だったら、俺が裁く 「JOKER 許されざる捜査官」 第2回

「JOKER 許されざる捜査官」、第2回を見ました。
最近、1週遅れ。

伊達一義と宮城あすかは、ある犯人を追っていた。
だが伊達が取り逃がし、あすかが投げ飛ばしたが、手錠を落とし逃げられる。
そんな時、協力者が現れ、犯人逮捕に至った。

協力してくれたのは、老人ホームの経営者・春日恒夫(鈴木浩介)だった。
その夜、春日の経営する老人ホームが全焼。
入居者9名と、職員1名が死亡した。
原因は、入居者・高原スズエの料理の火の不始末。

だが入居者5名が生命保険で、施設の経営者を受取人に変えて入居していたことがわかる。
しかしそれは、入居者の希望だという。
火事になっても逃げた形跡がないスズエを初めとする入居者たちに伊達は疑問を持つが、春日の評判はすこぶる良かった。

久遠健志(錦戸亮)は殺人の可能性をほのめかしたが、入居者たちからは睡眠薬の痕跡は見つからず、あすかでさえ、これは事故ではないかと言う。
伊達はあすかと、出火の原因を作ったスズエの家を訪問する。
スズエの息子夫婦は、何年もスズエには会っていなかったという。

だが、出火の原因を作ったスズエの家族に対する風当たりは強かった。
スズエは数年前に死亡した夫の死亡原因は、医療ミスだと言っていたらしい。
その時の医師は、羽鳥晴信(東根作寿英)だった。

しかし息子夫婦に黙って祖母に会いに行っていた孫娘は、スズエが天ぷらが嫌いで天ぷらなど作るわけがないと話す。
娘の言葉に驚く夫婦だったが、娘は伊達に大事なものが入っていると言って箱を持って来た。

箱の中にはスズエが折っていた折り紙の鶴が入っていた。
「くれるの?」
娘は伊達に折鶴をひとつ、くれた。

その夜、伊達を片桐冴子(りょう)が待っていた。
伊達は冴子と三国(大杉漣)のバーで話すが、そこで伊達が得た情報は、出火した当日、老人ホームではインフルエンザの予防接種が行われていたことだった。

担当した医師は、春日の友人である羽鳥。
さらに冴子は今まで法では裁けなかった数人の容疑者のファイルを持っており、彼らに連絡が取れず、行方不明になっていることに着目していた。
冴子はこの「神隠し」を調べて見ようと思っている、と告げる。

伊達とあすかは、羽鳥晴信(東根作寿英)を訪ねる。
医療ミスとクレームをつけられ、立場が悪くなった羽鳥がスズエを抑える為、毒物を注射して殺害したのかもしれない。
検出できない毒物や睡眠剤は、医師なら手に入るだろう。

だが、伊達の追求を羽鳥はかわす。
しかし、あすかは羽鳥の病院のインフルエンザワクチンの在庫と、実際に入居者に使用した数が違っていることを突き止めてくる。
病院ではこの管理は、厳重に行っているはずだ。

そしてその数はちょうど、焼死した入居者と職員の数と同じ10本だった。
だが、報告を受けた井筒将明(鹿賀丈史)は、あすかではなく、伊達に取り調べさせると言う。
自分が突き止めた事実なのにと抗議するあすかだが、井筒はあすかを「力不足」と言って取りあわない。

納得できない、いつまでも新人扱いしないで欲しいと言うあすか。
早く認めてもらいたがるあすかに、久遠があすかが焦る理由を尋ねた。
あすかは、兄の事件を担当して解決したいのだと言った。
捜査一課の刑事だったあすかの兄は、5年前に殺人事件に巻き込まれたが、未解決のままだった。

すると久遠は、あすかとともに掃除人を装い、羽鳥の教授室に盗聴器を仕掛けた。
明らかな違法捜査にあすかは戸惑うが、羽鳥が罪を犯した証拠をつかみ、井筒らの鼻をあかしたいことも確かだった。
車で待機している久遠とあすかは、伊達が羽鳥を訪ねるのを見る。

盗聴器で会話を傍受したが、羽鳥は伊達をうまくかわし、証拠はつかめなかったようだった。
だが、伊達が帰った後、羽鳥は苦悩し、怯えてどこかに電話をかけていた。
電話の相手に羽鳥は、睡眠薬を使ったことがバレたので逃走資金を早く用意してくれ、ということと、医療ミスと騒ぐスズエを黙らせられると思ったことも話した。

電話の相手は、共犯者だろう。
そしてその電話の相手は春日だと、あすかは確信。
羽鳥の教授室に向かう。

あすかは羽鳥に自白させようとしたが、罪を認めず、名誉毀損で訴えると言った羽鳥に感情を爆発させてしまう。
傍受した会話が入っている盗聴したテープを羽鳥に見せ、証拠はあると迫ったが、羽鳥はあすかを部屋から追い出す。
廊下に出されたあすかは、感情的になり、テープを見せたことを「最悪…」と言って後悔した。

だが、その後、怯えた羽鳥は、春日を呼び出していた。
やはり春日は、保険金を狙った共犯者だった。
呼び出された春日は羽鳥を冷たく、突き放した。
その様子を久遠が見ていた。

翌朝、あすかが警察に出勤してくると、テレビのニュースが羽鳥が自殺したことを伝えていた。
老人ホームの火災は、自分の犯行だとほのめかした内容の遺書もあったらしい。
ショックを受けたあすか。
早くもマスコミの一部が、違法操作で羽鳥が追い詰められたことをつかんでいるらしい。

早く事件の幕引きを図る井筒は、被疑者死亡で羽鳥を書類送検するよう、命じる。
だが伊達も羽鳥には共犯がいる、と言う。
しかし春日が共犯としても羽鳥がいない現在では、立証は難しいと井筒は言った。

井筒と話し合った伊達がデスクに戻ると、パソコンの上にDVDがあった。
再生した伊達は、羽鳥と春日が会っている様子を見る。
それは、久遠が見た光景だった。
久遠が盗撮していたのだ。

あすかも、そして知らん振りをしてやってきた久遠も画面を見る。
やはり、スズエの夫の死因は羽鳥の医療ミスにあった。
それに気付いた春日は、それをネタに、入居者らに睡眠薬を注射してホームに放火するよう羽鳥に命じていた。

しかし春日は、直接手を下していない。
すべて医療ミスを起こした羽鳥が、単独でやったことだと言う。
絶望した羽鳥は、春日が指示した計画書をホームで紛失したと迫る。

もし燃え残っていたら春日も逃れられないと言う羽鳥に春日は、ありえないと笑う。
このDVDも、盗聴テープも春日の関与を証明しているが、違法に得た証拠に証拠としての能力はない。
だが伊達は羽鳥が言った計画書がない限り、立証は難しいと言った。
そして、伊達はスズエの孫に貰った折鶴の中、メッセージが書き込まれているのを知る。

伊達とあすかは、再びスズエの息子夫婦の家を訪ねた。
スズエが出火の原因ではなかったことに、夫婦は安堵していた。
伊達は、折鶴にメッセージが書き込まれていることを告げた。

孫が持って来た箱の折鶴をとくと、次々、スズエのメッセージが出てきた。
息子の体を気遣うメッセージ。
嫁には、家事が大変だから無理しないように、というメッセージ。
孫には大好きだよ、というメッセージ。

読んだ息子夫婦は、スズエの暖かい言葉に涙が止まらなかった。
その時、線香をあげたいと春日が訪ねてきた。
平然と被害者のスズエに手を合わせる春日に、あすかは激怒。

あすかの言葉を聞いた息子夫婦も、一体どういうことだと春日に迫る。
だが春日は自分の腕をつかんだあすかの手を振り払い、その際に春日の手が、あすかの頬を打った。
玄関に向かった春日を伊達は、公務執行妨害で逮捕した。

拘留期間は46時間。
その間に伊達は春日を自白に追い込もうというのだ。
しかし、同僚たちは無理だと言っていた。

夕陽が傾き、夜になっても、朝を迎えても、取調べは続く。
春日にも疲れの色が見えてくる。
休憩しましょうか、と伊達は言う。
短い休息の後、また始まる取調べ。

春日のアリバイは伊達とあすかが犯人逮捕の協力の際、警察署にいた為に証明してしまっていたが、それさえも伊達は警察が一番確かなアリバイになるという、春日の計略ではないかと指摘する。
その際に用はなかったと言った春日だが、実は大切な会議をひかえていたことも伊達は指摘する。

こんな大切な用事をキャンセルしてまで、警察にいたのはおかしいのではないか?
だがそれは警察に気を遣わせないよう、伝えなかったのだと春日は言う。

伊達はあくまでにこやかに接するが、ボールペンを回し、何度も机にそれを落とすなど、春日をいらつかせる手段に出た。
次第に春日はいらだち、大声をあげる。

伊達は、スズエの孫に貰った折鶴をといた折り紙を見せる。
折り紙の中には、スズエが書いた文字。
そこには自分に何かあったら金庫の中を見てくれ、と書いてあった。

春日の顔色が変わる。
だが、それも一瞬だった。
それは伊達が書いた偽物と、春日は言った。

タイムリミットだった。
拘束時間が過ぎ、春日は伊達に不敵に笑いかけ、出て行く。
伊達の同僚たちも、やはり無理だったと言う。

その後、伊達はラーメンを食べていた。
器を洗うのに出しっぱなしになっている水道の蛇口から落ちる、水。
それは伊達にある光景を思い出させていた。

どしゃぶりの雨。
ドラム缶に入れられ、動かない両親。
「悪を倒すには、悪を凌駕するしかないんだよ」とヤクザが笑う。
背を向けたヤクザを、少年が刺す。
ヤクザが少年を振り返り、倒れる。

春日は開放された夜、全焼したホームの焼け跡に入っていた。
焼け跡を探り、春日は羽鳥がなくしたという、自分が指示したメモが残っていないか、探していた。
そこに全身、黒尽くめにした伊達が現れる。

金庫を探しているのだろう、と伊達は言った。
そして、それを探しに来た春日は罪を認めたことになる。
だが春日は、証拠がない、立証できない、自分を裁くことはできないと言い張る。

「だったら、俺が裁く」。
そう言って伊達は、春日に銃口を向ける。
仰天した春日は、「お前、警官だろう!そんなことしていいのか!」と叫んだ。
だが伊達は顔色1つ変えない。

「お前に明日は来ない」。
伊達はそう言うと、引き金を引く。
春日は倒れた。

その翌日。
スズエを送った息子家族は、やってきた伊達とあすかに丁寧に頭を下げた。
孫娘が手を振る。

伊達は回想していた。
降りしきる雨。
パトカーに少年の伊達と、刑事の三国がいる。

ヤクザを殺した伊達少年は、三国に「僕が殺しました…」とかぼそい声で言う。
三国は答えた。
「俺が何とかしてやる」。

昨夜…、倒れた春日に近づく伊達の背後から、「やっぱり、アンタの仕業だったか」という声がした。
伊達が振り向くと、久遠がいた。

久遠は笑みを浮かべながら、伊達にボタンを見せる。
この前、木内を撃った現場に落としたボタンだった。
唇を吊り上げて、笑う久遠…。



今回もまた、おもしろかったです。
いや、これ、警察ドラマとか、2時間サスペンスなら焼け跡を探す春日捕まって終わり、なんでしょうね。
まあ、本当に立証できないか?とか、思いますけど、なんていっても直接手を下していないし、実行犯が死んでますし。
盗撮盗聴?!とか、ツッコミどころはあるにはありますが、現代版必殺仕事人を楽しむというスタンスで見ているので、あんまり言う気がしません。

第1回ほどの胸のむかつきは感じないものの、この犯人もとんでもない奴。
前回ほど残虐さを強調していないですけど、ひどい事件ですよね。
先ほど、人を6人焼死させ、死刑執行された犯人がいましたけど、こういうのが罪にならないんだったらご遺族は仕置人でにも頼みたくなりますよ。

そして、とにかく1回目も2回目も、伊達に追い詰められて犯人が口にするのは保身の言葉。
警官である伊達を責める言葉。
自分がしたことを、全然悪いと思ってない!

今回の最後、久遠にばれてましたけど、その前から久遠が何か、そわそわしているように見えました。
違法捜査そそのかしたり、盗撮したDVDを伊達のデスクに置いたり。
伊達の正体に気づいて、何とかしてその「裏」伊達さんに接触したかったんだろうなー、と。

結構、久遠が不気味なんですけど、邪悪さは感じなかった。
だから仲間に入りたい、悪に制裁を加えたいんじゃないかと思っているんですが、どうか。
久遠もどこか、暗いものを背負っている感じがします。

さらに回想シーン。
刑事だった三国は、伊達少年をかばっていたように見えたので、三国は伊達の正体に気づいているのかなと思いました。
「JOKER」を育てたのが、三国さんではないかと。

刑事だった三国さんが、「こういう男が世の中に必要だ」と思って育てたのか、そうなると思って育てたのか。
それとも意図しないところでなったのか。
全く伊達さんの正体知らないのか、まだわからないですけど。

本当は心に燃える情熱を持っていながら、投げやりな捜査しかしない井筒。
この人も現在の捜査に、行き詰まりを感じていそう。

殺したいと思ったことはある、だが、やらない。
やったらそいつは化け物だ。
つまり、凶悪犯たちと同じところに堕ちる。
井筒はそう言ってましたけど。

仕置人や仕事人も、絶対に、小銭でもお金は貰う、貰って頼まれて仕事にするというのが鉄則。
そうでなければ、ただの人殺し、殺人鬼。
歯止めがかからなくなる。

鉄は正義の為なんて絵草子に描いてあるようなことの為じゃない、そんなことで人が殺せるか!って言ってました。
殺しは殺し、やめられねえぞ、と。

どんな憎くても正義感があっても、殺さない人は殺さないし、そういう人はたくさんいる。
その中であえて、一線を越えている自分。
奇麗事では通用しない。

でもそんなことを言っている鉄こそが、最後の最後に「外道にだけはなりたくねえよ」と金次第でどんな殺しもする組織への参加を拒否する。
悪を殺すことに喜びは感じても、罪のない人を殺すことに喜びは感じない。
危うい、だけど、確かな制御弁がある気がします。
その辺り、久遠なんかどうなのかなー、と感じます。

冴子も何となく、「神隠し」を調べると言いながら、伊達との繋がりを気づいているような…。
でも、少なくともこの2人からは、「JOKER」への敵意は感じられないですが。

あすかの兄の事件も気になるところです。
正義感強いあすかですが、この正義感が「JOKER」への共感になるのか、「それは許せない」になるのか。
兄の事件次第、ってとこでしょうか。

悪の制裁物語なので、トリックとか謎解きはそんなに凝ってないかもしれない。
しかし、人間模様が描けていると、わりとこういう点は許せちゃうかもしれません。
今のところ、登場人物ほとんどが気になる何かを抱えていて、目が離せない。
「必殺」を好きな自分としては、なかなか、好きです、このドラマ。


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テーマ : ジョーカー 許されざる捜査官
ジャンル : テレビ・ラジオ

助け人走る 第13話「生活大破滅」

自分で書いておいていうのも変ですが、昨日の記事の「みんな不幸になればいい」って怖い言葉ですね。
昨今起きる、無差別殺人を思い出して、やめればよかったかな、こんなタイトル…と思いました。
ドキッとします。


火曜日の「「助け人走る」は、「仮面ライダー」のおやっさんこと、小林昭二さんと緑魔子さんがゲスト。

信州の高遠藩の、実直な侍である小堀(小林昭二)は、常盤津の師匠・みすず(緑魔子)と深い仲になっていた。
小堀は藩の特産品を扱う立場であることから、家老とともに廻船問屋の和泉屋から賄賂を渡されるような身の上。
みすずもまた、和泉屋から紹介された女。

実直な小堀は賄賂を貰うことに良心が痛んでいた。
だが、みすずの魅力に溺れ、小堀は子供を亡くした命日にも、みすずの家に通う状態だった。
そしてみすずは、和泉屋の使う船の船主・半次郎の妹だった。

妻のおみねは、小堀の目を覚まさせて欲しいと、助け人・清兵衛に依頼。
その頃、小堀は和泉屋にこれ以上の賄賂は受け取れず、便宜を図ることもできないと言っていた。
しかし、和泉屋としては、今さら小堀に抜けられても困るのだった。

文十郎、平内とお吉は、みすずの近辺を探る。
そしてわかったのは、みすずが半次郎の妹ではなく、情婦であることだった。
助け人は小堀が帰った後、半次郎にみすずが呼んでいると言ってみすずの家に向かわせる。

小堀が帰ったと見て、みすずの家に上がりこんだ半次郎。
「あいつは帰ったのかい」。
「ったく、しつこいったら…」。

小堀のことを顔をしかめて話す、みすず。
半次郎は、みすずを抱き寄せる。
そこに戻ってきた小堀。

小堀も半次郎も、鉢合わせするよう、助け人たちが呼び出していたのだ。
抱き合う半次郎とみすずを見た小堀は騙されていたことを知って怒り、すがるみすずを振り切って帰って来た。
家に戻った小堀は妻のおみねに、今後一切、みすずには会わないと言い、頭を下げて詫びた。
歓喜のおみね。

だが、みすずから使いがやってきた。
私が出ましょうとおみねが応対に出たが、小堀は自ら出向いて別れてくるという。
しかし、みすずに会った小堀は、なかなかみすずを諦められない。

苦しそうな小堀はみずずに、子供ができたと告げられる。
子供をなくした小堀にとって、それは歓喜の報せだった。
家に戻った小堀は自分のことはあきらめてくれ、みすずに子供ができたのだ、とおみねに別れを告げる。

離縁を告げられたおみねは、絶対に別れないと言い、小堀を告発する覚悟だと言う。
武家の世界は、女の自分の言葉を取り上げようとは思わない。
だからおみねは清兵衛に、小堀を告発する証拠をあげてくれと頼む。

しかし、おみねは和泉屋たちに捕えられてしまう。
みすずを憎悪と軽蔑の目で見る、おみね。
どうしても小堀が自分から離れられないのだ、とおみねの武家としての、妻としてのプライドを嘲笑うみすず。

さらに和泉屋たちはおみねが雇った助け人の存在が、自分たちの邪魔をしていることも気づいていた。
「どこに訴え出ようってんだ、え?!」
和泉屋、半次郎、みすずがおみねを見下ろす。

そして小堀を待っていたのは家老による、小堀の賄賂の告発だった。
しかも、家老は全ての罪を逃れ、小堀だけが賄賂を強要し、みすずさえ差し出すよう仕向けたことになっていた。
小堀は確かに賄賂を受け取っていたことを認め、その上で家老も同罪だと訴えた。

だが訴えは退けられ、やがておみねの死体があがる。
おみねの死体は無念の余りか、目が閉じられていなかった。
小堀はおみねにすがりつきながら、目を閉じてやっていた。

嘆きの小堀だが、さらにおみねを殺したのは小堀という訴えが出されており、小堀は罪人として打ち首になった。
小堀が捕えられ、打ち首になるさまを助け人たちは見ていた。
打ち首になった小堀は、まだ見ぬ子とみすずに思いを託した手紙を出していた。

その手紙を見て、和泉屋も半次郎も、みすずも大笑いした。
「まだ見ぬ子…、だってさ」。
「こうなったら、子供を仕込まなきゃいかんな」。
「やめてよ、そんな。気味の悪い」。

家老が和泉屋たちのところにやってきた。
「またあの浪人たちがかぎまわる…」とみすずはうっとうしそうに訴えるが、ご家老から清兵衛たちにはきついお咎めがあるだろうと和泉屋は笑う。

家老を案内して、和泉屋たちは蔵に入った。
蔵の小判を見せ、今後ともよろしく…と酒を酌み交わしていたところ、紫煙が流れてくる。
「誰だ!」

文十郎が姿をあらわす。
「何者だ!」
「てめえは…!」
切りかかった半次郎は手もなく、文十郎に斬られる。

蔵の中に煙が充満している。
一瞬、視界が遮られ、家老が文十郎に斬りかかった。
手応えがあった。
だが、煙が晴れて見えたのは、家老の刀に貫かれた和泉屋だった。

うろたえた家老に、文十郎は刀を抜く。
再び斬りかかってきた家老をかわし、文十郎は家老を斬る。
逃げようとするみすずの前に、平内が現れる。

平内にみすずは抱きつく。
「いやっ、殺さないで!殺さないで、何でもあげる!何でもあげるからっ!」
子供のように抱きつき、すがるみすず。
だが平内は、「そいつぁ困ったなあ。俺が欲しいのは、あんたの命なんだ」と答えると、キセルを抜き、針をみすずの額に打ち込む。

誰もいなくなった蔵。
キラキラと光をあびて、米がこぼれていく。
文十郎と平内は、蔵を出る。



まじめな、仮面ライダーのおやっさんが、悪女に惑わされている!
別れると決心したのに、あっさり篭絡されている!
おやっさーん、頼りになるあの親父さんはどこへ…。

そう言いたくなる、今回の小林昭二さんの小堀役。
本人も妻をなくし、それでいてこの状態、子供に見られなくて良かった、情けないと言ってますが、ほんとに情けない。
カッコよさのかけらもない演技、すばらしいです。

さらに、悪女役の緑魔子さん。
小堀が帰った後、変わる態度と見せる表情がウンザリしていて、とっても怖いんですけどね。
けっ、しつこいんだよ、うんざりなんだよ!って。

甘えている間はとってもかわいらしく、コケティッシュ。
妻として、武家として、気高いおみねを下賎の身で、だからこそ女の魅力で夫を奪ったと嘲笑う。
おみねも、小堀も嘲笑う。
愛想の良い客商売の、いや、女性の二面性を見せられたようで、怖い。

「木枯し紋次郎」の時の魔子さんは、紋次郎に向かって「ちょうだい」と手を伸ばす。
自分を信じていた男のことなんか、知ったことかって感じ。
今回は自分と子供を最期まで案じた真面目な武士の手紙を大笑いしながら、読む。
ほんと、こういうの、怖ろしいぐらいにハマる。

ちょっと舌足らずなしゃべり方、しぐさ。
あの、黒目がちで、どこか人を不安にさせるような目。
悪女なんですけどね、魔子さんの魅力堪能。

最後、平内さんの情に訴える。
平内さんにすがりつき、「何でもあげる!」。
「殺さないで!」。
うーん、ここがまた、すごい悪い女とわかってるんですけど、どこかかわいらしくて。

あの目で、あの声で、あのしぐさで「何でもあげるから!」。
ちょっと、悪女なのに、妙にかわいらしいじゃないですか。
どこか、あどけない。
いたずらな子供が許しを請っているよう。

これで難を逃れるってこと、あったんだろうなあと思います。
魔子さんの持ち味って、真似しようとしてもできないんじゃないかと思いますね。
緑魔子さん見る為に見てもいいかな、ってぐらい、魔子さんが魅力的。

最後の仕置きシーンは、平内さんの紫煙の演出が活きてます。
どこからか漂う煙。
ああ、助け人がいる。

そして、一瞬、煙で見えなくなる。
煙が晴れる。
すると、刺してしまっているのは仲間だとわかる。

蔵の奥の闇。
キラキラと光る光と、煙。
綺麗な仕置きシーンだと思います。

しかし、「生活大破滅」というタイトル。
悲しいんだけど、どこかコミカルに感じて、これもまた、人間ってどうしようもないなあ、なんて思わせます。


「みんな不幸になればいい!」 新撰組 あさぎ色の伝説

「龍馬伝」に新撰組が出なくなりましたね。
舞台が京都じゃないし、本筋に関係ないからしかたないんですが、原田さんの近藤勇が予想外に良かったので寂しい。

新撰組を描いたマンガとして以前、「天まであがれ!」のことを書きましたが、もうひとつ。
和田慎二さんの「あさぎ色の伝説」というマンガが、ありました。
これ、私の記憶だと、一番最初に別冊マーガレットに載る予定が和田先生が急病で、途中までしか載らなかったんですよ。

しじみ売りの娘が沖田総司を父親の仇と勘違いして、恨むお話。
沖田は人違いと知っていながら、しじみ売りの少女が生きる情熱を持つ為、あえて仇のふりをする。
たしか、沖田がしじみ売りの少女をつきとばすところで終わってました。

マーガレットでは終わっちゃってたんですが、その後、別の雑誌で再開していたようです。
沖田は影からこっそり、彼女を支える。
お店に頼んで毎朝、彼女のしじみを買ってもらい、それを新撰組が買い取る。

その為、新撰組には毎日しじみ汁が出る。
町のチンピラが彼女に絡んだ時も、影から睨んでくれる。
チンピラは「アニキ、あかん。新撰組の沖田がにらんどる。あいつ怒らしたら、首が飛ぶっちゅう話や」と逃げていく。
結局、最後は沖田が本当の仇を斬ってくれて、しじみ売りの少女は沖田の思いやりにきづくんですが。


他にもいくつか話はありまして、主に試衛館から京都に出てくるまでだったんですが、京都の話もありました。
沖田に片思いしていた少女の話。
少女、およし、と言ったかな?
彼女には浪人で結核病みの、しかし大人しい誠実な兄がいた。

兄は自分の身の上を理解していた。
もはや仕官もかなわず、病も治るまい。
その頃、京都には辻斬りが横行し、斬られた相手は誰からも恨みをかう覚えのない男ばかり。
「(まるで)お日さんでんがな」と犠牲者を知る者は、語る。

そこに本間という新隊員が、やってくる。
本間は腕が立ち、唇をぺロッとなめると、あっという間に人を斬る。
それで、18番組かな?
本間は18番組の新隊長になる。

本間は明るい男で、土方が沖田に言うには、「おめえは月だよ」。
沖田はおどけて、「あれ、うれしいなあ、そんなに美しいですか」と言うが、土方は「うすボンヤリってことだよ!」と言い放つ。
その通りに、本間は明るい男なんですが、沖田に片思いしている少女を好きになってしまい、無理やり手篭めにしてしまう。

何と言っても少女の身の上は貧しい浪人の妹。
本間と少女との間で結婚話は進み、何と沖田に仲人話も来る。
しかし、その直後、本間は斬殺されて発見される。
例の辻斬りの仕業。
腕の立つ本間を斬るのだから、相当な腕。

無理やり手篭めにされたかに見えた少女だが、本間の死体にショックを受け、「誰にも触らせしまへん!」と叫び嘆く。
新撰組の者は、「女の心はわからない。てっきり沖田さんに岡惚れと思っていたが」と噂する。
だが、沖田は本間の死体から犯人を見抜く。
それを知った土方は、沖田に言う。

「わかっているなら、斬って来い。斬らなければいつかおめえはそいつに斬られる」。
土方はそう言って送り出す。
沖田が対峙した相手は、少女の兄。
結核病みの兄だった。

2人は荒野で向かい合う。
何故、本間を斬った。
どうして、妹の幸せを壊した。
沖田の問いに、兄は言う。

自分は決して、日の当たらない男だ。
このまま死んでいくんだろう。
だから斬ってやった。
太陽の光のような、明るい男たちを。

沖田の目に兄と自分がだぶる。
兄が、いや、自分が叫んでいる。
どうして自分だけが、肺病なんかで死んでいかなければいけない、と。

「みんな不幸になればいい!」
兄は、沖田は叫ぶ。
「およしも誰も彼もだ!」

次の瞬間、沖田は兄を斬った。
倒れている兄に向かって、沖田は叫ぶ。

「どうして、あなたが倒れるんだ」。
「あなたは正直だった」。
「そんなあなたが、どうして自分を偽っている私に斬られるんだ!どうして、私がここに立っているんだ!」

そう叫んだ沖田は再び、屯所に戻っていく。
何事もなかったかのように土方が迎え、沖田はいつもの屈託のない沖田に戻っていた…。



確か、話はここで終わりです。

本間は明るくていい男、ということになってましたが、少女にした事を思うと、あんまりそうは思えなかったんですけどね。
沖田に仲人の話なんか持ってくるし。
少女は目を伏せているし。

それで、本間が殺されて少女が泣き叫んでいるのも、何か良くわからなかった。
いつのまに好きになってたの~?って。
そういう描写があると、最後の兄の行動の残酷さも良く出たと思うんですけどね。
今読むと違うのかもしれませんが。

しかし、妹さえ嫉妬の対象にして、不幸にしてやるという兄の暗い思いにはゾッとしましたよ。
沖田が自分を重ねて、兄と一緒に自分が叫んでいるのも。
決して表に出さない、しかし心の底にいつも淀んでいる思い。
それを少女の兄は、行動に移していた。

本間もかなり強いんですけどね。
兄はもっと強かった。
だから、こんな境遇でなければ、素晴らしい武士でいたかもしれないんですね。
だから不憫。

でも、沖田はこの兄を斬る。
沖田の腕は、兄を凌駕してしまう。
ここのところも、剣豪の悲しさが出ていました。
「一筆啓上業苦が見えた」と同じですけど、強いあまり、「誰も私を斬ってくれない…」なんですね。

自分だって仲人引き受けるのなんか、いい気分はしなかった。
世の中を、ままならない身の上を恨んでいる。
だけど、表向きの自分は崩さなかった。

いや、それを理性とか、社会性と呼ぶんだと思うんですけどね。
しかし沖田は叫ぶ。
そこから自分を解放したあなた。
本当の自分がそこにいた。
それが何故、嘘の自分に敗れるんだ…と。

本間を失った少女がどうなったかも、描いていない。
兄がいなくなって、どうなったかも、兄がどういう扱いになったのかも、どう知らされたのかもわからない。
それだけに、突き放された感じがしました。

沖田はまた、普段の日常に戻る。
おそらく、そんな沖田の思いを知っているのは、沖田を月だと言った土方だけ…。

「天まであがれ!」と違って、男性の描く沖田。
やっぱり、ちょっと骨太です。
これはこれで魅力的。
でも、これ、コミックス入手困難みたいですね。
残念。


「一口、乗せろよ!」 主水登場 助け人走る 第12話「同心大疑惑」

月曜日の時代劇専門チャンネル放送の「助け人走る」は本放送時は、お正月。
特別ゲスト、前シリーズの仕置人・中村主水が登場。

暮れに起きた旗本殺しに目をつけた主水は、平内を取り調べる。
あの同心、只者ではない…、そう察した清兵衛は料亭に主水を呼び出す。
助け人と言っても、清兵衛が言うような仕事であんな暮らしができるわけがねえ!
裏があると問いただす主水。

清兵衛は主水に「お取調べに手加減をくわえろとは言いませんが…」と言いながら、菓子箱を渡す。
菓子箱には5両。
下っ端同心にはこの程度ってことか、と言いながら主水は受け取る。

主水の取調べから開放され、長屋に戻った平内。
長屋の住人のおようと長次夫婦は、正月に1人は寂しいだろうと食事に呼ぶ。
しかし、おようは長次を待ちながら、平内が食事をしている最中、目つきの鋭い男に呼び出された。

男は、昔のおようの恋人だった。
昔の女に会わないでいたんだぜ、と恩着せがましいその男・音吉はおよう、いや、おようの夫に頼みごとがあると伝える。
夫に2人の過去の関係を話されたくないおようは、音吉の頼みを聞くしかなかった。

音吉は盗賊・夜走りの参蔵の一味になっており、押し入る商家の蔵の合鍵を作るよう夫に頼め、というのだった。
戻ったおようは昔、近所に住んでいて、今は和泉屋の番頭をしている男から合鍵作りを頼まれたと嘘をつく。
おようが鍵作りを頼むと、長次は初仕事が人助けとは縁起が良いと快諾。

その頃、文十郎の妹、しのも茶屋に来た同心がしつこく兄のことを聞いてきたと訴える。
中村主水だ。
同心と言えども、このまま放置はできない。
文十郎が、主水を襲うことになった。

為吉の調べによると、主水は八丁堀の中でも5本の指に入る剣の使い手。
その腕を見込まれて中村家に婿養子に入るが、これまでさしたる手柄はなし。
好物は、めざし。
奥方の尻に敷かれており、浮気はしていない、というかできないと為吉は言う。

文十郎は為吉の報せを受け、夜中、奉行所を出た主水の背後をつける。
「誰でえ。八丁堀の中村主水と知ってつけてきたな」。
「死んでもらうよ」。
向かい合う2人。

十手を構える主水。
距離が近づく。
雪が舞う。
動かない。
いや、どちらも動けない。

文十郎の刃を、主水が十手で捕える。
2人には互いに斬り結び、空中で宙返りを舞う。
主水の腕に、文十郎が刀の他、鉄心を構える。
両手で構えた文十郎。
向き合う主水。

その時、酔っ払った集団がやってきて、文十郎は「またな」と引き上げる。
「待ちやがれ!」と言って、主水は呼子を吹くが呼子は、か細く情けない音で、ひょろろとしか言わない。
呼子は、ふさがっているようだった。
ジタバタする主水。

「え?仕損じた?」
長屋に戻った文十郎は、為吉に報告。
「危うく足を斬られるところだった」と、文十郎は斬られた着物の裾とかすり傷を追った足のすねを見せる。
「たがが八丁堀同心と、なめてかかったのが悪かった」。
「完全に失敗したんですね?」

その頃、和泉屋に鍵を渡しに行った長次は、和泉屋が鍵など頼んでいないことを知る。
しかも、その鍵は和泉屋のものではない。
戻ってきた長次は、音吉がおように迫っているのを見る。
長次に見られた音吉は、おように匕首をつきつけ、鍵を渡すよう強要。
しかたなく、長次は鍵を渡した。

ことの経緯を問いただす長次に、おようは音吉は本当に、小さい頃に近所に住んでいた男で、自分はそんな嘘は何も知らなかったと主張。
自分の作った鍵が悪用されては、と、奉行所に届けるという長次。
だが、おようは音吉から鍵は自分が取り返してくると言った。

自分が鍵を取り返すと言ったものの、おようは途方にくれていた。
そんなおように平内は声をかけ、事情を話させた。
おようは昔、付き合った男が悪党であり、2人の過去を夫に関係をばらさない代わりに、合鍵を作らされたのだと打ち明ける。

金がかかるが、自分の知り合いにそういうことを解決するのを専門にしている者がいる、とおように言って、平内は清兵衛に話を持ち込む。
清兵衛は音吉のやり方を、すぐに盗人、しかも素人くさい男の仕業だと見抜く。

その頃、主水は自分を襲ったのは文十郎ということを清兵衛に話す。
自分とやりあうんだから、相当の腕だと主水は言った。
「どうなさるおつもりで…?」

殺気を宿した清兵衛だが、主水は声を潜めて言った。
「一口、乗せろよ」。

目を丸くした清兵衛に「八丁堀が金儲けしちゃいけねえことはねえ」と、主水は言う。
大笑いした清兵衛は、主水もそろそろ手柄が欲しいのではないのか、と言う。
奥方様がそろそろ、うるさいのでは…。
そう言われた主水は、押し黙る。

清兵衛は主水に、参蔵一味の動きを知らせる。
影から、盗人装束の一味を見た主水は、「おめえに良いように使われそうだな」と言いながら、清兵衛との取引に応じた。
その頃、平内はおように音吉はもう2度と姿を現さないだろうと言っていた。

音吉は遠い西国に行く。
平内はそう言った。
だから、音吉と昔、良い仲だったことは長次には黙っているように平内は言う。

だが長次は町で飲んでいる音吉を探し、おようとのことを問い詰めた。
音吉は長次を殴り飛ばすと、そんなに知りたいなら教えてやる、あれは自分の女だったと笑う。
長次はショックを受け、その晩、飲んだくれた。
飲んだくれた長次を、おようは迎えに行く。

参蔵一味が、狙っていた商家の蔵に盗みに入る。
長次に作らせた鍵で蔵を開け、中に入った音吉を、平内が待ち受けていた。
匕首を振り回す音吉の手を抑え、匕首を落とす。

針となったキセルを構え、音吉に近寄る。
蔵から逃げようとした音吉を平内は押さえつけ、脳天を刺す。
平内は蔵の鍵を閉め、元通りにする。
そして、音吉から転がった、長次の鍵を受け取る。
転がっていく音吉。

様子がおかしいと言う、参蔵。
振り向くと、ずらりと「御用」の提灯が並んでいる。
手が回った!と逃げる一味。

外に出た参蔵たちの足が止まる。
主水が振り向く。
匕首を手に、参蔵たちは主水に襲い掛かってくる。

次々主水は倒し、刀を抜く。
宙を舞ってくる盗賊。
主水は抜いた刀で、盗賊たちを倒す。

逃げる首領の参蔵に向かって、主水は十手を投げる。
十手は参蔵を捕える。
引きずり込まれた参蔵。
捕り方たちが、やってくる。

その頃、うなだれているおように向かって、長次は出てってくれと言っていた。
責めているわけじゃない、だが、あれはひどい男だ。
あんな男と…。
許せない。

裸足のまま、呆然とおようは出て行く。
だが、呆然としたおようが歩いてしばらくした時だった。
「およう!」と叫んだ長次が追ってくる。

「行っちゃいけねえ!行くな!」
長次がおようを抱きしめる。
おようの目から、涙が溢れる。
2人はしっかり、抱き合った。
それを平内は見て、微笑んだ。

正月の町。
平内と文十郎がいる。
その時、主水が向こうから、箱持ちの供の者を連れてやってきた。

「あの野郎…」。
思わず、2人は黙り、そっぽを向く。
主水が、2人の後ろを通りかかる。
黙ってそっぽを向いている2人に、主水が言った。

「おう、助け人!あんまり派手な真似しやがると、定町廻り・中村主水が黙っちゃいねえぞ」。
十手を振り回す主水。
知らん振りしている2人。

だが、そう言うと主水は今度は、声を潜めた。
「ただし…、儲け話ならいつでも乗るぜ!」
驚き、呆れる2人。
2人を置いて、主水は大笑いし、正月の町を歩いて去って行った。




錠前師の妻のおように迫る過去、錠前を作らせる盗賊。
夫婦の危機。
そういうフォーマットはしっかり抑え、お正月、前シリーズの「仕置人」主水が登場する、必殺視聴者へのサービスもできている。
今なら時間スペシャルにするところ、1時間でコンパクトにまとまっている分、テンポが良くて無駄な場面が一切ないかも。

助け人が、同心に目をつけられたところから話は始まる。
平内に、めざしを食べつつ主水は、妻に「あなた、それは下々の者が召し上げるものです」と嫌味を言われることを話す。
もう、りつは出てこないんですけどね、りつの顔と口調が思い浮かびますよ。
ああ、相変わらずいびられてるんだ~!

清兵衛に呼ばれ、酒を勧められると主水、いや~な顔をして、手を横に振る。
そうでした。
「仕置人」の主水、いや「仕業人」まで、主水はお酒が飲めない甘党の設定でしたね。
いいぞ、いいぞ、そんなところまで楽しいです。

しかし、助け人に目をつけ、あんな仕事でこんな暮らしができるわきゃねえんだ!と言い切るところ、さすが裏の世界をご存知な主水。
裏の人間は、裏の人間を見抜く。
5両受け取って、引き下がったかに思えた主水ですが、今度は文十郎の妹のしのの勤める茶店にまで来たらしい。

危険を感じる文十郎たち。
そりゃそうです、同心ですもの。
主水がどんな人間か知らなきゃ、危ないと思う。

為吉から、主水についての調べが報告される。
これがまた、楽しい。
やっぱり、主水の腕は相当なもの。

語られる婿養子になった経緯。
そして、今現在の手柄の全くない状況。
ああ、やっぱり主水だ!
しかし、腕はたつらしい。

さあ、どうする?!と思ったら、文十郎が主水を襲うことに。
この勝負、どうなる?!
いや、さすが主水。
文十郎も着物の裾を切られ、足に切り傷を受け、本気で二刀流にならざるを得ない腕前を披露。
この辺り、新キャラクターを立てて、主水をないがしろにしなくて良いです。

しかし、文十郎も主水も宙返りってすごい。
主水ってそんなこと、できたんですねえ。
文十郎の殺しはならず、すかさず呼子を吹こうとした主水ですが、「ピー」という音は出ない。
「ひょろろろろ」と鳴く呼子。

呼子、詰まってるんです。
ぽんぽん、と叩いてもダメ。
この辺りが主水だー!と。

切れるようでいて、表の稼業ではイマイチ!
奥方のことを指摘すると、黙っちゃう。

仕損じたらお金は経費も含めて返さなきゃいけない、文十郎。
でもこれまた、危なかった~と言いながら、何か能天気で返す気ない。
主水に足傷つけられちゃった~と、お吉さんに甘えたりして。

そして一方、主水に問い詰められて危機感いっぱいになった清兵衛。
主水も文十郎のことを、俺とやりあうんだから只者じゃねえ!と言う。
緊張感の中、主水、清兵衛に「一口乗せろ」と同心にあるまじき仲間入りを提案…!

清兵衛、思わず目を丸くする。
次に大爆笑。
いやいや、主水について、「仕置人」までは為吉も調べが及んでないんですね。

そこで、清兵衛、表稼業での手柄を提案。
なーんか良いように使われてるなあと言いつつ、主水、この提案に乗る。
クライマックスは、盗賊が押し入るシーン。

平内さんの、音吉の仕置き。
そして、主水の捕り物。
流れるのは、「仕置人」の仕置きのテーマ!
もう、スタッフのみなさん、わかってらっしゃる!

ここでも主水、捕り方たちを後ろに控えさせて動く動く。
宙返りしながら襲い掛かってくる盗賊たち。
次々、みねうちで叩き伏せる主水。

強い、強い。
こんな抜け目もない、切れ者で、腕もたつ同心がどうして昼行灯なのかと。
逃げる首領に向かって、十手を投げ、捕えて引き寄せる技まで見せてくれるサービスぶり。

さて、助け人も主水も収まった…と思ったら、そもそもの秘密がばらされていて…。
出て行ってくれと言われる、おようさん。
良い夫婦だったのに…、と思ったら、おようさんを連れ戻しに走ってきた長次さん。

困難を1つ越えて、この夫婦の絆はいよいよ強くなった。
お正月だもの、長次さんもおようさんも無事で良かったよね!

そして、悩むおようさんに平内さん、音吉はもうおようさんにつきまとわない。
2度と訪ねてこない、って言うんですね。
遠い西国へ行く、って。

つまり、もう、仕置きにかけることが決まっているから言った言葉なんですけど、それを「遠い西国へ行く」と表現する。
ふと、「必殺仕事人2009」の西国へ行った主水を思い出しました。

正月の町でうだうだしている、文さんと平さん。
すると、向こうから同心然とした主水が…。
厄介な奴と思った2人に、突然、主水、またしても儲け話なら声かけてくれーと。

唖然とする2人。
笑いながら去っていく主水。
最初から、捕まえる気はなくて、接触をはかる気だったのかな。
でもやっぱり、主水は「助け人」じゃないような気がする。

前作を見ている人にはわかる、思わずうなづける主水の描写。
主水を知っていれば、楽しさ倍増。
知らなくても、このとぼけた切れ者の同心の描写を楽しめる。
そして「仕置人」見たいなあと思わせる。

「同心大疑惑」なんてタイトルまで、おかしい。
いいですね。
若い頃の主水が、藤田まことさんが楽しめます。
いい映像が残っているなあ、と思いました。


夏のCMといえば、やはりこれ

あーあ、夕べちょっと大変で眠ったのが、午前1時半過ぎ。
起きたのが、午前5時半ちょっと。
その後、中途半端に眠ることもできず…、4時間しか眠ってない。

絶対、午後から眠い。
今日は絶対、早く眠る…。
暑いのに~、今日が休まる日だからまだ良いですけど…、つらいわ~。
何かもう、眠くなって来た…、バカだ。


去年も書いたと思いますが、資生堂、懐かしい夏のCM。
「時間よ、止まれ」、「夏ダカラ、コウナッタ」、「燃えろ、いい女」、「め組の人」、「その気、ミステイク」、「その気、ミステイク」2パターン。
重複してますが、夏のCMということで再掲しました。

この頃、資生堂のCMとそこから流れる曲は大ヒットしていました。
ちょっと古い、今より暑くなかったけれど、夏の夏らしいCMとして記憶されているものです。

何で資生堂か、って…。
私、お酒飲まない、飲めないもので、どうしてもこの手のCMに。


「時間よ、止まれ」




「夏ダカラ、コウナッタ」





「燃えろ、いい女」



燃えろ、いい女 燃えろ、ナツコ♪という歌詞で大ヒットしました。
コメントにもありますが、確かにこの夏、ふりょーのお姉さんはナツコみたいなタイプが多かったように思います。
この頃、週刊マーガレットで森川タマミという漫画家さんのマンガが連載されていました。
その中に、暴走族のクイーンでナツコという女性が登場しましたが、まさにこの小野みゆきさんのナツコでした。


その翌年、「輝けナツコSUN」



「燃えろいい女」の影に隠れがちですが、この「ナツコSUN」のクリスタルキングの歌も、なかなか良かったんです。


「め組のひと」





「その気、ミステイク」




「その気、ミステイク」2パターン




「その気、ミステイク」の日焼け止め




「いろ、なつ、ぬる、ゆめ、ん」



この頃の資生堂のCMって、映像はもちろん、コピーもすごい良いセンスしてると感心。
モデルの甲田益也子さん、当時、「アンアン」などでよく見ました。
現在も「dip in the pool」で活躍中。
この方が当時、「アンアン」と双璧をなしていた雑誌、「JJ」でロングヘアで出ていたら、だいぶ評価が変わったのではないか、と思います。
あんなに美しいのに、少年のようなショートヘアにしたりと、自由で誰にも媚びていないような姿勢が好感持たれていました。

石川セリさんの歌声と一緒に見ると、本当に神秘的。
最後の白なんて、まさに夏の夜に現れた妖精のようだと思いました。
綺麗な方ですよね~。

しかし、このパクト、どうやって使ったんでしょうね。
ファンデーションだけど、アイシャドウみたいに使ったんでしょうか。
このCMみたいな使い方って、なかなかできないような…。
フェイスカラーと思えばいいのかな。


「君たちキウイ、パパイヤ、マンゴーだね」



カネボウのCMも、良かった。


夏の音楽

毎日、暑いです。
かと思うと、すごい豪雨に見舞われる地域が出たり。
今日、お祭りのところは大丈夫だったんでしょうか。

1時間に100ミリなんて信じられない雨が降ったり、落雷がすごかった地域は大丈夫だったんでしょうか。
私のいる地域は夜は曇りましたけど、結局雨は降りませんでしたが…。
だから、今夜も熱帯夜でしょう。

先週、3連休は初日はずっとウダウダして、夕方の4時から買い物に出かけてました。
連休2日目はお昼を食べて、午後から出かけました。
3日目はさすがに家で大人しくしてました。
でもほんと、午前中はダメでしたね。
あまりの暑さに、行動するのは夕方。

しかし、連休じゃなくても夕方なら、アイスコーヒー買ってきたり、パン屋さんにパン買いに行ったりと食べ物に関しては出かけるみたいです。
食い意地張ってますなあー。

さて、夏に聴きたくなるというか、夏の音楽、夏がしみこんでいる音楽ってありますよね。
聴くと夏を思わせる音楽。
良く言われることですが、TUBEやサザンオールスターズは夏を思わせます。

私の友人は遠距離恋愛をしていた夏、その行き帰りに良く聴いていた音楽を聴くと、その時のことが蘇ると言います。
冷えた新幹線の車内。
窓の外の暗さ。
同時に、「ああ、もうダメかな…」と感じた、あの切なさも蘇ると。

心が自分にない。
少なくとも自分が想うほど、相手は想っていないことがわかるのは、恋愛において、とてつもなくつらいもんです。
その時のつらさが、あのボーカルを聴くと蘇る、というんですね。
わかる!

音楽と恋愛は結び付く。
片思いの時、流行っていた音楽や、その時、まるで自分の心情を歌ってくれているような曲は忘れなかったりします。
音楽というのは、それを良く聴いていた時に人を引き戻す力がありますね。

恋愛じゃないけど、私は山下達郎さんの「RIDE ON TIME」を聴くと、夏の原宿を思い出します。
当時有名だったブランドのブティックが、人がすれ違うのも大変なぐらい、狭くて縦に長かったこと。

当時、流行っていたお店でリボンの形が刺繍してあるソックスを、買ったこと。
一緒に行った子は、同じく、当時よく雑誌に出ていたお店の名前が入っているTシャツを買ってたこと。
火事でも起きたら大変そうな地下の、ごちゃっとしたお店で買ったイヤリングのこと。
安っぽいプラスティックだったけど、あのちゃちさ、あの色さえ懐かしく思い出します。
たぶん、あの時の原宿の街のどこかで「RIDE ON TIME」流れていたんでしょう。

同僚はラッツ&スターの「め組のひと」で、免許取立てでがんばって、海にドライブした夏を思い出すそうです。
これは資生堂の夏のキャンペーンソングですね。
そうそう、化粧品のCMなんかは季節でキャンペーンやるので、集中的に流れる為に、かなり印象つきます。

ざっと思い出すだけで、夏なら大沢誉志幸さんの「その気ミステイク」や、山下久美子さんの「赤道小町ドキッ」。
遡ると、ツイストの「燃えろいい女」、サーカスの「Mr.サマータイム」、ダウンタウンブギウギバンドの「サクセス」とかあったなあ、といろいろと思い浮かべられます。

21日の水曜日、今年のセミの初鳴きを聞きました。
考えたら、これも夏ならではの「音」ですね。
これが虫の声が聞こえるようになると、しんみりしてくる…。
これは夏の終わり、晩夏の「音」。

夏の終わり、私は「六番目のユウウツ」を夏の終わりに聴いて、かったるくてしょうがなくなったことがあります。
これは今聴くもんじゃない!
今聴いちゃダメだ!と思いましたねー。

友人は爆風スランプの「全部嘘だ そんなもんさ 夏の恋は幻」を思い出すそうです。
どうした、何があった。

そうそう、ボサノバが良いなと感じるようになりました。
毎夏聴いているので、私にとって、ボサノバはいつの夏というより、夏の音楽です。
だから冬に聴いちゃうと、夏が懐かしくなって困ります。



夕べ見た夢、3本

金曜日の夜から土曜日の朝にかけて見た、怖い夢3本立て。
辻褄が合わないのは、夢だから。
でも夢の中では、疑問に思わないんですね。

1本目。

おそらく夏休み中で誰もいない校舎に、なぜかいる私。
他には誰もいない。
ふと、校庭を見下ろすと、隅の木の影で人が刺されました。
仰天して、見つからないように窓から見えないよう、身を低くする。
見つかると、非常に怖いと思い、見えませんようにと祈ってました。

はい、ここで目が覚める。
「夢かあ…」と思いながら、水を飲みに行く。
再び、就寝。

2本目。
これが自分としては、一番怖かった。

リビングで横になっている私。
外はもう、薄暗い。
前の道路で車が止まる音がする。
少しして、玄関のドアが開く音がする。

鍵…、かけてなかった?
息を潜め、リビングのドアに張り付く。
誰かが、廊下を歩いてくる。

低く、笑っている…。
リビングに近づいてくる?
緊張でドアから離れられない。

はい、ここで目が覚める。
「夢だ…、良かった」。
目が覚めてからも、怖かったと思う。
気分転換に水を飲みに行く。
みたび、就寝。

3本目。

何度か夢に出てきたような、子供の頃、行っていたような駄菓子も売っている小さな商店。
雨が降っている。
車でついた男性。
しかし雨がひどくなり、茶色い濁流に飲まれる。

濁流と思ったのは、沼が上がってきたものだった。
男性は沼に車ごと、引きずり込まれる。
沼のそこには女性がいて、男性を見上げている。

商店の中にも、雨が降ってくる。
屋根はあるのに…。
男性が全て飲み込まれてしまうと、雨は止む。

私は急いで、近くの警察署に駆け込む。
事情を話そうとすると、警察署の中に雨が降ってくる。
邪魔してはいけない、自分は関係ないことなんだ。
ふと、そんな言葉が頭に浮かぶ。

はい、ここで目が覚める。
「夢…、良く見るわ…。休まらないわ」。
エアコンはとっくに切れていて、非常に暑い。
いけないと思いつつ、エアコンのスイッチを入れて、戻る。

たぶん、2本目の夢は中学の時、友達の家の玄関で学校帰りに遊んでいた時のことがあるんだと思うんですね。
友達がふと、玄関のドアを凝視して、固まった。
どうしたの?と聞いても答えないで、硬直している。
ただならない様子に、動きが取れなくなる。

ちょっとの時間が流れ、友達が「あ、違うわ」とホッとする。
何かと思ったら、ドアが少し開いていたところから目が覗き込んでいるように見えたとか。

暗闇にベルが鳴る」状態?
それは怖い。
固まる。
考えただけでゾッとする。

いや~、友達も肝が冷えたと思いますよ。
何かを凝視して硬直している友達を前に、私も怖かったですけど。
後ろ、振り向きゃ良いのに、一瞬、私も硬直して振り向けなかったですもん。
2本目の夢で、この時のことを思い出しました。

それで、夢って何度も出てくる家とか場所とか、ありますよね。
さらに子供の頃は熱出すと見る夢って、ありませんでしたか?

私の友達は、子供の頃、熱を出すとゴジラがこちらに向かってくる夢を見たそうです。
「怖かったんだよ~」って、わかります。
ドラマでは良く、刺したの刺されたのとか見るし、ここでも何か物騒な描写書いてることはありますけど、夢の中でさえ怖いですもん。

植木職人の人がチョキチョキしている音がして、もう起きようと思って時計を見たら6時半。
ええい、昼寝するう!
その言葉どおり、午前中9時半から1時間、午後、お昼食べて2時から1時間半、見事に昼寝したのでした。
寝過ぎ!

そして、夕方5時から出かけて、一番最寄りのデパートに行って、この前、試食でパンにつけたらおいしかったドレッシングと夏用のアイシャドウを買ってくるという…。
本人しか訳のわからないことを、したのでした。
この前、サンダル買ったというのに、また靴売り場でひっかかって、サンダルを見てました。

ツモリチサトのサンダル、この前もセールで買ったなあ。
でも、かわいい。
この前のは、秋まで履ける。
だけどこれは夏限定、夏を楽しむのにピッタリ。

つい、試したくなって、考えたんですけど、そうしたらサイズが0.5、大きかった。
履けないことはないけど…。
サイズが合わないことは、合わない。
良かった、これで諦められる。

夜の7時過ぎ、電車を待っているとどこかで花火の音が。
お、上がってる、上がってる。
花火大会の予行練習かな、という感じの上がり方。
月はぼんやり、マンションの上。
夏だなあ。

今晩は、夢に振り回されませんように。


「幕府から飛び出す」 龍馬伝 第29回

第29回、「新天地、長崎」。


明治15年。
岩崎弥太郎は胃の調子が悪く、千住にある灸治院に通っていた。
病院に行かないのですかという新聞記者・坂崎紫瀾の質問に弥太郎は、病院に行けば弥太郎の健康不安の話が流れ、投資を控えられると話す。

商売も生き馬の目を射抜く世界。
生きるか死ぬか、幕末と同じだと弥太郎は言う。

治療に当たる女性に、弥太郎はこの坂崎記者は龍馬のことを聞いていると教える。
その女性は「坂本龍馬…、あの方のことをお聞きになっているのですか?」と言う。
顔色を変えたその女性のことを、弥太郎は坂崎に「千葉佐那さんだ」と答えた。

「あの方のことなら、私にも聞いて下さい。実に立派な方でした」と語る佐那。
千葉道場は、佐那の兄の代で終わったのだと言う。
明治になると剣術をやる者は、いなくなった。
兄の重太郎は、京都で薬局をやっていると言う。

「ご結婚は…?」と聞く坂崎に佐那は「いいえ」と笑った。
「今でも龍馬のことを」。
弥太郎が灸をすえられながら、口を開く。
「ひどい男ぜよ。佐那さんの気持ちを知っておりながら」。

すると佐那は「 私が勝手にお慕い申していただけですから」と、答える。
遠い目をして龍馬の瞳がいかに輝いていたか、佐那は語る。
しかし弥太郎は、それは江戸にいた頃の龍馬だと言う。

「え?」
海軍操練所を潰され、盟友・武市半平太を失って龍馬は人が変わった。
お坊ちゃん育ちは影を潜め、薩摩も長州も異人も、みんな龍馬に振り回されたと弥太郎は言う。
「どういうことです?」
「熱い!」と背中の灸のことを訴える弥太郎に佐那は「それぐらい、がまんしなさい!」と一喝した。

1865年。
薩摩に向かう途中、龍馬たちは長崎に立ち寄った。
そこはまるで日本であって、日本ではないような世界だった。
長崎の町を歩く龍馬は、ふと足を止める。
あれは何だと長次郎に尋ねると、あれは商談をしているのだろうと長次郎は答えた。

龍馬は西郷もいる豪商・小曽根乾堂の屋敷に宿を取る。
龍馬は小曽根の屋敷と、その調度品に目を見張っているように見えた。
「おいになんか用か」と聞く西郷に、龍馬は自分たちをこのまま、この長崎に置いてくれないかと頼んだ。

ここはおもしろいところだ。
「世界」というものを感じる。
だが、西郷は龍馬たちは薩摩で働いてもらいたいのだと言う。

龍馬は言う。
自分たちの技術を、荷物運びに使うのは、ちょっともったいないと思った。
薩摩の仕事は一番にするが、自分たちの食べる分は、自分たちで稼ぐ。
「わしらはどこの藩にも頼りとうない。藩におっては言いたい事も言えんがじゃ」。

侍は藩の下で生きる、藩は幕府の下で生きる。
これまではそれで良かっただろう。
だが、そろそろそんな世の中を変えていいじゃないか。
それに、変わらなければ、日本は異国に飲み込まれてしまう。

龍馬はそう言うと、「西郷さんも、もうそろそろ幕府の下から飛び出してみんかい」と言った。
西郷と、龍馬たちをどこか適当にあしらっていた感の小曽根はその言葉に驚く。

今、諸藩は幕府の許可なしには外国とは貿易ができなかった。
商談が成立しても、幕府が許可しなければ貿易はできない。
幕府はフランスの力のもとに、権力を取り戻していた。
薩摩もまた、力を取り戻した幕府から赴任してきた長崎奉行によって貿易は規制されていた。

その幕府の影響下から、抜け出す。
龍馬の話は西郷と薩摩にとっても、切実な問題だったのだ。
しかし長次郎は、自分たちで稼ぐようになるのはまだ無理だと言う。

だが龍馬は、考えていた。
長次郎は算盤が得意だし、陸奥や惣之丞は英語ができる。
そして全員、黒船さえも操れる技術を持っている。

龍馬は船を借りることを考え、3年前、長崎でグラバー商会を立ち上げて豪商となった貿易商トーマス・グラバーを訪ねる。
愛想良く、英語を散りばめて商談に入る龍馬。
しかし、グラバーの目は冷めていた。

グラバーは月1200ポンドなら、船を貸すと言った。
1200ポンド、つまり3千両。
現在の金額にして、億単位。

端から相手にしていないグラバーの態度に、バカにされたと惣之丞が刀に手をかける。
警護の者が銃を持って、駆けつける。
龍馬は惣之丞を抑えると、相変わらず愛想良く詫びを入れ、立ち去った。

その帰り、龍馬たちは長崎きっての歓楽街、丸山へ立ち寄った。
龍馬が選んだ引田屋は、各藩の藩士が集まっている店だった。
相変わらず女中に愛想良く振る舞う龍馬は、ここに薩摩藩士が来ていることを突き止めた。
そして、長州藩士も…。
長州藩士は、長崎には来てはいけないはずだ。

その頃、梅の間では芸妓のお元が踊っていた。
お元に合わせて、三味線を弾く男。
そして、2人の連れ。

彼らもまた、グラバーから銃を購入する為、ここで商談をするはずだったが、グラバーは来なかった。
その為、津和野藩士と名乗る2人の男は、落ち込んでいた。
「出直す」と、三味線を弾いていた男が言う。
その時、龍馬が座敷に入ってきた。

殺気立つ男たちに、龍馬は幕府の者ではないと言った。
刀に手をかける藩士達に対して、「わしは、おんしらの味方じゃ」と言う龍馬。
三味線を弾いていた男が聞く。
なぜ、味方なのか、と。

龍馬は自分たちは脱藩浪士で、どこの藩士でもないと言った。
そして、自分たちは船を操れることも。
「おまんらは、土佐のもんじゃな」とその男は言った。

「そうじゃ、わしは坂本龍馬じゃ」と龍馬は名乗る。
さらに陸奥や惣之丞もまた、海軍操練所にいたと紹介する。
三味線を弾いていた男は、自分たちは津和野藩ではなく、長州の者だと答えた。

「桂さんが言うとりました。土佐の坂本龍馬という男は信用できる、と」。
そう言った男は、「僕は高杉晋作といいます」と名乗った。
「おお、桂さん!」

江戸で一緒に黒船を見て悩み、戦の焼け野原で身を潜めて逃げた桂小五郎。
龍馬は桂の名を聞いて、喜ぶ。
そして、龍馬は「こん店には薩摩藩士がおるがじゃ」と言った。

またしても殺気立つ男たちに、場所を変えようと龍馬は言うが、高杉は薩摩に怯えたと思われるのは心外とここで話すことを提案する。
黙って聞いていたお元に龍馬は、薩摩藩士と鉢合わせにならないようにしてほしいと女将に伝えてくれと言う。

それを聞くかに見えたお元だが、廊下に出ると玄関に向かう。
驚く女中に、「面倒はごめん」と言うと、お元は帰ってしまった。

その頃、座敷では龍馬と高杉が話し合っていた。
長州が欲しいのは、武器。
軍艦10隻、そして最新式の西洋銃1万丁。
長州には下関という港があり、現在、貿易によって50万両の資金がある。

長州は何をしたいのか。
再び、異国と戦をしたいのか。
龍馬その質問に高杉は、それはないと答える。
武力によって異国を追い払う攘夷は無理だと、長州はつくづく思い知った。

「そうじゃ、力づくの攘夷は無理じゃ」と龍馬。
ならば、それだけの装備を得て、長州は何をするつもりか。
「幕府と戦うつもりじゃ」と高杉は言った。

長州は幕府から独立する。
自分たちで生きていく。
その為に戦う。

幕府のもとから出て行く。
陸奥も惣之丞も、目を見張る。
その時、西郷を初めとする薩摩藩士が廊下をやってくる。

薩摩により、辛酸をなめた長州。
そして長州は、薩摩の船が下関を通れば砲撃していた。
2つの藩は、お互いを敵と憎んでいた。
斬り合いになりそうな殺気が走る。

同じ夜、グラバーはイギリスの商人とある話をしていた。
きみは商売敵だが、同じイギリス人として忠告する、とグラバーは言った。
稼ぐだけ稼いだら日本から逃げろ、と。
もう、この国は終わりだ。

幕府はフランスが操っている。
それを許さないイギリスは、日本と戦をするだろう。
摂津・兵庫から海軍が攻め、大坂に陸軍が上陸する。

そして、京都を制圧、帝を拘束する。
さらに海軍は、海から江戸城を攻撃する。
日本は1日しか持たないだろう。
そして、この危機をわかっている日本人はいない。

殺気立つ長州、薩摩両藩士を前に、龍馬は「やめんか、おんしら!」と怒鳴る。
こんな狭い部屋で刀を抜くなんぞ、まるで鶏同士が喧嘩しているようだ、と龍馬は言う。
今は日本人同士でケンカしている場合ではない。
一番怖ろしい敵は、異国だ。

すると、高杉は拳銃から一発、発射した。
音が響く。
西郷は、高杉の髷を結っていない頭を見て、奇兵隊を作った高杉晋作と見抜いた。

高杉は西郷に、「運が良かったのう」と言い、連れの2人と窓から逃げる。
玄関に幕府の奉行が到着する。
龍馬たちもまた、逃げ出す。

翌日、外国奉行・朝比奈昌広は、引田屋での事件の報告を受ける。
その廊下には、あのお元がいた。
奉行は、お元に今度はもう少し、早く知らせるように言う。
お元は奉行の手の者だった。



高校の時、修学旅行の行き先希望アンケートで、北海道と長崎どちら?と聞かれたことがあります。
私は友人も近くにいたし、会えるかもしれないと思って、「長崎」と答えたんですが、行き先は北海道になっちゃった。
いや、北海道、楽しかったですけどね。

あれから一度も、長崎に行く機会がない。
いえ、九州に行く機会がない!
我ながら、驚き…。

「龍馬伝」第3部。
変わったのはオープニングだけじゃなかった。
これぞ、幕末。
のどかさは完全になくなりました。

さて、主人公を語るのに、一番わかりやすい存在の弥太郎の出番がない…と思ったら、ちゃんとありました。
しかも冒頭、佐那ちゃんまで登場。
穏やかに龍馬への思いを秘めている佐那ちゃんですが、語られる新しい時代、そして古いものになってしまった剣術と、名門・千葉道場の終焉は悲しい。
だけど弥太郎を一喝する様子は、さすが千葉佐那だと思わせます。

そんな佐那に対して、「龍馬はひどい男だ」と言う弥太郎の言葉に温かみも感じます。
こういう風に、結局、女性としての幸せをなくしてしまった人を作ったことも、弥太郎は許せないのでは。
いや~、でも、こんな風に佐那ちゃんが再登場してくれるとは。

そして、語られる長崎での龍馬。
商談、と元商人の長次郎に教えられ、弥太郎に自分より早く武士が商売を始めたと言わしめた龍馬。
だけどグラバーには全然、相手にされていない。

食い詰め浪人がたかりに来た、ぐらいの認識しか持たれていない。
しかも浪人とはいえ武士、プライドだけは高い、と思われている。
この辺り、長次郎と、実家が商家であり、元々無用なプライドがない龍馬は強い。
今の龍馬が持っているのはハッタリと大胆さ、そして先を見越す確かな目。

日本は今、いわば、コップの中でケンカしているようなもの。
一方、広い世界を知っているイギリス人としては、フランスとライバルのイギリスがフランスの協力を得ている幕府、ひいては日本を攻撃することを予測している。
ほんとに、日本は危ないとこにいるんですね。

しかし誰もそれに気づいていない。
だから、日本の先は見えている。
世界を見据える目を持っている人が、いない悲劇。

だが!坂本龍馬、ここにあり!
見ている者に、まさにそう思わせる展開。
何かまだ、海のものとも山のものとも知れないんですが、大物感出してきました。
その龍馬と話ができる人物、2部に引き続き西郷さん、そして高杉晋作登場。

いや、ほんと、日本って危ういところをこういう人材が救ってきたんだなあと思います。
いつの時代も資源のない国、日本の一番の資源は人なんですよね。

さて、先週の後藤象二郎もそうですけど、薩摩と長州。
ここまで対立している者同士が組むというのは、どういう過程で組むようになるんでしょうか。
まとめるのは、まさに龍馬。
これ、興味深い。
そして、その伏線というべきものが、どんどんと引かれて行ってると思いました。

前半を引っ張ったのが半平太なら、その死を超えた龍馬が今度は物語を、歴史を引っ張る。
1部2部の龍馬は一体何だったのか、と思った人、多いんじゃないでしょうか。
でも、この為の1部2部の龍馬だったんですね。
勝先生に導かれて、割りと周りに悩んでいたモラトリアムな龍馬はもう、いません。

そして、お元登場。
彼女、密偵なわけです。
まあ、芸妓さんが密偵というのは、時代劇でよくあるパターンですが、実際、お酒も入って口も軽くなる、いろんな人が集まるということで、探りやすいんでしょうね。

素直じゃないお龍さんが見たら、どうなるかなあ…。
奉行の密偵であるお元が、どんな風に龍馬に惹かれていくのか、これもまた、楽しみです。

そしてもう1人、重要人物、高杉晋作登場。
髷を結わず、ピストルを持つ高杉晋作。
長州ということで、桂さんと交流があることから龍馬を知っていた。

彼もまた、今までにない新しいタイプの人です。
いや、藩士、侍としてすごく新しい。
こうして幕末オールスターを見ると、生き残った人、幕末に散った人がいることをつくづく、思わせられます。
そんな人々に囲まれ、龍馬は私たちが知っている坂本龍馬になりつつあります。
3部の第1回、見応えありました!


「この国を洗濯するぜよ」 龍馬伝 第28回

第28回、「武市の夢」。


龍馬に組み伏せられ、吉田東洋殺しを聞いた後藤象二郎は、山内容堂公に吉田東洋暗殺犯は坂本龍馬だと話す。
報告を受けた容堂公は、酒に酔ったような足取りで立ち上がる。
容堂公は、半平太の牢へ向かった。

「大殿様!」
大殿のお越しに、半平太はひれ伏す。
「坂本龍馬ゆう男がのう、東洋を殺したのは己じゃと言うたそうじゃ」。
ハッとする半平太。

「けど、わしはそんな嘘は信じん」。
容堂公は言う。
「東洋を殺したがは、武市。おんしらじゃ」。

容堂公は、牢に座り込む。
「おんしはほとほと腹の立つ男じゃあ。下士を集めて土佐を攘夷の旗頭にしてもうて出過ぎるのも程がある」。
「私は全て大殿様の為を思うて…!」

そして、容堂公は語りだす。
山内家は関が原で徳川よりこの土佐を、賜った。
だから山内家は、武士として徳川に忠義を尽くさねばならない。
「おんしとわしは、よう似ちゅう」と容堂公は言う。

徳川に失望しながらも忠義心だけは捨てられない。
容堂公とて、帝を心の底から敬っている。
この日本は、徳川幕府のものではない。
帝のものだ!

それを聞いた半平太は、容堂公こそ、天下一の名君だと申し上げる。
この日本を動かしていくのは、土佐の山内容堂公の他にはいない、と。
「おまんは、ええ家来じゃの」と容堂公はつぶやいた。

「おまんが長宗我部の人間でのうて、この山内家の家臣やったら、わしはおまんをどれば可愛がったことか…」。
半平太は言う。
「ありがとうございます。大殿様からそのようなお言葉を…、私は、私は果報者にござりまする」。

そして半平太は告白した。
「大殿様。吉田東洋を殺させたがは私にござります。私が命じ、勤王党の者に斬らせました。岡田はこの件に一切関わってせんがです。けんど、私は以蔵に命じ、攘夷を阻む者らを殺させました。全ては帝の為、日本の為、土佐の為。そして山内容堂公の為」。
「もうええがじゃ、武市。おまんはわしにどういて欲しいがじゃ」。

大殿の言葉に半平太は答える。
以蔵を楽にしてほしい、と。
そして、自分も同じように、と。
だが容堂公は、上士となった半平太を以蔵と同じ扱いにはできないと言った。
「腹を切りや」。

「武市半平太は、わしの家臣じゃきに」。
その言葉に半平太は泣き、「ありがとうございます」と平伏した。
容堂公はまた、酒に酔ったように出て行く。

その頃、逃げたと見せかけた龍馬は、再び土佐に戻り、この前と同じように弥太郎に会った。
またもや、仰天する弥太郎に龍馬は「自分を武市さんに会わせてくれ」と言った。
龍馬の願いに、弥太郎は半平太の牢まで龍馬をつれてくる。

「武市さん!龍馬です!」
「龍馬!」
驚く半平太に龍馬は、「もう大丈夫です。 以蔵も牢から出してくれるきに」と伝えた。
「ありがとう、ありがとう、龍馬。けんどのう、わしはもう、自分で言うてしもうたがじゃ。吉田東洋さまを殺したが、わしや、と」。
「えっ?!」

半平太の言葉に、龍馬も弥太郎も驚く。
そして半平太は、容堂公が来たことを伝えた。
あの、山内容堂公が自分と同じ、この地べたに座って話してくれたこと…。

もう10年も前になる。
龍馬は、 土佐を上士も下士もない故郷にすると言った。
あの時、半平太は、龍馬はとんでもないことを言っていると思った。
だが、まさか大殿様とわしが同じ地べたに座る時が来ようとは…。
「これは奇跡じゃあ。 おまんが起こしてくれた奇跡ぜよ!」

そして、言った。
自分の身代わりを龍馬にさせるわけには、いかない。
龍馬はもっと、もっと大きなことをするべき男だ。
日本を異国の侵略から守り、独立した国にするのが、龍馬の役目だ。

「一緒に…!一緒にやりましょう、武市さん! この国を、日本を一緒に変えるがじゃき!武市さん、生きてつかあさい」。
龍馬は泣きながら、半平太の手を取り、握る。
半平太も、龍馬も、弥太郎も泣いていた。
弥太郎は言う。

「武市さんは、おまんに託したじゃき。おまんに自分の志を成し遂げて欲しい、と」。
半平太は伝える。
自分は日本一、幸せな男だと。
それは龍馬のおかげだと言う。

「坂本龍馬がどうやって日本を変えるがか、楽しみぜよ」。
そして弥太郎にも言う。
「弥太郎、おまんも偉うなりや。誰よりも出世するがじゃぞ」。

「当たり前じゃあ。墓ん中から見ちょれ、武市さん」。
それを聞いた半平太は、もう行くようにうながした。
龍馬と弥太郎は、半平太と今度こそ、最後の別れをした。

以蔵が引き立てられていく。
もう満足に開くことができない、片方の目。
その目に映る、なつ。
以蔵は、「ずっと、ずっと側にいてくれ」となつを抱きしめた。

かすかに以蔵が笑う。
以蔵の目から涙が落ちる。
もう開かない、もう片方の目からも…。
白刃の刃が閃く。
岡田以蔵、斬首。

牢番の和助は、富を訪ねた。
和助は半平太の富への手紙を届け、半平太の最期を語った。
手紙には、富とのんびり過ごそうと約束したのに果たせなかった。
嘘をついてしもうたのう、と書かれていた。
来世があるなら、再び一緒になろう、と。

切腹の日、半平太は髪を切り、ひげを剃った。
そして、白装束をまとうと、和助に別れを告げた。

切腹の場で、後藤象二郎が半平太の罪状を読み上げた。
半平太は静かに聞いていた。
切腹の時。

腹を切り裂いた半平太は、刀を振り上げた介錯人に「待ちや!」と叫んだ。
血が滴り落ちる。
後藤象二郎も息を呑む。
半平太は、介錯を受けず、腹を切った。

富は和助に伝えた。
「私の旦那様は、立派な最期を迎えることができたですきに。私は幸せですき」。
そして、これからは半平太の分まで自分は生きていく、と笑顔で、しかし、目に涙をたたえて伝えた。

龍馬は土佐を出て、惣之丞や陸奥、長次郎らと一緒になる。
海を前に、龍馬は言う。
「わしらは、薩摩に行くがじゃき」。

陸奥は息を詰め、目を輝かせて龍馬を見つめる。
以前、龍馬は西郷のことを小そう叩いたら小そう響き、大きゅう叩いたら大きゅう響く男だ、と言った。
ならば、大きく叩いたら良い。
西郷が龍馬たちに、顔を向けるほど大きく叩いたらいいのだ。

自分たちは、どんな船も操れる。
黒船でさえ。
この腕がある限り、龍馬たちは誰にも縛られんと己の道を行けるはずだ。

「この国を洗濯するぜよ」。
徳川幕府が250年も支配していたこの国には、垢がびっしりこびりついている。
「それをわしらがびっしり洗濯するがじゃ。それこそがわしらのなすべき事ぜよ」。
龍馬は、遠くを見ていた。

この時から、龍馬は変わった。
弥太郎が知っている、お坊ちゃんの、どこか甘い龍馬ではなくなった。




しかし、今年は、本当に大河ドラマ、この時期まで見てます。
去年は北村一輝さんがいたとはいえ、主人公を持ち上げる展開にとっくに脱落してましたから、ええ…。
今年も半平太や弥太郎で、龍馬を持ち上げてるといえないこともない。
だけど、ちゃんと半平太や弥太郎の魅力とか、人となりが描かれているので、主人公以外がおざなりになっている感じがしない。

でも、容堂公が半平太を牢に訪ねる、って大胆な設定ですね。
しかも、牢に座る。
半平太と同じ目線の地べたに座る!
えええー、って、でもこれがこのドラマでは重要な意味を持つ。

容堂公は、初めて、自分の心のうちを人に打ち明ける。
宗林の言うように、自分だって幕府が徳川家がもうダメだ、とわかっている。
でも武士として存在するならば、忠義の心は捨てられない。

身分とか立場にがんじがらめの容堂公。
半平太だって上士だったらどれだけかわいがれたか、と言う。
武士というものに絡め取られている自分と、半平太は同じだ。
ここは明治の世になって、半平太に悪かった…と容堂公が語るという下敷きでしょうか。

雲の上の存在だった殿が、同じ地べたに座る。
そんな日が来た。
龍馬が言った言葉を思い出す半平太。

結局は下士と言う身分から来る野心が、自分たちがこうなってしまった原因でもある。
それを出世で解消せず、身分そのものを解消すると言った龍馬。
龍馬こそ、自分たちが抜けられなかった身分、上士も下士もない、そんな世の中を切り開ける男なのでは?

そんな龍馬が自分の罪をかぶるなんて、そんなことさせられない。
それに、大殿様が自分を認めてくれた。
武士として、これでもう、十分じゃないか?

下士だからというこだわりと戦い続けた自分。
戦いは終わった。
これで誇りを持って死んでいける。

…こんな心境だったんでしょうか?
しかし、何か以蔵がいつも置いてけぼりで、かわいそうなんですよね。
何だか、半平太さんはいいけど…、ってちょっと思っちゃう。

まあ、ちゃんと以蔵と一緒に、って言ってましたけど。
わしの家来として、腹を切りなさい、とのお言葉で半平太、納得の切腹。
半平太の意地は通った、そして、半平太へ忠誠を誓った以蔵の意地も通った。

だけど、以蔵は斬首。
斬首は罪人。
切腹は武士としての、誉れある死。

この時の以蔵の、遠くを見ている目が哀しい。
意地を張り通して終わった彼はもう、目の前のことを見ていない。
見ているのは、唯一、愛したなつのこと。
哀しく、ふっと笑う以蔵。

佐藤健さん、熱演でした。
良かったですよー。

ええ、介錯無用で何度も腹を切ったのは、半平太さんでしたっけ?と前に言いましたが、三回切ったというか、三文字で切ったんでしたね。
右で刃を持ち、左脇腹を刺して右脇腹まで一文字に切るのが一文字なら、半平太さんは三文字。

これ、一番難しいというか大変な切腹の方法らしいですが…、凄まじかった。
血がにじむ切腹シーンなんて、いつごろ見ただろう。
大森さんもほんと、前半、物語を引っ張ってくれました。

すごい、迫力でした。
後藤さまも絶句していました。
象二郎さまも後に、半平太にすまなかった…と語っていたとか。

容堂公も、これを見ると全然、怪物な殿さまじゃない。
徳川家の呪縛から抜け出せない、哀しいお方。
優しいし。
やっぱり、上にいるだけあって、いろいろと見えているし。

半平太の切腹を知った富さんの、かすかな笑みと涙。
武家の女性の鑑というより、富さんには確かな半平太との絆が感じられました。

そして、龍馬。
結局は下士であることが、半平太たちをこういう境遇においやった。
それをまざまざと見せ付けられた龍馬は、覚悟を決めた。

勝先生によって、日本を守る、という方向は決まっていた。
だが、半平太を失ったことで、龍馬はわかった。
今、自分に託されていること。

それは身分やら何やらで、異国の侵略を前にしているというのに、相変わらず争いをしている膠着しきった日本を洗濯することだ。
日本を危うくするのが、固まりきった幕府なら、それも倒さねばならない。
攘夷とか、帝とか、武士の忠義が問題なんじゃない。
日本を守るには、日本を一度、洗うしかない!

龍馬の決心を聞いた陸奥が、目を輝かせているのが印象的でした。
陸奥さん、明治に生きて活躍しますもんね。
富さんもまた、この後、全財産を取り上げられた後、87歳まで長生きされた。
半平太の分もちゃんと、明治の世を見て生きて行ったんですね。
いや、そう考えると、ほんと、意志を持った人がこの幕末を生き残るって大変だった。

しかし、この回を選挙の日に持ってくるって…、わざと?と思っちゃうほど、今の日本とか政治を、政治家の姿勢を考えさせられましたねー。
ここまで、弥太郎と半平太の存在が龍馬を際立たせていたような気がするのですが、ここからは龍馬個人が頑張る!という感じでしょうか。
次回から、歴史でみんなが知っている「龍馬」登場の予感。

舞台は長崎へす。
今度は幕末の英雄がたくさん、出て来てくれそうです。


お前に明日は来ない 「JOKER 許されざる捜査官」 第1回

「JOKER 許されざる捜査官」、第1回。
や~っと見ました。
いや、最近、見るのが遅いです。

現代版必殺かなあ、ちょっと無理ないかなあ…なんて心配していたんですが、大丈夫!
これ、自分としてはおもしろかったです!

8歳の子供が殺される。
子供は縛られ、いたずらにエアガンを改造した銃で撃たれ、怯えきった揚句に殺されていた。
犯人は子供をなぶって殺し、怯える子供を見て笑い声をあげていたのだ。
容疑者として、エアガンから、子供に絡んでおり、恐喝などで補導歴のある男が浮かび上がる。

この男を密告したのは、高校時代、男にいじめられたというまじめな青年・木内。
だが主人公の捜査官・伊達(堺雅人)は、木内に疑問を持つ。
あまり頼りにならない捜査官と思われている伊達は、新しく課に加わった宮城(杏)という女性刑事と組まされる。
宮城の兄は、かつて、伊達と組んでいた刑事だった。

のんきに見える伊達だが、悪夢にうなされていた。
夫婦が縛り上げられ、ドラム缶に入れられている。
その先にはコンクリートミキサー車。
男がいる。

その男に向かって包丁を向ける子供。
だが、男は刺される寸前、子供に向かって銃を向ける。
子供は硬直する。

男が早く刺せ、刺してみろ、両親は助からないぞと言う。
だが、子供は動けない。
「残念、タイムリミット」と言って男は銃をドラム缶の中にいる両親に向け、あっさりと引き金を引く。

コンクリートが流し込まれる。
男が笑う。
両親を殺したのは、お前だと言う。

悪の力を話す男。
ドラム缶を覗き込んでいる男を、今度こそ、子供が背中から刺した。
驚いた男だが、包丁は深く刺されていた。

振り向いた男が倒れる。
血まみれの包丁を落とす子供…。
伊達はそこで目を覚ます。

木内は罪を高校時代に恨みがある男になすりつけようとしていたのだが、工作は伊達によって見破られてしまった。
だが、木内の親が検事局の幹部であった為、彼は罪を逃れてしまう。

伊達は片桐(りょう)という現在事件記者の女性と、三上(大杉漣)という男が経営するバーで会う。
被害者家族に犯人の木内が罪を免れるという話をしたのは、片桐だった。
片桐は、こうなったら「神隠し」に頼るしかないのか、と話す。
「神隠し」とは以前から何件かあった事件で、罪から逃れた凶悪犯が突然いなくなるのだった。

宮城はあらかじめ用意された、木内を全く追い詰められない取調書に怒り心頭、井筒刑事課長(鹿賀丈史)に抗議するが、どうにもならない。
憤る宮城を見た伊達は、井筒に聞く。
本気で殺したい相手はいますか?と。

井筒は答える。
刑事部長。
伊達は笑った。

だが、本当に殺しはしない。
それが人間だ。
殺したら、人間ではない。
化け物になる、と。

井筒は、伊達と宮城の兄のおかげで出世したと言う。
鑑識からはみ出している久遠(錦戸亮)は、伊達とつかず離れずの付き合いをしていた。
犯人の木内は、殺した相手の遺品を取っておき、遺族に送りつけるという癖があった。

被害者の両親は置いてあった箱から、血にまみれた子供の靴を見て、衝撃に泣き叫ぶ。
その様を木内は箱の下にしかけた盗聴マイクで聞き、楽しそうに笑う。
木内は人間の形はしているが、まさしく異形のものでしかない。

法が裁いてくれないなら、自分が裁く。
スパナを手にした父親をまるで阻むように、子供の自転車が倒れる。
「あなたが犯罪者になっては、いけません」。
伊達はそう言った。

宮城は、被害者の両親を心配した伊達に言われ、被害者宅を見張っていた。
そこにやってきた久遠は、被害者の家の明かりで中の異変に気づく。
ショックの余り、子供の母親が子供の描いた絵を前に自殺未遂したのだった。

妻を助けた夫だが、死んだほうが良かったかもしれないとつぶやく。
伊達は久遠の協力で、もう一度、木内の起こした犯罪を洗いなおしていた。
そこで遺品を送りつける箱の中に、アルファベットのブロックが入っていることに気づく。

文字を並べると、「world end」となるようだった。
だが、最後の「d」がまだない。
しかも文字と文字の間は地図によると1km開いており、文字が置かれた地点で事件は起きていた。

動物から子供へと、エスカレートした犯人。
次の犠牲者はホームレス。
エアガンを手に向かった木内の前に、伊達が立ちふさがった。

不敵に笑う木内は、伊達に向かって銃を発射した。
弾丸は伊達の腕をかすめた。
だが、伊達はひるまない。

木内から銃を取り上げ、迫っていく。
捜査官としての伊達とは違う貌に、木内は逃げまどい、追い詰められ、怯える。
「助けてくれ、撃たないでくれ」と哀願する木内。

「お前に明日は来ない」。
伊達はそう言うと、銃を発射した。

被害者の父親に電話がかかってくる。
港で海を見ながら、電話している伊達。
木内はどこにもいなかった。

朝、被害者の母親は微笑み、子供の分まで笑って生きなくてはいけないと言う。
父親も微笑む。
見舞いに来た宮城に、父親は思いをこめて言う。
「伊達さんに、くれぐれもよろしくお伝えください」。
何のことかわからない宮城。

その夜、縛られ、口にガムテープを張られた木内の目が覚めた。
あわてて外を見る。
木内は海の上を走るボートの上にいた。
驚愕する木内。

ボートの行き先はわからない。
運転手もわからない…。
どこに行き、自分は何をされるのか…。
何が待っているのか、わからない…。

その夜、同じく、犯行現場を察した久遠もやってきて、そして木内の消えた場所で伊達の取れかかっていたボタンを見つけた。
バーでは片桐が三上に、木内が「神隠し」にあったと話していた。
片桐の横にいた伊達は、捜査一課の机で突っ伏して寝ていた。
今夜の打ち上げの幹事は伊達だが、伊達は置いて行ってたらふく食って、後は請求書だけ送れば良い。

同僚たちはそう言いながら、行ってしまった。
後には、眠っている伊達だけが残されていた…。



さて、このドラマ、「ハングマン」かと思ったら、「必殺仕置人」でした。
最終的に犯人は殺されるのかもしれないですけど、見たところ、殺されるよりひどい状況に陥らせている感じがします。
「仕置人」の初期の頃とかみたいですね。

「仕置人」で相当の生活をしていた商人が囚人と入れ替えられて、佐渡の地下道で水を運ぶことになる。
主水が言う。

この穴倉で、死ぬまで過ごせ。
来る日も来る日も、水を運ぶんだ。
そして考えろ。

自分のしたことを。
人間ってのは、自分ひとり座る場所があれば、十分だってことをな。
引っぱたかれながら、重い荷物を背負って歩く商人。

これを思い出しました。
木内もどこぞの国で強制労働とか、きちんと刑に服した方が、何倍もマシだった…ということになっていそうな…。

「ハングマン」は、罪をさらすんですよね。
でもこの影の執行人は、さらさない。
しかし、殺しもしない。

被害者から、仕置きの依頼を受けてるわけでもない。
これは正義感からか、それとも何かトラウマがあるのか。
この辺も徐々に描かれそうです。

さらに主人公を取り巻く人間が、なかなかおもしろそう。
片桐、そして三上、ひと癖ありそうな井筒。
伊達が組んでいて殺されたという兄を持つ宮城、鑑識のはみ出しもの久遠。

りょうさんも、大杉漣さんも、おもしろそう。
そして、鹿賀丈史さん。
この飄々として、でも何かをわかって自分をどこか抑えている様子が「振り返れば奴がいる」の主人公の上司の医師を思わせます。

錦戸さんは去年のドラマではちょっと惜しい感じでしたが、今回はとってもおもしろい役。
一筋縄では行かなさそうで、期待できます。
つくづく、俳優というか、素材は活かし方だなーと思います。
杏さんは女性刑事にありがちなうるささはなく、話の進行の邪魔になっていない。

ただ、犯人が木内とわかるのは、その前に逮捕された犯人の盗撮ビデオからというところは、ちょっと無理があったかも。
最初に逮捕された犯人は、浮気現場を廃屋で盗撮されて脅された揚句、不倫相手を殺したんですが、この盗撮された廃屋が、木内が子供を殺した犯行現場だった。

そこで盗撮ビデオにも隣の部屋で起きた犯行の模様が録音されており、声紋鑑定により犯人が木内とわかった…という展開でしたが、ちょっと都合よかったかもしれません。
木内は箱に盗聴マイクを仕掛けるような男だったので、そこら辺、考えた方が良かった気がします。

それと、やっぱり子供が犠牲になるシーンはつらかった。
回想シーンで、子供が殺人を犯さなければならなかった状況もつらい。
えぐい。

犯人の異常さ、残虐さを強調して、被害者家族の嘆きを見せる。
その上で、影の執行人を見せて、視聴者に納得させる。
カタルシス感じさせる。

それはわかるんですが、きついですね。
この犯人、不愉快だし。
必殺シリーズのことを、京極夏彦さんが「必殺の被害者に起きるようなことは、現代劇で見たらつらくなるだけなのよ」と言ってましたが、そうだなあ、つらいなあ…と思ってしまいました。

だけど、やっぱりなかなかおもしろいことは確か。
あの、サスペンスなんかであるでしょう。
犯人が復讐して行って、最後の1人で捕まるとか言う話。

2人やっちゃったんだから、相手も不祥事発覚で破滅しちゃったりはするけど、それにしても最後までやらせてやればー、とか言いたくなる類。
あれを最後までやってくれる感じ、そう思えばいいのかな。

最後に絶望していた被害者の親が、微笑むというところが、このドラマの救いとなっているんじゃないか、と思いました。
突然、愛する者を失い、さらに愛する者がが恐怖と苦痛のうちに殺されたことを知らされる。
何にも関係のない人間からされる、この仕打ち。
ものすごい、いわれのない悪意を感じるでしょう。

さらに、その犯人がのうのうと生きていく。
心の痛みが癒されない。
だから被害者の母親は、子供の部屋にも入れなかったんだと思います。
思い出が、苦痛で終わる、悲しみにしかならなくなってしまう…。

こんな仕打ち受けたら、、人間とか世の中とか、全てを信じられなくなり、絶望すると思います。
いや、人間を憎悪するかもしれない。
この母親の場合は、死を選びそうになりました。
それを伊達が救った…って思えたんですね。

だから「子供の分も笑わなきゃ」って言えた。
でも、あれ、伊達刑事からの電話で、伊達刑事が刑の代行してくれた、ってわかってますよね。
しかし、何を喋ったんですか、伊達さん。

大丈夫なんですか、いくら被害者の親だからって喋って。
いや、そもそも、警察官が影の刑の執行人ってところからしてもう、大丈夫なんですか!なんだからいいのか。

でも「現代」で「捜査官」という枠の中で、十分、物語を楽しめるものになってましたよ!
単に必殺的なドラマが好きなだけか…。

って、もう第2話が放送されちゃったじゃないですかー。
見るのが、遅い。
だけど、引き続き、楽しみに見ます。

第1話をともに見た感じでは、この後の「逃亡弁護士」より自分は楽しめるかも…。
そうそう、堺さん、いいですね。
「逃亡弁護士」と時間帯、逆にした方が良い気がするんですけど、余計なお世話ですね、はい。



テーマ : ジョーカー 許されざる捜査官
ジャンル : テレビ・ラジオ

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俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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