水が言う。


いや~、怖い。
き、気持ち悪い!
伊藤雄之助さん、あんまりすごい。
解説にはサイコパスと書いてあったけど、まさに…。
仕置人で唯一、錠が出ない話ですが、錠が出てたら怒り心頭だったでしょう。

口を常に半開きにして、間延びした声で話すのが又、怖い。
「~なんですよ~ぉ」って。
手下が常に緊張しながらかしずいているし、与力まで緊張して最敬礼してる。
「俺のガキはらんでいる女の腹に、余計なもの入れた奴は生かしちゃおけねえ」って…。

「この手で息子をしっかりと抱きしめたいんだ。毎日側にいてほお擦りして『わしが親父だよ』って言ってやりたいんですよ~」。
怖い。
顔をぽりぽり掻きながら主水に、「だがそのうち、段々わしの子でないような気がしてきた。女はわしを騙してる、わしには子種がない。ありゃ他人の子だ。そう思い込んじまってよお…。だがこうしてお波に子ができてみると、前のも間違いなくわしの子だったんですよよぉ~」って。
ぎゃー、怖い。

「ねえ、あんたに誓いますよぉ~」って。
それで主水ににじりよって手を握ってくるんだけど、主水だって嫌だ。
私なら泣きそうになると思う。

赤ちゃんには「いろいろ教えてやるからな~、人のバラシ方、女のやっちまい方、銭の儲け方…」って。
そりゃ子供も泣きますわ。
なのに、「どうして泣きやがるんだよ」って、怖いから、お波は必死になだめる。

でもやっぱり、「どうもあれは俺の子じゃねえ」って。
伊之助もさすがに「おかしら、そんなことは」と言っても、「俺のガキだったらあんな、ピーピー泣くわけねえんだよ」。
泣きますよ、そりゃ~!

お波は子供は藤造にそっくりだと必死。
でも藤造は自分の子にしては顔が丸すぎると言う。
赤ん坊のうちは丸いんだって、そのうち藤造のように長い顔になるってお波。
藤造は「あの同心もずいぶんなげえツラだったね」。
ここ、不気味でちょっとおかしい。

確かに主水も顔が長い。
伊藤雄之助さんこと、藤造も長い。
解説によると善の長い顔が主水、悪の長い顔が藤造だそうで…。

夜、目が覚めると赤ん坊をじーっと見てる藤造が怖い。
この辺、嫌な緊張感がどんどん高まる。
そしてやっぱり言った、「やっぱり俺の種じゃねえ」。
ぎゃー、逃げて、逃げて、お波さん!

必死に逃げたお波の前に藤造が立っているのも怪物っぽい。
その後、山崎努さんの後の「八つ墓村」に匹敵するぐらい、怖い藤造の刀を抜いての追跡。
そして赤ちゃんがいる背中に向かって…、人間じゃないよー!
見てるこっちが、「ぎゃー、斬ったー!」って叫んでしまった。
もちろん、お波が振り返る、するとバッサリ。

…もう、怪物みたい。

子供はどうした?取られたのか?殺された、この辺の流れがほんとにかわいそう。
鉄の「何だ?何がしてほしいんだ?」が優しい。
だからお波は鉄の子供だって言ったんだよね。

誰も自分にはそんなこと言ってこないって言ってた鉄の心に、一瞬、何かが流れる。
それが「だから、仇をとって。お願い」と最後の願いの為だとしても。
一瞬だけ、鉄が仕置人じゃなくて親の心になったような、そんな表情。
「わかったよ、お波さん。俺の子供!だからな!」って言葉は仕置人としての優しさだろうけど。
鉄の言葉を聞いたお波が、うれしそうだった…。

藤造が墓の前で泣いているのを見て、「…じゃ、何で殺す」と。
ひどいことばっかりしているから、人が、自分の子供でさえも信用できないのよ!

かしずいている配下の者も、「完全におかしらは病気だな」って思ってるでしょ。
「いくら張り切ったってもうおかしらに子供なんぞできっこねえよ」って、ほんとに子供がほしいのか、いや、その時はほしいんだろうなあ。
主水の仕置きも、鉄の仕置きもカッコイイ。

お波のお墓の前の、鉄、主水、おきんの会話がいい。
「死ねば会えるよ」。
「いや、ダメだな。俺たちが行くのは地獄だからよ」。
いつも必ず地獄に行くと言ってる鉄。
「待っているのは藤造みたいな奴ばっかり、か」。

気が利いていて、達観しているような、ラストシーン。
いい味だなあ。
嫌な話を、嫌な味で終わらせない。
むしろ、印象的に終わらせる、いいラストシーン。

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松重豊さんがほんと~に楽しみ 「不毛地帯」

「不毛地帯」3回目はまだ見ていないんですが、2回目見ただけで書いてしまうと、松重豊さんってほんと、いい俳優さん!

あの張り付いたような笑顔。
感情のない、しかし愛想笑いがこもっているような声とセリフ調子。
「私にも教えてくださいよ」と言って、知らないほうがいいと言われて笑ったけど、心の奥底はわからない…。

笑顔だけど、ほんとは恨んでるんじゃないか。
それが表面化したら…、すごい怖いだろうなと思わせる。
何かするぞー、この人は何かするぞーという期待感でワクワク。
こういう役がこういう俳優さんで演じられてるから、おもしろい。

も~う、松重豊さんは長瀬智也さん主演・原田泰造さん共演の「ビッグマネー!」で、長瀬さんがこっち向かれただけで飛び上がるような容貌の総会屋さんの用心棒やってましたけど、最高でした。
そんな容貌で常にナイフを持っているのに、そのナイフで猫のかつおぶしを削ってるという…。
毎週、毎週、この方の出番が楽しみで見てました。

映画のデビューは、1992年、黒沢清監督の「地獄の警備員」。
元相撲取りで兄弟子と兄弟子の愛人を素手で殺し、精神異常者として数年の病院暮らしの後、大手商社で警備員として勤務する富士丸役。
身長190cmの長身、ほとんど喋らない富士丸は1人の女子社員に目をつけ、彼女の周辺の人間を次々、残業時間の社内で殺していく。
内藤剛志さんも、大杉漣さんも次々殺されていくんですよー。

時代はバブル。
絵画の獲得がお仕事の部署。
電話が通じなくて助けを呼ぶのに、テレックス~!



大杉さんはセクハラ部長で、「キミに見ててほしいんだぁ~!」と叫んで呼び出した女性社員の前でズボン下げるような人。
お花持って行こうとしてエレベーターが開いた途端、富士丸に頭、グワン!と殴られて、引きずり込まれる。
富士丸は最後、「何故こんなことするの!」と言われて「知りたいか…、それを知るには勇気がいるぞ」って。
あれ、最後、行方不明にしてほしかった。
きっとその方が怖かった。
空きビルで撮影されたそうで、富士丸さんは1人になると怖いので、必死に走ってみんなを追いかけていたとか。

松重さんは声も渋い。
出演作、多数。

2002年は、私としては「SFホイップクリーム」と「刑務所の中」が印象的。
SFホイップクリームはほとんど主役ですね、近未来で囚人護送をしながらアンドロイドに恋をし、最後は囚人と仲良くなって組織から身をもって守っちゃう。
「刑務所の中」では「仁義」の刺青を自分で「仁議」って間違えていれちゃう、体は大きいけどちょっと足りない囚人・小屋役。

これは「刑務所の中」、最大の楽しみというお食事シーン。




2007年は「しゃべれどもしゃべれども」で、毎日映画コンクール・男優助演賞を受賞しています。



コワモテの元野球選手、今・話下手の野球解説者。

1997年の大河ドラマ、毛利元就では元就の弟、武芸に通じている吉川元春役。
2000年、アナザヘヴンでは前半、婚約者を探して最後は大暴れしてくれた稲富圭一役。
2001年、またまた大河ドラマの北条時宗では、藤あや子さんの息子という謝太郎役。
2005年、NHKの時代劇、柳生十兵衛七番勝負では村上弘明さんの十兵衛の敵の首領・戸田勘解由。

2007年は平成版「前略おふくろ様」ともいえる「拝啓、父上様」で鳶のシャク半。
怖~い人というので、主人公はかなりびくびくして接してましたが、おもしろそうなキャラクターだったからもっと活躍させて欲しかった。
この年は、NHK朝のテレビ小説「ちりとてちん」のヒロインの父親役もやってました。

ま~あ、出演作品の多いこと。
追いきれません。

ご本人も以前、おっしゃってましたが、ヤクザか宇宙人か殺人鬼か刑事の役で、怖い人の役が多かったんですが、コミカルな演技も、時代劇も上手い。
どんどん、いろんな役で出演されるようになりました。
単純に怖い役はもちろん上手いし、哀愁漂う悪役も上手い。
松平健さんの「忠臣蔵」では清水一角役、堀部安兵衛との因縁の対決、良かった。
彼を待っている女性はかつて安兵衛が捨てた女性、一角が来なくなったら彼女も死んでしまうんだろうなあ…

もちろん、この長身とコワモテ風の容貌を逆に取ったコミカル演技も楽しい。
つまり、演技がしっかりしてるからどんな役をやらせても、味が出るんでしょうね。

今年は、西川美和監督の「Dear Doctor」にも出演。
40代、50代とますます役の幅が広がって、活躍される俳優さんだと思いますね~。

「不毛地帯」は遠藤憲一さんと、松重豊さんがほんと~に楽しみです。
あ、この方なんか、「必殺」に出てほしかったですね。
悪役でも、同心でも、仕事人でも、ぜ~ったいおもしろかったと思います。


自分1人座る場所があれば十分なんだ 21話「生木をさかれ生地獄」

必殺仕置人21話 「生木をさかれ生地獄」。

鉄が治療している老人がいる長屋が、打ち壊しにあっている。
大家が書いた借用書が備中屋に回ったらしく、魚屋の仙吉(柴田彦)も追い出されてしまったが、もうすぐお咲(西山恵子)と手に入れた小さな土地で店を開く。
2人で3年かけて貯めた金で買った土地だった。

長屋を追い出された仙吉はその土地で夜を明かしたが、翌朝、備中屋(浜田寅彦)が別宅を建てると立ち退かされた。
抗議する仙吉だが、この土地は先日、備中屋が買い取ったと言われる。
土地の持ち主に聞きに行くと、備中屋が来て、ここは元々お上の土地だったと言われたと言う。
3年もの間、食べるものも食べず払った9両を返してくれと言うが、もう働けなくなった老人にその9両で食べていたと泣かれ、取り返すことができない。

仙吉は奉行所に訴え出るが、無駄だった。
備中屋に会わせろと言っていた仙吉は、偶然、勘定吟味方・平田(西沢利明)が話していることを聞いてしまった。
いずれは勘定奉行に出世が決まっている平田だが、望んで佐渡金山奉行へ望んで2年間赴任することになった。

それは金の横流しの相談だった。
まだ金が出る坑を、もう金は取り尽くしたといって奉行の平田が報告し、奉行の権限で廃坑にするが影では金を掘る。
金は佐渡の海産物を買うという理由で、平田の権限で船を出した備中屋が運び出す。

そこへ仙吉が土地を返してくれと言って、座敷に入ってきた。
仙吉は頭をこすり付けて懇願したが備中屋が拒絶すると、今聞いたことを言いふらすと言った。
そして仙吉は、備中屋の用心棒の森田源八(五味龍太郎)に捕えられてしまった。
「秘密を聞かれたのだから殺した方が」と言う備中屋に、平田は、隠し金山から金を掘るには隠し人足が必要だから、仙吉は奉行所に手を回して佐渡に送ると言う。
数日後、仙吉は佐渡送りとなった。

お咲は奉行所の前で、同心に訴状を手渡そうとしたが、無視される。
そこへやってきた主水は、お咲に訴状を渡された。
一応受け取って来た主水だが、同僚たちにその訴状は一度却下されたものだと言われた。

翌日、非番の主水はせんに散々な嫌味を言われながら釣りに出て、途中、鉄と合流した。
釣り場に行く途中、主水は奉行所の前で夜明かしをしたお咲を見つけて通り過ぎようとするが、鉄が「おーい、姉ちゃん!そんなとこで寝てると風邪引くぞお!」と大声を出した為、目を覚ましたお咲は「中村様!」と駆け寄ってきた。

3年もの間、あの土地で掘っ立て小屋でもいい、魚屋を建てて暮らすことを夢見て働いてきた土地を横取りした挙句、仙吉まで佐渡に送った。
奉行所の人間は何を見ているのか、お上に情けはないのかと、訴えるお咲に鉄は釣り糸に餌をつけながら、「その通りだ、奉行所の人間なんてもんはみんなろくでなしだ」と言う。

鉄は「気持ちはわかるが、まあ、あきらめなさい」と言うが、お咲は役人の中にも1人ぐらい、立派な方がおいでになるはずですと言う。
「無理だな、たがが同心一匹、何もできやしねえよ。ねえ、中村さん?」と鉄。

お咲はもう土地はいい、だが仙吉だけ返して欲しいと言うが、主水は答えない。
その日、人気のない場所に差し掛かった備中屋の籠の前にお咲が飛び出し、「殺してやる」と包丁で斬りかった。
しかし、森田に一撃され気絶してしまった。
長屋に帰った鉄が錠にその話をすると、錠は主水にも鉄にも憤慨した。
その頃、お咲はそのまま備中屋の屋敷に連れ込まれ、そこに平田が呼ばれる。

江戸の女ともしばらくお別れでしょうと備中屋は言い、良ければ仙吉から奪った土地に建てる別宅にお咲を囲ったらどうかと提案する。
「憎しみに凝り固まった女を次第になびかせる、男の本望だな」と笑う平田。
「何をなさいます、あなたは誰?!」と目を覚ましたお咲が叫ぶ。
平田は「わしが憎いか。お前のいとしい男を佐渡に送ったのは、このわしだものな」と言い、備中屋と相談して例の地所に建てている別宅にお前を囲ってやろうと思っていると告げた。
「お前もあそこに住めれば本望であろう?」と言いながらお咲の着物を脱がせる平田。

錠が備中屋に呼ばれ、裏口から棺桶をかついで出て行く。
備中屋の暖簾をひとにらみして、錠は行く。
長屋の錠の家では錠と鉄がうなだれていた。

そこへ主水がやってきて、「どうしたんだい、2人とも。浮かない顔してよ!」と言って水を飲む。
「おめえ、楽しいか」と鉄に言われて主水は、「楽しいってこたあねえけどなあ」とそばにある棺桶に座る。
そして、お咲が2~3日奉行所に現れないと言って笑った。
若い娘なんてのは、そんなもんだろうと笑う主水に、錠は「棺桶からケツどかせ」と言った。
「商売もんに腰おろしちゃ失礼だな」と笑ってどいた主水に、錠は「中見てみろよ」と言う。

棺桶を開けた主水の顔が凍りつく。
中には青白くなったお咲が入っていた。
「首をつって死んだんだとよ」と錠が言う。

だが、手首足首に縄目の跡、体は傷だらけ。
尋常な状態ではない。
錠は備中屋に棺桶を届けに行き、5両で遺体の始末を引き受けてきたのだった。
「着物の中にこれが縫いこんであった。中村主水様、だとよ!」と錠は言うと、主水に手紙を放り投げた。

そこには土地も仙吉も取り上げられ、平田になぶりものにされたのに2人に対して何もできない無念が書き綴られていた。
お役人の世界もお金次第というなら、何とかこの1両で仙吉を助けてくれと書かれており、錠が「紙の中にあった」と1両を見せる。
鉄、主水、錠はお咲を弔ってやった。

主水はその1両を持ち、この金を払えばあの土地はすっかり2人のものになるはずだった、この金で仕置きしてやれば2人とも浮かばれるだろうと言うが、平田は佐渡奉行として佐渡へ赴任することが決まってしまった。
備中屋は江戸だが、2人一緒に仕置きした方が面倒がない。
主水は一回だけ機会があると言った。

来月、囚人の佐渡送りがあるのだが、そこに備中屋も海産物の買占めの視察で一緒に行く。
そこに一緒に行けばいいと主水は提案するが、鉄は「冗談じゃねえや、佐渡へ?!たとえ千両積まれたって二度と佐渡へなんか行くもんかい!」と拒否。
錠は「よし、決まった!それで行こう、それで!」と立ち上がるが、鉄は「それで行け、それで行け、2人で言って来い。みやげは佐渡の笹餅がいい」と言って立ち上がってしまう。

翌日、中村家の食事時、主水を全く無視しながら食事をしているせんとりつに向かって、主水は佐渡へりつも連れて行ってやろうと言う。
喜ぶりつ。
出発はあさってだ。

喜ぶりつだったが、思うような旅行ではなく、段々機嫌が悪くなってきた。
船に乗り込んだ後、お茶ぐらい出ないのかと怒るりつに主水は船頭を呼んだ。
「船頭!」と言う声でやってきたのは鉄、そして錠だった。

「茶あるか?」と聞かれて、錠は「ねえよ」と言う。
あちらの町人は飲んでおりました!と怒るりつに、あるにはあるが1杯一分銀と言われる。
船頭にまでバカにされて、愛想がつきましたと言うりつ。
だが、船にいる虫を使っていた楊枝で仕留めた主水を見た森田は、主水を警戒する。

佐渡に着いた備中屋と平田はさっそく、廃坑にする坑の相談をし始めた。
主水は坑を見に来た。
ふらついた囚人が主水の足元で、水をこぼすと見張りの役人が飛んできて、「ばかもの!江戸から来た偉い方に何てことをする!」と言って棒で殴り飛ばした。
その言葉に1人の囚人が振り向く。

這うように走ってきたその囚人は、仙吉だった。
「お助けくださいませ!」と主水の足元にひれ伏した仙吉は、自分の名を名乗り、全く身に覚えもない罪でここにいると訴えた。
すぐに役人がやってきて仙吉を殴り飛ばして、連れ去った。

備中屋と平田の密談を床下で聞いていた錠は、2人が見ていた地図から廃坑にする坑を書き写してきていた。
それを見た鉄はおかしいと言う。
廃坑になる坑だが、この辺りで一番有望な、まだまだ金が出る坑のはずだ。
主水は金の横流しだと気づく。
森田は主水が金山を1日歩いていたことを怪しんでいた。

それを聞いた平田も備中屋も、もしかして主水は平田の政敵の密偵ではないかと疑り始め、万一のことを考えて始末してしまおうと言った。
坑道内で足を踏み外したと言えばそれで済む。
それとやはり、仙吉も始末した方が良いと言う備中屋。

翌日、仙吉はお解放しと言われ、坑道から出された。
喜んでついてきた仙吉だが、人気のない場所で森田に殺されそうになる。
どうせそうだろうと思った…、さあ殺せ!と座り込む仙吉だが、森田が刀を振り上げた瞬間、錠が飛んできた。
錠の姿を確認する間もないよう、錠が仙吉に当身をして気絶させる。

背中に錠の手槍が刺さった森田が振り返ると、鉄と主水がいた。
主水に向かって来た森田を、主水は一刀両断にした。

その頃、備中屋と平田は隠し金山とする坑道にいた。
平田を先頭に備中屋、番頭、そして2人の用心棒が続き、主水と鉄、錠も入り口が立ち入り禁止となっている坑に入る。
途中、備中屋の用心棒の1人を錠が後ろから刺し、用心棒は声もなく姿を消した。
また途中、埃が落ちてきて立ち止まった最後尾にいた用心棒を主水が刺し、今度は番頭が最後尾となった。

坑道を行く3人を上で待ち構えていた鉄が手を伸ばし、歩く番頭の頭をはさみ、グルリと一回転させる。
暗い中、進む平田と備中屋はついに金が見える壁までたどり着いた。
「金だ!」と言って走り寄る備中屋は、石を拾って平田に「金でございます」と見せるが、平田は「後の3人はどうした?」と訝る。
辺りを見回す平田と備中屋の耳に、主水、鉄、錠の笑い声が響く。

水溜りに主水の姿が映り、「3人とも死んだぜ」と言う。
「今度はお前たちの番だ」と鉄、その後ろには錠。
「貴様たちやっぱり、大目付の手先か」と言った平田に向かって主水が言う、「違う。仕置人だ」。

それを聞いた平田は主水に斬りかかって来た。
主水が刀を横に払うと、平田は倒れた。
恐怖でカンテラを落とした備中屋に、今度は鉄が指を鳴らしながら迫る。
背に壁を押し付けて備中屋は、「た、助けてくれ、金はやる」と叫んだが鉄は「殺しゃあしねえよ」と言うと、備中屋の肩の骨を外して反対側に持っていくと、袖をまくり上げた。
そして「墨」と言うと、錠が筆を渡す。

翌朝、大勢の男たちが並んで寝ている粗末な小屋で、「起きろ!仕事だ!」という声がして戸が開いた。
ぼろを身にまとった男たちがため息とともに起き上がったが、1人、寝ている男がいた。
備中屋だった。
「おい、1人足りないぞ」という声がしたと思うと、「そこに寝てる奴がいるぞ」と言って役人がやってきて備中屋を蹴飛ばした。
「起きるんだよ!」。

役人は「こんな奴いたかな」と言って袖をめくると、そこには佐渡島流しの刺青があった。
「間違いない」。
「要は頭数いりゃいいんだ」。
「引きずり出せ!」

備中屋は悲鳴をあげながら連れて行かれた。
「嫌だ、嫌だ!わしは咎人じゃない。わしは備中屋だーっ!」
叫ぶ備中屋は張り倒された。

「嫌だああーっ!」
備中屋は階段を登ろうとして、引き戻される。
階段の上にいた主水がそれを見て言う。
「備中屋、もうあきらめな。おめえは今から死ぬまでここで働くんだ」。
背中に桶を背負わされ、水を運ぶ備中屋は動きが遅いと役人に殴られる。
「来る日も来る日も水を汲んで働くんだ。そして一生かかってじっくりと考えろ!人間てものはな、自分ひとり座る場所があれば十分なんだってことをな!」

船の中で手をこすり合わせながら、仙吉はつぶやいていた。
「帰れる…、江戸へ帰れる…!」

船の中ではまた、りつが何もいいことがなかった旅行で主水に文句を言っていた。
家に戻ったら母上に聞いてもらいます!と言って出て行くりつ。
「頭来ちゃうなあ」と言った主水は、鉄と錠に茶を持ってこさせた。
茶を飲んだ主水にすかさず鉄が「一分だぜ」と言って手を出し、主水が盛大に茶を吹く。



前半は仙吉とお咲の悲劇、後半は佐渡。
今回は半次もおきんも出ませんが、密度が濃~い。
今回、錠は相当怒ってるけど。
そこが錠の人の良さ。

仙吉とお咲に主水は冷淡に見えるけど、主水にもどうしようもできないのよね…。
鉄もそれがわかってるから2人は冷静なんだけど、錠は腹立てちゃう。

「あきらめなさい」とか淡々と言って、錠には「八丁堀のやろう、なんて答えて良いかわからずに、おたおたしてやがった。それにしてもついてねえんだなあ、そのやろうは。」と鍋を作りながら半分笑い。
錠が「そのお咲って娘はどうしたんだ?」と聞く。
「知らん。まあ半年もすればケロッとするだろう」という鉄の言葉を聞いた錠、とっとと、お鍋を片付け始める。
怒った!

「おいおいおい、何の真似だ?」と言う鉄に錠は「てめらの釣った魚なんぞ、食いたくなくなった!」。
怒ってます!
それで、「帰ってくれ」と言って座っている鉄を追い出すと、鉄、「何怒ってんだ?」。
何怒ってんだって、錠が怒るのはわかってるでしょうに~。

「いいから帰ってくれ!」って追い出されると、開いた窓から鉄ちゃん、ま~だ顔出して、「何怒ってんだよ?」。
からかうなって。
錠、ますます怒って「うるせえ!」ってものを投げつける。
怒ってる!
でもお咲が死んだら、今度は鉄もくら~くなっちゃう。

何にも知らなくて、へらへらっと来た主水も愕然としちゃって。
5両でちゃんと葬ってあげて、1両で仕置き引き受けて。
お咲の墓標には「受難仏 俗名 お咲」ってちゃんと書いてあった。

それで、2人の供養にお咲の1両で仕置きしてやろうって言ったら、錠はまたまた怒る。
仙吉はまだ生きてると言うんだけど、主水無言、鉄「おめえは佐渡を知らねえからそうこと言うんだ。…佐渡は…地獄だ」と。
5話、19話みたいに鉄の佐渡話、再生。
鉄が「それはそうと小判1枚じゃなあ」、百両もらってもいいぐらいの仕置きと言うとまたまた錠、「嫌なら止めろ。俺は相手が誰だろうと殺りたい奴は殺るぞ!」と怒ってる。

平田が佐渡に行っちゃうと言われて、「じゃあどうすりゃいいんだ!できねえってのか!」。
錠、怒りっぱなし。
そして今度は鉄が19話と同様、「絶対行かない!」って言い張る。

でもあれほど言い張ってたけど、鉄ちゃん、船にちゃんといてくれた。
おー、いたいた!
この辺、どーなったんだかよくわからないけど、とにかくちゃんといてくれた。
それで鉄、佐渡を良く知ってるから大活躍。
廃坑の坑もおかしいし、迷ったら出られなくなるという坑道もネズミの穴まで知ってると案内。
1年持たないって言ってたけど…、5年もここで暮らしたんだね、鉄。

平田たちが行く場所を写して来た錠、字の読めねえおめえがよく写してきたな、と鉄。
それで錠の描いた図がすごい簡潔なの。
それを見て鉄が、「おい、八丁堀これが字だってよ、ははは」って指差して笑うの。
からかうなって~。
でも錠、これには怒らない。
自分のことには怒らない。

鉄っていつも相当、口は悪いけど鉄って嫌な感じは受けない。
憎まれない。
人間的な魅力とか性格なんだろうけど、人を見下してないからなんでしょうね、きっと。
鉄、主水、錠…、いい仲間だな~。

森田が役人なんてものは金を握らせれば、下は上を見習う、って平田を見る。
その途端、平田が殺気立つ。
森田って、主水の資質を見抜き、できる!と警戒してたので、平田との関係とか、この辺り森田でもうちょっと話が膨らむとおもしろかったのに。
逆に詰め込めないなら、この辺、期待しちゃう流れはない方が良かったかも。
錠にあっさり刺されちゃうし。

五味さんも迫力ある風貌で、必殺で良く悪役やってくれましたね~。
浜田寅彦さん、この方も悪役常連さんでしたけど、武士ではなくて商人が多かった。
たま~に武家の隠居みたいな役だったり、良い人役だったりもした。

西沢利明さん、この人もバカ殿、バカ侍が似合う人。
菅貫太郎さんだともうちょっと凶暴ですね。
しかし、平田、憎しみで一杯の女をなびかせるのは男の本望って…、悪趣味ですこと。
楽しいですか?
異常ですよ?
う~ん、何て仕置きしがいのある人たち。

今回の仕置きは備中屋は佐渡で仙吉の代わりに一生働かされるという、殺されるのも怖いけど、これも「生地獄」だな~という仕置き。
相当の暮らしをしていた備中屋には、悪夢というか何と言うか。

仙吉は平田がお解放しの命令出してるから、帰れるんですね。
ただ、佐渡の方ではまだ仙吉の解放しがわかってないから、人数合えばいいやって備中屋が代わりに入っちゃったってことですか?
寝る場所もそんなに厳密に決まってないみたいだし、人の事なんかあんまり構っていられなくて、周りの囚人も「こんな奴いたっけ」程度でOK?
平田は閉山した坑道の中で、長い間、行方不明扱い?

船の中で江戸に帰れると歓喜で震える仙吉。
だけど戻って待っているのは、お咲のお墓。

しかし、主水の中村家での扱いはひどい。
一家で一番小さい魚。
食事中、無視!

ここらでひとつ、思い知らせてやろうと思った主水は、「りつ!」と声をかけて佐渡への旅行を提案する。
主水はいいが、佐渡に行くには旅費が必要だと鼻で笑うせん。
主水は、りつの旅費は奉行所に出させる。
そのぐらいのことはできるわ、って感じでたまにはゆっくり、りつに羽根を伸ばしてもらおうと言う主水。

「りつ、お茶を淹れなさい!」と茶碗を出すと、りつは「はい!」と素直に茶を淹れる。
口を開けてりつと主水を見るせん。
おお、形勢逆転!
しかし主水は昼間はお役目、夜は備中屋に接近する為に宴会、と、りつの相手ができない。
りつ、どんどん不機嫌になる。

船も備中屋が一番良い席。
町人にペコペコするなんて!と怒るりつに主水はあれぐらいになると奉行とも親しいんだから、と言う。
情けないと言い捨てて、りつは船に乗る。

いや~、ラストシーンの後、家に戻ったりつがせんに散々訴えて、せんがそれみたことかと嘲笑い、2人の主水への態度が一層きつくなるのが目に見える~。
備中屋への主水のセリフが、何とも言えず深くてカッコイイ。
「人間てものはな、自分ひとり座る場所があれば十分なんだってことをな!」
せんあたりだと、向上心がない!と怒りそうです。

馬は奇跡の復活をしたが トウカイテイオーと田原成貴

1993年12月26日、有馬記念。



前年、「帝王」こと、トウカイテイオーは人気を背負いながらこのレースで敗北。
勝ったのは逃げ切ったメジロパーマーだった。
自分も友人も馬券を握り締め、「何ーっ!」と叫んでいた。

私はトウカイテイオーの馬券は必ず持っていたので、テイオーが勝つ時は儲け、負ける時は損していた。
結構やられたりしていたけど、この馬は好きだった。
遠めでもわかる、あの独特の歩き方、体が柔らかいというのが納得のあの歩き方が好きだった。

骨折が判明し、1年の長い休養に入った。
そして復帰がいきなりこの大レース、有馬記念。
普通は2回ぐらい、他のレースに出て調整して臨むもの。

この有馬記念には、その年の菊花賞馬・ビワハヤヒデ、ダービー馬・ウイニングチケット、去年の優勝馬・メジロパーマー、テイオーの次の年の菊花賞で無敗のミホノブルボンを破って勝ち、後に天皇賞を2つ勝つライスシャワー、天才・武豊が乗ってオークスを勝ったベガ、別の年のジャパンカップ勝利馬となるレガシーワールドなどそうそうたるメンバーだった。

トウカイテイオーは「皇帝」と呼ばれたシンボリルドルフを父に持つ超良血であり、無敗で皐月賞、ダービーを勝った馬だった。
しかしダービー後に骨折し、翌年復帰戦は勝ったものの、春の天皇賞では距離の適正もあり、メジロマックイーンに敗れた。

その後、秋の天皇賞では「一番人気の馬は来ない」というジンクスは破れなかったものの、その後の外国馬を相手のジャパンカップでは見事に勝利。
しかしまたこの有馬記念で骨折。
トウカイテイオーは、栄光と挫折の連続の馬だった。
だから、テイオーはねえ…、去年も負けたし、今年も長期休養明けだし…、という4番手評価に甘んじた。

それがこのレースですよ!
目の前で起きたことが信じられなかった。
うそでしょ~?!
トウカイテイオーの馬券は持っていたけど、好きだから無事に走ってね、ぐらいの気持ちでいた。

乗っていた騎手は、田原成貴。
涙で「馬自身が克服して、常識を覆す勝利を得た、自分ではなく馬自身が獲得した勝利」と表現した。
泣かせていただきました、ほんとに。

ねえ…。
田原さん…。
その後のあなたの言動は「?」と思うこともありましたが、この有馬のあなたには本当に感動しました。
8年前、調教師になったあなたが覚せい剤で逮捕されて、競馬界を追放された時はガックリしましたよ。
そして、現在、酒井法子の将来を暗示するような再逮捕。

ねえ、もう…。
この時感動した私は悲しいですよ。
テイオーの奇跡のレースが、何だかなかったような扱いされるのも悲しい。
覚せい剤とか薬物中毒って本人のみならず、その人の回りにも、その人を好きだった人にも、ぜ~んぶ悲しい思いをさせるんだと思ったですよ、ほんと。


「怪談レストラン」 3回目

昨夜の「怪談レストラン」。




前菜が切ない涙の「じゃ、バーイ」。
毎回、前菜はアコたちの身の回りで起きた不思議な出来事、という形式らしい。

先週はいじめっ子に仕返しした飼い猫の話。
猫がいじめられっ子に化けて、いじめっ子を引っかき、恐怖に陥れ、「今度いじめたら殺す」と言う。
鍋島猫騒動、猫の恩返しでしょうか。

まー、家にも猫がいますけど、仕事は「かわいい」だと思っているので、元気でいてくれればそれでいいです。
別にバッタとかセミとか、取って来てプレゼントしてくれるとか、そういうのもしてくれてなくていいですよ。

前菜の「じゃ、バーイ」。
これ、もうずいぶん前ですけど、結婚式場に向かう途中の花嫁さんが事故に遭ったお話から来ているのかなあ、と…。
新聞に載ったんですね、確か。

本当に痛ましいなあと思ったんですが、当時、「待ってた新郎も、みんなかわいそう」「この花嫁さん、なくなっても式場に来そうだよね」と言っていました。
事故はどれも痛ましいけれど、これは披露宴に向かう途中の花嫁さんというシチュエーションが、とても悲しい。
その数年後、全然別の話で、ある式場で、いないはずの花嫁が出没するという噂を聞きました。
「披露宴に向かう途中で事故に遭った花嫁さんが来てるらしい」。

それを聞いた時、ああ、やっぱりそういう噂が流れる話になったか…と思いました。
と、同時に、「やっぱり来たいよね。誰もがそう思うんだよね」と。
昨日の「じゃ、バーイ」は、子供が囲碁の大会に来る話でした。
霊が本当にいるとかいないとかじゃなくて、その、「来ちゃう」気持ちがわかる。
悲しい話。

メインの「真夜中の王女」は仮死状態の王女の棺桶が安置されている教会で、見張りについた家臣が誰一人、戻ってこない。
ある日、なくなった父親の為に毎日祈りを捧げている若い青年が、命ぜられて見張りにつく。
その前に1人の老人がやってきて、今日はロザリオを手放さずに棺桶の陰に隠れていろと教える。
真夜中に王女が起き上がり、怪物化して見張りを探すが、1時の鐘が鳴ると元の棺桶に戻る。

王が唯一生還してきた青年を見て、もう1日見張りについてくれと頼む。
その日も老人がやってきて、今度は祭壇の陰に隠れていろと言う。
12時の鐘が鳴ると、昨夜と同じ、王女は起き上がって青年を探すが見つからず、また戻っていく。
朝になって戻った青年に、もう1日だけ行ってくれと王が頼む。

…いーかげんにして。
こんな王様、嫌だわ。
戻ってこなくなるまで延々行かせそうだ!けど、しょうがないんでしょうね。
王様は権力者。

最後の日、老人は青年に、悪魔は3日、人を食べないと飢えて出て行くと教える。
それで、ちょっとどこに隠れろと言われたのかは見逃しちゃったんですけど、とにかく青年は隠れた。
…いーかげんでごめんなさい。

しかし、その夜は王女が徘徊している時、ロザリオを落としてしまった。
飢えた悪魔は王女から離れて、姿を現す。
たちまち見つかって、ピンチ!
とっさにロザリオを拾い上げ、目を閉じると、1時の鐘。
王女は元のかわいい王女に戻り、王は青年と王女を結婚させた。

…嫌な王だけど、まあいいか。
そして老人の正体は、予想はつくけど、青年の父親。
青年が毎日祈りを捧げてくれているおかげで、苦しまずに済んだと言って消える…というお話。

王女をアコちゃん、青年をショウが演じている。
悪魔が離れた王女がメガネのアコちゃんになったのは、ちょっと笑ったな~。
でもメガネがないと、誰かわからないかもしれないし。

デザートはアコ、ショウ、レイコが百物語をしている形式で、今回はある池の近くで若い女性を乗せたタクシーの話。
これ、途中までは、「ココだけの話」の「タクシードライバー」でも使われてる話でした。

目的地に着いて、家からお金を取ってくると言って降りたお客が戻ってこない。
しかたないから運転手さんが家に行くと、そんな人は来てないと言う。
家に入ったお客の特徴を言うと、死んだ娘だと。
この話の場合は、池で入水自殺した娘さん。

オーソドックスなお話なんでしょうね。
さすがに詐欺じゃなくて、運転手さんがあわてて車に戻ったら車の中が水で一杯。
池で自殺した幽霊が「池に戻ってくれ」って言う。

んぎゃー、運転手さん溺れた?
連れて行かれた?
それとも単に水浸しで済んだ?

でもこういう怪談話で怖がっているのって怖いけど、まだ平和かも。
タクシー強盗とか、そっちの方が現実的で怖くて警戒しなきゃいけない。
そんな世の中より、怪談で怖がっている方がまだ良いよね。




お化けギャルソン、ノリノリ~♪


鬼寅だ 20話 「狙う女を暗が裂く」

必殺仕置人20話「狙う女を暗(やみ)が裂く」

出刃包丁を手にした男・寅吉(夏八木勲)が料亭の廊下を歩いてくる。
騒がしい座敷から出てきた芸者・蝶丸(真野順子)が男を見て立ち止まる。
「寅吉…」。
その途端、男は蝶丸を持っていた包丁で深く刺した。
「蝶丸」。
恐怖と驚愕のまなざしで寅吉を見た蝶丸はすぐに崩れ落ちた。

座敷から廊下を覗いた太鼓持ちが悲鳴をあげると、芸者たちが出て来て次々悲鳴をあげて逃げ出した。
奥から旦那衆が3人出て来ると、寅吉は旦那衆を座敷に追い詰めた。
「お、お前は誰なんだ!」という叫び声を聞いた寅吉は「誰?だと?」と目を見開いた。

奥に逃げた和泉屋が刺され、逃げた伊勢屋が廊下で刺された。
残る1人、坂倉屋は外に逃げた。
寅吉は追ったが、姿は見えず、役人の呼子の音がした。

翌日、岡っ引きの死体が草むらに放置されていた。
「これで何人目だ?」
「まず芸者、和泉屋、伊勢屋で岡っ引きがこれで2人、夕べから5人だ」。
「鬼だ。あいつは寅吉じゃねえ。鬼寅だ」。
人々は寅吉を鬼寅と呼んでいた。
「鬼寅か」。
野次馬の中に鉄がいた。

その夜、おきんは鬼寅が怖いので家に来てくれと錠を誘っていたが、錠は取り付く島もなかった。
近くに鬼寅が潜んでいるらしい。
では、おきんは自分が錠の家に泊まると言ったが、錠は鉄に頼めと言う。
そこへ戻ってきた鉄がにこやかに承知したが、今度はおきんが拒否した。

憎まれ口を叩いて戻ろうとしたおきんに、鉄は見て来た遺体の話をした。
鬼寅は板前の腕もたいしたもんだったらしいが、人間の料理の方もたいしたもんで、ズタズタだと言う。
血の気が引いたおきんだが、その時、表を役人たちがやってきた。
鬼寅がこの辺りに逃げ込んだと、役人たちは長屋に上がりこんで調べ始めた。
錠の家の前で見ていた鉄たち3人だったが、おきんは役人が土足で家に入るのを見て飛んで帰っていった。

おきんの家の押入れから何から何まで引っ張り出して、役人たちは出て行った。
怒ったおきんだが暗闇の中で、「めっちゃくちゃにしやがって…、これはないよなあ、これは」とブツブツ言いながら片付け始めた。
口をとがらせながら着物を畳み始めたおきんの前に、血のついた包丁が突き出された。
目を丸くしたおきんが逃げようとすると、「騒ぐな!閉めろ!」と言って鬼寅が現れた。

戸をしっかりと閉め、しんばり棒をして開けられないようにした鬼寅は「声を出すな。俺にとっちゃ何人殺ろうと同じことだ」と言って包丁を構えた。
おきんは怯えながら、黙ってうなづく。
だが鬼寅も腹に傷を追って出血していた。

その頃、1人難を逃れた坂倉屋は襲われる理由が全くわからないのだが、だからこそ余計怖ろしいと怯えていた。
坂倉屋は鬼寅に賞金を出した。

鬼寅はおきんに人が怪しむので、灯りをつけるように命じた。
おきんは手が震えて、なかなか火がつけられない。
「貸せ!」と言って鬼寅がつけようとするが、傷が痛むのかやはりなかなかつけられない。
痛みをこらえている鬼寅を見ていたおきんは火打石を取り、自分が灯りをつけた。

部屋が明るくなると鬼寅は「すまねえな…」と静かな声で言った。
うつむく鬼寅をおきんはじっと見つめた。
「姐さん…、何て言うんだ?」
「おきんだよ」。

「おきん、さんか」と言う鬼寅におきんは「どうして人なんか殺ったんだい」と聞いた。
顔を上げた鬼寅は、「何?」と聞き返した。
「どうして鬼寅なんて言われるほど、人を殺ったんだい?」と聞くおきんに「余計なこと言うんじゃねえや!」と鬼寅は声を荒げた。
「余計なこと言いやがると…」と鬼寅がおきんに包丁を突きつけた時、外から鉄の「おきん」と呼ぶ声がした。

鬼寅は、おきんを奥に連れて行った。
おきんが答えないので、鉄は障子に穴を開けておきんの家を覗いた。
鉄は戸を開けようとして開けられないことに気づき、「いねえのかな」と言った時、奥からおきんの「どうしたのさ」という声が聞こえてきた。
鉄は坂倉屋が鬼寅を見つけたら金5両、捕まえたら30両の賞金を出したことを話した。

いい儲け話だと鉄は、「まさかおめえんところに隠れてるんじゃねえだろうな」と笑い、酒でもおごるから自分のところに来いと言った。
姿も見せずにほっといてくれと言うおきんに鉄は気を悪くして、怒って帰って行った。

鉄が帰ると鬼寅はおきんに、自分がいることを知らせようとしただろうと包丁を振りかざしたが、関係のない者は殺したくないと言った。
自分にはまだ殺らなければならない者がいる。
それを殺るまでは、頼むと言うと、傷が痛むのか、鬼寅は前かがみにうずくまった。
おきんは傷の手当てをしなければいけないと言い、台所にある焼酎を取りに行こうとした。

足を押さえる鬼寅に、「焼酎取りに行くだけじゃないか」と言ったおきんは「嘘だと思うんなら一緒についてきたらいいだろう!」と言って焼酎を取りに走った。
倒れた鬼寅の前に、焼酎を持っておきんは戻ってきた。
おとなしくなった鬼寅に、おきんはさらしを切り裂き、傷の手当てを始めた。

鉄は家で寝転がりながら、おきんの態度に腹を立てていた。
「そんなに怖ろしけりゃ一晩中起きてりゃいいじゃねえか。今頃っからうちん中、真っ暗にして…」と言った鉄の、団扇を仰ぐ手が止まった。
鉄はおきんの家の前にいた。
さっき、消えていた灯りが今はついている。
おかしい。
そう思った鉄はおきんの家の、さっき自分が開けた穴を覗き込んだ。

おきんの姿は見えず、鉄が首をかしげた時、男のうめき声が聞こえた。
耳を寄せた鉄におきんの「少し痛むだろうけど、我慢するんだよ。こうしてさらしでしっかりきつく巻いておけば。何だよ、しっかりおしよよ、鬼寅と呼ばれたあんたがこのぐらいの傷で…」と言う声が聞こえてきた。

鉄は錠のところに行き、おきんのところに鬼寅がいると知らせた。
「鬼寅が?!」
驚いた錠が「どうする?!」と聞いたが、鉄は「どうもこうもねえだろう。鬼寅は今まで5人も人を殺してるんだ。そのうちの1人は女だ。女を殺すことぐらい、へとも思っちゃいねえだろう」とおきんの家の方を見ながら言った。
それを聞いた錠が飛び出していこうとするが、変に手を出したらおきんの命が危ないと鉄は止めた。
おきんの家に向かった鉄と錠は、家の前で錠は裏手に回った。

鬼寅はおきんに礼と詫びを言い、自分は飛騨の高山の出身だと言った。
おきんも高山で、2人の故郷の村は近かった。
「道理でどこかで会ったような…」。
「じゃあ、餓鬼の頃、本当にどこかで会っていたかもしれない」。
「祭りなんかで…」と2人は話し合った。

「でも寂しいところだったな」と言う鬼寅に、おきんはこの歌を知っているかと聞いて歌い始めた。
鬼寅も歌い始めた。
2人が歌い始めた時、しんばり棒をはずして鉄が土間に侵入した。
裏口から入った錠と鉄がふすまを開けようとした時、おきんが気配に気づいた。
手槍を構えた錠と、鉄が踏み込んだ時、鬼寅は「ちくしょう、てめえ。やっぱり!」とおきんに包丁をつきつけた。
「ち、違う」と言うおきんだが、鬼寅は鉄と錠に「近づいてみろ!この女の命はねえ!」と叫んだ。

鉄は鬼寅に無駄な殺しはやめろ、と言った。
この辺は役人で固められている。
自分はただ、おきんを助けたいだけだと。
だが、鬼寅はさきほどの鉄の賞金の言葉を聞いていた。

しかし鉄は鬼寅もさっきから聞いているとただの人殺しじゃなさそうだ。何か理由があるんだろう、場合によっては逃がしてやってもいいと持ちかけた。
その時、おきんが「ほんとだね!」と言う。
鉄が目を丸くし、錠と顔を見合わせる。

話すことなど何もないと言う鬼寅に、「このままでは鬼と呼ばれて捕まってしまう。その前に理由だけでも言ってくれ」とおきんは言う。
殺すなら殺してもいい、だがその前にどうして鬼寅になんかなってしまったのか聞きたい。
そう言うおきんに、鬼寅は話し始めた。

ことの始まりは1年前。
柳橋で板前をやっていた鬼寅は坂倉屋、伊勢屋、和泉屋から名指しで呼ばれた。
これから先、ひいきにしてもらえればと、鬼寅は懸命に腕を振るった。
その座敷に芸者の蝶丸がいて、鬼寅はそのあでやかな姿に釘付けになった。
祝儀を貰い、酒を振舞われた鬼寅が帰る時、橋の上に蝶丸がいた。

声をかけた鬼寅は、蝶丸に「板さんって真面目なんですってねえ」と聞いた。
親方に聞くと鬼寅は酒も博打もやらないと言う。
このまま少し付き合ってくれと言った蝶丸だが、家で鬼寅を待っている人に悪いかしらと言う。
誰も家で自分を待ってなんかいないと言う鬼寅に、蝶丸は男はみんなそんなことを言うんだと絡んだ。

鬼寅が「何かあったんですか?」と聞くと、蝶丸は「嫌なことばっかり…」と言った。
「自分で何か力になれることがあれば」と言う鬼寅の手に自分の手を重ねて蝶丸は、「ありがとう」と言った。
川を見ていた蝶丸は鬼寅に抱きついて、「もう嫌」と言った。
しかしその夜だけで、蝶丸とは鬼寅は会えなくなった。

鬼寅の蝶丸を想う気持ちが頂点に達した頃、蝶丸から鬼寅に連絡があった。
そこで聞かされたのは、蝶丸が借金のかたに身請けされる話だった。
この前の晩もそれでもめたと言う。
蝶丸は自分のことを忘れてくれと言うが、鬼寅は店を持つ為に貯めた金と親方に言って百両用意すると言う。

それを聞いた蝶丸は、5百両用意してくれるかと聞いてきた。
5百両と聞いた鬼寅は、さすがに下を向いた。
鬼寅は一緒に逃げて、高山に行こうと言ったが、蝶丸はすぐに捕まると言う。
鬼寅は蝶丸を身請けする相手に会って頼んでみると言うが、その時、数人の男が来て鬼寅を外に連れ出した。
男たちは鬼寅を殴り飛ばし、外に追い出した。

柳橋にいられないようにしてやると言われた鬼寅は、数日間、潜んでいたが、蝶丸が身請けされた様子はない。
何とか急場をしのいでくれたのかと思った鬼寅は、上方へ旅立った。

鬼寅は1年の間、死に物狂いに働いた。
そして鬼寅は戻ってきた。
蝶丸がまだ座敷に出ているのを知った鬼寅は喜び、5百両のあてができたと報告した。
堺である商人が鬼寅に店を出してやろうと言ったので、鬼寅が事情を話したところ、堺に根を下ろすことを条件に金を貸してやると言ったのだ。

すると蝶丸は、「あんた、何か考え違いをしているんじゃないのかい?」と言った。
蝶丸は「こうなったら何もかも白状してしまうけど」と言って酒を飲み、「5百両、そうでしたね。確かに5百両って言ったっけ?」と笑った。
鬼寅が蝶丸と会った最後の日、鬼寅が追い出された後にまだ一幕あったのだと蝶丸は言った。

蝶丸の名を呼びながら鬼寅がつまみ出された後、坂倉屋の番頭と蝶丸は笑いながら座敷に戻った。
座敷には坂倉屋、伊勢屋、和泉屋がいた。
「やった、やった」
「役者の芸はなくとも、本物の色香だ」
「蝶丸の魅力、朴念仁の板前を狂わしたな」と言い、蝶丸に3人は百両を与えた。

真面目な板前の鬼寅を夢中にさせたら、百両やると3人は蝶丸に約束していたのだった。
蝶丸は百両貰い、4人は座敷で笑い転げた。

「とんだ茶番だったぜ…。さぞかしおもしれえ見世物だったろうぜ。やっきになってたのは、俺だけだったんだ」と言った鬼寅の目には涙が光っていた。
うつむいて泣く鬼寅をおきんは見ていた。

ところが和泉屋たちは鬼寅のことを、覚えていなかった。
何故、自分たちが襲われるのか全くわかっていなかった。
鬼寅は泣いた。

そこまで聞いた鉄は錠に、棺桶をもってこいと言った。
鬼寅を運んで逃がす。
錠が棺桶を取りに行こうとした時、表の戸の穴から目が覗いていた。

錠が戸を開けると岡っ引きが走っていった。
たちまち「御用」の提灯が集まってくる。
「俺を突き出してくれ」と言う鬼寅に鉄は、「できねえ。それはできねえ」と言った。

「なら、おきんさん。外に飛び出して、鬼寅がいると怒鳴ってくれ。俺がぶち殺されてからじゃ、5両の金はもらえねえんだ」。
「嫌だ!」と叫ぶおきんに「世話になったあんたに、俺ができる礼はこれぐらいしかねえんだ!」と言って鬼寅はおきんの手を取って外に飛び出して行った。

おきんに包丁を突きつけ、「近づくとこの女の命はねえ!」と叫ぶ。
同心は「構わない、女もろとも斬れ!」と命ずる。
おきんに包丁を突きつけながら、鬼寅は耳元で「今度生まれてくるなら、あんたのような…女の人に」と言っておきんを突き飛ばした。

鉄と錠とおきんが見ている前で、鬼寅は同心に叩き斬られた。
鬼寅が倒れるのを見たおきんは、鬼寅に駆け寄る。
しばし声もなく鬼寅を見つめていたおきんは、目に涙を溜めながら「鬼寅は…、あたしが見つけたんだ!」と叫ぶ。
「鬼寅は…、あたしが見つけたんだ!だから5両は…!」と叫んだおきんは、死んでいる鬼寅の側で「あたしが見つけたんだ」と泣き叫ぶ。

鉄と錠は坂倉屋へ向かう。
鬼寅を殴った番頭と坂倉屋は鬼寅が殺されたのを聞いて、安堵していた。
だが何で鬼寅が私たちの命をねらったのか、わからない。
いずれにしても旦那は運が良かったんですよ、と言う番頭にあの人たちの話は止めましょうと言い、柳橋に鬼寅を斬った役人も誘って繰り出す話をしていた。
その時、鉄が廊下に出ようとした番頭を捕まえようとする。

「何だてめえは!」と鉄を押さえつけた1人と番頭の骨を鉄が外す。
そしてもう1人、座敷に倒れ込んだ1人の骨も外し、坂倉屋に迫る。
振り向いた鉄に残る3人は怯え、あわてて廊下を走る。

その3人が庭に下りた時、錠が前を塞いだ。
1人刺し、もう1人も刺す。
逃げる1人をジャンプした錠は飛び降りざま、首筋を刺す。

座敷で坂倉屋は、鉄に追い詰められていた。
指を鳴らして迫る鉄に、「お前は誰だ」と坂倉屋が聞く。
手を坂倉屋の前にかざしながら鉄は、「鬼寅だ」。
「ええっ?!」

仰天した坂倉屋の肩を掴んだ鉄は、頭を掴むと後ろに回す。
グキッという音がしてもう一度、鉄は首を回す。



今回は主水がお休み。
主水がいたら、もうちょっと展開が違っていたんでしょうね。
半次も名前だけは出るけど、姿がない。
おきん姐さんメイン。

鉄ちゃん、おきん姐さん誘ったら「何だお前、指ボキボキさせるくせに自分で自分の足が直せないのか」って言われちゃった。
「俺は外すのはいいが、治すのはダメなんだ」って言い返す。
そ、そんな。

おきん姐さんの啖呵とか、気風の良さ、ほんとに見てて楽しいんだけど、今回は威勢良く、家の中を荒らしていった役人に「ばかやろーっ!てめえらみんな仕置きするぞ!」って怒鳴ってました。

鬼寅がおきんを人質にしてると鉄が言うと、錠が口をパクパクさせながら「あんぐ、あぐあぐ」と意味不明のことを言う。
というか、言葉にならない。
すると鉄が、「わかった、わかった、興奮するなよ!」。

錠、かわいい。
沖さん、ほんと、いいですね。
おきんが泊まるのも自分が泊まるのもダメだけど、おきんは大事な仲間なんだなあと。

でも錠、鬼寅が上方へ言ったと聞くと「ふうん、何しに行ったんだろうな」って。
あのね、錠。
それはね。
と思ったら、鉄が「ばかやろ、どこに耳つけてんだ。金作りに行ったんじゃねえか」って言ってくれた。
すると、今日のおきん姐さんは、「やかましいよ。それで金はできたのかい?」とピシリ。

鬼寅が蝶丸に騙された話を聞いて、錠は黙っていた。
鉄にとっては良く聞く話なんだろうな。
「こんなことで人生踏み外しやがって、ばかやろ」とイライラ、むかむか、騙す方に対してもイライラ、むかむか。
すごい顔をしかめてる。
お前の人生くれてやるほど、価値のある奴らじゃないだろうが!って鉄なら言ってくれたんだろうなあ。
鬼寅が自分を突き出してくれと言うと、「それはできねえ!」ってキッパリ。

鬼寅、かわいそうだなあ…。
堺で店持たせてくれる、5百両出資してくれるって人が出てくるぐらい、腕も良くて真面目なのに人殺しになっちゃって…。
おきんと早く知り合ってれば、こんなことにはならなかったのに。
もう少し早く知り合ってれば、殺しなんてしなくて済んだのに。

挙句の果てに「鬼」と呼ばれるようなことになっちゃった。
鬼寅とおきんの、極限状況でほのかに寄り添った思いは無残に終わる。

その時の、「鬼寅はあたしが見つけたんだ!」って言葉は、おきんが鬼寅の仇を討つ決意で5両、仕置き量として受け取る決意の叫びですよね。
それと「本当の鬼寅の優しい姿は、あたしが見たんだ」って意味もあるかと思いました。

鬼寅を騙したのはもうほんと、ひどいけど、追い出す時にあんなに殴るのもひどい。
もっとひどいのは、覚えてないこと!
最後まで思い出さないこと!

蝶丸は「寅吉」って言ってるから、自分がしたことはさすがに覚えてるんですね。
あんなこと言わないで、もう会わないにしてもあんな真相暴露しないで、もっと夢のある別れ方してやれば良かったのに。
その方がお互いの為だったと、ほんと、思う。

鉄が「鬼寅だ」って名乗ったのは、ここにいるのは鬼寅だって、鬼寅の思いを晴らしに来たようで、仕置人・鉄らしい。
同時に、鬼寅は死んでなんかない。
お前を殺すまで鬼寅は死なないよ、鬼寅は1人じゃないんだと言って、相手を恐怖させてくれた。
鬼寅に頼まれた男じゃなくて、本人が来たと。
どうせ覚えてないんだから、正体不明の鬼寅に最期まで付きまとわれるってことでいいでしょ。

真野順子さんというと、欽ちゃんとおもしろい夫婦やってるイメージだったからこの悪女ぶり、妖艶さにちょっと驚き。
夏八木さんはレギュラーで出てほしいような迫力。

しかし、仕置人たちが4人も住んでるあの長屋、楽しそうだなあ。
それでずっと、「鬼寅」って言ってる私。
やっぱり「寅吉」って言うべきだったかも。
私もひどい。

コレラには梅干しなんだろうか 「仁 -JIN-」 第3話

「仁 -JIN-」
第3話。

コレラことコロリで江戸はパンデミック状態。
歴史に介入しないよう、自分の現代医学の知識や技術を使うまいと思っていた仁だったが、喜市を始め、長屋から洪庵の弟子まで患者を治すことに必死になる。
緒方洪庵以下、門下生も協力。
仁の指示通り、治療を開始し、大勢の人を診る。

仁はコレラ治療に最も有効だと、当時の江戸にはない「点滴」の道具を作らせる。
江戸時代には見たことも聞いたこともない点滴だったが、効果を発揮。
龍馬も遺体を埋める穴を掘り、石灰を片手に感染防止に協力。
コレラとの戦いは終わりつつあった。

だが長屋で龍馬、咲と話していた仁についにコレラが襲い掛かる。
うずくまる仁に駆け寄る龍馬、咲。
仁は龍馬に「為すべきことをなさってください。国の為に」と強く言う。
それは龍馬がこれからの日本に必要な人間であることを知っている仁の、強い願いだった。
仁の強いまなざしに竜馬はうなづき、消毒用の焼酎を頭からかぶって走る。

龍馬はこれまでは何かを成し遂げるには、どこかの組織に所属して、仲間が必要だと思っていた。
そして、どこも自分のいるべき場所とはおもえず、また、自分が為すべきことはまだ見つかっていなかった。
しかし仁の行動を見た今は、まだ誰も歩いていない道でも信念を持っていれば後から人は来てくれると思った。
「夜が明けたぜよ!」。
夜明けを見ながら龍馬は叫ぶ。

龍馬は勝海舟のもとを訪れ、刀を畳みに突き刺して土下座。
勝からは国を思う気持ちが伝わってくる。
龍馬はそんな勝の弟子にしてくれるよう頼む。
この申し出を勝海舟は「いいよ」と快諾する。
その勝の進言で幕府はコレラに対する対策を、本格的に始めることになった。

長屋で仁を看病する咲の下へ、「行ったら勘当する」と言い渡したはずの母・栄が来る。
栄は、戦いに勝つまでは戻ってくるなと言って激励し、おにぎりを渡す。
コレラの治療の為、手が使えない咲に、兄の恭太郎がおにぎりを食べさせてやる。
おにぎりの重箱の中には、母の激励の手紙も添えられていた。

「これがコレラか」。
苦しむ仁は、ついに危篤に陥った。
診ていた洪庵も「危ない」と言う。
そして咲に「この方はコロリの脅威から江戸を守る為に遣わされた方なのかもしれない」と。

突然、仁の着物を捲り上げた咲に驚いた洪庵。
「死なないでください」と言う咲は、教えられた点滴を仁に処方し始める。
若い咲ではなく自分がやろう、そう言う洪庵に咲は自分がやると言う。

仁の意識は現代に戻っていた。
未来の病室、ベッドは空だった。
屋上に行った仁は未来が車椅子から立ち上がり、フェンス近くにいるのを見る。
未来は仁に笑いかけると、姿が消えた。
仁は未来が消えたフェンスの下を覗き込むが、未来はいない。
その時、仁の意識が戻った。
目の前にいる咲。

喜市も回復し、母のタエは安心して外出する。
しかし夜になってもタエは戻らない。
翌朝、仁にタエが辻斬りにあったという報せが届く。

仁が長屋にかけつけると、死んだタエが寝かされていた。
喜市は懸命に耐えていた。
仁はそんな喜市を抱きしめる。

タエの墓を前に、咲に仁は話した。
自分は未来から来た人間だ、と。
歴史を変えてしまうのが怖くて、今までは躊躇していた。
だが、自分が誰かの命を救った為に、誰かの命を奪ってしまったのかもしれない。
自分が治そうと治さなかろうと、歴史というのは、運命というのはそれなりに動き、そして変わらないのではないか。
タエと未来を前に、仁は今、ここで自分のなすべきことをする決心をし、洪庵から頼まれていた医学の講義を引き受けた。


タエさんの辻斬りでの死を目の当たりにして、運命とか人の生死は自分が変えるものではないし、自分が決めるものでもない。
ならば全力で目の前の患者を助けるだけ、と思った仁。
未来から来たと言われても、たぶん「未来ってどこの故郷(くに)だろう?」と思ってるんじゃないかな、咲。
それでも仁を信じて、この人についていこう!と強く思ってる。

内野聖陽さんは「ゴンゾウ 伝説の刑事」でも「臨場」でも良かったですが、龍馬似合ってますね~。
この人で龍馬を別に見たい感じ。
龍馬をここで感染させるわけに行かない!って感じでした、仁先生。
それで、「これがコレラか」って言葉から、客観的に治す、これはもちろん必要だけど、「こんなに苦しんだ。俺ってわかってるようでわかってなかったな~」って感じも滲み出てた。

しかし辻斬りとは無情な…。
病気のように夜な夜な人を斬る辻斬りもいれば、強盗もいた。
全くの通り魔のようなのもいれば、刀の試し斬り、「仕置人」にも出てきた「殿、お上手ですな~」と人を斬って稽古にしている辻斬りも…。

辻斬りをするからには刀を持っているわけで、相手は武士か浪人。
喜市が幼いながら、そういった中のある種の人間にとっては町人なんて虫けらのようだというのがわかってる感じで、それでも悲しさと怒りがこみあげてくる。

現代でも変わらない親子の愛情、それに現代にはなかった身分や医学の未発達による悲劇。
仁はこれからそういうのを見て、自分なりに戦っていくわけですね。
時代は激動の幕末なだけに、関わっている人間が龍馬だけに、これからどうする仁?!
どうなる幕末?!

関係ないけど、コレラといえば、同僚がタイ旅行から帰って来た翌日の夜中、ものすごい腹痛と同時に高熱が出た。
どうしたらいいのかと実家に電話したら、「すぐ救急車呼びなさい~!」と言われ、119番に電話。
救急隊員にタイから帰る時に渡された黄色い紙、「帰国後、健康に異変があったらこの紙を医療機関に見せること」と言われた紙を見せた。
その途端、救急隊員の目がつりあがった、と。

ええ、この頃、タイ旅行した人に何人かコレラ患者が出てました。
結局は何もなかったんですけど…、怖かったって。

そういえば、もう30年ぐらい前だけど、日本でもコレラがちょっと発生したことがあって、その時も梅干しが売れたそうです。
ヨーロッパではペストの恐怖ってDNAに入っちゃってる感じしますけど、現代日本でもまだまだコレラって得体の知れない怖いものなんだなあと思いました。
同時に「梅干しが効く」とか、そういう話もまだ生きてるんだなあ、と。


ピンピン生きていきましょう! 19話「罪も憎んで人憎む」

必殺仕置人19話「罪も憎んで人憎む」

全部ネタバレしてますので、見ていない方は注意してくださいね。 

泣き叫ぶ赤ん坊の声、フラフラと歩き、たどり着いた戸をガリガリと引っかいて出てきた錠に「飯、飯…」とすがりつく老人。
「俺だって食いてえんだよ」と錠が言うと、老人はふっつりと息を引き取る。
錠の家の中は棺桶と死体だらけ。
棺桶の縁を照らす、たくさんのろうそくの灯り。

荒んでます。
一体何があったのかと思う映像。
そこに鉄が「棺桶ねえか」と死体をかついでやってくるが、錠の家の中を見ると死体を放り出す。

錠に食い物持ってないかと聞かれた鉄が答えないのを見て、錠は黙る。
「飢え死にに行き倒れ、どこの町も死人の匂いで一杯だ」と鉄。
鉄は前にもこんな飢饉に遭遇しているが、今度のが一番すごいと言う。
「あん時も大勢、飢え死にしやがった。今度も真っ先に死ぬのがこういう、土地を逃げて出してきた百姓だ」。

土地を逃げ出せば鉄や錠同様、無宿人。
ところがお上は何もしないどころか、小判を改賃したので物価があがってしまった。
そこへ米屋の打ちこわしの騒動が耳に入ってきた。
「入れ物、入れ物」と言う鉄に錠は死人を棺桶から外に出した。

騒動を遠くから見ていた老中の秋山(伊丹十三)は、同心の保阪に金が足りない今、この機会に無宿人を捕えて佐渡に送ることを命じた。
金が足りない今、佐渡に人を送って金を掘らせる。
秋山の政敵・星野が秋山の失政を指摘して失脚を狙っている今、同時に治安の安定も図れる。
しかし、その無宿人たちの中に秋山と組んでいる金座の後藤庄三郎(加藤 武)の精一(川口 恒)という息子がいた。

米屋の倉が打ち壊され、おきんも鉄も錠も米を持ち出しに行っていた。
主水は一応取り締まりに来ていたが、この事態にびくともしないような金持ちの倉が壊されるのに真面目に取り締まるわけがない。
おきんが打ち壊しのリーダーは侍だと言った。

かんのん長屋では、奪った米をみんなで食べていた。
「どんどん食べて、ピンピン生きていきましょう!」
そこへ呼子の笛の音がした。
その時、主水が「鉄、錠、ずらかれ!」と飛び込んできた。
訳を話している暇はないと言った途端、役人たちがやってきた。

役人たちは、無宿人、男の無宿人は前に出ろと言ったが、だれも出ない。
役人がそれならば全員引っ立てると言った時、鉄と錠が名乗り出た。
連行される錠がひそかに主水に手槍を渡す。
2人を引き立てて役人は引き上げていった。

小坂の取調べで、鉄と錠は拷問部屋に連れて行かれた。
鉄の素性を主水が喋る。
元僧侶、しかし檀家の奥方と密通し、佐渡送りとなったと言う主水。
鉄に向かって小坂はもう一度、佐渡へ行くんだなと言い放つ。

「佐渡へ?」
鉄の顔色が変わる。
「何故だ?何故もう一度佐渡へ行かなきゃなんねえんだ?!」と鉄が叫ぶ。

錠の取調べに主水が鉄同様、素性を話そうとするが、「中村、差し出がましいぞ」と止められてしまう。
生国を聞かれても、錠は沈黙していた。
夕べの行動を聞かれると鉄と一緒だと言い、鉄も錠の言うとおりだと言うが、2人ともしたたかに殴られて終わりだった。

もう1人、星野の役宅を徘徊していたという若い男が責められていた。
鉄や錠は無宿人狩りで集められた男たちが入れられている牢に入った。
妻も子供も人買いに売られてしまい、自分は江戸で物乞いをしていたと、「俺たち百姓は好きで無宿人になったわけじゃねえ」とうなだれる農民。

みな、やってもいない罪を着せられ、これから佐渡に送られるのだと言う。
鉄は佐渡になんか行ってたまるか!と言った。
そんな中でも若い男は、一言も口をきかなかった。

牢に主水がやってきて、若い男に「おめえは何にも言わねえからもう一度お取調べだ」と言って連れ出した。
錠にも「おめえも生国を言わねえから、もう一度だ」と連れて行った。
途中、厠に行きたいと言う錠を連れて行った主水は、今度の無宿人狩りは老中・秋山と金座の後藤庄三郎が黒幕だと教える。

今、幕府は小判の改賃でなるべく多くの金がほしい。
それには佐渡金山の金の掘り出しをしなければならない。
老中と金座の後藤がどうにかならない限り、どうにもならないだろう。
何とかしてみるから、しばらく大人しくしてろとしか言えない主水。

その時、奉行所に後藤がやってきた。
錠と一緒に連れ出された若い男を見て後藤の顔色が変わったのを、主水は見逃さなかった。
夜、主水は人別帳を調べて後藤に精一郎という息子がいるのを突き止めた。
主水は精一郎を外に連れ出して問い詰めた。

幕府を倒し、士農工商を問わず人材を登用して新しい幕府を作る主張をしていた星野に心酔していた侍の一派が摘発される事件があった。
精一郎はその騒動に関わっていた。
主水の追求を精一郎は嘲笑い、自分はただの無宿人だと言い、自分をネタにしても金は出ないと笑った。
金座の後藤庄三郎は金にならないことでは、息子のことでさえ動かない、と。

主水は船遊びをしていた後藤と秋山に近づき、精一郎の話を持ち出したが、後藤は精一郎という息子は自分にはいないと言った。
いても既に無宿人となっている。
無宿人ならこの世のゴミだ、佐渡にでもどこにでも送れば良いとしか言わなかった。

秋山に主水は、お前のような木っ端役人が自分たちと話が出来ただけでも幸運と思え、と言われて引き下がった。
しかし、主水は帰る寸前、突然障子を開けてみせた。
座敷の様子を伺っていた1人の男が、逃げていった。
あわてる秋山を見た主水は無言で帰って行く。

逃げた男は星野一派の者で、これで精一郎の居場所が知れてしまった。
秋山は後藤に、こうなったら精一郎の始末は自分に任せてくれと言った。
後藤は、それならば、政変が起きる度に後藤の家から犠牲者を出さないよう、後藤の家に永代金座の地位をくれるように将軍に言ってくれと言う。
秋山は承知した。

その話を床下で聞いていた主水に、おきんが話しかけてきた。
あわてて外に出た主水に、おきんは得てきた情報を話す。
勘定奉行の管轄なので主水は知らなかったが、小判の金の量を調合する小判師の為造が金を持ち出した罪で半年前に獄門になっていた。

為造の娘のおそののところにおきんが案内すると、おそのは父親は誰かに罪を着せられたのだと言った。
新しい小判は混ぜ物が多く、為造は調合に苦労していたらしい。
こうなったら精一郎で揺さぶりをかけて、鉄と錠を助けるしかない。

夜中、主水は鉄、錠、精一郎の3人を呼び出した。
主水は秋山と後藤の関係や金の調合、為造の件で精一郎を責めた。
精一郎はかなり詳しく、秋山と金座のカラクリを知っているはずだった。

父親をかばっても無駄だと主水は言った。
主水はこの耳で、父親の庄三郎は秋山と組んで精一郎を殺す相談を聞いてきたと話す。
「おめえ、どこまで甘ったれてんだ!」
精一郎の顔色が変わる。
その時、主水に佐渡送りが早まり、今から数人を佐渡に送るという報せが入る。

佐渡送りが始まる闇の中、おきんが潜んで見ていた。
それに気づいた主水がやってくると、「もうこうなったらしかたがねえ。どっかで隙を見て奴らを逃がす」と言った。
「そんなことしたら」。

「おきん、これで俺も奉行所とはおさらばかもしれねえ。だが奴ら見殺しにするわけにいかねえや」。
「どこでやるんだよ。だってお前さん1人じゃ…あたしも行くよ」。
「それは心配ねえ。俺がやる。おきん、これでおめえともおさらばだな。ごめんよ!」と言って主水は列に戻る。
しかし、闇にまぎれて数人の侍が追ってきているのを主水は見ていた。

途中、精一郎を救出する為に、侍の一団が佐渡送りの列を襲ってきた。
侍は精一郎の籠を切り、精一郎を連れ去った。
主水は斬りあう際に鉄の籠を切り裂き、「精一郎を追うんだ」と囁いた。
錠の籠には預かっていた手槍を落とす。
鉄も錠も脱出した。

精一郎を助けた侍たちは星野が明日、将軍に秋山の失政を暴いた書を手渡し、秋山を糾弾すると告げた。
精一郎は庄三郎の後を継いで金座の主となり、今度は星野をバックアップするのだと言った。
精一郎はそれでは秋山たちがやってきたことと同じだと驚き、拒否した。
打ちこわし騒動を起こしたのも、騒動を起こして秋山を失脚させる為の行為だった。
そうやって彼らは、盗んだ金で遊びまわっていた。

侍たちは、精一郎など悪徳商人の息子で、そんな身の上で我々の仲間に加われたのは、金座を継がせる為だったと言った。
その時、庄三郎に頼まれたという数人の侍たちが、踏み込んできた。
星野一派の若侍たちと精一郎が斬られた時、鉄と錠が止めに走ってきた。

鉄と錠が精一郎を守っていた時、主水が入り、侍たちを食い止める。
精一郎を支えて逃げる鉄と錠に、精一郎はおそののところに行ってくれと頼む。

おそのの家で、精一郎は為造はしんではいないと言う。
後藤の家のどこかの穴倉に閉じ込められ、二度と外に出してはもらえない。
改賃した小判の調合を全て知っているからだ。

幕府に出す小判と市中に出回る小判は、配合が違っていた。
それによって秋山も後藤の家も莫大な利益を得ている。
後藤の家は、代々、小判師の死の上に財産を築いてきたのだ。
精一郎はそれがたまらず、星野の元に走ったのだった。

「俺はおそのを捨てて星野一派のところに走ったあの時に死ぬべきだった」と精一郎は言った。
「だが親父が金をばら撒いて死なせなかった。俺の命を助けたいわけじゃない。俺の命を助けることで星野に万が一の場合、渡りをつけておきたかったからだ」。
そう言うと精一郎は小判を出す。
為造を助け出し、証人にして市中に出回るこの小判のカラクリを暴いて欲しいと言う。

精一郎は為造が離れに近い倉にいると言って息絶えた。
おそのは精一郎の仇を取ってくれと頼んだ。
どっちみち、秋山と後藤をやらなければ無宿人は助からない。

「俺は佐渡へは絶対行かねえぞ!絶対行かねえぞ」と首を振って叫ぶ鉄。
「お願いでございます」というおそのの鳴き声が響く。
「やろう」と錠。
「絶対、行かねえぞ、佐渡へは!」。

鉄と錠は後藤の家へ忍び込んだ。
その頃、秋山に促されて後藤は為造を殺そうとしていた。
その為に屋敷には誰もいなかった。
為造が倉で悲鳴をあげた時、鉄と錠が穴倉に降りて来た。

2人に気づいた秋山が刀を抜いて錠に襲い掛かる。
秋山の刀を避けた錠は、手槍で刀を受け止める。
飛びのいた錠は手槍を抜き、装着すると秋山に向き合った。

鉄は逃げる後藤を捕えると、骨を外して両手を反対側にして動けなくした。
悲鳴をあげる後藤の首を押さえると、首を反対側に回す。
ゴキッという音とともに、後藤が固まった。

錠に切りかかった秋山の頭の上から、小判が降ってくる。
穴倉の階段の下に逃げ込んだ錠を刺したと思った秋山だが、すばやく背後に回った錠に首元を刺された。
もう一度、秋山は錠に刺されると、座り込んでいた鉄の方に向かって倒れた。
逃げる錠、そして鉄はこぼれた小判を両手に掴んで階段を登る。

秋山が死んで、星野が老中になり、無宿人狩りは終わった。
江戸城の金倉を解放して施した星野を、町中は世直し大明神と囃し立てた。
鉄は金座はなくなっておらず、後藤の代わりに新しい者が金座に指名されたと懐疑的だったが、主水はありがたいと思えよと言った。
「どんどん食って、どんどん仕置きして、ピンピン生きていきましょう!」とおきんは元気だった。



冒頭、棺桶がたくさん、その中に人が入っていて、縁にずらりと立てられたろうそくが死人と棺桶を照らしている。
米屋の打ち壊しでその棺桶を持って行く錠。
幻想的なような、荒みきっているような。

金持ち、時の権力者の息子が自分の家の行為に疑問を持ち、理想に燃えて運動に参加したものの捕えられる。
精一郎は父親に道具にされて殺されそうになって、仲間からはただ利用されていただけ。
こちらはパターンだけど、父親は息子かわいさに助けたんじゃなくて、権力者に渡りをつける為だったというシビアさ。

主水に甘いと言われた精一郎もビックリですけど、見ているこっちもビックリですよ。
息子かわいさに秋山に言いようにされるとか、そういうパターンじゃないんだ。

秋山が、「子供などいくらでも作れる、女などいくらでも買える。だが今の地位は失ったら二度と手に入らないではないか」って。
だったら永代保障してくれって、後藤。

すごいな、これは。
いや、すごい話です。
予想外です。
パターン破りです。

あまりにもパターン破りが続いたので、おそのと何かあったとか全然印象に残らない。
おそのの悲しみとかより、何かもう、この展開にビックリ。
精一郎の悲劇って、作られた年代からして、学生運動に身を投じた青年の悲劇みたいだなあ、と。

主水が鉄や錠の取調べに立ち会うのは、鉄や錠が喋ることより、2人がやっぱり心配だから。
密通と言われた鉄は「俺たちゃ、惚れあった仲だ!」と言い、「密通のお咎め以外、相違ありません!」って言い張ってる。
そんな鉄も佐渡送りで顔色が変わる。
5話でも地獄の佐渡金山掘りって出てくるけど、もう、鉄は「絶対行かない」ってブンブン首振ってる。

錠は錠で、自分のことを何も喋らない。
過去に相当なことがあって江戸に出てきたんだな、と。

そんな2人を自分の身分と引き換えに逃がす決心をする主水、手伝うと言うおきん、仕置人たちの絆みたいのが感じられて好きなシーンです。
それをまた断って、おきんにも別れを言う。
まだ割り切ってない、友情を前面に出す熱い主水が好きです。
主水は秋山たちが気づかない侵入者にちゃんと気づいてるところも、ほんとはできる!って感じがしてカッコよかった。

連行される鉄や錠におにぎり食べさせて、自分も頬張りながら「ちくしょー!」って言うおきんがかわいい。
喉にご飯詰まらせて鉄に何か背中グキッってやられて、白目むいちゃって、あわてて鉄が「あ、いけね」って元に戻すのとか。
「どんどん食って、ピンピン生きていきましょう!」って。

鉄と錠の拷問後の傷がなまなましくて、痛そう。
山崎さんはこの時から数回に渡って足をひきずってます。
怪我したんですね。
だから後藤の家に忍び込む時、錠はひらりと塀に乗るけど鉄は引っ張ってもらって、降りる時は錠に肩車してもらってました。

秋山役は伊丹十三さん。
この後、監督として山崎さんを主演にして何作も映画を撮影しましたよねー。

後藤役は、石坂浩二さんの金田一シリーズで「ようし、わかった!」と言いながら、何もわかってない警察官の加藤武さん。
「助け人走る」でも、鮎川いずみさんにスリをさせる親方でした。
おもしろい演技もうまいけど、悪役もうまい。
息子の精一郎は、川口恒さん。
「犬神家の一族」では、珠代さんを狙って途中で殺される役でしたね。

結局、世の中のカラクリはあんまり変わらないんだけど、ここでおきん姐さんの言葉がもう一度。
「どんどん食って、どんどん仕置きして、ピンピン生きていきましょう!」というこの一言で、仕置人たちのタフさ、したたかさが出てめでたし。


バカと鋏は使いよう 18話「備えはできた いざ仕置き」

必殺仕置人18話「備えはできた いざ仕置き」

現在だと放送できないんじゃないかと思った、この回。
いや、「仕置人」自体が無理っぽいといえば無理っぽいんですけど。

全部ネタバレしてますので、注意してくださいね! 


冒頭、般若の面をかぶり、能を歌い、舞う身なりの立派な武士。
その前にいる娘が帰してくれと懇願し、近く祝言を挙げると泣くと、「嫁入り前とはおもしろい」と言う。

大工の佐吉と近く祝言を挙げるはずの娘・おさとが行方不明になった。
親方の知り合いの家に使いに行ったきり、行方が知れず、もう7日にもなる。
仕事を押し付けられた主水は、やることもなくぼんやりしている鉄におさとの情報を教えた。

「金持ちに縁がない」とぼやきつつ、「ちりめんじゃこでも腹の足しにはなる。当たるも八卦、当たらぬも八卦、人間気休めが必要なのだ」と言いながら鉄は起き上がる。
おさとの家で、鉄は祈祷師の真似事をしていた。

首にほくろがある色白の娘という情報を得ていた鉄は、おさとの特徴を言い当てて金をせしめようと思ったが貰ったのは、じゃこも買えない小銭だった。
文句を言いながら帰宅した鉄に半次が、おさとらしき女性が河原で倒れていたという情報が入る。

おさとは気絶したまま、錠の家に運ばれていた。
ずっと気を失っていたおさとだが、うわごとで「鬼が」と言っていた。
鉄はおさとと佐吉をどう会わせるか思案していた。
方法によっては大金をせしめることができるかもしれない。
そこへ主水がやってきて、分け前を寄越せと言っていた時、おさとの様子がおかしいと半次が飛び込んできた。

おさとは正座したまま、正面を凝視して視線も姿勢も微動だにさせなかった。
初めは錠も寝ぼけているのかと思ったのだが、呼びかけても反応がない。
鉄が「おい、しっかりしろ」と体を揺すると、目をキョロッと動かして「佐吉?佐吉はどこ?」と言って半次を見ると、「佐吉!」と走り寄った。

半次が「佐吉じゃねえ、半次!」と言うと、おさとは今度は急に立ち上がり、「そうだ、佐吉にご飯を作らなきゃ。買い物に行ってこよう」と言って外に出た。
あわてておさとの後を追いかけていったおきんと入れ違いに入ってきた主水に鉄は、「これだよ、これ!」と頭の横でクルクルと円を描いてみせた。
「頭のおかしい女だとは聞いてなかったが?」。

おさとは山ほど、ちくわを買ってニコニコしながら帰って来た。
おきんが話しかけても何の反応もなく、ただ正面を見ながら歩いていた時、佐吉がかんのん長屋を訪ねてきた。
据わった目をして歩いてくるおさとを見つけた佐吉は「おさと!こんなところにいたのか!」と駆け寄ってきた。
しかし佐吉がおさとを捕まえると、おさとは悲鳴をあげてちくわを放り出し、走って錠の家まで逃げてきた。

家に走りこんできたおさとは「怖い」と言って佐吉から逃げ、錠に抱きついた。
その様子に佐吉はやってきた鉄に詰め寄ったが、鉄はあわてておさとは来た時からあの状態だったと言った。
おさとが逃げる様子を一人の男が見ていた。

その男は橘屋の番頭の五助で、五助は橘屋に戻ると、おさとは佐吉の見分けもつかないほど気が違っていたと報告した。
盆栽をいじりながら報告を受けた橘屋は、ひょいとあらぬ方の名前を口走ったりしないよう、くれぐれも用心するように言った。

鉄とおきんは相変わらずダラダラしながらも、おさとと佐吉がどうなったか気にしていた。
気のない返事をしていた鉄だが、「待てよ。あの女、どうして狂ったんだ?まさか狐や犬神が憑いたわけでもあるまいし、一体何があったんだ?」と言った。
おさとは相変わらず「佐吉?佐吉さんはどこにいるの?佐吉さんに会いたい」と焦点の合わない目で、つぶやいていた。

鉄は、おさとと佐吉が寺にいるのを見つけて、声をかけた。
佐吉はこの前の無礼を詫びた。
おさとはやっと大人しくなったが、相変わらずなのだった。
佐吉によると着物も出かけていった時とは違い、おさとのものじゃなかった。

おさとはいなくなる前、丸岡のご隠居という、おさとの父親の古い知り合いのところに行ったのだと言う。
鉄はおさとの胸元に、長い切り傷があるのを見つける。
佐吉によるとこんな傷が体中にあったと言う。
さらに手足には荒縄で縛ったような跡があった。

だが、佐吉が丸岡の隠居のところに行くと、隠居は確かにおさとは来ていなかったと言う。
腑に落ちない佐吉が帰りかかると、隠居の家の門をためらいながら連れてこられた若い女性がいた。

鉄はおさとを家に連れてきた。
おさとの頭の神経を刺激して、記憶を戻そうというのだ。
寝かされたまま、宙を見つめるおさとの頭のツボを押しながら鉄はおさとに聞いた。
本当はどこに行ったのか。
だがおさとの口がわずかに動いただけだった。

「やっぱりダメだ」と言う鉄に、おきんは引き続きやるように示す。
再びおさとの頭を押さえた鉄だが、その時、表から能の歌が流れてきた。
「うるせえな」と言った鉄はおきんに追い払うよう、指示した。
頭の中にその声が響いたおさとの口がパクパク動き、絶叫して飛びのく。

鉄は暴れるおさとを、治療用の縄で縛った。
おさとは宙を見つめて、「般若!」と叫んだ。
「般若って何だ?」と鉄がおさとの頬を叩いて聞くと、おさとは「十兵衛!」と叫んだ。
おさとの記憶の中、般若の面が外れ、十兵衛という男が現れる。
十兵衛はおさとを手裏剣の的にして、壁に張り付けていた。
やがておさとは放心して崩れ落ちる。

滝のようなおさとの汗をぬぐってやりながら、おきんは「ひどいじゃないか…。人を虫けらみたいに扱いやがって、ちくしょう」と言った。
おさとは「逃げ出して…走った。どこをどう走ったのか…。佐吉さんどこにいるの?佐吉さんに会いたい」と言った。

「でも私は佐吉さんに会えない。私はどうしたらいいの?」と言うおさとに鉄は、「お前が悪いんじゃない。心配するな。佐吉はきっとわかってくれる。気持ちを入れ替えて出直すんだ。病気は治る。きっと治る、いいか、治るんだぞ」と言い聞かせた。

鉄は主水に相談したが、主水はそんな武士に心当たりはないと言った。
しかし、次に「まさかあの加納十兵衛じゃねえだろうな?」と言う。
加納十兵衛とは勘定組頭、三河以来の直参旗本、家柄も血筋も天下一品、それにものすごく腕が立つ。
主水も以前、立ち会ったことがある非常に面倒な相手なのだった。

その頃、佐吉はおさとを狂わせた犯人を突き止めようと、丸山の隠居の床下へ潜んでいた。
丸山の隠居が橘屋に呼び出されて出かけると、佐吉はその後をつけて別宅に潜入した。
佐吉が丸山の隠居を見張っていると、橘屋の番頭の五助が来て茶を出した。
そのまま下がるかと思った五助は突然、「口の軽そうなお前さんには死んでもらうぜ」と丸山の隠居の首を絞めた。
驚いた佐吉の背後にも3人の黒装束の男がいた。

「ちくしょう、俺のおさとを…」と佐吉はノミを振り回したが、男たちは佐吉を刺した。
佐吉が倒れた座敷の柱には、般若の面があった。
男たちが佐吉を捨てに来ると、雨が降って来た。

おさとは佐吉の家で1人座っていた。
「る・す・ば・ん」とおさとはつぶやいた。
雨が降って来た。
佐吉は瀕死の体をひきずって「おさと」と名前を呼びながら、家に這って戻って来た。

雨にぬれた縁側にたどり着いた佐吉を、座敷で正座しているおさとが見た。
「おさと、これだけは覚えていてくれ。橘屋、たち、ばな、や」と佐吉は告げた。
雷鳴が轟く。
「つきとめたぞ。橘屋をお上に訴えてくれ」と言うと佐吉はおさとの手を取り、倒れた。
「橘屋?橘屋…。橘屋は誰?」
おさとの顔を青白い稲光が照らす。

「橘屋。俺は突き止めた、橘屋」とおさとがつぶやく。
近くで落雷した。
おさとの目に光が戻る。
風鈴が目に入る。
「ここは、どこ?」

おさとが、倒れている佐吉に気がつく。
「佐吉さん」。
しかし佐吉はもう返事をしない。
「佐吉さんが死んでる!」。
おさとは悲鳴をあげ、泣き始めた。

橘屋は長者番付にも乗る江戸で1、2を争う材木屋で、錠が言うにはこの棺桶の材料も橘屋の材木だし、とにかく江戸の材木の半分は橘屋だということだ。
主水は今朝、筆頭与力に呼び出されて、大工の佐吉殺しの件の取調べを中止するように言い渡されていた。

結局は強い者が勝ち、弱い者が負けるだけのことだ、と十兵衛と橘屋は酒を酌み交わしていた。
そして酒の余興に十兵衛は般若の面をつけ、能を歌いながら、おさとの記憶にあったように、逃げ惑う娘を着物一枚にして、手裏剣の的にし始めた。
しかし手裏剣は娘の胸に刺さった。
庭にずっと潜んでいた半次が、声にならない声を上げた。

半次の報告を受けた鉄はおさとから、少ないが佐吉と所帯を持つ為に貯めた、という金を預かっていた。
「やっちまおう」と錠が言う。
しかしそう簡単に行く相手ではない。
だが鉄は「得意技を封じ込めれば簡単だ、バカと鋏は使いよう」と言う。

翌日、勘定所にきちんとした身なりのおきんが入っていった。
面会と言われた十兵衛が部屋に行くと、甲高い笑い声が響く。
「十兵衛!」と衝立からおきんが襦袢一枚で顔を出す。
「おきんじゃ!もう忘れたのか!」と近づくおきんに十兵衛は、「誰じゃ!」と戸惑う。
「橘屋さまの別宅でお会いしたではありませぬか」。
驚く十兵衛に抱きつくおきん。

「よ、よせ!」と逃げる十兵衛に赤い襦袢一枚でおきんが迫る。
袖をひらひらさせるおきんに「無礼者!」と言ったが、おきんは「どこへ参る?」と大きな声で笑いながら廊下に出て行く。
逃げる十兵衛を「十兵衛、会いたかった!」と言いながら追っていく。

十兵衛の部下たちが驚きながらもおきんを止めようとすると、おきんは大きな声で「さわるな!」とわめいた。
おきんは十兵衛に向かって、「このおきんを死ぬほど好きだと言ったではないか!」と叫び、目を丸くしている若い侍たちを「邪魔じゃ!」とどかすと「十兵衛!」と追い掛け回した。
「恥ずかしがらずとも良い!」と言うと、赤い襦袢一枚のおきんは一層大きな声で笑った。

その夜、十兵衛が寝入っている座敷に天井から鉄が降りてきた。
鉄は十兵衛のこめかみを掴むと、「おさとはお前の子供を身ごもった。よもやあの女のことを忘れはしまいな?」と囁いた。
「お前の為に許婚を失い、お前の為に狂った。お前を憎みながらお前の子供を産む」。
十兵衛の眠っている顔が歪む。

「やがてその子供はお前を殺しに来るだろう。お前を殺しに来るだろう…」。
うなされて十兵衛は起きる。
だが部屋は暗いばかりで、誰もいない。
「夢か…」。

翌日、十兵衛が屋敷を籠で出ると、「十兵衛!十兵衛!こっちじゃ、こっちじゃ!」という声が響いた。
供の者も足を止めると、屋敷の塀の松の木の下で髪を振り乱し、帯を長く引きずったおきんが「あなたのややができました。喜んではくださらぬのか」と叫んでいた。
「跡取りじゃ!跡取りじゃ!」とわめくおきん。
「早く斬れ!」とかごから十兵衛が叫んだが、おきんは「寄るな寄るな寄るな!」と叫んで走る。
押さえつけようとした供の侍に、「下がれ下郎!」と叫んでいると、騒ぎを聞きつけた通行人が集まってくる。

その時、通行人の中から半次が着物を半分脱ぎかけた姿で、「十兵衛~」と言いながら出てくる。
それを見たおきんが一層声を張り上げ、「ほら、おなかの中でややが動いておるわ」と叫び、半次が「十兵衛~!どうしてくれるの!十兵衛~」とわめく。
通行人が爆笑する。
かごの中でうろたえた十兵衛が「戻れ!引き返せっ!」と言って、かごは屋敷に戻った。
十兵衛はその日から外に出られなくなった。

その夜、また鉄が降りて来た。
「世間の物笑いの種になった加納家はどうなる?」と囁いた。
十兵衛は苦しそうにうなされる。

鉄は毎晩やってきた。
こみかみを抑え、耳元で「親族の意見ではお前を殺し、病死したと届け出て、養子を取り跡を継がせる。女房はお前を見限った…。詰め腹を斬るか?」と毎晩囁いた。
そしてある夜、起き上がった十兵衛は刀を振り回した。
様子がおかしいと見に来た奥方を一刀の元に斬って、十兵衛はそのまま出奔した。

半次が加納十兵衛が、長期の休養願いを出したことを鉄と錠に知らせに来た。
奉行所では加納十兵衛が乱心の末、逃げ出したことが通達された。
与力が「一刻も早く取り戻してくれとのことだったが…、加納家は三河以来の由緒ある旗本。加納殿は乱心の故…、万一の場合…。よいな、くれぐれも極秘だぞ」と言うと同心たちはみな、十兵衛を探しに出て行った。

ただ1人、主水だけが残っていた。
与力は主水を見ると、「中村、何をしておるか!」と叱咤した。
「聞いていたのか、いないのか?」と聞かれた主水は、「はい。え~、ご乱心の上でのご逃亡…」と言った。
「え~、万一の場合は…」。

じれったくなった与力は「ええいっ、万一の場合には斬り捨てても良い、という意味じゃ!早う行かんか!」と机を叩いた。
「はっ」とお辞儀をした主水の顔は笑っていた。

主水には行き先の見当がついていた。
竹林を通り、古い神社に向かうと、だらしなく口元をゆがめた十兵衛がふらふらとさまよっていた。
「加納十兵衛だな」。
主水が問いかけると十兵衛は手裏剣を投げてきた。
手裏剣は主水が隠れた木に当たった。
次々、十兵衛は手裏剣を投げてくる。

いくつかは木に刺さった。
手裏剣が全てなくなると十兵衛は刀を抜き、意味不明の声を上げながら主水に向かって両手で刀を持ち、大きく振り上げて走ってきた。
主水は刀を抜くと、走ってきた十兵衛に向かって横に払った。
たった一振りで十兵衛は倒れた。

鉄と錠は橘屋の別宅に向かっていた。
十兵衛の乱心を心配する五助だが、橘屋は三つ先四つ先まで読んでいると笑った。
「残念ながらもう一つ、五つ先までは読んでいなかったようだな」と鉄の声が響く。
「誰だ」と五助が廊下を見ると、突き当りを影が横切った。

五助が隣の部屋に行くと、衝立の影の闇に錠がいた。
手槍を構えて近づく錠の気配に、五助はまったく気づかない。
振り向いた五助は、錠に胸を刺された。

橘屋は妙な気配を感じていた。
鉄が手をかざし、指を鳴らす。
立ち上がって様子を見に行こうとした橘屋を捕まえると、押さえ込む。

走ってきた佐吉を殺した3人の黒装束の男たちの前に五助が姿を現す。
背後にいた錠が五助の背中を押すと五助は倒れた。
驚いた男たちを錠は次々倒す。

鉄は畳みに倒した橘屋の喉元を押さえると、骨を外す。
橘屋は悶絶して息絶えた。
仕置きを終えた主水、鉄、錠が帰って行く。

その頃、おさとは泣きながら佐吉の位牌に手を合わせていた。
佐吉はもう、戻ってこない…。


2000年ごろに「怪」という、京極夏彦さん原作の小説がドラマになって、WOWOWで放送されました。
4部作で1部は映画で公開もされました。
必殺のスタッフが作った、必殺へのオマージュ的作品だったのですが、その中の3部目の「赤面ゑびす」のオープニングはこのエピソードだと思いました。

「赤面ゑびす」は、娘が行方不明になり、発狂して戻ってくる。
どこにいて、何をしていたのか全くわからない。
催眠術をかけて記憶を戻そうとする、というところから始まる話。

まー、最初の頃の主水も探しに来た佐吉に「身元不明の仏さんにそんなのいたかな」とか、鉄にはインチキ祈祷師をやらせて金をせしめる為に情報流すとか、ひどいんですけど、結局鉄はお金にならないのに気にし始める。

おさとの記憶を取り戻させる時の、鉄おきんの会話がおかしい。
アドリブじゃないかと思ってしまう。
大丈夫なのかと聞くおきんに鉄がおきんで練習してみようかと言うと、おきんが遠慮する、鉄がちっとは頭が良くなるかもしれないと言うと、十分利口だよあたし!と逃げる。
そうかい、もうちっと利口になったほうがいいんじゃないかいと鉄に言われて、これでじゅーぶん!とおきん。

一度やってみたのにダメで、でもさらにおきんは手をモミモミさせて、鉄に「もう一度やれ」のジェスチャー。
おさとは記憶を戻す時の鉄、そんなにぶたなくても…、というぐらい、バシバシぶってる。
でもこの後、佐吉には会えないと言うおさとに、鉄の言葉がすごく優しい。

仕置人たちの仕置きの方法がおかしい!
特におきんが狂ったおさとの復讐と言わんばかりに狂女を装うのが、うまい!
テレビ放送時にはこのシーンが短くカットされていましたが、かなり追い掛け回してました。
勤め先であれは困るわ…。
主水に圧力をかけられるほどの権力を持っている代わりに、世間体というのは重要なのだ!
そして一思いに殺さないで、1日、1日、鉄が耳元で嫌なことを囁く悪夢。

狂女につきまとわれ、噂の的になり、外出も出来ずに夜は嫌な夢を見て、ついに神経やられてしまった十兵衛は発狂。
主水は捜索の依頼が来てもすぐに動かないで与力の口からハッキリ、「斬ってもいい」という言葉を引き出すのもうまい。
得意技は封じ込められ、ほとんど子供の遊びのように刀を構えて突進してくる十兵衛。
主水と斬り合いにもならない。
でも奥方はかわいそうでした。

十兵衛もですけど、おさとさんの演技もうまい。
「る・す・ば・ん」とつぶやいて座ってるところなんか、かわいそうやら、怖いやら。
おきんの狂女の演技も派手でいい!
脇に至るまでうまいから見ていてほんと、おもしろい。
最後の仕置き後に、おさとの大切なものは戻ってこない悲しさ、虚しさをちゃんと思い出させて終わるのもいい。

橘屋の田口計さん。
最近は旅行番組で見ましたが、豊かな表現力と言葉で伝えてくれるので見ていて楽しい。
田口さんは東大をトップで入学した方なので、今なら官僚、大物政治家をどっしり演じるのを見てみたい。
まだまだお元気でいてくださいね。


あっ、この建物、何?! 「空から日本を見てみよう!」

テレビ東京で、木曜夜7時58分から放送されている「空から日本を見てみよう」。

http://www.tv-tokyo.co.jp/sorakara/

日本の上空をプカプカ、雲に乗った気分で見てまわる!
地上に降りてみたくなるほど、空から見た日本は驚きの連続。
案内役は「くもじい」(声・伊武雅刀)、孫娘にして弟子の「くもみ」(声・柳原可奈子)。

10月22日が2回目「まぁるい緑の山手線」だったんですが、これ、おもしろい!
謎の物件と称して、ちょっと変わった建物、またはレトロな建物や洋館をクローズアップしてくれる。

空から円盤みたいなものが見えると思ったら、帝国ホテルの駐車場。
そして帝国ホテル周辺の観光に来た外国の人向けのおみやげ屋さん。
その近くの昭和を見て来たようなビルのバー、そこにまだいる会社、働く人。

上空から見た円形が気になって降りてみると、交通会館の回転レストラン。
80分かけて展望レストランの座席がぐるりと一周します。
景色が変わっていくのをゆっくり見ながら、食事というレストランですが、ここ、ずいぶん前だけど部長に連れてっていただいたことがある。
オムライス1890円、自分じゃ来られない。
座席が回る仕組みを見せてくれましたが、これは難しい技術で戦艦の砲台の技術を使っているそうです。
そうだったのかー。

レトロな洋館は、三菱電機迎賓館、元・伊藤博文邸だったり、物流博物館だったり。
物流博物館というのは、物を運ぶものに関する博物館でした。
何と、佐川急便からヤマト運輸まで、運送会社の制服が着られます。
しかし伊藤博文の家は立派だわ~、すごいわ~。

「これより先、車馬立入禁止」の表示。
こんな明治時代のなごりのような道から続くのは、明電舎の創設者の元お屋敷。
上空から発見した屋上プールがある建物は、現会員の紹介者2名+英語の面接で人柄を見て入会資格が得られる会員制クラブ。
物流博物館を除けば、この辺、私には全然縁がない場所(涙)。
そしてあるビルはビルの中を筒が通っているようなデザインで、ある有名な建築家さんのデザインだけど、せんせー、ちょっと無駄な空間だそうですよー。

2回目は見慣れたというか、通いなれた場所が出てきたので余計おもしろかった!
テレビ局の特権?で、中まで見せてくれる!

さらに「トンガリ物件」と称して、先のとがった三角形の建物を紹介。
角度も測ってくれる。
山手線から見える「玉の肌石鹸」の広告が出ている、三角形の物件。
浜松町から品川に行く山手線の中、右側に見えるこの物件。
わかる人いるんじゃないでしょうか?
私もここ、知ってるから出てきた瞬間に、「あっ、み、見たい!」と思って、「こんな場所だったのかー」。

築48年にもなる建物で、一番細い部分は1階はお手洗い。
2階はシンク。
ステンレスを三角の形に合わせて曲げてます。
床に近い小さな窓を開けると、線路を走る新幹線も見える。
昔は3所帯住んでいたそうです。

建物の中に赤い球体がめり込んだようなビル。
さて何だろう?と思ったら、日の出自動車学校。
そうか、あの赤い球体は「太陽」なんですね。
球体の中はカラッポだそうです。
あら。
いや、別に何が入ってると期待したわけじゃないんですけど、カラッポなんだー。

ビルの上に乗っている家は、賃貸で住んで8年になるご家族が。
子供2人は楽しそうに遊んでます。
天気と気候の良い日はベランダから電車を見ながら、食事。
あー、楽しそう。
火の見やぐらとして機能していた建物。
汐留や大崎、恵比寿の現在と、再開発前の様子も見せてくれます。

第1回「東京湾をグルッと一周」は、11月3日朝8時から再放送。
「川の上にある老舗の佃煮屋さん、屋上に校庭がある学校、西新宿の高層ビル群の歴史や、森の中のミステリーサークル」を紹介するそうです。
これ、私はまたまた見逃しているので、ありがたいです。

10月22日分も再放送されるといいんですが。
あ、再放送があった時、ひとつだけ注意…。
三角物件の、おトイレの映像は結構、スレスレ…という感じ。
古いですからね…、あれを映したのにはちょっとビックリしましたね。
時間からしてまだご飯食べてる人いたかも。
まあ、真面目さというか、ちゃんと古さも場所もありのまま映すんだ!という本気を感じました(?)。

YMOの「Firecracker」のBGMと伊武さんと柳原さんのナレーションがまた、ピッタリ合ってます。
なごみます。
伊武さんと柳原さんのナレーションが良いんですよ~。
毎週録画して保存したい番組です。
変わった建物とか、薄かったり変形の建物が気になってしょうがない私には楽しすぎる番組です。
こんな番組をありがとう、テレビ東京さん!

テレビ東京は木曜夜8時58分から5分間のミニ番組で、「天空散歩」という番組もあります。

http://www.tv-tokyo.co.jp/tenku/

同じ空撮からなる番組ですが、まあ、5分と1時間では時間も違うし、視点が違う。
見比べて見るのもおもしろいです。


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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