こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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ジャガーは猫科だ 「怪奇大作戦」11話

11話「ジャガーの眼は赤い」。


内藤太郎少年は、野球をしている弟の健二を迎えに来る。
帰る途中にプラモデル屋を見た2人は、ほしいプラモデルを見つけるが3千円という値段に諦めて帰る。
その時、ウルトラセブンの格好をしたサンドイッチマンから、紙にセロファンを貼ったサングラスをもらう。
サングラスをかけると、その向こうにはグランドキャニオンの大地と岩場が広がっている。

グランドキャニオンの中に入った2人は、洞窟を探検。
すると、洞窟の中に赤く光るものを発見した。
赤い2つの光は、ジャガーの目だった。
ジャガーに驚いた太郎は健二を呼ぶが、声は消えて行き、サングラスを外すとそこはグランドキャニオンは消えた。

そして、太郎も消えていた。
太郎は誘拐されたと見て、町田警部と刑事、そしてSRIが内藤家に来る。
だが、健二の話は嘘として誰も信じない。
母親は父親に、健二には嘘を言う癖があるからきつく叱ってくれるように頼む。

野村は健二に、狼少年の話をする。
狼が来たと嘘を言ってばかりいた少年は、ある日、本当に狼に追いかけられたが誰も本気にしてくれず、助けてくれなかったと。
だが健二は嘘は言っていないと言い張る。
町田警部も、子供の言うことを信じないのは、大人の悪い癖かもしれないと考えた。

その時、犯人から身代金要求の電話がかかる。
窓の外を見ろという指示通り、外を見た両親と警察の前にあるはずのない公衆電話が見えた。
驚く大人たち。

翌日の夜、健二は物音がした窓を見る。
すると、窓には太郎が映り、縛り首になろうとしていた。
兄を呼ぶ声に驚いた母親が飛んでくるが、窓には何もなかった。
外にいた刑事も、何も見ていなかった。

その翌日、新聞で作った偽の札を身代金として、太郎の父親は指定どおりの電話ボックスに置く。
警察とSRIが近くの喫茶店で見張っていたが、辺りには霧がかかってきた。
喫茶店の窓の外に赤い光が見えたと思うと、グランドキャニオンの風景が現れた。
それはリアルなものだった。

風景の中に、太郎がいた。
外に飛び出したが、外には日常の風景が広がっているばかり。
三沢は喫茶店の窓から、何か粘着物をはがした跡を見つけた。
その頃、内藤家からは健二もいなくなっていた。

SRIの調査の結果、赤い光はレーザーだと判明。
レーザーを照射し、立体的でリアルな映像、ホログラフィーを映していたのだ。
ホログラフィーの研究所に向かった牧たち。
健二が持っていたサングラスには、ホログラフィーを映し出す為の板が張られていた。

だが、その板は研究所で開発されたもので、そこらで手に入るものではない。
話を聞くと、板は持ち出され、その頃に青木という研究所員が行方不明となっていた。
犯人はその青木だろう。

太郎と健二は、青木の家でホログラフィーの映像を見ていた。
青木はこの研究を進めたいが、理解がなく、資金がないのだと言った。
太郎は父に言って研究費用を出してもらうから、帰してくれと言うが、青木は承知しない。
再び、脅迫電話をかけ、太郎を電話口に出す。

すると太郎は自分のいる場所を口走った為、青木は電話を切る。
兄弟を生かして帰さない決心をした青木。
青木の隙を見て太郎は窓から健二を逃がし、自分も窓から逃げる。
2人は山の中を逃げるが、太郎は疲れた健二にここを動かないように言って助けを求めに走る。

だが、健二は青木に見つかってしまった。
青木に手を引かれた健二は、サングラスをかけさせられる。
すると、崖の先には橋が現れた。
橋からは、太郎が健二を呼んで手招きをしている。

その時、警察とSRIがそこに急行していた。
健二は崖に向かって、ためらいなく歩いて行く。
もう地面がない。

「危ない」。
三沢が健二を抱きしめる。
青木は警察を振り切って、車で逃走した。

橋を渡っていると、橋の向こうで爆発が起きた。
空が爆発の為、暗くなる。
青木はあわてて車を止め、外に飛び出す。
だが、外は何ともなかった。

「しまった!」
青木が逃げた車のフロントガラスには、ホログラフィーを映す板が仕掛けられていたのだ。
自分が仕掛けた映像に、今度は自分が騙された青木は逮捕される。

数日後、健二がまたしても野球のボールを捜している。
野村が聞くと、健二はうさぎだと言う。
嘘だと思った野村だったが、本当に野球少年たちはうさぎを見つけ、喜んで帰って行った。
もう、ジャガーの目が赤いなんてことは、言わなかった。



今はもう、良く言われるバーチャルリアリティ。
この当時、既にこれを利用した犯罪の話を考えていたんですね。
相変わらず、すごい。

でも、ごめんなさい。
この話、私はあんまりおもしろくなかった。
何でだろう?

バーチャルリアリティと誘拐、おもしろくないことはないはずなんだけど。
「怪奇大作戦」は大人の話、子供を主体にしたら、大人はたちまちおもしろくなくなった?
研究資金を狙った誘拐というのは、これまでの確かに犯罪の影に隠れた人間模様よりは予想がつきやすく、浅かったですが。

青木さんに見覚えがあります。
でも、どこで見たのかがわからない~。
見ている間中、もやもやしてました。

関係ないですが、冒頭に出てくるジャガー。
やっぱり、かっこいいー。
しかし、仕草や動きは猫だなあと思ってしまいました。
あんまり乗らなかったせいか、こんな感想。


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何もかもがさすが 「必殺仕掛人」

テレビ埼玉で放送されている「必殺仕掛人」。
本日は3話「仕掛られた仕掛人」。
梅安が美しい女性に引っかかった為、盗賊一味に拉致されるお話。
その前に、仕掛人に蝋燭問屋・辻屋の後妻のお照の殺しの依頼が来ている。

梅安が引っかかったのは、この女性だった。
拉致される梅安。
ところが盗賊のお頭は梅安を解放、その理由は仕掛人は必ずお照を殺してくれるから。

お照は盗賊の引き込みだったのに後妻に収まり、遺産目当てに心変わりしたから、頭に殺しの依頼をされたのだった。
しかも頭の女だった。
惜しいがしかたないと言うお頭は、小池朝雄さん。

いい声してますね~。
悪役にもいい役にも、迫力があります。
引き込み女であり、後妻に収まる悪女お照は弓恵子さん。
1972年、今から39年前、弓さん、妖艶です。

梅安が戻ってきたと知って、金をつかんで逃げようとするが、その時、蔵の戸が開く。
逆光で、誰か見えない。
戸を締めると、梅安だった。
冷徹に、彼女と会っていた時の感情の欠片もない、事務的で非情な仕事をやり遂げるだけの顔。

梅安が自分を仕掛けに来たとわかってお照は、口を塞いだ梅安の手に噛み付く。
一瞬、お照に哀れとも取れるまなざしを向ける梅安。
もしかしたらお照にも、わざと噛ませてやっているのかもしれないと思ってしまう。

弓さんも必死な表情から、哀願するような目に変わる。
これが見ていて、かわいらしいんです。
かわいそうになってしまう。

悪いのはわかっているんですが、思わず解放してやりたくなるだろうな、と。
抱きしめたくなる。
ああ、だから男はこの悪女を許していたんだな、と思います。
これぞ悪女、上手いですよー。

梅安も彼女が崩れ落ちた後、哀しそうな目をする。
しかしすぐに事務的な態度に変わり、サバサバと現場を後にする。
やっぱり、緒形さんは上手いなー。
この頃の緒形さんの、肉食なこと!

そしてこのお照からも盗賊の頭の殺しの依頼が来ていた為、音羽屋は後金を貰いに行き、飛びかかってきた盗賊全員と頭を左内に仕掛けさせる。
頭は梅安を、マヌケな仕掛人もいたもんだと言うが、後金を請求され、既にお照の仕掛けが済んでいることに驚く。
盗賊を全員斬り捨てる左門さん、つよーい。
林与一さん、男前ですねえ。

笹笛を吹きながら登場。
これは精神を統一させ、落ち着かせている為らしいです。
時代劇が良く似合う、端正な男前で、生真面目そうなところが愛妻家・左内にピッタリ。

左内の妻・美代は松本留美さん。
この方、美人ですよねー。
慎み深く、夫にどこまでも従う芯の強い武家の奥方にこれまたピッタリ。
最後に女性でひどい目に遭ったのに相変わらず女性には目がない梅安を見て、母親がいたずらっ子を叱るようにたしなめてる。

表ではみんなに慕われる針医者、ちょっと女性が好きでしょうがないところはあるけど憎めない梅安さん。
家族思いの左内さん。
緊張と笑い、緩急のつけ方、裏と表の顔の使い分け。
見事です。

1時間、あっという間。
ものすごく上質のドラマを見ているということが、わかる。
文芸作品もアート作品もいいですが、こういう娯楽時代劇、作ってほしいですねえ。


牧さんの背景 「怪奇大作戦」10話

10話「死を呼ぶ電波」。


ある大会社の経理課長でもあり、社長の息子でもある村木秋彦がボクシングの世界選手権を見る為、早く帰宅し、チャンネルを合わせた。
だがテレビには何も映らず、代わりにピストルを持った手が現れ、「村木秋彦。お前は死ぬ」と言うと秋彦を撃った。
テレビの中のピストルから赤い一筋の光線が出ると、秋彦は倒れる。
検視の結果、秋彦は心臓に大火傷を負っていることがわかる。

レーザー光線によるものかと思われたが、ピストルほどの小ささの銃からレーザー光線は発射できるほど研究は進んでいない。
SRIが捜査したところ、村木家はそれぞれテレビを持っており、互いに干渉をしないで暮らすようにしていた為、誰にもその時の状況はわからない。
たった1人、お手伝いの女性だけがテレビが映っていなかったことを証言。
どのチャンネルも音も映像もなかったという。

昭彦の父であり社長の村木剛造は、ケチだが身内には好き勝手にさせていた。
その為、村木家以外は敵と言っても間違いはないほど、敵は多かった。
秋彦の捜査は自殺では考えられないことがある為、他殺の方向だったが、剛造はそれに対して不満を言う。
車に乗った剛造が車内のテレビをつけさせると、突然、木魚の音と読経が流れてくる。

画面には5年前、剛造と息子に殺されたと言って、小山内久市という男が映る。
剛造は、あわててスイッチを切らせ、秘書にも運転手にも他言無用と言い渡す。
牧は昭彦の部屋にあったテレビと、ベランダに設置されたアンテナを調べていた。
三沢が、秋彦の事件前、国民生活研究所という団体から来た男が、村木家のテレビをいじったことを突き止めてきた。

牧がテレビを分解し、徹夜で調べたが、原因はコンセントにあった。
このコンセントには発信器がつけられており、テレビのスイッチが入るとそれがどこかに知らされていた。
さらにベランダのアンテナは、特殊な電波だけを傍受できるアンテナだった。
剛造はラジオなら良いだろうとラジオをつけるが、そこからも木魚と読経の音が響き、次は剛造の番だと言われる。

小山内久市のことを、剛造は思い出す。
会社の社長室にいた剛造に電話がかかり、またしても木魚と読経の音がする。
そして声は「まだ元気だな。だがお前の命は明日限り」と言う。
怯えた剛造は、セスナに乗って声の届かないところに逃げようとする。

セスナをも操る電波の危険性を察知したSRIは、剛造を止めると同時に、逆探知をする。
野村がヘリに乗って、剛造を追いかける。
その頃、牧は逆探知に成功し、三沢が牧から知らせを受けて川崎市に急行する。
野村が剛造のセスナを発見したが、様子がおかしい。

剛造の乗ったセスナの無線機からはあの声が聞こえ、セスナは操縦不能となる。
海面まで急降下し、寸前で舞い上がるセスナ。
電波を操りながら、声を放送している男の前には小山内久市の遺影が飾られていた。
次にセスナは背面飛行をし、きりきり舞いさせられた中の剛造は悲鳴をあげる。

「どうだ。殺される気持ちが少しはわかったか」。
「わかった。わかった!許してくれ。どんな罪にでも服す。助けてくれ」。
「ダメだ。地獄で会おう。俺はこの日が来るのを5年間待っていたんだ」。

三沢はあるマンションから電波が出ていると突き止め、マンションに急ぐ。
「木っ端微塵にしてやるぞ」。
そう言った時、三沢が飛び込んできた。

三沢と犯人はもみ合いになり、犯人は光線の出る銃を押さえつけられ、男の操作していた機械に向かって撃ってしまう。
機械は火花を上げて、爆発。
セスナの操縦は可能になった。

男は三沢にナイフを向けるが、三沢は男を壁に叩きつける。
「なぜ、邪魔をするんだ。俺の親父はあいつらに殺されたんだ」。
「だから復讐するのか。だがやり方がまずい。君ほどの才能なら、証拠を見つけて…」。
「うるさい!俺の気持ちがわかってたまるか!」

そう言うと男は部屋の奥に転げるように走っていく。
小さな空間に体を入れると、レバーを上げる。
すると、電波が走り、男はその中で息絶えた。

男の死後、復讐日記と書かれた日記が見つかった。
小山内久市は自分の死を予測し、息子の健二に詳しい状況の説明をした。
予測どおり、久市は村木親子に謀殺された。
そこで健二は遺産の全てを使って米国に留学、あらゆる科学の知識を詰め込んで帰国した。

「牧さんのお父さんも正義の士だった為に殺されたんでしょう…。同じ状況の中で、しかも同じ科学を身につけた牧さんと大きな違いですね」。
的矢所長は町田警部に剛造の有罪を確かめると、検察庁は太鼓判を押したと言う。
「法の裁きで村木を断罪せんことには、な」。
事件が解決したので、SRIと町田警部はさおりの運んできたコーヒーで乾杯する。


お手伝いさんがいる家に帰ってきた秋彦と入れ違いに、妹が出かけていく。
妹の外出に関して、関係ないと言う秋彦。
さらにこの家には昭和40年代当時には珍しく、個人個人でカラーテレビがあったと言われてます。
現在だと個人にテレビがあるのは普通で、それぞれが部屋で違う番組を見ているなんて珍しくないですが、この当時は相当めずらしかったはず。

捜査に来た牧に、「なるべく干渉しないで生活している」と母親が言う。
現在の家族を先取りしているかのような、村木家です。
お手伝いがいるような家なので、それも可能だったんだと思います。
機械製品が発達し、誰でも手に入れられるようになった現在をスタッフはわかって作っていたんでしょうか。

健二は剛造をきりきり舞いさせているうち、マンションを突き止められてしまいました。
死の恐怖を存分に味あわせなければ気がすまなかったのでしょうが、あんなにセスナを操らなかったらトドメを刺せたかもしれません。
こういう復讐劇も、現在のサスペンスに良くありますよね。

今回は、最後に野村が牧の父親に何か事件があったことを話しました。
小山内親子と同じ状況になりながら、牧は小山内健二とは違う道を選んだと。
犯人の気持ちがわかる、それでも犯罪を暴く為に捜査に没頭する為に科学を使う牧さん。
牧さんって人間は、かなりいろんな事情を抱えているのですね。


人間では解き得ない何か 「怪奇大作戦」9話

9話「散歩する首」。

失踪するオートバイに乗っていた男女。
やがて美登利峠と瀬戸滝の別れ道にさしかかり、道に迷ってしまった。
うっそうとした森で日は暮れ、薄気味が悪くなった男女は引き返した。

だが走っている最中に女性が「あれ!」と驚く。
目の前にはニヤリと笑う、赤い口紅の女性の首だけが浮かんでいた。
事故を起こし炎上するオートバイ。
目撃者もまた、首を目撃し、悲鳴をあげて逃げ去った。

「散歩する首」。
最近、タクシーやトラックの運転手に囁かれる怪談話のような噂。
だがそれが事故に繋がっているなら、見過ごすわけには行かない。

その朝、世田谷で変死体が発見された。
解剖の結果、血液からジキタリスという植物の成分が発見された。
ジキタリスの葉には猛毒があり、その成分には強い強心作用があった。
しかし、死因は事故によるものだ。

夜の町を1台の車が走り、中にいる女性・律子はどうやら久しぶりに運転席の男性・星野から誘いを受けたようだった。
「あの女と結婚しようとしたって、そうはさせないわ。私はあなたの秘密を知っているのよ」と女性は心の中でつぶやく。
男性も心の中で、考えていることがあった。

「俺が会社の金を使い込んでいることを、こいつは知っている。俺があの女と結婚することを知ったら、こいつは黙ってはいないだろう」。
「どうして今夜、私を誘ったんだろう?何かあるわ、きっと」。
車は寂しい山道に差し掛かった。
その時、道に男女が飛び出す。

ブレーキを踏んだ星野は「危ないじゃないか!」と言うが、男女はホテルまで乗せて行ってくれと頼む。
ホテルには行かないと星野は断るが、途中まででいい、もうクタクタだと男女は頼み込む。
その時、律子は星野が自分を殺そうとしていると思った。
「私を殺すつもりだわ。この人」。

「止めて!」
走り出した星野のハンドルにしがみついて、律子は「早く!早く乗って!」と男女に向かって叫ぶ。
「良かった」。
「すみません」。

男女が乗り込んでくる。
その先に浮遊する女性の首が見える。
4人は悲鳴を上げ、車は事故を起こして道路から落下してしまう。

その頃、地元の警察官が、事故の発見者の男を連れて、ある廃屋に入っていた。
廃屋には近所のばあさんが寝泊りしていたが、そこに先ほど事故を起こした遺体を運んでくることになっていた。
牧は事故の報告を受けて、現場に向かう。
3人は即死だが、星野だけは脳震盪ですんだ。

ばあさんが花を棺に捧げ、祈ってやっている時、一つの棺の蓋がひっそりと持ち上がる。
警官に連れてこられた星野が、棺の中の律子を見て、むせび泣く。
星野が首を見たというので、牧がやってくると警官が言う。

その時、部屋の隅で何かの音がする。
婆さんはねずみだと言って、殺す。
星野は事故の通報者に律子を妻だとごまかしたが、あとのヒッチハイクをしていた男女の身元はわからなかった。
牧がやってきたが星野と事故の通報者を見て、どこかであったことがあると記憶をたぐる。

「そうだ。あの男だ」。
友人の勤める研究室を訪ねた時、大崎教授は自分の邪魔をする、1人で研究を続けると憤慨しながら、白衣を脱いだ男がいた。
いつか大崎に土下座させてやると言って、出て行った男は峰村という男だった。
良質の米を取れる作用があるガスの研究をしていたのだが、峰村は米や野菜などの成長を促進する成分をある植物から見つけた。

それは強い強心作用を持っていた。
だが、大崎教授はその利用に反対した。
それは何かと尋ねると、友人は「ジキタリス。福寿草さ」と言った。
ジキタリス。

牧は峰村の消息を調べてくれるよう、的矢所長に頼む。
その時、階下の棺がひとつ、空になっていた。
「死体がない!」
念仏を唱えるばあさんに、牧はずっとここにいたんでしょうと聞くが、婆さんは念仏を唱えるばかり。

警官はずっと外で見張っていたが、人の出入りはなかったという。
物音に牧が戸を開ける。
注目した全員が、目を見張って驚く。
戸の外には、女性の首が浮かんでいた。

遺体置き場から消えた律子の遺体機械に繋ぐ男が、いた。
脳波が記録されていく。
男は律子のマスクをし、何かのガスを送り込む。

それは峰村だった。
事故現場の発見者が峰村だったのだ。
「生きるんだ。生き返るんだ」。
言いながら、峰村はガスを送り続ける。

しかし、脳波の反応はない。
「ちくしょう、生きるんだ。生き返るんだ」。
峰村は機械のつまみを、最大限にする。

的矢所長が峰村の消息をつかんだ。
牧から事故の通報者が峰村だと聞いた的矢所長は、自分も現場に向かう。
サイレンが鳴り響き、牧と星野が峰村のいた部屋に入ってくる。
律子の遺体に取りすがって泣く星野。

暗い隣の部屋に入った的矢所長は、暗闇に浮かび上がる牧の首を見る。
それは鏡に映ったまきだった。
電気をつけた的矢所長は牧を見て、「これだな。首のしかけは」と笑う。

次の部屋に入った牧は、浮いている女性の首を見て驚くが、すぐに首を叩き落す。
首は人形だった。
物陰に隠れていた何者かが牧に殴りかかるが、的矢所長は逃がさなかった。
牧が髪の長い女性を捕まえ、変装をはがすとそれは峰村だった。

「いつまでこんな、狂った実験を続けるんだ」。
「何の為だ」。
「死人が生きる為だ。人間が永遠に生きる為だ」。
「その為に次々と事故を起こし、遺体を盗んだのか」。

峰村はジキタリスを使った実験をする為、首を使って運転者を驚かせて事故を起こし、遺体を盗んでいたのだ。
「医学者でもないお前が、人間の生と死の間に立ち入ろうとしたのか。怖ろしいことだ」。
牧が峰村に覚えているかと聞くと、峰村は覚えていた。
大崎に研究所を追い出された日にいた男だ、と。

星野が遺体に取りすがって泣いていると、律子の手が動いた。
それを見た星野は絶叫する。
律子は起き上がり、峰村を指差すとまた、がくりと首をうなだれた。
「勝った!勝ったぞ!大崎に勝った!今度こそ、大崎を土下座させてやるんだ!」

笑いながら峰村は連行されていく。
検視の結果、律子の死亡時刻は、やはり昨夜の事故の時間だった。
人間の生と死の間には、人間の知恵では解き得ない何かがある。
何かが。

死んだ律子の肉体から、殺されるという恐怖だけが蘇ったのか。
人間の命を大切にするということは、峰村のような行為ではないと牧は言う。
野村は首のトリックがわからないと言うと、的矢所長はさおりを呼ぶ。

暗闇の中で、さおりの首が浮き上がる。
それは鏡を使って、さおりの首だけを暗闇に映すトリックだったのだ。
おどける牧に、SRI全員が笑った。



交通事故は39分に1人死亡、41秒に1人負傷者が出ると劇中で言われてました。
車がどんどん、増えてくる時代だったんですね。
冒頭でオートバイの男女がドライブインらしきところで、「プラッシー」というジュースを買います。
あったかもしれない、「プラッシー」。

ドライバーが宙に浮く首を目撃するという、今でも聞くような怪談話。
見ていましたが、これも全然子供に向けて作ってる話じゃないですね。
会社のお金の横領、微妙な関係の男女、殺されるかもしれないと危惧する女性。
サスペンスドラマみたいです。

遺体を一応、廃屋に安置するとか、時代ですねー。
ねずみが出て来て、おばあさんがそれを追い払うんですが、そういうところも時代を感じてしまう。
さらにこのおばあさんが、コワイ。

危険な毒物を含んだ植物を利用するしないで、教授と対立して研究所を出た男が、見返すために研究を重ねる方法として事故を起こしていた。
事故のトリックと、死体を生き返らせる実験と、科学2本立て。
もっとも首のトリックは簡単でしたね。

人間を生かせる為の実験で、人を次々と殺す矛盾に気づかない。
命を大切にする為の研究が、いつの間にか教授を跪かせる為の研究になってしまっても気づかない。
律子さんを本当に殺そうとしていたのか、わからないけれど、犯罪者である星野。
今回は出てくる男性が、エゴイストでした。

星野は本当に悲しくて、後悔して泣いてたんでしょうか。
しかし死人に起き上がられて指差されたら、もうこれまでどおり、暮らしてはいけないと思う。
ジキタリスのガスと律子の恐怖が結びついた、偶然の結果だったんでしょうか。

浮遊する首と背後の犯罪は解決しましたが、なぜ律子が起き上がったのかは謎のままです…。
人間の生と死は、人間には解き得ないということでしょう。
このドラマは怪奇現象を扱っていますが、全てを否定する科学万能主義でもない。
怪奇と科学が、非常に良いバランスを撮っているドラマだと思います。


ト伝、見参 「塚原ト伝」最終回

「塚原ト伝」最終回。


一つの太刀を習得した新右衛門の名声は、ますます諸国に轟いていた。
たくさんの武芸者が腕試しに訪れが、初めて見る、異国から来たような武器でも、新右衛門を傷つけることはできなかった。
養父は新右衛門に家督を譲りたいと言うが、新右衛門はまだその時期ではないと断る。

鹿嶋では物忌さまである龍子の跡継ぎとして、幼い物忌が決まった。
玉造常陸介は殿に重用され、その主張の通りにことが運ばれていた。
先代からの家臣は、玉造に反発を深めていく。

ある日、鹿嶋に山本勘助が現れた。
軍師を目指す勘助は、自分が仕えたいと思う主人を求めて、諸国を訪れる予定だと言う。
既にあちこちの国を見て来た勘助は、山口にも寄っており、平賀家の様子を伝えてきた。

鹿乃は家臣から婿を取り、男子を産んでいた。
一緒に諸国を回らないかと言われる新右衛門。
だが供をした左門はそろそろ、嫁を娶り、この地に落ち着きたいと考えていた。

そんなある夜、左門と夜道を歩いていた新右衛門は玉造が刺客に襲撃されているところに出くわす。
新右衛門の姿を見た刺客は、早々に退散して行った。
心当たりを聞かれた玉造だが、敵が多すぎてわからないと言う。
しかし、玉造は自分の主張を見直す気は全くなかった。

軍備を増強して、敵に備える。
必要あらば責める。
この戦乱の世に、それ以外にどうやって国を守っていくというのだ。

だが新右衛門は、左門に言う。
玉造の言葉には理はあるが、義がない。
それでは人は、ついてはいかない。

やがて、1人の男の死体があがる。
その男が玉造を襲った刺客であることに、新右衛門は気づく。
さらに男に残された太刀筋から、新右衛門は師匠の松本備前守が斬ったことにも気づいた。

備前守を訪ねていくと、それは新右衛門の養父・土佐守の計画だったことを打ち明けられる。
暗殺が失敗に終わった為、備前守が刺客を殺したのだった。
さらに備前守は、新右衛門に土佐守側につくか、玉造側につくかと聞かれる。
新右衛門は迷った。

迷う新右衛門の元に、真尋が現れる。
それは、「平法の剣こそが、鹿島の太刀」との言葉だった。
物忌さまが、新右衛門が迷った時に伝えよと言った言葉。
新右衛門の心は、決まった。

授かった剣で、「平法の剣」という鹿島の太刀を伝えたい。
備前守に申し出ると、戦わずして勝てるのかと言われ、師弟はその言葉を証明する為に真剣で立ち会うこととなった。
心配した左門が、駆けつける。

左門が見守る中、師弟の対決は始まった。
かつて、人を実際に斬ったことがある備前守の剣の凄みに、新右衛門は怯んだ。
備前守の刃が、新右衛門をかすめる。

新右衛門には、当たらない。
そして、新右衛門は目を閉じた。
次の瞬間、備前守の額で新右衛門の太刀は止まっていた。

新右衛門が止めなれば、斬られていた…。
勝負はつき、師弟は互いに礼を尽くして挨拶をする。
見守っていた左門が、安堵する。

備前守は新右衛門に、新しい流派として「新当流」を興すことを勧める。
そして新右衛門の旅立ちを後押しした。
これから鹿嶋が戦乱に巻き込まれようとも、自分が戦死しようともそれは自分の定め。
「新当流」を広めるまでは、戻ってきてはならぬ。

新右衛門は名を「卜伝」と改めることを、備前守に告げる。
そして左門を伴い、勘助と共に諸国を回る旅に出る。
この後、鹿嶋は内乱に陥り、備前守も戦死する。
しかし、ト伝は鹿嶋の剣と、「新当流」を世に広め、剣聖として名を残したのだった。



強くなればなるほど、迷って行く。
そこで物忌さまの「試練が次々と襲うであろう」「だが神がついている」が生きてくる。
技では、強さでは超えられない精神の危機。
その時、救ってくれるものこそが、鹿嶋の神であった。

強さだけが剣ではない。
それが鹿嶋の太刀。
悟った新右衛門は人々を救う剣として、鹿嶋の太刀を広めに旅に出る。
しかしそれは、強さを追求した最初の旅とは意味が違う。

うまくまとまりました!
でも、7回目で最終回とは、短い!
倍ぐらいはかけて、見たかったですね。
そうしたら堺さんの初々しい青年から、悟りを開いた剣聖までがじっくり見られたのに。

人にはそれぞれ、運命と言うものがある。
何が自分たちに起ころうと、戻って来るな、それは自分たちの運命。
新右衛門は新右衛門の道を、行くのだ。
そう言った備前守は、さすが師匠でした。

初め、殺陣などから、娯楽特撮もの、神話が入っているものとして割り切って見る時代劇かと思ったこともありました。
そうしたら、ちゃんとしたメッセージが入っている時代劇だった。
短い間でも、こうして見ると新右衛門が最初とは明らかに違いますし。
自然に変化を演じた堺さんは、やっぱり良い俳優さんです。

キャストがみなさん、ハマっていて、うまかったですね。
公方さまの本田博太郎さんが出ていたので、絶対見なきゃ!と思っていたのですが、出番が終わった後でも興味が薄れることがなかった。
鹿乃も最初は現代の価値観を押し付けてくる為のキャラクターかと思ったら、最後は切なかった。
家臣から婿を取り、幸せそうでよかった。

左門役の平さんも、これからまた時代劇ができそうな俳優さんで楽しみになります。
時代劇のベテラン俳優さんで脇を支えて、何とか見せる…というのではなくて、若手の俳優さんでしっかり作っていたのが良かった。
ト伝という剣豪、剣聖を題材にしているのに、スーパーヒーローにしないのが良かった。

とにかく主人公は最初から何でもできて、何でも正しくて、周りから崇められている。
その為に周りが愚かで、邪悪。
こんな作りではなくて、本当に良かった!
それに、時代劇はまだまだ作れるし、まだまだやれる俳優さんも育てられる。

ト伝と名乗り、左門と勘助と旅に出たことですし、続編をできたら作ってほしいです。
良かった~。
日曜日が楽しかったですよ。


気弱な男が人間以外のものになって 「怪奇大作戦」8話

8話「光る通り魔」。


ある夜、北斗公団の清水課長が林陽子という女性社員を送って来た。
清水課長は陽子に、失踪した山本信夫から何か預かっていないか、問いただす。
だが、陽子は山本からは何度聞かれても何も預かっていないし、大した付き合いはないと答えた。

アパートの階段を登り始めた陽子だが、清水課長は突然、苦しみ出した。
清水課長が倒れ、陽子は清水課長の体から這い出した光る物体を見て悲鳴をあげて逃げる。
道路を光る何かが這っている。

町田警部は清水課長について調査するが、課長の評判は良く、人間関係のトラブルも抱えていない。
一緒にいた陽子が怪しいのではと思った町田課長だが、聞き込みをされた青木は否定する。
なぜなら、陽子は青木のフィアンセだったからだ。

陽子のアパートの前を牧と野村が調査する。
牧に陽子は、何か光るものを見たと言う。
マッチに火をつけて見せる牧だが、陽子はもっとボォッとしたものだと言う。

そして同時に、卵の腐ったような臭いがしたと。
さらに陽子は前日にもその光った物体を、窓から見ていた。
物体は、何かを見上げるようにしていたらしい。

牧が野村に命じてスプレーをすると、燐の反応が出る。
「燐光人間…」。
牧はつぶやく。

町田警部は陽子を取り調べるつもりでいたが、清水課長の死因は亜硫酸ガスだと判明する。
「硫黄だ」。
これで卵の腐ったような臭いの説明もつく。
しかも硫黄は、阿蘇のものだった。

その日、現場で作業をしていた青木に、光る物体が近づく。
物体に捕えられた青木はもがき苦しみ、その拍子に青木が吊り上げていた資材が落ちて来る。
青木は殺されかけ、危うく大事故になるところであった。
どちらも陽子に関係があることから、町田警部は痴情のもつれとにらむ。

だが、公団の社員で山本信夫という男が3ヶ月前から行方不明になっていることがわかる。
山本は故郷の熊本に帰ったきり、行方がわからない。
牧が会社で聞き込みをすると、みな一様に、日曜でも出勤するような山本を揶揄する答えが返ってきた。

「お昼まで気づかなかったらしいわ。今日はみんな遅いなあって」。
九州男児にしては、ちいと気が弱いなあと1人が言うと、全員がはじかれたように笑った。
陽子だけが、目を伏せるのを牧は見ていた。

SRIに戻った牧は、的矢所長に報告した。
牧は、山本信夫の失踪と、今度の事件は繋がっているような気がする。
「あまりにも平凡な男なんですよ」。

そう言うと牧は視線を落として、寂しそうにふっと笑う。
「…みんなから、バカにされててね」。
そして唇をかみながら、うまく言葉が見つからないというように「つまり…、なんてのかな」と言った。
的矢所長が「犯罪などまったく犯しそうにない?」と言うと、「そうなんです!」と答えた。

牧は野村と共に山本のアパートを訪れ、部屋に大家と共に入った。
大家も二ヶ月も音沙汰がなくて、そんなことは山本にしては珍しいという。
部屋には、山本が陽子に写真を切り抜いて自分の隣に並べた写真が見つかった。

その時、写真たてのガラスに天井に何か光るものが映り、硫黄の臭いがした。
牧が上を見ると、光る物体が上から落ちて来る。
大家が悲鳴をあげる。

牧は大家を避難させ、野村を呼んだ。
入ってきた野村も、硫黄臭に気づく。
野村が消火器を持って吹きかけると、燐光を放つ物体は去っていく。

牧は再び、陽子の部屋を訪れた。
山本が飾っていた陽子との写真を渡し、「燐光人間を操っていたに違いない。犯人は山本なんだ」と言った。
だが、陽子は首を横に振る。
部屋の奥には、青木がいる。

「山本さんは犯人じゃないわ」。
「何ですって」。
「死んじゃったんですもの、彼」。
「えっ」。

そう言うと、陽子は届いていた遺書を渡す。
「遺書です。自殺したんですわ、阿蘇山で」。
山本は阿蘇で自殺したのだ。
「なぜ黙っていたんです」。

「そんなことは彼女の勝手だろう」。
青木の言葉に、牧は「あなたは黙っていてください」と言う。
「係わり合いになりたくなかったんです。だって山本さんとは、何の関係もないんですもの」。

陽子の口調は冷たく、迷惑そうだった。
「勝手にそんなもの送って寄越すんで、迷惑しているぐらいだ」。
青木がそう言った時、燐光が部屋に向かって来た。

外にいた野村がクラクションを鳴らして、知らせる。
座っていた青木も怯え、飛びのく。
陽子の目が恐怖に見開く。

燐光が窓を登ってやってくる。
牧はクッションを使い、燐光を窓の外に落とす。
落とされた燐光は、マンホールの中へ消える。

牧は的矢所長と、山本の故郷に向かう。
山本の父親に会う。
父親は仕事場で、燃え盛る炎を前に話をした。

ふた月になるが、信夫は死んだ、と。
阿蘇の見張り所の人間が来て、火口の中から山本のメガネを拾ってきてくれたと言った。
「息子がなんばしよったですか。あがんまじめか、息子が」。

牧と的矢所長は火口の見張り所に行くが、見張り所の人間は確かに届けたと言った。
だが、とてもあんな場所では遺体はあがらないと言う。
2人は火口付近に、行ってみた。

的矢所長が注意する中、牧は火口付近まで降りてみる。
「バカはよせ。あんなにガスが充満しているところに」。
だが牧は火口に近づいてみる。

生と死を隔てる壁。
確かにこの崖を引き返すことは、不可能だ。
しかし、本当に不可能なのか。

もし、マグマの中央に落ち込めず、途中の岩場に落ちたとしたら。
死の苦しみに耐え切れず、毒ガスと熱気に耐えながら這い上がってきたとしたら。
その執念は彼の体をも、作り変えて行ったとしたら。

牧の想像の中で、崖を這い登ろうとする山本がどんどん崩れていく。
考えられん…、人間が生物でなくなってもなおも生きるなんてこと。
しかも、有史以前の地層をむき出しにした、この地獄の底から。

有史以前…。
そこまで考えて、牧はふと思う。
「そうか、有史以前、全ての動物がこの地獄の熱の中から這い上がっていったのではなかったのか」。

その夜、またしても陽子の部屋に燐光を放つ物体が這い上がってきた。
陽子が絶叫し、見張っていた野村が駆けつける。
野村はハンガーに乗った燐光を、外に放り出した。

SRIで牧は、ねずみの細胞を放射能で分裂させ、阿蘇の硫黄を加えたものを見せる。
新しい命の創造…。
燐光人間だって考えられる。
しかも頑強な執念を持った、生き物として。

「山本さんが生きているですって?」
牧の話を聞いた陽子はばかばかしいといった表情を浮かべ、青木は笑い飛ばす。
「あなたが毎晩見ている燐光人間は、山本です」。

牧は山本は、阿蘇の噴火口から信じられない力で這い上がってきたのだと言う。
あの気弱で臆病だった山本が、どうしてそれほどまでにして、陽子に会いに来るのか。
牧は、陽子に山本から何か約束をしていないかと尋ねる。

何か置いて行ったものは、ないか。
陽子は否定するが、ふと、一度だけ山本が訪ねて来た時のことを思い出す。
ひどい雨の日だった。

山本は陽子のアパートを訪ねて来た。
そして陽子に、1冊の本を渡した。
明日から故郷へ行くと言っていた日だった。

その本のことを聞かれた陽子は、すぐに本箱に放り込んだので見ていないと言った。
山本に渡された本を開くと、そこから鍵が出てきた。
陽子に鍵の事を聞くと、知らなかった。

鍵は東京駅西口の、コインロッカーのものだった。
ロッカーを開けると、中からたくさんの書類や領収書が出てくる。
公団の汚職の証拠だった。

新聞は公団の汚職が「山本メモ」によって暴かれたと書きたてた。
謎の霧の正体が、黒い霧だったとは。
上機嫌の町田警部は、山本のような大人しくマジメな男が1人、汚職の詰め腹を切らされたのだと言う。

この摘発で山本も浮かばれるというものだろう、と町田警部が言う。
事件は終わったかに見えたが、牧はSRIの仕事はこれからだと言った。
SRIは陽子の結婚式に呼ばれていた。

陽子と青木の結婚式。
祝福される披露宴の場に、燐光が現れる。
人々が指をさし、悲鳴をあげて道を開ける。
陽子の目が見開く。

燐光が陽子に近づいた。
だが、それは陽子と同じ、ウエディングドレスを着て、ベールをかぶった人形だった。
燐光人間が人形に取り付いた時、野村は火炎瓶を投げ、牧が火をつける。
炎が上がる。

人形が燃え、崩れていく。
牧がつらそうに、目をそらす。
燐光人間もその中で燃える。
その様子を見た陽子の目から、涙がこぼれていく。


「燐光人間!」と言うんですが、人間の形はしてなかったような。
陽子が燐光が見上げていたと言いますが、そう言うということは人間の形をしていたってことですよね?
でもアメーバのようなものが這ってくるので、見上げているどころか、どっちを見ているのかわかりませんでした。

だから「物体」と書いてしまっているんですが、燐光人間と牧さんも言ってます。
本当は、人間が光って現れる描写だったのかもしれませんね。
研究所に行った野村が物体だと思ったものを、「これでも有機物だよ」と言われて驚くシーンがあります。

「生物の適応性には驚くべきものがある」と言われるんですが、この言葉が後に関わってくるんですね。
新生物の可能性を説く牧に、野村がこの言葉を言って得意げになるシーンもあります。
野村の単純で、かわいらしいところです。

牧がみんなにバカにされている山本に、深い同情を示します。
科学が友達で、情緒にかけると思われた牧さん。
ところが牧さんは、みんなに笑われた山本のことを報告する時、本当に哀しそうな顔をします。

陽子は本当に迷惑そうで、冷たい。
婚約者の青木までが、関係ないと言い放つのを見た牧は、かなり陽子にも青木にも憤っていたと思います。
バカにしきった青木と冷たい陽子が怯えるのは、ちょっといい気味なのかもしれません。

でも牧さんは、ちゃんと任務を果たし、燐光人間を毎回、追い払います。
父親の話を聞いた時も、炎に照らされた牧の顔はつらそうでした。
山本が落ちたであろう火口を見て、牧は山本を想像し、深く同情してます。
5話に続き、実は牧さんって情にもろいんじゃないか。

汚職は発覚したが、山本はまだ死に切れないと見た牧たち。
結婚式に燐光は必ずやってくると確信。
その通り、燐光はやってきた。

燐光は何をしに来たのか。
気弱な男は燐光人間になった時、自分を陥れた者に復讐した。
執念の末に変化した男は、攻撃的になり、自分を無視し続けた陽子にも復讐しようとしたのか。
それとも叶わない片思いの末に、陽子を殺して我が物にしようとしたのか。

燃える燐光人間を見た牧が、哀しそうに目をそらす。
それはもう、肉体のない、人を殺してしまう生物になった山本を成仏させるかのよう。
燃え落ちる花嫁人形を見た陽子の目には、恐怖はなかった。

山本の話をする時には冷たかった陽子の目から、涙と感情があふれる。
こんなにまでしても自分に会いに来た山本の気持ちを、初めてわかったように。
燃える花嫁人形で、エンディング。

「怪奇大作戦」はこの人物は今、こう思っているということを示さない。
こちらに想像させるのみ。
ほんとに、大人の番組だと思いますね。

最初の方で聞き込みに来た町田警部が「女性関係は?」って聞くんです。
もう、「ははは、子供向けに作ってない」って思いました。
でも大人の鑑賞には、十分堪える。
牧さんの演技も、深い。


「激突!」の後に「必殺仕掛人」とは!

昨日からテレビ埼玉で「必殺仕事人 激突!」が終わって、「必殺仕掛人」が放送され始めました。
テレビ埼玉、えらすぎる!
ありがとう!

「激突!」は撮影の方法のせいで「激突!」自体のせいじゃないとわかってましたが、映像的にも軽く薄い感じがしてました。
それが昨日の「仕掛人」1話を見たら、良くわかってしまった…。
わかるつもりじゃなかったのに、そんなこと考えないはずだったのに、ほんとにわかってしまった…。

「仕掛人」は「必殺」シリーズの第1回、シリーズが始まる元になったほどの作品。
しかも裏番組に「木枯し紋次郎」という、大変クオリティの高い作品があるのを承知で臨んで来た作品。
だから完成度が高いのは当たり前とはいえ、これ、当時、初見だったらビックリしますよね。
今は「必殺」シリーズがあるということを知って見ていますが、最初に見たらビックリですよ。

クオリティの高さはそれはもう当然でしょうが、俳優陣の演技も映像もなんと重厚なことでしょう。
ストーリーといい、隙がないというか、人をひきつけて離さない。
テーマソング「荒野の果てに」を聞くと、これが全ての始まりなんだと改めて思います。
深作欣治監督の名前がクレジットされていたり、こんなものをテレビで見られたって…、ひたすら、すごい…。

ビデオもまだない時代で、テレビが娯楽の中心。
そういった中で作られたものと、そうではない時代の違いはもちろんあります。
しかし、一本勝負の気迫みたいなものが感じられて、圧倒されます。
20年続いた「必殺」の一応、最後の作品と、始まりの作品。

比べることがおかしいかもしれませんが、最後の作品の後にこれですから。
嫌でも年月の経過とか、「必殺」の変遷とか、思わずにいられないでしょう。
極端とも言える放送だとしても、テレビ埼玉さん、ほんとにありがとう。
堪能しちゃいましたよ。


『あれ』は…一体なんだったんだ 「怪奇大作戦」7話

7話「青い血の女」。

三沢は学生時代の友人の鬼島明の家を訪ねていた。
2年ぶりの交流で、鬼島明は学生結婚をして、幸せに暮らしていた。
父親の鬼島竹彦と「一緒に暮らすことになったんだなあ、先ほど、門のところで後姿をチラッと見た」と三沢が言うと、夫妻の顔色が変わった。
妻が「自分も夕べ、一昨日と父親の姿を見た」と言うが、明は父親は田園調布の家にいると言い張る。

だが、今夜も三沢が見ているのだ。
明は父親に電話をすると、父親の住む家では壁に子供の起き上がる影が映る。
「もしもし?」と明が言うと、電話は無言で切れた。

やっぱり父親は家にいる。
だが自分とは話もしたくないのだろうと、明は言った。
「老人は老人の世界。僕たちは僕たちの世界だ」。

三沢がどうしたのか聞いてみると、父親は息子を憎んでいるのだと言う。
父親は明をかわいがってくれた。
愛情が裏返しになった憎悪なんて、もう救いようがない。

三沢がバカなことを言うなと言うと、明は話を止めて飲もうと誘った。
そして三沢に今夜は家に泊まっていくように勧めた。
鬼島夫婦と三沢が飲みながらテレビを見ていると、突然、画面が乱れ、何も映らなくなった。
どのチャンネルも映らない。

それをきっかけに、3人は就寝することになった。
三沢が部屋で寝ていると、何かが飛びかかってきた。
妙な機械音とも言えない音がする。
三沢がスタンドの灯りをつけると、手の甲がスッパリと切れて血が滲み出ていた。

夜道を行くサラリーマンがふと、置いてある人形に気づく。
歩きかけて、振り向くと人形がこちらを向いている。
人形の表情が見る見る青白く、凶悪に変わる。
そして手の平にナイフが現れ、サラリーマン目掛けて切りつけた。

町田警部は、頚動脈を切られたサラリーマンの現場検証に当たっていた。
その時、三沢の手の傷が被害者と争った時の傷ではないかという情報が入り、三沢は任意同行された。
三沢は帰されたが、刑事の尾行がついていた。

腹を押すと音を出す人形が落ちており、思わずそれを踏んだ三沢が刑事に人形を渡す。
暗い夜道を歩く三沢に、またあの奇妙な音が迫る。
再び三沢は何者かに切りつけられた。

その夜、明は竹彦の家を訪ねる。
心配して様子を見に来たと言った明を竹彦は冷たくあしらうが、明は家に来ましたね?と聞く。
「誰が行くものか」と言った竹彦に明は、三沢が自分と間違われて刺されたと言う。

「お前と言う奴は…私がやったというのか」。
「お父さん、どうして僕がそんなに憎いんだ」。
すると竹彦は「お前は私を裏切った」と言う。

「裏切った?成長した子供が親から離れていくのを、あんたは裏切りだと言うのか。嫉妬だよ、老人の」。
「帰ってくれ」。
明を追い返した竹彦は、ある部屋に入る。

「どうしたんだよ。さあ、眠るんだよ」とベッドに向かって、優しい言葉をかける。
「さあ、オルゴールを聞かせてあげようかねえ」。
「こんにちは赤ちゃん」のメロディが響く。
オルゴール人形がクネクネと動く。

三沢が襲われたことは、町田警部の耳にも入った。
的矢所長は三沢を疑うのは見当違いだっただろうと言う。
三沢はSRIにはいなかった。

逮捕状が出ているなら探し出しますがね、と牧が言う。
野村は犯人は三沢に何かを知られた。
いや、知られたと思ったのではないかと予測する。

それで狙われた結果、三沢と間違えて通りかかったサラリーマンを殺してしまったのではないか。
顎に残された刃物の破片から、刃物は特殊なものだとわかる。
その時、さおりに遊びの誘いの電話がかかり、町田警部は出て行く。

実は電話は三沢からで、的矢所長に代わると、三沢は喜島親子が激しく仲たがいしていることを告げる。
だがいくらなんでも親子だと三沢が答えた時、町田警部が戻ってきた。
しかし、三沢の電話は切れた。
その夜、竹彦は家でカバンを開け、目を丸くし、「ない!どうしたんだ!おい、どうしたんだ!どこへやったんだよ、どこへ」と叫んでいた。

ベッドに横たわっている、小さな影が映る。
傍らに人形がいる。
「もうやめよう。頼む、もうやめるんだよ。お前は私の為に…、私に代わって…。お前は私のことだけを考えてくれている」。

竹彦は何者かに話しかけた。
「私だってお前だけが…。だからもうやめるんだよ。2人だけで、静かにここで暮らそう」。
「私だってあいつが憎い。しかし…」。
その言葉が部屋にある人形に届く。

三沢は、竹彦の家の近くに止めた車の中にいた。
車の中の三沢に、あの人形が近づく。
それはまるで、小さな子供が歩いているように見える。

タクシーが止まり、人形が影に隠れる。
若い女性と老人が降りてくる。
老人を支えきれない若い女性を見た三沢が、車から下りる。
酔っ払って倒れていたと女性は言う。

老人は竹彦だった。
三沢が家に竹彦を送ってくると言って、女性を車の中で待たせる。
しかし、三沢を待っている間、人形が女性に迫ってくる。
恐怖のあまり、女性は車を走らせた。

だが人形は車の上にしがみついていた。
マンションに戻った女性は急いでドアを閉めるが、部屋の中で何かが落ちて割れる音がする。
怯えた女性が見ると、人形が歩いてくる。
人形の手から、大きな刃物が突き出る。

三沢が車がないのに気づき、追ってきたが、女性のいる部屋からは絶叫が響く。
あわてて三沢がドアを破って部屋に入ると、既に女性は絶命していた。
管理人が第一発見者となり、三沢を見たという情報が入る。
町田警部に今度こそまずいと言われる三沢だが、女性は誰かに追われていたのだと言う。

三沢は犯人と断定される証拠もないが、シロと断定される証拠もない為、釈放される。
これは単純な事件ではない。
帰り際に三沢が最初の事件が起きた時、テレビの画面が乱れたと言う。
すると、町田警部は聞き込みによる、犯行時刻に周囲の家でもテレビの画面が乱れたと知らせた。

何かの強力な電波だろう。
SRIは今度、その電波が発信されたらわかるように、探知する。
さっそく野村と牧が見守る中、電波がキャッチされた。
発生地は竹彦の家だった。

町田警部は竹彦の家に急行。
奇妙な電気製品を使っているのではないか、と言った町田警部の背後に三沢がいた。
三沢に気づいた竹彦は、帰ってくれとドアを閉める。
しかたなく引き上げかける警察と三沢。

部屋の中を向いた竹彦の目に、あの人形が入る。
「うわああ!」
悲鳴を聞いた三沢と町田警部たちは、急いで引き返してきた。
ドアを開けると、そこには竹彦に刃物を向けている人形がいた。

「危ない!逃げるんだ!」
警官が人形に発砲する。
人形は破壊された。

人形の白い顔の上の頭の部分が割れて、中の機械が見える。
歯車の音が響く。
「殺人人形をコントロールしてたのは、あんたじゃないですね!」
うなだれている竹彦。

「誰だ。誰がこれを」。
突然、竹彦が立ち上がり、走っていく。
「待て!」

一つのドアの前に竹彦は張り付き、三沢たちの入室を拒む。
「入らないでくれ!ここは私たちの、私たちだけの部屋なんだよ!」
「おいっ、中には誰がいるんだ!」
町田警部にも竹彦は、首を振り続ける。

「あの子は4つなんだよ。4つの女の子なんだよ。そんな子供に何ができるんだ!」
竹彦を引き剥がし、三沢たちは中に入る。
するとベッドにはうつろな黒い目をした、大きな人形が横たわっている。
全員が見守る中、うつろな目が開き、人形に表情が現れる。

「老人を捨てた、老人の子供たちを殺さなきゃ」。
人形が話す。
全員が固唾を呑んで、見守る中、人形は話し続ける。

「あたしは大人よ。いつまでも子供扱いされちゃ、かなわないわ」。
竹彦の目が見開く。
「あたしも、老人を捨てて独立するの。だから、あたしも殺さなきゃ」。
人形が起き上がる。

「あっ」。
三沢たちが見ている前を、ふわりと人形が宙に浮く。
人形が窓を破る。
その拍子に、オルゴール人形が床に落ち、体をくねらせながら「こんにちは赤ちゃん」のメロディーが流れる。

屋根に登った人形が、「殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ」と言う。
そして「ギャー」という悲鳴をあげながら、屋根から窓の外に落下した。
外に駆けつけた三沢と警察を、竹彦は押しのけて人形を見る。

人形から青い血が流れていく。
「私が、あれほど言ったのに。私とお前だけだ。2人っきりの生活だ。これで…」。
竹彦が涙ぐむ。

SRIに入った町田警部は、三沢に詫びた。
「どうぞ」と言われた町田警部は、座る。
的矢所長が口を開く。

「今も話していたんだが、現代ほど老人にとって孤独な時代はなかったかもしれないよ。だから決して裏切らない、そんなつもりであの老人は、『あれ』を作って孤独を忘れようとしたんだ。結局は、『あれ』も老人を捨てたがね」。
三沢が「しかし忠実でしたよ。最後まで」と言った。

町田警部が言う。
「本当だ。老人が、ふっと抱いた殺意を、『あれ』は老人に代わって、最後まで実行し続けたんだからな」。
「ええ」と、三沢がうなづく。
「ところが、『あれ』自身も、いつのまにか老人を捨てようとしていた」。

さおりが「だから屋根から飛び降りて、自分を殺したの」と聞く。
「さあ…。『あれ』の心は誰にもわからない」。
「『あれ』は…一体なんだったんだ」と牧が言う。
「人形じゃないわ。もちろん、人間でもないし」とさおりが言う。

野村が「世の中が段々奇妙になると、みんな『あれ』になるんですよ」と言った。
「やめてよ!そんな冗談言うの!」
三沢がつぶやく。
「青い血の女…、か」。


「怪奇大作戦」の7話放送なんですが、最初だけ見ても人形怖い!
これは子供には、恐怖だわ。
夜道に人形があったら、それだけで私なら「ギャーッ」です。

それが振り返ったらこっちを向いてるとか、悲鳴、いや絶叫、猛ダッシュ?
いえいえ泣きますね。
失神するかもしれない。
しかも『あれ』も不気味ですから、もうちょっとかわいく作ってください、竹彦さん。

しかし、『あれ』は人間じゃない。
だから何回も人間違えをしてしまうし、その修正はなかなか利かなかったんでしょうか。
おかげでサラリーマンと女性が犠牲に。

見張っている三沢の前で、泥酔した竹彦が後に犠牲となる女性に送られてくる。
三沢が竹彦を、家まで送り届ける。
描写はありませんが、おそらく三沢はこの時竹彦に深い孤独を感じたでしょう。

独立してしまった明を竹彦は、憎んだ。
明が立ち去った後、竹彦に愛された『あれ』は、竹彦の憎悪を実行に移してやる。
だが意思を持ち、やがて自我を持った『あれ』もまた、竹彦から離れることを望んでしまう。

竹彦から離れた息子への憎悪から作られた自分。
離れることをしないから愛される自分。
それが竹彦から立ち去ることを望んだなら、存在する意味はない。

『あれ』は人間ではないから、赤い血は流れない。
でも無感情の無生物でもないから、血は流れる。
それは青い血。
なんと哀しい青い血。

『あれ』を失った竹彦は、もっと深い孤独に陥ったのではないでしょうか。
そして今度のことで、明は父親に対して何を思うでしょうか。
竹彦の孤独を軽蔑するか。
哀れに思うか。

若い明は前途しか目に入っていないけれど、この時から40年以上経った今はどうだろう。
「現代ほど老人にとって孤独な時代はなかったかもしれない」と言った、あの時よりはるかに孤独な今。
まさにその時代に、明は竹彦と同じ年齢になろうとしているのでは。

竹彦のようにならないと、固く決心したか。
もし、明が竹彦と同じ立場になったなら、この時の竹彦を思い出すでしょう。
その時、明は竹彦の孤独を理解し、共感するのか。


子供の頃これを見たら、怖いだけだったかもしれませんねー。
今は見た後、何とも言えない気持ちになってしまいました。
人の孤独さ、人形の忠実さに哀しくなります。

オリンピックも終わった、昭和40年代。
日本は高度成長期を迎え、都会がどんどん発達する一方で、取り残されていく村と人がいた。
戦争を過去にする人と、できない人が乖離して行く5話と同様。

進歩とともに、いろんなひずみが現れてきた時代。
それが進歩する科学と結びつき、犯罪が起きる。
背後には人間の欲望だけではない、科学は先取りしても心が取り残された人の哀しみがある。

現代に見ても、まったく違和感を感じない。
ということは、答えが出ない永遠のテーマを扱っているとも言えますね。
名作「怪奇大作戦」の中の、そのまた名作だと思います。

オルゴール人形を、あれほど不気味な演出に使うとは。
ホラーとしても、名作なのではないでしょうか。
哀しい名作です。


沈黙のミタさん

「家政婦のミタ」、8話はいよいよミタさんの過去!
ミタさんが思い出していた過去では、義母らしき女性から「生きている限り笑わないで!」と言い渡されてました。
偶然にも24日の13時55分から放送の「沈黙のアリバイ」。

主人公の刑事が犯人を追っていて子供を事故にあわせてしまい、母親から「あの子はもう笑えない。2度と笑わないでください」と言われて笑わなくなったんですね。
先週のミタさんを見て、このドラマを思い出したんですが、ミタさんはどうなんでしょうね。
予告では「ストーカーになりました」って言っていたし、背後に立たれるのを嫌がっていたところから、ストーカーが関係していると思っていいのでは。

ミタさんの笑顔に魅せられた男がストーカーになり、揚句、夫と息子を…?
でも「わたくしは懸命に笑顔を作りました」って言っているから、そうじゃない。
たった一人、生き残ったミタさんに「まだ生きているということは意味がある」と言ったのは晴美さんでしたよね?
ぶつぶつ…、つぶやいても、考えてもわからない。

私の予想は当てにならないし、ずっと想像を超える展開だから、ミタさんの過去がわかってもまだ波乱がありそうですしね。
父親が去っていく不倫相手に「まだ好きだ」って言いましたが、相手はあれで救われたかも。
しかし「母親になってくれるなら」というのは、かぐや姫がありもしない宝物をほしがる断り方と同じかもしれない、などと思いました。
前にも言いましたが、幼稚だった恵一が、今回で大人になったな~、と思いました。

とにかく毎週、目が離せません。
明日の「沈黙のアリバイ」。
最近、「妖怪人間ベム」で要領が悪く人が良い役を演じている北村さんですが、この犯人役はすごい。
まったく良い感情を持てない凶悪な知能犯。

カッコイイ悪とか、そういうのじゃない。
心底、頭に来るような犯人。
こういう役を演じてきて、そして違う役にシフトしてきて今日がある。
そう思うと、この方は息が長い俳優さんになると思うし、こういう俳優さんは大好きです。


追記:「沈黙のアリバイ」の放送日を最初「明日」と書いたのですが、日付が変わっていて「明日」では25日ということになってしまいました。
「明日」ではなく今日、24日です。
大変申し訳ありませんでした。


吸血鬼でも愛す 「怪奇大作戦」6話「吸血地獄」

6話「吸血地獄」。

オープンカーに乗って、ドライブする山本周作とニーナ。
楽しそうな2人だったが、カーブを曲がった時、対向車線のトラックがこちらにはみ出してきており、事故になった。
ニーナは死んでしまい、ニーナを養女にしていた朝倉の父は、葬式に来た周作を殴りつけ追い返す。

だが、その夜、雷鳴の轟く中、ニーナは起き上がった。
その顔は青く、牙がとがり、「血…、血が」とつぶやく。
ニーナはそのまま外に出ると、パトロール中の警官を襲い、血を吸ってしまった。
するとニーナの顔は元の美しい顔に戻っていた。

周作は生き返ったニーナと一緒に過ごしていた。
しかし、ニーナは再び血をほしがる。
青くひび割れた顔のニーナは、周作にどんなことがあっても捨てないでくれと懇願する。

2日に1度の頻度で、吸血鬼の犠牲者が出たが、誰もニーナの存在には気づいていなかった。
ついに朝倉の養父が遺体で発見される。
死因はこれまでの犠牲者と同じ、血が体内に一滴も残っていなかった。

8人目の犠牲者だった。
町田警部が朝倉の家の構成を調べると、養女のニーナは周作に連れ出されたまま行方不明だと言う。
朝倉の養母は、夫を殺したのも周作だと話す。
牧は事件が48時間ごとに起こっていることに気づく。

つまり48時間ごとに、血を欲する人間がいるということだ。
それもまともなルートでは手に入れられない状況だ。
SRIは売血業者によるものではないか、と予測する。
今時、吸血鬼の存在などSRIでも信じなかったのだ。

別府の地獄谷で、2人の犠牲者が出た。
地元の警察は遺体を見て、「地獄だな」と言う。
そして本庁を通じて、SRIの協力を要請した。
別府に牧と野村がやってきて、地獄谷を見ていると、周作とニーナの2人が目に入る。

牧は野村に後をつけさせた。
一週間前、事件のあった前の晩から2人は別府に泊まっている。
野村は2人の部屋の近くに、部屋を取ることに成功した。

的矢が朝倉の家に知らせに行くと、朝倉の養母はニーナは夫がポーランド大使館勤務の時に孤児院から貰い受けた子だと言った。
ニーナは、冬の凍りつく夜に産着一枚で捨てられていたらしい。
あの子はフェニックスのような、奇跡の子ですと養母は言った。

三沢は周作のことを調べてきた。
父親が汚職事件で世間を騒がして以来、メチャクチャな生活を送るようになっていた。
ニーナと知り合ったのも、その頃だった。

その頃、ニーナの顔は醜く変貌し、周作を呼び求めた。
苦しむニーナに周作は、自分が何とかすると言った。
周作が部屋を出た途端、野村が部屋を探ろうとする。
しかし、周作は出かけたと見せて、背後から野村を殴りつけた。

気絶した野村は周作に物陰に連れ込まれ、ニーナが迫る。
その時、野村を呼んでいる牧の声が聞こえる。
まずいと思った周作とニーナは、逃げていく。

野村に気づいた牧は、野村を起こす。
犯人がわかった、全て吸血鬼の仕業だったと話す野村を牧は笑い飛ばす。
もうすぐ48時間たつ。
必ず、犯人は動く。

野村はニーナの部屋を、見張りに行く。
仲居がやってきたが、野村は何かあったら大声を出すように注意する。
しかし、部屋には誰もいなかった。

黙って他人の部屋に入らないでくださいと言う仲居を抑えて、野村はニーナの部屋に入る。
ニーナと周作は一足早く、エレベーターで逃げていた。
エレベーターの中で、ニーナはもがき、ドアが開いた瞬間、待っていた2人の客に迫る。
客は恐怖の余り、気絶する。

逃げられた!と叫ぶ野村。
牧は気絶していた客から、金髪の怪物がいたことを聞いた。
血に飢えた吸血鬼だ、必ず犠牲者が出るだろう。
牧は大分県警に連絡し、町中、パトカーがあふれる。

ニーナの部屋に戻った牧は、周作の書き置きを見た。
血に飢えたニーナに血を与え続けたのは、変わらぬ愛の証だった。
だが、ニーナをこれ以上生かすことは、犠牲者を増やし続けることだった。

これまでの罪を償う。
追わないでくれ。
自分たちだけの世界に、旅立つ。

書き置きには、そう書かれていた。
的矢所長が、大分にやってきた。
牧から事情を聞いた的矢は、養母に夫を殺したのは周作ではなく、ニーナだと告げた。

大分県警の刑事がやってきて、今朝、ニーナと周作は1時間ほど船で行った無人島に渡ったと言う。
養母もそこに連れて行ってくれと頼む。
SRIと警察が着いた時、周作は自分の腕をニーナに噛ませ、血を与えていた。

「周作くん、離れるんだ」と牧が叫ぶが、周作は首を横に振った。
養母が警察のピストルを手に取り、周作に向ける。
「何をなさるんです!」
的矢がそう叫んだ時、周作はニーナと共に崖から飛び降りた。

ああっ!と養母が叫ぶ。
砂浜に横たわる2人。
やがて、ニーナの顔が元の美しい顔に戻る。

謎の復活。
ニーナはドラキュラ家の末裔だったのか。
怪奇に包まれたまま、事件は終わった。



ニーナの吸血鬼化は何だったのか。
謎のまま、終わった6話。
ニーナはフェニックスのような奇跡の子、ということは、ニーナは寒い夜に捨てられて一度死んでいたってことですよね。
それが蘇生した。

ニーナは吸血鬼の家系だったんでしょうか?
ポーランドで養女にしたけど、出身はトランシルバニアだったとか?
何か赤ん坊の頃に既に奇妙なことがあって、それで捨てられていたのでしょうか?

吸血鬼となっても周作に捨てないでと願ったニーナに、永遠の愛を誓った周作。
2人の愛だけは、変わることはなかった。
砂浜に横たわるニーナの顔は、もとの顔に戻っている。
今度こそ、ニーナは永遠の眠りについた?

これまでは怪奇現象を科学的に解き明かし、その影に隠れた犯人を暴く話でした。
ニーナの謎を解いてくれると思ったら、それはなかった。
つまり、この話は本当の怪奇だったわけですね。
そして、この世ではもう、生きていけない吸血鬼を愛した男の話。

いや、三沢が報告した周作の背景や朝倉家の拒絶を考えると、周作にも既に居場所はなかったのかもしれない。
しかし、逃避行をするには、ニーナさん、目立ちすぎる。
「怪奇大作戦」は、事件解決めでたしめでたしではなくて、悲しい余韻を残して終わることが多いですね。

そこがまた、いい味なんですが。
「吸血地獄」の「地獄」は最後が地獄谷で起きる事件だから?
そんなこと、ないか。