こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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お見かけするように

最近、松重豊さんをあちこちで見るようになりました。
以前から出演は多いし、NHKのドラマや大河では良く見る俳優さんでした。
身長が190センチあるので、ご本人も「刑務所の中」の時かな?
インタビューで、犯人とかやくざとか、宇宙人とか殺人鬼の役が多いとおっしゃってました。

確かにそういう役は多かったです。
大河ドラマでは、たとえば「毛利元就」で元就の叔父役とか、そうじゃなくて重要な役もあったんですけどね。
時代劇でも所作は綺麗だし、良い味出してくれるんです。

でも映画や民法のドラマでは、怖い役が多かった。
その怖さを逆手に取って、長瀬智也さん主演の「ビッグマネー!」では純情な総会屋の用心棒役。
これは楽しかった。
長瀬さんはいつも彼と遭遇すると、反射的に飛びのいてしまうのでした。

しかし彼は長瀬さんの幼なじみの女の子に、密かに恋してしまっていて、内緒でトランプ占いして結果が悪くて、肩を落とす。
無邪気に接してくる彼女との様子は、まるで子猫にめろめろなドーベルマン犬といった風。
その様子とギャップが毎回、爆笑もの。

でも今、松重さんはCMや、ドラマでは犯人とかスポット的な役ではなく、重要な役で見るようになりました。
「孤独のグルメ」の出演も大きかった。
食品のCMは、ここでのおいしそうで、それでいて品の悪くない食べ方を見せたせいでは?と思っています。

ゲームのCMとか、金曜日には2時間サスペンスで主人公と反発しあいながらも認め合う刑事役。
有能だが何かと反感を呼ぶ主人公の、もしかしたら一番の理解者でもある刑事。
そして10月7日、月曜夜8時からスタートする「刑事のまなざし」。
この番組の宣伝で、松重豊さんが出てました。

ちょっと前に「VS嵐」に出てましたが、情報番組でも松重さんが見られるようになったんですね。
うれしい。
「刑事のまなざし」は、楽しみにしてます。


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生まれ故郷か… 「暗闇仕留人」第14話

第14話、「切なくて候」。


大吉が府中の宿で、どんちゃん騒ぎをしていた時、本陣には60万石の尾州藩の鷹匠・田村伝蔵とその家来が泊まっていた。
田村と稲葉は大吉たちがうるさいと文句を言いに来るが、酔っ払っている大吉はよく理解していなかった。
一足遅れて、半次がやってくる。

大吉は墓を作る仕事があるから来てくれと半次に言われて、こうして宿で待っていたらしい。
だが大吉を府中で待たせていたのは墓石の仕事ではなく、実は半次は他の連中にも内緒の仕事を頼みたいのだと言う。
半次に話を持って来た者の様子からすると、それは殺しの依頼らしい。

翌日、半次は自分の生まれた故郷の村へ行った。
幼い、年の離れた弟の利助が、家の前で遊んでいた。
「おう、トシか。俺だよ。忘れちまったのか。お前の兄貴だよ」と半次は声をかけた。

「1人か?どうした、かあちゃんは?」
利助は返事をせず、遊びをやめて立ち上がった。
それを見ながら半次は「けっ。相変わらず愛想のねえガキだ」と毒づいた。

家に入った半次は鍋を除き、芋があるのを見て、「芋ばっかり食ってやがる。何にも変わっちゃいねえ」と言った。
半次が江戸のみやげだと言って、飴だの、駒だのを出したが、利助は何も言わず行ってしまう。
「どうでえ。あれでも弟か」。
半次がそう言った時、頭に手ぬぐいを巻いた義母のたよが目を丸くして現れた。

「半次さん」。
「どうも。しばらくです」。
「いつ、こちらへ?」

「ええ、この辺はちょくちょく通るんですけどね、たまには顔出ししなくちゃいけねえと思って。あの、これみやげものってほどのものじゃないんですけど、利坊にでもやってください」。
「うちにはもったいないです」。
「ま、そう言わず。さ、親父に挨拶するかな」。

半次は仏壇に向かったが「なんだ、線香もねえや」と声を出した。
たよが「隣で借りてきます」と言った。
しかし半次は「いいよ、いいよ。親父だって貧乏暮らしは百も承知だよ。てめえも一生、水のみ百姓で終わっちまったんだからな」と言って拝む。

その時、落窪の伊太郎という男が半次を呼びに来た。
半次はたよには、伊太郎は博打はするが悪党ではないと説明する。
「ただ、村の奴らよりちょいと度胸がありすぎるだけだ」。

半次を呼びに来た伊太郎は、捨吉という男に会わせた。
「最初に断っておくが、俺は殺し屋じゃねえよ。こいつに頼まれたんで、ひょっとしたら、その道のお方に口をきいてやってもいいって話だよ。勘違いされちゃ困るよ」。
「ええ、そりゃもう」。
誰を殺すかと半次が聞くと、尾張藩の鷹匠・田村伝蔵だった。

去年の今頃、この村に田村が来たので、捨吉の女房は名主の家に手伝いに上がった。
最初の話では女房がお鷹に粗相があったということだったので、捨造は泣く泣く諦めた。
しかし伊太郎が名主の下男がうっかり口を滑らしたのを聞いてきて、本当のことがわかった。
田村が捨吉の女房に手を出そうとして抵抗され、カッとなった田村が女房を斬り捨てたのだと言う。

捨吉は1人で仇を討とうとしたが、田村は尾張様お気に入りの鷹匠だし、侍上がりで、とても百姓の捨吉に殺せる相手ではない。
半次に「殺し屋だって楽な仕事じゃない、高い金がかかる」と言われた捨吉は、畑も馬も売って3両2分の金を作ったと言う。
その時、田村が通りかかった。

田村の今夜の泊まりは、名主の屋敷だ。
飛び出して行こうとする捨吉だが、半次は捨吉まで死ぬことはない、「仕事は玄人に任せておきなさいよ」と言った。
半次は宿で、3人の女郎と花札をしていた大吉を呼び出す。
標的は夕べ、大吉に文句をつけてきた鷹匠だと言うと、大吉は鷹は目を突付きそうで苦手だと渋った。

半次は大吉が金に困っていると言うから、他の仲間に内緒で来たのだと文句を言った。
もめている2人の背後から、主水が近づいた。
「じゃあ、おめえその金、どうするんだ」。
「あっ、八丁堀!」

半次は突然の主水の声に驚いた。
主水は、せんとりつをここまで迎えに来ていたのだ。
大吉と半次は田村のことを、主水から聞きだした。

田村はちょくちょく問題を起こす男で、この前も神田の料亭でもお鷹に無礼があったと難癖をつけて、10両ふんだくった。
だが、三つ葉葵がバックにいるのだから、下手をすれば首が飛ぶ。
主水は他の仕留人仲間への口止め料を、ガッポリ頂くと言った。

大吉は半次の家に泊まることになり、たよが迎えた。
半次がたよにほっといてくれないかと言った時、誰かが表に来た。
たよを見送りながら大吉が、「ばかに若けえなあ。ほんとにおめえのおふくろか」と言って、たよの年を聞いた。
すると半次が「うるせえなあ!おめえには何のかかわりもねえだろ!」と声を荒げた。

たよが戻ってきて、半次に村の寄り合いに行ってくると言った。
「なかなかイイ女じゃねえか。まだ色気があるし、鄙には稀、ってやつだ」。
「バカヤロウ。お前には女の事しかねえのか!たまには仕事のこと、考えたらどうだ!」と半次が怒る。

寄り合いに行くはずのたよは、鏡に向かって、唇に念入りに紅を塗っていた。
半次が大吉に名主屋敷の見取り図を見せていた時、利助が聞いていた。
「おい、トシ、大人の話聞くんじゃねえ。早く寝ろ」。

半次の言葉に返事もしない利助を見た大吉が、「愛想のねえガキだなあ」と言った時だった。
「余計なお世話だ!俺のたった一人の血を分けた弟だぜ。みやげのひとつも持ってきてから、文句言えってんだよ!」と半次が怒鳴った。
いつもとはまったく違う半次の様子に、大吉が驚いて半次を見る。

名主屋敷に、大吉と半次が忍び込む。
半次が奥の田村のいる部屋の戸を開けて、中を見た時だった。
田村と一緒の女が見える。
それは何と、たよだった。

半次は廊下で待っている大吉を静止し、表に連れ出した。
黙って前を向き、ひたすら歩く半次に大吉は「他に誰かいたのか」と聞く。
「どうかしたのか」。

「女がいた。おふくろだ!」
「おふくろ?」
「おふくろが、伝蔵と!」

その頃、伝蔵は、たよに女も鷹も同じだと言っていた。
「もう俺から、逃れることはできん」。
「逃げようとも思いません。いつまでも、このままずっと」と、たよは言った。

宿で半次は、大吉に自分とたよのことを語り始めた。
半次の母親は、半次が15の時、なくなった。
父親はすぐに、たよを連れてきた。
日野の飯屋にいたとか聞いた。

初めは半次は、うれしかった。
たよは綺麗で若かったので、まるで姉ができたようだった。
そのうちに何だか、半次は家にいるのが息苦しくなった。
たよが夜に薄化粧などしていると、むしゃくしゃした。

半次が16の時、この家には2度と戻らないと啖呵を切って、江戸に飛び出して行った。
それから半次が家に戻ってきたのは、父親が死んだ時だった。
「もうこの家は俺のもんじゃねえ、トシと、あの女のもんだって。そう心の中で決めてな。それからなるべくこの家には近寄らねえようにしてたんだ。そりゃ人間誰だって、ふるさとは懐かしいやな。でもよ、何とか忘れよう忘れようと、そう勤めてきたんだ俺は」。

半次は泣いていた。
「それをあの女…、ちくしょう。なんてことしやがるんだ」。
大吉が起き上がる。
たよが帰ってきたのだ。

利助のところに帰ってきたたよに、半次は言った。
「出てってくれ。トシは俺が引き取ってやる。あんたは出てってくれ。名主屋敷であんたが何してきたか、俺は知ってるんだよ」。
たよは、ハッとする。
「俺だけじゃねえ。村の奴らはみんな知ってるはずだ。あんたももう、この村にはいられねえはずだ」。

夜が明ける前に出て行ってくれと言う半次を、大吉が止めた。
しかし半次は余計な口出しするなと言って、大吉とも揉め始めた。
「仮にも、おめえのおふくろだろう」。
「出てけよ!おめえも出てけ!」

そう言った半次の着物の裾を、利助が引っ張っていた。
利助は泣いていた。
それを見ると半次は、何も言えなくなった。

翌朝、主水はせんとりつに、部屋の値段が違うことから、朝食の内容が悪いことをチクチク言われていた。
半次はたよに、出て行けと行った夕べの返事を聞いていない」と言うと、たよは「行くところがないし、身よりもないと言って、ここにおいてほしい」と言った。
たよが「相談してみます」と言うと、半次は「田村伝蔵とはどういう男か知っているのか」と聞いた。
半次は伝蔵は捨吉の女房を殺した、鬼のような奴だと言うが、たよは「しかたないんです」と言った。

「お鷹様に無礼を働けば、殺されたってしかたがないんです。名主さんも村役人も、ハッキリそう言ってました。田村様もお役目ながら、しかたがなかったんだと、そう申しておりました」。
半次が「違うんだ」と言うが、たよは「あの方は、優しいお方です。そのことは私が一番良く知っています。でなければどうして女の私が好きになるでしょう」と言った。

そして、たよは半次が出て行ってからのことを語った。
夫が死んでから、たよは1人で寂しかった。
村の男たちが、どこにいても近寄ってきた。
だけどたよは、一度だって、夫や半次に顔向けができないようなことはしなかった。

でも本当は寂しかった、誰かに頼って生きていきたかった。
川の水で田んぼが流された時は、利助の顔を見て、いっそ死んでしまおうかと思ったこともある。
田村とはお鷹狩りの時、会えるだけだ。

だが、たよはそれでももう、田村なくては生きていけない。
どんな陰口たたかれようと、後ろ指さされようと、別れるつもりはない。
たよの言葉を、半次はうつむいて聞いていた。

半次は伊太郎に「この話は断る」と言った。
「おっかさんのことか」と言われて、半次は「やっぱり知ってたんだな」と言う。
たよを取られて悔しくないのかと言われても、半次は断ると言った。
3人の頭上を鷹が鳴きながら、飛んでいく。

田村はたよにいよいよ明日、殿が来るので今夜で会えなくなると言った。
裏木戸を開けておくので、今夜来るようにと言われて、たよは「はい。必ず」と答えた。
その日、捨吉と伊太郎は、田村に向かって斬りこんできた。
だが果たせるはずもなく、田村の前で斬り殺された。

半次は女郎と遊んでいる大吉に、頭を下げて謝っていた。
その時、鷹匠に百姓が2人、斬りかかっていって殺されたという話が入ってくる。
大吉の視線に、「だからどうだってんだよ。知ったことか!」と半次は怒鳴り、大騒ぎし始める。

それは主水の向かいの部屋で、主水は相変わらずせんとりつに文句を言われっぱなしだった。
足のまめが割れたたと言うせんとりつの為に薬を貰ってくると抜け出した主水は、大吉に仕事のことを聞く。
大吉は、「お流れだ」と言った。

夜、田村は上司の稲葉平十郎に、たよが来る話をしていた。
田村は稲葉の元に、たよを寄越すつもりだったのだ。
たよは途中で菊の香りを身につけ、田村に会いに来た。

しかし、たよは暗闇の中でもすぐに、相手が田村でないことに気づいた。
驚いて抵抗するたよに、稲葉は「伝蔵も承知のことだ」と言った。
「わしが伝蔵から譲り受けたのだ」。
たよが驚いて目を見開き、稲葉を見る。

「嘘です!」
たよは廊下に逃げた。
そこには田村が待っていて「大人しく言うことを聞け、でないとここで殺されたおこうの二の舞だぞ」と告げた。
たよが驚きのあまり、後ずさっていく。

その夜、半次が夜遅く、家に戻った。
家の中は暗く、半次は灯りをつけて、書き置きをしたため始めた。
利助の小遣いにでも、と、金を置いて行くつもりだった。

仏壇に書き置きと金を置いた半次は、線香が立っているのを見た。
いぶかしげに振り向いた半次は、たよと利助の枕元にも線香が炊かれているのを見る。
半次が見た、たよの顔に、血の気はなかった。

布団をまくって見ると、血のついた鎌があった。
かたわらの利助の首には、紐が巻きついていた。
2人とも体の前で手を組んでいた。
覚悟の心中だった。

主水が呼び出され、宿から出て来る。
大吉に仕事を手伝えと言われて主水は、せんとりつのご機嫌とりで精一杯だ、「旅先の拾い仕事には手を貸せない」と言う。
戻ろうとした主水の背中に半次が「頼むよ!」と言って、抱きつくように引き止めた。

「頼む。一生に一度の頼みだ。手を貸してくれ」。
主水が半次の顔を見る。
「半公、おめえ、いつもと目の色が違うじゃねえか」。

夜半、お鷹狩りの準備で忙しい田村たちのところに、八州廻りに化けた主水が現れた。
後ろには半次がいる。
「どうしても耳に入れておかねばならないことがある。殿様にもしものことがあったら」と言われて、役人は主水を通した。
だが半次は「ここで待て」と言われる。

主水は半次に向かって軽くうなづき、半次もうなづく。
稲葉に会った主水は、代官屋敷に妙な話が入ったと言った。
胡桃の音がする。

稲葉に会った主水は、稲葉がお鷹狩りの旅先で伝蔵を手先に女を次々手篭めにしていると言った。
伝蔵が破格の出世をしたのも、稲葉の推挙によるもの。
「昨夜もたよを弄び、死に至らしめた」と言われた稲葉はうろたえ、刀を抜こうとするが、主水が抑える。

主水が稲葉を背後に突き飛ばすと、大吉が心臓をつかむ。
死んだ稲葉を主水は座らせると、握り飯を手に握らせた。
稲葉は、そのままの姿勢で固まる。

田村は鷹の側にいた。
「気配に誰だ」と言って振り返った田村の耳に、半次の声がする。
「惚れてたんだ」。

半次が現れる。
「かわいそうに。おふくろの奴、てめえに惚れてたんだ」。
「何者だ、きさま」。
半次が匕首を抜く。

田村は刀を抜き、半次を抑えようとした。
半次が突き飛ばされ、田村が刀を振り上げて半次を斬ろうとした時、田村の額に胡桃が飛んだ。
「うっ」と田村が額を押さえた時、半次が田村を刺す。
半次が匕首を抜くと、主水が「帰る」と言いに来た。

その背後は稲葉が死んでいるのが見つかったらしく、騒ぎになっていた。
「半次、行こうぜ」と、大吉が声をかける。
行こうとした半次は、鷹に気づいた。
ハッとして鷹を見つめ、鷹を繋いでいた綱を切った。

鷹は飛んでいく。
夜明け、やっと明るくなってきた道を大吉と半次が歩いていく。
空を見つめた半次に目に、鷹が飛んでいくのが映った。

「あの鷹、どこへ帰るんだろう」。
「奴にもきっと、生まれ故郷があるんだろう」。
「生まれ、故郷か」。
そう言って振り切るように歩く半次の顔を、朝日が照らしていた。



14話なんだけど、やっぱり15話になるべきが入れ替わっちゃったと見た方がいいんでしょうね。
これを最後に半次が退場するのだったら、すごく納得なんです。
軽く別れた主水は、きっと「そうか…」と、後でいろいろ思うでしょうが。

いつものコミカルな半次がまったく違う顔を見せる、半次メインのお話。
大吉が「余計なお世話だ!」と言われて、驚いた顔を見せるのもわかる。
普段はうまく調整役にもなっている半次が、大吉に止められるほど、「出て行け」と無茶を言う。

主水さえ、半次がいつもと違うと言う。
いつもがコミカルだからこそ、半次の境遇の悲惨さが胸に迫る。
おきんがいたら、「半公…」って呆然とするでありましょう。
貢なら察して黙っているか、半次のたよへの気持ちを分析するでありましょう。

たよに対して半次は、最初から妙に他人行儀な丁寧な口ぶり。
しかし、仏壇に線香がないと途端に鋭い声で「線香もない」と言う。
一応、「いいよ、貧乏なのはわかってるから」って言うけど、何だか父親を忘れているみたいでカッとなったように見える。
最初にお線香がないというのが、後の悲劇を知らせるのに効いて来るんですね。

仕事を頼んできた旧友に「俺は殺し屋じゃねえよ」と言う時の半次が、迫力。
大吉と半次が話をしている時に、主水が偶然、現れる。
この時、後ろに主水がチラチラする辺りから、「仕置人」の時の音楽がかかるんです。
「脅かすなよ、お義兄さん」と言う大吉に主水はゾッとしながら、「やめろよ、お前!義兄さんと呼ばれるとぞっとするんだ」と言うのがおかしい。

たよが標的の伝蔵に惚れているというのがわかった時の、半次の悲しみと苛立ち。
義母に裏切られたというより、好きだった女性に裏切られたように見える。
そう、半次は、たよが家に来てしばらくしてから、たよを義母ではなく、女性として感じてたんですね。

それが義母だったから、半次はストレートに自分の思いを出すこともできず、屈折してしまった。
故郷から逃げるしかなかった。
それほどまでにして断ち切ったものを、アッサリ伝蔵みたいな悪党とくっつかれて、半次としては「なんてことしやがるんだ」と泣く。

半次が気になるぐらいだから、村の男たちだって、たよが気になっていたはず。
でもたよは誰かに頼りたいと思いながら、1人でやってきた。
半次に切々と自分を語るたよに、女として業の深さ、罪深さと、1人で生きていけない哀れさ、伝蔵を信じきっている愚かさを感じて迫力。

たよを見ていたから半次は、おきんみたいに1人でがんばってる女が好きで、そういう女の弱さを助けてやりたいと思ったのかもしれない。
自分もたよも情けないと思いつつ、たよが好きな男を殺すこともできず、半次は仕事を断る。
断っても切なくて、何をしても切なくて、荒れるしかない。

半次が生まれ故郷を避けていた理由が、わかる。
生まれ故郷に帰った途端、半次は仕置人の半次でもなければ、仕留人の半次でもなくなってしまう。
切なさをこらえて生きていた時の半次に、戻らざるを得ない。

たよは、吉田日出子さん。
意識していない色っぽさが、たよという女にピッタリ。
独特の口調が、無学で一途な百姓女にピッタリ。

伝蔵を信じきっていたたよだが、ついに残酷な形で伝蔵という男の真実を知った。
一見して、寝ているように見えたたよだが、なかった線香が仏壇に炊かれているのを見て、半次はおかしいと思う。
さらに枕元に焚かれているのを見て、気づく。
最初の「線香もねえ」が、ここで意味を持って来た。

たよはかつて、利助を道連れに死のうと思っていた時、伝蔵で救われた。
だから自分の愚かさを思い知った時、今度は利助と一緒に死ぬしかなかった。
伝蔵のせいだと、半次はたよが話さなくてもわかった。

村人を、たよを、利助を、自分の思いを踏みにじった伝蔵を、半次は自分の手で殺す。
たよが自分と同じだと言っていた鷹。
半次はそれを離してやる。

夜明け、大吉と半次が村を離れる。
たよが伝蔵とは離れられなかったのとは違って、鷹は飛んでいく。
美しい空、飛んでいく鷹。

朝焼けに照らされる大吉と半次。
仕留人の物悲しくも、美しい曲が流れる中、「あの鷹、どこへ行くのかなあ」とつぶやく半次の顔は、凛々しくも哀しい。
「奴にも生まれ故郷があるんだろう」と言う大吉に、「生まれ故郷か」と反芻する半次。
その顔には、もう自分に故郷はないと悟っているようだった。

このラストで半次の出番が終わりだと、すごく寂しい。
すごく哀しいし、タイトル通り切ない。
こんな切なさを抱えて半次が消えたなら哀しすぎるけど、何から何まで納得するしかない。
「仕置人」からいる半次主役の、切ないお話でした。


30年

沖雅也氏がなくなって、30年にもなるんですね。
金曜日、沖雅也氏に関する番組を放送しているのを見ました。
時代劇専門チャンネルでは「仕置屋稼業」を放送しています。

DVD-BOX持っているのに、何で見てるんだろう、自分は。
しかし見てやっぱり思うのは、市松・沖雅也氏のすごさ。
市松という人物の作りこみに、スタッフの愛情、情熱を感じる。

当時、すばらしい映像を作ると評判だった必殺のスタッフ。
大女優をして、彼らに撮ってもらいたくて出演すると言わしめるスタッフ。
必殺は美しく撮ってくれると、女優たちが出演を喜んだというスタッフたち。
沖雅也とは、そういうスタッフが市松というキャラクターを与えて作りあげたくなるような素材だった。


殺し屋を父に持ち、その父は仲間の裏切りによって死に、自分はそうとは知らず、その仇に生粋の殺し屋として育てられた市松。
彼は冷徹な殺し屋として、感情を表すことなく生きていた。
市松はある夜、殺しを実行した。

誰も気づいているはずのない殺しだったが、ただ一人。
こともあろうか、同心が市松の殺しに気づいていた。
市松の扇子の格子越しに交わされる、市松と主水の視線。

殺し屋・市松としてはもちろん、自分の殺しを見た相手は生かしてはおけない。
相手はたいした腕もないであろう、同心。
簡単な口封じのはずだった。

だが市松は生まれて初めて、この同心相手に冷や汗をかくことになる。
飼い犬だと思った相手が、虎だったような気持ちだっただろう。
この侮れない相手の誘いにより、市松は仕置屋の仲間になる。

しかし市松の行動は、印玄と捨三には受け入れがたい。
印玄と捨三は、市松の言動に顔をしかめずにはいられない。
彼の言動は2人を、特に捨三をいらだたせる。

市松は依頼した相手に理がなく、罪もない者を手にかけているのではないか。
「あっしらは仕置屋、あいつは殺し屋ですよ。仕置屋と殺し屋ってのは全然、違うんですから」。
市松とは捨三にそんなことを、言わせてしまうような男だった。

だが、市松には暖かい心がないのではなかった。
殺し屋の中で生きていかなくてはならない生い立ちから、心を閉ざしていただけだった。
市松は仕置屋の仕事に参加することで、人の情に触れていく。

困難な仕事や、彼らの過去に関わり、仕置屋の仲間となっていく。
市松の心が、溶けていく。
人間らしくなっていく。

そして最後に市松は、仕置屋の仲間から「生かされる」。
印玄も捨三も、そして主水も、市松のために命をかける。
このようにして命をもらった市松が仲間を失った痛みの後、笑顔で旅立ち、仕置屋稼業は終わる。

自分の奉行所との立場と引き換えに市松の命を守った主水の困窮の予感とは裏腹の、ひそやかな笑顔。
哀しい、むなしい、さびしい。
それでも笑顔の市松と主水で、仕置屋は終わる。


仕置屋の仕事と市松の変化が描かれるこの物語を支えているのは、市松を演じる沖雅也氏。
24歳にしてこの妖艶さ、完成度。
まるで獲物を狙う、美しく危険な猫科の動物のように忍び寄る市松。
獲物を前にしてその目が輝く、瞳孔が開く。

金曜日の番組では、沖氏の作品が何本か流れた。
事情があるんだろうけど、沖雅也氏の「必殺」にも触れてほしかったなと思う。
「仕置屋稼業」を見て、同時に今、放送されている「俺たちは天使だ」を見る。
あとはたとえば「横溝正史シリーズ」の「悪魔が来たりて笛を吹く」や「大追跡」を見る。

すると、わかる。
沖雅也氏は時代劇から現代劇、シリアスも喜劇も演じられる。
役を選ばない演技力を持っている。
稀有な俳優だった。

その仕事と存在がまるでタブーに触れるかのように、うずもれているのが哀しかった。
なくなってから、30年後。
わからないけど私は沖氏の自殺の原因はひとつじゃなくて、いろんなことがたくさん重なってのことだと考えていた。
今もそう思っている。

沖氏は、演技の本格的な勉強はしたことがなかったらしい。
晩年、これが自分に自信を持てなくなる原因のひとつだったと聞いた。
それが本当なら、それでここまで演じられるのはすごいと思う。
天性の俳優だったんだと思う。

私としては沖雅也氏での「人形佐七捕物帳」、今、片岡孝夫(現:仁左衛門)さんが演じていてすばらしい「眠狂四郎」が見てみたかった。
沖氏が今いたら、どんな存在になっているかはわからない。
でも沖雅也という俳優に興味を持ってくれる人が増えて、作品を見てもらえるようになるといいと、それだけは思う。
すばらしい俳優だから。


猫サムライ

ぷ。
最初に聞いたとき、だまされてるのかと思いました。
北村一輝主演 動物癒し時代劇。
そのタイトルも「猫侍」。

  

…この話、ほんとだった。


北村一輝さんが主演の、動物癒し時代劇「猫侍」が全国14局ネットで10月より連続ドラマとして放送されるそうです。
なんと、映画も来春、劇場公開。
北村さん「映画とドラマ、ひと味違うおもしろみを足していけるように試行錯誤しました。楽しんでいただけると思います」。


「拙者、元加賀藩、剣術指南役」。
しかしこの男、今は浪人。
困窮する生活となった男に、「飼い主を骨抜きにする魔を持つ猫を斬れ」という仕事が舞い込む。
そして男は斬れと言われた猫との出会いから、変わっていく。

癒しと笑いの新感覚時代劇だそうです。
北村さんいわく、「魅力のひとつが癒しです。 キャスト、スタッフみんなが猫の愛くるしさに癒されながら撮影しました。また、共演者が好き放題おもしろいことをやってくれて、笑えます。
そして、話が進むたびに主人公がどう成長していくのかという人間ドラマ。とにかく見どころは満載です」とのこと。

北村さんと、猫!
これは見るでしょう。
さっそく、連続予約。

出演者は、映画は蓮佛美沙子さん、温水洋一さん、寺脇康文さん。
ドラマは、平田薫さん、水澤紳吾さん、佐藤誓さんだそうです。
映画の監督は、山口義高さん。
三池崇史作品の助監督を務めた方です。

全国14局ネット(TVK、テレ玉、チバテレビ、三重テレビ、KBS京都、サンテレビ、札幌テレビ放送、TVQ九州放送、とちぎテレビ、テレビせとうち、広島ホームテレビ、静岡第一テレビ、群馬テレビ、仙台放送、など)でオンエア。
TVKは、10月1日火曜日の21:00スタートですね。
BSフジなら、10月13日日曜日23:00スタート。
ああっ、楽しみすぎる。


神様のベレー帽

「神様のベレー帽」、24日放送でした。
手塚先生というより、新米編集者の成長物語だったのは意外でした。
これはこれでありなのかもしれませんが、私は手塚先生の話だと思っていたので、「あれ?」と思いました。

伝えたいメッセージは手塚先生の「僕ができるんだから、あなたにもできる」なんですね。
それはわかるんですが、手塚先生が名作「ブラックジャック」を生み出す経緯が見たかった!
時代に取り残されるかもしれない転機で、あの名作が生まれる時。

「ブラックジャック」が最初は4話だったというのは、知ってました。
それが掲載されてからはすごい反響で、特に「ミユキとベン」の反響がすごかったと。
不良少年のベンがある日、知り合った臓器移植をしなければならない少女ミユキ。

ベンはブラックジャックの元を訪ねるが、手術費は持っていなかった。
多額の手術費用のため、ベンは強盗を企てる。
その頃、手術費用を請求したブラックジャックは、ミユキのいる病院に現れる。

病院の医師は、ブラックジャックの評判の悪さから追い返そうとする。
それに、ミユキは手術しても助からない。
だが、ブラックジャックは引かない。

しかし医師は評判とは裏腹の、ミユキの手術への情熱あふれる目を見て、ブラックジャックを受け入れる。
そこに「少年強盗です。警官に撃たれました」と、ベンが運び込まれてくる。
ブラックジャックを見たベンは、手術費用がないことを詫び、やっぱり自分は何の役にも立たない、屑だったと言って息を引き取る。

ベンに向かってブラックジャックは、「お前は役に立つ!」と叫ぶ。
ミユキの手術に、ブラックジャックはベンを使った。
手術は奇跡の大成功だった。

あの少年が奇跡を呼んだのか、と病院の医師は言った。
横たわるミユキに寄り添うベンの姿が、ブラックジャックには見えた。
ミユキの中で、ベンは生きている。

…という話で、確かにすごく印象に残る話なんです。
こういう話が生まれるまでの手塚先生の苦労とか、描いている最中の様子、ブラックジャックにこめた思い。
さらにはその反響。
ドラマでは、こういうのを見たかった。

天才なんだから、自分とは違う。
手塚先生にできたって、自分にはできない。
そう思っている人に対して、そうじゃないんだ。

確かに天才だけどその手塚先生だって、こんな苦労していたんだ。
周りも振り回されながら、だからそんな手塚先生についてきたんだ。
そこを描いた上で、「僕ができるんだから、あなたにもできる」の言葉が出てくると良かった。

さて手塚先生を演じた草なぎさんですが、草なぎさんは動いたらその役に違和感がないことが多いです。
だから手塚先生を演じることについては、大丈夫だと私は思ってました。
ちゃんとものにしているだろうな、と。

とんでもないことをしているのに、本人には全然その自覚がない。
草なぎさんは、天才と変人が同居している手塚先生を、嫌味なく見せてくれたと思います。
できれば今度は、手塚先生を丹念に追ったドラマで見たいなと思いました。


42%

半沢直樹の最終回が、視聴率42%だったとか。
関西では50%行ったんですね。
すごい。
こうなると当然、続編はありますよね?!

放送が終わって、これで安心して原作が読める…と思ったら、売り切れてたりする。
みんな、読みたいんですね。
私も読みたい。

SPドラマになるのか、映画になるのかわからないですが、また連続ドラマやってほしい。
堺さんは秋から「リーガルハイ2」ですね。
この中で古美門先生は、「倍返しだ!」とか言ったら…、言いそうな気がする。
テレビ以外の娯楽も増えたこの時代、あの時間、テレビつけていた家の半分近くがこれを見ていたと考えてみると、すごいことだと思う。


黒く甘くなるまで

テレビ東京って、好きな番組が多くて、好きなんです。
局自体がマイペースなのも好きです。
それでいつものように見ていたら、突然始まったのがこれ。


http://www.tv-tokyo.co.jp/banana/

テレビ東京の新キャラクター、「バナナ」!
チャンネル7「ナナ」だけに、バ「ナナ」。
黒く、甘くなるまで働いてもらおう…。
キャラクター名、募集中!だそうです。

バナナがテレビ東京のキャラクターになるまでのマンガが、おかしい。
早口の説明とあいまって、おかしい。
好きです、テレビ東京。
金曜日の時代劇枠が復活したら、きっともっと好きになります。


倍返しした! 「半沢直樹」

見ごたえあった、「半沢直樹」最終回。
朝から楽しみで、こんなことも久しぶり。
近藤さんがまさかの、といったら、申し訳ないけど、戦勝国側でした。
戦争には勝ってないけど戦勝国に入ったフランスみたい、と言ったら失礼ですよね。

すみません。
でもそんな感じ。
そうすると半沢は何だろう。

生きていくってつらいな、と近藤に理解を示す半沢。
自分だって、ああやったと。
本当は言いたいこともあっただろうけど、言葉でお互いに言うのは難しい。

だから、剣道でぶつかった。
あの時、あのつらい時、近藤は半沢に打ち込んでいった。
でも今度はそうじゃなかったように見えた。
近藤は、やられていた。

それに対して、半沢は理解を示した。
あれは責められるより、身の置き所がない。
大和田も自分も同じかもしれないと言った半沢だけど、半沢は近藤を巻き込まなかった。
だから違う。

大和田は、自分と同じになってほしかったかもしれない。
同じ人間にやられたなら、まだ悔しくなかった。
理解ができたと思う。

でも半沢は、大和田と同じにならなかった。
だからこそ、悔しい。
自分がやってきたことが、間違っていて悔しい。
半沢が正しかったのが、悔しい。

自分がやってきたことが、全部帰ってきて悔しい。
だから、土下座できない。
どうしても、どうしてもひざが曲がらない。

曲がるのを拒否する。
心と体を無理やり組み伏せて、する土下座。
全人生、全人格の否定。

半沢が血がにじむほど、握り締めていたネジ。
勝利の快感のほかに、むなしさが感じられたのは不思議。
徹底して仇を叩きのめしたけれど、その後に来る自己嫌悪もすごかったんだろう。

大和田常務に頭取がかけて、温情。
彼を頭取が飛ばすのは簡単だったけど、それでは彼の生き方も変わらない。
どこかでもっと、陰湿になっていくだけ。

そんなことを考えていたのかどうか、それはわからない。
だけど大和田常務は、温情を知った。
実は、彼も苦しかったんだと。
あれで懲戒免職になったら、破滅。

結局は彼も、びくともしない強固な城を築くことができなかったんだな。
お金はどこかから出てくるもの、とでも思っていそうなあの奥さんもきっと、大変だと思う。
取締役に残って彼は勝ちかと思えるけど、大和田自身は勝利感など微塵もないと思う。

頭取に、頭は抑えられた。
彼を支えてきた生き方も、プライドも崩壊しているし。
おかしくなってしまっても不思議はないぐらい、打ちのめされているはず。
側用人ではなくなったのに隠居させられず、城に出仕させられるほうがつらいと言えばつらい。

しかし破滅は避けられた。
でも初めて情けをかけられて、弱い立場を知って、彼もきっと変わる。
意識しなくても、どこかで変わっている。

しかし一番の賭けに勝ったのは、頭取。
賭けだったのか、どうかはわからないけど、とにかく彼が勝った。
大和田も掌握。
この運の強さも、頭取まで行く男に必要なものかもしれない。

黒崎は、どうなったのかな。
片岡愛之助さん、楽しかった。
昼間、片岡孝夫さん(現:仁左衛門)さんの「眠狂四郎」見てるから楽しくて楽しくて。

みんな、すごい表情してましたね。
そして夢中で見てたけど、堺さんのセリフのすごいこと。
近藤さんだけじゃなくて、大和田常務にも家庭人として、普通の夫としての顔があることがわかる。
みんな、みんな、銀行で見せている顔だけがすべてじゃない。

誰もが家庭を持っている、お前だけ持っているんじゃない。
でも、敵もそうだとわかった時がつらい。
憎んでも憎みきれなくなってしまうから。
大阪編の時も、そうでしたね。

さて、毎回倍返ししていた半沢だけど、あのラストは実際の会社と言うのは理不尽もまかり通るといいたいのか。
あんな男を置いておいたら怖いから、出て行ってもらうというのか。
この会社をどうにかしろ、期待しているというのか。

確かにいくら正しくても上司に土下座させた男が出向となれば文句を言わせないし、金融庁も一応は溜飲が下がる。
つまりは、妥当な処遇なのかな。
相変わらず、頭取が読めない。
不愉快な理不尽ラストというより、次の戦いの幕開けで楽しみになりました。

面白いドラマをありがとう!
プロの俳優さんたちのお仕事を見せてもらいました。
まるで来週から第3部が始まるみたいな終わり方。
続編は絶対、期待してます。


石田太郎さん

俳優で声優の石田太郎さんが21日、急死されました。
享年69歳。
うわ~、貫禄あって大物の悪役も良いし、人のいい役も良いし、好きな俳優さんでした。
「刑事コロンボ」の声優ということもあって、小池朝雄さんが生きていらっしゃったらこんな感じでは、と思うことがありました。

あまり知られていないかもしれないのですが、「傷だらけの天使」の最終回の石田さんが良かった。
綾部事務所が逃げてしまって、途方にくれる修ちゃんに声をかけるゲイバーのママ役です。
コミカルな中にも哀愁が漂ってました。
修と亨の寄る辺なさ、切なさを理解していると思いました。

昔のドラマでもこうして見ることができるんですから、本当に長く活躍されている俳優さんですね。
まだまだお元気で、これからまた貫禄のある役を見せてくれると思っていたのでショックです。
最初に聞いたとき、信じられませんでした。
ご冥福をお祈りします。


テイスト、ラストが違う 「奇妙な線が」

「0をつなぐ」の「奇妙な線が」。
主人公は引越しのため、家の中の物を整理していて、週刊誌より少し大きいぐらいの茶色の封筒を見つけた。
なんだろうと思って中を見ると、一枚の色紙だった。
色紙には小指ほどの太さで、長さ20センチほどの線がまっすぐ、横に引かれているだけだった。

青年は記憶をたどる。
もう5~6年も前、古物市で一人の男がこの色紙を出していた。
色紙に目を留めると、男は金は要らないから持っていっていいと言ったのだ。

これは、手放さなければいけないものだから。
理由を聞くと、男にもわからない。
だが、長く持っていてはいけない。
厄介なことになる。

だから青年も手に入れて少ししたら、誰かに譲ったほうがいい。
青年はこの話に興味をひかれ、色紙をもらった。
それからしばらくの間、飾っておいたこともある。
だが、ただ、横に線が引かれただけでは飽きてしまい、しまいこんで忘れていたのだ。

明日、捨ててしまおう。
そうすれば、譲るなんて面倒なこともしなくていい。
青年は一晩、色紙を放っておいた。

次の日、色紙を見て、あれ?と思った。
線は、一直線ではなかった。
「く」の字のように曲がっていた。

夕べ、「く」の字を方向違いから見て、直線だと思ったのではないか?
考えてみたが、一直線とはやはり違いすぎている。
不思議に思って、青年はまた一晩、色紙を置いておいた。

すると今度は線は、「の」の字になっていた。
青年はしばらく、様子を見ることにした。
翌日、線は螺旋を描いていた。
4日目、線は再び直線に戻った。

まるで蛇が移動するように思えた。
早く、手放せ。
男はそう言ったが、この先どうなるというのだろう。


ここから先は、月刊誌のラストです。


5日目、青年の友人が訪ねてくる。
青年がドアを開けると、友人が「何してるんだ?」とあきれる。
何のことかわからない。
青年の顔の真ん中には、小指ほどの太さの、20センチの長さの線が居座っていた…。


文庫本のラストは、こんな風にほっこり笑えるものではありませんでした。


こちらは色紙を譲った男が、色紙の由来を青年に話しています。
色紙を譲った男によると、この色紙は呪いたい相手の枕元に置くものだったらしい。
だから、あまり長いこと持っていてはいけない。
人目につくところに置いて、興味を示した人間に譲れと男は言った。

線が動いて5日目の夜、焦げ臭い匂いがして青年は色紙を見た。
色紙から、線が抜け出そうとしている。
今まで、自分が見ている時に動いたことはなかったのに。

抜け出そうとしている線は、色紙を焦がしている。
線には目があって、まるで青年を見ているように思えた。
青年は仰天して、色紙を壁からはがし、新聞紙にくるんで捨てに行く。

捨てたはずだが、青年の背後で音がする。
青年は悲鳴を上げ、部屋に戻る。
何かが部屋の中で動く。
ギョッとした青年が見ると、部屋の隅からカーペットを引き裂きながら、線が向かってくる。

線が通った後のカーペットが、まるでジッパーを開けたかのように引き裂かれていく。
あっという間に線は青年に到達し、足元から上がってきた。
布の焦げる匂いと、皮膚が引き裂かれる鋭い痛みが走る。

身をよじって、線を振り払おうとしたが無駄だった。
熱い痛みが走り、線は青年の首もとに到達する。
いまや線は一文字に、青年の傷と化した…。



う~ん、月刊誌掲載時より、どの短編も加筆されて少し長くはなっているんです。
月刊誌だと、ページ2枚分でしたから、やっぱりもう少し、長くしないといけないんでしょう。
しかしこれは、ラストが奇妙な笑える話から、ホラーに変わっていました。
テイストもラストも違う。

掲載誌は女性向けのファッション誌だったので、あまり残酷な話にはできなかったのかな。
ふわっとしたラストは、雑誌の雰囲気には合っていました。
だけど単行本や文庫本にするには、もっとはっきりした結末にした方が良いと思ったんでしょうか。
確かにこちらのほうが印象に残るラストですが、私は最初のちょっと笑える困った話が好きでした。