こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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「怪談レストラン」、ドッペルゲンガー、芥川龍之介、人が消える試着室

北村さんの録画した「宿命」がまだ見られない。
だからというわけじゃないですけど、「怪談レストラン」から始まった、ずれたお話。

アコがレイコに言われたドッペルゲンガー現象ですが、自分のドッペルゲンガーを見ると、ドッペルゲンガーに殺されるとも言われているそうですね。
アメリカ大統領エリンカーンや、帝政ロシアのエカテリーナ2世も自分のドッペルゲンガーを見たとか。
ドッペルゲンガーを見ても、罵倒すれば助かるとも言われているようです。
ゲーテは21歳の時に自分のドッペルゲンガーを見たそうなんですが、彼はそれから83歳になるまでちゃんと長生きしてます。

芥川龍之介は自殺する前、本人は自宅にいたのに銀座で目撃されたなど、ドッペルゲンガーを起こしてたんじゃないかと言われてますが…。
「歯車」という小説からも、彼は自分のドッペルゲンガー見ていたんじゃないか、なんて言われているようです。
この「歯車」ですが、私は読んだ時に「ああ、『ぼんやりとした不安』だ」と思いました。

繊細な人なんだなあ…と。
私はたまに友人に、「私は繊細さんなんだから!」と言いますが、本当にこれを読んだ時は自分なんて繊細でも何でもないと思いました。
ただ、ドッペルゲンガーを見た人は偏頭痛を患っていたようで、この辺が関係あるようです。

さて、芥川龍之介の「歯車」ですが、ブランコ台を見て、絞首台を思い出し、歩いていて何者かが自分を狙っていると不安になり。
やがて歯車が見えるようになり、その数が増えてきて、回り始め、視界が遮られて「いよいよ最後の時の近づいた」と恐れながら、家に戻り、2階の部屋で目をつぶる。
激しい頭痛と、目の裏に銀色の歯車が見える。
目を開けると、暗い天井に確かにチカチカした歯車が映っている。

そこへ妻が上がってきて、また降りていく。
誰が来たのかわからなかったが、妻とわかって驚いた芥川が茶の間に行くと、肩を震わせた妻が一生懸命に笑顔を作って答える。
「何だか、お父さんが死んでしまうような気がしたものですから」。

それは僕の一生の中でも最も恐しい経験だった。
僕はもうこの先を書きつづける力を持っていない。
(中略)誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?

これで終わるんですが、もう、ほんとに大変ですね…。
茶化してるんじゃなく、本当に才能がある人というのは、人が感じないものまで感じるんだから大変だと思いました。
でもドッペルゲンガーもそうなんですが、この見えている歯車って偏頭痛の前触れなんですね。

こういうの読むと自分なんてほんと、繊細でもなければ細やかな神経も、こういう才能も持ってないなあと思いますよ。
文庫のCMで子供と虫取りしてる芥川龍之介を見たことがありますけど、友人は「セミ取りながら眉間にしわ寄せて深刻な顔している人って初めて見たわ」なんて言ってましたが。


「オルレアンの噂」は、1960年代にオルレアンで実際に流れた噂。
ユダヤ人の経営するブティックの試着室から人が消えてしまい、行方不明になるという噂が流れる。

実際にオルレアンには、ユダヤ人のブティックは6軒ほど存在あった。
そしてこの噂でユダヤ人に対しての敵意が高まり、暴動寸前になったとか。
でも結局、そんな事件は起こっていなかったんです。
つまりこれは、異文化への怖れや反感が潜んでいる話と聞いたことがあります。


さて、最後は宮脇明子さんのマンガ、「試着室」。
高校生が試着室で人がいなくなった噂をしている。
今の試着室は明るく、広く、そんな噂は信じられない。

昔、主人公・マキが子供の頃、小さな町の洋品店にあった試着室は暗くて、カーテンで仕切られた奥は物置になっていた。
その「パール洋品店」は町で一番、こじゃれたものを扱っているということだったが、正確には物置の一角を試着室にしていたのだろう。
そこは暗い中にマネキンがバラバラになって置かれていたり、ちょっと異空間のようで怖くもあり、子供にはどこか心惹かれる空間でもあった。

その洋品店にはマキの隣の家の、ハルミちゃんというお姉さんが働いていた。
ハルミちゃんは大人たちが「まあ、パンツが見えそう」「あそこまで短くなくてもいいのにね」と噂するようなスカートをはき、「バイクの男の後ろに乗ってたんですって」と言われるような、綺麗でちょっと派手なお姉さんだった。
いつも「東京に出たいわあ」と言っていた。

ある日、マキが隣町の親戚の家に来た時、外で遊んでいるとハルミちゃんが歩いていた。
ハルミちゃんの隣には、パール洋品店の主人であるおじさんがいた。
マキは愛想が良くて、おしゃべりなおばさんとは違い、無口なおじさんが少し怖かった。

ハルミちゃんが1人になり、マキが声をかけるとハルミちゃんは驚いた。
「綺麗でしょ?」と言って、ハルミちゃんは指にはめた大きな指輪を見せてくれた。
そして「今日、ここで会ったことは誰にも言っちゃダメよ」と言った。

その日からハルミちゃんは行方不明になった。
ハルミちゃんは前日にパール洋品店を東京でデザインの学校に行くと言って、辞めていた。

夏祭りの日、開放的な気分になった人たちに混ざって、マキの母親もかねてから気にしていたパール洋品店のウインドウに飾られているワンピースを試着していた。
母親を待つ間、マキは試着室の奥をのぞいた。
そこにはバラバラになったマネキンがあり、その中にハルミちゃんがしていたものにそっくりな指輪をはめた手があった。

まるでそれをすれば、自分もハルミちゃんみたいなお姉さんになれるような気がして…。
マキはつい、指輪を取ってしまった。

なぜ、こんなことをしたんだろう。
マキは罪悪感で、一度も指輪をすることなく、土に埋めた。
ハルミちゃんは見つからなかった。
男と駆け落ちしたんだろうと言われた。

高校生になったマキは母親がふと、ハルミちゃんも同じぐらいの年齢だったと話したことから、ハルミちゃんがパール洋品店のご主人と付き合っていたことがわかって、店を辞めさせられていたということを聞いた。
あの指輪…、マキは思い出す。
そもそもマネキンの指って指輪ができるように、一つ一つ離れているものなの?

パール洋品店もファッションビルになった。
年を取ったが、おしゃべりなおばさん、無口なおじさんは、まだいた。
犯人はおじさんだろうか、おばさんだろうか?

高校生が試着室で人がいなくなった噂をしている。
OLになったマキは、その噂を背に、試着室に入る。
改めて自分の指を見ると、マキがしている指輪は、あの、ハルミちゃんのものと似ている。

マキがそう思った時、試着室の奥の壁が開いた。
隙間には泥だらけになった、ハルミちゃんが髪を振り乱し、ボロボロの服を着て立っている。
「私の指輪を返して」とハルミちゃんは言った。

「これは…、違う」とマキは言ったが、ハルミちゃんは近づいてくる。
「返して」。
マキの手をハルミちゃんの泥だらけの手が引っ張る。

ブティックの店員が試着室にやってくる。
「お客様、いかがですか?」
返事はない。
「お客様?」
中にはマキはいなかった。
コートだけがかかっていた。

高校生が試着室でマキがいなくなった噂をしている。
「でもね、店員さんは勘違いじゃないかって思ったんだってー」。
「うそー、私、もっと怖い話知ってるよー」。

…というラストで終わるお話でした。
試着室の都市伝説とは違いますけど、試着室から人が消えるお話。
「怪談レストラン」からの連想話ですが、あんまり関係ない話ばっかりですね。
こんなお話にお付き合いくださった方、ありがとうございます。


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怖くて逃げ出しそうだから… 「眠れる森」 第10回

振り向いた直巳は、直希を見て言う。
「お前の言うとおり、15年前のクリスマスイブ、俺はあの家を訪ねた」。
「実那子が父親から虐待されていることは聞いていた。あの家庭はもう、限界だった。俺は実那子を引き取ることになっていた。あのクリスマスイブは、森田家の最後の団欒だったんだ」。
直巳は語る。
「ところが、俺よりも先にあの家を訪れた人間がいた」。

直巳があの家に着いた時、周りは既に警察官とマスコミと野次馬でごった返していた。
あのクリスマスイブの夜が、直巳の頭に蘇ってくる。
直巳は担架で運ばれて行く実那子と、一瞬目が合ったような気がした。
でも実那子はちゃんと直巳を認識していたのだ。
「俺はあの子の家族を殺してなんかない。本当だ」。

直希の母と知り合う前に直巳は学会の手伝いで福島に行き、学生時代に知り合った実那子の母の和子と再会した。
和子には既に夫がいた。
実那子が直巳の子供とわかったのは、ずいぶん後になってからのことだった。

何も知らない実那子は、大人の犠牲だ。
だから、和子から相談を受けた直巳は、実那子を引き取ることにした。
しかしその夜、事件が起こった。

直巳が実那子の記憶を消し、入れ替えていた頃を直希は思い出す。
夜中に悲鳴をあげた実那子を、直巳は優しくなだめていた。
その様子を見ていた自分に、父は鋭い声で「部屋に戻ってろ!」と命じた。
直希には入る隙間がなかった。
父は、自分には見せたことがないような優しい顔で実那子の治療に当たった。

直巳は自分に、父親としてではなく実那子には患者と医者として接しているのだと言い聞かせていた。
怖ろしい記憶をなくして、新しい人生を送れるようにしているのだと。
だが、やはり割り切れはしなかった。

そして今、実那子はあの頃とは別な形の苦しみの中にいる。
だから直希が実那子を救っているのなら、直希には感謝したかった。
そして、すまなかったと言いたかった。

「今夜は泊って行くんだろう?」と言われた直希だったが、黙って2階の部屋へ上がった。
直巳は直希に渡されたロケットの自分の写真を見つめると、また刃物を研ぐ。

その頃、実那子は思っていた。
「本当の父親が存在するのなら、私は結婚前夜に言ってあげたい。あなたのお世話にはならなかったけれど、あなたがいたから、私はこの世に生まれた。ありがとう。私は幸せになります」。
そして実那子は輝一郎が眠るベッドへと向かった。
 
直季は、春絵が生活するアパートが見える一角に部屋を借り、春絵を見張っていた。
敬太がやってきて、近所の人間に聞いたが、国府と思われる男が一度、サンドイッチマンの恰好で家に帰って来たのを見掛けたという情報を教える。
サンドイッチマン、つまりサンタクロースの扮装をしていたというのだ。
日銭稼ぎのバイトでもやっているんだろうと敬太は言った。

その時、春絵が出て行く。
敬太が春絵を尾行し、直希は残った。
春絵は兄の中華料理店に入った。
営業が終わると春絵は料理を持って帰り、今日も国府の帰りを待つと言う。

兄から、国府から連絡はないか聞かれた春絵は、ないと言って帰って行く。
そんな春絵を、兄はじっと見送る…。

輝一郎と実那子は、船上結婚式の式進行の説明を受けていた。
午後8時にパーティーが始まり、12時の鐘と同時に、2人の誓いの儀式が始まる。
クリスマスイブの夜の鐘の音、誓いの言葉を知らせる鐘の音。
それは実那子の一家の事件の、時効成立を知らせる鐘の音でもある。

その頃、国分は偽名を使い、職歴を偽って、2人の結婚式をとり行う会社の従業員になろうとしていた。
別人のように愛想が良い国府は、ホテルマンであったと言って、船上結婚式の経験を生かすためにここに来たと言った。
面接官は来週連絡すると言ったが、手応えは良さそうだった。

中華料理店の営業が終わり、看板を入れようと外に出た春絵は、料理店の先で携帯電話で話している敬太を見た。
春絵は、敬太のことを国分のことを聞きに来た男の1人だと覚えていた。
あわてて春絵は中に入ると、電話をした。
「今、帰って来てはいけない」と受話器に向かって言う春絵を、兄が見つめていた。

「オーキッド・ハウス」で働く実那子を、直巳が訪ねてきた。
実那子は直巳と外で話をした。
もう一度、直巳の催眠療法を受けたいと直季に頼んだが、断られたこと。
直巳には二度と会わない方がいい、と言われたことを話す。

直巳はフラッシュバックで思い出すことも、催眠療法で思い出すことも、全て本物の記憶とは限らないと言った。
記憶というのは、時が経てば経つほど事実とはかけ離れて行くものなのだ。
「慌てることないんですよね。そのうち、過去の方から私を見つけてやってくるんですから」と答えた実那子に、直巳は記憶を埋め込んだことで、実那子を結局は苦しめたと謝罪した。

しかし実那子はその記憶で15年間、救われたのだと言った。
事件のことを知らないまま、中学、高校、短大と、本当に楽しく過ごせた。
しかもその記憶は全くの捏造ではなく、直季の記憶だったり、直季の夢だったりしたのだ。
父親とキャッチボールしたかった夢、家族でベランダから夕日を眺めていた夢。
実那子は、「やっぱり私たち、同じ故郷でつながっているんです。眠れる森っていう故郷で」と言った。
 
春絵のアパートが見える部屋にいる直希に、子供たちが「サンタだ」とはしゃぐ声がしてくる。
道路を見下した直希は、子供たちの中にいるサンタクロースを見た。
直希は、カメラを持って下りる。

サンタクロースは商店街を抜け、ある建物に入って姿が見えなくなった。
だが直希の前には、春絵のアパートがあった。
国府が中にいるかもしれないと思った直希が、春江の部屋のドアに耳を当てた時、少し離れた直希の背後にサンタクロースが立っていた。
直季が振り向くと、サンタクロースは階段を降りていく。
サンタクロースの後を、なおも直季は追う。

サンタを追った直希は、大きな工場跡にたどり着いた。
中に入った直希だが、サンタクロースの姿はない。
引き返そうとした時、工場の奥で音がした。

周りをうかがいながら、直希は腰を落とし、置いてあった鉄パイプを手にした。
だが、直希の背後にはサンタクロースが迫っていた。
直希が気配に振り返った時、サンタクロースは鉄パイプを振り下ろした。

倒れた直希を、サンタクロースの扮装をした男はなおも殴りつける。
直希はかろうじて逃れ、鉄パイプを構えて、攻撃を振り払おうとしたが、再び倒れた。
倒れた直希を、サンタクロースは容赦なく叩きのめし、蹴り飛ばした。
直希は、工場の柱に頭を叩き付けられた。

頭から血を流して苦痛に体を折り曲げた直希を見たサンタクロースは、立ち去ろうとした。
直希の手がポケットに伸び、カメラを取り出すと、サンタクロースに向かってシャッターを切る。
フラッシュが光り、ひげの扮装を取ったサンタクロースが振りむく。
もう一枚、直希はシャッターを押した。

サンタクロースが鉄パイプを手に、再び直季に近づいてくる。
殺気に身を丸めた直希。
その時、子供たちの「あっ、サンタだ!」という声がした。

その声にサンタクロースは鉄パイプを捨て、工場から出て行く。
子供たちの残念そうな声が聞こえる。
直希の意識が遠のく。
薄れていく意識の中で、直希は敬太が呼びかける声を聞いた。

病院の廊下。
病室に看護師が直希の名を呼びながら入ってきたが、ベッドに直希はいなかった。
抜け出して来た直希は、自分のアパートで目覚めた、
直希の前に、実那子がいた。
敬太が知らせてくれたと実那子は言った。
敬太は警察で事情聴取中だった。

「久しぶり」と言った直希に実那子は、「国府が?」と尋ねた。
「次は殺すって言ってたからね」。
実那子は、自分が思い出せば、全部解決するのだと言う。
もう直希が傷つくこともない。
直巳に催眠療法を頼むと言った実那子に、直季は首を振る。

そして全て思い出すまで、実那子は今のままでいてほしい、あの森が2人の故郷のままであってほしいと言う。
子供の頃の思い出を語る直希は、実那子と同じ思い出をできるだけ長く持っていたいのだと言った。
実那子も、「大切な思い出」と答える。
直希は眠りに落ちそうになりながら、「楽しかったな、あの頃」と言う。
「また行こうよ。眠れる森へ」。

実那子は眠ってしまった直季を見つめ、直希の額に触れようとした手を引っ込めて出て行く。
眠っている直季は、涙を落とした。
部屋の外で実那子は胸が詰まって立ち止まっていた時、由里が来た。

実那子を見た由里は、一瞬、体を硬くしたが、実那子は直希が今、眠っていること、詳しい検査はしていないようだが、骨折も内出血もしてないらしいことを告げた。
良かったと答えた由理だったが、「敬太、私より先に実那子さんに知らせたんですね」と言ってすっと直季の部屋に入って行った。

直季に付き添っているうちに眠ってしまった由理は、直季のうわごとで目を覚ました。
「敬太、カメラに写っているから、国府が、写っているから」。
由理は辺りを見回し、カメラがないことを知ると、直季の上着を探り、カメラを見つけた。
 
実那子の職場で、子供たちが騒いでいる声が聞こえる。
同僚が商店街のクリスマスのイベントが始まったと答える。
外に出た実那子は、両手に風船を持ったサンタクロースがいるのを見る。

子供たちに囲まれたサンタクロースは、まっすぐに実那子を見た。
実那子もまた、サンタクロースを見る。
国府…?

サンタクロースの表情に笑いが広がり、両手を広げて風船を宙に放す。
子供たちが飛んでしまった風船を残念そうに見送る中、サンタクロースは実那子を見つめて去って行く。
その後姿を実那子は見つめる。

国府は直希に対する傷害の容疑で指名手配になり、捕まり次第、刑務所に戻ることになった。
春絵も事情聴取された。
春絵は直希と敬太に気がついており、国府に来ないように警告をしていたらしい。

だが国府はやってきた。
直希を殺す為。
だが、今、わざわざこうして警察に追われるはめになるようなことをするだろうか?

その時、直季はサンタクロースの素顔を写したことを思い出した。
直希は敬太に現像するように言うが。カメラは上着ではなくテーブルの上にあり、フィルムはなかった。
敬太は知らないと言う。
直希のことを知らせたのは、実那子と由里だけだ。

由里だ、と直希は言った。
「あいつ、俺たちの役に立とうとしているんだ」。

その頃、由里は現像した写真を受け取っていた。
店の中で、現像した写真を見た由里。
写真にはサンタクロースが写っていた。
そして次の写真には、振り向いたサンタが写っていたが…。
 
部屋にいる直季は煙草に火を着けようとするが、右手は上手く動かず、左手でライターを扱った。
誰かが訪ねてきたで直希がドアを開けると直巳がおり、入るなり直希の頭に手を当て、めまいはしないか、手足が痺れてないかと聞いた。
直希は大丈夫だと答えたが、直巳は検査だけは受けておくように言う。

直巳は実那子から聞いて来たと言った。
職場を訪ねて以来、直巳は実那子と連絡を取るようになっていた。
そんな直巳に、直希は「仲良くなっちゃって」と言った。

実那子の結婚式が近いなと言う直巳に、直希は自分も父に紹介したい人がいると言った。
大学の頃からずっと付き合っている相手と、結婚を考えている、と。
そいつとだったら、苦しいことも楽しいことも半分ずつにわけ合えるような気がすると直希は言った。
それを聞いた直巳は、「そのうち、森に連れて来い」と答えた。
 
その夜、輝一郎は実那子に警察に国府のことを聞かれたと話をした。
国府がどこにいるか心当たりはないか。
だが、警察は輝一郎が国府と同級生だったこと、国府に殺された家族の生き残りである実那子が婚約していることを既に知っていた。

それを聞いた実那子は意外なことを言った。
確かに国府は実那子に何かしようとしているかもしれないが、それは今じゃないような気がする、と。
「どうして?」と聞く輝一郎に実那子は、「あのサンタクロース…」と言った。
「サンタクロース?」

「私の目の前に国府が現れる日は、もう決まっているような気がするの」。
「…俺たちの結婚式の日か?」
もしそのつもりでも、国府はもう指名手配であり、逮捕されるのは時間の問題だろうと輝一郎は言った。
しかし実那子は、国府は必ず来るだろうと確信していた。

夜になり、直希の携帯に由里からの連絡があった。
どこに行ってたんだと怒る直希に、由里は何もかも終わってから、直希に報告しようとしたと言う。
「言ったでしょ?苦しみは半分ずつって。直季の苦労を私に半分背負わせてほしいの」と言う由里。
「そんなもの背負わなくていいから、すぐ帰って来いよ。俺、お前に言いたいことがある。お前に直接」と言う直希の言葉に由里は、「本当?ドキドキしちゃうな」と笑った。

どこにいるのか直希はきいたが由里は、「今、ちょっとだけ言って。好きだって一言。じゃないと私、怖くて逃げ出しちゃいそうだから」と言った。
由里の背後に、東京タワーが見えていた。
「怖くて?何しようとしてるんだよ?」
「言って、お願い。好きだって」。

「好きだ」と言う直希に由里は、もう一回と言った。
「お前が、好きだ」と言った直希に、由理の返事はなかった。
直希が呼びかけると、「嬉しいな」という声が返ってきた。
「お前、どこにいるんだよ!」という直希の問いかけに、呼吸音が聞こえ、やがて由里は「待っててね」と言うと電話は切れた。

由理は、東京タワーが近くに見えるビルの屋上にいた。
向こうに、サンタクロースが見えた…。
 
輝一郎の父の正輝は、アトリエで酒を煽っていた。
指で絵の具を取ると、実那子の肖像画に手を加え始めた正輝。
実那子の肖像画の向こうに、麻紀子がいた。

「どうしちゃったの、あなた。そんな女に魂を奪われるなんて。輝一郎と同じね」と麻紀子は微笑みながら言った。
「本当だったのか、輝一郎が、お前が生きているって…」。
しかし麻紀子は、「許さないから。あなたや輝一郎をダメにする女は」と言うと、笑いかけ、部屋のドアに向かった。

麻紀子の姿が消え、追おうとした正輝は倒れそうになる。
正輝は顔を覆うと、口を手で抑え、身を震わせて泣き始めた。

真夜中、目を覚ました実那子は、輝一郎の横顔を見つめて考えた。
自分を見つめ続けてくれた人。
そして、もう1人、同じように見つめ続けてくれた人がいる。
輝一郎の寝息がすぐ間近に聞こえる、幸福の実感。

実那子が幸せを噛み締めている時、電話が鳴った。
寝室を出た実那子は、電話を取る。
「もしもし…、もしもし?」と実那子は呼びかけるが、返事はない。
「誰?」と言って、輝一郎も起きてきた。

「国府…、さんですか」と聞いた実那子に、笑い声が聞こえてくる。
笑いながら、奇妙にも聞こえるその声は、「サンタクロースはプレゼントをたくさん持ってくる。どんなクリスマスプレゼントが欲しい?」と言った。

輝一郎が実那子から受話器を取ると言った。
「国府か。今どこにいるんだ。お前は指名手配になっているんだぞ!」
だが輝一郎が言い終わるそばから、電話は何も答えず、切れた。

怯えて座り込んだ実那子は言う。
「何が欲しいかって。クリスマスプレゼント」。
輝一郎は、怯える実那子を抱きしめた。

早朝、電車が鉄橋を渡る。
その鉄橋の下の河原の枯れた草むらの中、バッグの中身が散乱している。
その先には、横たわった由里が目を閉じ、片方の手を上げて硬直している…。



今日、ドアに肩をぶつけました。
結構痛かったです。
それなのに、こんなに鉄パイプで殴るのってとんでもなく痛いし、危険と思いました。
直希、またしてもしたたかに殴られる。

出ました、季節もの、サンタクロース。
しかし、サンタクロースがここまで不気味に映るとは。
私は子供の頃、ピエロが怖かったんですが、これは良い勝負。
表情が読めないからですかね。

それでええと、やっぱり再放送だと、カットしている部分がありますよね?
春江の部屋が電気も消えて、見張ってた直季のところに敬太がやってくるシーンがあったんですよ。
それで敬太が、あの、ちょっとふくぶくしいドジョウひげで髷を結って、細い目で笑ってる大きな頭の人形を被ってくるんですよ。
よく、ビートたけしさんが被って怒られてたような被り物。

それで直希の分も買ってきてる。
変装だと言って。
敬太が由理とはどうなってるのか、直希に聞くんですね。
すると直希は返事をしないで、被り物を被っちゃう。

敬太が、「俺がさらっちゃおうかな」みたいなことを言うと、直希がそれ、ずっと言ってるって。
すると敬太が、借金取りに追われて殴られるような、どうしようもない人生だけど、由理は自分にとって光り輝く星だ、みたいなことを言うんです。

それで敬太も被り物を被って、言うんです。
由理が輝いているのは、直希のおかげだって。
直希がライトで照らしてやるからだ、って。

だけど、直希は敬太と笑っている時の由里が一番好きだって言うんですね。
自分は由里にあんな顔させられない、って。
その言葉に敬太がうれしそうに笑って、被り物を外すんです。

お互い、被り物をとってるんですけど、直希が「いつまで被ってるんだよ」とか言うんです。
敬太はもう被ってないって言うんですけど、直希は何か、敬太が自分に対して仮面を被って接しているような気がしてしかたがない。

このシーン、直希と敬太と由里のそれまでの関係、そして今の微妙な敬太の直希への感情をすごくよく表していたんですが、カットされてました。
直希の背後に被り物2つが置いてあるシーンは、あったんですけど。
ここ、すごく良いシーンだったから、カットしないで欲しかった。

変装で本当の顔が見えない、感情が読めないっていうのは、サンタも同じで、どこか含みある場面でした
でもこの回はものすごい迫力ある展開で、他のどのシーンも抜けられないから、謎解きに支障がないこのシーンのカットはしかたがないのかな。

いや~、ついに実那子、国府と対面。
実那子を見て、風船から手を離す国府、意味ありげ。
でも当時、国府の笑みは敵意がないように思えたんですね。
実那子も何となく、少なくとも今、自分に何かしようとはしてないんじゃないかって思ったんですけど、そんな感じ。

陣内さん、目だけの演技だけど、上手かったんですね。
しかしあのサンタと実那子の前にいたサンタ、身長とか体形が違う気がしてました。

最後の笑い声を含んだ言葉は、怖かったですけど。
会社にもぐりこもうとしてるのは、何だかすごかったですけど。
おお、これは何か起こると。
夜中にあんな声であんなこと言われたら、すぐ、けーさつ…、警察呼んじゃう~。

それで、直巳が直希に対して厳しくて、実那子にはものすごく優しかった理由もわかったんですね。
子供を追い払うのはしかたないのかもしれないけど、お父さん、あまりにも怖かった、厳しかった。
そんなことしてたせいか、やっぱり、それでこの直巳直希親子も言葉が足りないというか、微妙な関係になってる。
直希は少なくとも実那子がいる間は、直巳に優しくしてもらえてなかった感じがして、大人になった今、直巳への直希の接し方がちょっとシビアでひねちゃってる。

直巳はものすごく直希を愛してるんだけど、子供らしい要求にちっとも応えてあげてなくて、すまなかったと思ってる。
直巳は直希との間に生じた距離を、なかなか埋められないと思っていて、専門家なのに、息子へはすごく不器用。
直希がライターうまくつけられなかった理由は後でわかったんですが、ちゃんと意味があったんですね。

今回、輝一郎じゃなくて正輝さんが麻紀子さんを目撃。
ということは、本当にいるんですか?
それにしちゃ動きが不審なんですけど…、正輝さん、荒れ過ぎなんですけど、と思ってました。

そして…、由里ちゃん、何やってるの!
危ないでしょ、1人で!
相手は人を襲ってるし、殺人犯かもしれないのよ!
1人で人気のない場所で会ったりしちゃ、ダメでしょ~!

何で何も言わないの!って、これは後でわかるんですけど、その時はほんとに無謀だと思いました。
けなげ過ぎ、でも無茶過ぎ。

1人で東京タワーのライトが光る、夕方で高いところからそんな電話してるあの風景がすごく不気味でした。
電話の様子も、とんでもなく不吉。
好きだって言葉をわざわざ聞きたくて、その言葉で勇気付けなきゃいけないほど怖い事態なんて、尋常じゃない。
由里から見えるサンタがすごく怖い。
このドラマ、本当にこういう雰囲気に持って行くのが上手い。

思ったんですけど、あの時、実那子と会わなければ、由里ちゃん、そこまで無理しなかった気がして。
でも直希の言葉が聞けて、うれしかったと思う。
直希が待ってるってわかって、自分と一緒になってくれるんだってわかったんじゃないかな。
いや、だからこそ、無事で帰って欲しかったんですけどね。

青い空気の中、早朝…、ぎゃー、由里ちゃん!でした。
この回って怖くて、その反面、いろいろ良いシーンとか、良い言葉とか一杯あった。
バランスいいというか、ほんとに上手いというか。

いや~、10回目。
イブへのカウントダウンが始まった感じがしました。


一緒に生きるってそういうことでしょ? 「眠れる森」 第9回

第9回。

国府は直希をトランクに拉致し、森へ運ぶ。
森に着いた国府はトランクから直希を出すと、深く大きな穴を掘り始める。
そして掘った穴に抵抗する直希を蹴とばして落とすと、土をかけ始める。

恐怖に襲われた直希は国府に声をかける。
「あんたに会って、どうしても聞きたい事があったんだ。15年前の犯人は別にいる、なのにどうしてあの時、あんたは冤罪だって訴えなかったんだ!どうして実那子に近づく?!」

しかし国府は冷酷に「小僧。檻の中で15年だ。それがどんなものかわかるか?」と答えた。
「どこを向いたって壁ばっかりだ。壁の中で生きるんだ。俺が今、何をしたいか教えてやるよ。…パーティだ!」
そう言うと、国府は笑い声を上げる。

誰もいない暗い森の中、直希の体の上に土がかけられていく。
直希は必死に訴えかけた。
あんたは恋人の貴美子が殺されたショックで、裁判などどうでもよかったんだろう?しかし、その沈黙が罪を認めているように受け取られた、貴美子の後を追って死ぬ

ことも考えた、だが結局、生きる道を選んだ。
だからこそ、15年、監獄の中で耐えたのだ。

直希の上半身にも土がかかる。
国府が実那子のロケットを取り出して、直希の上半身の横に放り投げる。
そして直希を見下ろすと「誰だ、こいつは?」と言う。
直希は答えない。

土が直希を覆い始める。
「怖いか?」
「…怖い」と直希は言った。
「怖いです、だ。言ってみろ!」
「怖いです」。

すると国府は「じゃ、言ってみろ。『助けてください』」。
直希は沈黙した。
再び、土がかけられる。
どんどん、土がかけられていく。

「腐るか?ここで」。
その鬼気迫る様子に、直希は恐怖した。
「…助けてください」。

直希がつぶやいた時、国府はナイフを直希に突きつけた。
「これ以上、俺を探すな。次は殺す」。
直希にそう告げると、ナイフを直希の目の前の土に突き刺し、国府は車に戻る。
国府は写真を見つめた。
写真には、15年前の実那子が映っていた。
 
由里が実那子の「オーキッド・ハウス」を訪ねてきた。
直季がいない、仕事も無断欠勤していると由里は心配する。
最後に直希とどんな話をしたのか聞く由里に、実那子は「眠れる森」での直希のことを話した。

国府に置き去りにされた直希だったが、国府と入居するはずの春絵を見張っていた敬太のところまでやってきた。
刑務所で国府と同じ房だった兄の経営する料理屋に、電話がかかってきた。
春絵は上海蟹の話をしていたようだが、やがて「3日後ですね」と返事をした。

市場からだったと春絵は言うが、見ていた兄は15年間を無駄にする気かと伝えてくれと言った。
来週、居場所がわからないようなら、警察が動き出す。
春絵は承知しながら、メモを書きとめる。
12月7日、午後3時。

敬太は15年前の事件の担当刑事と会えると話した。
ちょうど元刑事が福島に里帰りしているところを、直希と敬太は会いに行った。
廃墟の森田家に元刑事と直希、敬太は入る。

担当刑事は当時の様子を語りながら、初動捜査にミスはなかったと言った。
そして、3人が倒れていた場所、実那子が茫然自失して立ち尽くしていた場所を教える。
「鏡、ですね…」と直希は言った。

実那子は鏡に包丁を持った自分がいた、服は血まみれだったと言っていた。
刑事の話も、確かにその通りだった。

そこに父親、そしてそこに母親、と刑事は話し、暖炉の前に貴美子、第一発見者は国府と教えた。
国府は貴美子を抱きしめて、泣いていた。
当日、国府は貴美子と駆け落ちの約束をしていたが、その約束よりも早い時間に国府は森田家を訪れていたのだ。
それを疑問に思われた国府は貴美子が父親が駆け落ちに気づいているようだと言っていたし、嫌な予感がしたからと言っていた。

その後、国府は憔悴しきって、証言どころではなくなった。
実那子の法廷での証言には、ドクターストップがかかった為、証言はできなかった。
その後、国府は3人を殺した後、逃走、着替えて第一発見者を装って通報したと思われた。

では何故、国府が犯人になったのだろう。
「動機です」と刑事は言った。
貴美子の父親に謂れのない中傷を受け、国府は大学も追われた。
そこで父親への恨みを爆発させた…、貴美子と心中を図った、ということだったが、国府は沈黙した。

その沈黙は罪を認めたとしか、見えなかったのだ。
検事に国府は、自分を殺してくれと訴えていた。
それはつまり、死刑にしてくれということだと判断された。

だが国府は、服役すると人が変わったように模範囚となった。
服役して2年目の夏、刑事は国府に面会に行った。
その時、国府は言ったのだ。
「牢獄にいるのは、自分だけじゃない。恐怖という牢獄に」と。

国府は模範囚となり、仮出所を待っていたのだ。
そして仮出所となった国府は姿を消したことを昔の知り合いに聞いた時、刑事は嫌な予感がした。

犯人は3人を殺害した後、子供だろうが何だろうが、実那子も殺すつもりでいた。
しかし誰か、それは国府だったということになっているのだが、誰かが来たので実那子を殺すことはできずに、玄関から自分の靴を取った。
逃走経路はいずれにしても、ここしかないと言う刑事と一緒に、直希と敬太は裏口から外に出た。

枯れ草が体に当たる裏道を通りながら、直希は想像する。
雨の中、息も荒く、犯人はここを走って逃げていく。
扉を開ける。
敷地の外に出る。
外に出た直希が目にしたのは、あのマリア像だった。

あの事件の夜、この教会ではイブのミサが行われていたが、目撃者はいなかった。
そう言う刑事に直希は言った。
「マリアが見ていた…」。

光るマリアの目。
神父によると、それはダイヤモンドなのだった。
森田一家の事件の後、匿名で2百万という寄付金が贈られたのだ。
それでマリアの目にはダイヤモンドが、はめこまれた。

寄付をしたのは犯人だろう、と直希は予測した。
犯人が恐怖と懺悔の為、2百万という大金を寄付したのではないか?
だとしたら犯人は国府ではない。
国府はその時、服役中だったのだから。

刑事は言う。
事件が起きた時、集まった群集の前で担架に乗せられて運ばれる実那子は「お父さん」とつぶやいた。
刑事は実那子に付き添っていたので、はっきり聞いている。

父親が殺されたのを、実那子は目の前で見ている。
だから群集に向かってつぶやいた言葉は、混乱した頭でつぶやいた言葉だろう、と刑事は思った。
しかし、直希は思った。
あの夜、実那子の本当の父親がここにいたのではないだろうか?
直希はゾッとして、コートの襟をつかむ。

その頃、美那子は、輝一郎の父の正輝の絵のモデルになっていた。
実那子は久々の意欲をかきたてるモデルだと、正輝は言った。
正輝の描く妻・麻紀子の絵には十字架が全て描きこまれている。

最初は妻のリクエストだったのだが、そのうち自分の絵のトレードマークになってしまったのだと正輝は言う。
15年前に失踪宣告が受け入れられた麻紀子。
輝一郎はその夜、福島から東京に戻ってきて、2人で一晩中飲み明かしたと言った。
実那子は輝一郎から正輝と2人のお通夜だったと聞いていたことを話す。

その夜だ、自分が一人ぼっちになったのは。
正輝の筆を持つ顔色が、瞬間、変わる。
だが輝一郎が入ってきて、実那子は食事の支度にキッチンへ入って行った。

輝一郎は正輝に、もし麻紀子が生きていたら許すかと聞いた。
輝一郎と正輝が話していた時、輝一郎は窓の外に人影を見かけた。
外に出た輝一郎の前に、麻紀子がいた。
輝一郎が一歩進むと、麻紀子は一歩、後退する。

近づくのを諦めながらも輝一郎は、「おかえり」と声をかける。
「親父も待ってるよ…、ねえ、母さん、あの夜、何処にいたんだ?」
「15年前のクリスマスイブね…」と言うと、微笑んだ麻紀子。
「何してるの?」
実那子の声で振り返った輝一郎が再び、前を向くと麻紀子の姿は消えていた。

輝一郎が実那子と家に戻ると、家の前の生垣に白いエプロンがかけてあった。
「エプロン…、どこから飛んできたのかしら?」と、実那子は言う。

その夜、直希の仕事先から直希と別れた後、タクシーを待っていた敬太は、道を探しながら歩いている由里を見つけた。
1人、ライトをセッティングする直希の前に、「やっと見つけた!」と由里がやって来た。
こんな風にいなくなられるのはつらい、と由里は言うが、直希は由里を無視してライトをセットし始める。

由里は実那子を助ける必要がなくなったのなら、自分を助けてくれないかと言う。
直希がいなくては生きていけない、こんな自分を。
由里は直希を背後から抱きしめると、「私だって直季を救えると思う…。こうやって寄り添っていれば、少しは、あったかくなるでしょ?」と言った。

「私だって寒くない。寒くなったら、こうしてあったかくなる。苦しいことがあれば苦しみは半分に、楽しい事があったら分け合う。一緒に生きるって、そういうことでしょ?私は直希とそうやって生きて行きたいの」。
由里は泣いていた。
直希も、いつの間にか泣いていた。
「私にだって、直季を救う事くらいできるんだから」。

直希がライトアップした光に照らされ、直希は振り向いて由里を抱きしめた。
由里の額に直希が自分の額を押し付ける。
直希が由里をしっかりと抱きしめる。

その2人をライトアップされた木の間から、敬太が見ていた。
その目に、はっきりとした憎悪が宿る。
涙を流しながら、目に憎悪の光をたたえた敬太は残酷な笑みを浮かべた。
敬太が去ったビルの壁に、直希と由里の影が映っている。
影になった2人の頭は、一つの陰になった。

マンションに戻った実那子は、輝一郎に言った。
母の不倫を父が許せなくて自分を虐待していたのなら、もしかしたら自分は不倫相手の子供なのではないか…?
輝一郎は、もし本当の父親がいるとしたら、やっぱり本当の父親に会ってみたいかと聞いた。
実那子は、「母が愛した男の人ってどんな人だったんだろう。会ってみたい」と答えた。
「花嫁の父、だもんな」。
壁には昼間、実那子が来たウエディングドレスがかかっていた。

山の中の一軒の家、落ち葉を踏みしめて直希は扉を開けた。
直希の父の直巳は、暖炉に向かって刃物を研いでいた。
入ってきた直希に背を向けたまま、直巳は「おかえり」と言う。
キャッチボールも、結局一度もしてやれなかったと直希に謝る直巳だが、直希はそんなことはもういいと言う。

父の背中に直季は話し始める。
15年前のクリスマスイブ、どこにいたのか、と。
直巳は、大学病院の頃の知り合いに会いに行っていたはずだと言う。
だが、直希は本当はどこにいたのか、と聞く。

直希は刃物を研いでいた直巳の手に、あのロケットを落とす。
12歳の実那子が一番大切にしてた物だ、と直希は言う。
実那子が埋めたものを、直希が掘り返してきた。
15年前のクリスマスイブの夜、実那子は群集の中に直巳の姿を見たのだろう。
自分の本当の父親。

直希は言う。
どうして実那子だけが、生き残ったのか、やっとわかった…。
国府が来たから、実那子を殺せずに逃げたんじゃない。
真犯人は実那子を殺さなかったんじゃなくて、殺せなかったのだ。
実の娘だから…。

何故、直巳が実那子の記憶を消そうとしたのかわかった。
忘れて欲しかったからだ。

「マリア像とは、目、合ったか?2百万の寄付のダイヤで光る、綺麗な目だったよ」。
直巳は何も言わない。
「違うんだったら、違うって言えばいいじゃないか!違うって言えよ!何で一言、違うって言えねえんだよ?!」と直希は叫ぶ。
「それは、あの一家をあんたが殺したからだろう?!」
背を向けていた直巳が、直希を振り返る。


話が動きましたね~、迫力がどんどん増して来ました。
サブタイトルが「マリアは見ていた」ですよ、不気味なあの、目が光るマリア像のことでしょう。
いや~、センスいいですね~。
それで、何で目が光ってるかといったら、ダイヤが埋め込まれてるんだそうで、不気味な演出じゃなかったのねと。

しかもそのダイヤが埋め込まれるようになった経緯が不可解な寄付金ということで、懺悔の為に犯人がやったんじゃないかと直希は予測。
そうですね、国府も真犯人は恐怖という檻の囚人って言ってましたからね、相当な恐怖と後悔の中で殺人を犯して逃げる時、最初に目に入ったマリアに何かしたかったかも。
そう、誰も見ていなかった。
でも、「マリアは見ていた」から。

そこでマリアの目にはダイヤモンドが入った。
マリアの目にダイヤを埋め込まれたなら、犯人は自分を見たマリアの目が覆われてホッとしたんじゃないか、なんて思ってしまいました。
これで目をつぶってくれたような、そんな気がしたか…?

国府、ものすごく怖いけど、この回で真犯人から外れましたね。
15年の味気ない日々。
積もった恨み。
壁、という言葉でそれが上手く出てましたよ。

絶望した国府は死刑にならずに無期懲役になり、希望のない長い長い日を過ごすことになった。
その間、真犯人に気づいた国府は、絶望を復讐に変えて、生きる気力にした。
この味気ない、平坦な日々は復讐の炎を燃やす為の時間だ。
無意味で、退屈な日々であればあるほど、国府の憎しみは純粋培養された。
そんな感じでしたね。

こんな純粋培養された憎悪を持った相手に直希が、いや、自由がない世の中にいた人間が敵うわけがない。
だから怖い。
全然、説得が通じない相手が怖い。

いや、国府が何故、直希まで敵視していたのかは後でしっかり、納得したんですけどね。
まあ、本気で埋めることはなかったと思いますよ。
脅して、それで去って行ったとは思いますけど、あの状況で抵抗できる人なんていませんって。
だけど、「誰だ?」ってロケットの写真、国府も知らないのか~、と。

そうしたら、幼い実那子の群集に向かっての「お父さん」発言。
実の父親が現場にいたって?
俄然、実の父親が重要な容疑者に浮上。
なんと、直巳だったとは。
それじゃ、実那子の記憶をなくした理由も辻褄あっちゃったんですね。

ロケットの中、若い頃の夏八木さんのお写真ですね。
直希と実那子は異母兄弟だー!というと、すごく古くからあるドラマのパターンみたいですけど、ミステリーを前面に出しているせいか、あんまりそういう感じがしない。
むしろ直巳が容疑者ってことに神経が行っちゃう。
振り向いた直巳は、犯人に見えなくもない。

だから直希、由里を受け入れたのかなあという気もしましたが、いや~、由里ちゃん、嫉妬と憎しみのあまり、実那子に会いに行った時は怖かったですけど、悪い子じゃないのは今回の実那子への態度でもわかる。
直希が由里を抱きしめたのは、傷ついた者同士が寄り添うような感じがしました。
今の直希にとって、由里は自分の痛みを一番よくわかってくれる相手なんだろうなと思いました。

だけど、恋っていうのは知らず知らず、他人を傷つけているものなんですね。
恋してる者には、相手と自分しか目に入っていない。
だから自分が人を傷つけたことに、気がつかない。

敬太の涙と、涙とは裏腹の憎しみに満ちた目、コミカルでちょっと悪党だった敬太の顔じゃない。
口に浮かべた笑は、まさに残酷な微笑み。
自分も、相手も、全て傷つけてやろう、という…。

ユースケさんの表情が上手かったですよ~。
「踊る大捜査線」での真下さんとは、全然違う。

この登場人物たちは「愛」ゆえに狂っていくんだな、と思いました。
最終回でその思いはさらに深くなりました。

それから、クライマックスでかかる、あのドラマチックな曲。
静かに始まり、やがてパニックのような旋律をオーケストラが奏でる、印象的なあの曲は「黒の慟哭」というのだそうです。
すごくいいですよね、この曲!
クライマックスで流れると、ゾクゾクします。
 
9回目、あと3回、10回、11回、そして最終回へとものすごい展開ですよ。
やっぱりこれでイブの夜の最終回へ、ものすごい盛り上がっていきましたね。


情熱が実った「シェラ・デ・コブレの幽霊」上映会

マイナーだと思っていた、いや、今や一部の人以外、ほとんど誰も知らないと思っていた「シェラデコブレの幽霊」という映画。
正式には「シェラ・デ・コブレの幽霊」というらしいです。

これが、幻のホラー映画として語られていたこと、捜し求めている人がいること。
それでもやはり、相当、見ることが難しい映画であること。
日本でただ1人だけフィルムを持っている人がいることを、去年の秋に知りましたが、この「シェラ・デ・コブレの幽霊」神戸市長田区で上映されるとか。
すごいですねえ、ここまで来たんですね。

噂が噂を呼んでなのか、元々密かに捜し求めている人が多かったのか、いや、話題になったせいでしょうか。
すでに予約で満席だとか。
この映画放送の予告CMを幼少時に体験して、その体験が後の映画の基になった中田英夫監督は、映像の世界にいるのに、あれからあの映像に出会ったことがなかったというのが、もう、本当に見ることができない映画だったんだなと。
しかし、さすが中田監督、タイトルには行き当たった。

だけど、ここまで来ると私でも見てみたいです。
情報さえもほとんどない映画が上映までこぎつけたんですから、その次があるかもしれません。
あるといいですね~。

私もたぶん、1974年で土曜日だったと思いますが、夜中に目が覚めてテレビを見たら、黒をバックに無声のアニメをやっていたのを覚えています。
外国のアニメらしく、髪がウエーブした女性が縞模様のワンピースを着て、家に帰って来る。
シャワーを浴びる為、シャワー室に入って、縞模様のワンピースがシャワー室の壁に掛けられるのが外から映される。

上から見えているシャワーからお湯が出て、女性がシャワーを浴びる。
シャワーが止まって、縞模様のワンピースが中に引き込まれ、女性が再びワンピースを着て出てくる。
その後、女性がベッドに入って電気が消されて、眠るだけでおしまい。

全然、面白くもなんともないんですけど、当時、テレビは12時前に終了してたんですね。
だからこのアニメで、放送は終了。
そのせいでしょうか、妙に気になってる。
この時以来、それほどの夜更かしもしてないし、一度もそのアニメは見たことない。
「水滸伝」を親が見ていたはずなので、たぶんそのチャンネルでした。

いやー、シャワーの後、同じワンピースを着て、それで寝ちゃうの?と思った記憶があります。
日本の明るいアニメと違って、単純なライン、バックは黒、女性は白いラインで描かれ、ワンピースの縞だけが赤かったような気がします。
一度しか見たことがない、何だかわからないものって、妙に気になっちゃうんだなあと思ってます。
だから突き止めた人って、すごいし、幸せですよね。

何にせよ、見たい情熱が実った「シェラ・デ・コブレの幽霊」の上映、すごいことです。
見た人のレポートが楽しみです。
今度はたくさん、情報が入ってきそうですしね。


怪談レストラン 第9回目

9回目です。
なんと1ヶ月も間が開いてます。
あんまりです。

前菜「自分の葬式を見た」、メイン「水の精のおくりもの」、デザート「モロッコで消えた花嫁」。

「自分の葬式を見た」。

午後の授業の最中、眠くなったアコは教室の窓から見えるある家の上に青い光を目撃する。
辺りは暗くなり、やがて青い光は家から離れていく。
そこはアコがいつも道で会うおばあさんの家で、アコはそのおばあさんのお葬式に遭遇する。
翌日もまた、同じ時間にことが起きた。

アコがその話をショウにしていると、レイコがドッペルゲンガーの話をしてくれる。
幽体離脱した魂が、もう1人の自分となって別行動を取っている。
魂が元に戻らないと、そのまま死んでしまうという。

翌日は午後の授業はない日だったが、ショウがビデオカメラを持ってアコと一緒にいる。
もしや、人の魂が抜けていくのが見えるようになったということは、アコの死も近いということだろうか。
するといつもの時間に辺りが暗くなり、アコの体から青い火の玉が抜け出していく。
アコの魂が抜けていく、このままではアコが危ない!

抜け出した魂はすぐならば戻せるとショウは叫び、アコとショウは青い火の玉を追いかける。
途中、アコは自分のお葬式を見る。
さらに、バイクと接触しそうになったアコ。
火の玉はどんどん逃げていく。

火の玉が飛んで行った先にはレイコがいた。
しつこく自分の周りを飛びまわる虫に腹を立てたレイコは、虫に向かってバッグを振り上げた。
レイコが振り下ろしたバッグは逃げていく青い火の玉に当たった。
火の玉ははじかれ、アコの体の中に戻った。

アコは思わず、レイコに抱きつく。
それ以来、アコは青い火の玉を見ることはなかった。


「水の精のおくりもの」。

ゲームは1日1時間という約束を守らないブンタ。
「約束なんて破る為にあるんだよ」と言うブンタに怒ったお母さんは、約束について昔の話を始める。

お母さんがまだ子供の頃、雨に降られてある川の側で雨宿りしていた時のこと。
突然、お母さんは、川の中に引っ張り込まれてしまった。
そこには綺麗な男の子の姿をした川の精がいて、お母さんなら友達になれそうだと思ったと言う。

お母さんと川の精は友達になり、楽しく遊んだ。
しかし数日経つとお母さんは、地上のことが気になりだした。
すると川の精は、お母さんを元の世界に返してくれると言う。
別れ際に川の精は、美しいガラス玉をお母さんに渡す。

ガラス玉の中の水は川の精の魂だと言う。
そしてこの玉をお母さんが守っていてくれている限り、気持ちはひとつだと。
だが、もしもこの玉を割ったら、その時はお母さんの一番大切なものをもらいに行くと言った。

地上に戻ったお母さんは、中学生、高校生、そして就職し、結婚し、アコとブンタが生まれ…、いつしか玉のことは忘れていた。
しかし、掃除していた時に玉を見つけ、水の精との約束を思い出した。
ガラス玉を見たいと言ったブンタ。
お母さんが持って来たガラス玉を興味深げに見ていたが、うっかり落としてしまった。

ガラスが割れ、中の水がこぼれる。
割ってしまった!
怯えるブンタは母親に、一番大切なものは何かと聞く。
するとお母さんは「ブンタよ」と答えた…。

アコとお母さんは怯えるブンタを「約束を破ったからには、お前の息子をもらいに行くぞ!」「約束を守れない子は、一生水の底に閉じ込めてやる」と脅かす。
その時、おりからの暴風雨で突然、停電となった。
恐怖のあまり、ブンタは大きな窓から外に逃げようとする。

しかし、雷鳴轟く雨の中、ブンタは外に出て行けない。
カーテンが雨風の為に室内に翻っている中、外からトントン、と誰かがノックする音がしてきた。
ブンタを驚かせていたアコとお母さんまで、今度は硬直してしまった。
音は玄関からキッチンへ、そして3人がいるリビングへ…。

人影が見え、思わず悲鳴をあげた時…、停電が終わり、電気がついた。
すると、窓にはびしょぬれのお父さんが。
鍵をなくしてしまったので、開けてもらおうとノックしていたと言う。
笑い話になり、ブンタには約束を守る大切さを教えられたが、お母さんの部屋には美しく輝く、本物のガラス玉が置いてあるのだった。
その中には幼い頃のお母さんと水の精が楽しそうに手を取り合って、遊んでいた。


「モロッコで消えた新妻」。

ドイツには、美しい金髪を持つ女性が南の国の太陽の輝きで消えてしまうと言う噂がある。
新婚旅行に来ていたマークとアンドレアという、新婚夫婦。
モロッコの市場で、マークがアンドレアを記念撮影しようとした時。

まぶしい太陽の光は、逆光だった。
アンドレアはその輝きの中で、見えなくなっていた。
その為に、マークは少し動いた。
そして振り向いてカメラをかまえた時、アンドレアはもういなかった。

「アンドレア?いたずらはよせよ」
そう言ってマークは辺りを見渡したが、市場のにぎわいと行きかう人々がいるばかり。
マークはアンドレアを探した。
アンドレアはホテルに戻ってこなかった。
警察が捜しても、アンドレアは見つからなかった。

モロッコの市場で今でもアンドレアを探している、年を取ったマーク。
マークは必ずお昼過ぎのアンドレアが消えた時間には、アンドレアを見た最後の場所でカメラを構える。
ある日、ひょっとアンドレアがカメラの中に映って、「早く撮ってよ」と言いそうな気がして。



「自分の葬式を見た」は、眠い午後の授業中、不思議なものを見たアコ。
ああ、眠気がふっとぶ。
しかし、午後は眠い。
2時前ぐらいが、一番眠いだろうか。

仕事してても「ああ、今、私は給料返せと言われてもしかたのない状態」と言うと、「良かったら遠慮なく使って」と拳骨を突き出す同僚。
ああ、素敵な友情。

山岸涼子(涼は「さんずい」ではなく「にすい)の「ゆうれい談」にも収録されている話ですが、夢の中で親戚や知り合いが揃って自分を見下ろしている。
あれは親戚のおばさん。
あれは○○ちゃん。
どうしてみんな、そんな悲しそうな顔してるの?

その話を聞いた山岸さんはゾッとした。
それはもしかして自分のお葬式なのではないか、と思ったから。
自分のお葬式を夢に見ている人は多いらしいけど…、と。

「まんが日本むかしばなし」の「夜中のおとむらい」も、こんな話でした。
こういう話は昔から多かったんでしょうか?
怖いよ。




レイコがアコにドッペルゲンガーの話をしてるんですが、ドッペルゲンガーは幽体離脱した人の魂が、その人本人とは別行動をとっている時に目撃される姿で、つまりもう1人の自分ですね。
死期が近くなった人がドッペルゲンガー現象を起こすとか、ドッペルゲンガー現象が起きると死んじゃうとか言われてる。

そういえば、もう20年以上も前、友人と数人で海に行った時。
荷物番の私ともう1人は、うとうとして寝てしまってました。
それが1時間ぐらいして、他の友人が戻ってきた時、2人して花火買ってたでしょ?と言われたんですね。
いや、不覚にもぐっすり寝てました。

でも他の友人は、私たち2人だったって、何でこんなとこで花火買ってんだ?と思ったって言うんですよ。
ぎえー、こわい!とか言ってたんですけど、人の多い夏の海ですからね~、似たようなヘアスタイル、身長の2人がいても全然不思議じゃない。

話しかけてくれてたら、解決したのに。
その話を聞いた後の私は、「コンタクトレンズが乾いて、張り付いた…」と騒いだのでした。
目に悪いですねー。
でも平和。

「水の精のおくりもの」は、お化けギャルソンも言ってましたが、どこか浦島太郎みたいですよね。
私なんて、地上では数十年経ってなかったか?と心配してしまいましたが、そんなわけはないか。
オチは、これはお父さんが帰って来たんだなと思いました。
部屋がびしょびしょになるけど、窓開けっ放しでいいの?とか思ってました。

だけど、水の精、一方的に決めて、川の中に引っ張り込んで、この人だったら友達になれそうなんてうれしいけど、迷惑。
それで帰す時は綺麗だけど壊したら大事なものをもらいに来ると一方的に決めるっていうのも、結構迷惑。

水の精はそれだけ楽しかったんだし、アコのお母さんが好きだから友達の証をくれたわけなんですけどね。
ガラス玉なんて、壊れそうだし。
こういう、壊しちゃいけないお宝って、お皿でも花瓶でもあると怖いですよね~。
壊す=友情は終わった、の解釈なんでしょうが、わざと壊すパターンばかりじゃないって、わかってほしい。

まあ、約束を軽く見ているブンタへの教訓になる話なんだなと思ったら、本当に本物があったというラスト。
人間以外のものの方が、人間との約束を律儀に守ったり、友情に厚かったりする傾向はありますね。
今もガラス玉には楽しそうな2人がいるってことで、友情は続いているという綺麗なお話ではありました。


「モロッコに消えた新妻」は、これ、普通に考えたら誘拐ですけど、いずれにしてもゾッとする話ではあります。
マークの前にアンドレアが当時のままの姿で戻ってきたら、それこそ浦島太郎かXファイルみたいですけど。

日本でも外国で服を試着した人が試着室から出てこなくてそのまま行方不明になった、なんて都市伝説がありますね。
こういう話は世界中にあるようで、「オルレアンの噂」が原型ではないかと言われています。
これは1960年代後半、「オルレアンにあるユダヤ人のブティックで試着室に入った人が行方不明になる」という噂が流れたもので、「オルレアンの噂」という本にもなってます。
こんな話ではないのですが、試着室から人が消えた話として、宮脇明子さんのマンガで「試着室」というのがあります。

話がどんどん飛んでしまうので、ドッペルゲンガーや芥川龍之介の「歯車」、「オルレアンの噂」や、マンガの「試着室」は別の記事にしますが、久々の「怪談レストラン」。
お化けギャルソンに会えて、楽しかったです。

そうそう、お化けギャルソンが本編で、アコのお母さんが整理した中にぬいぐるみで出て来ていたんですが、これから毎回出てくるのでしょうか。
見つけるのも楽しい。


本当は奪いたかったのかもしれない 「眠れる森」 第8回

実那子の埋めたロケットを見て尋常ではない動揺の直季だったが、御倉から東京に戻って来た。
敬太は直希の仕事先に来てロケットの写真は誰だったのか聞いたのに対して、直季は子供のガラクタが入っていただけだったと言う。
だが、敬太はお前、俺に嘘ついてるだろうと言った。

実那子は職場で、実那子のことを訪ねてきた男性がいたことを知る。
今日もその男性は外にいたと聞いた実那子は走り出て、国府の後姿を見る。

帰り道、実那子を見かけた直希は夜の公園で話をするが、やはりその話はしなかった。
自分への疑いを持つ実那子は「殺人を犯したかもしれない女だから、あなたを不幸にするかもしれない」と輝一郎に別れを告げてみたことを話すが、直希はそう言われて別れる男はいない、それは「構わない」と言ってほしいだけだと言ってなだめる。

次の朝、輝一郎が直希のアパートにあわててやってくる。
実那子がいないのだ。
携帯の電源も切れている。
直希は実那子は御蔵に行ったのだと言い、2人は御蔵へ向かった。

実那子は廃墟となった森田家の前に、立っていた。
何か思い出したかと聞く輝一郎に、実那子は首を振る。
実那子は教会を見つめ、何とか記憶を呼び覚まそうとするが、わからないままだった。

直希と輝一郎は実那子を連れ出そうとするが、実那子は輝一郎を振り切って商店街を歩く。
そして居合わせた人に15年前の殺人事件で自分はただ1人残った森田実那子なんです、私のことを覚えていませんかと聞く。
だが、どの人間も奇異な目で見るばかりで、答えは返って来なかった。
実那子は自分の同級生に会ったんでしょう、そこに連れて行ってと言う。

直希は自分が会った実那子の同級生の家に、実那子を連れて行った。
久しぶりの再会に、同級生はうれしそうだった。
そして何も思い出せないと言う実那子に、「今のままでいいんじゃないかな…」と言う。

沖田将人が事故に遭った渓谷を見下ろしながら実那子は、何故、自分だけが虐待を受けていたのだろうと言う。
答えられない直希。
父は異常な人間だったのではないだろうか。
そしてその血を自分も引いている。
悩む実那子は次に父の元秘書で、父の死後、市会議員となっている男性を訪ねた。

事故のあった日、父は本当にあなたと会議をしていたのですか?という実那子の問いに彼は「私は先生に拾われた身です…」と言って、偽証したことを明かす。
実那子の母はボランティアで森林保護をやっていたと言う。
だが、実那子の父は母が守ろうとしていた眠れる森を潰して、ダムを作る計画を提案した。
何故そんなことを…と言う実那子に、男性は、「奥様が先生を裏切っていたからです」と告げた。

「母が…」。
呆然とする実那子。
「奥様が先生の元に戻ると、先生はダムの建設も凍結しました。先生にはそういう、子供じみたところがおありでした」。

輝一郎は自分がいた学生寮に実那子を連れて行った。
ここで実那子は、国府と姉のキューピット役をしていたこと。
そしてあの日、自分が東京に帰らなければ、あの惨劇は防げたかもしれないと後悔を語る。

3人は、森田家の墓参りをした。
墓前には、バイオリンの楽譜があった。
国府だ、と直希は言った。
墓に手を合わせながら実那子は言う。
「あなたたちは何故、死ななければならなかったの?もしあなたたちを殺したのが私だとわかった時は、その時は私は私を裁きます…」。

実那子は、隠れ家だったところへ行きたいと言う。
直希は俺がわかるよと言って案内した。
森で実那子は、直希の父親の直巳にもう一度会いたい、会って深層催眠をかけて、事件の時点まで自分を退行させたいと言う。
どうせフラッシュバックで苦しむのだから、一気に思い出してしまいたい。
だが直希は、直巳には二度と会わないほうがいいと言った。

そして「ごめん。俺は実那子の人生を弄んだだけだった」と謝罪した。
実那子は自分の一部だ、何もかも知っていると言いながら、今の生活を壊して全部新しくできればと思っていたけれど、結局は実那子を過去によって苦しめただけだった。

過去が人間を作ると実那子は言ったが、俺に過去なんかなくても幸せになれることを見せてくれ、と直希は言った。
「俺、本当は実那子を濱崎さんから奪いたかったのかもしれない。…さようなら、実那子。幸せになれよ」と言って去っていく直希。
必ず、国府からは自分が守る、と約束して。

実那子と輝一郎に別れを告げた直希は、タイムカプセルの場所に立ち寄る。
しかし、タイムカプセルの箱は掘り出されて放置されていた。
直希が箱の中を見ると、ロケットがなかった。
「いたんだ…」。
国府が自分を見ていたことを知った直希。
東京に戻る車中で輝一郎は、直希に友情を感じていたと話す。

その夜、仕事を終えた直希は1人、地下駐車場で車を出そうとしていた。
ドアを開けようとした時、直希は背後から鉄パイプで腰を殴られた。
続けざまに背中を殴られ、直希は倒れた。
見上げた直希の目に、国府が映った。

国府は直希を数回殴ると、ガムテープで手足を縛った。
口もガムテープで塞ぐと、直希の車のトランクを開けて、直希を入れる。
抵抗する直希だったが、それもむなしく、国府は直希を積んで地下駐車場を出る。
かすかに笑いを浮かべる国分。



国府が実那子の前に姿を現しました。
後姿で、ちらっと振り返っただけですけど。
怖いですよね、自分の家族を殺して服役していた人ですよ。

そして直希の報告に納得しなかった実那子は、自ら記憶を求めて故郷へ。
森田家の後ろで、神父さんが外を掃いていたのが目に入りました。

実那子は商店街の人、八百屋さんなんかにも自分のことを聞いてましたが、あれは今晩の団欒の話題になるでしょうね。
「今日、変な人が変なことを聞いてきた」って。
そんな感じの反応でした。

前回を上回るような謎の解決はありませんでしたが、実那子が母の不貞を知りました。
森田の父が自分の意にそぐわない相手は、徹底的に潰そうとする人だったことも。

今回は国府の影が迫ってきて、直希は追う立場から追われる立場へ。
というか、襲われてました。
怖いよー、国府さん。
まあ、国分にしても誰が敵かわからないから、いや、敵ばかりだと思ってるんでしょうね。

だけど、殺意がないのはわかる。
いや、相当痛いですけど、ひどいですけど。
後で起きる出来事と比べると、殺意がないのがわかる。

何だか、この回の直希は切ないなあなんて思いましたっけ。
初回のふてぶてしさ、大胆さは影を潜めるなあ、と。
そうか~、あの実那子を脅かす行動は、実那子が今いる場所や、今の生活から逃げるように、新しい生活を遅れるようにしたかったのか~、と。
何だか1人ですべて抱え込んじゃって、嫌な男どころか、何だかかわいそうになっちゃったね、と言ってたのでした。

そういえば、直希も研究に専念する父親にあんまり構ってもらった幼年時代じゃないし、この人も寂しいなあ。
実那子、直希、輝一郎、みんな素直に楽しい子供時代じゃなかったんだなあ。

しかし、これ、綺麗な画面と中山美穂とキムタクの綺麗さ、周りの仲村トオルさんや陣内さんもかっこいいから、ちょっとわからなくなりがちですけど、かなり怖い話ですよね。
フラッシュバックで出てくるシーンなんて、まさに悪夢だし。
考えてみると、怖いシチュエーションばっかりなんですよね。

音楽も「うまいなあ」「ドラマを盛り上げるなあ」と大人は思いますけど、この音楽も子供は怖いんじゃないか。
小学生だった頃に本放送見た人は、相当怖かったんじゃないでしょうか。

しかし、キムタクファンには次回までの一週間がものすご~く長かったことでしょう。
あ~、次回か、国府・陣内さんの迫力あるシーンは。

今回は、国分が直希を襲うという、最後にすごいシーンが出てきましたが、それ以外は新たな事実の発覚とか展開はなかった、割と平和な回だったんですけど、直希の苦悩はすごく出てた回ですね。
直希の実那子への言葉とか、態度とか、直希の良いところがたくさんあった回だと思いました。

だけど展開と結末知ってても楽しめるミステリーって、このドラマ、すごいです。

くだらない追記ですが、森からキムタク・直希が去って行った時、私は「私なら来た道わかんない…、迷うよ」と言ってましたっけ。
いや、ほんと、どこ見ても木だし、よく帰れたなあと思いましたよ。
おとぎ話でガラス玉を落として、道がわかるようにしていた話ありましたけど、そうでもしないとわからない、って。
もしかしてそれも伏線だったのかと後で思いましたが、これは考えすぎですね。


展開が読めない 「眠れる森」 第7回

今日は足がつっちゃった、つっちゃった。
泳いでる時につってもそのままクロールで泳いでいますが、歩くのは難儀します。
長距離泳いでる時はほとんど、足を使わないからですね。
でも歩くのはそういうわけにいかないから、ペンギンみたいになってる。

さて、第7回です。
ハマっております。

直希は実那子の子供時代を調べる為に、福島の御倉へやってきた。
今は廃墟となった実那子の実家、瀟洒な屋敷であった森田家の前に立つ直希。
そのすぐ後に、国府が森田家の前に立つ。

森田一家は市会議員の父、旅館の娘だった母、バイオリニストとして将来期待される姉と妹は美人姉妹と言われ、何一つ問題のない理想的な家族という評判だった。
だが直希が実那子と仲の良かった同級生を尋ねると、彼女は自分だけが知っていたことを話してくれた。

実那子の体にはあちこち、あざができていた。
どうしたのかと聞くと、父親に殴られたのだと実那子は話した。
虐待だった。

実那子は父親に虐待を受けていたのだ。
お姉さんも殴られているのかと聞くと、自分だけだと実那子は言ったらしい。
何故、実那子だけ虐待されていたのだろう?

東京に戻り、実那子に事実を話すと、実那子は自分には父を刺す動機があったと言う。
ますます自分への疑いを深くする実那子に、直希は虐待されていたのに実那子はいつも笑っていた。
国府のいた学生寮では実那子はマスコット的存在で、かわいがられていた。
決して実那子が疑っているような子供ではなかったと直希は強調する。
しかし敬太が、実那子は実の子ではなかったという事実を調べて来て、直希に報告した。

実那子は完全に思い出したわけではないが、想像できた。
虐待がはじまったのは、家を改築し1人部屋を与えられ、姉と別々に寝るようになってからだった。
親が実那子の部屋にやってきては、殴るようになった。

何故自分だけ殴られるのか…。
ある日、実那子は母に相談した。
母親は衝撃を受け、そして実那子を抱きしめた。

実那子は父の実の子供ではなかったのだ。
母親は本当の父親の顔写真の入った、ロケットをくれた。
それからは母親は実那子に父親が暴力を振るわないよう、気をつけるようになった。

さらにその頃、実那子と仲の良かった沖田将人という少年が実那子と一緒に御倉渓谷にピクニックに行った時、川で流され、溺死しているという情報を敬太が持ってくる。

その時、実那子は父親の姿を目撃しており、父に少年を助けてくれと言ったが、父は少年が流されるのを平然と見て、立ち去ったという。
だがその頃、父は別の場所にいたという証言がとれており、土地の名士で市会議員だった父親のことをそれ以上警察も調べなかったらしい。

これを聞いた実那子は、自分には父を殺す動機があったと思い、輝一郎に婚約破棄を申し入れる。
だが輝一郎は実那子に「実那子に殺されるならそれでもいい」とまで言い、実那子は婚約破棄を思いとどまった。
深夜、再び仕事に向かう輝一郎は実那子と別れた後、また白いドレスの母親を目撃する。

「あなたはあの女に惑わされている。あなたを惑わす人間は許さない」と言っているのが、輝一郎にはわかった。
しかし、輝一郎は道路の向こうにいた母親の姿を、再び見失ってしまう。

直希は敬太と沖田将人の母親を訪ねる。
母親は息子と実那子とはまるで当時、子供たちの間で評判になった子供同士の純粋な恋愛ストーリー「小さな恋のメロディ」のようだったと話してくれた。
そして息子の部屋に案内してくれた為、直希と敬太は少年と実那子の交換日記を見ることができた。

実那子は母親は学生時代、ここに来ていた男性と恋に落ちた。
そして2人は再会し、実那子が生まれたのだと母親は言ったということが、日記には書いてあった。
これが本当の父親だと、実那子は実の父親の写真が入ったロケットを母に貰った。

沖田将人は、今のお父さんを本当のお父さんと思う為にもそれはないほうがいいんじゃないかと言った。
そこで2人は大事なものをタイムカプセルとして、大人になったら掘り出そうと、眠れる森に埋めることにした。
少年は運動会で優勝した時のメダルを、実那子は実の父親の写真が入ったロケットを。
埋めた場所の地図も書いてあった。

直希はそこを掘り返すことにした。
敬太には実那子の実の父親という秘密は、「実那子の過去を盗み見るのは俺だけで十分だ」と言って東京に帰した。
夜の森、直希は地図に書いてあったように歩き、タイムカプセルを埋めたと思われる場所を掘り返した。

土の中、タイムカプセルは見つかった。
紙やビニールに丁寧に包んであったタイムカプセルは、お菓子の缶の箱だった。
箱を開けると、メダルが出てきた。
そしてその下からロケットが…。

直希は暗い中、懸命に懐中電灯をかざし、ロケットの写真を確認した。
写真を認識した直希の目が見開かれる。
そして今度は一刻も早く土の中に戻すよう、急いでタイムカプセルを埋め始める。
その様子を背後から国府が見ていた。

直希はまるで何かから逃れるかのように、車を飛ばす。
スピードをあげた車は街頭のない道をひた走り、コントロールを失って道路脇の木に接触し、危うく停車した。
「そういうことかよ…」。
直希はつぶやく。

その頃、国府は直希が埋めたタイムカプセルを掘り出し、中のロケットを手に取った。
ロケットの中の写真を凝視する国府…。



一つ解決すると、一つ謎が出てくるこの展開!
うまい~。

森田家の裏手にある教会のマリア像、目、光ってるんですよ。
キムタクが前に立っている時も何だか光ってましたが、陣内さんの時はもっとギラリと光ってるんです。
初めて見た時は何であんなに光ってるんだか意味がわからなくて、不気味な演出かと思いました。

それで国府さん、福島に出没。
いつの間にか追っているはずの直希の背後に。
どうして福島にいるの。
直希を追ってきたの?

う~ん、実那子が虐待を受けていたとは。
そして実の子供ではなかったとは。
母親の不倫の末、生まれた子だったのが予想外で、さらに父親は実那子と仲が良かった少年まで見殺しにしていたようで、これは予想もしてなかった展開でした。

直希は実那子がどんどん不安になるような報告はするけど、森田実那子はそんなことしない、そんな運命に負けない明るい女の子だったって言ってくれる。

輝一郎は母親の麻紀子の声に出た言葉ではなく、口の動きだけでよくあんなに言ってることがわかるなあと。
輝一郎の方も、思い込んでやしないでしょうか?って当時、ちょっと思いました。
だけど麻紀子が実那子を嫌っていることはわかった。
何だか危ないと思ってました。

由里ちゃんは直希の部屋を訪ねてきて、どうしてこの前、実那子の職場に行ったか理由を話しますけど、これがもう挑戦的。
直希は義務感で自分についているだけだって実那子が由里をなだめた話を、「義務だって!直希のことは好きでも何でもないって!」と言う。
「もっと傷つけて、直希を」と言ってたけど、自分が傷ついた分、直希も傷ついてください!って。
直希が好きであれば好きであるほど、傷ついてほしい、こちらも屈折しちゃったなあ。

だけど、そんな由里にちょっと悪いと思ったんでしょうか。
由里が持って来たケーキを「食うんだろう?」と言って、お茶淹れさせる。
何か、こういう小さな優しさがうれしいんだよね、由里ちゃん、幸せ感じちゃうんだよね。

一応、実那子に対しても直希に対しても、邪魔者ポジションだけど、けなげさが報われる瞬間。
よかったね、って思ってしまう。
この由里ちゃんに感じる切なさを後半、全員に感じるとは…。

しかし、写真の表面が光るとか上手い演出で、結局、直希は誰の姿を見たんだ!と当時もわからなかった。
すごく動揺してたから、知ってる人間の顔があったんだろうなあと思ってました。
次回かな、国府さんの迫力満点のシーンがあるのは。
怖いですよ~、この時の国府さん。

それでまだ真犯人は、この時点ではわからないままなのでした。
当たり前?

お前の心を惑わす人間は許さない 「眠れる森」 第6回

眠れる森の第6回。

敬太は輝一郎に情報を渡し、報酬を得るようになっていた。
そして直希と敬太は、国府と刑務所で同じ房にいた玉置の中華料理店を訪ねる。
直希は国府がおそらく、実那子の勤め先にたどり着くであろうことを知った。

玉置の妹の春絵が国府と獄中結婚、ただしまだ籍は入れていないということを教えられた直希は、春絵に国府のことを聞いてみる。
国府に口止めされている春絵は、国府が当面違う人間になると言ったこと、あいつにふさわしい地獄を考えていると言っていたことを教える。
違う人間になる、それはどこかのドヤ街で戸籍を買うんだろうと玉置は言う。

その夜、直希と付き合っていた由里(本上まなみ)が直希のアパートにやってくる。
由里を冷たくあしらう直希だったが、由里は直希に自分の気持ちをぶつけてくる。
実那子は公判記録を読みながら、事件の夜のことを考えていた。

何故、自分だけが助かったのか。
それは誰かが訪ねてきたからではないのか。
では訪ねてきたのは誰だろう?
国府ではないのか。
だったら犯人は?

そして輝一郎も直希を訪ねてきた。
輝一郎と国府が同級生であることから直希は、実那子と偶然知り合ったのかどうか疑問に思う。
だが輝一郎は、自分の友人が実那子の両親と姉を殺してしまったことに責任を感じていた。

あのクリスマスイブの日は、輝一郎は母の失踪宣告の日だった為、東京で父親と飲み明かしていた。
もし、自分がいれば、国府の犯行を止められたかもしれないと思い、罪の意識にさいなまれた。
その為に、あれから実那子をずっと見守っていたと言う。

「要するに2人は別のところから、実那子をずっと見てたってことですか?」と言う直希に輝一郎は、「だから君の話を聞いた時、他人じゃないなって感じがしたんだ」と答える。
実那子をともに見守っていたことで2人の間に、奇妙な連帯感が生まれた。
しかし輝一郎は直希が国府のことを調べているが、ほどほどにしておくように言う。

国府はカッとなると見境がなくなるところがあり、学生時代もそれで別の学部の生徒にひどい怪我を負わせたことがある。
実那子の姉がそういう国府の性格を直そうとしていた矢先の、あの事件だったのだ。
だが、実那子の勤め先の外には国分が既に立っていた。
そして輝一郎の脳裏に、自分のヌードを描かせている母親の姿が蘇ってきた。

酒のグラスを手にしている母親を自分は描きながら、母親の顔が知らない女の人のようだと子供の輝一郎は怯えた。
怯える輝一郎に母親は、「心が迷っている。心が迷うのは、迷わせる人がいるからよ。良く覚えておきなさい。お前の心を惑わす人間は、お母さんが許さない」と言った。
輝一郎の胸に、不安がよぎる。

そして輝一郎の引越しの為、荷物整理をしていた時、実那子の手が止まる。
実那子は輝一郎の大学も学部も国府と同じことを知ってしまったのだ。
驚く実那子に輝一郎はいずれ話さなければいけなかった、と言う。
しかし、2人が出会った時、自分は運命だと思ったと輝一郎は言う。

国府と実那子の姉が付き合っていた時も見ていたし、小学生の実那子とも何度か会っていると。
「子供の頃の私ってどんな子だった?」と聞く実那子に輝一郎は、「男の子の遊びが好きな、活発な女の子だった」と教える。
直希の記憶であるキャッチボールの時に投げるカーブ、「あれ、俺が実那子に教えたんだ」。

輝一郎が深夜まで会社に残って残業していた夜だった。
ふと疲れて夜景を見ていた輝一郎は、ガラスに映った自分の後ろに白い影を見る。
振り返り、廊下に出ると、白い影が逃げていく。

輝一郎は影の後を追いかけると、屋上に出た。
屋上にいたのは、白いドレスの輝一郎の母・麻紀子(原田美枝子)だった。
「生きていたんだね、生きていると思った。今頃、何の用なんだ!」。

叫ぶ輝一郎に麻紀子は、「15年間ずっとあなたを見ていたわ」と言った。
再び逃げていく母親を転んでしまった輝一郎は、追えなかった。
輝一郎は麻紀子の言葉と、思いつめたような顔を思い出す。
「お前の心を惑わす人間は、お母さんが許さない」。

稲光がする夜、由里は退社間際の実那子を訪ねてきた。
硬い表情で敵意を向ける由里は、早く婚約者と幸せになって直希にその姿を見せ付けて、「もっと傷つけて…、直希を」と言う。
そして直希への実那子の気持ちを問いただす。
実那子が最初は薄気味が悪かったし、憎んだこともあるが、今は同士のような気持ちだと言うと、その気持ちに恋愛感情は本当に入っていないと言えるのかと詰め寄った。

その時、稲光が実那子のフラッシュバックを呼んだ。
倒れている父、そして見たのは、鏡に映っている実那子自身。
実那子の服には血が飛び散り、その手には包丁があった。
そこまで思い出した実那子は倒れてしまい、驚いた由里は救急車を呼んだ。

病院にかけつけた直希は由里を見て「何しに来たんだ!」と怒りをあらわにし、由里を怯えさせるが、輝一郎は由里がいてくれたおかげで助かったのだと直希を抑える。
実那子の治療の間、直希は犯人は国府以外にいるのではないかと言う。
直希の推理を聞いた輝一郎は、勝手なことを言うなと怒る。
輝一郎の頭の中には、「お前の心を惑わす人間は、お母さんが許さない」と言った母の顔があった。
その時、実那子が意識を取り戻す。

ややぼんやりしている実那子は、病室に入ってきた輝一郎に、犯人の顔を見たと話す。
「私よ。鏡に私が映っていた。私は血まみれの包丁を持っていた…」と顔を覆う実那子。
記憶の中の子供の実那子は、残酷な笑みを浮かべて笑っていた。
「11歳の子供に殺せるわけがない!」と言う輝一郎に実那子は、「私は大人の背中からナイフを持って忍び寄るような子供だったのよ」と言う。
「実那子はそんな子じゃない!」と直希は叫び、「俺が調べてくるよ。群馬じゃない、実那子の本当の故郷の福島で実那子がどんな子だったか、調べてきてやるよ!」と叫ぶ。

実那子がもどらなかった夜が明けた。
早朝、実那子の暮らすマンションの前には国府がいた…。



あー、覚えてる、覚えてる。
残業中の輝一郎の前に、母親が現れる。
セキュリティだって厳しいだろうに、何でいるの?
おまけに足が速いよー。

それにしても、昼間にぎやかな場所ほど、夜静まり返ってると怖いですね。
会社もそう、学校もそう。

そうそう、いきなり輝一郎の母親が容疑者として浮かび上がってきた。
何度も何度も出てくる「お前の心を惑わす人間は、お母さんが許さない」。
もしかして、異常だったの?って。
輝一郎に近づく者は殺しかねないような人だったの?と。

さらに輝一郎は、母親の香り、バニラエッセンスの香りが漂ってるのに気づく。
あれ?直希の父親の直巳の診療所でもバニラエッセンスの香りがしたら、それは珍しい蘭の香りとかで実那子が名前を言い当ててましたっけ。
ここで、あれー、もしかして直巳の患者として麻紀子がいるとかあり?って、そんな可能性も出てきちゃった。

そう思ってたら、新たな可能性が出てきた。
なんと前回、ちょっと意味ありげな笑いをしていた子供の実那子が包丁持って立ってた、だってー?!

いや~、いくらなんでも3人も殺せないだろうと思うんですが、実那子自身は「大人の後ろからナイフ持って忍び寄るような子供だったのよ」って犯行可能みたいなこと言うし。
そうすると、国府が法廷で沈黙していた理由もわかるし。
「あいつにふさわしい地獄を」も、大人になった実那子へ、って意味が通じるし。

そして、輝一郎と国府が同級生で、事件前の自分とも一緒に遊んでた、それをずっと出会った時から黙ってたって聞いて、ちょっとしか動揺しない実那子。
素直に輝一郎の言い分を信じたんですね。

それから、今まで大人しい存在だった由里、直希への思いからいきなり大胆に動き出します。
実那子の勤め先に行って、実那子を問い詰めたり。
でも、由里、報われない想いってつらいと自分のことを話した後、実那子を想う直希は耐えられそう?って直希に聞いてて、かわいそうなんですけど。

直希の由里への扱いって、本当に残酷だし。
まあ、あんまりやさしくしないのが、ここは本当の思いやりなんでしょうけど。
若さゆえの残酷さが、この辺のキムタクからうまく出てました。
由里ちゃん、やめたほうがいいよ、傷つくだけだよ。

そうそう、この陣内さんは何考えてるかわかんなくて、とっても怖いけど、陣内さんの手は綺麗だと思ってしまいました。
陣内さんに会ったことがある人は、白くてきめが細かくて綺麗なお肌だったと言ってましたが、手もそんな感じです。


「お佐那さんは強い」 龍馬伝 第4回

土佐を出て30日後、龍馬と溝渕は江戸に到着した。
浮世絵をかざしながら売る商人、大道芸人、力士、たくさんの人の往来。
大勢の人間の行きかう、闊達な江戸に龍馬は、「みんな生き生きしちょるのう」と目を輝かせる。

千葉道場に向かった龍馬は、千葉重太郎(渡辺いっけい)に案内される。
道場では子供が剣術を学んでいた。
「太鼓でも叩きながらやれば評判になる」と龍馬が奇抜な考えを言うと、重太郎はそれに興味を示した。
「全国の猛者が学んでいる」と聞いていた龍馬だが、その和やかさに拍子抜けした。
だが、重太郎は「猛者が学んでると思った?」と言うと、別の戸を開ける。

途端に猛練習の声と音が響き渡る。
その奥に、道場主の千葉定吉(里見浩太朗)がいた。

龍馬を確認した定吉は太刀筋を見ると言うと、「佐那、相手をしなさい」と声をかけた。
その相手は小柄な女性であった。
「おなごと…」と戸惑った龍馬だが、立ち会った側から佐那に鋭く打ち込まれる。
次々打ち込んでくる鋭く、俊敏な佐那に龍馬はあっという間に竹刀を落とされる。

「もう一度お願いします!」と言う龍馬だったが、重太郎は「佐那は道場で一番強い。ここにいる者は全員、佐那には勝てない」と言われる。
顔はかわいいが、剣の腕は鬼のように強い。
佐那は千葉道場の鬼小町、と呼ばれているのだった。

すばやい佐那に龍馬は感心する。
佐那は龍馬が今まで見たこともない女性だった。
龍馬は江戸に到着して見たものを手紙に書き、故郷へ送った。

道場で剣術以外のことも考えねばならない定吉と、剣術のみに専念している佐那は千葉道場の看板であることを自覚している為、いつも厳しい顔をしていた。
稽古後、体を拭いている龍馬を見た佐那は、上半身裸の龍馬に一瞬うろたえるが、すぐに厳しい顔で「裏でやりなさい」と言う。

土佐では関所でニセ手形がバレ、何とか戻ってきた弥太郎が相変わらずの日々であった。
そして半平太はあちこちで学問と剣術を学ばないかと言って青年たちを文武両道を唱える自分の塾に勧誘し、剣術を教え、学問を教えるようになっていた。
やさしい半平太の講義は、以蔵にも理解ができるものだった。

弥太郎を見かけた半平太は塾で学ばないかと声をかけるが、弥太郎は「日本外史などそんなもんはもう、わしの頭の中に入っちょる」と嘲笑った。
「おまんは学問がいいが、剣術がおろそかだ。文武両道」と唱える半平太に弥太郎は、「龍馬に張り合っちょるんだろう。だが龍馬が江戸から戻って道場を開けば、おまんの道場など終わりぜよ。江戸帰りの龍馬におまんの道場などかなうわけがない」と言った。

「武市半平太にも嫉妬とゆうもんがあったがかえ。こりゃー、おもろいのう」。
弥太郎が嘲笑って去った後、半平太は弥太郎の指摘に立ち尽くす。

弥太郎が家に戻ると、父の弥次郎が久々に畑を耕そうと思ったと言う。
父親が働く気になったことを弥太郎は喜ぶが、畑を耕そうとして肩を外したと弥次郎は寝込む。
こんなことではいけない…と思った弥太郎は、半平太なんかより自分の方が学問ができる!と家で学問を教えることにした。

しかし弥太郎が教える相手は、弥太郎の話もほとんど聞かないで、こそこそふざけあっているような妹や弟、近所の子供ばかりだった。
何でこんな奴ら相手にしなきゃならないんじゃ!と苛立った弥太郎が表に出た時だった。

弥太郎の家の前に、加尾がいた。
「縁談を断りました。お稽古事もやめました。学問をしたいので岩崎様、私に学問を教えてくださいませ」。
加尾の言葉を信じられない弥太郎は、頬をつねった。
だが目の前の加尾は弥太郎に頭を下げている。
「よ…、夜明けが来たぜよー!」

佐那に全く歯が立たなかった龍馬は、剣術の稽古に励む。
そんな龍馬を重太郎は、「佐那は定吉の作り上げた作品だ、まだ歩けないうちから竹刀を持たされたのだ」となだめる。
しかしそれでも1人、道場に残って稽古に打ち込む龍馬に重太郎は床に豆を撒く。
そして、豆を踏まぬように摺り足してみろと言う。

龍馬が豆を退けようとすると、重太郎は鋭い声で止める。
「前後左右見えていることは、実は何も見ないことだ」と言って、重太郎は豆を踏まないように動けと言う。
1人、豆の撒かれた床で稽古する龍馬は、豆を踏んでしまい痛がっていた。

龍馬に故郷から手紙が届く。
わくわくした龍馬だが、姉の乙女の手紙は、「広い世の中を見聞するという大目標を見失っているのではないですか」と書いたものだった。
毎日剣術の稽古のみの龍馬を溝渕は、「広い世の中を見よう」と言って連れ出す。

そこは花街で、溝渕は酌をしに来た女がこの上の2階で添い寝もしてくれる場所なのだと教える。
「添い寝…」と一瞬、驚いた龍馬だが、「父上から、女にうつつを抜かすなと固く言われて来た」と溝渕の誘いを断る。
溝渕が上に女と上がるのを、息を詰めて見つめていた龍馬は、1人残って酒を飲んでいた。

その時、「きみはえらい!」と奥から声がかかる。
「きみは土佐の出だろう」と言葉で判断したというその男が、龍馬の前に座る。
龍馬が「千葉道場の坂本龍馬」と名乗ると、男は「斎藤道場の桂小五郎です」と名乗った。
それは長州藩の桂小五郎(谷原章介)だった。

龍馬が小五郎に描かれているひげを気にすると小五郎は、「きみはひげのことしか興味がないのか!」と言った。
龍馬が江戸は広い、日本は広いと江戸に出てきた感想を言うと、途端に小五郎は大声で、「世界は日本の何千倍もでかいんじゃ!エゲレス、メリケン、オロシア…、世界が日本を狙って来ちょる!」と語り始めた。

その通り、黒船は日本に迫りつつあった。
それを知らされた幕府は要人を集めて、城の奥で対策を練るが、何ら有効的な案は出ない。
筆頭老中首座の阿部正弘(升毅)は、アメリカには万に一つも勝てないと言って、この事態には譜代、外様全て団結して乗り越えていくしかないと言う。

千葉道場で龍馬は稽古帰りの佐那が通りかかった時、庭からいつも厳しい顔の佐那に向かって「お佐那さまは笑ったりしないんですか。酔っ払ったりとかもしないんですか」と聞く。
そして、佐那を和ませようと姉の話をする。
姉は「坂本のお仁王様」と呼ばれており、自分は小さい頃から何度も泣かされてきたと、この前の短い手紙のことも話す。
しかし佐那は冷たく、「楽しいご一家ですね」と一言言い放つと去っていった。

稽古を重ねた龍馬は、重太郎が龍馬の太鼓の案を取り入れた為、道場に通う子供たちを受け持つことになる。
廊下を歩く佐那は龍馬に引っ張り込まれ、子供たちに紹介される。
千葉定吉の娘で道場で佐那に敵う者はいないと聞いた子供たちは、佐那を憧れの目で見つめる。
龍馬は佐那を稽古に引っ張り込み、子供たちの前で教える佐那は次第に笑顔になっていく。
だが龍馬に笑顔を指摘された佐那は、すぐにもとの顔に戻ろうとする。

しかし定吉は佐那を呼ぶと、佐那に聞く。
佐那はもし、私が仇としたら斬れるか?と。
そんな…、と答えられない佐那に定吉はさらに「坂本ならどうだ?お前は坂本を斬れるか?」と聞く。
「どんな相手だろうと、私は斬れます」と答えた佐那に、定吉は「無理だな」と言う。
「お前はもう、坂本龍馬に勝てない」。

衝撃を受けた佐那に、定吉は「なぜなら、お前は女だ。それを認める時が来たのだ」と告げた。
「そんなことはありません!」と立ち上がった佐那は、龍馬のところへ行く。
「私と立ち合いなさい!」と竹刀を渡す佐那に、龍馬は「お佐那様と立ち会う気はしません」と言う。
しかし佐那は龍馬に勝負を挑んだ。

猛然と打ち込んだ佐那だが、龍馬は佐那の太刀を身を翻して交わした。
そして再び打ち込んでくる佐那の竹刀を素手で受け止めると、龍馬は佐那を投げる。
床に組み伏せられた佐那に龍馬は、「これが戦なら佐那どのは死んでます」と言う。
身動きしない佐那に龍馬は、「頭を打ちましたか!」とあわてる。

佐那はポロポロと涙を流す。
「私は弱くない」と佐那は泣く。
「あなたが…、強すぎるんです」。
それを聞いた龍馬はニッコリ笑って、「お佐那さんは強い!」と言う。

その様子を見てただならぬ気配を感じて道場に入るのを止めていた重太郎に向かって、門下生が「大変です!」と走って来た。
「浦賀に…、来たんです!」と言う声に龍馬は道場の外に走る。
江戸の人々が逃げ惑ってパニック状態になっていた。

海に向かって指をさす、人々。
その先には異様な船が…。
黒船来航だった。



第4回、おもしろかった!
千葉佐那ちゃんの登場が、物語をおもしろくしてくれました!

北辰一刀流の「鶺鴒の尾の構え」、リズミカルに次々打ち込んでくる。
防具の中は貫地谷さんじゃないんでしょうか?
それでも、凛とした女性剣士ぶりがよかった。
そこだけ涼しげな、透明な空気が流れているような。

佐那ちゃんにあっという間に竹刀を落とされた龍馬は、稽古に打ち込みます。
その反面、佐那って笑うとかわいいのに…と、普通の女の子の顔をさせようとする。
だけど、佐那は道場を背負っているという自覚からどうしても普通の女の子のように笑ったりできないんですね。

佐那にとっても龍馬は、鬼小町と恐れて誰も近づかなかった自分に屈託なく接してくる、今までいなかった男性。
子供たちの無邪気さと、そんな子供たちを指導する龍馬の明るさ、楽しさにいつの間にか佐那、子供たちの指導をしながら普通の女の子のような笑顔に。

心を解きほぐされた佐那は、いつの間にか龍馬に惹かれていた、ということなんでしょうが、ここ早かった。
「あれ、もう?」って思ってしまいました。
もう少し、佐那が自分の変化に戸惑ったり、龍馬が気になってしまったりという、そういう描写に時間をかけてほしかった。

それでも定吉は、そんな娘の変化に気づく。
恋する佐那は、もう恋した坂本を斬れはしないだろう。
普通の女の子になっちゃったら、道場の看板娘は終わり。
いつかはそんな日が来るだろうと思いながら、でもそんなことにはならないだろうとも思いながら、ついにその日が来た。

佐那に「お前はもう勝てない。なぜなら女だから」っていうのは、佐那はもう女性剣士ではなく恋する女の子になっちゃったからという意味と、本当に強い龍馬みたいな男が剣の腕を磨いたら勝てなくなるという2つの意味があったんでしょうね。

ただ、ここもいつの間に龍馬はそんなに強くなったのか?って思っちゃうところがある。
子供たちに慕われて、佐那も笑顔にしてしまう魅力の方は一応されてるからわかるんですけど、龍馬が強くなる描写があんまりないから、精神的な話だけなのかな~と思ってしまう。
でも豆を克服したみたいだから、おそらく腕が上がって佐那以上になったということだろうと思いました。

佐那の龍馬への心の揺れといい、龍馬の強さといい、この辺り、もうちょっと描いても良かったんじゃないかと思います。
しかし黒船も来たし、この辺はさっさと進まなきゃいけないところなんでしょう。

剣一筋だった佐那には、衝撃的な指摘。
ただの女になっちゃったなんて、剣士として敵わなくなったなんて…。
負けない!と佐那ちゃん、龍馬に勝負を挑む。

しかし龍馬は初めて立ち会った時の龍馬では既になく、全然余裕。
動揺していたとはいえ、立ち会うどころか、振り下ろした竹刀を強い力で受け止められ、床に組み伏せられて佐那ちゃん、まさに男の力を初めて思い知らされちゃった。
まあ、実戦と道場での試合はまた違う、自分の腕はあくまで道場での腕、真剣の斬り合いはそんなもんじゃないと、女性の自分と違って、これから龍馬が出て行く世の中というものを知らされちゃったとも言える。

この貫地谷しほりさん、いいですね~。
大人に負けた子供が泣きじゃくるみたいで、かわいい。

佐那ちゃん、「私は弱くない!」って。
そうじゃなくて、龍馬が強いんだって。
泣き笑いしながら、佐那ちゃんは悟る。
剣だけじゃなくて、この人は人の心を開かせる大きな人、自分にはないものを持ってるんだって。

そしてもう1人、新しい登場人物、桂小五郎(谷原章介)。
花街の宿場女郎相手に飲んでたのに、拒否した龍馬にえらい!と言って近づいてくるその顔にはひげが描いてある。
それでいて、演説しちゃう。

このひげ、龍馬を置いて2階にあがった溝渕が、お女郎さんに遊びで負けて描かれてました。
つまり、小五郎ってそういう人。
キャラクターがすごく良くわかりました。

この谷原章介さんが、ハマってる~!
もう、ピッタリ。
いい味出してます!

さて、土佐では半平太が龍馬に負けまいとして頑張ってるんですが、その暗い原動力や不安を弥太郎に指摘される。
弥太郎ってほんと、自分がそうだから、人のそういうところを敏感に感じ取るんですね。
さらにそれを表に引きずり出して、建前を壊して嘲笑う。

これができれば自分は相手に負けてないと思えるんでしょうね。
暗い自尊心の満たし方だけど、それ以外に弥太郎には方法がない。
だから、それができない龍馬は好きな反面、憎い。

加尾ちゃんが来たことで、ちょっとは変わりそうだけど、加尾ちゃんの心に龍馬がいるとわかると、余計辛らつに周りの人に当たっていきそうで怖い。
だけど「夜明けが来たぜよー!」で、あの音楽が流れて、ダイナミックな海が映るのはおかしかった。
弥太郎のパートは、悲しい喜劇。
まあ、人が何か言ったことについていちいち反論して、否定してりゃ、塾でも鬱陶しがられるのが見えてますけどねー。

でも、半平太の授業、わかりやすい。
人格的にも尊敬できる半平太にあんな風にわかりやすく教えられると、半平太の言ってることは全て正しい!って思っちゃうのでは?
あの以蔵を見ていると、そんな感じに思えて、ますます不安に…。

半平太、お日様燦々のところを素直に歩ける龍馬と対照的で、屈折を見せてくれるところが人間らしくていいんですけどね。
弥太郎にずばり指摘された後なんか、大森さんいいなあ。

弥太郎も半平太も、頭にあるのは龍馬なんですよね。
さりげなく、加尾へも佐那へも、人がグッとなるような、人の心をつかむような言葉を意図なく、サッと口に出せるのが龍馬。
尊敬なんてされなくてもいいや!って思ってるのに、慕われちゃうのが龍馬。
龍馬は自分が意図しないで人を魅了していく天才、天然の人。

逆に半平太や弥太郎は努力してるわけで、その努力が全く今のところ実を結んでないのが弥太郎。
だからどうしても龍馬に対して、嫉妬という感情がわいてしまう。
今のところ、弥太郎とか半平太の人間くささが印象に残ってしまいますけど、毒気を含んだ弥太郎に対して、豪快と言うよりもさわやかな福山龍馬でいいのかなって思います。

そして黒船到来
まるでゴジラ上陸みたいなパニックになってました、…って、違うか。

この黒船、サビ止めに黒いタールを塗ってる黒い船だったから黒船と呼んだんでしたっけ。
黒船と聞くと頭の中で「暗闇仕留人」の「黒船この方…」が、流れてしまうのは悪い癖です。
「暗闇仕留人」の激動の時代にいた市井の人々の話もつい、思い出してしまいます。

黒船が去った後、コロリが流行ったんだなあ…、その騒ぎにまぎれて主人を殺してお店乗っ取った話があったなとか思うと、今度はコロリで「仁」まで思い出してます。
ついでに外国馬でめちゃくちゃ強かったお馬さんの名前が「クロフネ」で、まさに日本競馬を脅かす黒船になれ!という馬主さんの願いがこもってたなあなんてことも思い出してしまいました。

しかし、今回はおもしろかったです。
物語が動いてきて、新しい登場人物が魅力的で来週が楽しみになりました。
特に佐那ちゃんが個人的にお気に入り。

私は龍馬が笑顔で佐那に、「お佐那さんは強い」って言ったことが良かったです。
男の器の大きさや、本当の強さを感じましたね。
強いこと、頭がいいことは認めても決して尊敬や信頼はできない相手っているけど、こんな人だったら認めるどころかついていきたくなるだろうなあ、と。


何を目指すのか?内閣総理大臣 「宿命」 第2話

第2話。

料理教室で白井尚子の背後に立つ笹山宣子。
宣子は尚子に近づくが、宣子の意図など知らない尚子は宣子に親切に接する。
帰り道、尚子が立ち寄ったブティックでも宣子が背後にいた。
宣子に気づいた尚子、2人はカフェに立ち寄ることになる。

料理教室の話から始まり、職業の話になると宣子は、自分の仕事は為替ディーラーで毎日が勝負だという。
感心する尚子に宣子は、尚子のような状態は退屈じゃないかと聞く。
今の仕事は3年目だが、5年前にアメリカに渡ってMBAの資格を取った。
それはそう勧めてくれた人がいたからで、その人は国家公務員と宣子は言う。

それを聞いた尚子は、「あら どこかの省庁ですか?」と尋ねる。
宣子は「それは勘弁して」と笑いつつ、彼は自分が留学する前に仕事でアメリカへ赴任していた。
彼がいなかったら宣子は留学なんて考えてなかったはずで、今の私があるのは彼のおかげだと言う。

尚子は宣子はその人と結婚する為に料理教室に通いだしたのでは?と言う。
宣子は、そういうわけじゃないと笑いながら、ただ、このごろちょっと年齢のことを考えてしまうと言った。
「実は私たち、もう10年なの。お互いのことは何でも知り尽くしてるし…、この先何があっても離れないと思う」と宣子は言った。
「だから結婚にはこだわらないし、それが自立した大人の、真の愛情だって信じてる」。
宣子の言葉を尚子は微笑んで聞いていた。

その時、尚子の携帯が鳴った。
崇から今夜の約束についての連絡だった。
その姿を鋭い目つきで見ている宣子。

カフェを出る時、前を歩く宣子はカードケースを落とした。
カードケースを拾った尚子は、そこにある写真を見て愕然とする。
写真には、崇と腕を組んだ宣子が写っていた。
固まっている尚子に向かって宣子は微笑み、「ありがとう」と言ってカードケースを取り上げた。

崇は尚子を約束の店で待っていたが、尚子は現れない。
尚子は崇との約束の場所には行かず、帰宅してしまった。
驚く妹の亜希子に尚子は、自分の代わりに崇にキャンセルの電話をしてくれと言う。
自分ですればいいのに…と言われた尚子は、感情を爆発させる。

自分だって政治家の娘だ。
清廉潔白な人を相手に望んでいたわけじゃない。
だけど、10年も交際を深めた人なら話は別だ。
そんな人との関係を続けたまま、自分と結婚しようとするなんて…、崇を見損なった。

そう言う姉に亜希子は、「そんなに怒ることかなあ。崇さんの年齢なら当たり前だと思うけど」と冷静に言った。
そして、「それにこの結婚はお父様の為だ、って。お姉様、そう言ったじゃない」と言う。
その言葉は尚子を冷静にさせた。

その頃、崇は尚子を待っていたが、諦めて帰宅する。
1人で帰る崇のの姿を、タクシーから確認した宣子は帰って行く。
帰りの車中、崇は尚子からのメールを受け取った。

別のバーで崇と会った尚子は、宣子に会ったことを話した。
崇は宣子のことを認め、不愉快な思いをさせたことを詫びた。
そしてもう終わったはずだったのだが…と言うと、尚子に「縁談を白紙に戻したいのかな?」と尋ねた。
尚子はまず、崇の気持ちが聞きたいと言った。

崇は「僕は君を選んだ」と言う。
だからこそ、尚子の人生に責任を持つ、と。
その言葉と崇のまなざしに安堵した尚子は、崇に「崇さんは何を目指すつもりなの?」と聞く。
崇は、「内閣総理大臣」と答えた。
その言葉に尚子は崇の覚悟を感じ、息を飲む。

翌日、崇は三奈に2千万円くれないかと頼んだ。
そんな大金何に使うのかと聞かれた崇は、実は10年付き合った女性がいると話す。
だから忠告をしたのにとため息をついた三奈は、「女の不始末ぐらい自分でつけなさい!」と言いながらもあっさり2千万の小切手を切り、「一刻も早く片付けなさい」と渡した。

崇はこの話は尚子も知っていると言った。
「大したもんです、彼女。ただの苦労知らずのお嬢さんじゃありません。肝が据わってます」と崇は言う。
「母さんと良い勝負かもしれません」。

宣子は、毎日酒びたりだった。
外国人が多く、にぎわっているバーで、宣子の前に置かれた灰皿の中のタバコは長く吸殻になってしまっていた。
タバコをもみ消す手に気づいた宣子が顔を上げると、崇がいた。

「何の用?私はもう用済みなんでしょ?」と言う宣子に崇は、「何のつもりだ?」と言う。
すると宣子は、「私が何をしたの?」と答えた。
「俺に説明させるなよ」と言う崇に宣子は、「女の気持踏みにじって政治家の娘を選んだ男に、世の中には自分の思いどおりにならないこともあるって教えてやっただけよ!」と吐き捨てる。
宣子は「ねえ、10年よ。この10年、私にはあなたしかいなかった」と言う。

「あなたにふさわしい女になる為に、ずっと努力してきたのよ!なのにどうして…!」
悲鳴のような声の宣子に崇は冷たく、「高級ブランドの服を着て、高級マンションに住んで、4千万の年収を自慢する。そんな女が俺にはふさわしいのか?」と冷たく言った。
「俺にとっては普通のOLも為替ディーラーも関係ない。僕と君の間に結婚という選択肢は、なかった。お互いに理解してたはずだろう?」
そして、「自分を被害者のように言うのは、もうやめてくれ!」と告げた。
崇は、「不必要と思うが、せめてもの、僕の気持と思って受け取ってくれ」と2千万の小切手を出した。
それを見た宣子は崇にグラスの水をぶちまけると、小切手は受け取らずに憤然とバーを出て行った。

宣子は思い出す。
福岡の田舎の家に自転車で帰って来る、学生時代の宣子。
地方公務員の父は、宣子にどうしても東京の大学に行きたいのか問いただしていた。
「憧れだけで行きたいのなら」と言う父に宣子は、「無理ならもういい」と言っていた。

しかし父は反対を押し切って行くなら、一つだけ条件があると言う。
ろくでもない男にだけは引っかかったらダメだと。
男だったら医者か弁護士、もしくは官僚になるような優秀な男をつかむ、そのぐらいの女になれ、と。

その頃、眞一郎は帰宅し、妻の逸子に総理が仲人を承諾したと報告した。
眞一郎は尚子には直接、崇に伝えるように言う。
尚子の様子を見た眞一郎は別室に尚子を呼び、この縁談を本当に進めていいのか聞いた。

後戻りはできんぞ、と言う眞一郎に尚子は「結婚には何の迷いもない」と言う。
自分は白井家の娘なのだから。
だが…。
尚子は父に、母と結婚する前に、特別な関係の女性はいなかったのか、聞いてみた。
眞一郎は「女か…。いなかった。と、言いたいところだが、私もそこは人並みの男でな」と笑った。
しかし、結婚後は逸子一筋だと言う。

眞一郎は「崇くんはお前を幸せにしてくれるかな」と聞いた。
尚子は、「女性が幸せになれるかどうかは、夫次第という人もいます、でも…」。
「そうではないと、お母様に教わりました。幸せは自分で作るものだって」とはっきりと言った。

翌日、宣子は毎晩飲んでいることを上司に指摘され、今の宣子には億の金は預けられないと言い渡されていた。
一方、国会の予算の為の答弁書を作成し終わった崇たち財務省の官僚は、一息ついていた。
同じ頃、尚子は思いつめた表情で、宣子のマンションの前にいた。
宣子の部屋を訪ねてきた尚子に、宣子は驚きながらもドアを開けた。

早退してきたことを銀行で聞いたのか、と言う宣子に尚子は、体調が悪いなら出直すと言う。
だが宣子は「用件はわかってるから、もういいわよ。せっかくだから水だけ入れてあげる。それ飲んで帰れば?」と冷たい対応をした。
「情けないわね、崇もあなたに頼って決着つけようってわけ?バカみたい」と嘲笑う宣子に尚子は、崇には反対された、しかし自分が頼んで来たのだと言う。
今、財務省で作業が佳境な崇に手を煩わすような真似はできない。
「これは私の役目です」と尚子は言う。

「妻になる私の器量が問われる問題です」。
「ふーん、さすがは政治家のお嬢さんね」と、鼻で笑う宣子。
しかし尚子は動じず、「あなたのお気持はお察しします。でも、あなたがわかりません。本当に愛情があったなら、彼を困らせる真似はできないと思います」と言った。
それを聞いた宣子は、「聞いたふうなこと言わないでよ!」と叫んだ。
「あなたに愛情うんぬん言う資格なんかないわよ!どうせ、親にあてがわれた結婚じゃない!妻になる器量?笑わせないでよ!」

しかし尚子は冷静に続ける。
「宣子さんは後ろ向きになっていらっしゃる。失ったものに固執し、自暴自棄になってらっしゃる」と尚子は言った。
「あなたは、彼との結婚を夢見ていらした。それは女性としてわかります。けれど、本当に結婚できると考えてらっしゃったのなら、愚かしいことだと思います」。
「何ですって?」

「失礼ですが、あなたのお父様は市役所にお勤めだとか?地方公務員の暮らしがどのようなものなのか、私にも想像ができます。そんな中でアメリカでMBAの資格までお取りになった努力には、頭が下がりますが」と言って、尚子は宣子の部屋に飾られているMBAの証書を見る。
「有川家が、あなたを迎えることは決してありません」。

宣子は絶句していた。
「仮に私と崇さんとの婚約が解消されたとしても、あり得ないことです」。
「私じゃ相手にされないってこと?!」
尚子は冷静に、「はい」と言った。

「これは事実を事実として言っているだけです。このことを認めて、早くご自分の未来を作ってください」と言った尚子は2千万円の小切手をテーブルに置き、マンションを出た。
宣子は身動きしなかった。
外に出た尚子は、胸の動悸を懸命に抑えていた。

その頃、白井家には三奈がたずねて来ていた。
ふと、白井家の壁に飾られている書を見て、三奈は固まった。
逸子に声をかけられて、三奈はわれに返った。
三奈が見ていた書を、逸子は眞一郎のの母親が毛筆で書いたものだと教えた。

もう40年以上前だが、眞一郎が大学進学で故郷を出る時、母親が持たせたものだった。
それは不退転の決意を表した漢詩で、「志を遂げるまでは故郷の土を踏むな」という、眞一郎の母親の思いの現われだろうと逸子は言った。
三奈は眞一郎の旧姓を尋ねると、逸子は「岡内です」と答えた。
それを聞いた三奈は挨拶もそこそこに仕事があるのでと言って、白井家を出た。

三奈は思い出す。
あの、学生運動の最中。
貧しい青年のアパートで、三奈は壁に貼られた毛筆の書を見た。

「青海の長雲、雪山暗し、孤城遙かに望む…」と言う青年に三奈は意味を聞いた。
たとえ鎧はボロボロになっても、楼蘭を破るまでは絶対に国には戻らないぞ、つまり不退転の決意の漢詩だとその青年は答えた。
東大に合格したのは、始まりにすぎない。
己の目的を果たすまでは家の事など気にかけず、己の思う道に邁進せよ。
母親はそう言いたかったのだろうと。

「国語の教師なんだよ、田舎の。俺や2人の妹を育て上げたおふくろを、俺は裏切れない」と言った青年は、身支度をする三奈に「行くな」と言った。
今度は殺し合いになるかもしれない。
「連帯を求めて孤立を恐れず。力及ばずして倒れることを辞さないが、力を尽くさずして挫けることを拒否する。安田講堂の壁に書かれた言葉よ。私は行く。仲間を放っておけない」と若き日の三奈は言った。
「本当はあなたにも来てほしかった。でも無理だとわかった。だから今日でさよなら」。

あなただったの…。
白井眞一郎は、あなただったの。
混乱しながら三奈は、つぶやいていた。
そして、「この結婚は絶対ダメ!」と心の中で叫ぶ。
だって崇は…!

その夜、尚子は崇のマンションにいた。
きつい言葉を宣子に浴びせたことで、尚子もまた、傷ついていた。
「宣子さんのことは忘れないでおこうと思う」、と尚子は言った。
たとえ一時期でも、崇を支えた人かもしれないのだから。

その宣子にひどいことを言ったのに、こんなところで止まってちゃいけない。
「そうよね?」と尚子は言う。
尚子に崇はキスをしていた…。



うぎゃー、おもしろすぎる。

まず、今回はストーカー宣子から始まりました。
何気なく尚子に近づく宣子。
明るく「今日からこの教室の仲間に入れてもらうことになった」って、笑顔が怖いです。
お嬢様特有のおおらかさと品の良さがある尚子は、とっても親切。
実力でのし上がってきた宣子には、そんなところさえさぞかしムカムカしたことでしょう。

料理教室が終わって「包丁の扱いがとてもお上手でしたわ」と尚子が言った時、宣子の目が光る。
おおお、その上手な扱いの包丁をどこに使うのか…?と、ドキドキしました。
さらにブティックでいきなり、尚子の背後に立ってる。
これもまた怖い瞬間移動。

普通なら「…変」って思うところを、にっこりしてお茶までしちゃう尚子。
10年付き合った人のことを官僚と言った宣子に、あら、もしかしてお友達かしら?という感じ。
尚子ってこんな関係でなければ、宣子とも良い友達になれるタイプだと思います。

この後、ツーショット写真の入ったカードケースを宣子が拾わせた時には、いくらなんでも「私って女がいたんだぜい」って知らせに来たってわかっちゃいましたけど。
結構あっさり自分の存在を知らしめましたね。

もっとジワジワ、ねちねち行くかと思いました。
ニッコリ笑って、「ありがとう」って去っていく。
そーです、彼女、ケンカ売りに来たんですよ!お嬢様!

ショックを受けて帰宅する姉に妹は、「そんなに怒ること~?」って言いますが、いや~、人ごとだ。
だから冷静だ。
でも冷静にさせてくれる。

崇にそのことを話した尚子。
受け止める崇。
何か、この2人、お互い合理的に結びついた同士と思っていたけれど、それ以外の感情が芽生えたかもしれません。
いや、もう、怒るってところがもう、尚子は割り切ってる結婚から、崇に男性として惹かれてるってことなのかな~と思いました。

崇はこの事実を受け止めた尚子を見直した。
「母さんと良い勝負かも知れません」って、結構な賛辞でしょう。
しかし、ママに2千万円の手切れ金をお願いするって…、こらこら、それで総理になっちゃったら、どこかのコドモ総理じゃないですかー。
これはお坊ちゃんだなあと思いました。
まあ、ママも総理になる為ならいいのか。

金で解決できない相手の場合、この行為は火に油ですよ。
しかも、宣子は金で解決できないタイプでしょう?
その証拠に水ぶっ掛けて、小切手受け取らずに出て行ったもん。

宣子、怖いけど、バーで口にしてた言葉や、故郷の父親のことを思い出していたシーンではかわいそうでした。
頭のいい男性なら、女性にあんなこと言わせちゃダメでしょう。
しかも付き合いが10年でしょう、ちょっと長いもの。
その相手にあまりにも情がなさすぎ。

「ブランド物の服を着て高級マンションに住んで年収を自慢する。そんな女が俺には相応しいのか?」って、残酷。
崇からしたら身分不相応な夢を見て結婚を迫った女なんでしょうが、「日本一の男を連れて帰る」のは苦労して大学やアメリカにやってくれた父親に報いる為でもあったんですから。
「君は頭のいい女性なんだから」「お互いに割り切っていたと思ったが、悪かった」とか、もっと他にないのか、やり方が、と思いました。

例えば「2千万で買えるだろ」とバカにされたように思わせるのと、「2千万の価値はある」と思わせるのとじゃ、受け取る方に全然違いが出てくるじゃないですかー。
政治家になるなら、この辺の駆け引きは学んでおいてほしかったところ。

その点、柳沢さまはやはり、したたかだった~。
聖也さんなら別れ話はお手のものだし。
…北村さんが過去に演じたキャラクターで考えちゃダメですね。

悩める尚子を何となく察してやる眞一郎が、政略結婚させるとはいえ、1人の父親って感じでよかった。
崇の決意を前にして、良い妻になろう、彼の夢をかなえようと決意して気持ちがまとまった尚子がキッパリ言う。
「幸せは自分で作るもの」。

おおお、尚子、強い。
これは三奈ともほんと、渡り合えるかも。
尚子お嬢様はただのおっとりしたお嬢様でも、世間知らずで気だけ強いお嬢様でもなかった。
そんな尚子を叩いたつもりだった宣子、相手にダメージはさほど与えられず、自分が叩きのめされてしまった。

政治家の妻としての器が試されてるんだって、その通りかもしれない。
この先、こういうことってあるだろうし。

それにまあ、見ているこっちには、尚子の言ってることが正しいってすごくわかる。
宣子なら他にいろいろ選択肢はあると思うけど、でも宣子が崇に執着している限りはそれも無理。
「どうかご自分の未来を作って下さい」って言われましたけど、さっさと2千万で忘れた方が、こりゃ宣子が幸せですよ。
2千万で気晴らしするなり、何か仕事に役立てるなりして、早く違う方に目を向けた方が良い、これは本当だと思います。
宣子にしたら、こんなこと好きな男性の婚約者に言われてズタズタで、考える状態じゃないですけど。

だけど何よりも宣子を打ちのめしたのは、自分との育ちの違いを感じさせられたってことじゃないかと思うんです。
尚子が高飛車だったり、感情的だったら、フンと笑うこともできた。
だけど尚子は冷静に、背筋を伸ばしてまっすぐにこちらを見て話した。
たぶん、崇に必要なのは、白川家、そしてこんな妻だってわかったことが一番つらい。
だから尚子がダメでも、宣子には絶対話は回ってこないってことも思い知ってしまった。

まあ、崇も宣子も10年の間に気づかなきゃいけない、またははっきりさせておかなきゃいけない話だとは、思うんですけど。
うちのめされた宣子は、逆上することもできなかった。
尚子がいなくなった後、力尽きたように床に座り込んでしまった。
でもね、これ以上付きまとったら、それは宣子が愚か、自分で幸せを捨ててるってことじゃ…?って思いました。

尚子は尚子で、冷静に凛として話したけど、表で動悸を抑えてるところが人間らしくていい。
そして人を思いっきり傷つけた、自分は嫌な女だったと思ってる。
だから、そんなことまでした人のことを忘れないようにしたいって、良い人だなあ。
崇って優秀な官僚かもしれないですが、母親とこの尚子に助けられてる辺り、お坊ちゃんかも。

官僚の人が作る予算の時の国会答弁って資料見たり、過去のこと調べたりと、作るだけで日付変わるっていうじゃないですか。
さらにそれをそれぞれの政治家向けに、この人には箇条書きでよかったり、この人は話し言葉まで書いてくれって言われたりと個別に作成するともう、ソファで寝た方が家に帰るより寝られるって時間になるらしい。
それ考えると崇、余裕だな~、優秀なんだな~って、ドラマですか、はい。

だけど政治家として必要な能力と、官僚として必要な能力って違うと思うなあ…。
今も元大臣だけど、官僚的に能力を発揮して、すごく優秀だな、すごいなって、だけど総理として国のトップに立つとなるとどうかなあと思う方いらっしゃいますが。
崇って政治家に向いてるかなあ…?

そしてそして、三奈と眞一郎って、恋人同士だったんですかー!
あんな深い話する恋人だったのに40年経ったら、顔も声も忘れるもんだろうか。
私は眞一郎はただ、学生運動中に出会って自分たちの方法を間違っていると言った印象深い人だと思ってましたよ。
関係があったとしても一夜の恋…じゃないか、と。

「この結婚は絶対ダメ!だって…」って言うことは、もしかしたら崇の父親かもしれない?
うわー、もう遅いです。
息子の手の早さ…というとちょっと違いますけど、崇の魅力を三奈さん、甘く見てます。
何だかんだ言いましたが、崇の北村さん、やっぱり魅力的。
もっと計算高い、冷酷さがほしいところですけど。

もしかして崇と尚子、悲劇の2人になっちゃうの?
いや~、これってベタベタなんですけど、楽しい、おもしろすぎ!
頑張って、期待するもの、何期待してんだかわかんなかったりしますけど、北村さんの濃いとこ、見せてくださいよ~。
お願いします。