美容師さんとすれ違い

なぜか12月は、気に入らない髪の状態ですごすことが多い。
忙しくて、美容院に行ってる時間がないせいか。
学生時代から、そんな状態が多かったような気がします。
伸ばしかけの、結べない、しかしうっとおしい、だがやりたいヘアスタイルになる途中ってことが多かった。

近年には、ちゃんとヘアカタログでヘアスタイルを指定しているのに、思いっきりシャギーを入れられて、別美容院に駆け込んだ思い出があります。
そういえば、いつもなんだか思うようにならないと思っていた。
この担当者さん、いつも私が思うのと違うヘアスタイルにしていたらしい。
気づくの遅い私も私だ。

このとき、はっきり、写真を見せているのに、「では、ここ(と言って、耳の上。こめかみの辺りを押さえる)で、いったん、きゅっと収まって、外ハネですね」と言われて気づいた。
とろいぞ、私。
「…いえ。写真どおりに」。
「はあ」。

しかし、できたのはその「いったん、きゅっと収まって、外ハネ」でした。
私も私だ。
やめりゃいいのに。

それで友達が進めてくれた美容院に駆け込んだら、一番短い髪が、やりたいヘアスタイルができるようになるまでは1年ぐらいはかかるということでした。
人類はもう、宇宙ステーションに滞在するんだから、そろそろ、1ヶ月で髪が10センチ伸びる方法が開発されてもいいのではないか。
無理か、そんな自然の摂理に反すること。
産業に対しても、いろんな影響がありすぎるか。

そして、前にも書いたと思うけど、もちろん、その後、この美容院には行かなかった。
しかし、まさになりたいヘアスタイルに近づいた、何度目かの美容院の帰り。
駅でいきなり声をかけられて、振り向いたら、その「いったん、きゅっと収まって、外ハネ」にした美容師さんだった。

美容師さんなんだから、美容院帰りだってわかっただろうな。
別の美容院にしたことも。
その後、そこに行かない理由もわかっただろうな。
ちょっと胸が痛んだ。

技術もサービスも、悪くなかったんですけどね。
美容師さんと、私の好みが合わなかったんでしょう。
これが美容院でなんか、思うようにならない、一番の原因のような気がする夜更かしの休日の夜。
話と関係ないけど、明日の朝はツナサラダに、トーストにマーマレード、ベーコンエッグにしよう。


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独身貴族

結構、楽しみにしてるんです、草なぎさん酒宴の木曜夜10時からの「独身貴族」。
あと1日で週末という気分で見るのも、楽しい。
草なぎさんの年齢だからできる恋愛ドラマじゃないかと、思うんですね。
今の年齢にあった、今の年齢の草なぎさんだからできる恋愛ドラマじゃないか、と。

玲子さんも、最近見ていて切ないですね。
守のことが本当に好きになっていて、彼の心に誰がいるかわかっている。
育ちとものわかりが良さが、彼女を抑えてるんだろうなあと思います。
みんな、笑顔で終わってほしいと思う木曜日の夜のドラマ。


変わらぬ昨日を 恨むことなく 「猫侍」第7話

第7話。


にゃおんの声で、目覚める久太郎。
『朝か』。
傍らにいる玉之丞をなでる。

「いつからかな。お前の声で目覚めるようになったのは」と言う。
そして、ハッとする。
『うおおお、猫に…。話しかけてしまった!」

久太郎は玉之丞を魚籠に入れて、町を行く。
若菜が声をかけてきた。
「おはよー!今日もぜんっぜん売れないよ!」

「…そのわりには、楽しそうだな」。
「笑う角には福来る!ってねっ?」
「のんきな奴」。
「怖い顔には鬼が来る!」

『猫が来たがな』。
その時、「どにゃつぼう、一本くれない?」と客が来た。
「ほらあ、福が来た!」

猫見屋のお七は玉之丞を見て、「熱もないし、脈も正常。毛並みも申し分なし!イライラしたところもないし。さてはこうやって遊んであげたでしょ!」
お七は、ねこじゃらしを久太郎に向かって振る。
久太郎が心の中で、叫ぶ。
『うっ、嫌な女っ!』

だがお七はまじめな顔に変わり、「「お遊びはここまで」と言った。
そろばんを出して、「診察料48文、で、薬が1両。合計1両48文になります」と告げた。
「つけ」。
「断る」。

久太郎の申し出をすばやく、断ったお七に久太郎は『すっげーやな女』とつぶやく。
「あなた、剣の達人なんでしょ?」
「無双一刀流免許皆伝、人呼んで斑鬼」。

「聞いたことないわね。そのあだな、自分でつけた?」
『つけるか!』
「とにかくその鬼瓦さんに、ぴったりな仕事があるんだけどな」。
『鬼瓦?!斑鬼だ!』

「こっちよ」。
お七が案内して来た、店の裏手には薪があった。
仕事とは、薪割りであった。

「しっかり働いてね」。
お七は、ばっさりと斬るジェスチャーをして「得意でしょ?」と言った。
久太郎は、黙っている。

お七は「診察料が48文、薬代が1両で合計…」と言った。
「わかった、わかったよ!」
「お願いします」。

「うわあああ」と、加賀屋では主人の声が響いていた。
佐吉がやってきて「また悪い夢を見たんですか」と聞く。
「いや、そうじゃない。玉之丞が出てこないんだ、夢に」。

「悪夢でもいい。玉之丞や、出てきておくれ!」
主人は天に向かって、両手を伸ばしたかと思うと、布団の上にばったり、仰向けに倒れこむ。
それを見て、情けない顔をする佐吉。

『俺は剣の道を究めた男だ。この斑鬼の前に立ちはだかるものは、斬る!』
『薪だろうと容赦はしない!』
久太郎は、斑鬼のテーマソングを口ずさみながら、薪を割っていく。
『結構、楽しい…』。

玉之丞は、お昼寝をしていた。
久太郎が薪を割る音で、ちらりと目を開ける。
「ご苦労様、ちょっと休憩してちょうだい」と、お七がおにぎりを持ってやってくる。

久太郎が、ほおばる。
そして、思わず笑顔になる。
見ていたお七が、かすかに笑顔になる。
ハッとした久太郎がお七を見て、おにぎりを戻す。

「やあね、これはただよ、ただ!」
それを聞いた久太郎がしかめっ面を作って、再びほおばる。
「どうお?お口に合うかしら」。

「最近、いい顔してるよ。最初会った時はこう、肩に力が入っていたというか。そんな生き方、窮屈だろうなあって印象だった」。
「俺は変わってない」。
久太郎はそう言って、茶を飲む。

「そうかなあ。きっと、あの子のおかげよね」。
お七の視線の先には、籠に入った玉之丞がいた。
「あたしもそう。昔はもっと見栄や駆け引きの中で生きていた。裏切ったり裏切られたり。そのうち、本当のことが見えなくなって」。

お七は、玉之丞に何か食べさせながら言う。
「でもこの子達は、嘘をついたり、騙したりしない。だからこっちも、素直になれるのよね」。
「食べ終わったらさ、薪運んでちょうだい」。

「運ぶ?」
「そう、お得意さんのところにね」。
黙った久太郎に、お七はそろばんを手にする。
「わかった!」

地図を手に、久太郎は薪を担いで町を行く。
「ねこ、ぢゃや?」
猫茶屋という看板の前で、久太郎は立ち止まった。

中は、猫を相手にくつろぐ人々で一杯だった。
体の大きな女性がやってきて、「いらっしゃいませ!」と言った。
「客ではない。猫見屋の使いだ」。

すると、女性の態度が変わった。
「なんだよ、だったらそこの勝手口においておいとくれ!」
そう言うと、女性はさっさと背中を向けた。

『ったく、客商売の表と裏だな!』
茶屋の中では、猫を相手にくつろぐ人々がいる。
出て行こうとした久太郎に、声がかかった。

「おやまあ、これまた奇遇ですなあ」。
『出た猫じじい!』
あの、町で出会って助けて、そして猫見屋を教えてくれたおじいさんがいた。

「すばらしいお店ができましたよ。猫に囲まれて、まさに天にも登る心地です」。
『おいおい、ほんとに召されちゃうんじゃないだろうな』。
「ご覧ください、店にあふれる幸福感」。

その時、久太郎に向かって「お侍さん」という声がかかった。
『また、余計なのが来た』。
若菜だった。

「偵察よ偵察。どにゃつぼうが売れないのは、このせいね」。
「お知り合いですか?ささ、お2人ともこちらへ」と、おじいさんが座敷にあがれと促す。
「帰る!」
「え?」

久太郎は帰ると言って、背を向けた。
「そうおっしゃらずに、おいしいお茶をご馳走しますよ」。
久太郎は歩き出した。

「甘いようかんもつけますが」。
『ようかん?』
さきほどの女性が、ようかんを運んできた。

「当店自慢のようにゃんです。どうぞ、ごゆっくりだにゃん」。
そこには、ネコの顔型にくりぬかれたようかんが載っていた。
「ようにゃん…」。

若菜は「完全に、ぱくられてるんですけど!そもそもなんで、こんなに繁盛してるの?猫なんか、家で飼えばいいのに」と言った。
ところが、じいさんが言った。
「お嬢さん、それができればどれだけ幸せか」。

「え?」
「猫を飼うには、金がかかる」。
『激しく同意!』

「猫嫌いの大家も、たくさんおる」。
「飼いたくても飼えない人が、これだけおると言うことじゃ」。
「ふうん」。

「わしのように、うちに猫がおっても、それでも足を運ぶ者もおる」。
「猫が好きなんだね」と若菜が言った。
「猫はいい。わかったようなことを語るでもなく、傍にいてぬくもりをわけてくれる」。

その頃、佐吉はこっそり、玉之丞の壷の元に行っていた。
おののきながら、壷を持ち上げ、振ってみる。
「もう骨になっちまったのかな?だんな様が夢で会いてえってよ。屋敷の庭に埋めてやるからさ、たまには出てやってくれよ、夢の中だけな!あと、俺んとこには出てこなくていいからな!」

猫茶屋から、久太郎と若菜が戻ってくる。
「見た?おじいちゃんのかわいがりかた!」
だが、久太郎の顔が曇る。

若菜が振り向いた。
どなつぼうを売っていた屋台がひっくり返され、どなつぼうが散乱していた。
笑い声が聞こえ、いつかのショバ代をよこせと言ったチンピラが、仲間を連れて3人で、笑っていた。

若菜が、散らばった拾い始めた。
「全然平気、平気」と言う。
久太郎が、ぎこちない手つきで手伝い始めた。

やがて、久太郎が猫見屋に戻ってきた。
「おかえりなさい、どうだった?なかなかおもしろいお店でしょ?」と、お七が言う。
気づいた玉之丞が、久太郎に「にゃああおん」と鳴いた。

久太郎は腰を落とし、玉之丞と向き合って玉之丞の顔を見つめた。
「ほんとに猫には、人を癒す力があるのかな」。
「どしたの?」

久太郎は黙っていたが、じっと玉之丞を見つめていた。
「そんなの、あなたが一番良く知ってるはずよ」。
にゃあおん。

辺りをうかがいながら、佐吉が壷を持ってそろそろ歩く。
うっかり人とぶつかりそうになると、壷をかかえてしゃがみこむ。
「おい、佐吉、何だそれ」と、物陰から声がかかる。

物陰から、石渡と岡引が出てきた。
石渡が壷の札を「もののけ」と読む。
「漬物の壷でございます!急ぎますんでこれで!」と言って、佐吉は走る。

林の道にある、どにゃつぼうの屋台を見て、久太郎がやってくる。
若菜が林の中、小川のほとりで座っていた。
ぽつり、と若菜が言った。

「もう、どこにも帰る場所がないんだ」。
「あたしの家はね、貧しい農家なの、来る日も来る日も痩せた土地を耕して。でもそんなのつらいなんて、思ったことない。家族で仲良く暮らせれば、それでよかったの」。
「でも一番下の妹が肺病にかかって、おっ父は…薬代のために、あたしを遊郭に売ろうとした」。

思い出の中、若菜、若菜と探す声が響く。
若菜が、廃屋の中に逃げ込む。
解いた髪を握り締め、鎌を手にする。

泣きながら、若菜は髪を切り落とした。
ぎゅっと、切った髪の束を握り締める。
「あたし、逃げ出してきたの。心の中で謝りながら」。

「女郎になるよりも一杯稼ぐから、堪忍してくださいって」。
若菜の声が震える。
久太郎が魚籠から、玉之丞を取り出す。

「猫?」
久太郎は、玉之丞をそのまま若菜に抱かせる。
玉之丞は両手をつっぱり、つぶらな目で若菜を見ていた。

「あったかい…」。
玉之丞を抱っこした若菜が、涙をこぼす。
久太郎はゆがむ顔を、必死にこらえていた。

夜、長屋で久太郎は、ねこじゃららしで遊ばせている。
久太郎の思い出の中。
「父上」と、お春が旅立つ久太郎に向かって走ってくる。

「江戸に行ってしまわれるのですね」。
「お静は」。
久太郎は、妻のことを聞いた。

「見送りする気にも、と」。
「そうか」。
「これを」と言って、お春は鈴のついた守り袋を出した。

お春は「いってらっしゃいませ」と、頭を下げた。
その様子を、妻のお静は黙って、影から見ていた。
久太郎は、玉之丞を見つめる。

「人は誰しもm過去を背負って生きているんだな。猫だってそうだろう?うん?」
そう言って、久太郎は玉之丞をなでる。
久太郎は、ハッとした。
『また…猫と話している…』。

いつの日も 明日を信じて進むのみ 変わらぬ昨日を 恨むことなく



う~ん、7話はジンとしました。
若菜はわけありだなと思ってましたが、そうだったのか。
あの時代に妙な短髪でしたが、そのわけもわかりました。

「バカ売れ、間違いないよ♪」と明るいだけに、その過去はショック。
屋台のことで落ち込んでいる若菜を、励まそうと思った久太郎だけど、若菜の口から出たのは哀しい過去。
妹が病気だから、仕送りしなくちゃって言ってたけど。

必死に生きてきて身につけた明るさなんだな、と。
明るくないと生きていけなかったんじゃないかと思うと、切ない。
売れないよ~と明るく話していた若菜に、「なのに元気だな」「のんきな奴」と言った久太郎はショックだったと思います。

「前回のあらすじ」が毎回、冒頭にあるんですが、その回に関係があるあらすじが紹介されるんですね。
だから今回は、若菜がショバ代を要求したチンピラをぶっ飛ばしたシーンが出てきました。
陰険な仕返しだけど、屋台そのままで行くとは、いくら売れなくても若菜さんもちょっと無用心かな。

逃げてしまった自分を責めて、一生懸命稼ごうとしていた。
髪を鎌で切るなんて、どれだけつらかっただろう。
その後も、あの髪でいる間、どんな思いをしていたんだろう。

一番下の妹のために、お姉ちゃんを売るっていうのも、お姉ちゃんの気持ちってたまらない。
妹はきっかけで、前から売りたかったのかもしれない。
それほど、生活が苦しかったのかもしれない。
加賀藩にいた久太郎には、想像もつかなかったに違いない。

秘密の玉之丞を、若菜に見せて、抱っこさせる久太郎。
玉之丞の癒しパワーを、誰よりも知っているから。
おとなしい玉之丞がすごく、かわいい。

つぶらな目でじっと見て、心が緩んで泣けてしまう。
横で、一生懸命、泣くまいとしている風の久太郎。
優しい斑鬼。

お七に『うっ、嫌な女っ!』と言う久太郎が笑える。
「つけ」。
「断る」。
『すっげーやな女』。

このタイミングも笑える。
「無双一刀流免許皆伝、人呼んで斑鬼」。
「聞いたことないわね。そのあだな、自分でつけた?」
『つけるか!』

「とにかくその鬼瓦さんに、ぴったりな仕事があるんだけどな」。
『鬼瓦?!斑鬼だ!』
この辺りの掛け合いが、絶妙に楽しい。

久太郎を見ていたお七が、かすかに笑顔。
「やあね、これはただよ、ただ!」って言ったけど、お金取られると思ったんじゃなくて、笑顔に自分にはっとしたのかな。
「最近、いい顔してるよ」ってお七が、過去の自分を久太郎に見ているみたい。

「俺は変わってない」って言うけど、久太郎の心の声が、はじけてきている。
薪を割る時も、遊んでる。
遊ばないんじゃなかったっけ?

『結構、楽しい…』。
おにぎりをほおばって、久太郎が笑顔になるところからも、だんだん心がほぐれてきているのがわかる。
声に出すまで、あと一歩だな。

そして、猫カフェ?!
体の大きな女性の、客じゃないとわかった時の態度の豹変がすごい。
まさに『ったく、客商売の表と裏だな!』

「猫を飼うには、金がかかる」。
『激しく同意!』
久太郎の、激しく同意がおかしい。

しかし、考えたら「悪夢でもいい。玉之丞や、出てきておくれ!」の加賀屋の主人はかわいそう。
実は傷つきまくっている。
そりゃ、あの玉之丞が…と思ったら、当然。
あまりの嘆きぶりと、悪夢でもいいから会いたいという思いに、佐吉は壷を庭に埋めようと決意。

「人は誰しも。過去を背負って生きているんだな」と言ってしまう久太郎。
「猫だってそうだろう?うん?」って、また話しかけちゃっている。
玉之丞が加賀屋に行くまでの過去って、玉之丞だけしか知らないから。

それを考えるのも、なんか、切なくなってしまう。
生まれた時から知らないなら、この猫の過去も、永遠に自分にはわからないままなんだなって。
なぜか、切ない。
切ない話の今回。

だからこそ、玉之丞の癒しパワーが効く。
猫茶屋にいる人たちも、きっとそうなんだろう。
あのチンピラ、最後に石渡さんにでもいい、〆られるといいですね。


涙拭えぬ 金ぞむなしき 「猫侍」第6話

第6話。

『拙者、元加賀藩剣術指南役・斑目久太郎。
無双一刀流、免許皆伝にて、今日ゆえあって浪人暮らし。
…同居人は、猫』。

心の中で、斑鬼のテーマソングを歌う久太郎。
美しく張った傘を開く。
そこには、猫の足跡。

開いても開いても…。
どれ開いても。
そこには猫の足跡。

のんきに籠で、箱入り娘している玉之丞。
カッと見開いた目で、にらみつけた久太郎。
「きっさまぁ~!」

にゃあおん。
久太郎、玉之丞を押入れに入れる。
『好きな言葉、猫の恩返し』。

にゃあおん!
一層高く響く、玉之丞の声。
「うるさい!」
高く響く、久太郎の喝の声。

表に来ていた、薬売りの五郎がその声に怯え、引き返そうとする。
そこに長屋から若菜が出てきて「あ、江戸に来てたんだ」と声をかけた。
「機嫌悪いみたい」と、久太郎の家に入らず帰ろうとする五郎に若菜は、「だいじょぶ、だいじょぶ。お侍さーん!」と戸を叩いてくれる。

「奥様、受け取ってくれませんでした」。
五郎はそう言って、久太郎に託された招き猫の貯金箱を差し出した。
だんな様に返してくださいと言ったきり、妻は黙ったと言う。

それを聞いた、久太郎の顔色が変わった。
「もう一度届けろ」。
五郎も日を替えて何度も持って行ったのだが、妻は頑として受け取らなかったらしい。

「しかと届けろと、言ったはずだ」。
久太郎のまなざしに背を向けた五郎は、「嫌だな~、こんな板ばさみ」と身を縮こませた。
「もしかして、お金だけ送りつけたわけじゃないでしょうね?」と若菜が言う。
久太郎のまつげがピクリと動き、黙ったまま久太郎は、ぴしゃりと戸を閉めた。

ちゃりんちゃりんと音をさせた貯金箱を手に五郎は、「こんな大金、持ち歩けないよぉ~」と叫んだ。
「じゃあさ、とりあえず、うちで預かっておく。折りを見て、必ず、お侍さんに返しておくよ」と若菜が言った。
「助かるぅ~」。

「ネコババしちゃ、ダメだからね!」
「そんなこと、しないよぉ~」。
「信じてるけど」。

若菜は貯金箱を受け取った。
「でも、ほんと、困ったお人だよ。こんな長いこと浪人してるんだったら、奥様のところに帰ればいいのに」。
「ほんとだね。帰れる場所があるのに…」。

そう言って黙った若菜を、五郎は見つめた。
だがすぐに「じゃあ、また」と笑顔を作って、若菜は部屋に戻った。
久太郎は数々の手紙を前に、妻の「でも今は、あなたを信じる心に、自信が持てない」と言った妻の顔を思い出していた。

にゃあおん。
わおん。
玉之丞の声が響く。

『怒ってない怒ってない』。
久太郎は木刀を手に、精神統一しようとする。
『俺は怒ってない』。

そして、がらりと押入れの戸を明ける。
玉之丞が、四角い籠に中に入っている。
「まだ反省が足りん!しばらくそこにいろ」。
久太郎はそう言って、戸を閉めた。

その頃、加賀屋では主人が絶叫していた。
佐吉が、「どうしましただんな様」と言う。
「夢を見た。玉之丞の夢だわしに向かって、たすけてくれーと叫んでおった。鳴いておった」。

佐吉は主人の汗をぬぐいながら、「なんだか気味が悪いですね」と言った。
すると、主人は佐吉の首を絞めながら「気味が悪いのか!」と食ってかかった。
「くっ、くるしいですよ」。
「佐吉、あの世に行って玉之丞を救い出せ」。

「やめてください!夢の中の話でしょ!」
主人は、しょんぼりして言った。
「鳴いてばかりいる玉之丞、かわいそう。…かわいそう」。

「何で鳴いてたんでしょう?」
「くらぁくて、せまぁい所に閉じ込められているよ。たとえば、壷」。
その言葉に、佐吉がギョッとする。
「壷!」

佐吉は、神社の裏の、玉之丞を封印した壷の元に走った。
辺りをうかがい、誰もいないことを確認して、置いてあった場所にあるはずの壷を見る。
「ない!」
壷は、久太郎が移動させたため、外にあった。

佐吉は壷を拝みながら、「玉之丞、だんな様の夢に出てきたってダメだよ!お前はしんじゃったんだから。成仏しい!」と手を合わせた。
そして怖れながら、「成仏」と書いた紙をさらに壷に張る。
「成仏!」
拝みながら、佐吉は後ずさりしていく。

押入れの戸を明ける久太郎。
「少しは反省したか」。
玉之丞は押入れの中の、四角い駕籠の中でおとなしくしていた。
「さあ、飯だ」。

「貴様はすべての傘をだめにした。武士なら切腹もんだぞ。しかし俺は鬼ではない。飯ぐらい食わせてやる。だからお前も少しは猫の恩返しでも…」。
だが、玉之丞は目の前に椀に背を向けていた。
「うん?どうした?」

『少し、おしおきが過ぎたかな』。
玉之丞は食べなかった。
久太郎は、玉之丞を魚籠に入れ、猫見屋に連れて行く。

そこに、先日斬った高札があるのを見た。
高札の柱は、倍以上太い、まるで家の柱のようなものに代わっていた。
『太(ふと)っ!』
『しかし修復が早いな。敵も本気というわけか』。

久太郎は魚籠を手に、高札の前を足早に去った。
猫見屋のお七は、玉之丞の目や耳を確かめ、「お寺に預けたりしたから、一気に疲れが出たんだと思う」と言った。
「そんなことで」。
「猫ちゃんは繊細なのよ、大事にしてあげないと。この様子じゃ食欲もないんじゃない?」

「まあ」。
「猫ちゃんの体調を整える、いいお薬があるわ」。
「いくらだ」。
「一両」。

思わず、久太郎の顔が引きつる。
『うっ、法外な値段』。
「どう?」
「何とかしよう」。

「まいどあり!」
お七は皿に出した、液体の薬を玉之丞になめさせた。
玉之丞は、その薬を綺麗になめた。

「これで元気になるわねえ、ところで、ちゃんと遊んであげてる?」
「遊ぶ?」
「そうよ、運動や心の疲れを癒すために遊びが必要なの。人間と一緒!」
「俺には必要ない」。

「本当に?」
「生まれてこの方、遊んだことは一度もない」。
「はいはい」。

『いつでも真剣だ』。
「でね、猫ちゃんと遊ぶって言うのは…」。
話しているお七をよそに、久太郎は心の中でつぶやき続ける。

『剣の道だけを、突き進んできた』。
「ほらほらほら、こっちよ!」
お七が、ねこじゃらしで玉之丞をじゃらそうとする。

「病み上がりには、刺激が強すぎる!」と久太郎が言うが、お七は「とにかく、こうやって声をかけながら遊んであげると喜ぶわよ。人間の赤ちゃんと一緒!」と言った。
「俺に遊びなど必要ない」。
「猫ちゃんには必要なの!子供と遊んであげない親がいる?」

久太郎が、お七の持っているねこじゃらしを手に取る。
「一本4文、まいどあり!」
お七のすかさずの声に、久太郎が息を呑む。
久太郎が猫見屋の壁に貼られた、値段表を見る。

「それと、薬代と診察料も忘れないでね!」
『たっけえ!ぼったくりじゃないのか』。
久太郎の心の声をよそに、ウインクするお七。
にっこり笑う。

久太郎は、寺に玉之丞を連れてきた。
庭を掃き掃除していた照松が、もう1人の子供につつかれて久太郎を見る。
「何や、また捨てに来たんか!」
照松が怒る。

「いや」。
「ほな、なんや」。
「こいつと遊んでやってくれんか」。

久太郎の頼みどおりに、照松たちはねこじゃらしで、玉之丞をじゃらしている。
『生意気な小僧も、ああしていると、ただの子供だな』。
「なあなあ、おっちゃんも一緒に遊ばへんか?」

照松の声に久太郎の心の中は『おっちゃん…!』と反復し、顔を上げた。
『生意気なガキ』。
だが平静を装って、久太郎は言った。

「おっちゃんは、遊ばん」。
「あっそ。お前の飼い主、変わってんな」と、照松は玉之丞に話しかけた。
『言いたい放題だな』。

『剣の道に遊びなどない。厳格な父の元で育った俺は、遊んだ記憶すらない。そんな暇があったなら剣の練習をしろと叱られた』。
ふと、久太郎が思い出す。
『お春…』。

お春が、屋敷の庭で、木刀を懸命に振るっていた。
見ていた久太郎は、背後から木刀を捕らえ、取り上げた。
「お春。遊びじゃないんだぞ」。
「遊んでなんか、いません」。

「父上が江戸にいらっしゃる間、私がこの家を守らなくては」。
お春は唇を噛んで木刀を取り返し、素振りを始めた。
そのつたない素振りを見て、久太郎は黙っていた。

「この猫かわいい!」と言う、甲高い女の声で、久太郎は我に返った。
どこかのお店の娘らしい身なりの、若い女性だった。
照松が「玉之丞言うねん」と答えた。
「抱っこさせて」と言うので、照松が玉之丞を渡す。

女性は、玉之丞を抱いた。
「うわあ、この子連れて帰りたい!」
連れの、どこかのこれまた若旦那風の男が、「連れて帰りたいって、そりゃダメだろう?」と言った。
「ううん、あたし、ぴんときたの。この子は私に飼われる運命よ。ねえ、菊姫」。

勝手に玉之丞を菊姫と呼び出した女性に向かって照松が「玉之丞言うてるやろう!」と言う。
連れの男が、「わかったわかったわかった」と言った。
「しょうがねえなあ。坊主、この猫、譲ってくれんか」と言うと、男は財布から小判を出した。

「あかんあかん、売りもんやない!」
照松が玉之丞を、取り返そうとした。
娘が渡さないよう、強く抱きしめたので、玉之丞が「ぎゃおっ」と鳴いた。

「わかったわかった、2両だ」。
男が小判を、2枚出した。
照松が「おまえら、どういう神経しとんねん!」と叫ぶ。

「おい、調子に乗るなよ」。
男の声が低くなり、照松をにらむ。
「貴様がな」。

気配を感じて、男が振り向いた。
そして、ものすごい形相の久太郎を見た。
2人は怯えて、去っていった。

「しょうもないやつらや。金さえ出せば、なんでも手に入ると思ってる」。
照松の言葉に、久太郎が「金では買えん人間もおる」と言った。
「俺らみたいにな!な!」

照松がそう言って、久太郎を見上げた。
『俺は3両で、玉之丞を斬ろうとした。心がちくちくする…』。
照松のまっすぐな視線から、久太郎は思わず、目を伏せた。

その夜、長屋で久太郎は玉之丞と遊ぼうとしていた。
しかし玉之丞は、ねこじゃらしに見向きもせず、棚の上の箱に収まった。
久太郎は、「今度は毬を取り出す。
だが、玉之丞はじっと見ている。

その時、とんとんと戸を叩く音がして、若菜の「お侍さん」という声がした。
「いるんでしょ?開けるよ!」
久太郎はあわてて、玉之丞を隠す。

若菜は「これ」と言って、貯金箱を久太郎に向かって差し出した。
「ほら」。
久太郎は、黙っていた。

「いつかは家族のために、役立つ日が来ると思う」。
若菜は、貯金箱を床に置いた。
「でも今、奥さんや娘さんがほんとにほしいものは、さ」。

そう言うと、若菜の目が涙でいっぱいになった。
「わかんないの?」
泣きそうな若菜を見た、久太郎がうろたえる。
若菜がぴしゃりと、戸を閉めた。

にゃおん。
玉之丞と貯金箱が、並んでいる。
『ほんとにほしいもの…』。

玉之丞が近づいてきて、久太郎のひざに寄りかかる。
そのまま、玉之丞は眠ってしまう。
久太郎は、あぐらをかき、腕組みをしていた。

かたくなに強がる 君の細き腕 涙拭えぬ 金ぞむなしき



最初の、おごそかな声で始まる、拙者、斑目久太郎!の自己紹介(?)
それがすむと、今度は♪わ~が年、この秋、しーじゅうろくー。
よわたりべーたと、いーわれってもー ちちにちかったてーんかいちー
斬るべしっ 斬るべしっ 斬るべし~っ!ふくつーの まーだらおにー♪のテーマソング。

そして、開く傘。
ポンッ。
猫の足跡!

ポンッ。
もうひとつ。
猫の足跡。

ポン、ポンッ!
ほかも、ぜーんぶ、猫の足跡。
「きっさまぁあ~!」

傘、全部ダメにしたと言うが、猫の足跡柄の傘、ほしい。
猫見屋さんで、置いてくれそうなのに。
この商品価値に、久太郎は気がつきそうもないな。
お七か、若菜が見たら、売れると言うだろう。

『好きな言葉、猫の恩返し』。
爆笑。
映画にありましたね。

薬売りの五郎さんに、「しかと届けろと、言ったはずだ」って声、たぶん加賀藩にいた頃、こんな感じで五郎さんに久太郎は言ってたんでしょうね。
五郎さんの、「嫌だな~、こんな板ばさみ」って言い方もおかしい。
久太郎ピクリと動く眉毛や、顔の筋肉が笑える。

若菜のさびしそうな「帰れる場所があるのに…」。
この娘、故郷がないのかな。
五郎さんも、若菜さんに何か事情があるのがわかったらしい。

『怒ってない怒ってない』。
『俺は怒ってない』。
いやいや、怒っている。

玉之丞に「まだ反省が足りん!しばらくそこにいろ」とか、無理です。
猫はなんでそんなことに入れられてるのか、全然わかんないと思う。
しかし、ご飯を食べない玉之丞を心配した久太郎は、猫見屋へ。
猫、ご飯食べないと心配だもの。

途中の高札の柱は、倍以上太い、まるで家の柱のようなものになってる。
しかも、黒い。
『太(ふと)っ!』
ほんとに、太い。

そして、お七の薬が1両。
『たっけえ!ぼったくりじゃないのか』。
笑える。

久太郎の心の声をよそに、ウインクするお七。
にっこり笑う。
高橋かおりさん、キュート!

久太郎さん、遊んだことがないんだ。
遊びのないハンドルは、事故の元だぞ。
だから遊べない久太郎は、照松のところへ。

「おっちゃんは、遊ばん」。
「あっそ。お前の飼い主、変わってんな」。
『言いたい放題だな』。
この流れもおかしい。

でも、照松いい子だ。
「俺らみたいにな!な!」
照松の、まっすぐな視線に、久太郎の心が痛む。
『俺は3両で、玉之丞を斬ろうとした。心がちくちくする…』。

そして、思い出すお春のこと。
お春が必死に、子供なりにがんばっていた姿。
何も言ってやれなかった、あの時の自分。
今も、何もしてやれない自分。

心がちくちくする。
さらに、若菜にも答えられない久太郎。
わかってるだけど、素直に言えない。

泣きそうな若菜を見た久太郎の表情が、うろたえている。
何のためらいも、計算もなく近づき、眠ってしまう玉之丞が、すごくかわいい。
不器用で、哀しい斑鬼を癒す玉之丞。

佐吉と加賀屋の主人のやりとりも、おかしい。
主人の伊藤洋三郎さんの「鳴いてばかりいる玉之丞、かわいそう。…かわいそう」の声が、本当にかわいそう。
…なんだけど、おかしい。

「くらぁくて、せまぁい所に閉じ込められているよ。たとえば、壷」って、佐吉には壷とピンと来た。
だけど見ているこちらには、押入れに閉じ込められた玉之丞のSOSなの?と思えてしまった。
テレパシーというか、加賀屋のご主人、本当に玉之丞が好きなんだなあ。
この点は、かわいそうなんですよね。

しかし、お七の薬は、なんだろう。
またたびでも、入ってるんだろうか?
勝手にお金出して連れ去ろうとした男女が、久太郎にいっぺんで怯えて去っていく。
久太郎に怯えないのは、猫と子供と、若菜とお七ですね。

死霊の呪縛 「眠狂四郎 円月殺法」第7話

第7話、「無惨!乙女肌魔性剣 三島の巻」。

臥竜軒という、山に住み着いた流れ者が親の仇と斬りかかって来た武士を木刀でたたき殺した。
そこに子犬が迷い込んだが、居合わせた男も飼い主の少女を抑えるしかできない。
子犬はたたき殺される…。

そう思った時、狂四郎が子犬を拾い上げる。
子供が駆け寄ってくる。
狂四郎は子犬を渡してやりながら「さあ、早く行くがいい」と言った。

「ありがとうございました」と従者は頭を下げ、子供をつれて去っていく。
何事もなかったように狂四郎が去る。
後には、狂四郎をにらみつけている臥竜軒だけが残った。

にわか雨にあった狂四郎は、一軒の道場の戸をたたいた。
女性が応対に出てきて、ここは修行のための道場と言った。
狂四郎は雨宿りをさせてもらうことにした。

そこは白装束の巫女のような女性ばかりで、経を唱えている。
経がこだまする中、香が焚かれる。
女性たちはみな、口と鼻を紙で覆っていた。
狂四郎が寝込む。

その時、一人の女性が狂四郎を押さえつける。
経を唱えていた女性の一人が、「眠狂四郎、よく聞け!我らはそおぬしに討たれし、薩摩隠密党の所縁の者どもなる!その仇を討ちに国表から参った」と言う。
だが眠っていたはずの狂四郎は、女性の刃を持つ手を押さえた。

「あの眠り薬が効かぬとは!」
「こやつ、魔性のものか!」
「毒を制すには薬がある」。
狂四郎は道しるべに細工があるのを承知で、ここに来たのだった。

あきらめて国元へ帰れと言う狂四郎に、仇を討たなければ帰らないと女性たちは言う。
「仇呼ばわりは迷惑だ」。
「数知れぬものたちを殺めてきた私だ。おぬしたちの縁者を斬ったかもしれぬ。だがいずれも尋常の立合い、または卑劣な手だてをもって襲ってきた者たちだ」。
「問答無用。お前の首を手みやげに夫の元へ参るのだ!」

「おぬしたち、よほど性質の悪い死霊に取り憑かれているとみえるな」。
女性たちは、一斉に襲ってくる。
「いかづちに打たれて悪霊を払うがいい」。

そう言うと狂四郎は天井に向かって、女性から奪った刀を天井に投げて突き刺した。
すると刀めがけて、雷が落ちた。
女性たちは悲鳴をあげ、倒れる。
静かになった道場の中、狂四郎は立ち上がる。

山の中、須磨という女性が木に下げた棒を打ち、剣術の稽古をしている。
村の長のところに立ち寄った狂四郎は、先日助けた子供に付き添っていた男に会う。
男の名は作三といって、須磨の従者だった。
須磨は狂四郎に剣の教えを請い、立会いを望む。

しかし狂四郎は「断る」と言った。
「女の棒振りに付き合う酔狂は持ち合わせておらぬ」と言った。
須磨は「無礼な!」と怒った。

その頃、先ほどの狂四郎を襲った女性たちが互いに殺しあっていた。
「薩摩隼人の血を引くわれら。戦いに敗れたうえは、潔く自ら命を絶つべきなのだ。何で生き恥をさらしょうぞ」。
そう言う女性に、「何のために死なねばならぬのですか!」と片方の女性たちは言う。

「狂四郎という男。藩の方々が言うような卑劣なものとは思われませぬ!」
「私たちはだまされていたのです!」
「黙れ黙れ!」

「男たちは尋常な勝負を挑んで、敗れて死んだのです。恨みなどありません。これ以上、死んだ兄に縛られるのは嫌です!」
「言うな卑怯者!」
そう言った女性が二人、襲い掛かった女性たちを斬り、逃げた。
後から藩士たちが来て、逃げた女性を追う。

藩士2人は、山の中で臥竜軒と遭遇した。
臥竜軒の腕を見た2人は、女2人を追っているが、捕まえるのに協力したら、好きなようにしていいと言った。
だが臥竜軒は、腕を磨くこと以外、女には興味がないと言う。

藩士たちは黒い着流しの浪人も見なかったか、と聞く。
臥竜軒はそいつは強いのか、と興味を示した。
眠狂四郎、円月殺法という言葉を臥竜軒は心に刻む。

やがて2人の女性は見つかってしまった。
命乞いもむなしく、2人は斬られてしまった。
1人は崖下に転落し、流れ着いたところを稽古を終えた須磨が見つけた。

宿場町で、臥竜軒の話をしていた藩士に、ふと、町の者がその名前に耳に留めてしまった。
藩士たちの反応に、あわてて父親が言う。
臥竜軒というのは3年前、ふらっとここに来た男だ。

神社の奉納試合に出場し、並み居る武士たちを叩きのめして、勝ってしまった。
以来、誰も臥竜軒を倒すことができないのだと言う。
藩士たちは臥竜軒に興味を持つ。

その頃、須磨は流れ着いた女性を看病していた。
うわごとのように、女性がつぶやく。
「勝手に死んでいった男たちのために、なぜ…。女が死なねばならぬのですか。なぜ…。なぜ…。死にたくない」。

女性の頬を、涙が伝う。
須磨も「ダメ!しんじゃダメ!」と叫ぶ。
「生きたい。生きたい…、生きたい…」。
つぶやきながら、女性は息を引き取った。

村長に狂四郎は須磨の父親の話を聞いた。
須磨の父親は、奉納試合で臥竜軒と対決した。
壮絶なる試合だったが、臥竜軒が力勝ちした。

この試合の後、須磨の父親は剣の指南役を辞め、道場もたたんだ。
そしてこの山奥に須磨を連れてこもり、ひたすら剣の修行に励んだ。
やがて無理がたたり、須磨の父親は床に伏した。

父親は死の床から、須磨を呼んで言った。
「臥竜軒を破るまでは、わしは死ねん。死んでも死にきれん」。
「須磨!わしに代わって、臥竜軒を。頼む。頼むぞ須磨。わしの、代わりに」。
そう言って、父親は息を引き取った。

それ以来、須磨は髪も着るものも男に変え、剣に打ち込んでいるのだ。
長は狂四郎に、須磨に力を貸してくれるよう頼んだ。
そこに作三が帰ってくる。
作三は、須磨が流れ着いてきた女性を看病したのだが、やっぱり死んでしまった。

そこで埋葬してきたと言う。
女性の姿を尋ねられた作三は、修行僧のようだが、武家ではないかと言った。
狂四郎には、あの女性たちだとわかった。

男の格好をしている須磨と、狂四郎がすれ違う。
「お待ちください」。
「眠さまとは存ぜず、昨日は失礼しました」。

須磨は父親から、狂四郎のことを聞いていたのだ。
改めて指南を願う須磨だが、狂四郎は昨日の素振りを見ていて、臥竜軒にはかなわないと言った。
「女には女の生き方があると思うが」。
「私は女を捨てたのです」。

父親は武芸者として恥辱を晴らすため、修行をして病に倒れた。
どんなにか無念だっただろう。
その無念を託された須磨は、武芸者の娘として、父親の無念を晴らせずして、女の幸せはありえない。

「そなたもここに眠る女と同じく、死霊の呪縛から逃れられぬと見えるな」。
狂四郎はあの女性の墓を前にして、言った。
だが須磨は、臥竜軒を倒す必殺の一撃を教えてほしいと願った。

「己より勝る相手を倒す必殺の一撃など、あろうはずがない。よしんばあったとしても、それを1日か2日で会得するのは到底無理なことだ」。
それでも須磨は食い下がった。
奉納試合まで、あと3日。
「断る。無駄な振る舞いが嫌いな男だ」。

狂四郎は一人、歩いていく。
するとその先に、臥竜軒が待ち受けていた。
会いたかったと言うと、臥竜軒は襲い掛かってきた。

狂四郎は臥竜軒の木刀を、真っ二つにした。
円月殺法を見せろと言った臥竜軒だが、そこに川に洗濯をしに女性たちがやってきた。
女性の声を聞いた臥竜軒は、太刀がふりおろせなくなった。
「くそう、女か!」

臥竜軒は3日後、奉納試合で決着をつけようと言った。
去り際に川のほうを振り向いた臥竜軒の目が、女の素足、腰に釘付けになった。
狂四郎はそれを見ていた。

雨に打たれながら、須磨は狂四郎の眠っている部屋の前で剣の教授を願っていた。
作三は、もう無理ですと言った。
だんな様もきっと、赦してくださるでしょう。
だが須磨は、臥竜軒に一太刀打ち込むことができて、初めて女性として生きていくことができると言った。

作三はそれを聞いて、もうお止めしませんと言った。
お嬢様とどこまでも一緒だと言って、自分も雨の中、座り込む。
戸が開いて、狂四郎が姿を見せた。
「須磨どの。一手、お教えしよう。ただし、尋常な手立てではないゆえ、それでもよろしいか」。

奉納試合の日が来た。
薩摩の藩士も、臥竜軒の腕を見るためにやってきた。
奉納試合は、臥竜軒が勝ち進んでいった。

誰も挑戦者がいないなら、臥竜軒の勝ちだ。
臥竜軒は狂四郎の名を呼び、円月殺法と決着をつけたいと叫んだ。
狂四郎が現れた。

薩摩藩士が飛び出そうとするが、一人が押さえる。
狂四郎は臥竜軒と立ち会う人間は、別にいると言った。
須磨が現れたが、臥竜軒は相手にしない。

だが敵に後ろを見せるのですかと言われ、「たたき殺してやるから覚悟しろ」と向き直った。
作三が、須磨の介添えについた。
臥竜軒が構える。
須磨の後ろには、狂四郎が見守っている。

臥竜軒が打ち込んできた。
その時、作三が須磨の胴着から出ている糸を引いた。
途端に須磨の裸の胸が、あらわになった。

胸だけではない。
足も、全身があらわになる。
臥竜軒が木刀を振り上げたまま、「はっ!」と息を呑んで固まった。
次の瞬間、須磨が打ち込む。

試合は須磨の勝ちに終わった。
拍手が沸き起こる。
「狂四郎の計略だ」と近づいてきた藩士が、臥竜軒に告げた。

その夜、長は狂四郎に礼を言っていた。
これで臥竜軒もこの土地にいられなくなるし、仇討ちもできた。
狂四郎は仇討ちなど意味がない。
だが約束どおり、須磨はが女として生きていくことだと言う。

須磨は髪を結い、かんざしや櫛を身につけていた。
その時、物音がする。
「作三かい?」

だが振り向いた須磨が見たのは、臥竜軒だった。
「無礼をすると許しませんぞ!」
しかし須磨の抵抗などものともせず、臥竜軒は近づいてきた。
須磨の帯を解き、着物をはぐと、近づいてくる。

作三がやってくると、殴り倒して気を失わせる。
須磨はすでに気を失っていた。
その口に臥竜軒は、何かの液体を注ぎ込む。
朝もやの街道を去っていく眠狂四郎に、作三が須磨を奪ったと知らせに来た。

もやに隠れた先に、狂四郎が何かの気配を感じる。
「作三」。
もやが晴れて現れたのは、須磨に抱きつかれた臥竜軒の異様な姿だった。
喜び薬を飲まされた須磨は、まるで臥竜軒を守るようにしがみついていたのだ。

臥竜軒を斬るには、須磨を斬らねばならない。
そして臥竜軒を斬れば、須磨の呪縛を解く解毒剤は手に入らなくなる。
須磨はうっとりとして、臥竜軒にしがみついている。

臥竜軒が笑う。
狂四郎がじっと、須磨を見詰める。
須磨は自分を失っていた。

狂四郎が正宗を抜いた。
ゆっくりと、円月殺法の構えに入る。
頭上で高く正宗をかざすと、下に向け、弧を描いていく。
臥竜軒がじっと見つめる。

弧を描き終わった時、臥竜軒が踏み込む。
瞬時に狂四郎が剣を払い、須磨が息を呑む。
臥竜軒の口からも、血が流れる。

「お嬢様!」
臥竜軒が伏せて倒れ、須磨が仰向けに倒れる。
「何でお嬢様まで斬ったんだ。これじゃお嬢様が、かわいそうだ」。

作三は須磨にかけよると、「お嬢様…、痛かったでしょう」と言った。
狂四郎は、須磨に着物をかけてやった。
「この姿で正気に戻った須磨どのが、生きていられると思うか」。

その言葉を聞いた作三が、「お嬢様あ!」と号泣する。
狂四郎は振り返りもせず、歩いていった…。
地蔵だけが狂四郎を見送っていた。



片岡さんの「眠狂四郎 円月殺法」。
艶っぽいシーンは多いです。
ですが、狂四郎自身はストイックなのです。

だから、これならお茶の間が凍りつくことはないだろうな、と思ってました。
ところが、この第7話は凄かった。
でもおもしろいですよ。

臥竜軒という、山に住み着いた流れ者。
毛皮のベストを身につけ、荒縄で着物を縛っている野獣のような男。
粗暴で無学で無法で、人々をおびえさせる。
こんな男に負けた誇り高い武士は、すべてを捨てざるを得なかった。

しかし老いて病に倒れた武士は、娘の須磨にこの男を倒す願いを託し、死んでしまった。
託された娘の須磨は髪もかんざしひとつつけず、女性であることを捨てて、剣の修行に励む。
仇討ちなどやめて、女性としての幸せを求めろと狂四郎は指南を断る。
薩摩の刺客の身内の女性たちにも、狂四郎は仇討ちなどやめて幸せに生きろと言って、殺さずに去る。

臥竜軒は、小林稔持さん。
いや、いまや渋い俳優さんとして、活躍している小林さんが、いろんな役をやっていたのは知っています。
ついこの間見た「大都会Part2」で、最後には情けない声で命乞いをする爆弾魔をやってました。

でもこれはすごい。
目が点!
ふんどしひとつで現れた臥竜軒には、なんと、腰巻一枚になった須磨がしがみついて離れない。
臥竜軒が言うには、惚れ薬を飲ませて意思を奪ったそうで、須磨がうっとり頬を寄せながらしがみついている。

自分を斬るなら、須磨も斬らなければならない。
できるかな、眠狂四郎!ってわけで、その前にその不自然な状態で、刀が振るえるのか、臥竜軒!
女性を楯にしようという発想は、わかる。

だけど、何でそれなんだ。
女性との接触を絶っていたが、実は女性が嫌いなわけじゃないことを見抜かれ、その弱点を突かれ、おかしくなったっていうのもわかる。
でも、何でそれなんだ。

冷静に見るとですね、これ、しがみつかれている臥竜軒こと稔持さんの首も相当痛いと思う。
須磨の体を支えるだけで、大変だと思う。
それで、しがみついている須磨さんも、相当苦しいと思う。
さらにこれをまじめにやっている2人を見ると、俳優さんって、ほんと、すごいと思う。

薩摩の女性たちに対して、狂四郎がやる技も凄い。
正宗を天井に刺すと、そこめがけて落雷するんですよ。
眠り薬が効かなかった狂四郎を女性たちが、「魔性の者か!」と言うけど、こっちの方が妖術の世界。

しかし危ないっ。
落雷の半径500mでエアコンがやられた私は、同じ部屋なんかに落ちたら無事ではすまないことを知っている!
でもとにかく、数人の女性たちは薩摩の呪縛から解けた。
しかし解けない人もいたから悲劇は起こる。

全員自害するべきという女性と、死んだ者に縛られて死ぬのはたくさんと目が覚めた女性で、殺し合いになってしまう。
いい加減な私なんかから見ると、人は人でいいじゃないか、ほっといてやれと思ってしまう。
自分はこうだけど、相手がそうじゃないから何も強制することはない。
黙って、違う道を行けばいいだけじゃないか…、ってわけにいかないのが、この時代なのか。

このエピソード、実はとんでもないように見えて、須磨の悲劇の伏線になっているんですね。
死んだ者に縛られて、幸せを捨てることになる。
果ては、死ななくてはならなくなる、その伏線。

死霊の呪縛と、狂四郎は言う。
須磨の悲劇は、臥竜軒が自分との立合いを望んだからだと、狂四郎は自分のせいだと思ったかもしれない。
でもそうじゃない。

結局は、須磨も薩摩の女性と同じ、父親の執念。
死霊の呪縛から逃れられなかった。
そこから開放してやりたかったのに、女性たちも、須磨も誰も助からなかった。

女性として幸せになるために、狂四郎は協力したのに。
この救いのなさ。
一見、とんでもないように見えて、この回はとても哀しいラストなんですね。

非情に見える狂四郎の剣は、実は須磨に対しての慈悲なのだった。
またひとつ、斬りたくない人を斬ってしまった。
無想正宗が血を吸い、哀しみをまたひとつ、身にまとって狂四郎の姿は遠ざかっていくのでした。


天知茂さんの「雲霧仁左衛門」

時代劇専門チャンネルで、天知茂さん主演の「雲霧仁左衛門」が始まりました。
中村敦夫さんが演じた火付盗賊改めのお頭・安部式部が田村高廣さんというのが、すごく見所。
やっぱり、安部式部がしっかりしていないと、楽しくないですもん。

後に、七化けのお千代を演じる池上季実子さんが、白糸のおみつなんですね。
お千代は、大谷直子さん。
州走りの熊五郎は、谷隼人さん。

因果小僧・六之助は、江藤潤さん。
木鼠の吉五郎は、財津一郎さんですね。
富の市は、荒井注さん。

火付盗賊改めの裏切り者・岡田甚之助は、穂積隆信さん。
山田藤兵衛は、高松英郎さん。
めんびきのお京は、宮下順子さん。
このお京は、妖艶そうです。

それぞれが持ち味を生かせるキャスティングがされていて、いいですねえ。
山崎努さん主演の「雲霧仁左衛門」は、90年代で最高の時代劇の1つと思いましたが、こちらも楽しみ。
天知さんというと、明智小五郎なんかもお似合いでした。
そのせいか、なんだか天知さんの雲霧仁左衛門はケレン味たっぷり、というイメージで見てしまうんですが、果たして。


追いかけて

おとなしく仕事をしていたら、なんだか部屋が臭い。
気のせいかと思っていたけど、やっぱり臭い。
外から臭いは、やってくる。
しかも、あろうことか、子供の頃、田舎に行って、この臭いがするとおばーちゃんが「田舎の香水だ」と称した、あの臭いがするっ。

まさかっ。
ここは大都会の、ど真ん中だぞっ。
よくテレビに出てくる、大都会の象徴のような建物が見えるし、「こんなとこに毎日いるってどんな気分だろう」と思わずにいられない建物がたくさんある。
だが、臭いっ!

ついに1人が立ち上がり、窓を閉めに行った。
あっ、やっぱり、あなたも臭いと思ったのですか!
すると、みんな「臭いよね?」と言い始めた。
まさかねえ、こんな場所でね?と、みんな思ったらしい。

そして帰り道。
駅から電車に乗った。
すると、臭いっ。

なんだこりゃっ。
さっきもこの類の臭い、してました。
なんだなんだ、こりゃ。

さらに、別の電車に乗換えで乗る。
すると、また臭いっ。
…な~んか、私、今日はこの臭いに追われてるなあ。

鼻が臭いを記憶してしまって、しばらくはダメでした。
追いかけて、臭い。
こんな日もあるのね。
くんくんっ。


嘘つきでいいんだよ 「ボクらの時代」 石橋蓮司さん

日曜朝、7時から放送の「ボクらの時代」。
今週のゲストが石橋蓮司さん、柄本明さん、でんでんさんという顔ぶれ。
先週の予告から、楽しみにしてました。
でんでんさんは、何でこんな大先輩のところに俺が、と言ってました。

でんでんさんと柄本さんが石橋さんのことを、「優しいんですけどね、すごく優しい」と言います。
石橋蓮司さん、俳優歴、およそ60年。
現在72歳だから、12歳の頃から児童劇団で活躍してたんですね。
60年!

すごいな、半世紀以上。
この世界で半世紀って、すごいことです。
76年には緑魔子さんと、劇団第七病棟を旗揚げ。
パートナーである魔子さんとの話も出ました。

柄本さんは今年、8月、テレビの撮影でペルーにいて、強盗に襲われた話をしました。
ペルーで死ぬのかと思ったと。
怖かったでしょうね~。

柄本さんといえば、今年3月、前立腺がん報道があった。
その時、下の息子さんの時生さんから寝ていた時に電話が来て、「オヤジ。何で俺に言わないんだよ。何で俺に黙ってんだよ!」と言われた。
「何よ?」
「テレビ!」

で、テレビつけたら前立腺がんの報道。
これについては石橋さんも心配して電話したら、奥様が出て、「私が悪いんです」「私が悪いんです」と繰り返す。
だから、何のことかと思ったそうです。
柄本さんが何でこんな報道になったか、調べたら、前立腺で病院にいかなければいけないのが行けないから、代わりに奥様が行った。

病院で奥様がお医者さんに、「今、前立腺が」と話した。
そこで話が終わったのを聞きつけられて「ん」が、ついた。
だから、「前立腺がん」報道になったと言う話。
いや、病気じゃなくて本当に良かったです。

そして蓮司さんは映画人と思われているけど、実は演劇人という話になりました。
蓮司さんは「アングラが全盛期の時の人間だからね」と言う。
柄本さんは、蓮司さんをそれで見ると演劇青年みたいだと話す。
懸命さがあると、でんでんさんも言う。

あんまり一緒の映画の仕事ってないんだけど、と言いながら柄本さんが蓮司さんと映画の仕事で一緒になったら、「何だろう、演劇青年じゃない。もっと、きたない」。
すると石橋さん、「何がきたない!」
「マニアックで、よごれによごれて、『おう、どっからでもおいで』みたいな」。

蓮司さん「映画は嘘つきでいいんだよ。カメラと言うものを媒介しちゃうから」。
「てめえの尿とか汗なんか、んなもの映りゃしねえんだよな。でも舞台って全部映っちゃうじゃない。映っちゃうっていうか、目撃されちゃうんだよ。だからちょっと緩めると、ばれちゃうんだよな。『油断させないよおまえら』っていうさ」。
ああ、俳優さん女優さんが、舞台にこだわる理由がわかりました。

蓮司さんが言う、アングラ演劇全盛の頃、67年。
柄本さんは、食べられないからNHKの大道具やってた。
NHKの大道具は、給料良かったらしいです。

すると蓮司さん「俺は幸いに、緑魔子のヒモだったから」。
「緑魔子は大スターだったから」。
柄本さんもでんでんさんも、緑魔子さんについては「ああ、そうそう」という感じの反応。

「ボディガード兼ヒモだよな。それでなんとなく食っていけたんで、余計あの、口だけは(口の横で、手をグーからパーにしてみて)先鋭的なことを言うし」。
「普通はやっぱり生活があるから、崩れていくよな」。
柄本さん、うん、うんとうなづく。

蓮司さん、魔子さんには感謝してるんだなと思いました。
でんでんさん「赤い糸で結ばれた緑さんのヒモになった…」と、一言。
それで蓮司さんに「おもしろくないよ!」と言われてました。

でんでんさんはその頃、マルイにいた。
自分は暗いのに、人を笑わせたくて、渥美清さんに弟子入りして、それで弟子にはなれなくて、でもこの世界でやるには生活の拠点は東京になくては。
東京に住まなきゃと思って、出てきた。
渥美さんの話が出たところで、俳優と笑いという話に。

志村けんさんとコントをやる柄本さん、志村けんさんは、脚本をすごく書き込んでると言う。
「脚本すごく読んでるけど、やる時は、じゃ、まあこんな感じで行きましょうってカメラ回すから怖い怖い」。
「あの、芸者の時とか?」
「そう」。

蓮司さん「何でそんな風にさ、お前が今の時代に受け入れられるのか、教えてよ。どういうゴマスリすればいいの?」
みなさん、爆笑。
でんでんさんが髪の毛を増やしてるってことについて、蓮司さんが「自分のこと、二枚目だと思ってるんだよ!」

柄本さん「蓮司さん、やっぱり口悪いよね」。
でんでんさん「ものすごく口悪いよね」。
しかし、優しいんだそうです。

でんでんさんに蓮司さんや柄本さん、「あまちゃんで忙しいでしょ?」
あまちゃんは、アドリブはないと、でんでんさん。
「台本にないことがアドリブじゃなくて、ドライの時に作る。ドライ、稽古の時に作ったものはアドリブじゃないですからね」。

そして蓮司さん。
結果として笑いがあって、笑わそうと思って、笑ってくれよと思わないでやってると笑いが来る。
ここ?ってところで笑いが来ると、言う。
柄本さんがよく、蓮司さんが舞台をシリアスにやってる時にでかい声で笑ってくれて、「あの声は柄本だな」と。
「お前を笑わすために、俺は芝居やってんじゃないっ!観客に泣いてほしくてやってんのに!」

柄本さん、バカにしているんじゃなくて、「あ、こいつ真剣だと思うと」笑いが出ちゃうらしい」。
蓮司さん「笑いって常に、そういうことなんだろう。笑いを狙ったら、柄本は無視しちゃうんだろうな。人が真剣にやってる、もっと言うと勘違いしちゃうのがおもしろいんだろうな。そういうことの差異みたいなものが、すごくおもしろいんだろうな」。

柄本さん「視点を変えれば、どんな状態でも笑えるよね。たとえば映画の現場なんかで『よーい』って言うじゃないですか。『よーい』と、スタートまでの時間ってものすごく笑えるよね。始まったら、それをやるしかないわけじゃない。ところがその『よーい』で、みんなが身作りをする、その中途半端さがものすごく笑えるよね」。
でんでんさん「笑えますかね」。
蓮司さん「だから、そう言うところを(柄本さんは)見てるんだよ」。

そして、蓮司さんが娘さんの芸能界入りを潰した話になりました。
娘さんはアメリカに行っていたから、この世界に関わりたかったって言うのもあるんだろうけど、と蓮司さん。
「脚本なんか書いて送ってきたのを、俺がずたずたに潰しちゃったからね」。

柄本さん「潰す親っていますよね」。
ここで、笑い。
蓮司さん「うん、潰すね」。
柄本さん「いるいる」。

そして息子さんが俳優デビューしている柄本さん「うちはそういうことはできなかったんだけれども、潰すって正常だなと思った」。
蓮司さん、娘さんの脚本を見た時の話をしました。
「『やっていくと、どんどん良くなるかもしれないね』じゃないじゃない。こういうのって才能みたいなものがあって、きらめきみたいなものが」。

「魔子なんかはさ、俺はさ、緑魔子の持っている、こうるさい言い方しちゃうと、空間が俺にないものを持ってるんだよ。見てると、すごいおもしろいわけ。それを俺ができるかっていうと、できないんだよ。それは技とか、そういう問題じゃないから。存在の問題だから。その代わり、一緒に暮らすの、とてもつらいわけよ」。
柄本さん「夫婦ですもんね」。
蓮司さん「夫婦だけど、夫婦だけど!つらいの」。

「うちの中と稽古場、大変でしょ」。
「ものすごい、もめるよね。大変なもんですよ。そん時はもう離れてるから。それでずうっと、別居してるわけですから、もう20年か30年近い。で、芝居の時はバッと集中して」。
柄本さん「そういう人と夫婦って、大変だよね」。

蓮司さんと柄本さんの奥様は、女優さん。
でんでんさんの奥様は、一般人だそうです。
奥様は一時教えていたこともあるけど、と言って、ちょっとピアノ弾く人と言ってました。

蓮司さん「勝新太郎さんの逸話で、勝さんが玉緒さんとけんかして、玉緒さんが泣いた。泣いたところ来て、鏡見せて、『ほら、その顔忘れるな』って言う。そこまで持ち込んじゃう?って話じゃない」。
柄本さん「それやられたら、たまんないだろうね」。
蓮司さん「もめない人もいるだろうけどね」。

それは、ピカソに似てますね。
愛人のドラ・マールと妻が、大ケンカになった。
その時、ピカソは止めるどころか「描かなくては!」と描き始めた。

結果が名作「泣く女」になった。
芸術家としては一流、しかし夫として、父親としては最低!と確か、娘さんの話だったような。
天才というのは、そういうはた迷惑なところがあるのかもしれません。

でんでんさん「役者って言うのは、軽いうつ病だったりしません?」
蓮司さん「そうだと思うよ。でも俺、自覚しないからね」。
明るい。
というか、柔らかい。

この柔軟性が60年、この世界で活躍し続ける理由のひとつかもしれないと思いました。
そして蓮司さんはでんでんさんのことを「年取って、体についた表現って持ってるから。お前がフッとセリフ言っただけでも、ああそうだねって思えるもの持ってるから」。
でんでんさん「初めてほめてくれた」。
蓮司さん「いつもお前と飲むと、ほめてるじゃない~。お前が気づかないんだよ」。

昔から蓮司さんって、すごく優しくて、女性にモテるって聞いてましたが、そうだと思いました。
すごく優しい、情け深い感じがします。
柔軟性があって、許容力がある、懐が大きい。
それでいて、自分にはストイックなんだろうなあと感じます。

70年代とか80年代の蓮司さんは、「子連れ狼」の赤猫まねきみたいな放火魔とか演じると、ほんとにすごかった。
あの挙動不審な動く目が、もう、ほんと、怪しくて怪しくて、もう、いるといないじゃ、話の説得力が違ってくる。
これはダメだ、これは何とかしなくちゃダメだという気になりますもん。

それでいて、「太陽にほえろ」で「その子に罪はない」とか、人生のまともな道を歩けない悲哀の人物を演じて長い間印象に残ってるし。
最近では私はなんといっても「雲霧仁左衛門」の小頭、「木鼠の吉五郎」が絶品でした。
今年、十三回忌になる父は、時代劇大好きだったんですが、石橋さんの悪役を見ると、「俺、こいつ苦手だな~」って言ってました。
それほど、真に迫ってたんですね。

でも「雲霧仁左衛門」を見た時、「石橋蓮司がいいんだよなあ。ほんとにいいんだよ」と言ってました。
当時、テレビではラスト3回が未放送。
あの木鼠の吉五郎と仁左衛門のすばらしい場面、別れの場面は見ていないんです。

その前の段階ですでに、すごくいいと言ってました。
貫禄、迫力、重厚だと。
黙っているだけで、すごい存在感。

あの役は、商人の顔も盗賊の顔も武士の顔も全部、本当のものに見える。
だから、正体は絶対、見破られない。
そんなことができるこの男の、いったい過去には何があったんだろうと思わせる。

あの時は仁左衛門の山崎さんはもちろん、州走りの熊五郎の本田さんもそんな感じでした。
ちょっと前、本田さんが「雲霧仁左衛門」の山崎努さんや石橋蓮司さんとの演技について語っていました。
あれだけの人たちを前に、演技なんてしたら失礼と。
魂というか、感性で、全身でぶつかっていかないと言うようなことを語っていました。

だから、本当にいいドラマができたと思います。
小手先の技術では通用しない、そういうことなんでしょうね。
俳優としての年輪って、こういうところに出るんだと思いました。
そんな石橋蓮司さんのお話をじっくり聞ける、貴重な時間でした。


こわかったわぁ

記事を書き始めたら、バシーン!という感じで揺れました。
録画していた、ずいぶん前の松本清張見ていたんですが、中断中断。
もうちょっと前の時間だったら、唐揚げ作ってました。
うう、だったらもっと怖かったかも。

昼間に、「そういえば先週の日曜日の朝、地震で起きたわ」と話したばっかり。
今週は土曜日の夜か、って、ちょっとドキドキするような揺れでした。
震源、関東だな、って感じの揺れ。
同じ震度でも、震源が近い揺れって怖い。

地震のない国から来た方が地震を経験した時に「日本人って達観してるね」って言ったと教えてくれました。
達観なんてしてないって。
怖いって。

でも、やっぱり、地震のない国の方から見たら、地震慣れしてるのでしょうか。
思いっきり、怯えている地震のない国の方を前に、「あ~、怖かった~」。
「今の大きかったね」。

「うん。震度4ぐらい?」
「でも体感しているのより、自分の感覚だと1ぐらい小さいんだよね」。
「ああ、そうだよね。3ぐらいかな」。

傍で地震経験したことがないお国の方、真っ青。
そして、一言。
「日本のヒトって強い!」

いやいや、強くないって。
慣れてもないですよ、怯えてますよ。
少なくとも、私は。
いや~、今、怖かったわ~。


口元って育ち出るじゃないですか 北村一輝さんの「A-Studio」

9月13日、ATARUの公開前に北村さんが「A-Studio」に出演しました。
もう2ヶ月ほど前の話で、すみません。
司会の鶴瓶さんとは、実は北村さんがエキストラで出演したときからの知り合いだそうです。

鶴瓶さんは派手な映画と、「日本の悲劇」というインディーズに近いような映画、両方に出られるってすごいことだと言う。
「日本の悲劇」の小林政弘監督と北村さんは、デビューの頃からのお付き合い。
北村さんがバイトしていた店に、小林監督が来たのがきっかけだそうです。
バイト先で小林監督に出会った話をした北村さん、「ほんと、ボク、人に恵まれてますね」と言う。

ゲストに会ってきた人を言ってはいけないのに、あっさり鶴瓶さんが北村さんに「(小林監督に)おうてきた」と言ってしまってスタッフが唖然としたとか。
25年前、鶴瓶さんがCMに出た時、エキストラに北村さんがいたそうです。
このとき、話したエキストラが後の北村一輝とは、実は鶴瓶さんはまったく知らなかった。
普通は、そういう主役の人とは話もできないと北村さんは言う。

三池崇監督の「ケンカの花道」に出たと北村さんが話したら、鶴瓶さんが電話番号を教えてくれた。
気さくに。
この三池監督も、後に有名になるわけです。
そうしたら鶴瓶さんから、見た、良かったと電話が来た。

まだ素人に近い北村さんは、「鶴瓶から電話かかってきた!」と言ったそうです。
それから鶴瓶さんは北村さんのお母様と飛行機で一緒になったり、北村さんのお兄さんと同級生だと言うことがわかったり。
鶴瓶さんのお兄さんからは、北村一輝さんのお父様と一緒に飲んでるって電話来て、電話代わってお父様と話したり。
どれだけ、家族関わってるんだ!って。

後に「スジナシ」に北村さんが出るというので、鶴瓶さんは「はじめまして」と言った。
北村さんは「なつかし~」と思っていたので、「初めてじゃない!」って思ったそうです。
鶴瓶さんは最初に会った頃はまだ、北村さんの顔ができあがってなかったと言う。
今は「北村一輝」で、できあがっている。

鶴瓶さんは北村さんの現在の顔のことを、「北村一輝描けって言ったら、大体描けるって」と言う。
ホームレス役の時、北村さんは役に馴染もうと思って一晩中歩いたと。
「CLOSING TIME」(97)の時の写真が出る。

もう、ご本人が笑ってます。
「あああ」「あはは」
絶句。
「これ、そうですね、あの~」と言って、吹き出す。

鶴瓶さんが「まだちゃんと顔、できあがってない。まだ、できあがってない。北村一輝ができる前やん」と言う。
わかる。
北村さんは、この映画は公開は97年だけど、もっと前に撮ったと言います。
だから、25歳ぐらいの時だと。

鶴瓶さんは写真を見て、「こんな人いたら、逃げ出すよ」と。
でも北村さんはこの役のことを「すごいかわいい、ゲイでホームレス」と言う。
このとき、多摩川で撮影するというので、時間もあったので、歩いて川崎まで行った。

ちょうどいい感じにやつれるし、ずっとご飯も食べずに行った。
そうしたら、夜遅く、いろんな人が川辺にはいるから絡まれた。
「体力なかったんで、もう」と、笑う。

そしてやっぱり、この話。
鶴瓶さんが「歯抜いたっていうのは?」
北村さん「これのだいぶ後に。映画『JOKER』で」。
「育ちの悪い役で」と言うと、アップの写真が出る。

「チンピラみたいな」。
「それで、どうすればいいかなと思った時に、やっぱり、いろんな悪いことして、今までの生活が出てるじゃないですか」。
「だからその、歯とか、眉毛の間もそうなんですけど、歯とかを9本ぐらい抜いて。何本か削って」。

もう、スタジオからは「ええ~」という声。
「口元って、育ち出るじゃないですか。そう考えて。歯を抜いて」。
ああ、やっぱり目のつけどころが良いですね。

鶴瓶さん「いい歯やろ?」
「いい歯です。全然。もう戻ってこない」。
そう言って、眉をひそめ、目を細める。

「だからあの、やる時って、そこまで考えてなくて、髪の毛をまず切って、眉毛の間、ここ、こうやったほうが。ボク、顔がどっちかっというと濃いほうじゃないですか」。
鶴瓶さん「めちゃめちゃ…(濃い)。日本で濃い人誰や言うたら、だいたい出る」。
スタジオ、笑う。
北村さん「ここを(眉と眉の間)、開けることによって、ちょっと抜ける感じになって、まつげとかも減らして」。

スタジオ、「ええ~!」ですよ。
北村さん「歯を削って、こう溶けてるように」。
スタジオ「ええ~!」
北村さん「やったんですけど、終わってから大変なことをしたな、と。どうして戻そうかと。そっから困りましたけど」。

その北村さん、今はインドネシアの映画に出てるそうです。
英語。
発音は難しいですねやっぱり。と。
「日本人の発音がわからない、時間かかってもちゃんと発音してくれ」と言われた。

ATARUでは、まったく英語が話せない役。
ここで主役の中居さんの話。
鶴瓶さんが「中居は気ぃ遣いやからな」。
北村さんは中居さんのことを、「こんなリーダーがいると(いいな)」と言う。

「日本一のグループのリーダーってこういうことか、って。尊敬します」。
最初の「医龍」の時、北村さんが「笑っていいとも」のSPに出たんですよ。
その時、中居さんにいじられて、あの頃はバラエティにもトークにも慣れていなかった北村さんはあがりまくってゲームのアーチェリーを落としてました。
それで、中居さんに「えっ!北村さん!」とマイク向けられてましたっけ。

さらに、北村さんが今、外人の男性とルームシェアしている話に。
「ATARU」の時の英語の通訳の方・クリスさんという方と、普通の会社員のアメリカ人・ジョーさんとルームシェアしているそうです。
次のステージに行くために。
家で絶対に、日本語しゃべらない。

リビングとキッチンでは、日本語しゃべったら1回百円の罰金。
しかもジョーは、日本語、まったくしゃべらない。
なぜそんなことを、と言うと、北村さん、英会話スクール行こうと思っても時間がない。
どうすればいいかなと思った時、そういう環境作ったほうがいいと思った。

だから北村さんの、「猫侍」の英語がすごい流暢だったんですね~。
鶴瓶さん「(歯)9本抜いたのわかるやろ?」
そして「家帰ったら、疲れるやろ?」

1人だと北村さんに英語のスピードを合わせてくれるけど、2人いるとものすごい早いらしい。
「そこに参加しようとするともう、こう」と言って、顔を左右に振る。
「ドラマとか映画で疲れて帰って来た時、もんのすごい英語で盛り上がって、テレビ見てうわーって言って、盛り上がってるんですよ、外人なんで」。
「ものすごいでっかい声で笑って、毎日ピザ食べてんですよ。毎日、ピザとケチャップが置いてあって、いっつもそこでワーってやってる」。

「その中に入って、台本も覚えなきゃいけないじゃないですか。そこでとりあえず、何とか」。
しかも彼らが見ているのは、英語の番組。
廊下は日本語OKだけど、ジョーは日本語しゃべれない。
どうしても困った時は廊下で日本語だけど、ジョーはほんとに少しの日本語しかわからないし、ゆっくりしかわからない。

それと、クリスさんが彼女を連れてくることがある。
クリスさんの彼女が来てたりすると、自分はノータッチと言う北村さん。
「ボクは一応、気ぃ遣うんですよ、日本人なんで。やっぱ外人、気ぃ遣わないですよね。ずかずか、ジョーとか普通に行きますよね。2人の時間を平気で裂くぐらいの」。
スタジオ、笑う。

「家が毎日勉強というか。そうですね」。
鶴瓶さん「今いくつやの」。
「44です」と年齢の話に。

「そっからまた新しいの…(新しいことをやる)、すばらしいな。俺50から落語始めたの」。
スタジオ、ほ~と感嘆の声。
北村さん「あの今はたぶん、ボクも50ぐらいからできたらいいな、と、思ってるんですけども。下準備として、50ぐらいから新しいことするために、英語もやっとかないといけないし。だから多分、2~3年でやろうと思ってることが、5年ぐらいかかると思うんですよ。なんで今ぐらいから始めて」。

そして鶴瓶さんが、レスリングの吉田沙保里から電話が来て、国民栄誉賞もらう前で、その時、沢穂希もいたし、高橋尚子もいた話をする。
電話が来て、鶴瓶さんが店に行ったら、北村さんがいた。
北村さんは、沢さんと昔からお知り合いなんだそうです。

番組が終わり、鶴瓶さんは北村さんのことを「今、日本の映画界やドラマ界に、必要な人間になっているというのがうれしい」と言う。
北村さんの言葉を引用し、「『売れる自信はないけど、売れるまでやり続ける自信がある』って、これはすごいな、思うね。歯、抜くねんで!歯、抜く。そんなあほな、抜いたらあかんやんか。親からもろうた歯!」と改めて、北村さんの演技にのめりこむ気質に感心、感嘆。
それを聞いている北村さんで、番組は終わりました。

いや~、すごい俳優魂だと思います。
入っちゃうんですね。
役に。
生活も全部が。

石橋蓮司さんの話で、勝新太郎さんのことを言ってましたが、それと似ている。
中村玉緒さんとケンカして、玉緒さんが泣いたら、勝さんが鏡持ってきて「その顔を忘れるな!」って。
「そこまで持ち込んじゃう?」って。

24時間、俳優なんですよね。
北村さんも、きっとそうだ。
石橋さんは、奥様の緑魔子さんの存在は演じようと思ってできるものじゃないと言いながら、でも一緒に暮らすとつらいのよと言ってました。
なんか、そうなのかもしれない。

それから、北村さんの目の付け所も良いなと思います。
口元に育ちが出るとか、観察も的確。
いつも役に取り入れようと思って、見ているんでしょうね。
この「口元って育ちが出るじゃないですか」には、ほんと、「ああ」と思いました。

…自分も口、気をつけなきゃ、って。
しかしだからって、歯を抜くっていうのはすごいです。
三国連太郎さんも若い頃やりましたけど。
「JOKER」で、北村一輝という俳優は良いと誉められてましたが、ほんと、積み重ねで現在があるんでしょう。

それでも北村さんは、常に新しいことをやろうと思ってるのがすごい。
決めた目標に向かって下準備しているっていうのが、すごい。
精神力すごい。
いくつになっても、こういう人は年齢なりの進歩をしていくんだろうな。

年齢が行くとそれでいいと思ってしまうのに、常に違うことを考えてやろうとしているのがすごい。
いまさら、とか、資格があっても経験がないんじゃ無駄なんて、最初からやらない理由を探してやらないなんてことがないんですね。
まず、がんばってみる。

こういう姿勢の前に、道は開けて来るんだと思います。
自分を振り返って、すごく頭が下がる。
それにしても北村さんは、やっぱり、並みの人じゃない。

それに加えて、考え方がすばらしい。
世に出てくるはずだ。
どんな道を歩んでいても、この人は世に出てきたと思えますね。

そして、石橋蓮司さんの話を聞いた時も思ったんですが、俳優としての年輪って、こういうところに出るんだと思いました。
石橋蓮司さんも「ストイック」と思いましたが、鶴瓶さんは北村さんを「ストイック」と言ってました。
ああ、私、自分に甘いからなあ。
見ながら、今回は自分を振り返って反省することしきり。

やっぱり、年齢ってこうして重ねていくもんだと思ってしまった。
前にも書いたけど、確かに北村さんの顔も、年齢とともにいい感じにできていっている。
年を取る価値って、こういうところに生まれていくものか。
そう思ってしまった、北村さんの「A-Studio」なのでした。


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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