昨夜の日曜日は「仁 -JIN-」の前に「坂の上の雲」を見ました。
いや~、この週末は「行列48時間」の最終回もおもしろかったし、ドラマが充実してる久しぶりの週末だったかも。

明治の、近代国家の道を歩み始めた日本が西洋文化の猿真似、日本人はその猿とと言われる貧しい時代。
そしてまだ、武家の意地と規律とが生きていた時代。
それでいて、「上っていく坂の上の青い天に、もし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて坂を上っていくであろう」というように、人々が希望と前に進む意志に満ち溢れていた時代。

最近、未熟な日本を必死に近代へ導いた明治の人の偉大さがクローズアップされることも多いですが、これはハマります。

主人公の兄・秋山好古(阿部寛)が福澤諭吉の「学問ノススメ」を持っていたし、もう1人の主人公・弟の秋山真之(本木雅弘)と3人目の主人公・正岡子規(香川照之)のの英語教師が高橋是清。

百年に一度と言われる恐慌に立ち向かった高橋是清ですが、お酒好きで国会でもお酒飲んでたらしいので、今だったらどーでもいいようなことまでああだこうだ言われて揚げ足取られて何もできないまま辞任させられてしまいそうな感じがします。
でも、こういう方は、癖は強いけど、その分野においてはものすごく力を発揮する人だから、妙な型にはめないで力発揮させた方が国益の為でしょうね。
それで、こういう明治の方の大河って、おもしろいんじゃないでしょうか?

高橋是清、ショーケン出演の対策映画「226」で青年将校に殺されていたことを、ちらっと思い出しました。
高橋是清って、本当に最期まで激動の人生だったんだなあ…。
ナレーションは渡辺謙さんで、武士が滅びていく様子を語っている時、「ラストサムライ」なんかも思い出しました。

このスケール感、キャスト、まさに「大河ドラマ」で、5回放送して次は来年、また再来年なんて、ちょっと厳しいなあ…。
待ちきれないけど、年中行事にすればいいのでしょうか。
いや~、これは大河ドラマだー、って思いましたよ。


スポンサーサイト
2009.11.30 / Top↑
「歴史の針が変わる」。

仁愛堂を作った仁は、最初により強いペニシリンを作ることを始めた。
新しいペニシリンの効力は今までの30倍になったが、作り続けるには4百両ほど必要だった。
そのことをヤマサ7代目当主・濱口儀兵衛に話した仁だが、儀兵衛は以前、医学所の前身である種痘所が焼失した際、最初に儀兵衛が3百両を寄付して立て直した話をする。

結果、その種痘で何千人もの人間が助かった。
「その意味がおわかりですかな?」。
つまり、4百両とはそれほどの価値があるのだった。
そして、儀兵衛がペニシリンに協力するのは、緒方洪庵がそれだけの器の人間だったからだった。

4百両も考えないではないが、「その為にまず、あなた様の器を見せていただきたい」と仁は言われる。
家に戻った仁と咲の前に、夫の形見の茶碗がなくなったと母の栄が探していた。
恭太郎は、それは目の悪い者へメガネをやる為に自分が売ったと言う。
一方、勝海舟は、5千両も調達してきた龍馬に、その舌先で何とかしてやったらどうだと笑った。
江戸には吉原!と言う龍馬と共に、仁と恭太郎は吉原へ行く。

仁は改めて緒方を失った喪失、緒方の存在の大きさを噛み締めていた。
「器とは、闇に火をともす力のことかもしれませんな」と、恭太郎はつぶやく。
俺にそんな器はあるのだろうか…。
考え込む仁、3人の後を正体不明の武士がつけていた。

龍馬が吉原の空気を思いっきり吸っていた時、野風の怒った声が聞こえていた。
「実のない男…」と言う野風の前には、歌舞伎役者で当代随一の女形役者・澤村田之助が「あんがとよ」と涼しい顔をしていた。
「最高の誉め言葉さ」と、薄笑いを浮かべる田之助。

野風との再会を喜ぶ龍馬をやりすごすと、野風は仁に至急診てほしい病人がいると訴えた。
病人の名前は、玉屋の初音。
名前を聞いた恭太郎の顔が、こわばる。

初音は客の子供を身ごもったので子供を流したのだが、結果、瀕死の状態に陥っていた。
子供の父親は田之助なのかと聞く仁に、「父親を定めることなどできんせん、初音はそう思いたいのでありんしょうが」と野風は言う。
仁の診断では、初音は敗血症になっていた。

治療にはペニシリンが必要と聞いた龍馬は、飛び出していく。
つらそうな表情の恭太郎に、仁は咲を呼んで来るように頼む。
先ほどからの恭太郎の様子に疑問を持つ仁に、野風は「お相手は初音でありんしたか。つらい話でありんすなあ」とつぶやいた。
肩身の茶碗は、恭太郎が初音の為に売ったのだった。

初音の治療は進められたが、熱は下がらない。
従来のペニシリンでは、敗血症を起こしている菌に勝てない。
強いペニシリンが必要だが、それには4百両が必要だった。
恭太郎はこうなったのは田之助のせいかもしれないので、田之助に掛け合うと言う。

仁、龍馬、恭太郎は田之助の楽屋に行ったが、田之輔は目の前で小判が入った箱をひっくり返すと、小判を踏みつけて「この小判は田之助の血だ、肉だ。一文たりともやれない」と言う。
その態度に、「所詮は己を見世物にしたあぶく銭ではないか!」と憤った恭太郎は刀に手をかけるが、田之助は恭太郎も初音を買ったことを指摘する。

「買ったがどうした、初音は今もうわごとで田之助の名を呼んでいる。身を売る女だが哀れとは思わないのか!」と言う恭太郎に、田之助は自分だって女郎と同じ、身を売って来て、世に出たのだと言う。
「どうしても初音を助けたいなら、自分が身を売るのが先だ。旗本株でも売ってから出直してきな!」。

治療に当たる仁に、野風は50両差し出す。
初音に起きたことは吉原の女郎になら、誰にでも起こりうること。
だが、仁は、このお金はあなたにとって血や肉と同じ。あなたの身の為に使うべきだ」と言って受け取らない。
「あちきの身の為など…」と言う野風とのやり取りを聞いていた龍馬は、とにかく仁はペニシリンを作り始めるように言う。

仁を行かせ、恭太郎を護衛についていかせた後、龍馬はどうしたもんかと思案する。
表に出た龍馬は、2人がいなくなったのに尾行していた武士2人がまだ去らなかったのを見て、「今度はわしかいのう」と尾行されているのは自分だと確信する。

ただ働きはごめんだと騒ぐ職人たち相手に仁が困っていると、龍馬が4百両持ってやってくる。
初音の子供を流した医者から、ペニシリンを担保に持って来たと言う。
「すごいですね、坂本龍馬という人は…。器が違う」とつぶやく恭太郎に、仁はうなづく。
ペニシリンの製造を見つめていた恭太郎に純庵は、「ペニシリンは南方先生が作り出し、洪庵先生が命がけで守ったこの世の宝です」と教える。

新しいペニシリンは初音に注射された。
野風は恭太郎に、初音がメガネをとても喜んでいたことを話す。
「こんな心遣いをする客は初めてだ」と、初音は語っていたのだ。

恭太郎も「私も初めてです。あのように心を軽うしてくれたおなごは…」と言う。
いつか、恭太郎が仁や龍馬、勝や洪庵を前に、自分の小ささを嘆いた時だった。
初音は恭太郎に寄り添い、「小さな器も良きものでありんすよ」と言ってくれた。

初音の意識が戻ったが、苦しむ顔は見たくないと恭太郎は去っていく。
意識の戻った初音が今のは誰かと尋ねると、咲は恭太郎だと話し、自分の兄だと話す。
そして、自分がうわごとでずっと田之助の名前を呼んでいたことを知った初音は、「申し訳ござりんせん」と泣く。

「あちきは人でなしでありんす。あんなにお優しい方を傷つけ…、女郎のくせに嘘さえ突き通すこともできず…」と、自分を責めて初音は泣いた。
「己の気持ちに嘘はつけません」と、優しく語り掛ける咲。
隣の部屋で、仁も野風も龍馬もそれを黙って聞いていた。
その頃、初音の子を流した医師は、ほくそえんでいた。

吉原にやってきた医師は治療に来ていた仁に向かって、7日の期限が来たのでペニシリンの権利は自分のものになったと証文をかざした。
7年のはずが7日になっており、確かにそこに龍馬の名前もあった。
「謀ったのがかー!」と叫ぶ龍馬だが、医師は新薬か4百両かと迫った。
表で聞いていた恭太郎は、拳を握り締める。

「わかりました」と言う仁から証文をひったくった龍馬は、「まだじゃ!この証文は暮れ六つだ」と言う。
田之助の元に走った恭太郎は、ペニシリンはみんなの血と肉で作った薬だと叫び、4百両貸してくれと頼む。
身を売って作った金を借りるのだから、こちらも身を切ろうと言って恭太郎は自分を田之助に売ると言う。
「頼む!4百両貸してくれ!」と叫び、土下座する恭太郎。
田之助は、ひとつ、見世物を見せてくれと言う。

暮れ六つ、いよいよと迫る医師を見た咲は玉屋の主人に、自分をここで奉公させてくれないかと叫んだ。
その時、「そんな大切なものを売り渡しちゃあ、いけねえよ」と言う声がして、田之助が立っていた。
「先生、あの薬はあんたらの血肉を刻んだ命だって話じゃねえか。そうとなりゃ話は別だ。この田之助、命には命で応えるさ」。

そう言うと、田之助は4百両を放り出した。
ばら撒かれた小判を拾い集める医師に田之助は、「おとといきやがれ!」と吐き捨てた。
すれ違いざま、医師もまた「役者風情が」と吐き捨てて行った。

田之助は身づくろいをすると、仁に「あの金は返さなくていいからね。貸すなんてせこい真似、嫌いなんだよ」と言った。
「ありがとうございます」と言う仁、「どうしてこのことを知ったがや?」と聞く龍馬。
「私に身売りをした男がいたのさ」。

一座の前に出てきた田之助の周りに、人だかりができた。
その人だかりの前で恭太郎は土下座し、「お頼み申す!」と頭を下げた。
「お侍さんが土下座してるぜ」と、人々が見る。
「お頼み申す!」と恭太郎は自分を見下ろす田之助に向かって、土下座し続ける。

仁はその夜、恭太郎に頭を下げた。
大勢の人の前で、武士が役者に土下座するなんて、勇気のいることだ、と。
「それしか…、できなかっただけでございます。ぼんくらの旗本にはそれしか」と恭太郎が言いかけた時、龍馬が「おまんのどこがぼんくらじゃ!」と言った。

「おまんはペニシリンをを守ったがじゃ。こん薬を守るちゅうことは、吉原の女郎たちを守ったちゅうことじゃ!こん国の医術を守ったのじゃ!おまんは、こん国を守ったようなもんじゃ!おまんはどだい、すごいことをやったがじゃよ!」
そう言う龍馬の正面から恭太郎は「私はあなたが嫌いでした」と言う。

「き、嫌い?」ととまどう龍馬に恭太郎は、勝海舟が恭太郎には護衛を、龍馬に海軍を作らせる手伝いをさせたことを話す。
どちらも大切とわかっていながら恭太郎は、世を動かす仕事をしている龍馬をねたまずにはいられなかった。
そして、こうして側にいると器の違いが嫌というほどわかると言った。

それを聞いた仁は、「何でそんな事を言うんです?恭太郎さんほどの護衛はいないです」と言った。
初めて会った時、仁を守って斬られた恭太郎。
今日だって、身を持って守ってくれた。
恭太郎がいなければ、仁はここにいない。
ペニシリンも作れなかった。

恭太郎は仁にとって「最高の護衛です」という言葉を聞いた恭太郎の目から、涙が溢れる。
男子は人前で泣いてはならぬ、だが今日は少しだけ…と言って恭太郎はうつむくと涙を流した。
仁も泣いた。
龍馬も涙ぐんだ。

野風は、咲にゆくゆくは仁と一緒になるのか、と聞いていた。
咲は仁には、心に決めた人がいると答えた。
記憶をなくしているのでは?と聞く野風に、その方のことだけは覚えていると咲は答える。
「おつらくはありませぬか?」。
「私には先生の医術がありますから」。

眠ってしまった恭太郎を背負い、微笑みながら提灯を持った龍馬と帰って行く仁は思った。
ようやくわかった気がした。
江戸の夜道は暗くて助けてあわねば、とても歩いてはいけない。
誰もが誰かを支え、誰かに支えられながら生きている。
少なくとも俺はきっと1人では何もできない。
それでも進んでいきたいと願うなら…。

翌日、仁は儀兵衛に自分は小さな人間であることを実感したと話した。
みんなに支えられて、ここまでやってこられたことを思い知ったと。
だからこそ…と言い、仁は「濱口さま、だからこそ、私をご援助を願えませんでしょうか。ちっぽけな私が受けた恩を返すには医術より他にありません!お願いします!」と頭を下げた。

畳みに頭をこすりつける仁を見た儀兵衛は、「正直でおのれを大きく見せることはしない。けれど、自分の信じる為すべきことに対しては、あらん限りの努力をする…」と言った。
「あなたの器は…、きっとそう、大きくはない。しかしとても…、美しいんでしょうな。それがゆえに周りの人間は助けたい、守りたいと思う。それが南方仁という、器なのでしょう…」と言うと、儀兵衛は援助を知した。

こうして仁にはまたひとつ、恩が溜まって行った。
自分という小さな器の中に。
仁は医学の針をまた一つ、前に進めようと決心した。

仁、そして咲と歩いていた龍馬が町中で足を止め、「おのれも武士なら名乗りをあげんかい!」と怒鳴る。
驚く仁と咲の影で、編み笠に顔を隠した武士が去って行った。
仁にまたしても刺客が?と言う咲に、あれは自分についた者だと龍馬は言う。
それを聞いた仁には、嫌な予感があった。

自分が医術の針を進めたことで、維新の針もまた、早く進むのではないか…。
龍馬暗殺は思ったより早いのではないか…。
先を歩く龍馬に気をつけてくれと言う仁。
その深刻な顔に、いつかの時と逆だと笑う龍馬。

「南方仁がおれば、坂本龍馬は死なん!」と笑う龍馬に仁は、例え歴史の針が早く進んだとしても…、「助けます。俺が。この手で」と宣言する。

万華鏡を見ながら、咲の自分には仁の医術があるという言葉を反芻している野風。
「あちきには何もありません…」。
部屋で未来との写真を見た仁の顔色が変わる。



最初の印象では嫌な男の田之助だけど、実は田之助も女郎と同じような身の上。
子供の頃から身を売り、成長しても暇なご婦人相手に身を売って、のし上がってきた田之助がどれほど屈辱をなめてきたか。
どれほど、同じような人間の堕ちた姿を見て来たか。

貧乏とはいえ、身分の保証をされている者たちにこの身の上がわかるか。
この金がどんなものか、わかってたまるか…。
自分の屈辱が詰まった小判を渡すならば、相手にもそれなりの屈辱を受けるだけの覚悟が欲しい。

田之助は初音は女郎、相手だって自分を騙しているのだろう、と思ってたのかも。
自分と同じような身の上、だからこそ、騙されて負けるような女はダメだ、と。
初音の子供は、本当は誰の子かわからない。
でも田之助と思いたいのだろう、と言う野風、女郎の身の上の悲しさ。

田之助が言うように、野風たちと田之助は似ている境遇。
その職業で栄華を極め、人から憧れられても所詮は蔑まれる職業である。
あの医師「役者風情が」と、吐き捨てたように。
そして、咲には仁から受け継ぐものがある、でも自分には何もないとつぶやく野風。

吉沢悠さん演じる田之助は、頂点に立ちながらも身分としては下賎という足場の不安定さを持つ男の虚勢と、どこかぬぐえない悲しさを持っている。
まっすぐに生きていける仁や龍馬、恭太郎への嫉妬もどこかにあって、野風の咲に対する気持ちとも通じる。
日の当たる場所にいた人間と、そうでなかった人間の悲しさと強さが見える。

田之助の行為は決死の覚悟を見たかったのと同時に、恭太郎を組み伏せて喜んでたわけじゃない。
気が済んだ優越感どころか、こんなことをさせなくてはならない自分の境遇の悲しさを噛み締めたんじゃないでしょうか。

いまいち、自信がなかった恭太郎が、器の違いにこだわることなく、価値を見つけられて良かった。
まあ、幕末の偉人に囲まれていたら、つらいことはつらいですよね…。
恭太郎だけじゃない、田之助も4百両をあのくだらない医師にくれてやったことで、自分を卑下しないで生きていけるのでは。
あの行為は恭太郎も田之助も初音も救った、と考えました。

田之助もただの悪役じゃなくて、このキャラクターの作り方、うまいですね~。
今回の悪役というか、小者は初音の子供を流した医者だけ。
ま、これからの動乱の時代、ああいう人には、あんまり良いことはないでしょう。

田之助が三代目・澤村田之助なら、この人は後に舞台で宙づり中に落下。
その傷が元で壊疽を起こし、それが元で両手足が不自由になるも、なお舞台に立ち続けた人ですね。
「仁」がこのまま続くなら、いずれ仁が田之助を治療することになるのだと思うのですが…。

人を騙したお金も、何千人もの人の命を救ったお金も、田之助が泥水を飲んで稼いで来たお金も、野風が貯めてきたお金も、咲が玉屋に奉公しようとしたお金も同じお金。
だけど、お金で助けるものが全然違う。
信じるものが違うと、活かし方が全然違う。
人によって、こんなにも違うんだなあ、と…。

そうそう、咲が玉屋に身売りしようとする時の「少しとうが立っていますが…」って、あの時代にしたらそうなのかもしれないですけど、いや~、そんなことは…。
あんまりよくわかっていないというのもあるかもしれないけど、それにしてもものすごい覚悟。
これでは野風が、仁に対する愛を咲から感じても無理はない。

武家のおひいさまだから、女郎になったらそれはそれでお客が変につきそうですけど…、「必殺」的な、あんまりむごい図のようで考えたくない。

野風も龍馬も咲も恭太郎も田之助も儀兵衛も、み~んなお互い助け合ってるんだなあ、と。
今回はあんまりタイムスリップとか、歴史のことを考えず、仁の姿が江戸時代に生きる1人の医者として、存在していた気がします。

江戸の町は暗い、だからみんなで助け合って行くんだ、って既に江戸の人になってる。
そして、未来の為だけじゃなくて、自分も助けられているのだから、自分がここで為すべきことを為して、みんなを助けたい、と。

偉人たちに比べたら、現代の普通の人間であった仁の器は、そう大きくはない。
だけど、仁の心はとても美しい。
周りの人間が助けたい、守りたいと思う、大きさだけじゃなくて美しさもまた大切、と。
人にはいろんな価値がある、ということですか。
ほんと、日曜の夜に希望を持たせるドラマだなあ。

個人的には龍馬の動きがあると、楽しい。
内野聖陽さんの龍馬、すごく良いです。

次回、一体何が起きるの?!
極めて残酷な未来へ向かって、とは…?
すごく気になります。
あ~、もう、仁を見てると日曜日が落ち着かなくて、気になってしょうがなくて嫌、いえ、楽しい。
もう終盤なんて、寂しい。


2009.11.30 / Top↑
CM
♪キャッ、キャッ、キャラット、キャッ、キャッ、キャラット♪
猫の顔が幾つも壁からのぞいていて、ひとつだけ柴犬くん、というCMもありました。




前にも書きましたが、こちらも。



女王猫様~。
あなたには、もう、かないません。


孫だったり、三代目だったり、相棒だったり、連れ合いだったり。
兄弟だったり、お兄ちゃんだったり、弟だったり、末っ子だったり。
ダーリンだったり、押しかけ女房だったり、小姑だったり。




へーベルハウスのCMに出ていた猫は、おもしろかった。
設計図の上を「にゃー」と言いながら、ばっちい足で歩いちゃって、そこにいる人全員が「ああっ!」と…。
実際のタレント猫さんは、足を汚されてご機嫌斜めだったらしいですけど。

「うれしいな」「あー、うれしー」と口を開けて歩く猫に言葉を当てて、3階建ての新しい家の喜びを表現したCMもありました。
もう一度見たいです、あのCMたち。


2009.11.29 / Top↑
「傷だらけの天使」を映画にするのなら、どういう作品にするのかは、やっぱりどうしたって気になります。
そもそも、何故、映画にするのか。
今、「子連れ狼」の続編が描かれてます。
原作者としたらあのラストの後、続編を描かなかったということは、あのまま大五郎をずっと放置していたということで、気にかかっていたそうです。

「傷だらけの天使」も、確かにあのままの状態で修が放置されてるといえば、そうかもしれない。
その他、映画化するには、処々の事情もあることはあるんでしょう。
しかし、映画化するならば、やはりあのラストシーンをずっと心に残した人、衝撃を受けた人に対して誠意のある映画にして欲しい。
「傷だらけの天使」ならではのところは、守ってもらえたらいいな、と思います。

タイトルの「傷だらけの天使」。
これはもう、当たり前だけど、修と亨のことですよね。

決して恵まれた環境にある人間でもなければ、真っ当な道を行っている人間でもない修と亨。
どちらかというと、底辺に近いところを生きているチンピラ。
世間からは眉をひそめられるような、警察と聞けば目を逸らして背を向けたくなるような「傷だらけ」の2人。

そんな2人が、仕事を通じて様々な人と関わる。
自分たちが関わった人間に誠意を感じた時、彼らはその人たちを全身で守ろうとし、体中痛めつけられる時もあり、心まで痛める時もある。
まさに「傷だらけ」になる。

世間的には、ろくでもない人間だからこそ、自分たちの信じるところは守る。
最後の最後に残ったものだけは、大事にする。
そんな彼らは、「傷だらけの天使」。

非情ともいえる綾部貴子と、自分の利益次第で修と亨に敵対もすれば協力もする辰巳との対比で、彼らの損得抜きの奮闘振りはより鮮やかになった。
大概は修と亨が自分たちの無力さを噛み締める結果となったけど、彼らは決して自分たちの関わり方を変えなかった。

このドラマがいつの時代にも一定の共感を呼ぶのは、こういう修と亨の不器用さに共感を抱くからだと思います。
逆に言えば、「いつも損してばっかりでバカみたい」としか思われなくなった時、世の中は大変済みにくくなってるだろうな、なんて思うわけです。

小説「魔都に天使のハンマーを」は、あの情景と修の心情が描かれていました。
(以下、抜粋と要約です)。


あの時。
綾部貴子と共に逃亡しようとした時に、亨がペントハウスに転がり込んできた。
熱が高くて、立っていられることもできない。
修が綾部貴子と逃亡するのを知ると、自分を見捨てるのかと責めた後、亨はアニキアニキと心細い声で呼び続けた。

あの日のことが、修の一番怖い夢だった。
「このまんまじゃ共倒れだ」と言って、修は「アニキィ」とすがりつく亨を振り切る。
言ってはならない言葉を口にした、こんな時に風邪なんか引きやがって!と。
なんで噴水になんか飛び込んだ、と怒った。
わかっていた、金がなかった、亨は修と健太と暮らす金を稼ぐ為にやって風邪を引いた。

修は思っていた、たかが風邪で死ぬわけない、と。
振り切って出ていって、タクシーの中で心配でしょうがなくなった、「アニキ」と呼ぶ声が耳から離れない。
まだ時間はあると思った、良い薬を届けようと思った。
日曜日だから開いてる薬局を見つけてくれとタクシーの運転手に頼んだ。
嫌な予感があった、と。
手間取った、それでもやっと開いている薬局を見つけて薬を買って届けた時、亨はもう返事をしなくなっていた。

どこまでもどこまでもあの声と、一緒に過ごした日々が追いかけてくる。
冷たくなった亨を風呂に入れたけど、風呂で生き返りはしなかった。
でもこれは死骸じゃない、亨だ、亨なんだ。

亨を死骸とは認められなかった修は、「俺、今日おごってやる!」と叫んで町中を歩いた。
一晩、どの店でも拒否され、嘲笑され、明け方、これはもう亨じゃない、死骸なんだということを修はやっと受け入れた。
死骸ならどこかに還してやろうと思って、夢の島へリヤカーで連れて行った。

亨だった死骸が転がって、ゴミが風に舞った。
カラスとカモメが羽ばたきしていた、その時から修は鳥は嫌いだと思った。
アニキ、アニキ、亨の声が追いかけてくる。
うなされて修は目を覚ます。

「魔都に天使のハンマーを」の中では、修が「シャークショ」と呼ぶ男が出てくる。
そのシャークショを修は「ばか!」と殴りかけて、手を止める。

こうして亨をよく叩いたんだ、それは親愛の情があったからだが、でもそんなことは相手には通じない。
通じないまま、亨は死んでしまった。
修に見捨てられたと思って、亨は死んだだろう。

あんな風に怒鳴り散らし、当り散らして、それでも修についてくる、そんな人間はいない。
過去にはいた、でももういない。
この世の中にはそんな人間はいないんだ、そんなことをこの30年で修は学んできた。

刑事に修は言う。
亨の死因は風邪だと。
「亨は風邪だよ。バカじゃなかったから風邪を引いて死んだんだ。それでも俺が殺したって言うんなら、その通りだ。しかし罰はもう受けたよ。ずっと受けてきた。ポリ公なんかに四の五の言われる筋合いはねえや」。

荒れ果てたペントハウスで修は言う。
「亨、亨よぉ。お前、良い時に死んだよ。俺はとんだ死にぞこないだ」。

唯一無二の相棒を修はなくした、助けられたかもしれない唯一の男だった修が死に追いやったも同然だったと修は思っている。
その罪は一生消えない。
そしてその罰は言わなくてもわかる。

唯一無二の存在をなくして一人、地べたを這いずるようにして生きなくてはならなかった人間がどんな思いを抱えて生きていくか。
悔恨と孤独を味わって生きるとは、どんなことなのか。
そして、自分たち2人の何が他人にわかるというのだ、と。


「魔都に天使のハンマーを」は、修が亨の死を背負いながらも生きてきたこと描いていたんです。
亨はもう出てこないけど、ちゃんと「生きている」存在になっていた。
どうしようもない悔恨を抱えながらも、それでも修が亨という存在をしっかり抱きしめて生きてきたことを矢作俊彦さんは描いてくれていた。

「傷だらけの天使」を見ていた人間が、締め付けられるような思いで読める小説にしてくれた。
それこそが、あのラストを見た人間が見たかった、その後の修じゃなかったか、と。
だから、矢作さんの描いた修を「その後」として、多くの人が受け入れたんだと思います。


リメイクでもここを変えたらもう、それは名前を借りただけで別のものになっているというリメイクってありますよね。
「傷だらけの天使」は、昔の名作の名前を借りただけで、全く精神を受け継いでない、そんなものになってほしくない。

修と亨が散々もがいた後に訪れた、あの最終回。
亨を死なせて、綾部さんを逃亡させて、辰巳さんを逮捕させた。
徹底して、「傷だらけの天使」世界を壊した。
そうすることで、修を戻れなくして、「傷だらけの天使」の世界を完結させた。
だから、悲しかったけれど、あれで「傷だらけの天使」は終わりなんだと思っていた。

祭りが終わった後のような寂寥感と虚しさを感じさせながら、「ひとり」をバックに、まさに1人で立ち去っていく修。
あの修と亨のラストシーンを強烈に胸に刻み込んだ視聴者のことを、忘れない作品を作ってほしい。
そう思います。
映画化の話が本当ならば、あのドラマを視聴した1人として、心から応援します。



2009.11.28 / Top↑
「傷だらけの天使」の映画化という話が出ています。

独立系の日本映画を称揚することで根強いファンをもつ、日本映画プロフェッショナル大賞(日プロ大賞)。
その復活イベントのオープニング・トークショーで、21日、奥山和由氏が萩原健一、水谷豊の主演で「傷だらけの天使」を企画していることを明かしたらしい。

監督は深作健太氏。
撮影は木村大作氏という構想らしいです。
奥山和由氏というと、大変失礼ながら、1994年の映画、「RAMPO」(らんぽ)の奥山バージョン、黛バージョンなどの騒動が思い出されちゃうんですよね…、つい。

30年以上の時を経て、映画になる「傷だらけの天使」ってどんなドラマだったんだろう。

「傷だらけの天使」は現在見たら、主人公たちが何だかいつも報われないし、前半から中盤、そして後半にかけてドラマの感じは変わってくるしで、それほど「すごい名作!」という印象にならないかもしれない。

でもこのドラマがなければ、生まれなかったドラマっていうのもあると思ってます。
影響が見てとれるドラマも、あるいは作為的に影響されたことを隠したドラマも、直接ではなくて実は意外なところでも。
「傷だらけの天使」やショーケンの影響を受けたものは、結構あったと思う。

蜷川さんが、ある昭和を代表する人物像を演じた俳優のことを、「ショーケンがいたから楽だっただろう」と言ったんですね。
「何が受けるか、何が失敗するか、先駆者であるショーケンを見てわかるんだから」というようなことを言ったんですが、「傷だらけの天使」のすごさっていうのは、こういうことなんじゃないかって思うんですね。

あの時代だから作れたパワーとか、時代の空気。
そういうものが一杯にある。
なおかつ、それまでになかったような作品。
ショーケンという存在があって作れた作品。

例えばジェームズ・ディーンの「エデンの東」「理由なき反抗」。
ダスティン・ホフマンの「卒業」。
石原裕次郎の「太陽の季節」や「狂った果実」。
中村雅俊の「俺たちの旅」なんかもそうかもしれない。

それを代表作、または出世作と呼ぶのよ。
はい、そうですね。

主人公が悩み、傷つき、頑張る姿が同世代を投影し、共感と憧れを呼ぶ。
俳優にとっても代表作なだけではなく、時代を代弁している作品。

あまりにもそれが強烈なものだから、だからややもすると、その俳優がその作品のイメージを背負って行ってしまう。
その作品だけが語られてしまう危険もあるような、作品。
それがショーケンや水谷豊にとっての「傷だらけの天使」であり、私たちにとっての「傷だらけの天使」だったんじゃないか、と。

野川由美子さんが「必殺仕置人」について、「ドラマ界に確実にひとつの石を投げ込んだ作品」と言ったけれど、そんなドラマだったんじゃないでしょうか。
中村敦夫さんの「木枯らし紋次郎」もそう。

「傷だらけの天使」映画化に関しては、いろいろと思うこともあるけど。
それでお願い。
映画化するなら、深夜でもいい、昼間でもいい、「傷だらけの天使」の「無難な回」でいいから再放送してみてくださいね!

お願い!
確実に原点になったドラマであり、古典になったドラマを。
そして、何より、時代のトップを駆けていたショーケン、そして今は「相棒」の右京さんである水谷さんの軌跡を見る機会を作って欲しい。

そのカッコよさ。
同時代にいたら、あなたも惚れたかもしれませんよ、って。



2009.11.27 / Top↑
あることについて調べようと思って検索サイト開いたら、「マンソン・ファミリー」なんて怖ろしい検索ワードが上位に!

マンソン・ファミリー、それは私にとって映画「ヘルター・スケルター」が最初の印象。
映画の予告編を映画館で見た子供たちは、少なからずショックを受けたはず。
子供映画だったんですよ~、それなのに何と言う映画の予告編を…。
何という凄惨で、異様な世界を…。
おかげでずーっと覚えてたじゃないかー、もー。

でも「ヘルター・スケルター」って、イギリス発祥の遊園地にあるクルクル回る滑り台のことなんですってね。
決して、怖い意味があるわけじゃないんですってね。
それでシャロン・テートの「吸血鬼」の監督がロマン・ポランスキーで、この映画がきっかけで2人は結婚したんですってね。

「羊たちの沈黙」で有名になったFBI心理分析官、ロバート・K・レスラーの本でも、チャールズ・マンソンは取り上げられてました。
この本もね、私は後輩に借りて読んでしまいました。
最初は「ひええー」だったんですけど、人間って怖いですね。

初めの章あたりは「今、何にも食べたくない、飲み物もいらない」って感じだったのに、最後の方は平常心で読めるようになってるんですから。
事件の凄惨さは同じなんですよ。
要するに慣れたんですね。

この本、丁寧に巻頭に事件の写真までついていたのですが白黒でよかった。
いや、でも、白黒がかえってグロテスクだったかも。
「うわ、このページ、真っ黒!」って。
まあ、FBI捜査官としてシリアル・キラーたちの心理を捜査・分析した話なのでのどれも嫌な事件です。
でもこの本、怖いもの見たさ、ってこともあって、結構読まれたんですよね。
私も興味をひかれて、借りたんだし。

その「ヘルター・スケルター」ことマンソン・ファミリーだけど、数年前、彼らについてアメリカのTVで放送されたものを見ました。
本当にひどいわ。
シャロン・テートってすごく綺麗な女優さんだし、本当にひどい事件。
彼女の名前と印象がもう、女優というよりも凄惨な話として思い出されてしまうし。

「FBI心理分析官」は段々慣れて読めるようになったとはいえ、さすがにこの本を全部読んだ後は、軽くて気が明るくなる本を読みたくなりました。
この手の話は当分、いいやって思いました。

本の中で、「深淵を覗く者は気をつけなければいけない。深淵もまた、こちらを見ているのだから」という言葉がありました。
猟奇的な事件や犯人の心理を追う時にこちらまで異常な領域に踏み込む可能性と危険についての警告ですが、この本、確かに自分の変化も含めて、いろんな意味で危険を感じました。

ロマン・ポランスキーの「吸血鬼」のオープニング。
でもこれはアメリカの映画会社が公開時につけたもので、ポランスキーは全く関係がないようです。




オリバー・ストーン監督が、マンソン・ファミリーについての映画を作る噂もあるそうです。
シャロン・テートが美しい映画「吸血鬼」。
彼女に起きたことを考えて鑑賞すると、吸血鬼より、異常な状態に置かれた人間が一番、無慈悲で残酷で怖い。


2009.11.26 / Top↑
「仁 -JIN-」の7回目にヤマサ7代目当主・濱口儀兵衛(梧陵)が登場。
今朝の日経新聞でも、濱口儀兵衛(梧陵)さんが紹介されてました。
なんというタイミング!

7代目・濱口儀兵衛となった梧陵さんは「仁」で描かれる9年前の1854年、安政東海・南海大地震での「稲むらの火」で有名。
大地震の後に津波を予測し、村人を避難させる為に自分の田から収穫していた稲の束に火をつけて、村人を暗闇の中、高台まで誘導。
広八幡神社に逃れて、村人の9割が助かったのが「稲むらの火」。

さらにその後、避難所を作り、病院を作り、村の復興に私財を投げ打ち、村を復興。
17世紀に分家した東濱口家・ヒゲタ醤油の吉右衛門さんと共に、現存する広村堤防を築いた。
こんなの、個人でできる範囲を超えてますよね、すごい。
小泉八雲が「生き神さま」と書くわけです。

西洋種痘所への尽力、蘭学者への援助、コレラの予防。
このあたりが「仁」のストーリーと大いに関わる理由なんでしょうが、しかし、ヤマサを出してくるとは「仁」、驚きです。

「仁」の7回目の舞台は1863年ですが、約20年後の1862年には異例の商人からの抜擢を受けて現在の和歌山県・紀州藩の勘定奉行になり、経済の近代化を行ったそうです。
明治時代には、郵政大臣として郵便制度を作る為に尽力。
ただし、反対勢力の方が強かった為、在任1ヶ月で辞任。

1887年にはアメリカに渡り、ウスターソースの瓶詰が売られているのに注目。
濱口儀兵衛さんは翌年、ニューヨークで病気の為に亡くなってしまったのですが、同行していた高島小金治さんが製造法を習得して帰国。
8代目濱口儀兵衛さんと共に研究し、1886年に瓶詰めの「新味醤油」を発売したとのこと。
ただ、この新味醤油は香辛料を使っていた為に、あんまり評判が良くなくて、1年ぐらいで販売中止になったらしいです。

日経にも書いてありましたが、ヤマサはお醤油以外の事業はあんまり成功していなくて、7代目が私財を投げ打って社会に貢献した為、この8代目・儀兵衛さんは資金繰りに苦労されたそうです。

アメリカではこの新味醤油、「ミカドソース」って名乗ってたみたいですね。
以前のアメリカで売られていたお醤油って、醤油がちょっとしか出なくて、要するにスパイス程度の使い方をされていたようで、滞在する日本人の方はそのちょこっとしか出ない瓶にイライラしたことでしょう。
家にお醤油がないなんて考えられない、だって私は日本人だもーん、って。

私は海外で、醤油という調味料の偉大さを改めて認識しました。
お醤油買って来て調理。
「あ、そのソースをかけないで持ってきて、お醤油なら食べられる…」って感じの料理も結構あった。

いやー、素晴らしい、お醤油は。
これなら食が進むわ~。
お醤油ありがとう!
ヤマサさん、キッコーマンさん、ありがとう!って感じでした。

私財を投げ打って社会に貢献し、小泉八雲には「生きた神さま」と書かれた7代目・濱口儀兵衛さん、その後のヤマサを支えた娘婿さんである8代目。
意外なところでスポットライトが当たって、良かったですね!
今も昔も、お醤油は日本にとって偉大!ってことで。


2009.11.25 / Top↑
必殺仕置人26話 「お江戸華町未練なし」

最終回です。
テレビ埼玉の「仕置人」の放送はもう終わって、今は「仕留人」放送してます、遅いです、すみません。

冒頭、ひび割れた大地、燃え盛る炎と流れる祈祷の声、狂ったように踊る白装束の女。
あちこちの井戸が枯れ、残った水のある井戸に人々は殺到する。
半次が向かった井戸には水があったのだが、岡っ引きの仁王門の寅松(山本麟一)が疫病が出たので、近隣の井戸は奉行所からのお達しで全部使用禁止だと言う。

夜遅く、病気の父親の為にこっそりと閉鎖された井戸を開け、水を汲んでいたみ乃という娘は見つかって寅松の手下の辰三という男の慰み者にされてしまった。
水を持って帰ったみ乃の様子で異常を知った父親の佐平は、半次とおきんに噂で聞いた仕置人に辰三の始末を頼みたいと言った。

仕置人に頼むには相応の金が必要だが、金はない。
金がないのでは仕置人は動けないと言う半次とおきんだが、佐平は娘が自分の身と引き換えに持って来た水で払いたいと言う。
しかし鉄は骨つぎの仕事以下の金での仕置きは嫌だと言う。

水を渡せば佐平は死んでしまうとおきんは鉄の人情に訴えるが、「人情話ってのはベタベタしてどうにも好きになれねえんだよ、棺桶も嫌だって言ってるだろう」と鉄は拒否。
そう言っておきんと別れた鉄は、寅松が辰三たちに水泥棒が出ないよう、見張らせながら水を大量に汲んでいるのを見る。
鉄が見ているのに気づいた寅松は、「何か文句があるのか」と十手を振り回しながらすごみ、鉄は無言で立ち去った。

結局、娘の身と引き換えにした水など飲めないと言っていた佐平はなくなった。
その夜、辰三が水を持ってみ乃のところにやってきたが、父親がなくなった今、もう水などいらないとみ乃は言う。
帰ってくれと言うみ乃を辰三は無理やり押し倒し、み乃は抵抗しながらかんざしで辰三を刺してしまう。

翌朝、み乃は捕えられた。
連行されていくみ乃を鉄も錠も、そしておきんと半次も見ていた。
み乃を連行しに来たのは、主水だった。

おきんは主水に「八丁堀の旦那!」と呼びかけ、辰三は死んだのかと聞いた。
主水によるとしんではいないがかなりの傷で、近所の者に話が聞きたいと言うと、おきんと半次は番所について行った。

番所で事情を聞いた主水は、「かわいそうな娘だなあ」と言い、おきんは鉄にも錠にも、先に仕置きをかければこんなことにならなかったと猛烈に怒っていた。
しかし危ない仕置き仕事を水1杯で引き受けるわけにもなあ…、と頭をかく主水にもおきんは「銭金じゃありませんよ!」と怒った。

鉄はこうなったのも全て、水のある井戸まで使えないようにしてしまったお上の責任だと言う。
それは疫病のせいだと言う主水だが、いつどこでどんな疫病が発生したのかは主水にもわかっていない。
しかも鉄はお上の御用水と称して、仁王門の連中が大量に水を汲み出しているのを見たと教える。

主水は筆頭与力の塩見内膳に井戸水使用禁止の原因の疫病のことを聞いたが、疫病は発生したのではなく、発生する危険があるから公儀の命令で閉鎖したのだと言われる。
御用水は城内に運んでいる。
「人々の苦しみ、目に余ります!」と言う主水に塩見は、井戸のある寺や神社の管轄は寺社奉行だから、筆頭与力の自分にも何もできないと言われ、雨乞いでもするしかあるまいと言われて終わってしまった。

夜に鉄と半次が見張っていると、仁王門たちによって水は造り酒屋の山城屋に運ばれていた。
仁王門たちは大名屋敷や造り酒屋、酢や醤油を作っている店、旅籠、料理屋などに水の横流しをしていたのだった。

主水が鉄を連れて牢にやってきた。
牢番に気の荒い奴だから気をつけろと言ったが、鉄はいきなり牢番を殴って気絶させた。
鉄は鍵を奪うとみ乃が入っている牢の鍵を取り、「おみ乃さん」と呼びかけ、鍵を開けた。

み乃を連れて逃げる際、主水は打ち合わせどおりに自分も殴らないと疑われると言うと、そうかと言って鉄は我慢しろと主水を殴った。
「ばかやろう、少しは手加減しろよ…」と言って主水は倒れた。

牢破りに気づいた町方は追いかけてきたが、その時、鉄と錠が棺桶を持って通りかけた。
中を聞かれた錠は中身は死人に決まってると答えたが、町方は見せろと言う。
だが開けようとした同心に、「疫病が伝染っても知らねえよ」と錠が言うと、同心は「もういい!行け!」と怒鳴って鉄と錠を行かせた。

しかしやはり、と思い直した同心が棺桶を開けさせると、中には目を閉じた女が見えた。
その途端、鉄と錠は町方たち相手に暴れ始めた。
町方を次々組み伏せると、鉄と錠は棺桶をかついで夜の町を歩いて行った。

鉄、錠と半次、おきんはみ乃を助け出すと鉄はみ乃に早く江戸を離れた方が良いと言って金を渡した。
「いいとこあるじゃないか~」と言うおきんに「人情でやってるんじゃねえ。とっつぁんの頼みを聞いてやってりゃ、娘さんこんな目に遭うこたぁなかったんだ」と答える鉄。
「とっつぁんと一緒に行け」と言って錠は位牌を渡した。
今度は「気が利くじゃねえか~」と言う半次に、「仏さん扱うのは俺の商売だ」と錠。

仕置人たちに頭を下げながら、み乃は旅立った。
しかし、み乃を見送った4人の姿を影から仁王門の手下の政が見ていた。

翌朝、水の横流しによる売り上げ金を、寅松たちが塩見に渡していた。
塩見は寅松たちの働きを誉め、場合によっては同心の末席に加えると言う。
このことは南北両奉行及び、寺社奉行も承知で、売り上げは全て寺社奉行に渡されるという塩見の言葉を主水はひそかに聞いていた。

さらにそこに、鉄たちの人相書きが配られた。
人相書きを見た寅松が「あれえ」と声を上げた。
寅松はこいつらは自分の縄張りであるかんのん長屋の住人だと言って、瓦版屋の半次、棺桶屋の錠、この女はおきん、この坊主頭は鉄といって腕の良い骨つぎだと次々説明した。

それを聞いた塩見は同心の小林と木谷に人相書きを見せ、こいつらこそ奉行所の手を焼かせてきた暗闇の仕置人ではないかと言った。
鋭い刃物による手口、急所の骨を砕く手口。
特に骨を砕くのは心得のないものには無理だが、この鉄という男ならできるだろう。
もしこの4人が仕置人なら大手柄だと言って、塩見はすぐにかんのん長屋に寅松たちを向かわせた。

しかし4人はもう姿を消していた。
その手際に4人は仕置人だと確信した塩見はすぐに手配書を回そうという小林に、手配書は2人だけにして油断させようと言った。
寅松にこの中で腕の立つものは誰だ?と聞くと、寅松は鉄と錠だと言った。
町に鉄と錠の手配書が貼られる。

潜伏していたおきんは半次にどうして自分と半次の手配書が出ないんだろう?と不思議がっていた。
暗くて見えなかったんだよ、と言う半次は水の横流しをしているお上が許せない、瓦版に書いてやると憤る。
鉄は寺社の水を汲んでいるのに、寺社奉行が何も言わないのを訝っていた。
その時、鉄たちが潜んでいる廃屋の戸を叩く音がした。

みな、すっと隠れ、錠が手槍を閃かせながら近寄る。
破れた穴から子供の顔が見えて、手紙が突き出された。
錠が受け取った手紙は主水からだった。
手紙には塩見の動きが不審だということ、今夕、塩見とある人物・2人が会談することが書かれていた。
1人は南町の筆頭与力の神島源之丞(外山高士)、もう1人は寺社奉行組頭支配・沢井刑部。

料亭で会った3人のうち、沢井は水の一件が奉行にわかったらどうする?と少し不安がるが、塩見は奉行は飾り物、たとえ耳に入っても現場にいる刑部が知らないと言えば良いと言う。
神島も雨が降って水が豊かになるまでの間に出世する為の金を稼いでおくことだ、と言う。
「雨さえ降れば全て綺麗さっぱり、お終いになる」という塩見に2人は笑った。

翌日に自分の顔は割れていないと安心していた半次が、寅松に捕まった。
拷問を受け、半次は鉄たちの居場所を言うことを強要された。
塩見は小林や木谷に、仕置人をおびき寄せる囮だから半次を殺すなと命じる。
翌朝、町中を引き回した末に処刑すれば、必ず仕置人たちは動く。

鉄たちは主水から半次の処刑の報告を受ける。
「罠だ」と錠は言い、主水も「そうだ」と言った。
「このままほっとくわけにもいかねえ。だが、みすみす罠にひっかかっちまっうと、おめえたちの命も消えちまうぞ」と言う主水におきんは「どうすりゃいいんだい。今日まで苦労を分け合ってきた半公を見殺しにするってのかい!」と言う。

鉄も主水も、水の横流しで儲ける奉行所内のカラクリは察しがついた。
「本当に汚ねえ。あまり汚なすぎらあ」と言う鉄。
「念仏。タダ働きしねえとおめえ、いつも言ってたな。…今度は違うぞ。違うか!」と錠が手槍をギリギリさせて床に突き刺す。
それを見た鉄は「ああそのつもりだ。やらなきゃ煮えくり返った、この腹の虫が収まらねえ」と言う。

向こうから仕掛けられる前に先手を取って、こちらから仕置きを仕掛ける。
「乗るかそるか、どっちに転んでもこれが年貢の納め仕事だ」と言う鉄に主水も、「そうと決まれば俺も命賭けるぜ」と言う。
鉄は「銭勘定しねえで危ねえ綱渡りをするのはバカバカしいが、何となくマシな人間になったような気がするじゃねえか!」と笑った。
「力あわせてやろうぜ」。

巡礼姿のおきんが、昼日中、鈴を鳴らしながら歩いていた。
おきんが持っているのは、中に濃厚な紫色の液体が入った鉢だった。
歩いていくおきんは、橋を渡りかけた沢井に話しかける。
「沢井刑部さまですね。あなた様にこれを差し上げようとお待ちしておりました」。
「何?」

足を止めた沢井におきんは「鉄をも溶かす、強い薬でございます」と言うと、鉢を沢井に向かってひっくり返した。
液体は沢井の顔にかかった。
沢井は悲鳴をあげ、横流しの金を放り出し、目元を押さえてのた打ち回った。
おきんは散らばった金を集めて拾い、辺りを確かめると、のた打ち回っている沢井を置いて立ち去った。

南町の神島の元へは、主水が訪ねてきていた。
塩見から神島が胴太抜という立派な刀を持っていると聞いたので、目の保養に見せてくれと言う主水を神島は拒否したが、胴太抜には偽者が多いと聞くと「わしのは正真正銘じゃ!」と言って持って来た。

「良く見ろ!」と言われた主水は、胴太抜を抜き、水平に構えて刃を見ると、刃を懐紙で包んだ。
「どうじゃ」と言った神島に向かって、主水はそのまま胴太抜を突き刺す。
「なっ、何をする!」と叫んだ神島を、主水はそのまま奥まで追い詰め、倒れた神島になおも胴太抜を突き刺す。

続いて神島を起こして座らせると、主水は後ろに回って羽織を脱がせ、着物の前を開き、そのまま前のめりにさせた。
神島が悶絶して動かなくなると、主水は正座し、静かに一礼する。
「見事なご自害であった」。

半次の処刑の朝、激しい雨が降った。
人々は空を見上げて、「雨だ!」「雨が降った!」と狂喜していた。
最初の囚人の処刑が行われるのを、半次が目の前で見ていた時、鉄と錠は刑場の塀の上に登っていた。

半次が目隠しをされて、首斬り役人の前に座らされる。
刃に水がかけられ、半次の前にさらされた時、鉄が役人を突き飛ばして走ってきた。
鉄は一直線に塩見に向かうと塩見の刀を抜き、首に押し付けながら「動くとこいつの命はないぞ!」と叫んだ。

同心の小林や木谷が向かってきたが、塩見を盾にされ「刀を捨てろ!」と言われて、役人たちは次々刀を捨てた。
そこへ錠が走ってくる。

刀を拾った錠は振り回して、役人たちを一箇所に集めた。
「貴様、何者だ!」と叫ぶ塩見に鉄は「闇の仕置人だ!」と叫び、半次を解放せと叫んだ。
拒否する塩見を盾にした鉄は、錠に半次の縄を切れと言う。
縄を切られ、目隠しを取られた半次は錠の「半次!」との呼びかけに「おお!」と答えると、2人は逃げた。

「水不足をいいことに私腹を肥やすとはいい度胸だ!」と鉄は言うと、指を鳴らし、塩見の背中に当てた。
息を詰めた塩見の背筋を指でたどった鉄は、ボキリと塩見の背骨を折った。
小林が鉄に斬りかかって来るが、鉄は小林の腕を掴むと小林の骨を外した。

斬りかかろうとした木谷を、飛んできた錠が刺す。
更に刑場の隅に逃げた寅松を追うと、傘を広げた錠は傘の向こうから手槍で寅松を刺した。
傘が破れ、寅松は最期に錠の怒りの目を見る。
そして鉄と錠はどしゃぶりの雨の中、逃走した。

雨上がり、旅支度をした主水が仕置人たちがいる廃屋へ入ってきた。
主水の気配にサッと散った鉄たちだが、主水を見ると鉄は「八丁堀!おめえは来ちゃいけねえんだよ!帰れ!」と言った。

「何を言うんだよ。俺もおめえたちと行くぜ」と言う主水に鉄は、「バカなこと言うんじゃねえ」と言い、「勝手についてきてもらっちゃあ困るな!」と言った。
旅姿の半次も主水には家庭があり、立派な勤め先があると言い、錠も「俺たちに義理立てするこたぁねえ!」と言う。
おきんも「そうだよ。お前さん何も疑われてないんだから、江戸をうることはないよ」と言った。

「しかし、おめえたちを別れるのは、なあ…」と言って、主水はうつむいた。
その言葉に、おきんもうなだれた。
すると鉄は、「別れるのはおめえ1人じゃねえ。みんなここで別れるんだ」と言った。
半次とおきんは顔を見合わせて「え?」「あたしたちも?」と驚いた。

人相書きまで出回った自分たちが一緒にいれば、また目をつけられる。
ここで別れて、それぞれ新しい道を探した方がいい。
それを聞いた半次は、「俺は嫌だ!」と言った。
4人とも命の恩人だ、こんな良い仲間には二度と出会えない。
そう言う半次におきんも「その通りだよ、あたいだって独りぼっちになるの嫌だよ」と言う。

「1人ぼっちの方が足を洗いやすい」と言った鉄に、錠は「念仏、おめえ、足洗う気か?」と聞いた。
「洗うかもしれねえ。洗わねえかもしれねえ。だがよ、いつまでも続けるほどありがてえ商売でもねえだろう」と、錠の後姿に鉄は言った。
半次は「鉄つぁんらしくねえぜ。俺はついていくぜ」と言い、それを聞いたおきんも「あたしも」と言った。

鉄は「よし、じゃあこれで決めよう!」と、一文銭を出した。
「表が出たら一緒に道中、裏が出たら別れる。後から文句は聞かねえぜ!」と言うと、錠も「わかった」と言う。
鉄は銭を宙に放り投げた。
一文銭は落ちて回り、倒れて裏が出た。
「裏だ!決まった。別れるぜ!」と言うと、鉄は旅道具を持って立ち上がった。

「鉄さん!」と声をかけたおきんに鉄は、「またいつか5人揃って会えるよ」と言った。
「会えるってどこで?」。
「どうせ極楽へは行けねえ俺たちだ。会えば地獄だろうぜ」と笑い、「生者必滅、会者定離」と言うと、「あばよ!」と大きく声をかけて勢い良く戸を開けて出て行った。
「鉄さん!」とおきんが追った。

鉄の去った後を見送っていたおきんの後ろで、錠が立ち上がった。
主水の横に来た錠は、ちらりと主水を見ると出て行った。
「錠!」。
そして半次が立ち上がり、杖をつきながら戸口から出た。
「半公…」。
おきんは主水を振り向いて見ると、外に走り出た。
主水は1人残って、みんなが出て行った雨上がりの外を見ていた。

鉄が先ほど賭けに使った銭を出すと、その銭は2枚が貼り合わせてあった。
どうなっても裏が出るように貼り合わせてあった銭をはがすと鉄は薄く笑いながら、「世の中、裏目ばっかりよ」と言って勢い良く銭を放り投げた。
そしてどこへともなく、歩いて行った。

橋の上でおきんと半次は川の方に向かって足を投げ出し、並んで座っていた。
「半公、これからどうする?」
「どうする?…どうしよう」と半次は答えた。
「見てごらんよ。広いねえ」と、おきんは空を見上げた。
「広いねえ」と、半次も見上げた。

「日本は広いやぁ」とおきんが言うと、半次も「日本は広いや」とつぶやいた。
そして、「じゃっ。さいなら」と言って半次は立ち上がった。
おきんは黙って、半次を見送って座っていた。
錠は船で川を渡っていた。

のんびりと後ろ手に手を組んで、奉行所の門をくぐって帰る主水。
後には奉行所の単調な日常が主水を待っている…。



最終回でした。
おきん役の野川由美子さんが言うには、「仕置人」の撮影で、ある時、暑い盛りの中、衣装をひきずりながら「暑いねー」と言いながら、まるで海水浴帰りのように疲れていたけど、食事に行ったそうです。
その時、野川さんが「ねえ、またこれやるって言ったら、やる?」と聞いたら、全員が「やる!」と。

「おきんは手足縛られたりしたし、監督が『顔打つな』って言ったって当たっちゃう。
無茶言うな~と思った。
でもおもしろかった、やってて楽しかった。
だから嫌だとか、もういいやなんて思わなかった。
『仕置人』のメンバーは全員がイキイキしてて、役が手の中に入ってた」とのこと。

今なら野川さんは、元締めの役がやりたいそうです。
それがおきんだったら?
「お金貯めて元締めになってたりして、あの性格で姉御肌ですもんねー」と。
「お茶なんかたてて」って、あ、見たい、見たい!
それで普段は楚々としているんだけど、何かの時に啖呵が飛び出す。
見たい!

「『仕置人』、『必殺』は、よそのドラマより時間も3倍かかるし、傷だらけになったこともある。
でも出来上がりの映像がすごく良いし、おもしろいから誰も文句言わなかった」そうです。

最終回前半は、仕置人が追い詰められる原因となる旱魃による水騒動。
後半は、窮地に立つ仕置人。
濃密な最終回ですね~、これが1時間に収まっている。
これだけの展開があるのに、駆け足の印象がないんですから、やっぱり当時のスタッフはすごいですよね。

後の必殺最終回にも受け継がれる、正体がバレるピンチ、仲間のピンチ。
しかし解説にあるように、過激な場面はなるべく自粛するように要請されたせいなのか、意外にも仲間は誰も悲惨に死なない。
それでも1人また1人とばらけて旅立っていく様子は、とっても寂しい。

いくら旱魃だからといっても、仕置人は自分の命も危険にさらされる非合法の危ない仕事をタダでは引き受けられない。
それにタダで引き受けてしまえば、歯止めがなくなることも事実。
しかし、み乃が牢に入れられて、鉄も錠も責任感じてる。
仕置人は能力は普通の人間を上回るものを持っているが、情の部分は普通の人間よりむしろ篤い。そして訪れる別れ。

かんのん長屋って、仕置人が集まってて、楽しかったんでしょうね。
みんな仕置人なんてやるぐらいだから、過去にはいろいろとあったんだろうけど、やっと見つけた自分の居場所、自分の仲間。
だから別れるのが嫌だって、おきんの気持ちがすごくわかる。
主水までが旅支度で来ちゃうし。

ここで解散かどうか、決めるのは中心的な人物であり、主水より自由な立場である鉄。
イカサマしてまで、鉄が別れる理由は何か。
みんなと一緒にいれば、いずれ誰かの死を見なければいけない。
今回は逃れたけれど、いつかきっと誰かが。

「またいつか5人揃って会えるよ」。
「会えるってどこで?」。
「地獄で」。
「生者必滅、会者常離」。

出会ったものには、必ず別れが来る。
鉄はすごくあっさりと出て行くように見えたけど、そうしないと去って行けないからだと思います。
「世の中、裏目ばっかりよ」は、結局別れなくてはならない運命に対しての言葉。
自分の地獄行きは覚悟しているけど、みんな揃って行くことはない。
なるべく、1人でも生きていった方がいい。

今度は切り抜けたけど、次はどうかわからない。
今別れれば、仲間の死を見なくて済む。
どこかでちゃっかり生きていると、信じていける。
おきんの「日本は広いや」は、おそらく、もうこの広い空の下、二度と彼らとは会えないだろうという気持ちが出ているよう。

この後、おきんと半次は「暗闇仕留人」で主水と再会しますが、半次は途中から姿を消すし、最後の別れはやっぱりとても寂しいものでした。
そして、主水はいつも1人残される。
今だから思えるんですけど、このラストは後の、常に1人残される主水を暗示しているよう。

錠は「仕事人大集合」という、いわゆるお祭り番組でその後を見せてくれましたが、本編だけでなかったことにする人もいますし、その後の彼として納得する人もいました。

鉄とはもう、ごまかしようがなく?再び「新・必殺仕置人」で出会う。
「仕置人」の最後の「完」の文字は、後に「新・仕置人」でも繰り返され、それは仕置人の崩壊と鉄の物語の完結となっていると思います。
これは主水にとっても「戦友」鉄との別れであり、裏稼業の一つの終わり。
事実上の「必殺」シリーズの始まりの「仕置人」は、「必殺」のひとつの区切りにもなっているんだと思いました。

今から30年以上前の作品ですが、やっぱりものすごくおもしろいですね。
野川由美子さんも、「テレビの画面であれだけの映像を作ったのはすごいことだし、このドラマは確実に一つの石をドラマ界に投げ込んだ作品だったと思う」と、おっしゃってます。


2009.11.25 / Top↑
浅草に昔からある、昭和も初期の香りただよう「花やしき」という遊園地があります。

ここのジェットコースターは人の家のベランダに突っ込みそうな迫力がありまして、結構好きでした。
途中で止まっちゃわないかな、壊れちゃわないかなというドキドキもあって、他では味わえないジェットコースター。
かわいらしいですしね。
そういえば、乗る際にアメリカ人らしき観光客に席順が13だから代わってくれ、な~んて言われたことがありました。

ここの「お化け屋敷」もまた、何ともいえない味というか、恐怖があります。
なんかね、古くて、お化け屋敷の仕掛けじゃなくて、建物そのものが怖そうなの。
廃墟で肝試ししているような、そっちの怖さですね。
それが、建物の老朽化のため来年の1月11日で終わりになるそうです。

なんと4半世紀、というから、84年にできたんですか。
いや、もっと古そうな感じしましたけど…。
あの建物は84年より前にはなかったのか?
なかったとしたら、私が入ったのは一体何だったのか?
な~んて。

それで、普通にお化けの仕掛けがあるお化け屋敷なんですけど、本物が出る!って噂があったんですね。
私は知らなかった。
ただ、床が抜けそうな怖さがあると思って入りました。
すみません、も~、さっきから失礼だな、私。

「血まみれの老人が見える」
「和服の女性を見た」
「子どもの声が聞こえた」
という報告がされていたそうですが、もちろん、そんな仕掛けはない。
でも子供の声はね~、壁が薄そうだったから周りのどこかから聞こえたんじゃないかなって気がするんですが、ってまた失礼。

それで花やしきも2000年にお化け屋敷を改装した時、この噂を看板に書いたそうなんですね。
やるな~、っていうか、改装したんだ。

その看板に書かれていたことが、「かつて動物小屋があり、大正12年の関東大震災の時、沢山(たくさん)の動物が可哀相(かわいそう)な死を迎えた」って、怖いよりかわいそうなのが私はダメ。
動物っていうのが一層ダメ。
何だかかわいそうになっちゃって、出るなら何かお供えしてあげて!って言いたくなっちゃう。

実際、園内には、関東大震災の際に逃走を防ぐため、やむを得ず薬殺した動物の供養碑もあるんですね。
象のハナコの話なんて思い出したら、お化け屋敷どころじゃなくなっちゃう。
悲しい。

数年前に戦争三部作みたいにして放送したけど、象のハナコの話だけは見られなかったという知り合いもいました。
このドラマ、確かにかわいそうでトラウマになりそうだったけど、戦後パートですが北村一輝さんの飼育員の熱演もあって、良かったです。
ああ、平和な時代ってありがたい。

そういえば、アメリカの空爆迫る頃、イラクの動物園の動物をヨルダンが引き取ってくれたんですよね。
日本でも戦後、動物園に象がほしいという日本の子供たちの投書を見たインドのネール首相が象を贈ってくれたんですね。
ありがとう、インド!
タイの国王も日本に象を贈ってくれたんですよね、ありがとう、タイ!
そうそう、旅行でタイに行った時、象に乗りましたっけ。

あ、動物の幽霊の場合、言葉での説得とかありがたいお経とかわからない場合があって、面倒だと聞いたことがあります。
お寺でペタペタ足音されて後をついてこられた若いお坊さんが怖くてお経あげてると、「あ~、お経あげてもわからないから、出て行かないよ~」って年かさのお坊さんが笑いながら言うと。

それで花やしきのお化け屋敷の看板にはさらに、「地下室は、防空壕(ごう)に使われていた事もあったそうです」とも書かれていたとか。
う~ん、これは何となく怖いかも。

防空壕は私が転校してきた小学校の裏山にも当時、まだいくつか開いていて、これが小学生にはリアルお化け屋敷というか怖かった。
探検しに行った子供もいますが、先生から「危ないから絶対入っちゃダメ!」って怒られて、ダメと言われるとやりたがる子がいて、何度もその繰り返しをしてました。
確かに危ない。
それである日、ついに入り口閉鎖。

しかしその後も防空壕に入ったまま出てこなくなった噂話なんかが出て、しつこくしつこく防空壕は子供のリアルお化け屋敷であり続けた。
本当に防空壕を使わなきゃいけない時代に、こんな幽霊話なんてしてる余裕があるわけない。
命の危険が常にある時代には幽霊話なんてしてられないんだから、防空壕をお化け屋敷にするなんて、ほんとに、平和な時代なんですね。

それで、花やしきのお化け屋敷。
その看板には「あなた自身が、その目で真実を確かめて」と書いてあって、こりゃ暗示にかかりやすい子供なんかは見える!と思っちゃったりしそうですね。
営業本部の鈴木さんによると、「子どもにとって、お化け屋敷の暗闇は怖いもの。親などから『本物が出るらしいぞ』と脅されたイメージが、大人になっても引き継がれたのでは」と推測。
いやいや、廃墟っぽいし…、失礼。

営業終了まで残り2ヶ月。
特に終了セレモニーも行わないそうで、何だか寂しい。
跡地に新設するアトラクションは、まだ決まっていないんだそうです。
「利用者はそれほど増えていないが、なくなる前にもう一回入っておこうという方はいる」ということで、もっと宣伝すると訪れる人は結構いるような気がします。

さよなら、花やしきのお化け屋敷。
ずいぶん行ってないのに勝手なこと言いますけど、閉鎖は寂しいです。



2009.11.24 / Top↑
行列48時間、第4回。

大河原の取調べを受ける宝福。
「あの~、私、被害者ですよね?」と大河原の態度に思わず、確認する宝福。
あと30分ほどで行列に戻りたい、そうでないと資格がなくなってしまう。

行列は新年会気分で盛り上がっていたが、宝福が気になる沙也加は浮かない顔だった。
4番目の久米も浮かれて6番目の生方に話しかけるが、生方はそんな久米についにキレてしまう。
何故自分に興味を持っていろいろ聞くんだ、聞くならその若い娘でも「会長」にでも聞いたらいいじゃないかと叫ぶ生方。
すると、9番目の笹島は大いに共感する。

ここには2億のダイヤや、南の島旅行の福袋を買いに来ている人がいる。
ナイフ一本あれば、その現金を手に入れることができるかもしれない。
笹島は沙也加に、「ナイフ持ってるか?」と聞く。
実際、包丁を持っている沙也加はとまどう。
素性をさぐる笹島に不愉快そうな「会長」。

その頃、古久根はミステリー好きのタクシー運転手・駒田と深夜レストランでこれまでの経緯を復習し、意見を聞いていた。
駒田の名前に、駒子を連想する古久根。
古久根の後をつけてきた刑事・小倉は、古久根が徳永刑事だと思ってかけた電話番号を盗み見した。
小倉は駐車場に出ると、その電話番号に電話してみる。

大河原と話している宝福に、小倉からの電話が入る。
…そりゃそうだ、永岡が徳永と名乗って宝福の電話を借りてかけたんだから。

「もしもし、古久根だが」と名乗る電話に全く覚えがない宝福は、「間違いです」と言って切った。
宝福にかかった電話番号を大河原も盗み見る。
大河原の埒の明かない態度に、宝福はもう行列に戻ると言って、引ったくりの被害届けは何も盗られなかったことだし、もういいですと言って出て行く。

ほくそえむ大河原は、盗み見た電話番号に電話をする。
しかし、そこに出たのは小倉だった。
一体何だ?!
混乱した大河原は電話を切る。

「もしもし、宝福だが」と名乗る大河原。
「…大河原管理官ですか?」
「お前、だれ?!」
「小倉です」
…ぷつっ。

自分をかばって警察署に行った宝福が戻ってきたのを見て、沙也加は安心した。
宝福と沙也加の妙な雰囲気に、行列が気づき始める。
夜も更け、行列も、捜査陣も、永岡も眠っていた。
駒子だけは行列を見下ろしながら、目を覚ましていた。

夜明け、生方の電話が鳴る。
犯人から2億円持って来たか、確認の電話だった。
跳ね起きる生方、そして捜査陣。
行列で誰が電話をしているか探す大河原だが、行列で電話をしている人間は1人もいなかった。
沙也加と楽しそうだった夫が気になった聡子は、重箱を持って行列へ。

宝福の唇がカサカサだ、と沙也加はリップクリームを差し出した。
沙也加のリップクリーム。

「リップ、クリーム…」。
宝福が差し出されたリップクリームを見つめる。
2番目の刑事も、3番目の刑事・岸和田も、4番目の久米も。
6番目の生方も、8番目の「会長」も、9番目の笹島も、最近あまりにも列がばらけるのでまとめるのに苦労している警備員も凝視する。

「リップ、クリーム…」。
待機している捜査陣も、大河原も、息を詰めて、宝福がリップクリームをどうするか、見つめている。
行列を見張っていた捜査員も凝視する。
「会長」についている秘書らしき女性が、嫌そうに顔をゆがめる。

宝福が、リップクリームを塗る。
「会長」についている秘書らしき女性が、一層顔をゆがめる。
周りが息を呑む。

塗り終わった宝福に、沙也加が「間接キッスだね♪」と囁く。
間接、キッス…?!
「宝福、間接キッスです…」という報告が、大河原に入る。
「間接キッス~?」

その時、行列に宝福の妻の聡子がやってきた。
同時に行列が見える位置にある駒子のビルの近くに古久根もタクシーでやってくる。
宝福と共犯とにらんだ2人が、宝福に接近?
「来るぞ!」と犯人の生方への接触と思った大河原たち、捜査員は行列を凝視する。

思わず、リップクリームを後ろ手に隠してしまう宝福。
この事態に宝福と聡子を、行列の人々が見守る。
おせち料理を持って来た聡子は、「この方、どなた?」と、まるで浮気を目撃したかのような刺々しい態度の聡子。
さらに娘の恵美までがやってきた。

「あれ?パパ、唇がつやつやしてる…」と恵美の言葉にドギマギする宝福。
行列の人々は、宝福の切り抜け方を固唾を飲んで見守っている。
「宝福、どう切り抜けるか」。

宝福は…、「おせち料理食べたからじゃないの?」と答えた。
「いや~だ、パパ、がっついてる」と笑う恵美、何故かホッとする行列。

聡子はおせちを行列の人たちにも勧めると、笹島は「おいしい。こんな奥さん持って宝福さんは幸せだ。おせちを持ってきてもらってる人なんて宝福さんだけだ」と誉める。
列に戻る沙也加を目で追う宝福。

桑崎と染矢は古久根が来なかったことと、古久根のビルに警察官らしき男たちが入るのを見て戻ってきてしまった。
警察官は宝福の電話の線から古久根をネットで調べ、古久根の会社と会社の入っているビルを突き止めてやってきたのだった。
古久根も連れずに戻った桑崎と染谷に、駒子は激怒。
しかし桑崎は駒子のひき逃げの捜査で警察が動いたと思い、駒子に金を出すように迫る。

桑崎と永岡が開けた金庫は空だった。
「2億円は?!」と言う桑崎に駒子は、「こんなセキュリティの甘いビルに2億円なんて置くわけないじゃないの!」と笑う。
それにキレた染谷がテーブルを投げ飛ばし、「金はどこだ!」とわめく。
「あんたもろくでもない女だったんだな!」

宝福はその頃、喫煙所で聡子に「気分悪い!」と言われ、「誰の為に並んでるんだ」と言い返す。
「自分のリビングでの喫煙の権利の為でしょ!」と言うと、聡子は怒って帰ってしまった。
見張っていた刑事は、なにやら揉めて聡子は戻った、と大河原に報告した。
駒子のいるビルから古久根も立ち去る。
「何故だ?何故、いなくなる?!」と大河原は混乱。

その頃、恵美は沙也加と公園にいた。
沙也加は行列に並ぶ理由を、とても傷ついている友人の為に彼女が好きなブランドの福袋を買いに来たと言った。
友達はきっと喜ぶだろうと言う恵美の携帯が鳴った。
彼氏の洋太郎からだった。
「出ないの?」と聞く沙也加に、恵美は「最低の男。もう出ないことに決めた」と言う。

夕べ、恵美に追及された洋太郎は確かに他に付き合っていた女の子がいることを白状した。
だけど本当に好きなのは恵美だと言うが、恵美は洋太郎を振り切って出てきたことを思い出していた。
「それが正解!」と沙也加は言い、2人は笑う。

行列が見えるビルで駒子は染矢に「あんたも、って、ろくでもない女って、他にいたの?あんたは人を信じないんだね?アタシも同じだよ」と言う。
駒子は自分の子供時代を語る。
だらしない母親、男がいないと生きていけない女だった、しかも駒子の父親になった男は別に家庭があった。
そしてついに駒子の母親は父親に捨てられた。

その年の瀬、駒子の母親は父親の家に火を放った。
父親は逃げ遅れて死亡、その後の駒子といったら悲惨に違いなかった。
「…悲惨だな」と言う永岡、うなづく桑崎、沈黙する染矢。

「だからアタシは人を信じなかった。なのに、隆に会っちゃった」と古久根と写った写真を見る駒子。
振り向くと、「金はあげるよ!」と言って駒子は鍵を桑崎に放り投げた。
「えー!」と喜ぶ3人、その時、ドア口にいた駒子は猛ダッシュで脱出する。
「何だ、これ。自転車の鍵だ!」と駒子が逃げたのに気がついた3人は追って来る。

その頃、宝福は猫に餌をやりに沙也加と公園にいた。
「さっき、何で奥さんにほんとのこと言わなかったの?」と沙也加に聞かれた宝福は、「間接キッスなんて言うから…」と答えた。

沙也加に謝る宝福に、沙也加は「宝福、か~わい~!」と笑う。
照れる宝福は道を歩いてくる黒コートの男が、自分を引ったくりから助けてくれた男と気がつく。
「あの人!助けてくれた人だ!お礼を言わなきゃ」と追う宝福、そして沙也加。
2人を見張っていた捜査員もあわてて、2人の後を追う。

黒いコートの男は銀座の古いビルに入った。
それは、笹島と飲み、永岡に電話を貸した、あのバーだった。
宝福と沙也加はエレベーターに乗り込み、降りた途端、駒子が飛び出してきた。
「あ、あなた」とバーにいた女性と気づいた宝福、その後から桑崎たち3人が追ってきた。

宝福に電話を借りていた永岡も、宝服を見て気まずくなる。
驚いた様子の沙也加を見た染矢も、深夜のディスカウントショップで「俺のタイプだ」と言っていた女の子だと気づいてドギマギ。
宝福からビルにやってきた理由をバーの為と聞いた駒子は、「バーは下よ」と言った。

そして、「おかしいわね。このビルのこのフロア使ってるの、アタシだけなのに」と言う。
宝福、沙也加、そして怪しいと言われた桑崎、永岡、染矢、得体の知れない駒子が集まった様子を見た捜査員も大河原も大混乱する。
「何なんだ、こいつらは?!」

その頃、誘拐犯たちは考えていた。
最初の計画では、駒子にひき逃げされた男がラジコンを操作して、生方にラジコンのヘリに2億円のバッグを乗せさせて身代金を奪う計画だった。
しかし、ラジコン操作する男がいない今、計画は変更だった。

そして聡子は家で鏡の前に座って、自分を見つめていた。
イライラする気持ちが収まらない聡子、その時、インターフォンが鳴った。
見ると、なんと古久根が立っている!

「なんだか、あの人たち、怖かったですね」と言う宝福と沙也加が公園に行くと、猫が置いておいた餌を食べていた。
「かわいいですね」と言う宝福に、沙也加は「宝福もかわいい」と言うと、軽くキッス。
驚く宝福。
「助けてくれたお礼!」と笑う沙也加。

その時、宝福は思った。
54歳、定年後、何をして生きて行ったら良いか、自分は半ば途方にくれていた。

趣味に生きたい、妻と旅行にも行こう。
そう思っていた。
でも今、今、はっきり思った。
「恋がしたいです」。

高倉デパート開店まで、あと17時間。



今回もおかしかったな~。

まず、大河原管理官と宝福の、取調室でのみょ~な会話。
「若い子が好きなんですか?」
「は?」
「手なんか繋いじゃって!」。
そりゃそうだ、大河原は宝福と沙也加のデートを知っているんだから。
しかし宝福さんにしてみたら、「何言ってんの?」だ。

変な反応に宝福、「あの、私、被害者ですよね?」。
そーですよ、失礼です!
だけど、宝福さんも宝福さんで、「何の為に行列に並んでいる?2億円の為か!」と生方の身代金のことを匂わす大河原に、「はい!」と答える。
一瞬、仰天する大河原。

福袋の2億円ダイヤを買いに来たと冗談を言う宝福だけど、大河原は笑えない。
つめた~い雰囲気に、「家族の為です」と答える宝福。

古久根の携帯を盗み見た刑事・小倉からの電話が鳴って、それを盗み見る為に大河原、「あんたはいい父親か?」と質問を投げかける。
その言葉に定年後、行く場所はないと告げられたこと、娘が結婚するまで頑張って働いてくれと言われたことなどが宝福の脳裏をよぎる。

「例えば…、定年後、旦那の7割が妻と旅行に行きたいと思う。だが妻は真っ平ごめんだ」。
定年後、人生の目的や楽しみを何に置こうか、迷っていた宝福は大河原のあまりに過酷な現実の言葉に、しばし考えてしまう。
その間に大河原、携帯盗み見!

しか~し、その後の小倉とのやり取りには爆笑してしまうのだった。
「管理官?」
「…お前、誰?!」
もうほんと、誰?!って。
「小倉です」。
ぷつっ(電話を切る)、なんですもん!

そしてついに、一連の変な出来事は駒子が原因と察する古久根。
それで何してるかと思えば、ミステリー好きの運転手さん相手に推理。
思わず、「駒子」とつぶやくと、運転手さんの名前は駒田、相性は「駒コー」。
ハマコーみたいに語尾を伸ばすんだって、それで何度も「駒子」とつぶやく古久根に運転手さんが、「いえ、私は駒コー」という会話が繰り返される。

駒子、行列を見ながら指でピストルを作り、「BANG!」「BANG!」と一人一人、撃って行く。
そして自分の頭に向かってピストルを向けて、「カチャッ」と言う。
つまり弾がもうないってこと。
イカスなあ、駒子。

永岡を前に念入りに口紅を塗って、「死に化粧よ。最後の化粧だもん」と言う。
追い詰められた駒子が話した生い立ちは本当かな、その直後の逃げっぷりだとちょっと本当かどうかわからないけど、本当かもしれない。
そして宝福と沙也加と、駒子、永岡、桑崎、染矢が大集合、警察大混乱。
だけど、あんな方法で2億円奪えるんでしょうか?
まだ共犯者がいるって黒コートの男は言ったけど、ほんと?

リップクリームを前にした宝福を凝視する行列の人々、捜査員がおかしい。
行列の人は興味津々、おもしろそう。
捜査員は緊張感で一杯。
宝福は知らないけど、もう捜査員だって宝福のことをずっと見ているんだから、心情的にはもう無関係の人じゃない。

宝福、沙也加のことを聡子に聞かれて、この行列はそれぞれ違う理由があって一人旅をしている人が知り合って親しくなったようなもの、という説明は、この状況を言い当てていて「うまい!」。
古久根にデレデレ状態だった聡子だけど、ものすごく不愉快。
夫婦喧嘩の様子をいちいち、深刻に「女、何かモメてます。列を離れます」と報告する捜査員も変。
聡子を見て、「悪そうな顔してる、こいつはやるぞ~」って言う大河原管理官、先入観って怖い。

聡子の手前、何となく後ろめたい気持ちがある宝福、しかし沙也加の様子が気になる。
行列にクールに戻って行っちゃった沙也加との距離が、また遠くなっちゃったんじゃないかとも気になる。
沙也加、恵美と意気投合。
そう、沙也加は娘さんと友達になるような年齢なのよ、だけどもう、そんなことは関係ないのね。
しかしどうやらこの2人、洋太郎を挟んで関係がある…?
不誠実な男に泣かされた友達を見ているせいか、「普通」の宝福に沙也加、好感度大らしい。

そしてラストの宝福さん。
「俺は今、恋がしたい」って言うと、寂しいからとにかく誰かを好きになって、あるいは好きになったと思い込ませて、隙間を埋めようという感じに聞こえますが、そうじゃない。
恋なんて思案の外にあるものだし。
「恋がしたい」から沙也加を選んだんじゃなくて、沙也加に恋をしたいんですね~。

いや、恋を仕掛かってるからそう思った、というのが正しいんじゃないかと思います。
隙間を埋める為の下心なんてすぐに相手にわかっちゃうものだし、結局どっちも幸せにはしないでしょうしね。

「衝撃キッス」なんてタイトルつくから、どうなるのかと思っていたら、リップクリームの間接キッスだったのかー!
でも間接だろうが、何だろうが、今まで真面目に、普通に生きてきて、おそらく浮気なんかもしなかったであろう宝福さんにとっては「衝撃」であったことは間違いない。
彼の心の塀をひとつ、越えさせたんだから、十分「衝撃キッス」でしょう。
あ、でも、最後にちゃんとキッスがありましたっけ。
「衝撃キッス」!


2009.11.24 / Top↑