こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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「この小銭は小判より値打ちがあるぜ」 新・必殺仕置人 第3話

第3話、「現金無用」。
げんなま無用と読むそうです。

旗本、沖田政勝の屋敷前で中元が妻を奪われた恨みで門前で腹を切った。
苦しむ中元を沖田は解釈と言って斬った。
駆けつけた妻は「お恨み申し上げます」と言って、自害して果てた。
「許してください。私が至らないばかりに」と沖田の後妻・お梶が、許しを請った。

屋敷に出入りしていたのは、正八。
だがこの日は見ての通り、取り込んでいると用人の堀内新兵衛が追い返した。
沖田の仕置きがかけられ、鉄と伊三郎、そして柔術家の玄達で競り合ったあげく、入れ札で伊三郎に決まってしまった。

仕事を持って帰らなかった鉄に、仕置人たちは不平を言う。
「5両でも10両でもいいじゃねえか、やりがいのある仕事なら。世の中にゃ晴らせぬ恨みつらみで、がんじがらめになって泣いてる連中がたくさんいるんだ。もう、おめえに任しておくわけにゃいかねえな」と言う主水。

そうすれば、寅の会に上前はねられないと、正八も同意。
「八丁堀、おめえ寅の会のこと、よく知らねえからそんなこと言うんだ」と言う鉄を遮って主水は「おめえもすっかりタガが緩んだな。いつからそんな腰抜けになったんだ」と言う。

「とにかく虎のことは甘く見るな」と鉄は言う。
仕置人たちに向かって、「おめえたちもだ。でねえと、虎に必ず仕置きされることになるぞ」。
「仕置人が仕置きされるってか」と立ち上がる己代松に、「そういう冗談じゃすまねえんだよ」と鉄。
主水にこの調子では自分たちは腹をくくらなければならない、と言われ、恨みがましい目で見るな、「しょうがねえじゃねえか」と鉄は言った。

しかし、鉄が落札できなかった沖田政勝は、仕置きの前に心臓発作でなくなった。
虎が「あなた様よりご依頼の沖田政勝に突然、不幸があり、私どもの手で仕置きできませんでしたので、このお金はお返しいたします」と言い、死神が部屋の向こうの頼み人に金を持っていく。

虎のいる部屋の向こうには、お梶がいた。
死神が言う。
「死因に不審がありました場合、その落とし前としてお命頂戴いたします」。

不審に思った死神は沖田の遺体を掘り返して、沖田の死因は背骨が折れたことと見抜いた。
夜ふけ、不穏な気配に起き上がった鉄は家から出ようとするが、戸は既に押さえられて開かなかった。
気を落ち着かせる為に水を飲んでいると、背後の障子に死神の影が映った。
「おっ?!何だ、何の真似だ?」と言う鉄に死神は、「お前は裏切った」と言った。
沖田政勝を殺したと言われた鉄は、「何だ」と取り合わずに寝に入ったが、死神は「証拠がある」と言う。

「沖田の死因は背骨折り。コイツはお前の手口だ」と死神は言った。
「冗談じゃねえよ」と言う鉄だが、死神は「お前は虎を裏切った。この落とし前は虎の元締めがつけてくださる」と無機質な声で告げた。
「ちょっと待ってくれよ!そりゃあ、お前、なんかの間違いだよ。この証は必ず立てるから5日待ってくれよ」と鉄は頼んだ。
答えない死神に「いや、3日でいい!」と言った。

翌日、奉行所にいる主水を、主水の犬のコロを使って正八が呼び出した。
鉄のところに来る途中、正八から話は聞いたと言う主水に、鉄は「だったら、すぐすっ飛んで来い!俺の命に関わる問題なんだから!」と言う。
しかし主水は「本当にやったんじゃねえのか」と言った。

「何、おめえまで俺のこと疑ってるのか」。
「いや、信用してるぜ。おめえ、1人で仕事するような、そんなきたねえ男じゃねえよ」と言う主水だが、「だが、背骨折りとくりゃあおめえしかねえな!」と言うと、鉄は主水につかみかかりながら「やっぱりおめえ、俺のこと疑ってんじゃねえか!」と怒った。

身の潔白を証明する方法がないが、とにかく3日のうちに鉄ではないことを証明しなければならない。
だが、仕置人たちは主水同様、冷たい。
すると鉄は「おめえら、それが仲間に言うセリフか!」と怒り、「ようし、わかった!俺も地獄に堕ちるのは1人じゃ寂しい!みんな、道連れになってもらおうじゃねえか」と言い出した。
「地獄堕ちはにぎやかな方がいいや」。

すると主水は「冗談じゃねえや。割り切れねえ気持ちのまま、おめえと一緒に死ねるかい!だいたい、競りに外れっぱなしってのがおかしい」と自分で調べると言い出した。
「なんか心当たりねえのか?」と聞く主水に、鉄は思い出す。
鉄と競りで最後まで競り合った相手が、1人だけいた。
玄達といって、柔術家の看板を下げている男だった。

沖田の屋敷の方は、絵草子の仕事で出入りしている正八が調べることになった。
屋敷には若君である幼い政高がいて、おふみという下働きの少女といつも仲良く遊んでいた。
正八が用聞きに行くと、おふみがお梶に取り次ぎに行った。

政高は、おふみを大好きだと言った。
正八が何気なく子供に継母であるお梶のことを聞くと、政高は「母上はだいっきらいじゃ!」と答えた。
「母上嫌いなの。う~ん、じゃ、おじちゃんと一緒だ!」と言う正八。

おふみが、お梶は誰にも会いたくないと言っていたことを取り次ぎに来たので、正八は帰った振りをして屋敷に忍び込んだ。
そこで正八が見たのは、用人・堀内新兵衛とお梶の密会現場であった。
しかもお梶は子供を身ごもっており、その父親は新兵衛だった。
一方、賭博場に忍び込んだ己代松は、80両という博打の借金を玄達が全て返済しているのを知った。

報告を受けた主水はお梶が新兵衛との間の子ができて、それがわかってしまう前に政勝を殺したんだろうと予測した。
だが、おていは殺された中元夫婦の恨みも相当なものだと言う。

己代松は、寅の会は頼み人が死んだら、頼み料は返さなくてはいけないことに目をつけた。
玄達が寅の会を通さずに、じかに頼み人と取り引きしたとしたら、寅の会を通さないのだから頼み両は安く浮くだろう。

問題は、玄達とお梶たちがどこでどう繋がっているかだった。
のんびりしている正八に「俺の首が飛ぶかどうか、あと2日しかねえんだぞ!」と鉄は怒って外を見ると、長屋の外には、やはり死神が見張っていた。

主水が帰ると、せんが寝込んでいた。
富くじを買いに行き、殺到する人のなかで転んだのだった。
せんとりつは、「何もかもあなたの甲斐性のないせいです!」と責める。

翌日、その主水が玄達を仕置人として捕まえてきたと奉行所で騒ぎになった。
「昼行灯が?」「仕置人なんて本当にいたのか!」
態度が大きい玄達に対して主水は怒ったが、玄達は「わしを知らんのか」と悠然としている。
身元保証人でもいるのかと責める主水に、玄達は自分のことは旗本の沖田政勝の奥方・お梶が自分のことは知っていると言った。

よく調べてみろと玄達に言われた主水だが、その通り、次に上司に平謝りすることになる。
玄達の身元を、お梶が保証したのだ。
叱り飛ばされた主水だが、1人になると、これで玄達とお梶の線は繋がった、とつぶやいた。

開放された玄達の後を、鉄が尾行する。
玄達は沖田の屋敷に入った。
屋根裏に侵入した鉄は、お梶と新兵衛、玄達の3人の会話を聞く。

玄達は、本物の仕置人を捕まえておきながらマヌケな役人だと主水を嘲笑していた。
その点、お梶は抜け目がない。
300両払うつもりの仕置料は玄達への80料で済み、しかも玄達の抜け駆けの罪は鉄になすりつけたのだ。
笑うお梶は玄達にもう1人、殺してほしい人間がいると依頼していた。

相手は、継子の政高。
頼み両は、100両。
しかし政高は沖田家の嫡子、殺せばお家は…と言う玄達にお梶は「嫡子はいます。わたくしのお腹の中に」と答えた。
「なるほど、新兵衛どのとの間に…。ならば簡単です」と言って、玄達は薬の包みを渡した。
「食あたり、ということになされば…」。

そのことは鉄ともう1人、おふみが聞いていた。
鉄が仕置人に知らせると、主水も、正八もおていも、己代松も驚愕の目で鉄を見た。
「だからグズグズしちゃいられねんだ」と、鉄は歩き回った。
「鉄!こうなったら、いちかばちだ。玄達の抜き差しならねえ証拠を、寅に突きつけるしかねえ!」と言う主水。

「玄達、はめるんだ!」
「はめるったって、どうやって…」。
「鉄!ちょっと来い!」という主水の声で、仕置人は輪になった。
「まずはあたしの出番だね」というおていに、「ヘマは許さねえぞ」と主水の声がかかった。

玄達に仕置きを依頼して、寅の会を通さずに仕置きするところを、死神に見せるのだ。
だが、誰かが玄達に仕置きされなければならない。
殺される役は誰がやると言う鉄に、「そいつは俺がやる」と己代松が言った。

町中でまず、おていが、日本橋の商人から30両スリ取った。
次々、おていは商人の懐を狙ってスリをやる。
その後を主水が商人たちにすられたことを知らせ、奉行所には届け出るな、自分が何とかしてやると言い含めて歩く。

鉄のあんまに正八がやってくる。
正八は客を装って、事の首尾を鉄に伝えに来た。
あとは正八が沖田家を見張るだけだ。
鉄は死神が尾行しているのを知って、出かけていく。

玄達が通る道で、鉄はおていが玄達から財布をするのを待つ。
おていが玄達の財布をすった途端、玄達は「待て!」とおていの手をつかんだ。
「けえしてくれ、胴巻きだ」。
「胴巻き?ご冗談でしょ?」
とぼけるおていを玄達は物陰に連れて行き、「裸にすりゃわかるんだ!」とおていの着物を脱がしにかかった。

その途端、おていから大量の小判が落ちる。
小判の数に驚いた玄達は「この金はどうした!言え!言うんだ!」とおていを押さえつけた。
「言いますよ。言うから離してくださいよ。この江戸に仕置人っていう、人殺しをしてくれるって商売があるっていうんで、その為に貯めたお金なんですよ」。

「…その話、誰から聞いた」。
玄達とおていの会話は、鉄をつけてきた死神も聞いていた。
「ただ噂に聞いただけなんですけどね。どうしても殺してもらいたい男がいるんですよ。お金がこれで足りなきゃ、いくらでも」。

そう言ったおていに、玄達は、「何だったら、その仕置人とかに俺が話をつけてやってもいいぞ」と言った。
「あんたが?」
「ああ」
「その代わり、礼金は100両!」

その頃、正八は沖田の屋敷で、絵草子を政高に読んでやっていた。
お梶が食事だと言って、政高を連れて行った。
廊下に出た正八を、おふみが呼び止めた。
「どうした?」と立ち止まった正八を見た新兵衛が、用が済んだらすぐに帰れと言い渡した。

おふみは「この絵草子、お返しします」と言って、自分が持っていた絵草子を差し出した。
「あ、そうですか。それじゃあまた、何か新しいの一つ」と言った正八に、おふみは丁寧に頭を下げた。

お梶は政高に、「さあ、いただくのです」と食事を前にして言った。
「今、食べたくありません」と言う政高だが、お梶に「そのようなワガママは許しませんよ」と言われ、しかたなく手をつけようとした。
その時、「若様、飲んではいけません!」とおふみが飛んできた。

政高が飲もうとしていた椀を跳ね飛ばしたおふみは新兵衛に「おふみ、貴様!来いっ!」と引っ張られて行った。
「おふみー!おふみー!」と叫ぶ政高の声。
新兵衛が刀を抜く。
政高の叫び。
「静かになさい!」というお梶の声。
天井裏で見ていた正八が顔をゆがめ、いたたまれず背中を向ける。

正八が預かってきた絵草子の中には、おふみの書いた書付と小判が2両、包んではさんであった。
煙管をくわえた鉄が読む。
「わたしにもしものことがあったときは どうかわたしのうらみをはらしてください このおかねはなくなったおくさまにいただいたものです」
「鉄つぁんよう。俺、この子の恨み、晴らしてやんないと気が済まねんだよ!」と正八の声が震える。
「安いけど頼むから競り落として」。

その夜、おていは玄達に、飲み屋で飲んだくれている己代松を案内して見せた。
表から「あれがそうなんですよ」と指差す。
玄達は己代松を路地裏に連れ込むと、骨を折った。
「ぎゃっ」という声をあげ、己代松は動かなくなった。
その一部始終を、死神が見ていた。

玄達が走り去ると、鉄が路地裏に飛び込んできた。
動かない己代松の胸を押すと、己代松は息を吹き返す。
「あばらが折れてら」と言う鉄に己代松は、「おめえに昔、右やられて今度は左だ。釣り合いが取れていいや」と痛みをこらえながら言う。
そう言って痛みにうめく己代松の頭を、鉄はそっと抱き寄せる。

「本日、寅の会番外として、皆様にお集まりいただきました」と羽織を着た仕置人たちを前に、死神が言う。
「この寅の会の中に、掟を破る裏切りの事実があったからです」。
仕置人たちの間に、緊張が走る。
「この裁きは虎の元締め、自らの手で仕置きされます」。

虎が立ち上がる。
玄達の目が泳ぐ。
座っている仕置人たちの前に、虎が進み出た。
虎の足が、玄達の前で止まる。
玄達がハッと顔を上げる。

虎が棍棒を、玄達に向かって振り下ろす。
玄達は「うわっ!」と言うと、勢いで部屋の奥まですべり、障子を破って止まった。
その勢いに押された仕置人たちの前を通り、何もなかったように寅は元の席に座る。

「なお、今回の件、頼み人については、私の身内の調べが甘く、不行き届きがありましたので、このように処分いたしました」と虎が言うと、死神が仕置人たちと隣り合った部屋のふすまを開ける。
中には、いつも句を読みあげる喜平が、不自然な姿で硬直していた。
除いて見た仕置人たちは背筋を寒くする。

「この件につきまして、番外の依頼がありました。頼み料は2両です」と死神が言い、再び虎が句を書く。
「2人で2両…」「見送りだね」と他の仕置人たちが言う中、鉄が「1両!」と声をあげる。
仕置人たちが鉄を呆れた顔で見る。
「他にありませんね。なければ1両にて、念仏の鉄さんに落札いたします」。
鉄が頭を下げる。

正八の地下室で、「あらかじめね、小銭に両替しておいた」と正八が言い、小銭が分けられる。
「この小銭は、小判よりずっと、値打ちがあるぜ」と主水。
にっこりするおてい、小銭を取る己代松。

鉄は死神が目を光らせているので、今度の殺しは俺がやると言い、あばらに添え木をしている己代松にもその体じゃ無理だと言った。
己代松は「冗談じゃねえよ、もう大丈夫だ、ほら」と言って添え木を叩いてみせる。
鉄がわずかに笑みを浮かべて、顔をそらす。

夜の町、仕置きに向かう鉄はスキップしている。
隣には胸に手をやっている己代松がいる。
沖田家では、お梶と新兵衛が政高を早く殺す相談をしていた。
お梶は、はばかりに立つ。

片袖を脱いだ鉄が、厠の外で指を鳴らす。
厠の窓をそっと開けた鉄は、中にいるお梶を見下ろす。
身支度を整えたお梶が立ち上がると、後ろにいる鉄が格子から手を伸ばす。
鉄は、お梶の首根っこを背後からつかむ。
首根っこをつかまれて、お梶がギクリと背筋を伸ばす。
鉄に背後から首筋を引っ張られ、お梶は恐る恐る目をむき、首を回して背後を確認する。

お梶を見下ろし、睨んだ鉄と目が合う。
鉄に睨まれたお梶の目は恐怖に見開かれ、声も出ない。
お梶の前で鉄は人差し指と中指を伸ばし、手を鳴らして見せる。
震え上がったお梶が息を呑んだ一瞬、鉄の手が戸を突き破り、お梶のあばらを折った。
鉄が指を抜いた瞬間、お梶は目と口を開き、崩れ落ちる。

閨でお梶を待っていた新兵衛に、己代松が近寄る。
新兵衛が己代松に気づき、「誰だ!」と叫んだ瞬間、火花が散る。
だが、新兵衛は肩を撃たれただけだった。
己代松が的を外したのだ。

肩を押さえながら新兵衛は刀を取ると、己代松に振り下ろす。
燃え尽きた鉄砲を手にした己代松が斬られる!と思った瞬間、鋭い金属音がして主水が新兵衛の刃を受け止める。
そのまま主水は刀を横に払い、新兵衛を斬った。
「八丁堀…」と胸を押さえたまましゃべる己代松を支えて、主水は外に出る。

外に出ようとした鉄は表を見て死神がいるのを確認し、主水を止めた。
「すまなかったなあ、俺の為に」とニヤつく鉄を見た主水は、「勘違いするなよ。別におめえの為だけにやったわけじゃねえや」と言い、己代松も「そうだよ」と言う。
鉄は2人を下がらせると愛想良く、戸を開けて外に出て行く。

翌日、主水はおていがすった金をあちこちに返して回っていた。
「間違いねえな?」と言うと、「30両、確かに」と主人は確認して満足そうだった。
「確かに間違いねえな?」ともう一度言った主水に主人は笑って頭を下げると1両包み、「些少ではございますが」と言って渡した。
「みっともねえから何度も同じこと言わすなよ」と言うと、「これはご無礼致しました」と主人はもう一度、笑って頭を下げた。



己代松の紹介とも言える2話から、今度は寅の会や鉄たちの関係がどんなものか、よくわかる3話。
最初に寅の会を通さないで仕事したらどうなるか、って話が出て、その後、仕置人が仕置きされるって話になるという、伏線が引かれ、今度の話に繋がるんですね。
何だかんだ言って、鉄たちの仲の良さが出てるし、寅の会の怖さも出てる。

主水が鉄を疑ったり、主水の考えた案を聞くのに、本当にみんな身を乗り出して輪になってたり、仕置人たちの日常と会話がおもしろい!

お梶たちの悪巧みを話している時、鉄の家でみんな、餅焼いていて、主水が「奥方の腹がぷうーっと膨れてきたってんで」と言うと、網の上の餅が膨れてくる。
すると主水が「おう、膨れてきた膨れてきた。それでやべえからと、旦那を殺したんだ」って、怖い話がおかしみを持って語られてる。
主水が一番のベテランになっちゃった時代では、なかなかこういう粋なやり取りはできない。

客を装って来た正八を揉み治療しながら、「銭、ちゃんと払えよ」と鉄。
「冗談じゃねえ、これ仕事のうちじゃないか」と正八。
「お客さん、だいぶ凝ってますね!」と鉄の声が大きくなる。
「俺、払えないよ」と言う正八の頭を押さえつけ、「払わなきゃ払わなくていいんだよ」と。

頭、グキッとねじっちゃいそう。
だから正ちゃん、「あー!払います!」。
鉄ちゃん、正八を解放しながら「お客さん、いつもおおげさなんだから」。
これ、台本にあるのかと思っちゃうようなやり取り。
こういうイキイキとしたやり取りが、「新・仕置人」の魅力ですね。

沖田家で、正八が政高に読んでいる絵草子が「食うに困ったかぐや姫は、しかたなく吉原に身売りをすることになり」って、どういう絵草子を子供に見せてるんですか!ってシーンも。
「おもしろいか?」「うん!もっと続けて!」「続けていいのかな?」。
…いけません!

その後、お梶が来て、「どの絵草子にするか、決まりましたか?」。
「はい!かぐや姫にします!」。
正八「ありがとうございます」なんですけど、途端に話はシリアスに展開。

次の場面では、おふみが殺されるのを、正八、見ていられなくて、でも何もできなくて憤りを一杯にして帰る。
この辺り、表立っては何もできない仕置人という存在が良く出てました。
それで、鉄に「どうしても競り落としてくれ!」と。

政高との会話で正八は、継母を嫌いと言う政高に「母上嫌いなの。う~ん、じゃ、おじちゃんと一緒だ!」って言ってるんですね。
この辺り、明るく見える正八の持つ生い立ちとか、仕置人に入るまでの複雑な事情みたいなのも感じます。
こんな風に仕置人はどんなに明るく楽しくても、影をまとっている人間だということを感じさせる描写がある。

寅の会って、競りが進むとお金がどんどん安くなるし、みんな、安くて危険な仕事には手を出さない。
でも、それを鉄が競り落とすことで、思い入れというのも表していたりするんですね。

玄達が仕置きされるシーンは、虎の足が玄達から見た視線で、目の前で止まる緊張感ある描写。
だけどそこで、藤村さんの現役時代のフィルムが入るんです。
虎の元締めの仕置きが、バットみたいな太い棍棒で相手を打つっていうのも、藤村さんならではですね。
ファンサービスというか、こういう遊びを余裕というのか。
でも、この抑揚のないセリフの言い方が、かえって感情を出さない元締めらしくておもしろくて私は好きです。

死ぬかもしれない危険を冒してまで、鉄の為に動く己代松が恩に着せるでもなく「右やられて今度は左でちょうどいいや!」。
主水も奉行所で叱責を受け、みんなに嘲笑されるというのに、玄達をわざと捕まえてくれる。
いかに表の仕事は金輪際、真面目にやりません!と宣言したとはいえ、家に戻れば、せんとりつに嫌味を言われるし。
それでいて、「おめえの為だけにやったんじゃねえや」「そうだよ」って言う2人。

でも鉄ちゃんにはわかってる。
「すまねえなあ、俺の為に」ってうれしそう。
何か、みんな素直じゃないけど、かわいい。

仕置きのシーンの鉄ちゃんは、怖いですよー。
光が後ろから当たっているから、もうほとんどホラーのような影が出来て、その目でにらむんです。
主人公にあるまじき凶悪な面相です。
また、肩袖脱いで赤の襦袢見せてるから、よけい鮮やかに映ります。

殺しに来た怖い人以外の何者でもない!
得体の知れない、恐怖の殺し屋。
目の前で指を鳴らして見せるのは、しっかりお梶に落とし前ってことを教えてるんですね。
考えてみると、お梶さんのおトイレでの仕置きって女性としてどうなのとか、あるんですけど、そういうの全く感じさせる余地がないほど、鉄の迫力はすごかった。

己代松が珍しく、仕置きを失敗。
彼の殺しは百発百中ならぬ、一発一中なので、強力だけどしくじると後がない。
相手は武士、逃げるにも逃げられず、自分をかばうだけ!と思ったら、ここでカキーンという刀を受け止める金属音と共に姿を現す主水。
カッコイイですね~!

お梶は本阿弥周子さん。
鉄におトイレ覗かれたり、又右衛門にお風呂で仕置きされたり、と毎回、仕置きされる悪女を熱演ですね。
しかも美しい。
だから、本阿弥さんの仕置きシーンって、毎回見ごたえありませんか?

玄達は大好きな悪役、今井健二さん。
もう、この方、出てくれるだけで楽しくなります。
悪、という感じで、話がおもしろくなります。

おふみ役はこの主題歌「あかね雲」の歌手、当時13歳の川田ともこさん。
いじらしさが出てます。
子供が犠牲になる、さすがに場面は見せないけど、何が起きたかはもう、わかるわけです。
そういう話であり、実は悪女のお梶は身ごもっているということも考えると、これはすごい話ですが、ちゃっかりしている主水で終わるのも、いいです。

3話で、基本設定の説明は一応、終わったかな?という感じ。
次回からもうちょっと、私も簡潔に書く努力を…、します。


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「わしらには、わしらの戦い方がある」 龍馬伝 第13回

第13回、「さらば土佐よ」。
第1部の終わりです。
これ、やっぱり、第2部は舞台となる場所が変わって時間が経過していたりするんでしょうか。

吉田東洋を斬れ!斬ってくれ!と半狂乱の半平太。
富は「どういて、そんな怖ろしいことを…。おまさんは、私の旦那様は、賢うて穏やかで優しいお人ですきに!そんな怖ろしいこと言わんといてください!」と言う。
「吉田東洋がおる限り、土佐勤皇党は何もできんがじゃ!奴に思い知らせてやらんがいかんぜよ!」と半平太は言う。

龍馬は言った。
「わしが直接、吉田様に会うて、あん人の腹ん中を確かめて来るきに」。
刀を顔の前に、龍馬は言う。
「けんど、もし、わしの前で吉田様がおかしなことを言うたら、…その場で斬ります」。

弥太郎もまた、象二郎から、龍馬暗殺指令に怯え、困りきっていた。
「これじゃ。これがじゃ!」と象二郎は薬の包みを取り出す。
「これを、酒にでも混ぜて奴に飲ましや」。
愕然としている弥太郎に象二郎は、「嫁と別れとうないやろ?」と言った。

勤めに行く弥太郎の、道の向こうの茶店に龍馬がいるのが見える。
弥太郎は、首を振る。
意を決して、「おやじ、わしにも茶をくれ」と言って、龍馬のいる茶店に立ち寄る。

勤めの途中である弥太郎に龍馬は、郷廻りの仕事は大変だろうとねぎらったが、弥太郎は「わしに大変な仕事はないきに」と答えた。
「相変わらずじゃのう」と笑って、龍馬は茶を置き、厠に立った。

龍馬の飲んでいた湯飲みを、じっと見つめる弥太郎。
懐から薬の包みを取り出す。
「落ち着きや、落ち着きや」と言いながら、震える手で茶に薬を混ぜる。

子どもと遊んでいたと言って、龍馬は戻ってきた。
弥太郎は、「わしやもう行くきに」と立ち上がる。
すると、龍馬が弥太郎を呼び止めた。
喜勢さんを大事にせい、と龍馬は言う。
「大きなお世話じゃ」と言った弥太郎に龍馬は明るく、「ああ、ほんならのう」と別れを告げる。

弥太郎は、茶店の前の路地を曲がって振り返る。
龍馬が茶を飲む…、血を吐く…、悲鳴が上がる、「お客さんどういたがですか!」と騒ぎになる…、龍馬が悶絶する。
その想像に、「わあああ!」と叫び、耳を塞ぐ弥太郎。

弥太郎が去って行った茶店の主人の「あったかいのと取替えろうか」という声がした。
「いや、ええ」と湯飲みを口に運ぶ龍馬。
飛び出してきた弥太郎は、その湯飲みを弾き飛ばす。

「飲むな!飲むな!その茶を飲むな!」
半狂乱の弥太郎に龍馬が驚き、「どういた弥太郎」と聞く。
うずくまった弥太郎は、かけよる龍馬に「さわるなあ!」と怒鳴る。

夜中、龍馬は寝転んでいた。
昼間のことが思い出される。

「どういうことぜよ」と追いかけて行った弥太郎が言う。
「後藤象二郎様に、命じられたがぜよ。吉田様の甥っ子ぜよ。ちゅうことは、吉田様がおまんを殺せと命じたがじゃ!」。
絶句する龍馬。

「俺はのう、龍馬!おまんを助けたかったわけじゃないき!」
弥太郎は言う。
「悔しかったがじゃ!」

絶句している龍馬に、なおも弥太郎は言う。
「こん土佐じゃあ、やっぱり下士は虫けらがじゃ。上士に命じられて、虫けらが虫けらに毒を盛る」。
弥太郎が泣き顔になる。
「こんな滑稽な…、こんな惨めなことがあるかい!」

龍馬は思う。
夜が明けてしまった。
姪っ子が起こしに来た。
「もう、朝かえ?」と龍馬は返事をする。
朝食の時、龍馬は上の空だった。

象二郎は、東洋に夕べはいなかったが、どこに行っていたか聞かれる。
「女の所に行っちょりました」と象二郎は誤魔化した。
その時、使いの者が、坂本龍馬が来たと告げに来た。
象二郎の顔色が変わる。

「何の用じゃ」と出てきた東洋。
庭に土下座したまま、龍馬は半平太を足蹴にしたことについて聞いた。
「それがどういた」と言う東洋に、今の半平太を足蹴にしたとあっては、下士たちが収まらない。
「このままでは土佐は真っ二つになりますろう」と龍馬は言う。
「下士の分際で!」と、真剣を抜く象二郎。

「何が言いたいがや」と聞く東洋に龍馬は、「武市に、お城にてお役目をお与えください」と頼んだ。
「下士に意見を述べる機会を与えてくださったら、けんかになることはないですろう」。
東洋は、大笑いした。
「ぬしは、つくづくおもしろい男じゃあ」。
膝を折って、東洋は話す。
「けんどのう、能力がある思うたら、わしは下士やち、どんどん引き上げちゃるぞ」。

そして冷たい声で言った。
「武市を足蹴にしたのは、奴が無能やき!」。
無言の龍馬に東洋は言う。
「わしはのう、誰よりも土佐のことを大切に思うちょるのじゃ」。
そして、鋭い声で聞く。
「わしを殺すがか!」

「斬るつもりなのか!」と象二郎が刀を振り上げる。
「象二郎!」と東洋は鋭い声をあげ、「おまんは引っ込んじょれ!」と象二郎を突き飛ばした。
東洋は、龍馬のいる庭まで下りてくる。
「おんしやち、土佐で生まれ土佐で育ったやろ」。
龍馬の肩に、東洋の手が置かれる。
「武市など捨てて、わしの元に来い!」

龍馬は顔を上げた。
「吉田様は立派なお方です。武市さんを叩く気持ちはあっても、弥太郎に毒を盛らせる人ではないことは、わかっちょりました」。
吉田東洋の目が泳ぐ。
象二郎が緊張する。

「けんど、わしは違うがです。わしはもう土佐だけのことを考えるゆうのは、できんがです。申し訳…、ございません」。
東洋が屋敷の中に去る。
「叔父上」と象二郎がうろたえ、後を追う。

弥太郎の家では、博打に勝って機嫌の良い父、母と喜勢、家族で食事をしている。
暗殺を遂行できずに、お咎めに怯える弥太郎は喜勢に聞いてみた。
「わしがもし、お役目でしくじったらどうするがじゃ」。
父はのんきだったが、喜勢は「おまんさの女房です。どこまでもついていくがです」と答えた。

その言葉を聞いた弥太郎は、「わしは東洋様の命令に背いた、できんかった…」と肩を落とす。
「逃げろ登勢、みんなで土佐から逃げるがじゃ」と叫ぶ。
だがついていくと答えたはずの喜勢は弥太郎の手を振り解き、「いやですきに。私は土佐から出とうない」と言う。
弥太郎は呆然とする。

その時、弥太郎に東洋の使いが来た。
お達しがあったと言って、弥太郎の前で書状を広げる。
弥太郎は、這いつくばりながら、「怖れながら…、申し訳ありません!」と言う。
使いの者は、弥太郎の家族にも「これ、頭を下げい」と言って、書状を読み始めた。

「岩崎弥太郎。右の者、後藤象二郎が一件をしとげざるは言語道断にそうらえども、処々の事情に鑑みて不問とするものなり」。
「えっ!」と驚いた弥太郎は、「ありがとうございます」と頭を下げた。

「優しいお方だあ、吉田様は!」。
弥太郎は歓喜した。
その頃、半平太は3人の部下を呼び寄せていた。
「おまんらに大仕事を頼みたいのじゃ」。

龍馬はその夜も考えていた。
眠れない。
沢村惣之丞は、龍馬に脱藩を持ちかけていた。
「土佐を捨てるということは、親兄弟を捨てるいうことじゃ」と迷う龍馬に、「それしかないがじゃ!」と惣之丞は言う。

「龍馬叔父さん」と、姪っ子が起こしに来る。
乙女は旦那とケンカするたびに、坂本家に戻ってきていた。
朝食時に、脱藩者の話が出た。

その脱藩した者の身内はお役目を解かれ、下手をすると家が取り潰しになると兄は言う。
軽い気持ちで兄は龍馬に、「まさか、龍馬はそんなことはせんじゃろうなあ」と聞いた。
龍馬が沈黙している。

「…龍馬」と声をかけられて、龍馬はハッと気がつく。
「兄上が脱藩など、おまんはせんじゃろうが言うて…」。
取り繕うように龍馬が、「何を言うがじゃ」と言った。

不安そうな母が「龍馬さんは土佐で、道場を開くがですろう?」と聞く。
しかし龍馬は「先のことは…まだわからんがです」と言って出て行く。
坂本家の全員が龍馬の異常な様子に、沈黙した。
外に出た龍馬は、家を振り返る。

「もしかして…、龍馬さんは…」と母が言う。
兄が立ち上がり、屋根裏に作られた龍馬の部屋へ駆け上がっていく。
龍馬がいない間に部屋をあさることを止められながらも、兄は龍馬の部屋から、ある書類を見つける。

「何じゃこれは」。
それは惣之丞が説明した、脱藩する時の道筋だった。
「何で!」と、叫ぶ声がする。
「こんなことは許さん!」と言う兄。
乙女が「お待ちください、兄上」と叫ぶ。
「龍馬が願ごうちゅうことなら…」。

乙女は坂本家の者に言う。
「みんな、見たろう、さっきの龍馬の顔!龍馬はずっと我慢しちょったがじゃ」。
だが兄は、「脱藩はお殿様に対する大罪じゃ。捕まったら死罪やが。誰かにたぶらかされているがじゃ」と言う。

しかし、乙女は兄に言った。
「私の知っちゅう龍馬は、何かとてつもないもんを持っちゅう男じゃ。土佐には収まりきらん。とてつもない大きいものを持っちゅう男じゃき!」。
乙女は、正面を見つめて言う。
「見つけたがじゃ。自分が成し遂げるべき道を、やっと見つけたがじゃ」。

兄はうろたえながら「あいつは泣き虫で、ねしょんべんたれで、何をやらせたがて、ものにならん奴やったがじゃないかい!」と叫ぶ。
「それは昔の話じゃ、兄上」と乙女は言った。
「龍馬を土佐に閉じ込めておきたいいうのは、わたしらのわがままですろう。やりたいことがあるのに一生、道場主として生きろいうのは、むごいぜよ」。

座り込む兄に、乙女は言う。
「やっと見つけたがです、あん子は…、自分の進むべき道を」。
兄も、全員が涙をこらえる中、乙女だけは前を見つめている。

龍馬は半平太の家にいた。
東洋は悪人ではない、確かに半平太との考えは違うが、深く土佐を考えてる人だと龍馬は言う。
「それが東洋を斬れんかったわけか」と机に向かっていた半平太が、振り向く。

富も聞いている。
半平太は笑顔を作って、言った。
「もう、ええ、龍馬。東洋が生きちゅうと聞いて、わしはほっとしたぜよ」と言う半平太に龍馬は驚く。
「おまんの言うとおり、考えが違うと殺すいうのは、間違っちゅう。わしはお前に助けられた。富にも謝らんといかんのう。あいつにも心配をかけてしもうて」。
半平太の話を聞いた富は、表へ出て行く。

富が外に出て行くのを確認した龍馬が、言う。
「いかんぜよ、武市さん」。
龍馬は武市の両手を、しっかりと自分の両手で握る。
「吉田様を殺してしもうたら、わしの知っちゅう武市さんは、もうおらんようになってしまう」。

それには答えない半平太。
「子供の頃から一緒に遊んだ龍馬の頼みじゃ。お願いします、武市さん。やめてつかあさい。頼むきに!」。
頭を下げる龍馬。
半平太は、冷静な目で龍馬を見ると、縁側から外を見る。
「あれは、いつじゃったか。2人で雀をつ捕まえようとしたことがあるの」。

酒を沁みこませた米を食べた雀は酔っ払うので、たやすく捕まると聞いて龍馬と2人、実行したのだが、雀は涼しい顔をしてたらふく食べて飛び去った。
「あほじゃったのう」と半平太は言う。
「人いうもんは、年を取ってそれなりに賢うなると、おんなじものをずうっと一緒に見続けることはできんがじゃ。2人で雀を見送ったあの時とはもう違うがぜよ」と半平太は言った。

かすかに、うなづくように揺れる龍馬の体。
龍馬からは、縁側から外を見ている武市の背中が見える。

薪割りをしている弥太郎、喜勢が薪を持って行く。
喜勢の顔を見つめて弥太郎は、「わしらは…、ずっと一緒じゃな」と言う。
「はい」と喜勢が微笑む。

喜勢が去った後、龍馬の姿が現れる。
「元気にしちょったかい」と龍馬は明るく声をかけた。
薪割りの傍らに置いてあった紙を見た龍馬は、「そろばんが、できるがか?!」と言った。

弥太郎は牢内である囚人に商売を教えてもらった、と言う。
「おんなじ品物でも、客によって値段が違うのはおもしろい」と言う弥太郎に龍馬は、「わしも商売には大いに興味がある」と答えた。

坂本家の本家は才谷屋という質屋で、あの帳場が遊び場だったと龍馬は思い出を語る。
「いうてみたらば、わしにも商人の血が流れちょるるいうことじゃ」。
すると弥太郎はいつもの皮肉な口調で、「なるほど。おまんの世渡り上手は、そっから来ちょったか!道理で心得ちゅうはずじゃ、人から嫌われん術を」と言った。

それを聞いた龍馬は、いつものように笑い飛ばさなかった。
代わりに弥太郎は、ずっと土佐におる気か?と聞いた。
妙な質問に、「何?」と聞き返した弥太郎に龍馬は、「いや、なんちゃあないきに」と笑い、「帰るきに、うん」と言って明るく笑った。

帰りかける龍馬に弥太郎が「おい、龍馬。何しに来たがじゃ」と聞く。
龍馬は立ち止まり、「さっき言うたがじゃろう、おまんの顔を見に来ただけじゃ」と言った。
振り返った龍馬は弥太郎を、見つめる。
「ほんなら、の」と言って龍馬が出て行く。
見送る弥太郎は妙なものを感じていたが、しかし何でもないだろうという表情に変わる。

月明かりの中立っている龍馬。
部屋に上がると、乙女が袴を縫っている。
「何しゆう」と聞くと乙女は「おまんの袴を直しよったがじゃ。丈夫にしておかんと、長旅は無理じゃもんね」と答えた。

「これ、持って行きや」と、乙女は包みを差し出す。
母と義姉と姪っ子が手伝って作ったと言う。
「姉や…」。

「それからここにある刀」と言う。
兄が用意した、それは坂本家に代々伝わる備前忠弘の名刀だった。
「持って行きや」。
絶句する龍馬だったが、「できた!これなら大丈夫じゃ」と言って、乙女は「袴を縫い終わった。

「わしは…、わしは、わしは」と声を詰まらせる龍馬に乙女は、「何ちゃあ言わんでええ、龍馬。体にだけは、気いつけや」と言った。
「ええ刀を貰うたと言うて、むやみに抜いてはいかんぞね」。
龍馬は、正座して涙ぐむ。

「おまんがどこにおっても、私らはいっつも、おまんのことを思うちゅうき!」
姉の言葉に、龍馬はただ、「ごめんちや」と言って泣いた。
「ごめんちや、姉や」。

「達者でな、龍馬、達者でな!」
部屋から下りていく乙女。
「ごめんちや」と龍馬は泣く。

「ごめんちや…。ごめん…、ごめん」。
義姉も、姪っ子も、寝床で声を殺して泣いている。
「ごめんちや、母上」。
母は、両手を合わせて祈っていた。

刀を抱き、「ごめんちや、兄上」と龍馬は泣く。
兄は、涙をこらえている。
乙女も泣いている
「ごめんちや…」。
姉の縫った袴に、龍馬の涙がこぼれる。

朝。
姪っ子の春猪がいつものように、起こしに来た。
「龍馬おじちゃん、もう起きや」。
だが、部屋はからっぽだった。

朝食をとりながら、兄の権平がが「これを食うたら、才谷屋に行ってくる」と言う。
「ご城主様たちは、表では威張っちゅうけんど、台所はどこも火の車ぜよ。どこもお宝の一つや二つ、才谷屋に質入れしちゅうはずじゃ」と言った。

「…その借金台帳があったら」。
兄は顔をしっかりと上げ、正面を見つめる。
「龍馬が脱藩したいうて、そうやすやすと坂本家には手を出せん」。

「おまさん…」と妻が言う。
兄はおごそかに言った。
「わしらには、わしらの戦い方があるがぜよ!」。

呆然としている弥太郎の上に、雨が降ってくる。
「龍馬が沢村と脱藩したと聞いたのは、その日の夕方じゃった」と弥太郎は回想する。
そして龍馬がおらんようになった土佐に、怖ろしいことが始まったがじゃ…、と。

雷雨だった。
護衛もいない東洋の前に、3人の男がやってくる。
男たちは、東洋に向かって刀を抜いた。

「誰ぜよ!おんしら、わしを吉田東洋と知っての振る舞いか!」と東洋が一喝する。
その時、半平太は花の絵を描いていた。
富が「雨が強うなってきましたな」と、声をかける。

3人を押さえつけようとしながら、東洋は「おんしらあ、武市の手のもんか!」と叫ぶ。
斬り合いになり、東洋は壁に追い詰められる。
「おうああああ!」と東洋が雄たけびを上げる。

なおも斬りかかる刺客たち。
雨の中、東洋が倒れる。
刺されながら、東洋が怖ろしい叫びをあげる。
「たあけちいい!おおばかちやあ!」。

いつもの優しい夫に、満足そうな富。
絶命する東洋。
降りしきる雨。
しぶきが美しく、青くあがる。
そして、龍馬のいない部屋…。



東洋様、ついにお別れです!
もう、あのニヤリ、も、鋭い笑みも見られない。
東洋様の傍若無人な天才ぶりが、大きな楽しみでした。
いや~、今回も龍馬と謁見する時の東洋様の迫力とカッコよさといったら、ありません。

龍馬の武市を取り立てて下士の言うことも聞いてくれたら、土佐は丸く収まるって意見に、笑っておもしろい奴、と言える余裕。
しかし、それは甘いんでないかい、龍馬、と思ったら、東洋様はいつも現実的です。

下士でも何でも取り立てる、つまり問題は半平太が下士であることじゃなくて、無能なのにでしゃばってくることだって言うんですね。
厳しい!

さらに龍馬をもう一度、半平太なんぞの下にいないで自分のところで才能を発揮しろと再びスカウトしてくださる。
だけど、龍馬は土佐だけのことを考えてるわけにいかないと断る。
ここ、ちょっと唐突ですね。
あれ、そうだったっけ?そんなこと、考えてましたっけ?って思ってしまいましたが、私がぼんやりしていただけで、既にそういうことを考えていたんでしょう。

そして、東洋様は自分を殺せなんてみみっちいこと言う方じゃないと確信した龍馬は、東洋様のところに来られないもうひとつの理由を口にする。
東洋様の目が、動く。
象二郎がうろたえる。
ここ、いい描写でしたね。

史実でいうと、文久2年(1862年)3月、龍馬は沢村惣之丞とともに脱藩。
脱藩に気づいていた兄は刀を隠すが、乙女の下の姉、栄が龍馬に家宝の刀を渡す。
栄は龍馬脱藩の夜、自害し果てる…ってことらしいですけど、ここは無しです。
栄さんって出てこなかったですし、ここは「龍馬伝」の世界にはなかったということですか。
それは「龍馬伝」の世界としてありということで。

でも正直、龍馬が脱藩しようとするって展開が「土佐だけのことは考えられない」と同様、唐突な感じはしました。
新入りの癖に態度大きい!と言われていたけど、妙に洞察力のある沢村惣之丞と、龍馬がいつ、脱藩を話し合うほど親しくなったのかもわからないですしね。

惣之丞が龍馬は他の人と違って、どこか勤皇党に居心地の悪さを感じていたのを見抜いたのは惣之丞だけで、その辺、通じる何かがあったのかもしれませんが、そこのところが描かれてないんですね。
だから、すごく唐突に思えました。

でも見ていて、弥太郎に下された龍馬暗殺命令っていうのは、大きなきっかけになったんじゃないかって思います。
弥太郎は龍馬に嫌味は言うし、調子よく利用したいとか、いなけりゃいいのに、とは思っていたけど、殺したいとか、しんじゃえばいいのに、とは思わなかったんですね。
しかし、象二郎ははっきりとした悪意を殺意にして、弥太郎に命じた。

震える手で、「落ち着け」と自分に言い聞かせて毒を盛る。
しかし、その後のことを考えたら、もうダメ。
だって、弥太郎は武士として斬り合いも考えたことない、人を斬るとか殺すとか、そんなことも考えられない人なんだから。

結局、耐え切れずに「飲むなー!」って弾き飛ばしちゃうけど、やっぱり、弥太郎っていうのは悪党じゃないんですよね。
でも、良かったかもしれません。
龍馬が毒殺された罪を、もしかしたら弥太郎が一身に背負っちゃったかもしれない。
そう思っていたら、何となく弥太郎も自分たちの存在ってものを感じていた。

「俺はのう、龍馬!おまんを助けたかったわけじゃないき!」っていうのは、正直な気持ち、衝動的なものだったと思います。
助けたいとかじゃなくて、弥太郎という人間の本質から出た行動だと。
それで、たぶん、象二郎から言い渡された時から、いや、ずっとずっと感じていたことを口にする。
「悔しかった!」と。

「こん土佐じゃあ、やっぱり下士は虫けらがじゃ。上士に命じられて、虫けらが虫けらに毒を盛る。こんな滑稽な…、こんな惨めなことがあるかい!」
この弥太郎の言葉。
龍馬をどうこうじゃなくて、自分たち下士同士って、殺し合いまでさせて平気な存在。

この言葉が龍馬につくづく、そこにいる自分たちも含めて土佐の、土佐にいる人間の狭さ、小ささを感じさせたんだと思います。
弥太郎みたいな男に、こんなことさせる故郷、って何。
世の中には、黒船が来て、日本が大変なことになってるっていうのに、土佐はこんなことばっか、してて…。

加尾とのことや、半平太たちを見ていて感じた違和感や、孤立感が高まっていたんですが、本当に土佐を出たいとつくづくと実感したのは、この時じゃないでしょうか。
それにくわえて、半平太はもう、自分の知っている半平太じゃないし。
それもあいも変わらない、土佐の身分制度が原因だし。

だからこの龍馬は、東洋様に現状打開策として、下士も取り立ててくれ、とお願いする。
しかし、肝心の半平太が器じゃない、と言われる。
もう、どーにもならない。

そんなことで、何かをしたいと決心し、明確な意思で土佐を出ようとしたというより、土佐に見切りをつけた、って感じがしました。
土佐に未練はない、あるのは、家族に対してだけ…。

龍馬が土佐で行き詰る理由は、わかった。
だけど乙女さんが「見つけたがじゃ、自分の道を」って言ってた、龍馬が見つけた道みたいなのはあんまり良くわからなかった。

土佐は古くて狭い枠の中にあるということを龍馬が実感し、そこから出るという、脱藩というとんでもない意志をちらとでも持ったこと。
それを乙女さんは感じ取り、とにかく龍馬は土佐にいて安穏と暮らす道とは違う道を行くつもりになった、つまり強い決心だと感じちゃったのかもしれませんね。

感じちゃったというのは、龍馬は脱藩について明確に苦悩していたというより、脱藩を持ちかけられてはいたけど、まだ漠然と「家族に迷惑がかかるし…」って感じだったからなんですね。
はっきり、脱藩を決心したところも、なかったし。

ここはやっぱり、もっと「迷いを、乙女さん、そして家族が後押ししてくれた…」って感じに描いて欲しかったですけどね。
まあ、もう、ここは常に龍馬の理解者であった乙女さんというお姉さんの、龍馬への愛情と信頼を感じたからいいです。

しかし、脱藩っていうのは、殿に対してなければならない忠義を、武士としてのものを勝手に一方的に捨てるってことでもあるから、大変なことでしょ?
まあ、幕末は各藩とも大砲作ったりしてたから財政厳しくて、出たい奴は出てっていい、みたいだったということも聞いたことはありますが、実際はやっぱり一方的に関係を破棄するっていうことは、罪にしなきゃいけないでしょ?

本人だけじゃなくて、一族の問題になるって、脱藩者の話でお兄さんも言ってた。
それが一家で脱藩を後押し、って、ありなんですかね?
いや、こんな一家じゃなかったら、脱藩に踏み切れなかったかな、って気もするんですけどね。
一方で、まだぼんやりと考えていたところを大騒ぎされて、何だか出るはめになっちゃったって感じもなくもなかった…。
いえ、良い家族の、良い話でしたけど。

実際、龍馬の本家って土佐でも指折りの豪商だったらしいですね。
だから第1回の時も、いくら下士とはいえ、こういうのも中にはいたんだから、上士といえどもすれ違いざまにそんなにむやみに足蹴にしたりしたかなあと思ったんですが。

さて、完全に憑依された半平太さんです。
富さんをも嘆かせたのでちょっと動揺、それを見てとった龍馬が、東洋様にお話に行ってくれる。
この時の龍馬が、自分としては平和主義だけど、時と場合によっては武士としてやることはやる!という目をする。
半平太さんを、とりあえず抑えられるような強さを感じました。

だけど、東洋様に信頼もされていてお話もできる龍馬には、所詮、自分と東洋の溝なんてわかるまい…、と思ったんでしょうか。
期待はしてなかったという感じの半平太が、妙に明るい。
しかし、龍馬だってバカじゃない。
明るい半平太の心の奥底に淀んだものを感じてる。

だから龍馬は頼む、やめてくださいと、それをやったらもう、半平太さんは自分の知ってる半平太さんじゃない、って。
ここで今度は半平太さんから、人は変わるんだと決別の言葉。
弥太郎といい、もう俺のできることってないわ…、もう、土佐に未練ってないわ…、と龍馬の心の糸が完全に切れた。

さて、おかしな悲劇か、哀しい喜劇か、弥太郎一家は、今日も健在。
お咎めに怯える弥太郎が喜勢に問いかけると、喜勢さんはどこまでも一緒!って言ってくれる。
だけど、土佐から出ようと言ったら、すかさず「嫌」。
あ、土佐を出るって意味じゃないのね、って。

相変わらず、岩崎一家って、芸達者さんたちばっかりでおもしろい。
弥太郎、「甥っ子の嫉妬から起きたことだから」とは書いてなかったけど不問!って良かったですねえ~。
でも、象二郎には殴られそう。

象二郎さん、怖すぎ。
青木さん、迫力。
なのに、うろたえ、東洋様に「おまんはわしらの世界に入ってくるな!」的扱いされてしまう情けなさもあり。

そしてラスト、雨の中、護衛の上士もいなくて、東洋様は斬られてしまいました。
この時の東洋様の怒り。
絶対、祟るぞ…。

その激しいシーンの後に来る、姪っ子がいつものように龍馬を呼びに来るシーン。
青い雨の中の動と静。
いつものように呼びに来ちゃったけど、部屋には誰もいない。

人がいなくなるって、こういうことなんだって。
いるはずの人がいなく、いつもの日常だけがある。
寂しいって、まさにこういうこと…。

龍馬がいなくなった朝食の席でのお兄さんも、すごく良かった。
強さを感じました。
権平さん、既に立派な家長です。


来週から第二部。
以蔵は人斬りっぽくなっているし、龍馬も世間の荒波の中、ワイルドになっていそう。
楽しみです。


真央ちゃん、優勝おめでとう

真央ちゃん、そして高橋大輔さん。
世界フィギュア、優勝おめでとう!

オリンピックの時もちょっと書きましたが、真央ちゃんって本当にエライ。
心を折らなかっただけでもえらいと思いましたが、何も言わず、全てを競技に込める、この人は本当に強い。

たぶん、競技を超えて、滑ることが好きなんでしょうね。
スケートに愛を持ってるんでしょう。
そうでなければ、できない。
だからロシェット選手のように、真央ちゃんの姿にフィギュア魂に火をつけられるような選手がいる。

この前も書きましたが、伊藤みどりさんの言う通り、金メダルも銀メダルも銅メダルも、メダルというのは大会があれば必ず出る。
でも、彼女の姿はメダルの色を越えてると思いました。

今回真央ちゃんは優勝、金メダルでしたが、精神力と技術力、両方の強さを持った日本が誇るべき選手。
オリンピックの時は、涙を流す姿でさえ美しいと思いました。

真央ちゃんの事ばかり書いてしまいましたが、才能だけでは、ここまで人をひきつけない。
わが道を極める姿、自分の好きなものに対して誠実で真摯である。
そんな姿は、本当に美しいと思えます。


追伸:こちらの記事、さすが、良いことを書いていると思いました。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/winter/skate/figure/text/201003280003-spnavi.html

真央ちゃんが足りないという意味で書いたのではなく、完璧を目指す為というか、まあ、金メダルでなかったことについて、思うところがあったんだろうなと思います。
「気づいていないけど、彼女は技術以上に素晴らしいものを持っている」「スケートの神に愛されている」と言ってくれているんじゃないか、と私は感じました。


最後に見た夢 「世にも奇妙な物語・のどが渇く」

「世にも奇妙な物語」、私はやっぱり、ちょっと怖い系、不思議系の話が好きで、どうしても覚えているのはそっち系の話です。

のどが渇く」。
砂漠で遭難したが、オアシスのおかげで生還できたサラリーマン。
奇跡の生還を果たし、普通の日常が始まる。
が、異常に喉が乾いてくる。
水をがぶ飲みしても、喉の渇きは収まらない。
そのうち、口にしているお茶が砂になっていたり、食事が砂になっていたりする幻覚を見てしまう。
一体、何故…。

以下、ネタバレ注意です

やがて、男がキスをしている恋人の口からも砂が溢れてくる。
驚いた男は恋人を突き放し、理由がわからない恋人は怒って部屋から出て行く。
これはトラウマによる幻想なのか。
あわてて追いかけようとした男だが、あたり一面砂に埋もれて身動きがとれない。
そして気づいた。
ここは砂漠だ…。

全ては男が最期に見た幻だった。
オアシスで助かったこと、日本に帰ってきたこと。
男は今まさに、砂漠で息絶えようとしていた…。


奇跡の生還が最後の夢だった、というのがリアルで残酷でした。
これは絶望なのか、希望なのか。

20分のコンパクトな枠にうまく収まっている作品は、やはり印象的。
ハムと小説は、薄いほどうまくないと、と言ったのは誰だったか忘れてしまいましたが、この頃の「世にも奇妙な物語」はまさにそんなドラマでした。


「この世界に愛はあるの?」 ゴンゾウ 伝説の刑事

4月から新しいドラマがスタートする前で、今週や来週はスペシャル番組ばかりですね。
この季節は寂しいなあ。

4月スタートで、地味ながら?楽しみにしているのは、「臨場」ですね。
「仁 -JIN-」で龍馬を演じた、内野聖陽さん主演。

去年も放送してくれて、すご~くおもしろかったんですが、内野さんの主演でこの枠のドラマでは、「ゴンゾウ 伝説の刑事」もすごくおもしろかった!
実はほとんど情報もなく、何となく見始めたんですが、第1回で「おおっ?!」っとなりました。

いや、主演の人は近頃珍しく男っぽいし、演技は堅実だし、展開も最初から女性刑事と友人が銃撃されて終わるから、根拠もなく、1話完結だと思っていたので、「これ、連続するのか」と思いました。
そこでつづく、になったら、次の週も気になる。
というか、気にさせてくれたんですよね。
1週間経ったら、どうでもよくならなかった。

「ゴンゾウ」とは、能力や経験があるのに働かない警察官、または変わり者・愚か者を指す警察用語らしい。
内野さんはかつて「伝説の刑事」と呼ばれた元捜査一課の刑事だが、現在は備品係で毎日やる気なく過ごしている黒木警部補。
まさしく「ゴンゾウ」。

だが、彼をゴンゾウにしたのは、3年前のある事件。
毎日、飄々と過ごしている風な黒木だったが、「この世界に、愛はあるの?」と問いかける少女の幻を見るが、それを見るといつも苦しみ、瞳孔が開き、身動きが取れなくなる。

そんな黒木は、交通課から刑事課に来たばかりの女性刑事・遠藤鶴(本仮屋ユイカ)が公園で、友人のバイオリニスト・天野もなみ(前田亜季)といるところ、銃撃された事件をきっかけに、かつての部下の佐久間静一(筒井道隆)に捜査本部に呼び戻される。

だが、佐久間が黒木を呼び戻したのは、信頼してのことではなく、黒木を叩きのめし、その名声を地に落とす為、黒木をそうやって乗り越える為だった。
佐久間の昔の恋人で、現在は黒木の主治医である松尾理沙(大塚寧々)は、佐久間の意図を感じ、黒木の復帰に反対する。

天野もなみは死亡したが、遠藤は助かった。
当初は、刑事である遠藤を狙った犯行に思えた事件だが、意外にも天野を狙ったものと黒木は考える。
捜査は、天野の身辺をたどるものとなり、その中で天野の知られざる面も明らかになっていく。

悪名高い投資コンサルタント(遠藤憲一)の援助を受けていたこと、だが、それは汚れきった世界にいた彼の唯一の慰めと贖罪であったこと、2人の関係は純粋な恋愛であったこと。

さらに、目撃者である、元会社社長で現在はホームレスの男や、使われた拳銃から、それを作った戦時中の傷を引きずっている男などを通じて、事件と、それに関わる人間と黒木は関わっていく。

そして、ボランティア団体・日本青空クラブ会長の岡林和馬(白井晃)が、捜査線上に浮かび上がる。
岡林は地下室に大量の銃器を保管しており、それを見た会員の乙部功(内田朝陽)は黒木にその話をする。

黒木と岡林は自殺願望があることで、意気投合したかに見えた。
それは黒木の岡林を安心させる為のいわゆる、罠だったが、自殺未遂は本当だった。
黒木は幻の少女を見て、身動きが取れなくなる。

やがて、明らかになる幻の少女の正体。
それは黒木がある事件で保護した少女だったが、結局、黒木は少女の面倒を見てはいられなかった。
成長した少女・佐伯杏子(池脇千鶴)は悲惨な境遇に落ちていたのを知った時の黒木は、敏腕として伝説の刑事になっていた。

彼女を再び保護した黒木は、杏子を愛するようになる。
黒木に「この世界に、愛はあるの?」と問いかけていた杏子だが、殺されてしまう。
それを自分の落ち度と思った黒木は、以後、ゴンゾウになったのだった。

敏腕だった頃の黒木は、母親の為の休暇願いを出した佐久間を叱咤し、それをきっかけに佐久間の母親・絹江(有馬稲子)は車椅子の生活になってしまった。
以後、佐久間は黒木を憎むようになったのだった。
それを知った黒木は、佐久間への罪滅ぼしを思うようになる。

バイオリニスト銃撃事件は、やがて天野の才能のせいでバイオリニストの夢破れたという飯塚早苗(遠野凪子)という女性に行き着く。
早苗の異常な怯えぶり、その身の隠し方…。

さらに早苗が口にした、杏子と同じ、「この世界に、愛はあるの?」という言葉。
この言葉は、早苗が天野がいなくなることを願っていると話した男の、口癖だった。
その男の特長を聞き出した黒木は、杏子の事件とこの事件が繋がっていることを知る。


回が進むごとに謎が深まっていく。
謎を追う黒木は、世間に舞い戻ってきて人間と関わって行く。
その度に、人間の哀しみや人生が描かれていって、すごくおもしろかった。
意外な展開を見せるし。

これは、中盤以後、展開が本当に見事。
見て損はしないと思います。
全ての謎、全ての登場人物の感情が最終回に見事に集約していく、近頃珍しい、秀逸な刑事ドラマでした。
事件を通して、人間がしっかり描かれていたからですね。

この後の「臨場」がまた、内野さん主演で良いドラマだった。
だからもう、「臨場」第2シーズン、そして内野さんには、期待です!

さて、続きも書いてますが、これより以後は、最終回の展開に関わることが書いてありますので、見てない方は見ないでくださいね。

「必殺仕事人2010(仮)」のニュース

しかし、雨がよく降りますね。
おまけに寒い。
もういやだー。
そんなことを言っていたら、こんなニュースが。

2月に死去した俳優の藤田まことさん(享年76歳)が主演した時代劇「必殺」シリーズが、テレ朝系でスペシャルドラマ「必殺仕事人2010(仮)」として放送されることが19日、分かった。

ほんとですかー!
と、最近、必殺関連で同じ言葉を言いました。
しかも、私って情報が遅い!

必殺仕事人2009放送後から制作、準備を開始していたんですね。
放送日は未定だそうですが、少年隊の東山紀之さん、TOKIOの松岡昌宏さん、KAT-TUNの田中聖さん、和久井映見さんの出演は決まっているようです。

藤田まことさんへの、追悼の意を込めている作品とのこと。
悲しいのは、藤田さんも出演に向けて、軽いトレーニングなどを続けてきた…とあること。
主水で出てくれるはずだったんですね…。

突然の訃報で、作業は一時中断。
しかし、制作サイドが藤田さんの事務所に相談したところ、「亡き藤田も新しいメンバーとの『必殺』を喜んでいましたし、遺族ともども関係者も『必殺』を撮影してくれることを心から感謝しています」との返答があったそうです。

そこで制作が再開。
主水は過去の何らかの映像で登場することになりそう、とニュースにはあり、沖雅也さんの錠の最後の出演みたいな感じになるのかなと思ったり。

東山さん「寂しさと責任感を痛感しながら『必殺』の撮影に取り組みさせていただいております。撮影を楽しみにされていた藤田さん、そして必殺ファンの方々にも受け入れていただけるよう、残されたメンバーで、その思いや遺志を受け継ぎ『必殺』の世界観を守っていきます」。

松岡さんからは、「必殺」への愛を感じます。
田中さんは、予想外に良かった!
レンは愛すべき、悪がきキャラクターですね。
ちびっちゃい長屋のレンも良かったし、涼次もレンが出て来て落ち着いたし、レンが加入して「2009」って世界が広がったと思いましたよ。

「必殺DVDマガジン」も出て、過去の必殺に触れる機会もできました。
必殺がこうして、受け継いで行ってもらえる。
そして、やはり「必殺」は、それだけのドラマだったんだと思いました。

…頑張ってくださいね。


「秘密警察」とタランチュラとアマデウス

80年代に流行った「秘密警察」という曲。
大きなクモ、タランチュラが出てくるのが忘れられません。
一時、こういうの、ペットショップで売ってました~!



タランチュラには2種類あって、一つは伝説の毒グモ。
もう一つは、オオツチグモ科のクモ。

タランチュラの餌がネズミと聞いた時は、まさか~と思ったのですが、実際、食べるらしいんです!
小鳥も食べるらしい。
だから一部のタランチュラにはトリトリグモとかトリクイグモと呼ばれているけれど、常に鳥を狙って食べているというわけではないらしい。
「らしい」が多くてすみません、知らないんです。

タランチュラの体には毛が生えてるんですが、「バードイーター」と呼ばれるタランチュラは、これを自己防衛の為に自分の足で蹴って飛び散らさせることもあるそうです。
この毛が目や皮膚につくと、痒みのある炎症が起きる。

日本タランチュラ協会という、タランチュラ愛好家の親睦団体もあります。
コバルトブルータランチュラという、美しいブルーのタランチュラが人気。
綺麗だけどこのタランチュラ、かなり気性が荒く、やわらかい素材や壁の薄いものに入れておくと、噛み切って逃げちゃう。
しかもすばやいから、タランチュラ慣れしてないと飼えないようです。
人間からすると微量ながら、神経毒も持っている。

タランチュラは一時、乱獲により絶滅のおそれもあり、値段も高騰したそうですが、現在は愛好家さんたちによる繁殖の成果により一定の数と安定した価格が保たれているとのこと。
やはり一番怖いのは、人間ですか?!
でもやっぱり、這っているのを見たら、「いや~っ!」と叫んでしまいそうなルックスしてますね。

タランチュラじゃなくて、普通のクモなら結構、見ます。
夏なんか家の玄関前の木に巣を張っている。
誰がそこに家を作って良いと言った!
でも、クモは益虫らしいので共存したいとは思います。


さて、「秘密警察」がファルコというアーティストののカバー曲と知ったのは、ずっと後のことです。
「ロック・ミー・アマデウス」が好きでした。



HQバージョンはこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=eXs93KbBCgY

メロディーに乗せて、モーツァルトの生涯が歌われる。
これ、ラップでしたね~!


「俺の手でやらせてくれ」 新・必殺仕置人 第2話 「情愛無用」

第2話、「情愛無用」。
情愛、なさけ無用と読みます。

泥棒市に主水が見回りに来る。
「八丁堀来たよ」と言って回り、礼金の小銭をせしめる正八とおてい。
しかし主水に見つかると、一部を巻き上げられる。

そんな泥棒市を行く己代松に、影から声がかかる。
若い、おつゆという女性からで、おつゆは5両で自分を買ってくれないかと言う。
「バカ言えよ」とあしらう己代松に、おつゆは「どうしても5両いる」と食い下がる。
その時、鉄が現れ、「1両でどうだ?」と言う。
「1両?」ととまどうおつゆに鉄は、「いいな?」と言って連れて行こうとする。

己代松が「やめろよ!」と引き戻す。
鉄は「せっかく本人が働きたいって言ってんだ。いいじゃねえかよ」と連れて行く。
しかし己代松は鉄を振りきり、おつゆを連れて河原まで逃げた。
河原で立ち尽くす2人を見ていた鉄は、つぶやく。

この寒いのに何やってんだ。
しかし、2人は動かない。
「あーあ、ダメだ、こりゃ」。

己代松に連れられ、おつゆが自分の長屋に戻ってきた時、人だかりがしていた。
「おつゆちゃん!」と長屋の連中が声をかける。
おつゆが家に走りこむと、中でおつゆのお父つぁんが倒れて死んでいた。
父親にしがみついたおつゆは、唇を噛み締める。

見ていた己代松と鉄に、長屋のおかみさんが「道玄のせいですよ」と語ってくれた。
おつゆの父親は労咳で長く、寝込んでおり、その為、おつゆは料亭の下働きで懸命に働いた。
そこへ道玄という検校がやってきて金を貸してくれ、労咳にいいからと高麗人参を持って来た。

おかみさんたちにしたら、その人参も怪しいと言う。
父親は良くなるばかりかどんどん悪化し、しかも最初は親切だった道玄の取立てが打って変わって厳しくなった。
おつゆは父親の書き置きを見つけた。
「おつゆ かんにんしてくれ どうげんがにくい うらんでも うらみきれぬ」と書いてあった。

そこに道玄の使いの男の源次と権八が2人、やってきて、おつゆの父親を見て、「ふぅーん、くたばったか」と言い、おつゆを8両の借金のかたに連れて行こうとした。
おつゆはせめて弔いが済むまで待ってくれと言ったが、道玄の使いはそんな下らないことは待っていられないと言った。

長屋のおかみさんも、そんなこと言わないで弔いぐらいさせてやってくれと言ったが、2人はおかみさんを押しのけておつゆを外に連れ出そうとした。
そこで2人は、凝視している鉄と己代松に気づいて、「何か文句あるのか」と凄んだ。
鉄は作り笑いを浮かべて、「いいえ、ありません。どうぞ」と言ったが、己代松は憮然とした顔で2人の前を歩いた。

「邪魔だよ」と言われても、己代松は2人の前を塞ぐように歩く。
その時、おつゆがすばやく2人の前に走り出て己代松に「お願いします」と囁いて、書き置きに包んだ3両を渡した。
暗闇の中、おつゆは引き立てられて行った。

鉄は「野郎、でけえツラしやがって。頼まれりゃぶっ殺してやる!」と怒っていた。
己代松は、「鉄つぁん、どうやらぶっ殺していいみたいだぜ」と言って、おつゆから受け取った金を渡す。
「次の寅の会で必ず、競り落としてくれよ!」。

寅の会の日。
3件の依頼があったが、それは全て道玄が相手だった。
まとめて15両。
鉄はこりゃ、道玄は相当恨まれてるな、と思った。

15両から始まった競りは鉄と同業者の1人、吉五郎と激しい競り合いになった。
10両、9両、8両、7両、6両、5両、4両。
「この競り、これまで!」の声がかかり、競りは明日まで預かりとなった。

寅の会の帰り、吉五郎は鉄の後を尾行してきた。
尾行に気づいた鉄が、お互い詮索しないのが決まりじゃないのかと言ったが、吉五郎はちょっと付き合ってくれと言って、墓地に連れて行った。

この墓地に眠っているお秀という女房は、4日前、道玄を恨んで死んだ。
昨日、この夫は子供の首を絞めて殺し、自分は舌を噛み切って死んだ。
道玄のせいだ。

鉄は「お秀ってのは、おめえの妹じゃねえのか」と言った。
その時、死神が姿を現す。
怯える吉五郎に死神は、「虎は取り引きを許さない」と言って去っていく。
正八が調べたところによると、道玄は4年前まで徳造という、飛騨高山出身の博打うちだったと言う。

道玄は、その日、100両返しに来た河内屋という商人に、留守だから明日来てくれと言って隠れていた。
源次は大金だから自分があずかることはできない、期限のことは承知だから大丈夫と言って河内屋を帰した。
河内屋が帰ると道玄が現れ、これで河内屋は自分のものだ、ざっと見積もって5千両、100両で5千両、ぼろい商いだと源次たちと笑った。

かんのん長屋では、己代松が鋳掛をしていた。
そのあまり熱心ではない鋳掛を影から見ていた鉄は、黙って立ち去ろうとしていた。
己代松の家の中から、己代松が歌う飛騨高山の歌が聞こえて来て、鉄は足を止めた。

正八の地下室に、己代松を除く仕置人たちが集まっていた。
競りに負けたと聞いて、仕置人たちは文句を言った。
「俺だって仕事がしたくてウズウズしてんだ、気が狂いそうなんだ、バカ!」と鉄が怒鳴る。

その時、己代松が降りて来る。
どうして、自分を仕事から外すんだと言う。
機嫌が悪いと言って鉄は、そっぽを向く。
わけがあるんだよ、と正八は言う。

おていも事情を知っている風で、己代松は「じゃあ、知らねえのは俺だけじゃねえか!」と言う。
しかし主水が「下手売ると、俺たちの命が危ないんだ」と言った。
それは一体、どういうことなんだと言う己代松に鉄は、「知りたきゃ、てめえでその道玄のツラ見て来い!」と怒鳴る。

己代松がいなくなった後、正八が鉄に聞く。
「ほんとにあの道玄、松つぁんのアニキなの?」
「間違いねえ」と鉄。
「そいじゃあさ、そのアニキ殺すことになんじゃないの」と言う正八に主水は「道玄を殺すだけの理由がありゃ、松のアニキだろうが、弟だろうがぶっ殺しゃいいんだよ」と答える。

そして鉄を見て、「おい、おめえ、松に気兼ねして競りに負けたんじゃねえだろうな」と言った。
「松に気兼ね?」。
「ああ」。
正八も「俺もそうじゃねえかと思うんだ」と言った。
その途端、鉄は持っていた絵草子をどけて、「うるせえ!」と怒鳴った。
「てめえら!そういうつもりで俺がこの稼業やってると思ってんのか!」。

正八は念の為、己代松を見張ってくると言い、不安になったおていも一緒に行った。
鉄と2人きりになった主水は、鉄に己代松と組んだいきさつを聞いた。
すると鉄はもろ肌を脱いで、胸の下の傷を見せた。

傷を叩き、「己代松に鉛玉、ぶちこまれたんだ」と言った。
わずかに急所を外していたので、命拾いした。
「もっとも、松のあばら骨も2本ばかりない」。

2人は殺しあったことがあったのだ。
「おめえたち、殺しあった仲じゃねえか」。
「ああ、お互い悪運が強いっていうか、生き残ったのが縁でな」。

鉄は言う。
「だが、俺はたった一つ、あいつに情けをかけていることがある。あん時、俺に殺しを頼んだのは…」。
そう言うと鉄は、ろうそくをフッと吹き消した。
「野郎の実のアニキの、徳造だったってことだ」。

主水は「松のアニキってのは、そんなに悪い奴なのか」と言い、鉄は「だが、頼み人は口が裂けても言わねえのがこの稼業の掟だからな」と言った。

その頃、河内屋は道玄に借金が期日までに返せなかったという理由をつけられ、店を乗っ取られていた。
話がおかしいと言う河内屋、すがりつく女房を振り切って、道玄は籠に乗った。
道玄を見た己代松は、「あんちゃん!」と驚き、駆け寄った。

「あんちゃーん!俺のあんちゃんだろう?!」
そう言った己代松は、道玄の用心棒たちに殴られる。
源次は籠の道玄に、「弟さんだと言ってます」と伝えたが、道玄は知らん振りだった。
突き放される己代松と、道玄を正八とおてい、そして吉五郎が見ていた。

道玄が屋敷に戻った時、吉五郎たちが塀を乗り越え、襲撃した。
その首尾を死神も見ていた。
次々襲い掛かってくる吉五郎たちだったが、道玄の4人の用心棒が斬り捨て、さらに道玄に迫った仕置人を「あんちゃん!」と叫んでついてきた己代松が阻止する。

「あんちゃん!」と己代松が兄をかばう。
吉五郎たちは全滅した。
腰を抜かしている道玄は、「己代松か?」と言い、己代松は「ああ、俺だよう!会いたかったよ!」と言った。
己代松は道玄から知らないと言われたら、どうしようと思ったと言って、再会を喜んだ。

知らん振りした理由を道玄は、弟を語って金をせびっているのかと思ったと言う。
野良犬のように餌をあさっていたもんな、と言う道玄、ひもじかったもんな、と言う己代松。

その頃、主水は奉行所で己代松が島送りになった件を調べていた。
兄の身代わりに自首した、としか書いてなかったが、徳造を捕縛した老同心が思い出して話してくれた。
徳造はある旗本の中元部屋で博打をやっていたが、徳造がイカサマをしたことで揉め、徳造は1人を殺し、2人を傷つけたということだった。

その時、徳造も目を傷つけられた。
雪の中、引っ立てられて行く徳造を、弟の己代松が追ってきた。

「あんちゃーん!」と叫ぶ己代松に徳造は、「あんちゃんは、あんちゃんは目が見えないんだ」と叫んだ。
こんな目で島に送られて、どうなるんだと言う徳造に、己代松は役人たちに土下座をし、兄に代わって罰を受けると申し出た。

お上のお慈悲で、4年の島送りのところ、己代松は3年の島送りとなった。
雪の中、兄を背負って己代松は行く。
己代松の兄への献身は、捕縛した老同心の涙を誘ったという。

その翌日、正八の地下室に行くと、鉄が虎から呼び出しを受けていた。
吉五郎が失敗したので、鉄に回ってきたらしい。
だが主水は、己代松が道玄をかばっているところを死神に見られた、と言う。
己代松と自分たちの繋がりがわかったら、どうなる?

自分たちも虎に殺されるのか、と不安になるおてい。
主水は問題は、道玄が己代松の兄だということだ、と言った。
己代松が仕置きをするか、しないか。

「しない時はどうするの?」と言うおていに、主水は「殺しちまうんだ」と言った。
「松つぁんを?」
主水は己代松が兄を取って、自分たちを裏切ったら事だ、と言う。
鉄は「松、俺が寅んとこから帰って来るまで、腹決めとけ」と言って出て行く。

己代松は悩みながら、道玄の屋敷へ向かう。
屋敷には4人の用心棒を従え、道玄がおつゆを手篭めにしようとしていた。
己代松が来たと聞いた道玄だが、待たせておけと言い放つ。

客間で待っていた己代松は、あの雪の日を思い出していた。
己代松の耳に、おつゆの「やめて」という悲鳴が聞こえてくる。
こともあろうか、道玄は、目の見えない女郎は、客がおもしろがるので高く売れると言っておつゆの目を傷つけた。

「あんちゃん!」と、己代松が飛び込んでくる。
すると、道玄の目が見えている。
「あんちゃん、目が見えるのかい…」と呆然とする己代松に道玄は、見えないことにしておいた方が、何かと都合がいいと言う。

そして己代松に自分の片腕にならないか、と持ちかけた。
うまいものは食い放題、金も女も思いのままだ。
己代松は身を引く。

道玄は、「どうした!」と驚く。
己代松は出て行った。
見送った道玄は、「あいつの始末は俺が決める」と言った。

地下室に戻ってきた己代松の前で、鉄は小判を投げた。
「仕置きに決まった」。
己代松は、「俺がやる。道玄は俺の手でやらせてくれ」と言った。

竹鉄砲を黙々と作る己代松。
弾丸を選ぶ。

仕置きの夜、主水が道玄の屋敷の戸を叩く。
応対に出てきた源次に主水は、「屋敷に盗人が逃げ込んだが、変わったことはありませんか」と尋ねた。
「いや、別に」と答えかけた源次だが、屋敷に張り巡らされた防犯用の鈴が鳴り響いた。
正八とおていが、鈴の紐を引っ張っていた。

主水はあっという間に屋敷に侵入した。
正面から来た主水に、4人の用心棒が「何者だ!」と斬りかかる。
しかし主水はすれ違いざま、あっという間に次々に4人を斬る。

鳴り響く鈴の一つを、鉄が引きちぎる。
バキバキと鳴らし、手をかざし、廊下で鉄は待つ。
廊下を源次と権八が走っていく。

隠れている鉄の前を通り過ぎると、鉄は持っていた鈴を放り投げた。
鉄に気づいた2人は立ち止まる。
現れた鉄は、2人まとめて壁に押し付け、骨を外す。

呼び鈴を鳴らしながら、道玄は誰も来ないことに腹を立て、不安がっていた。
ふすまを開けて外に出ようとした道玄の正面に、己代松が鉄砲を構えていた。
「あっ、己代松!」と言った道玄は、鉄砲を構えた己代松を見て、「あんちゃんに何をするんだ!」と言った。

「止めろ、止めろ!」と手を振る道玄に向かって、己代松は発砲した。
火花が飛び散り、道玄は倒れた。
反動で倒れた己代松は起き上がり、倒れている道玄を見た。
主水が外をうかがい、己代松がおつゆを運び出す。
それを衝立の影から、鉄が見ている。

雪の日。
主水はコロと名づけた子犬と、遊んでいた。
喜んで走り回る子犬。
無邪気に遊ぶ主水。
人間の兄弟の情愛(なさけ)無用を見た主水の、子犬と戯れる姿。



始まりました、主水の見廻る泥棒市の日常。
おていと正八が主水を見ると、「八丁堀、来たよ」と知らせて、商店は見つかるとまずい品物を隠す。
どうせ、出所を追求されると困るような品、置いてるんです。
それに気づいた主水がおていと正八から、小銭を巻き上げる。

または主水が商店から、銭を包んだ包みを受け取る。
おていや正八がそれにたかる。
主水とおてい、正八の追いかけっこ。
軽快な日常。

「仕置人」では鉄がそういう主水の手を捉えて、「今に殺られるぜ」と言う。
前作を知っている人は思い出して楽しめて、これしか知らない人にもおもしろい。

そこに「私を買ってください」と言う娘。
「仕事屋稼業」では不実な男に尽くす娘が、政吉に自分を買ってくれと言う話がありました。
市松にもそういう話がありましたが、市松は買ったりなんかしません。

己代松もまた、そんな娘を買ったりしません。
でも鉄ちゃんは、値切って連れて行こうとします。
だけど、鉄ちゃんだって話ぐらい、聞いてやると思いますけどね。

おつゆを逃がして、2人きりになっている己代松を見た鉄のつぶやき。
「純情ぶりやがって、どっか欠陥があるんじゃねえのかな。相手は小野小町じゃねえんだから、やるんなら早くパッパとやってくれよ。お前が先でいいんだよ」。
…うっ。
鉄らしい。

おつゆの事情を聞いている時、己代松だけじゃなくて鉄もいるのがおかしい。
ついてきたの?
それで目を丸くして、事情をおかみさんから聞いているし。

「何か文句あるのか」と凄まれると、「いいえ、ありません。どうぞ」って、鉄ちゃんは「借金取り」というものに腰が低い習慣でもついてるんですか?
後々の話も見てると、どうもそうみたいです。

いなくなると「野郎、でけえツラしやがって。頼まれりゃぶっ殺してやる!」って怒ってるのも調子良くておかしい。
そこから「どうやら、ぶっ殺していいみたいだぜ」の流れもいい。
しかし、この後、このすごい悪い男が己代松の実の兄…、っていうのは意表をつく展開でしたね。

鉄と己代松って殺しあって、生き残った関係っていうのも、壮絶。
どうりで、気心が知れて、相手を認め合っているはず。
最初から殺し屋同士として、出会ってるんですもんね~。

しかし、鉄の「あいつに情けをかけてる」って言い方が、殺し屋ぽくて良いなと思いました。
同時に頼み人のことは、決して話さないプロである。
それで鉄はもう、仕置きしたくて、ウズウズして気が狂いそうなんですって。
そんな鉄が競り落とさなかったんだから、やっぱり己代松のことを考えてるんですよね。

徳造こと道玄って、きっと子供の頃からひもじい暮らししてたけど、たった一人の兄と思って情愛感じてた己代松を道玄は良いように扱ってきたんだろうなと思いました。
己代松は情愛感じてたけど、この兄はバカでお人よしの利用しやすい弟、ぐらいにしか思ってなかった、と。

己代松って昔から情け深く、義理人情に厚い為、損ばかりしていたんでしょう。
理不尽に対する怒りが、鉄よりストレートに出る。
仕置人になっちゃったけど、それは人一倍、苦労して情け深かったからかもしれない。

描写されてないけど、兄は検校の座だって、人を殺めて手に入れたに違いない。
それだけじゃなくて、おつゆにやることが最低。
人間じゃない。
同じ兄弟で、何でこんな違っちゃったの?!
何があったの?!

そういえば、女郎の目を…って話、仕留人にもありました。
…異常だと思いますね。
人間にとってどこも大切だけど、視覚って本当に大切なものでしょう。
痛みを感じられる人間だったら、できないことやってると思いますよ。

「仕置人」最終回で水騒動を起こす極悪岡っ引きを演じた山本麟一さん、またしても極悪です。
悪役やってても、この方、素顔は人が良くて、気さそうなおっちゃんだなって感じですけどね。
豪快な笑顔、怖い役やってますが、何か、好きなんですよねえ~。

「必殺」に検校出てくると、実は目明き。
ろくなこと起きない。
いや、だから「必殺」に検校が出るんですけど。
「仕置人」の検校も悪い奴だったな~。
目が見えていたし。

「からくり人 東海道五十三次殺し旅」の最終話は検校の話だったんですけど、検校になる金を集めてくれた仲間の希望をかなえる為、娘が殺されてしまった父の代わりになる。
「そこに男か女か、書いてないでしょう!」と光を失いながら、明るく言う娘。
「必殺」というドラマの性格からして、悲惨なのはあるとしても「必殺」の検校話は凄まじいのばかり。

さて、「情愛無用」ですが、この兄と弟が同じ女性に全く違う立場で関わり、その女性がきっかけで弟が兄の正体を知る。
あれほど腹を立てていた道玄を兄とわかると己代松は、かばってしまう。
…おつゆが親切と思っていた己代松が道玄をかばうところ、見てなくて良かったと思いました。

昔の事件を調べていたのを見咎められた主水は、上司に叱責を受ける。
家に戻ると、今度は子犬がいることで、せんとりつに怒られる。
でも子犬に「我慢するんだ。耳が慣れりゃあ、大したことないぞ」と言って聞かせてる。
子犬に教える、主水の処世術。

しかし、裏の顔はあっさり己代松を「殺しちまうんだ」と言える怖い殺し屋さん。
裏稼業の人間としては当たり前なのかもしれないけど、何でもないことのように言ってる。
また、吉五郎たちが敵わなかった用心棒を、あっという間に斬り捨てる腕だから、言葉にも凄みがあるんですよ。
だけど主水がいるグループの仕置きの成功率って、ずば抜けて高いんじゃないだろうか。

人間に対しては情愛無用、いえ、そうでなければ勤まらない裏稼業にいる。
わかってはいたけど、こういう形で突きつけられる己代松の残酷な運命。

己代松が、おつゆを助けるのを見た鉄。
手伝う主水。
改めて、世の中の無情を見た2人。

そんな後、子犬と無邪気に遊ぶ主水の姿は、子犬で安らいでいるように見えました。
仕置人たちに情愛がないわけじゃない、それが情愛無用な人間がいるだけ、自分たちは情愛無用な世界にいるだけ…。

そうそう、己代松の仕置きシーンは2パターンあるそうで、「あんちゃん、死んでくれ」と心でつぶやき、「二間!」と計って銃を撃つもの。
一切無言のもの。
どっちも好き好きと思いますが、私は、哀願する兄に対して無言の己代松の方が、深い悲しみが出ているような気がします。


「わしはおんしが大嫌いじゃ!」 龍馬伝 第12回

第12回、「暗殺指令」。

鍼灸院で、仕事以外でパソコンに向かう時間を減らした方が良いと言われました。
第2部が始まるので、そこからはもうちょっと簡潔に書くよう、努力します。

上士の中に1人で乗り込んで行った龍馬を、下士のみんなは頼りにしている…。
最初に土佐勤皇党の血判を押すのは、龍馬だと武市は言う。
「力になってくれ!」「仲間になってくれ!」

多くの下士が祈るような目つきで見守る中、龍馬は吹っ切るように血判状の前に座る。
覗き込む下士たち。
痛いような視線を背に、龍馬は血判を押す。

「龍馬あ…」「坂本さん!」
下士たちの歓喜に満ちた声が上がる。
「よう決心した、よう決心してくれた!」
喜びに満ちた表情の武市に肩に手を置かれ、龍馬はうなづく。

土佐勤皇党、200名余り。
下士とはいえ、これはもう土佐における一大勢力だった。

龍馬の加入後、半平太は大勢の前で演説する。
「土佐勤皇党は帝の御為に働く党だ。つまり、我らが目指すは尊王攘夷!帝を尊び、帝の御為に日本を異国の手から守りぬく!」。
「やるぜよ!」という半平太の声に、歓声が上がる。
そんな中、どっか居心地の悪そうな龍馬に半平太は気づいてはいたが、それでもいい、といった表情だった。

下士たちは酒を酌み交わしながら、上士とすれ違った時、いつものように道を空けさせて頭を下げろと言う上士が今日は言わなかったと言う。
もう上士など恐れることはない。

収二郎は龍馬に加尾のことではいろいろとあったが、もう何とも思っていない、と告げた。
「わしらはもう、仲間ぜよ!」と。
以蔵は龍馬のことを昔から良い人だったと言い、「わしはおまんが大好きじゃ!」と抱きつく。

その時、沢村惣之丞という男が話しかけてくる。
惣之丞は、龍馬を他のもんとは違う匂いがすると言い、本当に半平太の考えに賛同しているのかと聞いた。
自分は半平太にイライラしている、と。

新入りで、しかも半平太を「武市先生」と呼ばないことを責められた惣之丞は、本当に攘夷をする気があるのなら今すぐ外に出て、異人を斬り殺すべきだと立ち上がった。
激しい言葉に龍馬も以蔵も驚くが、惣之丞は、長州では久坂玄瑞が中心になって、今にも攘夷を行動に移しそうだと言った。
久坂玄瑞は吉田松陰の一番弟子で、長州の攘夷の旗頭だと聞いた龍馬の脳裏に、松陰と邂逅した時のことが蘇る。

収二郎は、半平太は藩を動かすことを考えている、その為に山内の殿様に訴えているのだ、と怒った。
その頃、半平太は山内容堂宛てに、土佐藩の攘夷の訴えを出し続けていた。
だが、いつまでたっても城からの返答はなかった。

後藤象二郎が、半平太の意見書を持ってくる。
だが、吉田東洋は無言だった。
半平太は、東洋が意見書を握りつぶしていると思っていた。
「あいつは攘夷の何たるかを、全く理解していない」。

そう言う半平太に龍馬は、「そういう物の考え方が、ケンカの元ぜよ」と意見する。
半平太は龍馬が勤皇党に入ったのは、半平太を止める為だとわかっていた。
しかし、それでもいい。
なぜなら、龍馬は自分が心を許して話せる唯一の友人だからだ。

龍馬は久坂に会いたいので、長州に行かせてくれと頼んだ。
攘夷とは何か、聞いてみたい。
そう言った龍馬を、半平太は「やっとそういう気持ちになってくれたか!」と喜び、紹介状を書いてくれた。

これは龍馬の剣術修行以外の、初めての旅であった。
そして、生涯で何度か繰り返される、旅の始まりだった。
弥太郎は回想する。
「会いたいと思うた人間には、労を惜しまず会いに行く。あいつの生き方の始まりじゃった」と。

その頃、弥太郎は喜勢というかわいらしい嫁を向かえ、幸福の絶頂にいた。
文久2年(1864年)1月、龍馬は長州に到着した。

久坂は,松陰の時世の歌を書きとめていた。
松陰のいないことを嘆き悲しむ久坂。
アメリカを知り、アメリカに対抗する為に、松陰先生はアメリカにわたろうとしていたと久坂は言った。
攘夷とは何か、教えてくださいと頭を下げる龍馬に、久坂は年下の自分に、何と素直な人じゃと感嘆した。

日本は本当に異国に侵略されるがですか?と,聞く龍馬。
アメリカは戦を仕掛けてきているわけじゃなく、貿易をしようとしているだけに見える。
「いい質問です!」と言う久坂は、間違いなく侵略されつつあると言って不公平な日米条約を説明した。
本当は3倍の価値があるものを、無知につけ込まれ、日本の小判は不当な交換をされている。
日本はこうしてどんどん、自分たちの金を吐き出される。

「われらは帝の臣下である。日本をこんなにした幕府など、意味がない」。
脱藩してでも立ち上がるべき!と言う言葉に、龍馬は驚く。
志あるなら、実行あるのみと松陰先生に教わったのではないのですかと久坂は詰め寄り、また松陰の死を悼んで泣き叫んだ。

その頃、土佐では勤皇党の人間が、半平太に一体いつまで待てば良いのかと不満を口にし、詰め寄っていた。
自分たちだけが決起してもどうにもならない。
藩を動かしてこそ、攘夷は可能になると半平太は言ったが、それが半平太の誤算だった。

山内容堂は、開国を進めた幕府に異を唱えて謹慎となった。
だから当然、攘夷派と思ったが、そうではなかったのだ。
半平太の後ろ盾になった上士の柴田も、半平太に土佐では攘夷の機運が盛り上がっていないことを責め、半平太は苦しい立場となっていた。
京では攘夷の機運が高まっていると言ってその場は収めたが、半平太は京都にいる加尾に手紙を書いた。

加尾のもたらす情報は役には立っているが、自分が欲しいのは吉田東洋をひっくり返すような情報だと書いた。
龍馬もやっと攘夷に目覚め、勤皇党に参加してくれた。
だから頼む、と。
龍馬さん…、と、龍馬が勤皇党に入ったことに違和感を覚える加尾。

後藤象二郎は、「叔父上、また武市から意見書が」と言って、「どういていちいち持ってくるがじゃ」と叱られていた。
[土佐勤皇党などいずれつぶれる。武市に代わって、坂本龍馬が出てこなければな]と言う東洋。
象二郎は東洋の取立てがあったのに、勤皇党に入った龍馬などをどうして放っておくのかと聞いた。

「坂本は、武市の下に納まるような男ではないぜよ」。
そして、強い口調で言った。
「いつか、わしの腹心にしちゃるきに!」。

その時のことを思い浮かべたのか、満足そうに目を閉じる東洋。
叔父の東洋の坂本への執着に嫉妬し、憤然として出て行く象二郎。

同じ頃、収二郎は半平太に、もう勤皇党の若い連中を抑えきれない、何か行動してくれと頼んでいた。
目を閉じ、じっと外の雨を見る半平太。
こんな時に、龍馬はいない…。

その翌日はよく晴れた。
象二郎は東洋の登城に、「旦那様がお城に向かわれる、籠をこれへ!」と言って東洋に、「いや、歩いていく。今日のような良い日よりにはわしは籠には乗らん。いいかげん覚えや、象二郎」とたしなめられていた。
その時、表に勤皇党が半平太を筆頭に訴えに来ているとの報せが入る。
象二郎が表に出て行く。

すると、土下座している集団と、何度も吉田東洋に意見書を出したのに、いまだその返事を貰っていないと、全員の前に1人、進み出て土下座して訴える半平太がいた。
京におわす帝も、我らが大殿様も、攘夷を臨んでおられます!と言う半平太。
なのにどうして吉田様は幕府に従って、開国を進められるのですか、と訴えた。

象二郎は軽蔑もあらわに、「どれほど自分が身の程知らずなことをいいゆうか、わかっちょるか!」と言った。
「われらは土佐勤皇党にございます。尊王乗員の一念の下、命をも捨てる覚悟で集まった侍たちにございます!」
東洋は土下座をした勤皇党を見て、にやりとした。
「どうか、どうか、お答えくださいませ!吉田様!」。

「武市!」という声が響いた。
「帝のお考えがどうして、おんしにわかる?」
半平太は「帝が異人嫌いでおられることは、周知の事実ですろう」と答えた。
「帝が今、異国と戦をせいと命じたとは聞いたことがないのう。容堂公もそんなことは口に出されてはおられんはずじゃが」
「けんど!」

「そもそも!山内家は関が原で徳川家康公にお味方して勝利し、この地を頂いたのじゃ!大恩人の徳川様に楯突こうら!大殿様がお考えになるかえ?」
その言葉に半平太は、ハッとした。
目が泳ぐ。

だが、「けんど…、名君の呼び声高い大殿様であったら…」と言う武市を東洋は「控えい!」と一喝した。
「過去の恩義より、将来のことを考えていかねば」と言うと、東洋は「武市ぃ!」と怒鳴る。
「はっ!」
「おんし、大殿様に指図をするがか!」
「とんでもないことでございます」。

「恩義を忘れよなどと、侍が口走るとは」。
「申し訳ございません!」
東洋は、軽蔑もあらわに「行くぜよ!象二郎」と登城しようとした。

土下座した半平太を一瞥して、出かけようとする東洋の裾に「お待ちください」と半平太がすがりついた時だった。
「どうか、お殿様にお取次ぎを!」
「触るな!」
東洋が半平太を蹴り飛ばした。
「わしはおんしが大嫌いじゃ!」

半平太が顔を押さえて、泥の中、転がる。
「狭い了見でしか物事を考えられんちゅうに、自分の考えは正しいと思い込んじゅう」。
並んだ下士の顔にも、泥が飛ぶ。
「二度とわしの前に姿を見せるな!」

呆然とした半平太だが、「お待ちください!」となおもすがり付こうとする。
上士が刀に手をかける。
象二郎が再び、半平太を野良犬のように蹴り飛ばす。

居並ぶ下士たちの前で、半平太は何度も蹴られる。
下士たちが唇を噛み締める。
倒れた半平太の体に足をかけながら、象二郎は言い渡す。
「土佐勤皇党ら?とっととやめにし!」
目の前に座っている下士の1人も蹴り、象二郎は去っていく。

「うわああああ!」と、半平太の絶望の悲鳴が響く。
「まっこと身の程知らずの奴らにございます」と言う象二郎に東洋は、「けんど、坂本はおらんかった」と言った。
象二郎の顔に、嫉妬の表情が浮かび上がる。

ご機嫌で歌いながら帰宅する弥太郎。
しかし、家には龍馬が待っていた。
龍馬の顔を見た途端、弥太郎の顔が歪む。

だが、夜、酒盛りをしている時に弥太郎は、「実はのう、おまんが来るがはを待っちょったがじゃ」と言って笑う。
長州に行っていたと言う龍馬。
龍馬の旅をねぎらい、酒をつぎながら、弥太郎は「けんど龍馬が勤皇党に入るとはのう。いつの間に攘夷派になったがじゃ、おまんは?」と言う。

「やっぱり、怒っちゅうがか?」。
「何がじゃ?」。
「せっかく吉田様が、わしを御小姓組にと言うて下さったのに。間に入ってくれたおまんの顔に、わしは泥を塗ってしもうたがじゃ」。

すまなそうな龍馬に、気にするなと笑い飛ばす弥太郎。
「わしゃのう、龍馬。おまんを見直したがじゃ。大出世の道を捨てて、己の一念を貫くとは、おまんはえらい!」と言うと弥太郎は、龍馬の肩を叩いて大笑いした。

だが龍馬は、言う。
「実はの、弥太郎。わしは、みんなぁと同じ気持ちで勤皇党に入った訳じゃないぜよ」。
しかし弥太郎は「そうか、そうか」と笑っている。

「こたびの長州への旅で、わしはそれがよう、分かった。わしは日本人じゃき!この国を守りたいと思うちゅう」。
龍馬の話を受けず、弥太郎は「わしに悪いと思うちょったら、おまんに頼みがある」と言いだした。
「土佐の人間である前に…、日本人だがじゃ。わしは」と語る龍馬。
しかし、弥太郎は「御小姓組の身分がいらんゆーなら、わしにくれんか」と言った。

龍馬もまた、弥太郎の話を受けずに語り出す。
「土佐で重宝がられても、わしはうれしゅうはないき」。
すると弥太郎は、「そうじゃ、おまんから吉田様に頼んでくれんかの?」と言い始めた。
「お城に上がるらは、わしは望んどらん」と言う龍馬に、「それは、わかったき、わしを代わりにと」と必死に笑顔を作りながら龍馬に呼びかける。

弥太郎の肩に手を置いた龍馬は、大きな声で、「勤皇党にも、わしの居場所はないがぜよ!」と訴えた。
だが、弥太郎ももう、笑ってはいなかった。
「いや、おまんのことはどうでもええがじゃ。おまんからわしを吉田様に推挙しい!」と真剣な目で言う。
しかし龍馬は自分の考えに沈んでいた。
「のう!」

「弥太郎!弥太郎!おまんは土佐を出たいと思うたことはないがか?」
「はあ?」
ぽかんとする弥太郎に龍馬は言う。
「上士下士いうもんに縛られず、自分のやりたいように生きてみたいと思うたことはないがか?」

それを聞いて、弥太郎は言った。
「わしはのう、人もうらやむ、かわいい嫁をもろうがたじゃ!出世して、嫁にええ暮らしをさせてやることこそが男の生きる道ぜよ」。
龍馬は、弥太郎の言葉に「ええ?!」と驚く。

「あ、おまん、今さら勤皇党を選んだことを後悔しちゅうがか?」と言った弥太郎に「違う」と言いかけたが、弥太郎は畳みこむように言葉を発する。
「諦めや。今朝、勤皇党の連中が吉田様の屋敷に駆け込んで、武市が足蹴にされたそうじゃ!おまんはもう出世の道には戻れんがぞ」。
「武市さんが…、足蹴に?」

ビックリしている龍馬に弥太郎は「龍馬!頼むきに、吉田様に言うてくれ!御小姓組は、この岩崎や太郎に譲ると!」
龍馬はもう、聞いていなかった。
「聞きゆうか?聞きゆうか?」と弥太郎が顔を覗き込んで言う。
「わしの顔を見いや!」

弥太郎の父、弥次郎が酒を飲ませろと言って起きてきた。
父を抑えている弥太郎、龍馬は立ち上がり、半平太の家へ走る。
半平太は、うなされていた。
富がうろたえながらも、水を替えに席を立つ。

うなされている半平太の側に、もう1人の半平太がやってくる。
「このままで終わるがか?」
低い声で、もう1人の半平太は囁く。
「武市半平太と吉田東洋は、水と油じゃ。奴は未来永劫、おまんの敵ぜよ」。

影はなおも囁く。
「ここで終わったら、攘夷の火は消えるぞ。土佐の将来も。日本の将来も。そしておまんもお終いぜよ」。
寝ている半平太の顔が、恐怖に変わる。

「おまんは柴田様に見限られ、加尾に恨まれ、収二郎や以蔵たちから見下されるがじゃ」。
半平太は半泣きになりながら、「わしは、どういたらええがじゃ」と言う。
すると、影は「泣くな武市。わしにええ考えがあるきに」と囁き、半平太を見下ろした。
「わしは、おまんの味方ぜよ」。

半平太の動悸が高くなる。
そして…、半平太が笑った。
龍馬が半平太の家に走ってきた。
富が、半平太は血だらけで帰ってきて、わめいて、ひっくりかえってしまったのだと話す。

龍馬が帰った後、弥太郎は「龍馬あ…」と恨みがましい目をしながら、「なんちゅう冷たい男じゃ」とつぶやいていた。
その時、象二郎がやってくる。
「後藤様!」と土下座をした弥太郎に象二郎は、「坂本のことじゃ」と言った。
「龍馬がわしに、御小姓組を譲ってくれたがですか?」

勘違いした弥太郎は、命に代えて勤めさせていただきますと喜んだ。
「おまんの命は、いらんぜよ」。
象二郎は土下座する弥太郎に向かって座ると言った。
「ほしいのは坂本の命やきに」。

龍馬が部屋に入ると、うなされていた半平太は嘘のように冷静になって、座っていた。
吉田様に足蹴にされたのは本当かと龍馬が言うと、半平太は言った。
「こんなええ考えを、どういて今まで思いつかんかったか」。
龍馬を振り返り、半平太は言う。
「龍馬…」。

象二郎は弥太郎に言った。
「岩崎」。

半平太は龍馬に言う。
「東洋を斬ってくれや」。

「坂本を殺せ」。
象二郎の命令に、弥太郎が理解できず笑顔を浮かべたまま、「は?」と首をかしげた。

龍馬は絶句していた。
「何を言いゆうがですか」。
「吉田東洋を斬れ」。

「坂本を殺すがじゃ、岩崎!殺すがじゃ!」
そう叫んだ象二郎は、弥太郎の顔を挟むと顔をゆがめ、大声で笑った。
その力に、弥太郎が「痛い、痛い」と言う。

「斬れ龍馬!斬ってくれ!」。
半平太の声が響く…。



龍馬、土佐勤皇党に参加。
いや、あの状態で断れないって。
断ったら無事では帰れない、半平太が帰してやれって言ったって、明日から村八分状態になるでしょ。
あの状態、怖ろしすぎ。

龍馬が諦めたようというか、吹っ切ったようというか、もしかしたらここに居場所があるのかもしれないといった感じ。
こんなにも自分を必要としてくれているんだし…。
でも、やっぱり何か、心から参加したくて参加してるんじゃない。
半平太もわかっているけど、それでもいいや、龍馬がこっちに来てくれたんだからって表情。

加尾のことはもう、何も思ってない!って収二郎さん、あなたはそうでもあちらはどうかわかりません!
そんな時、沢村惣之丞、登場。
要潤さんです。
何だか態度が大きくて、でも、龍馬が何となく他とは違うっていうのを見抜いているあたり、洞察力鋭い。

しかも久坂玄瑞についての情報をもたらしてくれて、周りは攘夷のことで一杯だけど、龍馬は黒船に関してくじけていたところを導いてくれた形の松陰の一番弟子と聞いて、どうしても会ってみたくなる。
松陰の一番弟子なら、今の自分の居場所のなさについて、何かヒントをくれるのではないか?って思ったんでしょうけど、全然、ダメでした。

居場所がないといえば、友人が久々に実家に帰ったのですが、自分の部屋がもうなかったそうです。
兄の子、つまり甥っ子の部屋になっていて、自分の居場所はもうここにはないんだと言ってました。
そりゃ実家から離れて北海道から東京に出て来て、数年どころか、もう10年以上。
いない娘と認識されていると思いつつ、心のどこかで帰る場所があると、ふるさとだと思っていた。

それが、ない。
龍馬の気持ちと少しでも近い、どこか似ているでしょうか?
しかし彼女の場合は、今暮らしている東京が自分の居場所と認識したわけですが、龍馬はどうでしょう。
どこに居場所がある?

「JIN」では、いや、別ドラマですけど、龍馬暗殺のキーマンだったほどの久坂玄瑞さんって、ここではあんな風でよろしいのでしょうか?
番組の最後の龍馬紀行では、この長州行きが龍馬の今後に大きな影響を与えたって言ってましたけど、ドラマではこの2人、途中からは完全にお互いに言いたいことを言ってただけで、まるでかみ合ってなかったですけど。

一応、日米の不公平すぎる条約の説明と、異国の侵略はもう始まっていると言って、龍馬に危機を訴えたからいいのでしょうか?
これからの展開、「脱藩」を促したからいいの?
私は今の日本の政府には、もう、怒りとか嫌いとかじゃなく、不安を感じてますけど、そんな政府初めてなんですけど、この時の幕府にもそんな感じだったんでしょうか?
松陰先生と同じなのは、テンション高いところだけで、龍馬、置き去りの会談でした。

今回、泥まみれになるのは弥太郎ではなく、半平太。
いや~、半平太、つらい、つらい。
上から蹴っ飛ばされ、下から突き上げられる。
これって中間管理職?
いやいや、煽っちゃったからね。

まずいことに、今回、いつも助けてくれた龍馬がいない。
半平太は龍馬が敵に回らなくてホッとしただけじゃない、本当に側に居て気持ちがホッとする龍馬が来てくれて安心したんだと思うんですよ。
なのに、今回、唯一弱いところを見せても平気な人物である、包容力ある龍馬がいない。
強く、偉くいなければならない半平太の心の拠りどころがない。

体は痛いし、心が痛い。
蹴られたのはもちろん、プライドがズタズタ。
加尾のことも、実はやっぱり気に病んでいた。
それでもさりげなく、加尾に龍馬を使ってプレッシャーかけてましたけど。

東洋様には「大っ嫌いじゃ」と宣言され、先の道も絶たれた。
あの悲鳴は心が壊れた、絶望の叫び。

そこに心を助けに来たのは、もう1人の半平太。
すがるような目をした半平太を見下ろす、影の半平太。
ダースベイダーじゃないですけど、こちら側に堕ちてしまえ、そうすれば、全て楽になると囁く。
ああ、自分を救おうとすると、あの場合、そうなるかなあ…。

龍馬が来た時は、平然としている様子が、ちょっとホラー。
それで、「斬ってくれー!」。
ひょ、憑依…。
完全に憑依されちゃった感じ。

「おんしが大嫌いじゃ!」
この一言は、半平太さんに完全に現世への未練を断ち切らせましたね。
肉体への攻撃はもちろん怖いけど、精神への攻撃、ダメージの怖さを思いました。
弥太郎の龍馬への「大嫌い」と全然違いますよ、嫌悪と軽蔑がこもってます。

後藤象二郎さんは半平太を蹴っ飛ばして、坂本に対する鬱憤晴らしもできて、すっきり…と思った。
ああいう時、ついで?に蹴られちゃう人って、かわいそうですよね。
象二郎さんは覚えてなくても、相手は恨みますよ~。

しかしすっきりしたはずの象二郎さん、叔父上の坂本への目のかけ方、執着に嫉妬が抑えられない。
たぶん、自分は甥っ子だからいい、だけど、そうじゃなかったらたぶん、これほどまでに目はかけられない。
坂本龍馬は、そういうことをはるかに越えている。
実力で、人間的な魅力で、叔父上を魅了している…。

象二郎には、それがはっきりわかった。
押さえきれないほどの、どす黒い嫉妬。
後藤象二郎さんにとって、東洋様は、あまり人を認めない厳しい叔父上なんでしょうね。

半平太の暗殺指令と同時進行するのが、同じく自分の心の闇を押さえられなくなった象二郎さんの、弥太郎への暗殺指令。
弥太郎、龍馬に嫉妬はしてもそんな血なまぐさい、武士っぽいことは考えの外だったので、「へ?」って感じです。

東洋様は、相変わらずのニヤリ、そして迫力。
龍馬には、いつかわしのもんにしちゃる、と、ご執心。
坂本を奪って行った?しかも小者(ここでは、ね)の半平太に対して「この身の程知らずがあ!」の怒り爆発。
何でお前のような、土佐に引っ込んで、狭い世間しか知らない人間に祭り上げられて喜んでるような男に、将軍や幕府に関わっている殿や自分の考えがわかるんじゃー!

いや、実際、政治の中枢では大変なことになってる。
江戸城「大奥」だって、もう既に、いろいろと大変なわけですよね。
篤姫だったり、皇女和宮が将軍家に嫁いだりしている。

そういうことを全然、わかってなくて、このバカたれがー!と東洋様は言いたいわけですね。
お前みたいな井の中の蛙に殿の何がわかる!帝のお考えの何がわかってるんだーって。
そう言われると、確かにそうなんです。

さらに土佐、山内家と徳川の関係が語られる。
恩義を忘れろとは、武士の風上にもおけん!
うーん、ここに話が来るなら、やっぱり、ここは土佐の成り立ちを言っておいた方が、良かったと思いました。

そうすると上士と下士の長く続く因縁、徳川より帝という考えも理解できるし、後々、こういうところで話がぐっと深くなったんですよ。
半平太の気持ちもわかるし、東洋との相容れなさもわかる。
しつこくてすみません!

今回、何だかとってもいい感じの弥太郎。
「か~わい~い!」と嫁に来た喜勢を見て、うれしさ一杯の弥太郎。
出勤の時も何度も何度も振り返って、喜勢を確認しながら行く。

喜勢さん、この後、弥太郎の妾の子も分け隔てなく教育し、育てたんですね。
弥太郎は死んだ時、6人ぐらいお妾さんがいたそうですよ。
喜勢さん、良いお嫁さんなんだ…。

かわいい嫁は来たし、ご機嫌の弥太郎、でも龍馬を見て、ちっ…!って感じの表情になる。
どうもこの男は、俺のせっかく克服しつつあるコンプレックスをつついてくれるわい。
嫁に触るなよ!って?え?違う?

龍馬はやっぱり、そういう弥太郎の暗い思いを、全然、気にしてない。
しかし、今回はかみ合わない弥太郎との会話の集大成みたいでしたねー。
弥太郎の、嫁幸せにしたいだけ、に「えー!(そうなの?)」と、龍馬はビックリして言ってるし。
もう、全然、お互いがお互いの目の前の問題で一杯になっていて、それを話してるだけで、全然会話になってない。
こうなると、お友達の会話じゃないですよねー。

でも龍馬は弥太郎にもお話できるけど、弥太郎や半平太って、龍馬以外にはあんまりお話ってできてないんですね。
結局、龍馬には自分のみっともない面を見せてしまってるけど、その天然さで龍馬はそれを軽蔑したり責めたりしないから。
その辺りが嫉妬しつつ、何だかんだで龍馬から離れられない、腹立たしさと愛おしさなんじゃないでしょうか。
龍馬の、人物の大きさっていうのは、こういうものなのかな。

暗殺を持ちかけられた弥太郎が次回、どう動くか。
楽しみです。
そうそう、忘れちゃいけない、喜勢役のマイコさん、「山のあなた 徳市の恋」で良かった女優さんですよね。

今回は龍馬と久坂さん、龍馬と弥太郎、東洋様と半平太、と、それぞれ話し合いが成立しない様子を、結構見せられました。
半平太さんといい、象二郎さんといい、ヒステリックなまでにキレた演技が、龍馬とすごく対照的でもあります。
「暗殺指令」は二重の意味で、しかも来週へと続く話だったんですね。


必殺DVDマガジン 発売

「龍馬伝」、見なきゃと思っていたところ、ほんとですかー?!と言いたくなる情報を聞いてしまいました。
思わずアマゾンで確認してしまった、「必殺DVDマガジン 仕事人ファイル」発売。
「必殺DVDマガジン 仕事人ファイル 1stシーズン壱 必殺仕置人 中村主水」。
あれ、もう発売してる!?

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(2010/03/11)
1週間編集部

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「追悼 藤田まこと」が泣けますね。
「必殺」の殺し屋をフィーチャーしたDVD付きマガジン刊行開始!とあります。

「本書は、色あせることのない殺し屋たちを作品別に一人ずつ取り上げた、かつてない『必殺』キャラクターガイドです。
また、殺し屋たちが活躍するエピソード2話を完全収録したDVDを同梱。
マガジンとDVDで、必殺に登場した殺し屋のすべてを楽しめるシリーズとなっています」。

えー、一人一人取り上げるんですかー!

今回、DVDには第1話「いのちを売ってさらし首」、第21話「生木をさかれ生地獄」が収録されているそうです。
レビューを読ませていただくと、冊子の方は目新しいことは乗せておらず、DVD-BOXのブックレットに載っていたものと同じ内容らしいです。
「必殺」DVD-BOXを持っているなら買わなくともよし、持っていなかったらどうぞ、という感じでしょうか?

必殺のDVDは「仕掛人」から「翔べ!必殺うらごろし」までは、BOXで持ってるんですけどね…。
…持ってるじゃないか、自分!
…買うなよ、自分!

でも、「三味線屋勇次」が2番目、「かんざしの秀」が4番目というのは「仕事人」ブームでわかるんです。
しかし70年代の「必殺」に関する書籍が出るっていうのは、めずらしい。

3番目の「必殺必中仕事屋稼業」、緒形拳さん演じた「知らぬ顔の半兵衛」。
5番目の「念仏の鉄」。

さらには、「暗闇仕留人」の石坂浩二さん演じた「糸井貢」。
「必殺仕業人」の中村敦夫さんの「赤井剣之介」。
この辺りが出るとは、驚きですよ。
6番目が沖雅也さんの「市松」。

中村敦夫さんは剣之介のことを覚えていて、たまに語ってくださいますが、石坂浩二さんは「必殺」に出たことを封印されているのかと思うような節があったもので。
余計、驚きです。
幕末の悩めるインテリ殺し屋・糸井貢、なかなか深いキャラクターだったんですけどね。

念仏の鉄は人気があるキャラクターですが、「明るいところに出していいの?」って扱いを受けていた気がしていました。
肉食獣、念仏の鉄ちゃん。

必殺DVDマガジン 仕事人ファイル5 念仏の鉄 (T☆1 ブランチMOOK) (T☆1 ブランチMOOK)必殺DVDマガジン 仕事人ファイル5 念仏の鉄 (T☆1 ブランチMOOK) (T☆1 ブランチMOOK)
(2010/05/25)
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この頃の山崎さんの男っぽさといったら、ない。


緒形さんの「知らぬ顔の半兵衛」。
こうやって表紙になっているのを見ると、うれしいですねー。
この「必殺必中仕事屋稼業」なんて、主水が出ない必殺で、なかなか知られていないと思います。

でも「仕事屋稼業」って、ものすごく見ごたえある時代劇なんですよ。
映像は凝っているし、話はいつもどんでん返し、俳優さんたちの息もピッタリ、キャラクターもおもしろい。
殺しに関しては素人だった主人公たちがどんどん、裏稼業によって変わっていくのも連続ものとして、非常に見応えある。
緒形さんの名演!

だから、こうやってスポットライトが当たるのはとてもうれしい。
「必殺」シリーズを集めている人が、今まで見たことない、DVD買うほどではないと思っていた作品に触れる、良い機会を作ってくれるかも知れませんね。


必殺DVDマガジン 仕事人ファイル3 知らぬ顔の半兵衛 (T☆1 ブランチMOOK) (T☆1 ブランチMOOK)必殺DVDマガジン 仕事人ファイル3 知らぬ顔の半兵衛 (T☆1 ブランチMOOK) (T☆1 ブランチMOOK)
(2010/04/23)
1週間編集部

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うわ~、半ちゃんだ!
山崎さんもですが、この頃の緒形さんもギラギラした男ですね。
晩年の優しそうなおじいちゃんっぽい緒形さんしか知らない方は、ぜひ。
半ちゃんはどちらかというと女性に対しては淡白な役のせいで、肉食獣という感じはしませんが、この頃の緒形さんもまた、まぎれもない肉食系。

いや、こうやって見ると、70年代の「必殺」の殺し屋さんは肉食獣っぽい人、多いですね。
市松だって端正な美青年だけど、肉食獣だと思うし。
やいとや又右衛門も腕力弱くて美男だけど、肉食じゃないですか?
糸井貢が草食って感じですが、そのせいか、実は殺し屋家業に向いてなかった気がします。


こうやって本屋に「必殺」の殺し屋さんの、見覚えある顔が並んでいたら…、素通りできるかな~。
自分で不安だ。
自信ない。