こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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グッタリです

うう、疲れた。
この暑さに負けたのか。
今日は燦々どころか、ギンギンの日差しの下を歩いて、夜になって「今日は疲れた。心底、疲れた」と思いました。

いや、疲れた。
本当にグッタリした。
それなのに、日本と昼夜逆転してる国でスポーツの大きなイベントがあるってつらいわー。

ワールドカップの時で、日曜日の夜11時から日本の試合が始まったりすると、翌朝、月曜なのにみなさん、グッタリ。
ほんとにグッタリ。
朝の電車の中から、既にみなさん、グッタリしてる。
お客様も、グッタリ。

いつもは残ってくださる部長さんが、「今日は…、帰りますっ!」と言ってお帰りになりました。
今日は日本中が、「グッタリ」を共有してる…と思いました。
これがスポーツの一体感…!と、実感しました。
みんなして、「今週一週間は、長いよぉおお」と叫んでました。

競技する方の体力はもちろん、精神力にもほんと、敬意を払いたい。
それを支えるコーチや、ご家族にも。
見てるだけで、わたしゃクタクタ、グッタリですもん。


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いつもこの仁左衛門がついておる 「雲霧仁左衛門」 第3話

第3話、「兄いもうと」。


六之助を奪還された安部式部は、火盗に内通者がいるのではないかと思い出した。
火の出た時刻に所在が知れなかったのは、与力の岡田甚之助のみ。
六之助の人相書きが描かれたが、岡田は「何と言う特徴もない人相書きで、張り出したところで意味がない」と言う。

岡っ引きの政蔵が、外出する岡田の後をつけた。
だが岡田はそれに気がつき、逆に政蔵を咎めた。
政蔵は誰に頼まれたわけではないが、岡田の金回りの良さが気になると言った。

すると疑惑に答える為、岡田は熊五郎の古道具屋に向かう。
岡田は政蔵に売買の駆け引きを見せ、「こうやって売り買いで金を稼いでいる」と言った。
その後、用心深く後ろを振り返りながら、八重を囲っている役宅に向かう。

すると八重はおらず、座敷には吉五郎が待っていた。
「当分、慎重にするよう」。
吉五郎は仁左衛門からの伝言を言い渡すと、小判を数枚投げ、八重は「当分預かる」と言って出て行く。

翌日、安部式部自らが相手をする火盗の武芸稽古があった。
それを見た岡田は、「甘えている」と言った。
憤った若い火盗たち相手に岡田は「自分が稽古をつける」と言って、あっという間に2人を叩き伏せた。
残った高瀬に、「日頃自分の悪口を言っている張本人」と言って、岡田が構えた時だった。

「与力同心密偵の間で、誹謗中傷は許されない」と、式部が言った。
競い合うのは良いが、反目しあうのはいけない。
それを聞いた岡田は「自分もまた、思い違いをしていた」と言う。
「山田だけではなく、自分にも命令を下してください」と岡田は言った。

町に、六之助の人相書きが貼られた。
極悪非道の雲霧一味につき、捕えた者には50両。
所在を知らせた者には20両という、懸賞金までかかった。

看板を見ていた町民たちに、看板を読んでくれるよう言われた仁左衛門が、その通りに読む。
すると、みんな口々に「極悪非道ってことはねえよな」「阿漕な金持ちしか盗らねえしな」「人を殺めねえし」と雲霧を擁護する。
仁左衛門がその場を離れると、後から吉五郎が歩いていく。

2人は既に、名古屋の豪商・薬種問屋の松屋善兵衛に目をつけていた。
吉五郎は桔梗屋という商人として、松屋と何回か接触していた。
そろそろ、お千代の出番ではないのか。
仁左衛門は、2年前から目をつけていたのだ。

その松屋は2人も妾がいるにも関わらず、ピタリとくるものがないと言う。
すると吉五郎は、「京都に生糸の仲買に行った時、公家の一条実光の若後家に出会った」と話す。
彼女は若くして夫と死別し、誰か心の広い者がいるなら、世話になっても良いと話している。
名前は「千代」姫。

絵姿があると言って見せると、松屋は思わず息を呑む。
お千代には、幼い頃から茶も花も仕込んであった。
臆することはないと、仁左衛門は言う。

その頃、火盗には人相書きの件で話があると言って、1人の男が来ていた。
「自分のことは一切詮索せず、20両もらいたい」と男は言った。
「5両なら出すが、嘘偽りがあれば即刻首をはねる」と山田は言った。

男は人相書きの男のことを「因果小僧・六之助」と言った。
だが、火盗はそのことは知っていた。
男はギョッとする。
人相書きには名前は書いていなかったので、火盗はまだ六之助の名前はつかんでいないと思ったのだ。

その頃、お千代はお松もおみつも感心するほど、公家の若後家に化けていた。
だがお千代は今度ばかりは自信がないと、仁左衛門に弱音を吐く。
仁左衛門は「どんなことがあっても、いつもこの仁左衛門がついておる」と言い切った。

道を急ぐ六之助は、六之助の母親の墓で手を合わせている娘を見かける。
訳を尋ねた途端、数人のヤクザ者と思しき男が走ってくる。
六之助は思わず顔をそむけたが、男たちは娘を捕え、数発、頬を張り飛ばした。

連行されようとしていた娘を、六之助は助けて逃げてしまう。
小船に乗ると、六之助は娘に目隠しをする。
ヤクザ者が2人を追えなくなった時、高瀬が現れた。

去っていく船を見て、男たちは「引っかかった」と言う。
あの男が言うことは、嘘ではなかった。
このまま、山田が描いた筋書き通りに行けば…!

夜、熊五郎は道具屋を閉め、奉公人を装っていたおみつに「帰って良い」と言っていた。
「小頭からのつなぎは?」と聞くおみつに、熊五郎は「ない」と答える。
おみつが帰ろうとした時だった。

物音がした。
裏口から六之助が目隠しをした娘を連れて、上がりこんでいたむ。
「すまねえ、部屋を借りるぜ」と上がりこんだ六之助を見て、熊五郎は「あのバカ。また面倒しょってきやがって」と言う。
娘の目隠しを取ると、六之助は追われている訳を聞いた。

娘は「おしの」と名乗った。
六之助は、「新吉」と名乗る。
母親の墓参りをしていたと言う娘に、六之助は驚く。
名前がおしので、あの墓がおっかさの墓というと、六之助の妹のおしのだ。

だが、おしのは死んだはずだった。
あの墓は15年前、深川の大火でなくなった長屋で、身寄りのない者を葬った墓だ。
すると、おしのの母親も、その長屋にいたのか。
おしのは、「母親の名は、おみね」という。

部屋の外で密かに聞いていた熊五郎は、おみつに今日のことを説明した。
今日は六之助は「母親の命日だから、どうしても墓参りに行かせてくれ」と言った。
となると、命日の今日、六之助は母親の墓の前で、行方知れずの妹を見つけた…というわけだ。

その頃、お千代は桔梗屋の吉五郎に「千代姫」と紹介され、松屋善兵衛に引き合わされていた。
千代姫の美しさ、優雅さ、気品に松屋は目を見張る。
これまで知っている女とは、まったく違う。
松屋の視線が千代姫に釘付けになったのを見て、吉五郎は席を外す。

同じ頃、六之助がおしのと話しているのを、熊五郎は古道具の影に隠れて聞いている。
おしのは火事になったときはまだ3つだったのに、どうやって自分の母親のことを知ったのか。
聞かれるとおしのは、「火事の後、物心ついた時は既に入江町の甘酒屋の卯助ところにいて、ずっとその人を親だと思っていた」と言った。
だが卯助もならず者に乱暴されたのが元で、病気になった。

その時、卯助は「自分はもうダメだ」と言って、おしのに本当のことを話してくれたのだ。
15年前の今日、おしのの本当の親は火事にあって死んでしまった。
卯助は「借金が返せないなら娘を貰っていく」と言われたのだが、おしのを守って傷を負った。
おしのは「こうやって1日でも半日でも逃げられたのは、母親の導きだ」と言った。

六之助は憤り、高利貸しの名を聞いた。
本所の五郎蔵。
子分が30人もいる。
おしのは「新吉もあの墓に参ったなら、新吉の親もあそこにいるんですか」と聞いた。

六之助は「自分はあの墓の隣に参ったのだ」と言った。
おしのは書付を懐から出すと、そこには「父・寅蔵、母・おみね」と書いてあった。
「おめえ…」。
その様子を熊五郎は半ば、悲痛な面持ちで聞いていた。

山田は式部に、「今度は上手く行くように思えてならない」と報告していた。
仁左衛門はともかく、主だった者を10名も捕えられれば大成功だ。
褒美をもらえると、六之助のことを密告してきた男がやってきた。

だが自分の名前を言わないのでは、褒美はやれない。
言えないと言うことは、お前もおそらく盗人であろう。
「昨日までのことは、不問にするので立ち去れ」と式部は言い渡す。
すると、それを聞いた男は「伊助」と名乗り、「暁の星右衛門一味にいたが、このところ、具合が悪く仕事はしていない」と白状した。

「いろはの伊助」といい、本所の横網長屋に暮らしている。
山田は5両を持って来て、「約束だから受け取れ」と言うと、伊助は5両を見て感激した。
後は、さらに自分たちに協力するかどうかだ。

古道具屋で、熊五郎が吉五郎に、おしのの出した書付を見せていた。
吉五郎はまず、それが入っていた守り袋の香りをかぎ、次に書付を光にかざす。
「どうだ?」と聞く吉五郎に熊五郎が「私も調べましたが、こしらえものではありません」と答えた。

「女は?」
「疲れたと見えて、ぐっすり眠っていやす」。
2人の背後から、六之助が顔を出す。

「小頭、おしのは妹に違いねえんだ」と言って、おしのを楽にしてやりたいと言う。
一党の女性たちはさっそく、長屋におしののことを調べに行く。
おしのの話はどうやら、本当らしかった。

「同じ焼け出された身の上、おしのを助けてやってほしい」とお千代は仁左衛門に頼む。
仁左衛門は吉五郎に、忌憚のない意見を求めた。
聞かれた吉五郎は、「何となく話ができすぎているように思う」と言った。

お松は「墓地で出会っても何の不思議もない」と言ったが、「命日、お守り袋、甘酒屋の卯助、何もかも整いすぎている」と吉五郎は言う。
仁左衛門はキセルを吹かしながら、「このことは吉五郎にまかせる」と言った。
一方、お千代に「松屋とは会ったのか」と聞いた。

熊五郎の道具屋で、小頭はどう言ってるのかと、六之助はイライラしていた。
「もう少し待て。小頭には小頭の考えがあるんだよ、落ち着け」と熊五郎は言う。
「待てねえよ」。
「おめえ1人じゃどうにもならねえだろ。小頭の言うこと聞いて、待つんだよ!」

言われた六之助は「小頭には、人の情けがわからねえんだよ」と言って立ち上がる。
座敷のふすまを開けると、おしのがこんこんと眠っていた。
その寝顔を見て、六之助は「逃げ回って疲れたんだろうな」と声をかける。
「五郎蔵の奴…」。

岡田は、火盗の動きをじっと見つめていた。
「何か特別のことでもあるのか」と聞いた岡田に山田は「何もない」と答えた。
岡田は「ならば一杯やらないか?」と聞いたが、山田は「まだやることが残っている」と断った。

高利貸しの五郎蔵の家の中では、高瀬をはじめとした火盗が捕り方姿で待ち受けていた。
鐘が鳴る。
頭巾をつけた岡田が、辺りをうかがいながら、熊五郎の古道具屋の戸を叩く。
熊五郎が「岡田様」と応対に出ると、岡田は六之助の行方を聞いた。

「何?」
「すぐ呼んでくれ」。
熊五郎は、店の奥にいる六之助を呼びに行く。

岡田は「暁の星右衛門のところにいる伊助を知っているか?」と尋ねる。
「盗賊改めに、お前を売りに来た」と言う。
その後の火盗の動きが妙だ。

式部の指示で、山田が直々に褒美を渡した。
よほど、良いネタを喋ったのだろう。
「本所、横網長屋の伊助だ。いいな」と言って、岡田は出て行く。

熊五郎は伊助のことを「そいつはもしかしたらおめえのガキ時分に、同じ甚助長屋にいた…」と言って、六之助の胸倉をつかむ。
「どうだ!」
六之助がハッとして、奥の座敷に駆け込む。
眠っていたはずのおしのは、いなかった。

「どこだ!」と、六之助が叫ぶ。
「あいつは妹なんかじゃねえや!」
そう叫んで熊五郎が、六之助の頬を張る。

熊五郎と六之助は、道具屋を飛び出した。
おしのは小船に向かって走っていた。
「このアマ!俺をなめやがって!」
おしのが、匕首を抜く。

六之助がそれを押さえたかと思うと、返す刃でおしのを刺した。
「殺す!」
熊五郎が目を見張り、「…!」と息をもらす。
刺されたおしのは、「殿様」と小さく声をあげた。

ハッとした熊五郎が、かけていく。
「伊助の野郎!」
六之助はさらに、闇に向かって走っていく。
「六、ろくーっ!」

熊五郎は六之助に向かって叫ぶが、倒れたおしのに駆け寄った。
「安部式部。安部式部、か…」。
六之助は叫びながら匕首を持って走る。
長屋に飛び込むと、「六!」と驚いた伊助を刺す。

高瀬たちは、五郎蔵のところで、雲霧一味を待っていた。
五郎蔵の店の表にいた仁左衛門は吉五郎に「静か過ぎる」と言った。
「静か過ぎる」。

大勢の人間が息を潜めて忍んでいるのが、手に取るようにわかる。
「お前の言う通りだ。式部は俺たちをはめるつもりだったんだ」。
「でもこのままじゃ戻れません。六の向こう見ずが、このままじゃ何をしでかすかわかりません」。

その時、店の前に黒い布を羽織った影が走ってくる。
影は布をどかして顔を見せ、あたりを伺う。
熊五郎だった。

2人の前に来て熊五郎は「おかしら」と声をかけたう。
伊助を刺した血のついた匕首を持って、六之助は立ち尽くしていた。
そして、匕首を伊助の前に投げる。

夜が明けた。
雲霧は来なかった。
引き上げる高瀬たち。

火盗の屋敷の門前に、立派な布がかかった棺桶が2つ並んでいた。
棺桶の上には「手厚く葬られたし 雲」と書いた書付があった。
筆跡が違うものが、もう片方の棺桶の上にもある。

棺桶の中には、おしのと伊助の遺体があった。
書付を式部は丸めて、火鉢で燃やす。
煙があがる。

吉五郎は仁左衛門に、おしのという女は安部式部の屋敷で奉公していて、特別世話になっていたらしいと話していた。
幼く見えたが、あれで24だった。
吉五郎は「やむをえなかったとはいえ、六之助は人を殺めすぎる」と言った。

そこにお千代がやってきて、「いよいよ」と言った。
松屋がどうしても、自分を名古屋に連れて行くと言った。
月が替われば、久々の大仕事だ。
諸国に散っている一党につなぎをつけるよう、仁左衛門は言い渡す。

旅姿の仁左衛門の前を、葬列が行く。
道を避けた仁左衛門は、頭を下げる。
1人、名古屋に向かう仁左衛門。
他の一党は、いずこ…。



棺桶が式部の役宅前に置かれていて、「手厚く葬られたし 雲」って書いてある。
「し」の字が長く伸びて、「雲」って書いてある。
達筆。
単なる盗賊ではない、仁左衛門の教養が感じられる。

伊助が所属していた「暁の星右衛門」の一味って、首領の留守中に勘造が勝手に仕事をした為、第1話でかなり捕縛されてましたね。
血を見るのが好きな凶賊。
たくさん、獄門になってたはずだけど、伊助は体が悪いと言っていたから、あの時は仕事してなかったのか。

さて、雲霧は名古屋の豪商・松屋に目をつけている。
入り込むのは、公家の若後家に化けた七化けお千代の「千代」姫。
変身。

しかし今度ばかりは、お千代も弱気。
そこに「この雲霧がついておる」と、おかしらの心強い一言。
力と勇気を与えられ、奮い立つ。
仁左衛門の力。

そして片方、「仲間同士で誹謗中傷はいかん!」と言う式部もすごく良いおかしら。
どっちも「この人の為に働きたい」と思わせる。
人望があるのも、納得。

おしのは、小林綾子さん。
幼く見えて、でもしっかりしていて。
さぞかし、阿部の殿様を慕っていたことだろう。
もう少し早く、わかっていたら岡田も雲霧に落ちないで済んだか?

この岡田甚之助、高瀬たちに武芸の稽古をつけるのを見ると、かなりの使い手。
前回、それをアッサリと押さえたんですから、熊五郎が相当できるのがわかる。
でも岡田がいるメリットは、今回わかったけど、すごく大きい。
密偵の存在が盗賊捕縛に大きく役立つ以上に、火盗に協力者がいることは雲霧にとって大きい。

熊五郎はちゃんと、「岡田様」と呼んでいる。
相手のプライドを、変に刺激しない。
一定の敬意をちゃんと払うのが、大事なところ。
ここが小悪党とは違う。

しかし紳士的に振る舞っていても、八重がいなくて座敷に吉五郎がいるところが怖い。
岡田はもう、小頭とも顔見知りなんですね。
きっと、雲霧は暴力的にではなくて、温泉旅行とか何とか言って預かってるんじゃないかと。
でもその用意周到さ、紳士的なところが逆に怖い。

雲霧一味の評判を、江戸市民が噂している。
看板を字を知らないとは言え、肝心の仁左衛門が読まされる。
「極悪非道じゃないよね」と結構みんな、雲霧の仕事に胸がすいているのがわかる。
火盗・お上の側にすれば、忌々しい。

雲霧が憎まれないのは、「犯さず、殺さず、貧しきものからは盗らず」だから。
「殺さず」で、ちょっとやっぱり、激情にかられがちの六之助が危うい。
その六之助は妹・おしのと対面。

直接、兄妹の対面を見ている熊五郎は疑惑を持ちながらも、天涯孤独な六之助に対して、どこか哀れも感じている。
だが何となく違和感が残るのは、吉五郎も同じ。
五郎蔵の家がおかしいと感じる仁左衛門など、この勘が生死を分ける。

おしののお守り袋の匂いを嗅ぎ、中身の書付をすかして見ている。
匂いまで嗅ぐ。
小頭には人の情けがわからないと口走る六之助に真相がわかった熊五郎は、「あいつは妹じゃねえ!」と頬を張る。

情に流されて、目を曇らせた。
それは岡田も同じ。
雲霧も、火盗も、弱いところを見つけ、そこを突いてくる。

熊五郎は、闇と同化する。
おしのにも、はっきりと姿は見せない。
あれでは特徴を聞かれても、わからないだろう。

姿を見せないということは、正体をくらますだけじゃなくて、余計な殺生をしなくて済むことでもある。
妹を名乗ったおしのに六之助が激して、さっさと殺してしまう。
殺生をしてしまう「六之助には困ったものだ」と、小頭が話している。

式部が、おしのを殺され、呆然としている。
おそらく恩を返すために囮を買って出たであろう、おしのの死は式部の心に大きな傷を残した。
同時に雲霧捕縛への情熱も、ますます燃えた。

男がカッコイイ時代劇って、やっぱり良いですねえ。
旅の途中、葬列に頭を下げる仁左衛門。
命の重さを知っている。
いよいよ、雲霧が旅姿になり、それぞれもいろんな姿で、散って行ったらしい。


「学校で教わらなかった?」 黒の女教師 第2回

黒の女教師、第2回。


自分の無力さを知った遥だが、社会科教師・及川の真摯な姿勢に気持ちを取り直す。
イケメンの及川は生徒からも人気で、大手予備校のサテライト授業を国文館高校にも、と語る。
だが、及川は生徒の下村明日香と密かに交際していた。

ある夜、明日香が及川と帰って来るのを、クラスの啓太が目撃した。
啓太は明日香を心配するが、明日香は啓太に口止めをし、及川に啓太に見られたことを告げた。
及川とのことを、明日香は本気であり、進路相談にもあまり真剣ではない。
卒業したら、及川と結婚することを夢見ていたのだ。

しかし実は及川にとって明日香は単なる「トップクラスの女子の心をつかめば、後は女子生徒の掌握はたやすい」という思惑からつきあっただけだった。
失恋したばかりの明日香に付け入るのは、簡単だった。
そして及川は、より条件の良い予備校講師に転職する予定で、その予備校の経営者の令嬢とも婚約済みだった。
さらに教師たちの間で話題になっている、匿名の現役教師が本音で書いているブログは及川のものだった。

啓太に見られたことを知った及川は、明日香に携帯に保存した自分たちのデータを全て消そうと提案。
そして、ラブホテルに入る明日香の写真が学校に送られた。
退学処分になる明日香は、及川にすがるが、及川は明日香に真剣に交際しているのだから大丈夫と言う一方、学校側には明日香にストーカーされていると打ち明けた。

一方的なストーカー行為と誤解された明日香は退学を余儀なくされ、及川にあしらわれ、傷心のまま姿を消す。
明日香が自殺をするのではと心配した遥だが、明日香は及川に初めて優しくされた階段にいた。
そこに高倉が現れ、自殺をほのめかして男を試すのは最低だと言う。

何も言えない明日香に、高倉は「助けてあげましょうか」と言った…。
報酬は、明日香が及川にするはずのプレゼント代・5万円。
驚いた明日香だが、及川の正体と本音を知り、高倉に依頼をしてくる。

高倉とすみれと彩は、及川の公開授業に合わせて、行動を開始。
彩が警官の野口に協力してもらって、及川の部屋に入る。
及川が匿名でやっていたブログのプロフィールに及川の写真を載せ、及川の正体を明らかにする。

公開授業の時間、退学になったはずの明日香がやってくる。
及川も回りも驚きながらも授業は進んだが、明日香は突然、パソコンを開き、及川のブログを見せる。
そこには及川のプロフィールが載っており、「女子生徒の攻略方法」が書かれていた。

明日香が失恋した時、突き飛ばされてケガをしたのに対して、及川が巻いたネクタイが5万円だった。
及川は「5万円は確かに痛かったが、これで生徒が手なずけられれば、安いもの」とブログに書いていた。
クラスのトップにいるような女子生徒たちを手なずければ、後はもうこちらのものだとも書かれていた。
これらが読み上げられると生徒たちが騒然とし、及川を責め始める。

だが及川は開き直った。
公開授業は中止。
及川は職員室に帰ると、もう、予備校講師と後の経営者の座が約束されているのだと笑った。

だがそこに現れたのは、婚約者だった。
婚約者は及川の正体を知り、冷たく別れを口にして出て行く。
さらに彩がサテライト授業として、及川が開き直る様子を予備校の経営者に見せていた。
婚約者の父親の経営者は激怒。

及川の将来は閉ざされた。
明日香を、自分に心を寄せた女性をバカにする及川に、高倉はハイキックを決める。
「愚か者!」
吹っ飛んでいく及川。

そして、高倉は未成年との淫行により、及川が逮捕されることを告げる。
例外は、真摯な付き合いのみ。
及川は明日香に向かって、真剣な付き合いだっただろうと叫ぶが、明日香は押し黙ったままだった。
警察が及川を連行していく。

明日香は及川の被害者として、学校に復帰した。
学校側もまた、及川に騙された被害者として傷を負うことはなかった。
遥は、高倉たちを、またしても複雑な思いで見つめる。



及川が柏原収史さん。
酷薄なイケメンが似合ってました。
それが最後に、とことん卑怯で逃げてくれて、高倉さんにぶっ飛ばされて、情けなさそうな顔して逮捕されていく。

すばらしい!
悪役が何なのか。
どうやったら、カタルシス感じさせてくれるのか、よ~くわかってらっしゃいました。
予備校経営者は、加納竜さんでしたね。

教師が最後に、非合法な手段や力を使ってでも生徒を助けるのは、これまでの学園物にもあった設定。
ただ、この黒の女教師たちは、報酬を受け取って動く。
それで、今度の報酬はネクタイの5万円。

この5万円は、プレゼントのネクタイ代。
明日香が失恋した時、突き飛ばされてケガをしたのに対して、及川がネクタイを巻いてくれたんですね。
その代わりにプレゼントしようと考えていた、ネクタイ代。

及川は「5万円で生徒が手なずけられれば、安いもの」とブログに書いていたんですねー。
クラスのトップにいるような女子生徒たちを手なずければ、後はちょろいとか何とか。
ネクタイにしては5万円は高いですが、「課外授業」の報酬は今回は17万円とかじゃなくて良かったらしい。
つまり、依頼人にとっては、とっても意味がある金額を取るわけですね。

しかし、彼女はちゃんと困った人に対して、「助けてあげましょうか」と持ちかけている。
そうすると、動く理由にしているとも考えられる。
動く理由は直接には報酬だけど、他の学園物と同じく、屈折した正義感や生徒への愛情、理想がないわけでもないのかもしれない。

「ごくせん」も形を変えた「水戸黄門」だと思いましたが、「黒の女教師」もそんな感じ。
お金を取るという点では「仕置人」といえなくもない。
でも「JOKER 許されざる捜査官」の方が、話の性質上「仕置人」っぽかったかな。
だけどこの女教師さんたちは相手を流刑地に送るわけでもないし、「正義って何」とか考えてるわけでもないから、これでいいのかも。

しかし、学園内に正体を知っている人がいても、OKなんですね。
決まり文句はキックする時の「愚か者!」と仕置き相手に「(こういうのはだめなんだって)学校で教わらなかった?」
また、高倉は今回、最後に1人である家に向かっていました。

その家のインターホンを鳴らしたけれど、返って来た答えは「もう来てくれなくていい」というもの。
うーん、高倉に接近する転校生が、何か知ってそうなんですよね。
おもしろくなってきそうで、来週も楽しく見ます。
金曜の夜に、これは楽しいです。


ロンドンオリンピックが開幕して

ロンドンオリンピックが開幕しました。
私の友人は、先週、ロンドンから帰ってきて、空港から電話をくれたものの、翌日に草むしりを決行。
以来、具合が悪いらしく、今週は火曜日にメールをくれたきり。

先週の日曜日は30度と、その前の35度以上に比べたら比較的過ごしやすい気温ではあった。
しかし、気温15度のロンドンから帰ってきた友人には、キツイ温度と湿度であったことは間違いないと思う。
今日も凄まじい暑さで、エアコン入れずに仏間で読経していたら、頭痛がしてきた。

これはいかん!と、エアコンを入れました。
そこでハタ!と思ったのは、熱中症になってはいないだろうか…?ということ。
心配になってきた。

ロンドンの美しいガーデニングを見た後、自分の雑草が伸びた庭を見たら我慢がならなかったと言う。
しかし、代償は大きかった…なんてことにならないよう。
どうか、早く元気に連絡をくれますように。


「愚か者!」 黒の女教師 第1回

先週から始まった「黒の女教師」。
学園版・「必殺仕置人」ということで、期待してました。
「仕事人」じゃなくて、「仕置人」ですから。

第1回は、将来のエリート・イケメン弁護士を期待される男が、自分の恋人の女子高校生を売人に仕立ててハーブを売りさばく裏の顔を持っている話でした。
しかし、恋人と思っているのは女性高校生の方だけ。
彼にとっては女子高校生たちは利用する道具。
その女子高校生たちに男は、恋人へのプレゼントとして、ペンダントを渡している。

栄倉(榮倉)奈々さん演じる教師・高倉夕子は生徒たちからも嫌われ、先生たちからも距離を置かれている存在。
その高倉の下に、新任の青柳 遥(木村文乃さん)が赴任してくる。
最近、学校では脱法ハーブが持ち込まれていると噂になっていた。

クラスの生徒・山岸リオは恋人にハーブを友達に試してもらってと言われるが、結局、親しい友人もいない為、売り込むことができない。
1人でお昼を食べているクラスメートに近づき、ハーブを渡すことに成功するが、「自分に近づくなんて、おかしいと思った」と言う言葉に罪悪感を感じる。
結局、彼女はそのハーブを吸って、救急で運び込まれるはめになる。

遥はリオがハーブを持っていることに気づくが、リオはもう2度としないと謝る。
ここで自分が表沙汰にすれば、リオの将来は潰れてしまうかもしれないと思った遥は、自分独りの胸に仕舞っておくことにした。
すると、高倉先生は、「あの子は不幸になる」「あなたが不幸にする」と言う。

高倉は遥には扱いきれないと言い、遥の初任給全額の17万ちょっとを報酬に、自分たちが請け負うと言う。
遥は驚き、拒絶するが、高倉は必ず遥は自分たちを頼ると確信。
そして、クラスメートが倒れたことにしょっくを受けたリオは恋人の経営する店に行き、彼が女子高校生たちを操り、バカにしていることを知ってしまう。

だが遥は捕えられ、ハーブを吸わされそうになる。
助けを求められて店に向かった遥だが、代わりにハーブを吸えと言われて、自分ひとりではどうしようもないことを知る。
遥はその場を逃げ出し、見捨てられた形のリオはさらなるショックを受ける。

しかし遥はその足で高倉と内田すみれ(市川実日子さん)と、藤井 彩(小林聡美さん)がいる理科室へ向かった。
「あなたたちを軽蔑します!」と言いながらも、遥は初任給を叩きつけた。
「では課外授業を始めます」の言葉で、3人が動き出す。

男をハーブを買いたいと言う高倉がひきつけ、すみれが店に侵入し、パソコンを操作し、男が操っていた女子高生たち全員を店に集め、正体をバラす。
女子高生たち全員が、あのペンダントをしている。
開き直った男を相手に、高倉は「愚か者!」と一喝、回し蹴りを食らわせる。
男が吹っ飛ぶ。

そして、彩が妹を連れて店にやってきた。
妹が兄と言う男の正体を知る。
高倉が、害がないハーブと言うなら、妹に吸わせてみろと迫る。
さらに男が違法なハーブを扱っていたことは、弁護士会にも知らせてあるので、男のエリートとしての将来も消えた。

男はガックリとうなだれる。
高倉は、リオにも言う。
本当にその男が好きだったのか。

その男が持っている、ステイタスが好きだったのではないのかと。
日常に戻ったリオは、今まで「最悪」と嫌っていた高倉に笑顔を見せて挨拶するようになっていた。
その様子を、遥は複雑な表情で見送る。


彼女たち3人が、なぜ「学園版・仕置人」なのか。
それはおいおい明らかになるかもしれませんが、そうではなくて、元・警察官とか、自衛官とか、教師にはない特殊能力とか持っているのかと思いました。
だからそうは見えなかった彼女たちが、どうして仕置人をやっているのかと思いました。

そして、こんなことして大丈夫なのか!と思ってしまったんですね。
もっとすごい、コワイ相手だったらどうなっちゃうんだろうと。
でも警察官とグルだったり、回し蹴りが見事だったりするので、その辺はやっぱり、何かあるのかなと。
市川さんと小林さんで、「チャーリーズエンジェル」のようなバックがある組織なのかな?とも思いました。

早乙女太一さんが、女子高校生をバカにしながらカモにする男で、これが似合ってた。
栄倉さんがまるで、リオの状況を見抜いたように「安っぽいペンダントね」と言い放つ。
リオは竹富聖花さんで、「ヘブンズフラワー」の少女の殺し屋が似合ってましたが、今回は性格が全然違う役をこなしてました。
遥が思わず、かばってしまったように、確かに、ここで痛い目に遇ってしまうのは、かなりキツイ。

しかしそれを後回しにすれば、もっともっとひどいことになる場合がある。
リオの場合はそれ。
情けは人の為ならず…とでもいうのか。

高倉はそこも見抜いて「あの子は不幸になる」「あなたが不幸にする」と言う。
でも最後、遥より自分を救ってくれた高倉にリオは信頼を置いたのがわかる。
表面、非情だろうが、何だろうが、自分を救う行動をしてくれた人を慕うのは当たり前。

それを見た遥の複雑な表情。
人を、生徒を助けるって、そんな甘いものじゃないと言われたのと同じでした。
彼女は彼女のやり方を正しいと確信する為、今回は助けてもらったけど、高倉たちを否定し、自分のやり方で対立していくのでしょうか。

生徒の窮地を非合法とも言える手段で乗り込んで救うのは、「ごくせん」とも通じる路線かも。
ただ、これは生徒を救いたいと言う気持ちではなく、お金で動く。
「JOKER 許されざる捜査官」のような、表の顔とまったく違う裏の顔というわけでもない。
表でも十分、嫌われているし、問題視されているようです。

栄倉さんの無表情ぶり、非情ぶりがちょっとまだ板についていない感じもしましたが、これからですね。
浅野温子さんが演じた「沙粧妙子」みたいな感じだと迫力も凄みもあるし、ただもんじゃない感じがして怖い。
でも栄倉さんの演じた女教師は、男に秘めた怒りと軽蔑と憎しみは感じました。

スタイルの良い、長い足を使ってのキックもカッコよかったので、これからに期待したいと思います。
そうそう、水泳をやっているシーンがありましたが、綺麗に泳いでましたね。
水泳指導に岩崎恭子さんの名前があって、納得。

最後に悪人退治してカタルシス感じさせてくれるドラマは好きなので、頑張ってほしいところ。
1週間遅れだけど、金曜の夜10時に、楽しみに見ます。
小林さんと市川さんのこれからの能力発揮にも、期待。
それと、南果歩さん演じる校長先生が、実は「チャーリーズエンジェル」の「チャーリー」なのではないかと思っています。


もう後戻りはできまい 「雲霧仁左衛門」 第2話

第2話、「狙われた男」。


あるひどい雨の夜。
雲霧一党が盗人宿としている船宿「佐原屋」から、六之助が出てくる。
そこを、利吉と言う男に目撃される。

「因果小僧、六之助…」と利吉は、つぶやく。
利吉は六之助を知っていた。
胸を患って母1人子1人の利吉はその情報を売って、母親に孝行し、自分は養生すれば良いと考えた。

利吉は密偵の留次郎に六之助の話しをし、30両を要求した。
留次郎が利吉の話を火盗に持ち帰ると、「法外な値だ」と高瀬は言って反対した。
それより、利吉を捕えて情報を喋らせたら金は要らないと言うが、与力の山田は「信頼関係が大事だ」と言う。

山田のほかのもう1人の与力・岡田甚之助は、おかしら・阿部式部からお叱りを受けて腐っていた。
高瀬から相談を持ちかけられた岡田は、「金の相談ならお頭にすれば良い」と言って見回りに出て行く。
雲霧の小頭・吉五郎は、既に岡田に目をつけていた。

岡田は誘惑に弱く、金にも困っている男だ。
しかしも最近、女ができたらしい。
岡田の家は代々、与力の家柄だが、安部式部とはうまくいっていないようだ。
式部が山田を重用するようになってから、それはますます顕著になった。

吉五郎はお千代と州走りを近づかせることにした。
お千代はある料理屋に入り、飯炊きの女・八重の15両という借金の相談に乗っている岡田の背後にそっとつく。
八重は岡田に「店を辞めて、大家の妾になる」と告げ、「自分のことをあきらめてくれ」と言う。

帰り道、お千代は岡田に声をかけ、道具屋の女房だと名乗った。
そして岡田の持っている印籠が、自分の店の客の求めているものにピッタリだと言った。
お千代は印籠を譲って欲しいと言って、岡田を店に連れて行く。

店には主人に化けた、州走りの熊五郎がいた。
熊五郎は岡田の印籠を丁寧に拝見し、「譲ってもらえるなら10両でどうか」と話を持ちかける。
10両の値に驚く岡田に、熊五郎は「ご不満なら」とさらに15両を差し出す。
目の前に並べられた15両を、岡田は断ることができなかった。

その頃、留次郎は利吉に会っていた。
留次郎はまず前金の10両を利吉に渡し、残りは六之助を見つけてからだと言う。
利吉は盗人宿となっている佐原屋に留次郎を案内する。

すると、中から六之助が出てくるのが見える。
さらにその後、お千代が出てくる。
留次郎は、お千代の顔を知っていた。

「こいつぁ、大物だ。でかしたな」。
留次郎はそう言って残りの20両を要求する利助に、10両にまけるように言うと、お千代たちの後をつける。
だが、途中でお千代は船を操る六之助に、「小船がつけている」と注意する。
急激に方向転換したお千代たちの船は留次郎を追い詰め、六之助は留次郎に殴りかかる。

お千代は留次郎のことを、六之助がまだ幼い頃、雲霧のところにいた男だと言った。
だが現在は、1人働きをしているはずだった。
それがしばらく見ない間に、密偵になっていた。
「おかしらの恩を忘れやがって!」

留次郎が雲霧一味だったと知り、カッとした六之助は、お千代が止める間もなく、倒れている留次郎を刺してしまった。
「早まったね」。
掟を破って人を殺めた六之助は我に帰り、「姐さん、どうしたらいいんだ」と、うろたえた。

その頃、利助は金を持って、母親の元へ走っていた。
「この金で軍鶏鍋をしよう」と言った利吉だが、あっという間に血を吐いて倒れてしまった。
やがて留次郎の死体が見つかり、火盗は雲霧の仕業と見て利吉を探す。

佐原屋で六之助は、吉五郎に軽はずみを詫び、お千代は側にいた自分の責任と言ってかばった。
このままダラダラと、おかしらの仕置きを待つわけには行かない。
六之助がそう言うと、吉五郎はまず、「利吉と留次郎が誰とつなぎを取っていたか、それを調べろ」と言った。
そしてお千代は熊五郎とともに、早く岡田甚之助をこちら側に引き入れること。

全員に言い渡すと、吉之助は仕掛けておいた爆薬の導火線に火をつける。
火は走り、雲霧一党は佐原屋を脱出する。
佐原屋は爆発し、炎上した。

火盗の屋敷の前でウロウロしていた六之助は、仁左衛門に咎められる。
仁左衛門は「留次郎に1人働きを許し、結果的に密偵にしてしまったのは自分のしくじり。したがって、六之助に咎めはない」と言い渡し、忍び込んで調べようなどと危ないことはしないように言う。
お千代にもそう伝えるように言うと、仁左衛門も「まず、留次郎が誰と通じていたかを調べろ」と言った。

安部式部は、留次郎を殺したのは雲霧に違いないと言った。
山田は「どのような仕組みか…、おそろしい」とつぶやく。
式部は、密偵のお京を呼び寄せた。
利吉の住まいを訪ねたが、お京は「面引き」なので、そのことは良く知らなかった。

だが利吉には、片腕がなかった。
式部は雲霧に「仲間にあらざる」と判断された場合、片腕を落とすという掟に目をつけていた。
するとお京は、長い間労咳を病んでいる片腕の男がいることに気づいた。
その男には母1人しかおらず、住まいは葛飾にある。

熊五郎の店に、岡田がやってきた。
印籠が30両で売れたと聞かされ、お千代が連れてきたのだ。
「15両も儲けたので目覚めが悪い」と言った熊五郎は金庫から25両を出し、「取って置いてください」と言った。

その金額にさすがに怖れをなした岡田は、「何をたくらんでいる!」と立ち上がる。
するとお千代が受け取るように言い、「15両はそっくりそのまま八重に渡したのでしょう」と言う。
八重の名を聞いた岡田は、動揺する。

あとは八重を、どこかに囲ったら良い。
「火盗の役人が飯屋の女に入れあげたら、世間体が悪い」と、お千代は言った。
それを聞いた岡田はとっさに刀を抜くが、お千代がとっさに岡田の刀に手をやり、刀の前をすり抜ける。

岡田の抜いた刀を、熊五郎がすばやく弾き飛ばす。
熊五郎の構えた刃が岡田に向けられ、目が鋭く岡田を見据える。
同時に喉元には、お千代が小刀を突きつけていた。
岡田は、2人の形相に息を呑む。

恐る恐る横に目をやり、自分に刃を押し付けているお千代を見る。
「はめたのか…」。
「へい」。
熊五郎が返事をする。

喉元に刃を押し付けたまま、お千代は25両を手に持ち、「ご入用の時はいつでも」と優しく声をかける。
「わしに何が聞きたい」。
熊五郎はお千代の手から25両を取って甚之助の懐に入れると、刃を向けたまま、「かぶさの留次郎が何を聞いていたか」と尋ねる。

岡田は「刀引け」と言う。
用心深く刀を引いて見つめている熊五郎たちに、利吉が持ちかけた話をする。
雲霧の盗人宿を知っていると、利吉は言った。

だが、利吉の住まいはわからない。
熊五郎と並んだお千代に、岡田は「自分も留次郎のようには、なりたくない」と言った。
雲霧の仕組みの大きさ、巧妙さはよくわかっている。

岡田は懐に手をやり、25両を握り締める。
、「わしに目をつけるとは、雲霧仁左衛門、さすがだな」。
岡田の目は、うつろだった。

落とされた刀を拾う岡田に、熊五郎はなおも刃を向けようとする。
「どけ!」
熊五郎とお千代の間に岡田は割って入ると、戸を開ける。

岡田が出て行くとお千代が、「自分はおかしらと六之助にこのことを知らせる」と言った。
「へい」と熊五郎は返事をし、厳しい表情で「岡田甚之助…」とつぶやく。
料理屋で飲んでいた岡田は、八重に店を辞めるように言う。
そして「離れを見つけて、2~3日中に引っ越せ」と言った。

岡田に囲われるとわかった八重は、岡田の手を取り、「うれしい、私、一生懸命旦那に…」と言う。
その様子を表からひっそりと、熊五郎が見ていた。
わずかに熊五郎が視線を落とし、口元がゆるむ。

その頃、山田率いる火盗は、利吉の住まいを突き止めていた。
しかし既に利吉は事切れており、母親は正気を失っていた。
雲霧より先に利吉の住まいを見つけたのが、幸い。
「利吉を生きていることにする」と、山田は言った。

六之助もまた、熊五郎とともに、行商人を装って利吉の住まいを探していた。
途中、熊五郎に言われて六之助が、道端の百姓に利吉のことを聞きにいく。
百姓は利吉のことを、「この先の、おきよばあさんの息子で、もうすぐ戻るが労咳だ」と教えた。

それを聞いた熊五郎は立ち上がり、六之助は百姓に金を渡す。
「こんなに貰っていいのかい」と言う百姓に、六之助は「俺が利吉のことを聞いていたとは誰にも話さないでくれ」と言う。
鋭い目をして先に進む熊五郎の背後で、その百姓が走る。

百姓が向かったのは、岡っ引きの政蔵の元だった。
「来た、2人で来やがった!」
「間違いねえ、雲霧だ」。

その夜は、ひどい雨だった。
雨の中、吉五郎と熊五郎と六之助の3人が利吉の家の外を見張っていた。
六之助が近くに行くと、家の中で「り、き、ち…、り、き、ち」と、つぶやく声がする。

まだ利吉は帰っていないと六之助が報告に戻ると、ちょうど咳き込みながらおきよの家に入っていく男が見える。
利吉だ。
「行くぞ」。
吉五郎の声で3人が、利吉の家に向かう。

だが吉五郎が戸を破ると、利吉と思われた男はこちらに匕首を向けた。
利吉の母の老婆と思われた女が振り向いた。
それは利吉の母ではなく、お京だった。

罠だ。
吉五郎たちが後退する。
家の中から高瀬たちが現れ、吉五郎の背後から与力・山田が「雲霧、覚悟せい!」と現れる。

乱闘になり、格子の窓を突き破ると、吉五郎と熊五郎が外に出る。
「逃げてくれえ」と叫びながら、六之助は捕えられた。
振り返り逃げていく吉五郎たちを、お京は見送るしかなかった。

捕えられた六之助を見せて、「あれが六之助だ」と山田は言ったが、式部は「叩いても白状はしないだろう」と言った。
だが六之助は、意外にすらすらと吐いた。
しかし佐原屋は既に炎上して、灰になっていた。

高瀬は六之助を責めたが、式部は「これ以上責めると死ぬだろう」と言ってとめた。
明日にしろ、明日がダメなら明後日。
必ず実を結ぶ時が来ると、式部は言う。

その夜、精霊流しが行われていた。
吉五郎が六之助の名を書いた精霊流しをしようとして、お千代が「よしとくれ!」と怒る。
女たちが吉五郎に「軍師だろう」「六を見殺しにするのか」「指示してくれ」と言う。

だが仁左衛門に断らず、勝手に動くわけにはいかない。
「男はみんな、いくじなしだよ」とお千代は立ち上がり、お松に髪を結うように言う。
式部が頭の上がらない、若年寄の奥方になって乗り込む。

「そりゃあいいや!」と言うお松だったが、吉五郎は「思いあがるんじゃねえや!」と叱咤する。
お千代に何かがあったら、仁左衛門に詫びようがない。
そう言われてて、お千代も女たちも大人しくなった。

その頃、仁左衛門は火盗の式部の屋敷の見取り図を前に思案していた。
六之助が捕えられている牢を、じっと見て考える。
お千代がやってくる。

仁左衛門は図面を片付け、「岡田甚之助はどうしている」と聞く。
岡田は役宅には戻らず、八重のところに入り浸っていた。
熊五郎がずっと、見張っている。

その夜、岡田は八重の眠っている床を離れ、廊下に出た。
すると、何の気配もなかったのに、縁側に後ろ向いて座っている男がいた。
岡田はギョッとする。

「もう後戻りはできまい」。
後ろを向いたままの男が話す。
岡田は息を呑む。
「牢屋、台所に油を流し、火を放つ。時は八つ半きっかり」。

それだけ言うと、男は立ち去った。
目を見張り、我に帰った岡田は男の後を追う。
その時、岡田は何かを踏む。

縁側に小判が積んであった。
「もう後戻りはできぬ、か…」。
小判を手に、岡田は寝ている八重を振り返る。

火盗の役宅で寝ていた式部は、きな臭さに起き上がる。
駆けつけた山田と高瀬に「何ぞ燃えておらぬか」と言う。
すると、牢には数人の火盗がいて、懸命に消火していた。
「あっという間だったのだ!」

そこに旗本火消・上村左京を名乗った仁左衛門と、顔を隠している吉五郎と熊五郎が続いてやってくる。
3人は、「火の手を見て、やってきた」と言う。
火盗たちが火消しに奔走する混乱の中、吉五郎が牢を壊す。

山田に向かって仁左衛門が「上村左京」とを名乗り、式部に伝えるように言う。
「火の元には、くれぐれもご用心」。
そう言って、仁左衛門たちは六之助を連れ、悠々と脱出した。

翌日、式部は火盗に仁左衛門一家を根こそぎにするまで、絶対にやめないと言い渡す。
このままでは死んでも死に切れない。
「良いな、わしは辞めぬぞ!」

そして、火盗全員に頼むと言う。
式部の顔を岡田がじっと見つめる。
山田が檄を飛ばす。

寺の山門で、吉五郎が仁左衛門につなぎをとっていた。
まだ、岡田のことは誰も気づいていない。
「少し、自分にしては荒事に過ぎたかな」と仁左衛門は言う。
「勘弁しろよ、吉五郎」。

「おかしら、そろそろ、例の大仕事にかかりませんと」。
「うん、ゆるゆるとな。殺生せずに、ゆるゆるとな」。
例の大仕事とは何か。
仁左衛門の考えは、誰も知らない。



お千代の顔を知っている留次郎が第1話からの不安要素だったんだけど、それは解決。
しかし、因果小僧六之助が、いきなりピンチに陥ります。
だけど、既に雲霧一味は、火盗の不満分子・岡田甚之助に目をつけていた。

上司と上手くいってない。
借金のある女性に、入れ込んでいる。
こういうことがあると、付け入られる。
雲霧は目の付け所が鋭い、うまい。

罠にはめる時の熊五郎が、実直で目利きの古道具屋にしか見えない。
お千代といい、見事に化ける。
そして岡田が抜いた刀をお千代が押さえながら、岡田の前を横切る。
再び刀を構えた岡田の刀を、見事に弾き飛ばす熊五郎。

このシーンが、あっという間でものすごくカッコイイ。
直情的な六之助に対して、穏やかに見えて、いざという時に怖い熊五郎。
一変した熊五郎のにらみが、すごく怖い。
これが本性だと思う。

「はめたのか」。
「へい」。
簡潔なやり取りだけど、凄みのある熊五郎に、岡田は覚悟を決めた。
もう無駄な抵抗はしない。

だがそこは、火盗改め。
せめてものプライドと威厳を込めて「どけ」と言い、2人の間を割って出て行く。
もう、八重とともに、堕ちるところまで堕ちてしまおうと岡田が覚悟を決めたのがわかる。
平泉成さんの演技も、秀逸。

そんな岡田と、うれしそうな八重を見て、わずかに視線を落とし、熊五郎が微笑む。
岡田が見事に落ちて、笑っているのか。
いや、何も知らずに喜ぶ八重を哀れに思っているようにも見える。

一方、雲霧一党は、見つかってしまった佐原屋を惜しみなく炎上させる。
火盗も考えて、利助を生きていることにしておびき寄せる。
互いの知恵比べ。

そして利助の居所を探りに来た、熊五郎と六之助。
笠を深くかぶり、あんまり百姓にも顔をはっきりと見せないのが熊五郎。
利助の家を聞くと、長居は無用、さっさと立ち去る。
あれじゃ、確かに後で熊五郎を見てもあんまり良くわからないはず。

利助がいると信じた吉五郎たちを、火盗は罠にはめた。
乱闘になってもさすが、元武士の吉五郎と腕の立つ熊五郎は、火盗を殺さずに、からくも逃れる。
しかし、六之助は捕まってしまった。

火盗の手足になっているお京が、とっても腹立たしく思える。
元ピンクレディーの増田恵子さん、ここでは個性を発揮して、はまり役を演じている。
だけど振り向いたお京の顔も、しっかり割れた。
雲霧の反撃も怖い。

やたらに殴る高瀬と違って、式部のやり方は違う。
六之助も、言っていいことはアッサリ喋るが、肝心なことは何も言わない。
精霊流しで、六之助が殺されているかもしれないと思っている吉五郎。

決して非情なだけではない、いつでも覚悟をしているのだと思う。
だが、女性たちには納得が行かない。
そこで怒るお千代が乗り込もうとすると、思いあがるんじゃないと怒る。
しかし、後でわかるが、雲霧一味は仲間をアッサリ見捨てたりしない。

これは結局、男のドラマなんだと思います。
女性中心の「大奥」とか、女性目線もおもしろいけど、この感じはやっぱりいい。
八重のところに入り浸っている岡田の元に、気配なく現れる仁左衛門。

戸を開けると、後姿の男が座っている。
いつからいたのだろう?
自分はまったく気づかなかった…。

それだけでも不気味なのに、この男は何でも知っている。
後ろを向いたまま、というのがまた、迫力。
言うことだけ言って去る。

後を追う岡田が踏む小判。
問答無用なのだ。
これが、あそこで眠っている女と小判の代償なのだ。
「落ちる」ということなのだと悟った岡田。

大胆にも牢に乗り込んでくる仁左衛門と、おそらく吉五郎と熊五郎。
煙から顔を隠していると思われるが、顔を隠していても、こちらには予想がついている。
してやられた式部は、新たに決意。

隙のない熊五郎や吉五郎と違って、今後の不安要因は六之助。
ついに顔を知られてしまった。
第1話「おかしら」が仁左衛門と式部なら、この第2話「狙われた男」は六之助と岡田のこと、両方でしょう。

タイトルまでがうまい。
火盗との争いは、ますます激化。
そして、雲霧の狙いは?


2人のおかしら 「雲霧仁左衛門」 第1話

第1話、「おかしら」。


長屋で平凡に暮らしているように見える、1人の男がいた。
その男の正体は大盗賊、雲霧仁左衛門だった。
「犯さず、殺さず、貧しき者からは盗らず」。

盗賊ながら誰一人傷つけず、雲のように侵入し、金だけを盗って霧のようにいなくなる。
したがって「雲霧仁左衛門」。
彼らを英雄視する庶民も、多かった。

火盗の密偵になった「鹿伏の留次郎」は、同心・高瀬の追及に、自分が最後にお盗めをしたのは三月前、宿は葛飾と白状した為、早速火盗が向かった。
だが、留次郎が密偵となっていたことなど、雲霧側はとうにお見通し。
宿は空だった。

「おかしら」仁左衛門の元にまとまっている、雲霧一党。
この完璧さに、これまで火盗はいつもしてやられていた。
その夜、長屋から1人の美しい女・お千代が大店の武蔵屋に嫁入りする。

武蔵屋の若旦那は、どうしてもお千代を嫁に出来なければ首をくくると言ったらしい。
あこぎな武蔵屋でも息子の願いには負けた、と、人々は噂した。
お千代は、親代わりの叔父に挨拶した。

病気がちの叔父に代わって、近江屋という商人が婚礼に出る。
この近江屋、実は雲霧一味の小頭で「木鼠の吉五郎」という男だった。
祝いの酒を持って来たのは、やはり雲霧一味の「因果小僧・六之助」と呼ばれる若い男。
婚礼の駕籠に付き添いながら、吉五郎は鋭い目であたりを伺う。

お千代を迎えながら、若旦那は今日から身代は嫁を貰って、一人前になったと言う。
そしてご金蔵の鍵を見せ、自分が預かることになったと言った。
婚礼が始まり、酒の支度がされる。

店の前の通りの暗がりに、1人の男がいる。
それは「州走りの熊五郎」という、雲霧一味の男だった。
火の用心という夜回りの声に、熊五郎は黒い布を広げて身を包むと、暗がりの地面に寝転がり、周りの闇と同化する。
夜回りが通り過ぎると、布の下からのぞかせた州走りの目が光る。

床入りでやってきた若旦那はお千代の前で、だらしなく眠りこける。
酒に薬が入っていたのだ。
眠りこけた若旦那を「しつこい男」と言ってお千代は蹴飛ばし、鍵を手に取る。
そして「おみつ」と声をかけると、呼ばれた「白糸のおみつ」という下働きで入り込んだ女が、眠りこけている奉公人を避けてやってくる。

表に黒装束の男たちがいる。
「どのようなことがあっても、人を傷つけてはならぬ」の仁左衛門の一言で、男たちが見張りを残して中に入る。
おみつが出て来ると、仁左衛門が半年の間の労をねぎらう。

中ではお千代が鍵を渡し、蔵が開けられる。
仁左衛門の配下が床下の蔵に入り、代わる代わる千両箱の中から小判を持ってあがる。
小判を持って、仁左衛門たちが待たせていた船に乗り、川を渡っていく。

翌朝、武蔵屋は銭を盗られたとわめき、息子はお千代を盗られたと嘆いた。
密偵の留次郎は、この若旦那をひっかけたのはおそらく、「七化けのお千代」だろうと言った。
どんな種類の女性に化けることから名付けられたが、年齢は不詳。
7歳の時から雲霧に引き取られたが、留次郎はお千代の顔だけは見知っている。

火盗はすぐに、お千代がいた長屋にふみこんだ。
近江屋も仲間として、店に踏み込んだが、近江屋も既にもぬけの殻であった。
2年越しで仕掛けられた罠であっては、見事としか言いようがない。

お千代を乗せた船を、長屋では叔父と名乗っていた男、「寝牢の治平」が漕いで行く。
仁左衛門に久しぶりに会うお千代に、六之助がとやかく言うと、お千代は「おかしらとはそんな仲じゃない」と言って、六之助を平手打ちする。
吉五郎によると、六之助は仕事もできるし、度胸もいいが、女好きなのが困るということだった。

今日は、7つの時、お千代が仁左衛門に拾われた日なのだ。
火事で父親を失い、焼け出されたお千代はお助け小屋でも冷たい扱いを受け、仁左衛門の懐を狙い、その後、仁左衛門の後をついてきたのだ。
お千代は今でも、半鐘の音を聞くと平常心でいられない。
仁左衛門に「もう面引きは辞めるか」と言われたお千代は、「おかしらに拾われた自分は幸せ」と言う。

「幸せ、か…」。
いずれ、仁左衛門は雲霧一味を解散し、普通の人間として市中に潜ませ、安泰の暮らしをさせたいと思っている。
仁左衛門は、お千代にみかんを手渡す。
お千代と仁左衛門を訪ねて、小頭の吉五郎がやってきた。

小頭の吉五郎は、元は立派な侍だったようだ。
吉五郎は火盗の長官が首になり、今度は安部式部という男が後任についたと知らせに来た。
仁左衛門は式部の剣の腕も、高潔な人柄も承知していた。
だが相手を知る為に、今度のお盗めはしばらく休むと言った。

新しい長官を迎える火盗たちは、雲霧は一度市中に潜んでしまうと盗賊だが市民だかわからない。
汗水たらして探る自分たちの苦労を、書類に目を通せば良いだけの上の者は、まったく理解しないとぼやく。
その時、「いいかげんにせい」と鋭い叱咤の声が響き、新しいおかしらの安部式部がやってくる。

式部は「愚痴をこぼすな」と言い、「自分の役目は雲霧一味を捕えること」と言った。
「盗賊に正義などあるはずはない」。
そう言う式部部は、火盗の心得を確かめると、密偵を遠慮なく使えと言う。

若い高瀬が意見をするのを与力・山田藤兵衛が抑えようとするが、式部は聞き入れる。
高瀬は、元は同じ穴の狢の盗賊である密偵に、同心たちは相当な金を使う為、生活が困窮していることを訴える。
だが式部は私財を投げ打つ覚悟であり、密偵たちには自分が直接会うと言う。

安部は山田藤兵衛に案内され、お千代を知っている留次郎、そして料亭の仲居をしている、元は「面引き」だった密偵のお京に会う。
お京は今、雲霧の一味ではないかと言う男に、狙いをつけていた。
それは「草間の勘造」と言って、6年前、人を殺した為、雲霧が縁を切った男だった。

今、雲霧は裏で高利貸しを営む医師・竹村玄洞に狙いを定めていた。
行商人を装った熊五郎の探りによると、蔵の前には用心棒が3人。
いずれも熊五郎が見たてたところ、太刀筋は相当なもの。

他には番頭が1人と女房がおり、貯め込んだ金は5百両以上ということだった。
仁左衛門は「相手の出方を知る為に一つやってみるか」と言うと、「富の市」を呼び寄せた。
富の市は、按摩を装った雲霧一味の1人だった。

仁左衛門は、式部が自分の元を去った盗賊を、密偵にしていることも承知だった。
その夜、富の市は按摩として、竹村玄洞の家に入り込むことに成功した。
富の市は実は目が見えているが、目が不自由なのを装いながら、しっかり竹村玄洞の家を探る。

式部の密偵・お京は美人で愛想が良く、料亭の客たちに人気だった。
お京を訪ねてきた勘造を、お京は奥座敷に通した。
勘造は仁左衛門と縁を切られた現在、盗賊・暁の星右衛門の一味だった。

お京は勘造に所帯を持ちたいと言った。
勘造は、お京を引き込みに使うことに決め、星右衛門が留守中なのをいいことに、勝手に竹村の身の回りの世話をする番頭の女房を殺す。
そしてその代わりに、お京を入り込ませることにする。

翌日、竹村の屋敷に向かって、勘造に刺された瀕死の番頭の女房が歩いてくる。
それを、通りかかった熊五郎が受け止める。
番頭の女房は、熊五郎の目の前で事切れた。

熊五郎は、洗濯物をしている女性に構う六之助に石を投げて呼び出した。
番頭の女房が殺されたことを知らせ、引き込みを入れるなら今だと教えた。
その頃、火盗相手に刀を売ろうと、仁左衛門は露店を広げていた。

式部は1本の刀を見せ、次第に寄っては売っても良いと言った。
だが仁左衛門は、式部の刀を無名ながら名刀と見抜いた。
式部は、刀剣屋でも見抜けなかったものを見抜いた仁左衛門に向かって、刀を一振りした。

すると仁左衛門は、見事によけた。
山田は目を見張り、式部は無礼を詫びて立ち去った。
市中で仁左衛門は勘造を見かけ、密かに後をつける。

勘造と会ったお京は、竹村の屋敷に雇われることに成功する。
暁一味は、血を見るのが好きだ。
押し込みは今夜に違いないと仁左衛門は目をつけ、吉五郎と2人、屋敷を見張ることに決めた。
富の市が「竹村の2階の様子がおかしい、役人が張り込んでいるのではないか」と伝えてくる。

その通り、押し込む暁一味を、火盗が待ち伏せしていた。
合図でお京が、竹村の家の門を開ける。
勘造たちがお京の手引きで門を通った時、その門を背にした背後から火盗が踏み込んできた。

すると、お京は火盗の元に走った。
「裏切ったのか!」と言う勘造にお京は、「最初から密偵だった」と笑った。
屋敷内で、火盗と勘造たちの乱闘が始まった。

その騒ぎの中、熊五郎が仁左衛門に火盗が踏み込んできたことを知らせに来る。
馬に乗った式部がやってきて、「手に余るものは斬り捨てて良い!」と申し渡す。
竹村の屋敷から逃がれる勘造に、仁左衛門が声をかける。

四方を仁左衛門、吉五郎、熊五郎と富の市に囲まれた勘造は、逃げようとして熊五郎に取り押さえられる。
仁左衛門は「急ぎ働きは許さん、即刻、江戸を立ち去るよう」、告げる。
勘造は逃走しようとして吉五郎に行く手を阻まれ、再び熊五郎に捕えられた。

そして勘造は、近くの廃屋に連れ込まれた。
富の市と熊五郎にはさまれた勘造は、仁左衛門に「返事の如何によっては命を貰う」と言われ、がっくりと膝を崩す。
返答を迫られた勘造は、自ら持っていた刀で首に斬りつけて自害した。

もがく勘造を、吉五郎が蹴飛ばす。
仁左衛門は熊五郎に、「捕り方にまぎれて鍵の蝋型を取れるか?」と聞いた。
熊五郎は「へ~い…」と返事をする。

屋敷内ではまだ、火盗と盗賊が戦っていた。
その中を、捕り方の姿をした熊五郎が行く。
山田が式部の「斬り捨てて良い」という言葉を伝える。

竹村が怯えながら、退いていくのを熊五郎が追いかけ、体を引っ張って転ばせる。
「痛い痛い痛い」と言う竹村から投げ出された鍵を拾った熊五郎は、薄ら笑いを浮かべながら去っていく。
「鍵ーっ」と叫ぶ竹村から隠れた熊五郎は、しっかりと鍵型を取り、痛いと引っくり返っている竹村の前に鍵をかざすと、投げ出した。

取った鍵型から、熊五郎は鍵を作る。
鍵のできるまであと一時(いっとき)。
吉五郎は仁左衛門に、そのことを伝える。

「ではお盗めは今夜」。
鍵を作る熊五郎に吉五郎は、仁左衛門が「あの騒ぎの中で蝋型を取れるのはお前ぐらいだ」と誉めていたことを告げる。
作った鍵が蝋型にピッタリなことを確認した熊五郎は、ろうそくを吹き消す。

その夜、静まり返った竹村の屋敷前で、闇に紛れて大きな黒装束に身を包んだ熊五郎が移動していく。
あたりを伺いながら、屋敷の門の前に行き、防火桶の隣にうずくまると、その黒い塊は辺りと同化した。
ゆっくりと布を上げ、熊五郎が顔をのぞかせる。

その頃、屋敷内にいた富の市は鍋の底をさらい、黒い煤を顔に塗りたくる。
屋根の上に乗った富の市は、吉五郎を屋根の上から屋敷内に下ろす。
縄を伝わって下に降りた吉五郎は、蔵に向かう。

蔵の前には用心棒が3人、仮眠を取っていた。
吉五郎と反対側から熊五郎がやってくる。
あっという間に吉五郎は寝ている1人を気絶させ、もう1人、起き出した用心棒の口を塞ぐ。
熊五郎がその用心棒を蔵の前から連れ出して、気絶させる。

さらに最後の1人を吉五郎が熊五郎に向かって放り出すと、熊五郎が殴りつけて気絶させる。
熊五郎が鍵を吉五郎に向かって放り投げた。
その際、用心棒の1人が起き上がりかけたのを、乱暴に蔵の前からどかせて気絶させる。

蔵の鍵は見事に開いた。
吉五郎が中に入り、熊五郎が注意深く外を見張る。
富の市が屋根の上を走り、縄を放り投げると、その先に小判が入った袋がくくりつけられる。
重いその袋を富の市が外に投げると、黒装束がそれを運んでいく。

その頃、お京は今回捕えた盗賊が、雲霧の一味ではなかったことを口にしていた。
だが若い同心・高瀬は、盗賊を捕えられたのはお京の手柄だと言った。
式部は直々にお京をねぎらい、山田が「暁一味16名、そのうち小頭の勘造以下、7名が死亡」と伝えた。
残り9名は4日後、引き回しの上、磔に決まった。

その時、式部たちに、竹村の屋敷から850両が盗まれたという知らせが届く。
しかも全員が眠っている間。
用心棒たちは当身を食らって気絶していた。
誰一人として、殺傷はなし。

「雲霧仁左衛門…」。
式部がつぶやく。
もはや一刻も、猶予はならない。
山田は、一味が潜んでいると思われる一帯の人別を改めるとは言った。

火盗による人別改めが始まった時、仁左衛門は船の上で釣りをしていた。
水中から突き出た細い棒が、水の上を移動して近づいてくる。
仁左衛門がそれを見ると、船の前で川の中から熊五郎が顔を出す。
熊五郎は、棒をくわえてにやりと笑うと、横を向いた。

その視線の先をたどると、火盗が走ってくるのが見える。
熊五郎は再び棒を口にくわえると、水の中へ消えていく。
仁左衛門は釣竿を引っ込めると、着物を捨て、船から水の上に静かに落ちる。

水中で熊五郎と右と左に別れた仁左衛門は、既に違う土地にいた。
身なりを変えた仁左衛門。
途中、露天でみかんを買い、手に持って歩いていく。



「雲霧仁左衛門」の本放送って、野球やらスポーツ中継が多くて、しょっちゅう放送がなかった印象。
これはそれでも見たいとDVD嘆願署名まで行われ、DVDになった作品。
本当にファンに支持され、視聴者に認められて求められた作品なんでしょう。

一足先に未放送分最終回まで見られた人は、「これを放送しなかったなんてバカだ!」って言ってたぐらいだそうです。
確かに、それぐらい見事に終わった。
90年代で最高の時代劇と言われる「雲霧仁左衛門」。

芸術作品のようだとは聞いていましたが、改めて、工藤栄一監督ってすごい!と思います。
「これ、出られなかった俳優は、見たら悔しかったと思うよ」という意見も聞いてたけど、そうかもしれない。
必殺スタッフが作り上げた、映像もすばらしい。

盗賊の潜む闇。
同化していく闇。
姿が垣間見えるほどの光。
そして昼の映像の鮮やかさ。

タイトルの「おかしら」は雲霧はもちろん、式部のことも表してるんですよね。
どっちも良いリーダー。
仕事の腕が超一流である。
部下に慕われ、信念を持っている。

そして、部下の能力を、最大限に引き出せるようにしてやる。
部下は部下で、そんなおかしらに一員として認めてもらい、おかしらの役に立つことが喜びになる。
仁左衛門と式部は立場は違うけど、これらが共通してる、最高のリーダーです。

露店で刀を買うと言いながら、式部の刀が無名ながら超一級品とわかった仁左衛門が、「買うお金を持ち合わせておりません」と言う。
この言葉で刀が超一級品だってわかったり、セリフがいちいち粋。
それから、勘造が自害するシーン、山崎さんは人を斬りたくなくて自害に追いこまれる、ということになったらしい。

石橋蓮司さんの抑えた小頭の声が、本当に渋い。
後半、どんどん出てきたのが、熊五郎と富の市。
熊五郎が、できる男でカッコイイ。
野蛮で凶暴に見えたかと思うと、冷静で器用で、何でもこなす。

何考えてんだかわからなくて、ちょっと怖い。
余計なことは言わない。
石投げて呼び出すから、「口が足らない!」って六は怒ってたけど、その後、実力負けしてしまう。
騒動の最中、火盗がいる中で鍵まで型取ってきて、作って来る。

最後におかしらの元へ無言で泳いできて、ニヤと笑う。
このニヤが、ちょっと不気味で良い。
水から上半身を出して、無言で横を向くと、そこには火盗の走ってくる姿が見える。

再び呼吸用の棒を加えると、すーっと水に入っていく。
この一連の動作が、なめらか。
水中を泳いでいる時も、どこか楽しそうというか、笑ってる。

適材適所といった配役。
山崎努さんは言うまでもないですけど、石橋蓮司さんとか、本田博太郎さんとか、六平直政さんの雲霧一党と、中村敦夫さん、西田健さんや平泉成さん、鷲生功さんの火盗まで全員、俳優さんがすさまじいまでの迫力。
ハマっているとか、うまいとかじゃなくて、もうさすが。

どなたかが、このドラマに「タレント」は1人もいないとおっしゃいましたが、ほんと、プロの俳優のお仕事だなあと思います。
だからか、主役でさえも必要以上に見せ場を作らなくても成立する。
誰を引き立てようと脚本でお膳立てしなくても、全員がちゃんとしていれば、それぞれに見せ場ができてしまう。
全員、実力があるからできること。

主演を引き立てるためのプロモーションビデオじゃないドラマっていうのは、本当におもしろい。
しかし、ここまで俳優さんを選んで、そして活かしているのを見ると、工藤監督という監督は、本当に俳優さんたちを理解していたと思えます。
工藤監督は、この俳優さんたちにとって、ただのお世話になった監督がいなくなった以上のことだろうな。
そんなことまで、思いました。


オリンピックに出る男の手は汚させられない… 「たそがれに標的を撃て」

「たそがれに標的を撃て」。


銃を使った凶悪犯罪に対抗する為、警察は特殊狙撃班を組織した。
オリンピック候補になるほどの名手が、矢崎班長だった。
ある日、警官が暴走する車を止めようとしたところ、乗っていた男が銃を発射して逃げた。
やがて犯人は銃器店に押し入って、銃や弾丸を手に入れ、通りかかった幼稚園バスをバスジャックして逃亡する。

特殊狙撃班に出動命令が下った。
矢崎班長は犯人を射殺。
人質は解放された。
だが、犯人はまだ少年だった…。

矢崎が狙撃したことを、新聞はこぞって書きたてる。
世間の非難に、警察も矢崎をかばいきれない。
だが矢崎は事件以来、犯人の位牌を仏壇に供え、拝んでいた。

数年が経った。
矢崎は自分が射殺した犯人に対し、毎朝、線香を供え、手を合わせている。
もちろん、人を射殺した男には、オリンピックの話は回ってこない。

そしてある日、また銃を持った凶悪犯の立てこもり事件が発生する。
再び、矢崎に出動命令が下る。
もう1人、矢崎を尊敬する部下は自分を参加させてくれないことに不満を抱く。

だが、上層部は言った。
「奴はオリンピックに出るのだ。手を汚させるわけにはいかない」。
矢崎は現場に向かう車の中にいた。

その矢崎の背に、オリンピック出場が決まった部下の喜びの声が響く。
「本当ですか!自分が!」
部下の弾んだ声と、祝福の声を背に、矢崎は現場に向かう。
「光栄です!一生懸命、頑張ります」。

その声が胸に響く中、矢崎は黙って銃を構える。
あの時と同じ。
夕闇が迫っていた。


事件よりむしろ、それが起きた後の矢崎班長を追ったドラマ。
もちろん、バスジャック事件と犯人の逃走、犯人逃走から射殺までの息詰まる展開はあります。
でも重いのはその後。

新聞記者は、少年を問答無用で射殺したと非難する。
寡黙な矢崎班長は、事件について語らない。
警察もかばえない。

オリンピックの候補になるほどの腕を持ちながら、彼の人生は一変して裏街道を歩くものになる。
だが、狙撃班の部下たちは矢崎班長を尊敬している。
矢崎班長のような仕事をしたいと思っている。

そこに上層部の一言。
「手を汚させるわけにはいかん」。
残酷。

ハリウッド製や、石原軍団の刑事ドラマなら、新聞記者や上層部に天罰とも言える災難がふりかかるところ。
「ダーティハリー」ではスクールバスをジャックした犯人が、結局ハリーに射殺された。
あれではもう、誰も非難はできまいという状況で。
最後、犯人と向かい合ったハリーが、「弾丸の数を数えるのを忘れた、今、俺の銃には弾丸が残っているかな?」と言う問いかけがされるのがうまい。

途中、強盗犯にこれを問いかけ、強盗犯が弾丸が残っていると思って観念したところ、弾丸は残っていなかったんですね。
それで、逃げられたはずの犯人がハリーに悪態をつく。
今度はこの犯人は弾丸が残っていないと判断し、笑いながら銃を向けた。
しかし、ハリーの銃は火を吹き、犯人は倒れる、というニクイ、クライマックス。

だけどこのドラマには、そういう結末はない。
書きたてた無責任に思える新聞記者にも、警察の上層部にも「天罰」は下らない。
そして矢崎班長を教訓にして守った部下の、オリンピック出場が決まる。
喜びの声の中、矢崎班長には出動命令。

エコーする喜びの声の中、矢崎班長は現場に向かう。
あの時と同じ、夕闇が迫っている。
流れる「聖母たちのララバイ」。
これ、火曜サスペンス劇場で放送されたんです。

いや~、映画並みの一編でしたよ!
矢崎班長を演じた菅原文太さんの、寡黙にして渋いこと!
子供たちを無事に助けなければいけない使命。
だが、少年を射殺した罪悪感は消えない。

まるで自分に罪を課すように、彼は「汚い仕事」をこなす男になる。
「汚れた英雄」。
私は菅原さんの作品で、印象に残ったものをあげろと言われたら、これをあげると思います。
それほど、存在に重みがあった。

ラスト、彼は表情ひとつ変えない。
だからこそ、彼の心の痛みが、痛いほどこちらに伝わってくる。
忘れられないラスト。

オリンピックというと、思い出すドラマでもあります。
私は「夕闇に標的を撃て」だと思い込んでいたので、検索かけても全然情報が出なかった。
こんなにまで覚えているものが、私の夢か妄想のはずないし、と、しばらく悩んでいたのでした。

「菅原文太 火曜サスペンス劇場 狙撃」でやっと自分の間違いに気づきました、とほほ。
そんなわけで、この内容にも疑問を持たれるかと思いますが、キモは違ってないと思いますよ。
素晴らしい作品です。
DVDにするか、どこかで再放送してください。


夏休みだな~

数人の小学生が、朝からサッカーボールを手に出かけていく。
夏休みだな~。
しかし、最近は夏休みの朝、9時や10時から子供向けのアニメや特撮って放送しないんですね。

私が子供の頃、夏休みのこの時間帯は、「ジャイアントロボ」とか「キューティーハニー」をよく放送してくれました。
何度も見ているのに、なぜか見てしまう。
「ジャイアントロボ」は「んまっ!」と言っているのか、「なすっ!」と言っているのか。

話し合ったこともあった。
何て平和な夏休み…。
それで、とんでもなく早いというか、そういう話は不吉なんだけど、今年の9月1日って土曜日なんですね。

本来なら行かなければ行けない学校に、3日から行くってことなのかな。
9月1日が日曜日だったりとかだと、何となく、得した気分になりませんか。
その代わり、1週間みっちりありましたけどね。

休み明がとことん、きついので、1~2日行ってお休みが自分としては楽でした。
しかし、9月1日の絶望感と言ったらなかったな。
あれを味わわなくて良いなら、、学生じゃなくて良かったと思うほど。
でもね、その分、いやそれほど、夏休みって楽しいもんだったんですね。

そして、夕方。
公園の近くの道を通っていると、子供が2人、空に向かって人さし指を1本立てている。
一番ってこと?
人さし指を1本立てて、空を見上げてる。

ついでに私も空を見る。
あ、とんぼ!
そうか、とんぼを止まらせようというのね。
夏休みだな~。


自分の金で飲むのが一番 助け人走る 第34話「必死大逃走」

第34話、「必死大逃走」。


ある夜、芸者が買い占められてしまって、お吉が呼ばれた。
自前芸者はお吉しかいないのだ。
お吉が呼ばれたのは、座敷は塩問屋・讃岐屋と差配役の諸口剛造の座敷だった。
諸口は養子だったが、先代の後を継いで差配役になった。

だが諸口は、先代をたたえる讃岐屋の態度が気に入らない。
持って来た菓子折りを持ち上げ、軽さに顔をゆがめる。
外に出た讃岐屋も、想像以上に難しい方だと言って、ため息をついた。

座敷に呼ばれたお吉は、諸口から菓子をやると言われ、先ほど讃岐屋に貰った菓子折りを与えられる。
廊下を帰って行く諸口は、待っていた塩問屋・坂出重助の座敷に引き入れられた。
坂出屋は、日本橋に塩問屋を出したいと言う。

だが、一地域に問屋はそれぞれ、ひとつ。
坂出屋は番頭の三平に、芸者を大勢呼ばせ、諸口をもてなし、諸口は上機嫌になる。
廊下に出た坂出屋は、用心棒の陣内に「手はずどおり、ことを運べ」と告げる。
間もなく、讃岐屋は御禁制の品を扱っていたと捕えられ、処刑された。

諸口の家には、商人からの付届けが山のように届いた。
妻のみねは、父親の代にはこのようなことはなかったと心配する。
だが諸口は妻が自分を養子だから見下していると言い、仕事に口出しは無用と突っぱねる。

諸口が町を歩くと、讃岐屋の後釜を狙って、次々、商人たちが声をかけてくる。
そんな中、坂出屋が今夜も諸口を座敷に呼んだ。
同じ頃、助け人のところにお吉が、讃岐屋の番頭の佐助をつれてきた。

讃岐屋の主人は、法を犯すような真似はしない。
主人にこの恨みきっと晴らすと約束した佐助は、黒幕は諸口と坂出屋と見当をつけて依頼をしてきたのだ。
利助はこの話には、嘘がないか確認し、助け人が動き出す。

坂出屋の番頭の三平は、諸口の接待に呼ばれていることから、仲間から「良いご身分だな」と嫌味を言われる。
だが三平は仕事に励みながら、「いつでも代わってやるぜ」と言うのだった。
その夜も三平は諸口の座敷に呼ばれ、腹に絵を描いて踊り、諸口の歓心を買う。
しかしその座敷に佐助が飛び込んできて、讃岐屋をはめたのは坂出屋と諸口だと言った。

諸口が刀を手にするが、坂出屋が止める。
その頃、矢場では坂出屋の用心棒の陣内が、矢にいちゃもんをつけてきた男を的にして追い払う。
このすぐ後に三平と諸口が、その矢場に遊びに来る。

諸口が遊んでいる影で、坂出屋は陣内に佐助の始末を頼む。
するとまたしても、矢場に佐助がやってきて、讃岐屋がはめられたことを訴える。
陣内に追い出された佐助の後を案じて、平内と利吉が後を追ってくる。
その夜、諸口は坂出屋に妾と妾宅の世話までしてもらった。

1人になって酒を飲む三平は、使用人たちはただ酒を飲んでいるいい仕事だと嫌味を言われたことを愚痴る。
三平は、「酒は自分の金で飲むのが一番うまい」と言う。
そこに通りかかったお吉も同意する。

「自分の金で飲む酒が一番おいしいよね。仕事の内容は違っても、人様のご機嫌を取ることは同じだもんね」。
三平はみんな、自分のことをバカ話したり、裸踊りをするしかない能無しだと思っていると愚痴る。
その言葉を、お吉は否定する。

三平のやっていることは、お店の為になっている。
そこでお吉は、讃岐屋を死罪に追い込んだのは坂出屋という噂があると教える。
しかし、三平は、それは頭がおかしくなった佐助が言っていることだと取りあわない。
だがもしその話が本当なら、坂出屋には勤めていられないと言った。

佐助はそれほど、讃岐屋で良い仕事をしていたんでしょうと三平は言う。
そして、うらやましい。
私は今の店では、そんな気になれないと言った。

その翌朝後、佐助は讃岐屋で、首吊り死体で見つかった。
龍が、矢場と坂出屋が繋がっていることを突き止めてきた。
間違いない、坂出屋の仕業だろう。

連日の接待に疲れた三平はたまの休みを取り、子供と魚釣りにでかけた。
しのの茶屋に立ち寄った三平を、諸口と一緒にいたお吉が気づき、挨拶をする。
諸口は三平を見ると、残酷な笑みを浮かべ、芸者たち綺麗どころに好かれてうらやましい、と絡む。

そして、三平がいないので寂しくてつまらない、あの座敷でやっている踊りをやってくれと言った。
あの腹踊りは座敷でやるもの、こんな白昼の大道、しかも妻や子供の目の前で「あんなはしたないものは、勘弁してください」と三平は言う。
お吉も「そうですよ」と口ぞえしてくれたが、諸口は、「人に見せられないはしたないものを見せていたのか!」と迫った。
「今が一番店にとって大切な時」と言う坂出屋の頼みもあって、三平はついに腹を出して踊り始める。

往来の人間が笑い、いたたまれなくなった三平の妻は子供の健太に見えないようにして連れ帰る。
そこに至って三平はついに、坂出屋に配置換えか、退職を願い出た。
坂出屋はもうすぐ日本橋に進出するので、その際は三平にも相応の役職を用意していると約束する。
何と言っても、三平の手柄でもあるのだから。

そう言われて、三平は家に戻った。
だが、三平が「恥をかかせたな。すまん」と家に入ると、妻は「いいえ、私の方こそごめんなさい。あなたの立場もわからないで、逃げ出したりして…」と微笑む。
三平は出世の話をする。

坂出屋が用意した別宅に諸口が行くと、そこには諸口の妻がいた。
それを見た坂出屋が、息を飲む。
諸口はここは坂出屋の別宅だと言うが、みねは妾から一部始終を聞いたと言う。
坂出屋はごまかそうとするが、みねは坂出屋と付き合うようになってから、諸口の品行は一層悪くなったと言う。

みねは引き下がらず、諸口に父の墓前で何か言えるのかと穏やかながら厳しく責めた。
「夫に向かって!」と諸口は逆上、みねを刀で叩きのめした上、斬り殺してしまった。
我に帰った諸口は「ダメだ…、俺はもう、ダメだ」と呆然とした。

坂出屋もこれには、真っ青になる。
しかし、坂出屋には、ある考えが浮かんだ。
「ここでお待ちくださいまし」と言うと、坂出屋は出て行く。

三平に坂出屋が呼んでいるという、呼び出しが来る。
坂出屋の別宅に三平が行くと、諸口の妻のみねが死んでいる。
驚く三平に坂出屋は、諸口は妻の不義密通を見て、妻の密通相手もろとも斬ったのだ、と言う。

そして、その密通相手は…、「お前だ」と坂出屋は三平に言った。
何故だ、何故自分が…!
三平はそう叫ぶと、逃げ出した。

別宅を飛び出した三平は、悲鳴をあげて逃げる。
そして、表を見張っていた龍と平内に保護された。
三平は、「あなた方は私の命の恩人です」と言って、全ての事情を話す。

だが、妻と子供が危ない。
文十郎と平内が、三平の妻と子供を廃屋に匿う為、迎えに行く。
廃屋の前に、龍が待っていた。
三平を見た健太と妻は走り出す。

その時、矢場で遊んでいた坂出屋の用心棒・陣内たちが矢を射って来た。
中の1つが、子供に当たる。
文十郎たちは急いで、廃屋に入り、立てこもった。

「1人、2人、3人…、しめて10人か」。
「どうなるんです」と三平が言うが、文十郎と平内にもわからない。
近づいてくるならともかく、手の打ちようがない。
夜になるともっと、まずいことになる。

しかも、健太が熱を出してきた。
龍は、早く子供を医者に診せないといけないと言う。
「助けてください」と、懇願する三平。

三平は「出て行きます。このまま健太をここで死なせるわけにいかない」と言うが、文十郎は止める。
もはや、ここにいる全員を生かして帰すつもりはないだろう。
文十郎は、ボヤ騒ぎを起こすことを考えた。
煙をたくさん出して、「火事だ」と、大騒ぎをする。

すると百姓たちが騒ぎ出し、相手は襲ってはこられないだろう。
文十郎は、三平一家に戸板の裏の隅に隠れているように言った。
何があっても、出て来てはいけない。

廃屋から煙が上がる。
それを見た百姓が「火事だ」と走って仲間を呼びに行く。
百姓たちは、火を消しに集まってきた。

文十郎も、平内も、龍も構えて待つ。
集まってきた百姓を追い払い、用心棒たちが乱入してくる。
すると、縄目を作っていた龍が、縄に飛びつき、宙を飛んで来る。

龍が1人を飛ばし、1人を倒し、斬りかかって来た1人を倒して胸の上に大石を落とす。
平内もキセルの針で、1人、2人、3人と倒していく。
飛び込んできた1人を、文十郎は兜割りで刺す。

陣内が飛び込んできて、陣内の長い刀と、文十郎の兜割りが合わさる。
刀と兜割りが離れた一瞬、文十郎は足を陣内が横に振るった刀でかすめられる。
だが次の瞬間、斬りかかって来た陣内は兜割りで刺された。

隅では、三平親子が怯えている。
文十郎は、三平親子に「早く医者へ!」と言い、「は、はい!」と三平はお辞儀をして妻と子を伴って走っていく。
「どうだい文さん?」と言って平内と龍がやってきた。
文十郎は「俺は大丈夫だ。後の奴らを頼むぜ」と言って、2人を送り出す。

坂出屋と諸口は、三平を上手く始末したかと、報告を待っていた。
闇に紛れて、龍と平内が諸口の家の門をくぐる。
諸口が、ふと、気配に顔を上げる。
つられて坂出屋が、部屋の隅を見た。

そこには紫煙が立ち昇っていた。
諸口が刀を手にし、「何者だ!」と斬りかかる。
龍は諸口を投げ飛ばし、庭に放り出す。
諸口は刀を振り回すが、龍は諸口のの刀を弾き飛ばした。

刀が庭の植え込みに、刃を上にして刺さる。
そして龍は諸口を捉えると、空中高く放り投げた。
諸口は頭から落ちていく。
刀がその下に待っていた…。

恐怖に駆られた坂出屋は部屋の奥に逃げ込もうとするが、平内が捕えた。
平内がキセルの先を取り、針を見せる。
追い詰められた坂出屋の額に、平内は針を叩き込む。
龍、そして平内は急いで屋敷の縁側から庭に下り、走ってその場を立ち去る。



菅貫太郎さんが差配役人・諸口剛造。
三平親子のプライベートを目撃した時、底意地が悪そうに光る目。
先代と妻に対する卑屈さ。

妻のみねに、狂気を爆発させる目。
斬り捨てた後、「俺はもう終わりだ…」と絶望する目。
狂気にも、無体にも、卑屈さが見える。

さすが、菅貫太郎さん。
何から何まで、完璧!
みねを殺してしまって、坂出屋もびっくり。

その前にやったことは、家族で遊びに来ている下請けのサラリーマンに、夕べの接待の席でやったことをやれ、って言ってるようなもんでしょう。
これはひどいわ。
常識がない以前に、人としてどうかと思うわ。

お吉も「声かけなきゃ良かった…」と思ったはず。
何とかとりなして、それでもダメでつらそうなお吉。
こんなの相手にしているんだから、お吉も大変。
「自分の金で飲む酒が一番おいしいよね。仕事の内容は違っても、人様のご機嫌を取ることは同じだもんね」と言った、調子よく相手に合わせて遊んでいるように見える芸者・お吉の本音が効いて来る。

坂出屋は、城所英夫さん。
「必殺仕掛人」の、放送禁止回とも言われている「地獄へ送れ狂った血」の殿様です。
こっちも異常性格の殿様でしたね。

三平役は、嵐堪忍さん。
後の鶴田忍さんです。
鶴田さんは「必殺」には悪役でも出ますが、何と言っても「仕業人」で「牢屋は天国、がんばりまーす」と微罪を重ねては主水が牢番をしている牢に戻ってくる銀次ですね。
暗い話が続く中で、一服の清涼剤だったり、たまには主水に協力したり。

ここでは、使用人のつらさ、接待を受け持つつらさを見せてくれます。
現代にも通じる叫びが聞こえてくるようです。
いやー、こんなお店に明日はない!と言ってやりたかったら、やっぱりなかった。
それと、佐助さん、助け人が動いてるんだから、大人しくしてくれないと。

逃亡から篭城、そして反撃と展開もテンポ良い。
物語の途中、坂出屋の用心棒・陣内が矢場で矢を命中させる、矢の名人という描写があります。
この用心棒は「世情大不安」の犬塚さんが追っていた仇役の木村元さん。
やっぱり、「必殺」では良く見ました。

殺陣は廃屋での文十郎たちの用心棒との斬り合いと、そして文さん抜きだけど坂出屋と諸口の仕置きシーンと2つ。
龍が弾き飛ばした刀に、頭からグッサリ刺さるのはちょっとビックリ。
上手い展開ですが、これはすごいです。
見せ場が一杯で、時間が短く感じる回です。