こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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龍馬、佐那さん、そして「仁」

終わってしまった「龍馬伝」ですが、やっぱり龍馬を取り巻く女性といえば、お龍さんなんでしょうね。
なんと言っても、龍馬の妻で、新婚旅行やら手を繋いで歩いたやら、エピソードが残ってます。
でも、「龍馬伝」では徹底して報われない片思いの描写でしたが、私はやっぱり、千葉佐那、さな子さんが好きだなあ。

それで、千葉佐那を演じた女優さん、貫地谷しほりさんも良かった。
あと、緒川たまきさんが「竜馬におまかせ!」で、千葉さなを演じたのが、良かったらしいですね。
千葉佐那さんについては、別ドラマで見てみたいと思う女性です。
NHKさん、お願いできませんか。

実際、龍馬は乙女姉さんに佐那を紹介する手紙を出していたとか。
剣術だけではなく、長刀もできる、乗馬もできる。
乙女姉さんも同じような感じでしたもんね。
お姉さんに、佐那が似てると好意を持ってほしかったんでしょうか。

「龍馬伝」では加尾ちゃんにゾッコンで、佐那には振り向かなかった龍馬でしたが、実際は加尾ちゃんより容姿も良くて、教養があって精神的にも立派と言っちゃってるようです。
まあ。
恋は現在進行形が強い。

うーん、ぜひ、龍馬と佐那の、つかの間の燃え上がる恋を描いて欲しかったですね。
生涯、龍馬をただ1人の人と想い続けた佐那さん。
NHKさん、お願いできませんか。

それで、さな子さんを演じたことがある緒川たまきさんって、元「有頂天」というバンドのボーカルで、今は劇作家のケラさんと去年、結婚してたんですね。
知らなかった。

家には16年前、緒川さんが猫と一緒に登場している雑誌がまだ、あります。
第2特集が猫の特集、というファッション雑誌だったのですが、緒川さんの女性としての理想像は、猫なんだそう。
気高くて、人との距離感が絶妙!と。

緒川さんの他には、なんと杉本彩さんが登場しています。
16年前の杉本さん。
今は妖艶な杉本さんですが、すっごくかわいい!
元々、この方はとってもかわいらしい方だと思っていましたが、この時の杉本さんはまさにそんな感じ。

そういえば、「仁 -JIN-」も続編があるらしいですね。
原作の方は終わったという情報をコメント欄でいただいたので、探しに行きましたよ。
…ないの。

ドラマの方は、全然、謎が解けなかったですね。
包帯男、龍馬の声、現代と過去の交差、ホルマリン漬け。
野風、未来。

最後、ホルマリンの中で、見開いてましたし。
仁は現代に戻ってきていないし、あれをどう、収まらせたのか。
非常に興味あります。
…龍馬関連のドラマから、ちょこちょこ考えた、とりとめのない話でした。



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猫を投影し、現代をシンクロさせた「龍馬伝」

「龍馬伝」が昨夜、最終回を迎えましたが、やはりクライマックスでの選挙速報のテロップはみなさん、相当気に触った様子。
やっぱり、そうでしょう。

「龍馬伝」、昨夜は特に猫の鳴き声と猫の姿が目立ちました。
そういえば「龍馬伝」には猫が結構、印象的に登場したりしてましたね。
いや、私がつい見ちゃうだけかもしれませんが。

私の友人なんか、階下の近江屋の人じゃなくて、「猫心配しちゃったよー」なんてひどいこと言ってました。
いや、関係ないものが巻き込まれるのって、嫌な気分よね、って言ってましたけど。
猫の姿や鳴き声というのは、日常の平穏な時を表しているようにも思えました。

殺気だった時代でも、猫はマイペース。
それが人間世界の争いなど、超然としている存在もあるという暗示なのか。
暗殺の後、猫が鳴いていることで、血なまぐさい世界とそこには変わらない日常を送るものがいることを表現しているのか。
殺伐とした描写と、猫ののんびりした姿と鳴き声のギャップが、諸行無常を感じさせたことは確かです。

そういえば、慶喜様の飼い猫の写真ってありますよね。
明治幕府と事を構える気はないという表現なのか、生来、そういう性格なのか、慶喜様は写真を趣味にして、たくさん撮ってらっしゃるようですね。
慶喜様の飼い猫の写真。
丸々太って、「ああ、これが将軍様の猫!」と思ったのを覚えています。

かわいがられてるなー、とか。
人間社会と関係ない存在が、激動の時代を生きた将軍を癒したんだろうなーとか、思いました。
この猫、いなくなると家来が真っ青になったんだろうな、とか。
「必殺」なんかでは、飼い犬の為に手討ちになる話とかあったと思いますし。

さて、この慶喜様。
大政奉還されたものの、朝廷は去っていく慶喜様を引き止めたんですね。
そりゃもう、ずーっと朝廷は政治に関わっていないですから、この激動の時代にいきなり政権を渡されても統治能力はないわけです。
龍馬が松平様に協力を仰いだように、幕府の側に頼らなければならないところがたくさんあった。

しかし、この物語の中では中岡慎太郎が反発していましたが、それじゃあ大政奉還した意味がないと考えた勤皇の志士側の人間は多かった。
幕府の人間を新しい政治に関わらせちゃダメだ、と主張する。
でも結局、そんなことをすれば朝廷と明治政府はたちまち、立ち行かなくなる。
龍馬と中岡慎太郎みたいな人の考えでしょう。

実権を今までの政府に握らせ、新政府が傀儡となることなく、それでも国を混乱に陥れることない方法。
まず、今までの身分に関係なく、優秀な人材を登用すること。
その人間で議会を作り、政治はそこで行うこと。
旧政権側を徹底して排除するのではなく、あの、三条実美様にだって、松平春嶽様にだって協力していただく。

彼らは都合のいい時だけ徳川に頼り、手柄は全部自分がやったと言って、都合の悪い面は「自民が」「官僚が」と言って自分たちの素人さ加減を人のせいにしたりしない考えを持っていた。
ネクスト幕府なんて作っていた割りに、素人だった、なんてことは少なくともなかった。

内政も大変だが、外交に失敗すれば取り返しのつかないことになりますしね。
僕たち、素人なんで温かく見守ってくださいなんていうのが通じるほど、諸外国は甘くない。
今も昔も、うかうかしてるといろんなもの取られちゃうんですね。

でも手柄は自分のもの、失敗と責任は相手や部下になすりつける。
こんな態度では相手も部下も協力してくれない、動かないのは当たり前。
結果として、国は混乱に陥る。

あ、いけない。
過去の日本の価値観や正義を、現代の基準ではかることはできないと言いながら、つい、現代の政治とシンクロさせちゃった。
いや、現代の価値観の押し付けではなく、これは歴史に学ぶということか?なんて、ぶつぶつと考えたりもしてました。

まあとにかく、坂本龍馬と中岡慎太郎は広い視点で幕府にも協力してもらうことを考えていたようです。
しかし、2人は殺されました。
弥太郎が言っていた、権力争いが激化してきます。
この後、徳川家は完全に排除されるわけですが、容堂様はこれには反対していたんですね。

「必殺からくり人 血風編」で官軍のスパイだった主人公側から描かれたように、真の意味で「新しい」世の中なんて来なかったんですね。
権力者が新しい権力者に取って代わっただけ。
無力な市民はまた、新しい権力者に蹂躙されていくだけ。
江戸市中で薩摩藩士が無法を働くシーンが、ここにはあります。

これが幕府側の怒りとなり、流血の事態を招く。
龍馬が一番、避けたかった事態です。
彼がいれば避けられた事態があり、結果としてバカバカしい権力闘争と流血が起きた。

弥太郎が最後、あんな男はおらん!と叫んでいました。
この辺り、最後の5分でもいいから描かれているとこの叫びが単なるセンチメンタルな叫びではないことが、わかったんじゃないでしょうか。

弥太郎が明治政府からの資金協力への依頼にも、どこかバカにしていたような態度も、わかったのではないでしょうか。
龍馬を失った彼には、今の政府も全部、俗物、自分と同じ俗物に見えたのではないでしょうか。

いや、実際、岩崎弥太郎さんは龍馬の神格性を高める為に、ああいう描写になっただけで、俗物ではない。
傑出した人物に間違いないですけど。
「仁 -JIN-」で仁が龍馬暗殺を阻止しようとした理由も、龍馬という男の重要性も、しっかりと確認できたのではないか…と思います。

関係のないものの平穏な日常が猫に象徴されていたなら、あの後、日本はしばらく激動の時代を迎えることになりますね。
あの後、龍馬たちが移動していた場所に、鉄道が通るような発展もあったのも事実。
こんな風に、つい、現代といろいろとシンクロして考えてしまうのも、今回の大河のおもしろかった点だったのかなーと、思い返しています。


あんな男はおらんぜよ!アイラブユー 「龍馬伝」 最終回

「龍馬伝」、ついに最終回。


最終回「龍の魂」。
龍馬は、今は亡き、武市、以蔵、長次郎たち、懐かしい面々から大政奉還を「よおやったのう」と言われている。
夢だった。
龍馬は、「新政府綱領八策」を送る。

そこで新しい日本のリーダーとなるべき人物を、龍馬は「○○○」と記してあった。
「○○○」とは、誰か?
それを読んだ幕末の志士たちは、いろんな思いに囚われる。
一体、誰にしたら良いだろう?
越前の松平春嶽(夏八木勲)を訪ねた龍馬は、それを相談する。

弥太郎は、あちこち探して、やっと龍馬が潜む近江屋を見つけ、龍馬を訪ねる。
5245両を儲けた弥太郎は、弥太郎が大成功したことを喜ぶ龍馬に対し、浮かない顔をしていた。
そして、「これは、おまんの金じゃ」と言って、その大金を龍馬に渡そうとする。

弥太郎は龍馬が言うことを、そんなはずはないと思っていた。
だが、結局、弥太郎は龍馬の戦にはならないと言う言葉を信じ、銃を売り払った。
結果、大金を得た。
だからこれは、龍馬にやる。

弥太郎は龍馬に「わしは死ぬまで、おまんの友達じゃ」と言われても、どうしても素直に喜べない。
龍馬には、いつも劣等感を抱かされた。
だから反発していた。
しかし、この大きなチャンスに、正しい…と思っているものには抗えなかった。

けれども、龍馬の言う、新しい世の中だって、誰もが喜んで受け入れていけるものか。
新しい世の中を恨む人間もいる。
その怒りは、龍馬に向くだろう。

「まぶしすぎる光が無性に腹立ついうことを、わしは知っとるきにの」。
すると、龍馬が言う。
「世の人は我を何とも言わば言え。我が為すことは、我のみぞ知る」、と。

「わしはの、自分にできることをしただけじゃ。おまんもそうじゃろ、弥太郎。おまんも、おまんの好きなように生きたらええがじゃ。わしのことはもう、相手にせんでええ。
おまんは、この金で世界とつながっとるがじゃ。この世で、岩崎弥太郎ゆう男だけができる大仕事が、おまんにしかできんことが、必ずあるがじゃ」。
あくまで金を要らないと拒絶する弥太郎の懐に、龍馬は為替を受け取らせる。

拒絶する弥太郎だったが、龍馬は「達者での、弥太郎」と笑顔で別れを告げる。
弥太郎は、ふらふらと近江屋を出て行く。
これが弥太郎と龍馬の、最後の別れだった。

海援隊は、英語の辞書を製作中。
龍馬はお龍に、「アイラブユー」と書いた手紙を送る。
「アイはわし、ラブは好き、ユーはおまんのことじゃ」。

「○○○」が誰か。
ことと次第によっては坂本を斬る!
中岡慎太郎はそうした薩摩をなだめようと、龍馬に誰なのか聞きに京都へ向かった。
京都の町で殺気立つ新撰組と会ってしまい、刀を交えることになる。

荒んだ近藤勇は、腕に噛み付いたりする。
狂気の近藤に、原田泰造が似合っている。
中岡、「刀が役に立たん世の中が、もうじき来るがじゃ」と言って刀を捨てる。
しかし、新撰組はその時代にどう生きていくか、答えを持たぬ、と言って立ち去る。

荒れて酒を飲んでいる弥太郎は、京都見廻組に呼び止められる。
その中には、今井信郎(市川亀治郎)がいた。
弥太郎が土佐の者と知った見廻組は、坂本龍馬の居場所を知っているか問い詰める。

「あんな男は殺されて当然ぜよ!」と言う弥太郎。
しかし、彼らの目的が、本当に本気で龍馬殺害であると知る。
それを知った弥太郎は、「あいつは殺されるほどのことはしてはおらんがじゃ」と懇願し始める。

「あいつは、日本のことを考えてやっただけがじゃ。なんちゃあ、悪気はない」。
そして、懐の為替を出して「こん金をやる、殺さんとってくれ!」と叫ぶ。
しかし、大政奉還を成し遂げた龍馬への恨みは深い彼らは龍馬を、自分たちがずっと信じてきたもの、生きてきたものを「無にした」と怒りを爆発させる。
弥太郎の涙の懇願をはねのけ、見廻組は殺意を抱き、雨の中、出て行く。

風邪を引いている龍馬は、近江屋の2階で酒を飲んでいた。
中岡が訪ねてくる。
龍馬のいる2階に来た中岡は、「○○○」は誰かと聞く。
中岡が訪ねてきたことに喜んだ龍馬は、近江屋にいる相撲取りに「軍鶏を買ってきてくれ」と頼む。

軍鶏鍋で一杯…。
相撲取りは快く引き受け、表に出る。
軍鶏を買いに出た相撲取りは、途中、殺気が体から出ているのだろうか、異様な雰囲気を漂わせる一団とすれ違い、思わず見る。

そこで龍馬、大統領選挙の頭があるのか、「志があるもんをみんなで選んで、この中の人らで支えたらええ」と言う。
松平など、幕府側の人間の名があることを、入れてはいけないと中岡はとがめる。
さらにこの中、龍馬が書いた中には龍馬の名はなかった。
中岡がなぜかと聞くと、龍馬は「わしは、役人になる気はない」と言う。

かつて、勝の元で見た地球儀。
龍馬は、地球儀を見せ、これから世界へ出て、新しいことに出会う希望を語る。
いつでも龍馬は自由で、そして身分にこだわりがない。
新しいことに目を向けていく。

いつしか、中岡はそんな龍馬の言葉に引き込まれる。
「わしは泳げん」と笑う中岡。
その時、近江屋では誰かが訪ねて来ていた。

中岡の妻だと名乗る、女性の声。
いぶかしげに思いながらも、戸を開ける。
龍馬と中岡のいる2階からは下の階の音は、何も聞こえなかった。
階下は静まり返っていた。

だが、刺客は突然やってきた。
抵抗する間もなく、刺客は龍馬を刺し、中岡を刺す。
「なぜ、わからんのか」と日本人同士で斬りあうことの愚かさを常日頃、説いていた龍馬が叫ぶ。
刀で見廻組の刃を押さえる。

しかし、致命傷を負わせた確信を持つ見廻組は引き上げて行った。
部屋に飛び散る血。
物が、家具が散乱している。
龍馬が名前を書いた紙が、血で染まっている。

血まみれの龍馬と中岡。
頭を押さえ、自分の血と傷を確認したような龍馬。
部屋の向こうでもがく、中岡に問う。
「わしはこの命、使い切れたがかえ?」

息も絶え絶えの中岡が答える。
「何を言うがじゃ。おまんは、まだまだ…」。
「そうかえ。まだまだかえ」。

龍馬が笑みを浮かべる。
「そうじゃのう」。
それが最期の言葉だった。

中岡が、龍馬の名を叫びながら、窓に向かって這いずっていく。
外に向かって叫ぶ。
弥太郎は龍馬の近江屋を探していた。

そこに、京都見廻組が通りかかる。
彼らの顔に、血がついている。
抜き身の刀にも。

何が起きたか、弥太郎は一瞬で悟る。
殺したのか、龍馬を…。
弥太郎がつかみかかる。
「捨て置け」と弥太郎は突き飛ばされ、雨の路上に転がる。
雨の中、弥太郎は泥まみれになりながら、泣き叫ぶ。

桂浜。
晴れた日に、浜辺にお龍が海を見て立っている。
背後から龍馬の声がする。

お龍とこの海を渡り、世界を旅する。
「アイラブユーじゃ」。
その時、浜の向こうから龍馬の兄と姉の乙女がやってくる。

手を上げて、お龍に呼びかける。
お龍が振り向くと、龍馬の姿はもうない。
かすかにお龍の目に、涙が浮かぶ。

新聞記者に、龍馬のことを語り終えた岩崎財閥の当主、岩崎弥太郎。
「龍馬は能天気で…、自分勝手で…」。
弥太郎の知っている龍馬の数々の面影が頭の中をよぎる。
「人たらしで、女子に好かれて…」。
「あんな、腹の立つ男はおらんかった!」

弥太郎は声を張り上げる。
「わしはこの世で、あいつが一番嫌いやった!あんな男は…」。
弥太郎の目から頬に、涙が落ちる。
「あんな龍は、どこにもおらんがぜよ!」

弥太郎は吐き捨てながらも、どこかで坂本龍馬という男を誰よりも、認めていた。
後に残った明治政府の権力争いなど、弥太郎には興味のないことだった。
明治18年、岩崎弥太郎は50歳で、その生涯を終えた。



えー、関心を持っている人もたくさんいらっしゃるから、テロップって出るんでしょう。
知らせなきゃいけないニュースで、テロップが出るのもわかる。
災害や事故や交通情報。

しかし、「今のニュースとタイミングは、もうちょっと…、気を遣っても良かったんじゃないかな…」と思う時もあります。
今日のテロップはね、龍馬暗殺のシーンで出ました。
以前、人が一生懸命作り上げ、俳優が精魂込めて演じたシーンに入るテロップが悲しいと言っていた方がいますが、それを思い出しました。

さて、最終回「龍の魂」。
弥太郎の回想でもある、龍馬伝。
暗殺犯は、暗殺シーンはどうなるんでしょう?と思っていたら、なるほど、こういう方法で来ましたか。

龍馬は、今は亡き、武市、以蔵、長次郎たちから「よおやったのう」と言われている。
全員、もう、この世にいない龍馬の仲間たち…。
最終回は、もう、暗殺に向かって暗示がされ、そして過去の登場人物を思い出させました。

弥太郎は龍馬が言うことに、反発していた。
だが、結局、弥太郎は龍馬を信じて大金を得た。
いつもどこかで、龍馬が正しいと知っていたから。

だからこれは、自分の力で得た金じゃない。
龍馬の力を借りて得た金。
それは弥太郎が、龍馬にはどうしてもかなわないと思い知った時でもある。
いわば、弥太郎の龍馬への敗北。

弥太郎は龍馬に「わしは死ぬまで、おまんの友達じゃ」と言われても、どうしても素直に喜べない。
龍馬はいつも周りに受け入れられて、そして自分の思うがままに生きていけた。
それに比べて自分は、何もできない。
つまらない、小さな人間だと思い知らされ続けた。

「世の人は我を何とも言わば言え。我が為すことは、我のみぞ知る」。
こう言ってしまえるところが、龍馬の大きさだった。
それが自分にはない、どうしてもそんなことは言えないと弥太郎は思う。
龍馬が金を受け取ってくれたら、弥太郎は救われた。
でももう、これからずっと、成功した弥太郎は龍馬に引け目を感じていなければならない。

だから嫌いだ。
嫌いだけど、認めざるを得ない。
自分が俗物だということも。
光り輝くものは、同時に濃い影を落とす。

その影になる人間は、光輝く存在を憎むことを、弥太郎は身を持って知っている。
あんな男は殺されてしまえばいい…と言った次に、弥太郎は殺さないでくれと懇願する。
人の心は複雑なもの。
嫌い、だけど、好きなんだ、いい奴なんだ、友達なんだ、友達を奪わないでくれ。

武市半平太の名を、ここに記したかったという龍馬は中岡に言う。
以蔵のことも思い出してあげてください…と思ったら、人の為に頑張りすぎてしまう以蔵を活かす方法を考えたり。
まさに最終回、総集編。

相撲取りの人に「軍鶏買ってきてくれ」で、「うわー、来た」と思いました。
確か、下の階にいた人も斬られてしまったんでしたっけ。
相撲取りも、斬られたんじゃなかったかな?
むしろ、狙われたのは中岡で、龍馬がとばっちり、という説もあるようですね。

結局、龍馬暗殺は、自分たちが信じて仕えてきたものを壊した龍馬への恨みでしたか。
新しい時代を築く為、文字通り龍馬は旧体制の憎しみを一身に浴びた。
光の作った影に刺された、ということでしょうか。

新しい時代、刀が通用しない時代への言葉を持たぬという新撰組。
時代に取り残されていく新撰組の、それでも他に生き方を見つけられない哀しさでもあります。
龍馬が斬られた時は、意外にもあっさりした感じを受けました。
そんなものなんでしょうね…。

ただ、今までの登場人物が、龍馬暗殺を聞いてどうしたか、も見たかったですね。
佐那とか、千葉重太郎とか、後藤様とか、容堂様とか、薩摩や長州、新撰組。
特に佐那ちゃんなんか明治でも思い続けている描写が、途中あっただけに。

明治政府への、主導権争い…みたいなところは、感じさせてくれましたが。
弥太郎しか出てこなかったですが、けなげな妻もホッとして暮らしているところも見たかった。
まあ、それだけ今年は1年間、見ていたということで。

弥太郎は龍馬に対して、大嫌いと言うほど、龍馬にこだわりがあった。
大成功したのに、ついに龍馬に優越感を抱くことがなかった。
だから、嫌いと言いながら、誰よりも心の中に龍馬を住まわせていた男かと思っていました。

しかし、最終回の弥太郎は「大好き」を、「大嫌い」としか言えない、意地っ張りに見えましたね。
この変化が1部の頃の、わしが俗物だと思い知らせる「おんしが嫌いじゃあ!」から、認めちゃうと自分が負けちゃうから、というより、「素直に言えないけど、おんしが好きじゃあ!おんしはわしのただ1人の友達じゃあ!」への変化だったらすごいです。
でも、弥太郎の最期の描写がなんだか、あまりに簡単でかわいそうな気が…。

来週から「坂の上の雲」。
うーん、今年の繋がり方は楽しい気がします。
今年は1年見ましたよー。
1年間、福山さんお疲れ様でした!
香さん、熱演でした。

あんな男はおらんぜよ!
アイラブユー、龍馬。
弥太郎の叫びが、そう聞こえたラストシーンでした。


こういうこともあるのが競馬 とはいえ、つらいけど

ぎええええ、ブエナビスタちゃん、1着と思ったら、降着~?!
「エリザベス女王杯」のヒシアマゾンちゃん以来の、衝撃…。

今日は府中競馬場で国際的なGIレース、「ジャパンカップ」が行われた日。
ブエナビスタちゃんのお父さん、スペシャルウィークは武豊騎手を背に、ジャパンカップを勝ちました。
今日、降着により1着になった馬の騎手は、武豊騎手でした。

競馬を見ていると、時にむごい巡り合わせを見てしまうもんです…。
でも、ブエナビスタちゃんはやっぱり、強い!
あの走り、冗談じゃなくて力が飛び抜けてるのがわかる。
抜け出したらもう、後は差をつける一方。

武騎手はこれで、23年連続GIレース勝利ですか?
みんなすごい。

今回、馬券は買ってないし、府中にも行っていないですが、帰り道、みんな暗いだろうなあ…。
責めちゃダメ、誰も責めちゃダメ、こういうことがあるのよ、こういうのが人生…じゃなかった、競馬なのよとかつぶやきながら帰って来たことが、何回あるか。
競馬は人生を象徴している…とか、変なところで哲学的になって帰って来る。

スペシャルウィーク優勝のジャパンカップ時は、「やったああ」って感じで帰ってきて、その後1週間は幸せでした。
こういう時もあるんだから。
全馬無事で、良かったし。
ブエナビスタ、次もまた、お父さんみたいにがんばって!


本日、最終回を迎える「龍馬伝」

「龍馬伝」が、日曜日、何だかんだで忙しくうだうだしていたら、もう最終回。
はー。
今年は、いろんなことがあった…、日曜日。
悲しい。

毎回、見てはいたんですけど、全く書けなくなった。
特に夏ごろ、長崎に行く第3部からは、書いていられなくなりました。
しかし、見てはいた。
1年間、やめずに見続けられた大河ドラマなんて、どのぐらいぶりでしょうか。


最近、大河ドラマでは主人公を引き立てる為に、主人公の周りの人を落とす描写が多いという印象でした。
それから、主人公のダークな面は描写しない。
戦国時代や幕末みたいな時はもう、世の中が変わる時だったし、今までの価値観が壊れる混乱の時代だった。
現代の基準や正義でははかれないものがあり、平和な現代の言い分は通らなかったりしたと思います。

しかし、現代の基準で描こうとすると、当然、あったはずのダークな面って描けないんですね。
だから相手を悪く描き、周りを無能に描く。
主人公は、そうやって持ち上げる。
特に今まであまり知られてない人物が主人公だと、そうなりがち。

まあ、しかたないんでしょうね。
だけど、あんまりやり過ぎると、挫折や苦悩は、ほとんど描かれず、最初から出来上がってる万能の人物となる。
そうなると、物語に入り込めないし、時には主人公に反感も出て来てしまう。

一方、同じ大河で扱い、あれほど取り上げた人物が脇に回ったり、敵方だったりすると、狂犬さながらに描いたりもする。
まあ、これもしかたない。
でも、制作の姿勢が似てると、主人公や時代が違っても話の展開が似てしまうんですね。

その為、何年も年間を通しては大河ドラマを見られないことが続きました。
しかし、今回、「龍馬伝」は最初から見続けることができました。
主人公に「苦労もせず、綺麗事ばっかり言ってる」と思わなくて済んだ。

主演の福山雅治さんが、かなり良いキャラクターだった為かもしれません。
無理なキャラクターに、ならなかった。
龍馬以外の登場人物も、良かった。

主人公、主演を輝かせることだけを考えず、かすむかもしれないことを恐れず、しっかり周りも活かした。
ここが「龍馬伝」の良かったところだったと思います。
結果的に主人公にも、福山雅治さんにも良かったんじゃないでしょうか。
締めくくりの最終回にも、期待しています。


ポイントは、けなげさかもしれない 「ギルティ 悪魔と契約した女」

「ギルティ 悪魔と契約した女」の録画が溜まっています。
しかし、ちらっと先週の終わり頃見たら、何だかすごく切なくなってましたね。

芽衣子は、敵意に対しては慣れている。
でも、優しさには慣れていない。
敵だと思ったら、いくらでも冷酷になれる。
なのに、どうしようもなく、優しさに触れて、自分の閉じ込めていた優しい気持ちが目覚めてくる。

考えたこともなかった。
自分にこんな風に接してくれる人が、現れるなんて。
こんな風に、人を愛することが自分に起こるなんて。

悪魔にそんなものは、いらない。
復讐だけが自分の生きる理由だと思っていた、だから悪魔と契約したのに。
そんな気持ちを持ってしまったら、復讐できない。
もう、後戻りできないのに。

「…優しくしないでください。慣れて…、ないんです」と、真島に訴えた芽衣子は震えていた。
芽衣子は怯えている。
悪魔と契約した女に訪れた恋。

自分に人を愛する資格は、ない。
なのに、真島への気持ちはもう、疑いようがない。
絶対に、この人を巻き込んではいけないと拒絶すべきなのに…。

一方、真島。
心の傷を抱えているがゆえに、芽衣子の心の傷が痛いほどわかる。
追い詰めるべき犯人なのかもしれないのに、憎めないどころか、全力で守りたい、全力で救いたいと思う。
真島は刑事としての正義を、芽衣子への愛の前に貫けるか。

数回前に、切ない表情をした後、意を決したように顔を上げた芽衣子の目は、既に冷酷な悪魔の目。
このあたりの菅野ちゃん、いいですねえ。
真島には、けなげな女の子だし。
こういう二面性をきちんと演じられると、見ているこちらは引き付けられます。

真島は正直、刑事としてはちょっと頼りないと思うんですけど、必死になって這いつくばりながら、「その子に手を出すな!」と声を絞り出す。
この必死さ。
そして、芽衣子に対しては、やっぱりけなげ。

こんな事件で冤罪に巻き込まれなければ、あんな悪魔の笑みをしない女性だったわけです。
かわいく、けなげな女性で、幸せになれた。
けなげ、ってポイント高いですよね。

以前、もうずっと前、野良犬がまだいた時代。
捨て犬っぽい黒い犬が、家の飼い犬と仲良くなって、遊びに来ていたんですよ。
まー、犬が放し飼いになっていてもまだ納得できる、のどかというか、野良犬がいるなんて、危険な時代ではあったんですけど。

それでこの犬、ちゃんと夕方になると、どこかへ帰って行くんですよ。
しかし、夜中、ひょいと外を窓からのぞくと…、玄関の前に座って、勝手に番しているんです!
番犬してるんですよ!
もしかしたら、毎晩してたのかもしれない!

それを見た家族はもう、放置できないと家に入れた。
翌日、獣医さんに連れて行って、検査やら注射やらしてもらって、綺麗にシャンプーして。
飼い主が現れないので、そのまま家の犬になりました。
これ、一番大きかったポイントはけなげさ、だったんじゃないでしょうか。

うーん、「ギルティ」は、芽衣子のけなげさゆえに切ないミステリーになってきました。
人に敵意を向けられ続けた揚句、人に向かって牙をむくようになり、最後には「社会不適応」として処分されてしまう。
理解していた人は、1人だけ。

そんな悲しい結末が、彼女にも待っているんでしょうか。
伊達さーん、JOKER、助けてあげてー、って言いたくなる。
番組が違いますね、はい。


神の領域? クローズアップ現代 「遺伝子組み換え生物」

夜、NHKのニュースを見た後、愛らしい猫が映りました。
猫が愛らしいので、そのまま見てました。
思考が簡単ですね。
その愛らしい猫は、クローズアップ現代「広がる波紋 遺伝子組み換え生物」の番組の猫でした。


餌代が安く済む為に、通常の3倍のスピードで育つサケ。
早ければ年内にも、アメリカで認可される見込みです。
少ない資源で、食品が生産できる技術は、確実に人類の為になるそうです。

伝染病のデング熱に悩むマレーシアでは、子孫を残せないように遺伝子を組み換えた蚊を放つそうです。
デング熱で家族を失った遺族からは、期待されている計画です。
夫をあっという間にデング熱でなくし、なおも蚊が残された家族の命も奪ってしまうのではないかと、ある女性が恐怖を語る。

デング熱をなくしてくれるのならば、遺伝子を組み換えた蚊を放つことには賛成している。
しかし、蚊は何かまずいことが起きても、回収することは、まずできない。
どんな結果を生むかわからないなら、自然の中に放つべきではない、という意見もあります。

さらに、体全体が光るよう、遺伝子を組み換えた観賞用のメダカや熱帯魚もいました。
猫好きなのに猫アレルギーに悩んでいたある人は、10か月前から念願の猫を飼っています。
遺伝子組み換えによって、アレルギーの原因になる物質をほとんど出さない猫ができたそうです。
価格は70万円。

この猫から子どもが生まれても、組み換えられた遺伝子が受け継がれることはないそうで、飼育には何ら、制限はないと言います。
「夫も息子も、アレルギーの症状が出なくなったんです。本当に感謝してるわ」。
飼っている家族は、とても幸せそう。
猫はとても愛らしい。

昔、聞いたんですが、アメリカの化粧品というのは、例えば、ガンガンに紫外線を浴びた肌をケアする。
日本の化粧品は、紫外線を予防する、と。
要するにアメリカはやっちゃったことに対してケアをする、日本は予防する考えがある、と。
そうか、アレルギー体質を治すようにするんじゃなくて、アレルギー物質をなくす方に行ったか。

アメリカらしいといえば、らしい。
そんなことを思いました。
アレルギーだけど、好き。
その気持ちはすごくわかるけど。

すでに342匹の遺伝子組み換え猫が、世界12か国に販売されているとか。
この猫の輸出先はデンマーク、ドイツ。
そして日本でも5匹、輸入されているそうです。

遺伝子を組み換えた猫や犬を販売している会社の、ホームページ。
どんな生物の遺伝子を組み込んだかは、企業秘密。
アレルギーだけど、猫は好き。
そういう人には夢のような猫。

その他、日本では地場産業の養蚕が衰退を続ける群馬県で、産地の復活をかけて遺伝子組み換え技術の導入が始まったとか。
11月4日、地元の農家と研究者が特殊な強い生糸を生み出す遺伝子組み換え蚕を飼育し、糸を出荷することを発表。

カルタヘナ議定書というものがある。
2001年に採択されたもので、コロンビアのカルタヘナという都市名にちなんで、名付けられたそうです。
地球上の様々な生物の生態系のバランスを崩さない為に、作られた議定書。

遺伝子組換え生物など人為的に作られた新しい生物を環境へ導入する場合の適切な管理、評価制度の整備について盛り込まれた、国際的な枠組みを規定している…というもの。
ただし、遺伝子組み換えの審議の対象になるものは、遺伝子組換え農作物や微生物、科を超える細胞融合などで、ヒト用医薬品は含まれない。


今年の5月、アメリカで、「神の領域に踏み込んだ」研究結果が発表されました。
この発表を行ったのは、クレイグ・ベンター博士。
3年前、人のすべての遺伝子を解読した研究者です。

アメリカは80~90年代から、バイオ産業を活発にしてそれによって国際競争力をつけていこうという政策が国策としてある。
その為、特にバイオ産業に関してはできるだけ規制はゆるく、というのが基本的な方針らしい。
だからか、この手の研究が進む。
ヨーロッパは、その点ではアメリカとは違い、バランスをとろうとしている面がある。

ベンター博士は、初めて生物を人工的に作り出すことに成功したと発表。
そして、ベンター博士の研究グループが、自分たちが作り出した人工の細菌を見せる。
彼らの技術を使えば、思いどおりの性質を持った生物が作り出せるといいます。
「どんな生物でも、作ってみせます」。

このアメリカの会社が作った、軽油を生む細菌。
石油メジャーから、およそ500億円の資金提供を受け、将来の量産化を目指します。
さらに大手企業と共同で、化粧品から医薬品まで、さまざまな商品の原料を作り出す人工生物を開発する予定。

「身の回りの日用品を見れば、石油で作られたものばかり。
眼鏡や靴、かばん、ゴム。
それらの原料を、当社が石油に代わって人工生物が生み出すようにしたいのです」。

しかし、細菌の内容をチェックしたところ、なんと生物兵器にも使われる遺伝子と一致したことがある。
それは、炭そ菌だった。
同時多発テロの直後、郵便で議員らのもとに送られ、4人の死者を出した白い粉、その病原菌。
その昔、冷戦時代、旧ソ連を亡命した科学者がこれに感染させられ、死亡したとも聞いた菌。

なぜ、炭そ菌が?
問い合わせると、相手とは急に連絡が取れなくなった。
エボラウイルスやボツリヌス菌と同じ遺伝子配列の細菌の注文が、入ったこともあった。
会社では、危険な病原体のデータと一致すれば、依頼を断っていると言う。

しかしいずれ、どうなるかはわからない。
研究者や技術者が、必ずしも常識や倫理観を持った人間だけ、と言いきれるだろうか…。
もしこうした技術がテロに使われたりしたら、どうなるか。

自然界にある病原体より、もっと毒性の強いもの。
何かの手違いで、これが暴れ出したら、手に負えないかもしれない。
第一、これは絶対に変異しないものなんでしょうか?

蚊だって、これを餌にしている生物がいるでしょうに、それはどうなるの?
生態系に手を出すような真似をして、大丈夫なの?
見ていて、次々、素人の知識のない私の頭に、疑問がわく。

遺伝子組み換え技術は、これからどんどん発展していくと言い、人類はこの技術を使いこなすことが求められると言う。
核や兵器のように…?
完全に使いこなし、支配下におさめるなんてこと、できるんだろうか?
もちろん、病気で苦しむ人がいなくなる、そういう側面があるし、それは否定できないけど。


田中光二という作家の作品に、「天使症候群」という短編があります。
21世紀、人類は自分たちに便利な生物を作り出した。
犬の脳を持つ番犬としてのライオン、危険な作業をする為に高度な知能を持つ猿、海中の作業を手伝う人語を話せる声帯を持ったイルカ。
そして、大人になると取れる、天使のような羽を子供に持たせるようになる。

ある日、1人の女性が産んだ子供は黒い毛に覆われた角と、とがった爪、金色の目を持つ子供だった。
頭の中に声が響く。
天と地、昼と夜、空と海、黒と白、夏と冬、そして光と闇。

物事には必ず相対するものがある。
都合よく、一つだけというわけにはいかぬぞ。
お前たちは、さまざまなもの、そしてついに天使を生み出した。

ならば、私たちがいないのは片手間というものだろう。
お前たちが生み出した天使の数だけ、これから我々が生まれるのだ。
それがこの世の、ルールというもの。

さあ、自分たちの責任を果たすがいい。
しっかり、頼むぞ。
哄笑が響き渡り、女性は失神する。
…終わりです。


見ていて、これを思い出しました。
そんなに都合よく、生命がコントロールできるのか。
研究室の中だけに任せて、大丈夫な問題だろうか。

命を弄ぶようなことにならないよう。
これが神の領域ならまだいい、悪魔の領域にならないよう。
ちょっと怖ろしい気持ちで、この番組を見ていました。

同じく、見ていた人は「人類は滅びる。こんなことやってたら滅びるよ」と恐怖していました。
やっちゃいけないことをやってると、思ったそうです。
…人類を助けるどころか、滅ぼす技術になりませんように。


「す、まなかった…」 「怪」第4作「福神流し」

「必殺仕掛人」の「地獄花」。

この話は何回か必殺では用いられています。
WOWOWで制作されたドラマ、京極夏彦さん原作の「怪」では、4作目の風見という敵方の用心棒の設定に使われていました。
「怪」のストーリーは原作にはない、オリジナル。

福の入っている箱を奉公人だった富蔵(船越英一郎)に、奪われた商人・叶屋幸左衛門(岸部一徳)。
どんどん没落した叶屋は、最後のお金をかき集め、御行の又一(田辺誠一)に今や江戸一番の商人・福乃屋になった富蔵から箱を取り戻してくれるよう、依頼する。

又一は仲間の山猫廻しのおぎん(遠山景織子)、算盤の徳次郎(火野正平)、事触れの治平(谷啓)とともに行動開始。
箱には七福神と同じ、謎の7人がついて箱を守っている。
まず、又一たちは妖怪を装って用心棒たちを怯えさせ、逃げ出させた。

だが、風見一学(杉本哲太)という男だけは恐れず、妖怪が目くらましであることも見抜く。
その風見はおぎんを見て、驚く。
用心棒となる前の風見。
これが「地獄花」の浪人・神谷の設定です。

元は立派な武士だが、浪人となった風見は仕官の口を捜していた。
ある日、念願の仕官がかなったが、それは妻が上司に当たる男に身を任せていたからだった。
それを知った風見に、追い詰められた妻は悲しく叫ぶ。

武士道が、剣術が、忠義が何だというのです。
私が身を任せなかったら、あなたは仕官など叶わなかったのですよ、と。
…ここが無言で斬られた神谷の妻と、違うところです。
妻としては、悲しい開き直りしかないんでしょうね。

その言葉に風見は思わず、妻を斬り、出奔。
金で雇われる用心棒生活を送っていたが、内面は荒みきっていた。
「地獄花」の神谷は死に場所を求め、「仕掛人」を狙う側に雇われるんですが、風見は福乃屋の用心棒になる。
そして、自分たちに仕掛けをする又一の仲間のおぎんを見て驚く。

おぎんは妻に似ていた。
しかし、おぎんはそんなことは知らない。
だから、敵対しながらも、風見は最後の斬り合いでおぎんに加勢し、仲間の用心棒に「貴様、裏切ったな!」と言われる。

おぎんは何故、風見が自分を助けて、他の用心棒を斬っているのか、わからない。
わからないが、おぎんの前の敵は全滅する。
だが、最後に、風見はおぎんに斬りかかる。

「何すんだい!」と叫んだおぎん。
この男が何を考えてるか、おぎんにしたら全然わからない。
武器にしている歯が刃となっている人形の頭が、風見の刀で飛ばされる。
おぎんに刃を突きつけながら、風見はおぎんを斬らない。

風見を睨むおぎん。
背を向ける風見。
地面に倒されたおぎんは立ち上がり、すらりと匕首を抜く。

まるで、風見の背中が「斬ってくれ」と言っているようだった。
おぎんと振り向いた風見は斬り結ぶが、おぎんの匕首は風見を刺していた。
風見は「す、まなかった…」とつぶやいて倒れる。


風見は、ずっと後悔していた。
妻だって本当は風見の為にやったことだとわかっていたのに、妻を許せなかった自分。
あの、妻の無慈悲な言葉は、実は風見が言わせてしまったんだということ。

もう取り返しがつかない。
荒れた生活を送る風見が救われる、唯一の機会。
それが、妻にそっくりのおぎんに斬られることだった。

もう少し、自分に大きな心があれば、浪人でもいい、2人は仲良く乗り越えていけたかもしれない。
「すまなかった」。
おぎんは何のことやらわからなかったでしょうが、風見はやっとそれで安らぎを得た。

杉本哲太さんの名演です。
「仕掛人」の「地獄花」の浪人・神谷は田村高廣さん。
さすがであることは、言うまでもないです!

立派な侍ぶり、その後の荒み方。
死に場所を求める神谷に、互角に渡りあった梅安が哀しそうに一言。
殺すまでもない。
あんた、もう死んでるよ。

しかし、緒形拳さん、田村さんの共演なんて今から考えたら、なんて贅沢。
豪華ですね。
山村聡さんは「仕掛人」でも「助け人」でも元締め役。
なので、「助け人」元締め・清兵衛さんを、「助け人」の文さんが狙うという展開です。
いや、「助け人」が後ですけど。

又一の仲間の算盤の徳次郎は火野正平さんが演じているんですが、七福神を退治する時、弁天が出て来るんですね。
算盤で弁天が目くらましをくらって、くにゃくにゃになるんですが、刀を抜いておきながら、徳次郎「女、斬れませーん」と言って去っていく。

火野さんっぽい感じで、笑っちゃいました。
まあ、弁天だけ残っても何もできないから、見逃してもたいしたことはないでしょうが…。
又一のレーザーポインターから逃げた七福神の1人が、入り乱れての斬り合いでこそこそっと退場しているのが、何かおかしかったです。

この「怪」、「必殺」を知っている人には、いろんなところで思い当たるものがあると思います。
あ、これはあのエピソードから!なんて思って見て、楽しかったです。

さて、「怪」の結末は結局、福の箱を巡って人が争う。
だから、乱闘の末、見事に箱を手に入れた又一は開けて中を見る。
すると、中には小さな福の神が座ってお茶を飲んでいる。

又一は黙って箱を閉め、箱を川に流す。
これは存在してはいけない箱、と言って。

箱の中の福神さまは、作家の荒俣宏さん。
お茶を飲みながら、こちらを見上げてニコリと笑う福助人形のような姿がかわいかったです。
どこ、行っちゃうんでしょうねえ。


あなたは自分が何を望んでいるかわからない方ですものね 「ヤヌスの鏡」原説

宮脇明子さん原作のマンガ「ヤヌスの鏡」。
原作は繊細な画が美しく、不気味で、残酷な物語。
しかし!
大映ドラマでは突っ込みながら、楽しく見られるドラマに!

おばあちゃまのタカさんは、初井言栄さん。
菅井きんさんか、初井さんか、という方でした。
あ、原泉さんという方もいらっしゃいましたね。
原作のおばあちゃんのイメージは、原さんかと思いますが、それだとしゃれにならないぐらい怖くなっちゃうかも。


さて、「ヤヌスの鏡」にはテレビ化記念で「原説」という、番外編が描かれました。
これは、タカおばあさんの若い頃の話。
戦争ちょっと前の話。

タカは1人、病室にいる。
「ヤヌスの鏡」本編。
タカは孫のヒロミに虐待に近いほど、厳しく接していた。
しかし、ヒロミの中にはもう一つ、残酷で奔放な人格、ユミがいる。
様々な事件を起こし、人を死に追いやることもするユミ。

ユミの存在に気づいたタカは、それがヒロミの別人格とは理解できず、不良になったとヒロミを折檻した。
なぜ、いつも信じてくれないのか、自分が自分でわからなくなり、相談しようとしていたのに。
悲しみに沈むヒロミに、ユミはこんなばあさん、あたしがとっとと始末してやると、と囁く。
ヒロミ、あんたには口答えなんかできないだろ?

その時、今まで言いたいことも言えなかったヒロミは初めて、祖母に「嘘つき!」と言い返す。
思わぬ反逆をされ、タカは衝撃のあまり倒れた。
そして、ヒロミは自分の中の怖ろしい人格・ユミに気づき、精神科へ行って消そうとした。
その為、ユミはヒロミを乗っ取り、ヒロミを道連れに母親が身を投げたのと同じ海に落ちた。
止めようとしたのは、ヒロミを密かに恋する進藤さんであった。

ヒロミは松の木がクッションになって助かった。
進藤さんは、あれはユミがヒロミとの心中を図ったのか、それとも下を見た時、松の木があるのを見たのか。
あれがクッションになって助かると、計算した上のことかわからなかった。

ヒロミの母親代わりの叔母が、駆けつけてきた。
病院のベッドの上で、ヒロミは目が覚めかけていた。
ある時はただ、おとなしいだけの少女だった、そしてある時は自由奔放だった自分。
きっとどちらかの自分が本当で、どちらかが鏡に映った自分なのだ、と思う。

もうすぐ目が覚める、そうしたらどちらが本物の自分か、わかる。
ほら…、と目を開けて見えてくる病室の風景。
ベッドの上で目覚めるのは、ヒロミ、それともユミなのか?
「ヤヌスの鏡」本編は、ここで終わっていました。

そして描かれた「原説」。
タカは1人、病室に寝ている。
看護師たちが、お孫さんが北陸で事故にあったと噂している。
本編では、最後の、ユミとヒロミの無理心中?の事件のこと。

倒れたタカは暗い病室のすみに、誰かいる、と感じている。
誰だ?ヒロミかい?
いや、あれは水鏡だ。
異母妹の…。

タカの回想が始まる。
若き日のタカ。
ある日、父親の新興貿易商の会社に呼ばれる。

「あら?これは珍しいわね。顔が二つある」。
ヤヌス神という、裏表のある神様が刻まれたメダルをタカは見る。
まだまだ珍しいものがございますよ、お嬢様もこちらにいらっしゃれば…と勧める秘書に、「物を売り買いする場所に出入りするのは品がないと母に言われました」と答えるタカ。

タカを呼んだのは父で、「異母妹を家に引き取るのでございましょう」とタカは言う。
「何だ、知っておったか。話が早いわ」と笑う父親。
話が早いも何も、人がどう思おうと関係ないのでございましょう?とタカは心の中でつぶやく。

廊下で挨拶しているみすぼらしい格好の娘。
「悪いと思うなら、わたくしの前に顔を出さぬのが礼儀というもの!」と叱り飛ばされ、「お下がりなさい。奥様はお加減がお悪いのでお休みになられます」と側近が異母妹を追い返す。

「ほら、もう、あそこに見えるのは…」。
振り返る異母妹。
ヒロミそっくりの容貌。
父の囲っていた女性から生まれた、異母妹・水鏡。

タカの母親は、没落した華族の娘。
しかたなく、なりあがりのタカの父に嫁いだが、タカの母は父を軽蔑しており、夫婦仲は良くなかった。
その気位の高さは、娘に受け継がれた。

タカの異母妹の名は、水鏡、と書いて、「ミカ」と読む。
いい名前だろう、わしの娘は揃いも揃って美人だと笑う父親。
「こんな娘がいたとは、忘れておったわ」と笑う。
水鏡の母がなくなったので、水鏡は引き取られたのだった。

父親の命令で、タカは水鏡に夕べ仕立てた着物を着せてやってくれ、和歌の本も見せてやってくれと言われると、その通りにする。
あまりにみすぼらしい着物だった水鏡は、その豪華な着物に頬を染め、「夜にはお返しします」と言うが、タカさんは「いいから差し上げるわ。それから和歌の本も」と言う。

しかも「あんなおめかけさんの娘をねえ」
「公家の出である奥様は、さぞかしくやしゅうございましょうねえ」と噂する使用人にピシャリ、「おやめなさい」と言う。
「主人が決めたことを、使用人がどうこう言うことはないでしょう」と。

その気高さと、かばってもらったうれしさについ、水鏡はタカの後をついていく。
「ついてきていたのですか」。
「はい、あの…」と異母妹、「おねえさ…」と言いかける。

すると、バシッという音がして、水鏡は叩かれる。
「着物も、和歌の本も差し上げましょう」。
タカさん、美しい庭園でビシッと言う。
「ただし、わたくしを姉と呼ぶことだけは、絶対に許しません!」

去って行くタカ。
「あんなおめかけさんの子をねえ」。
「こんな娘がいるとは、忘れておったわ」。
屋敷で聞いた、様々な言葉が水鏡の耳に蘇る。

ひとり、涙ぐむ水鏡の前にタカの婚約者・寛治が来てしまう。
「頬が赤い、どうしたんです?」と聞かれ、「何でもありません。何でも…」と答える水鏡。
泣きながら走り去る水鏡は、寛治の心に強烈な印象を残した。

ある日、タカの婚約者として屋敷に呼ばれた寛治は、ひっそりと庭にいる水鏡にそっと何かを手渡しする。
驚く水鏡。
「つらいことも多いでしょうが、がんばってください」。
水鏡の手には、そう書かれた手紙があった。

手紙を手に、涙ぐむ水鏡。
寛治はタカの婚約者、だがタカの父は水鏡にもいい相手を考えていると言う。
タカの母は、「あんな田舎者と結婚させられるなんて」と嘆くが、「小沢の家だけは守らなければならない」と言う。
常日頃、その為には辛抱してくださいとタカに言う。

タカは父親にヤヌスのメダルを半分に割って、ペンダントにしたものを渡される。
もう片方の顔の部分は、水鏡に。
2人で一つのメダルを持っていることになる。

父の言葉、母の言葉、両方にむしゃくしゃしたタカは、父親が渡したメダルのペンダントを床にたたきつける。
水鏡がそれを見ていたが、タカは無視する。
「隠さなければならないものでは、ないけれど」と水鏡はそっと、メダルの片方を拾う。

婚約者の寛治と2人きりになっても、何も話さず、タカは、つんとしている。
「つつじが咲きましたね」と話しかけられても、「ええ」としか答えない。
思わず、寛治、「お嬢さんは僕がお嫌いなんですね」と言う。

しかしタカは、「わたくしは小沢商会の娘。そしてあなたは父が後継者にと選んだ方。何の不満がありましょう」と言う。
「ご自分の家を思ってゆっくりなさってください」、タカ、そう言うとすっと立ち上がり、ぴしゃ、と戸を閉める。
残された寛治は、庭を見ていた。

そして、庭にいる水鏡を見て、自分の境遇を話し始める。
寛治は寺の和尚が、この子は頭のいい子なんです、とタカの父親に頼んで、進学させてもらった青年だった。
成長した寛治は、タカの父親の会社を手伝い、父親は寛治をタカの婚約者にした。

立場の苦しい水鏡と寛治、2人の気持ちは接近していく。
水鏡は鏡に映った自分を見て、「今、私は卑しい顔をしている」と思った。
寛治への気持ちは、水鏡の中で膨れ上がっていく。

水鏡は自分の部屋の前の廊下を掃除する使用人に、自分の部屋は自分でやるから、と告げる。
ずっと自分でやっていたことですものと言う水鏡だが、使用人は、でもお嬢さんは自分とは違う、大金持ちの人と結婚するのですからと言った。
何も聞かされていなかった水鏡は驚く。

相手の名を知り、水鏡は寛治に聞いてみる。
すると、相手の名を聞いた寛治は、「あの方は確か、今年で60になられるはずです」と言う。
「私が16だから、ひっくり返せば61、同じですね」と笑う水鏡。

あの人と私、と、水鏡はタカのことを思う。
二つに割られたヤヌス神のメダル、鏡に映せば同じものなのに、と。
ショックをうけた水鏡は、思わず、母親のいない水鏡を屋敷にやってくれた父親の秘書に相談する。

秘書は会長は言い出したらきかない、相手が60歳なら水鏡を孫のようにかわいがってくれる…と考えたらどうかと言う。
水鏡のような、寄る辺ない若い女性が今、世間に出たら、1人で暮らしていくには、廓のお女郎になるしか手がない。
だが今の自分のどこが、廓のお女郎と変わらないのか、と水鏡はつぶやく。

その足で水鏡はつい、寛治の家に向かってしまう。
雨にうたれ、立ち尽くす水鏡を、戻ってきた寛治は抱きしめてしまう。
水鏡が遅くまで帰らないのを、育ちの悪い娘は…とタカの母が嘲笑う。

気分を悪くした父親は、タカの母親の葬式のことを口に出す。
貧乏公家どもが、あっというような葬式にしてやると言う父親。
そこに水鏡が戻ってきた。
しかし、父親は階段から降りようとして口を開き、突然体を硬くし、表情を凍りつかせて階段から落ちた。

「父上、どうしたのです?!」
「だんなさま!」
父親はそのまま、急死した。

タカの母親の葬式の心配をしながら、父はなくなった。
だが、良い死に時だったかもしれない、とタカは思う。
そろそろ貿易商には、やりにくい世の中になってきていた、と。

タカの父がなくなると、母は床を離れて元気になった。
そしてタカにふさわしい人をと、勝手に元華族の男との見合いをセッティングする。
同じ公家相手の見合いの席、タカは1人、父がいなくなってから頑張って仕事をこなす寛治の姿が目に浮かぶ。

寛治は1人、がんばってタカに会社のことを教えながら、仕事をこなしていた。
疲れて、机に突っ伏したまま、眠ってしまった寛治。
タカは寛治に、上着をかけてやろうとしたが、その行為につい、ハッとして、ひっこめてしまう。

目覚めた寛治は、「すみません、つい」と謝るが、タカは無言だった。
寛治は、懸命にタカに仕事を教えながら、心の中では自分はここを辞める準備をしているのかもしれない、と思う。
そして、水鏡と、この家を出て行く…。

「大学などは功名心の高い俗物の集まり」と言うような、見合い相手。
突然、「帰ります」と立ち上がるタカ。
「そちらから出ては!鬼門です」と言う相手に、「わたくしはこちらから出たいんです!」と怒鳴る。

「わたくしの血の半分は、俗物の父から受け継いだもの。それに目をつぶってもいいぐらい、小沢商会の財産は魅力ありまして?」。
嫌味な相手に言葉をたたきつけ、タカは席を立つ。
母親は仰天し、乳母にタカの後を追わせるが、タカはそのまま家に走る。

その頃、水鏡と寛治は、離れで逢引していた。
「私は鏡の中に、自分を閉じ込めてしまったの」。
抱き合う2人。
だが2人が会っている時、タカが帰ってきてしまう。

離れから話し声が聞こえたタカは、離れにあがり、2人が会っているのを見る。
「けだもの!」
逆上したタカは、水鏡を張り倒す。

「やめてください。お嬢さん!」と止めに入った寛治は、手をつく。
髪も乱れ、逆上しているタカに寛治は、水鏡と自分をこの家から追い出してくださいと手をつく。
タカには本当はすごいショックだったが、口から出る言葉は、「なりません」という事務的な冷たい言葉だった。

「父のいいつけ通り、私はあなたと一緒になって小沢商会を継がねばなりません」。
「駆け落ちしても同じことなんです」と寛治に言われたタカは、寛治の村の生糸を他よりも自分の会社が高く買い取っていることを告げる。
売るものが他にない村で、会社が生糸を買わなかったらどうなるか。
寛治は、何も言えない。

今夜のことは、3人の胸にしまっておけば済むこと。
冷たく言い放ち、タカは出て行く。
水鏡はすぐに嫁入りさせると言われるが、翌日、彼女は自殺を図る。

しかし、間一髪、命を救われ、ついに「恥さらし」と罵るタカに恨み言を言う。
「どうして助けたんですか。あのまま、死なせてくれればよかったのに」。
「あなたは、何でも思い通りになる人なのに、せめて私の願いぐらい」。

部屋を出て行こうとするタカは、後姿で言う。
「私は物事が思い通りになったことなんて、一度もありません」。
それは本当に得たいものが得られない、タカの本音だった。

プライドにがんじがらめの、タカの本当の気持ち。
すると、水鏡の笑い声が返って来る。
「ふふ」。

笑い声に、タカは思わず振り返る。
「そうね。あなたはご自分が何を望んでいるか、わからない方ですものね」。
おだまりなさいと言ったタカに、水鏡は言う。
「自分がどうして死のうと思ったか、わかりますか」と。

「聞きたくもありません!」と叫ぶタカに、「幸せだったから」と水鏡は言う。
タカがどうしても一緒にさせてくれるような人ではないと、水鏡にはわかっていた。
「それでも、あの人は両手をついて、追い出してくださいと言ったわ」。

本当に自分は、幸せだった。
「そのまま死んでもいいぐらい、幸せだったわ」。
タカは幸せそうな水鏡を、見下ろしていた。

水鏡は言う。
「でももう、自殺なんてしない。
私の死を自分のせいだと思って、あの人が自分を責める。そんなことがあっては、ならないから」。

その後、水鏡は嫁入りした。
タカも年が明けて、寛治と祝言をあげた。
寛治はタカの脅迫を恐れることはなかったのだ、とタカは思う。
あれからすぐ、世の中は戦争で生糸どころではなくなったのだから、と。

いろんなことが、起こりましたとタカは言う。
水鏡も寛治も、みな、鬼籍に入った。
タカは、部屋の隅に座っている横顔の水鏡を見る。

そこにいるのは水鏡かい?とタカは、呼びかける。
また、私を笑いに来たのかい?
あの時のように。

私は今でも、お前を恩知らずのひどい女だと思っていますよ。
でも、私は何一つ、自分の思い通りにはならなかった。
何一つとしてね…。

割れたヤヌス神の、メダルのペンダントが蘇る。
タカの頭の中に、水鏡の声がする。
「あなたはご自分が何を望んでいるか、わからない方ですものね」。



若き日のタカは、すごいような美人なんですけど、宮脇さんはこういう迫力ある美人を描くと本当に上手い、綺麗。
タカは人に威圧感を与えるような、元華族の血を引く美しいお嬢さんなんですね。
まあ、身分が違う…という言葉が、当たり前だった時代ですから、しょうがない。
問題はタカさんが、そのまんまずっといたであろうことでしたけど。

元華族の母親に育てられたタカは、気位が高すぎる。
それが素直になれない原因だった。
いや、元々、甘えたり、優しくしたりするのが下手な人なのかな。

家に今いる猫がそうなんです。
クールで独立心の強い奴だなあと思ってたんですが、そうではなく、むしろ甘え下手だったんです。
私は猫はベタベタに甘やかすことにしているので、ベタベタしているんですが、「いいの?」「受け入れてもらえるのかな?」って様子でした。

それがわかると、かわいそうでね。
安心して甘えさせる為、かわいがるしかない。
信用させ、自分が愛されるべき存在だってことに自信を持たせてやろうと思いました。

母親は父親を軽蔑しているけど、華族の考え方がそうなんでしょうか。
小沢の家だけは、守らなければならないから、タカに辛抱してくれと言う。
それに対して、「はい」と言うタカ。

本当はタカだって、自分を殺して生きている。
でもそれは誰にも言えない。
言うことは弱いこと、それは恥だとでも思っているように。

水鏡を叩くタカ。
結果として水鏡と寛治、貧しい苦しい境遇の2人は、とてもインパクトのある出会いをしてしまう。
お互いの苦しさ、そこから来る優しさは、タカにはないものだった。

本当はタカは、寛治に上着をかけてやる優しさを持っているんですけどね。
寛治だってタカのそんな気持ちを見たら、気位の高いお嬢さんの恋心に対して、いとおしいという気持ちを抱かないことはなかったはず。
だけど、ろくに寛治と目を見て、話もしない。
あれじゃあ、寛治にタカの気持ちは伝わらない。

水鏡と寛治が抱き合っているのは、タカにはものすごいショック。
タカは寛治が好きだ、見合いの席でタカは確信したばかりなのに。
あの冷静なタカが、取り乱して水鏡を叩くので、その嫉妬の深さが、衝撃がわかる。

しかし、そこから発する言葉は、極めて事務的な冷酷なもの。
本当はそこまで言うってことが、ものすごいタカにはショックだってわかるんですが。
家にかこつけて、寛治を縛るしかタカにはない。

それでタカは、結局は寛治と一緒になったんですが、この性格だとあんまり幸せじゃなかったでしょうね。
ずっとずっと、寛治は水鏡を愛していると思っていた。
夫に愛されていないという思いを、抱えていたんじゃないかと。
それで、誰にも心の内を言えず、生きてきたんじゃないか。

最後、水鏡はそんなタカを嘲笑う。
タカの見栄、弱さを、隠していたものを水鏡は見透かした。
そうだ、タカは自分が本当にするべきことが、欲しいものが何かわかっていない。
家をねたに、寛治を縛り付けるしかできないのだ、この人は。

自分が追いやったはずの水鏡は、タカの不幸を見破り、嘲笑った。
そして幸せそうだった。
寛治の愛を得て、寛治への思いやりを持った水鏡は、タカが到達できない高みへ行ってしまった。

タカは生涯、水鏡に勝った気がしなかったのではないか。
ヒロミは、水鏡にそっくりだった。
タカがヒロミにつらく当たったのも、実はその辺が原因だったではないか。
そしてタカはあまりに厳しくヒロミに当たった為、多重人格を引き起こし、最後はそのヒロミにしっぺ返しをされたようになった。

タカの娘は母親に反発したあげく、父親のないヒロミを生んだ。
本当に何もかもタカの思い通りには、ならなかったらしい。
でも例えヒロミの母がタカの思う通りの優等生であっても、生涯タカの心は穏やかにはならなかったと思います。
何という人生。

強権的で、何もかも思い通りにしていたように見える老婆が、人生の本当に最後の最後かもしれない時に、「自分の思い通りには何一つならなかった」とつぶやく空しさ。
タカが考えないようにしていた望みは、水鏡のように、優しく、愛されることだったのではないのか。
だけどタカは結局、自分のほしいものに対して素直になり、得ることは生涯、なかった。

しかし、「ヤヌスの鏡」は多重人格ものの話ですが、こうして「原説」を見ると、因縁だったのかなあ…という気がします。


テレビ東京えらい!CMの特集番組 

日曜日に、テレビ東京でCMを集めた番組を放送していました。
もちろんリアルタイムで知らないものもあったんですが、途中からはもう、CMにあわせて歌いっぱなし。
宣伝文句を一緒に言う。
「たんすにゴン たんすにゴン 亭主元気で 留守がいい!」とかね。

♪燃えろ、いい女、燃えろ、ナツコ
今見ると、怖いお化粧ですね。


♪不思議な不思議なピーチパイ
あの、マリアンが持っているピンクのレコード、お姉さんがたくさん買ったからって貰った人いたなあ。
何が入ってたんでしょ?


♪ほぉら春咲小紅 見に見に見に来てね
うわ、これ80年?!
なかったことになってるテクノの時代?


♪いけない ルージュマジック
きゃー、キヨシローと教授のコラボだ!
この2人、プロモーションビデオで一万円札に埋もれていた。
最後に熱烈キッスまでしてた。

私もシングル持ってたっけ。
この後、一万円札回収して数えたけど、一枚も行方不明になってなかったって言ってた。
モデルの唇は金色だし、ヘアスタイルと言い、ニューウェーブの時代だった。


♪君は赤道小町
総立ちの久美子さんだ。
これ、夏に聴くと盛り上がる。

「メイク魂に火をつけろ」とか、この時期になると思い出すなあ。
時期は違ったと思うけど、夏は、特に今年の夏みたいな猛暑だとメイクもどうしても盛り上がらない。
もっぱら、紫外線防御になったりする。

でもこの時期は、「メイク魂に火がつく」人も多いんじゃないかな。
クリスマスコフレも一杯出るし。
街も華やかになるし、イベントも多いし。


♪たかたったかたったか腹立った たかたったかたったかこれしきで
伊東さんでつい、笑ってしまうのは、デンセンマンの記憶かな?


♪鉄骨飲料、鉄骨鉄骨、鉄骨飲料 いずれ血となる骨となる そーれそれそれ鉄骨飲料
鷲尾いさ子は、ドラマ「キツイやつら」が好きだった。


♪飲みすぎたのは、あなたのせいよ
忘年会でこれ、デュエットしたがる某課長さん。
定年退職しましたね。


♪カーカキンキン、カーキンキン
アルバイト雑誌が週2回で、まー、職がたくさんあったこと。
これ、横断歩道渡ってるの、ブルテリア犬だって同僚が教えてくれた。


♪モルツーモルツーモルツーモルツー
和久井さんもかわいいけど、ショーケンの絶妙なリアクション、あれ流してほしかった。
いかにショーケンが巧みな演技する俳優さんか、わかるというもの。


♪ラブ・ビール!サッポロ!
もう、山崎さんも、山崎さん相手に卓球するトヨエツも、最高!
山崎さん、引っくり返ってる~。


ああ、懐かしい。
楽しい。
ヘアメイクやファッションだけではなく、時代が映ってるなあと思いました。

俳優さんとかね、製品そのものの技術とか値段とかいろいろ、興味深い。
昔はCM好きなんて変わってる、って目で見られましたけど、ここに来てCM好きが正当に?趣味として認められたみたいでうれしい。
今、ユーチューブで昔のCMが見られるのも、画期的なことでした。

CM好きが多いこともうれしかったし。
しかし、テレビ東京は「空から日本を見てみよう」といい、最近、私のツボを押さえたような番組がありますね。
個人的に、テレビ東京えらい!と言っておきましょう。