桜の木の古い釘

テレビで定期的に放送される、恐怖映像の番組があります。
トリックなのか、本物なのかわからないですが、これは怖いなと思うものもいくつかありますね。
私がこれは怖いと思ったのは、夜中、神社に向かう2人組が撮ったという映像。

その神社は、丑の刻参りをする人が多いという林に隣接しているんです。
2人組が林の方で、何か音がすると言って、その方向に向かっていく。
林の木には、丑の刻参りでのろいをかけた藁人形が釘で打ち付けられている。

すると、突然、こちらに白装束の女性が声を上げながら走ってくる。
もう、半狂乱。
丑の刻参りで、誰かをのろっていたと思われます。

のろいを誰かに見られると効力がないばかりか、自分にのろいが跳ね返ってくるとか。
それを防ぐには、見た相手をどうにかしなければならないというのを聞いたような気がします。
だから、この女性はのろいが破られた残念さと、自分に返ってくる恐怖で襲い掛かってきた…ということでしょうか。

いや、作り物かもしれないけど、この女性の半狂乱振りが怖い。
実際に遭遇したら、逃げられるような気がしない。
こういうのが、実は一番怖いんじゃないかと思う。

丑の刻参りというと、山岸涼子さんのマンガにもありました。
主人公の女性は、結婚を控えている。
相手は奥さんが病死した男性。
でも別に、略奪でも、奥さんが生きている頃からつきあっていたわけでもない。

母親がやってきた。
主人公は「ママ」と呼んでいたが、主人公には育ての親だった。
生みの親は、まだ主人公が小さい頃、病気で亡くなっていた。

その後、後妻に入ったのが、育ての親だった。
母親の記憶がほとんどない主人公にとって、母親は育ての親だった。
今の自分の状況と、同じだ。

主人公の庭には、大きな桜の木がある。
その桜の木が今、斬られようとしている。
この桜の木について、主人公は夢を見たことがあった。
子供の頃、夜中に目を覚まして庭を見た。

白装束を着た誰かが、庭の木に藁人形を打ち付けているのが見えた。
目が光っていた。
怖い夢だった。

その時、ウワッという声がして、桜の木を斬る作業が止まった。
桜の木に、太い釘が刺さっていて、木を斬るチェーンの刃がやられてしまったのだった。
作業をしている人はその釘を、「かなり古い」と言った。
「こりゃ、怖いな」とも。

主人公は、はっとした。
丑の刻参り。
あれは夢ではなかった。
そして、あれは…、母親だった。

お茶にしましょうと、主人公の母親が声をかける。
体が弱かった母親が病死して、後妻に入ったママ。
彼の妻が病死して、後妻に入る自分。
「私はその時、なんとなく、彼との結婚が怖い…、と思ったのでした」。

丑の刻参りが本当に効くのかどうか、それはわからない。
何日も何日も夜中に誰にも見られないようにして、藁人形を打ち付けに行く。
そこまでする恨み。
人を憎む気持ちが怖い。

それを台無しにされるなら、見た人に襲い掛かってくるのも不思議じゃない。
一番怖いのは、人の心…。
怖い映像を見て、このマンガを思い出したのでした。


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今シーズン

この前、ぼんやりと天海祐希さんの主演ドラマを見ていました。
どうやら、取調室で犯人に自白を促す役目の女性のドラマらしい。
第1回のゲストが高島政伸さんで、天海さんが彼に自白をさせようとしていました。

その時、「普通は殺さない。その人にも家族があり、愛する人がいると思ったら、殺さない。殺せない」と言いました。
おっ?
リミット 刑事の現場」みたいなセリフだなと思って、ぼんやり見ていた気持ちがドラマに向きました。

「それが人間だから。なのにあなたはなぜ、踏み越えてしまったの。あなたはなぜ、人間をやめてしまったの」。
こんなセリフがあったか、どうか。
天海さんは、踏み越えてしまったあなたが私は悲しい、残念だと言ってました。

人間、生きていれば殺したいほど憎い奴が出てくる。
でも普通は殺さない、殺せない。
そいつにも家族がいて、愛する人がいる。
だから人間は人間を殺さない、殺せない。

でもこいつは、恨みもない、自分より弱い相手を選んで殺した。
なぜそんなことができたのか。
それはこいつが、人間じゃないからだ!
あの武田鉄矢さんのセリフはすごいセリフだった、すごいドラマだったなあと思い出しました。

今シーズンには他にも警察ドラマがありますが、もうひとつ見ているのが、日曜夜9時からの「最後の警官」。
本田博太郎さんが出演している!
日曜の夜、私は本田さんの出演を、心待ちにしながら見ています。
本田さん見たら、月曜に備えて早く寝なくてはいけないのでした。


名を上げ、家を興すにはこの一戦! 「桶狭間」 「徳川家康」

かつて、波太郎は広忠が今川を頼った時、於大に言った。
今川は陰険だろう。
上洛する頃、竹千代が成人する頃、松平には柱ひとつ残ってはいまい。
必ず、何かしらの理由をつけて、潰すであろう。

今川の京への上洛。
駿府を発つ上洛軍は、2万5千にものぼる。
そのうちの本隊である今川勢、5千。
応仁の乱以降の、大軍勢。

阻止するのは、織田信長。
それに向かって、織田が突進すると言うのか。
織田が上洛を阻止すると言うのなら、松平勢で織田を打ち破れと今川義元は成人した竹千代・元信にく命ずる。

その頃、清洲では信長が籐吉郎に言っていた。
毒見、大義であった。
籐吉郎は、自分は育ちが卑しいゆえ、と言う。

卑しい育ちの籐吉郎は、毎日、あわびなどの馳走を毒見してうまかったと言った。
「たわけ者!」と、信長は叱り飛ばす。
「明日からは、毒見は飯、一杯にせよ!」

そう言った信長はニヤリと笑うと、「味噌が足らぬ」と言った。
「味噌は命の元だ」。
味噌が、足らない?
「わしは寝ておる、味噌を買ったら起こしに参れ」。

信長の言葉に首をかしげていた籐吉郎だが、廊下を歩いていて、はたと手を打った。
籐吉郎は早速、味噌を買うので人を貸してほしいという。
味噌を買う。
すなわち、押し寄せる今川勢に対して籠城するということだ。

そう言って歩く。
味噌買いの5人は、そんな大切なことをもらしていいのですかと聞く。
ここまではもらしても良かろう…、と籐吉郎は言う。

その朝、義元は大阪城を目指し、出発した。
朝から暑い日だった。
元信改め元康は、佐久間の軍勢相手に苦戦する。
一歩も引くなと、輿の中から暑さに仰ぎながら、義元は命ずる。

その頃、元康は戦を抜け出し、馬をかけていた。
たった数人の家臣とともに、3つのとき、別れた母親・於大の元へ走るのだ。
ついに於大と再会する元康。

今度の戦で、自分は死ぬかもしれない。
だから、元康は抜け出し、駆けてきたのだ。
涙で再会する母と子。

「立派になって」。
竹千代はいまや、よろいを着た若武者だった。
於大が「竹千代」と声をかける。

「竹千代ではございません。元康でござる」。
「いいえ、竹千代様です」。
「必ず街道一の弓取りになられるお方。功を焦ってはなりませぬ」。

そして、「起こしに来い」と言っていた信長を、籐吉郎が起こしに来た。
「来たか、猿!」
起き上がった信長に、脇に控えていた濃姫が具足を用意するように命ずる。
籠城は、しない。

たとえかなわなくても、一矢報いなければ気がすまない。
踏みにじられるより、頭を下げるより、ぶつかって死んだほうが良い。
籐吉郎は信長の思いに涙が出る思いで、じっと信長を見つめる。

「ご領刀は?」と濃姫が聞く。
「光貞!」
濃姫が渡す。

「国重は?」
「たぶんそれと存知、国重もこれに」。
笑う信長。

「猿!勝ったぞ!」
「お濃め、わしの心を読みおったわ!」
「御意の通り!」と、籐吉郎が叫ぶ。

「今、御杯を」と、濃姫が言う。
御酒を飲み干し、信長は杯を割る。
カシャン!と音がする。

「来い!」
信長の声に、籐吉郎が「はいっ!」と言ってついていく。
濃姫が息を詰めて、見送る。

元康が佐久間を追い返したと聞いて、義元は満足げだった。
しかし元康は出陣の時から、もう、駿府に戻るまいと思っていた。
元康の勝利を聞いた義元は、「幸先がよいのう」と笑う。

その時、土民が戦勝の祝いにやってきた。
「この分では、信長も明日には下るであろう」と義元は言った。
暑さに扇で仰ぎながら、水野しもつけの領民と称して、やってきたのは波太郎とその手の者だった。

「安堵いたせ。余の家来どもは、乱暴は働かん」。
波太郎は「駿府の殿様は、お徳お高き方との噂をうけたまわり、いささかなりともお役に立ちたいと思い」と深々と頭を下げた。
「時分も、どうやら昼。ご笑納くださればありがたく存じます」。

「神妙なこと」と、義元は言う。
「もはや正午に近い。ありがたく納めよ」。
「ありがたく存じます」。

義元が、暑さにますます扇を仰ぐ。
日差しは、ますます強くなった。
「この窪で中食せよ。この暑さでは保存は、かなうまい」。

その頃、信長は桶狭間を見下ろす善照寺付近に到着していた。
信長は、2千の兵とともに運命を決しようとしていた。
「者ども!」

「馬上にある信長は、すでに生死を離れた。みなの命、俺にくれい!くれるものだけ俺に続け!」
「おおーっ」と、みなが声を上げる。
籐吉郎が駆け込んでくる。

「殿、敵将・今川義元、桶狭間にて休息中!」
「なにいっ?!」
信長が、目をむく。

「本隊の5千は!」
「同じく、窪みにて昼食中!」
なんという…。

思いもかけない、義元の隙。
信長は天を仰ぎ、目を閉じる。
「大義!」
「はっ!」と、籐吉郎が頭を下げて、引っ込む。

信長が兵たちに叫ぶ。
「まっすぐ、義元の本陣まで斬り込む!」
「名を上げ、家を興すはこの一戦ぞ!」

雷鳴が聞こえている。
暑さに酒を飲み、喉を潤し、5千の今川勢は、たるみきっていた。
桶狭間を見下ろす信長。

晴れているのに、雷鳴がする。
「良いか。まっすぐ義元の本陣に斬り込む!」
「ただし!個人の功を急いで、全軍の勝利を逃すな。敵はみなで踏みにじれ!」

雷鳴がとどろく。
信長も、息が荒い。
おもむろに、刀を抜く。

「いけええ!」
その声で、一気に軍勢が、馬を駆って急坂を下りてくる。
馬のひづめの音。

飯をほおばっていた兵が、振り向いた。
まさか。
怯えきった、その目。
恐怖が走る。

その目に入ってきたのは、信長の軍勢だった。
織田の軍勢は、今川勢を蹴散らし、一気に本陣へと流れ込む。
下郎!という声が響く。

義元がいた。
「無礼者!」
叫ぶ義元。
それが最後だった。

元康が、於大の元を去ろうとしていた時だった。
「今川義元が信長に討たれた!」と叫び、兵が走ってくる。
信長は義元の首をかかえ、清洲城に引き上げていくと言う。

まさか。
「母上!さらば!」
元康が急ぎ、帰っていく。



私は、織田信長のベストがいまだに役所広司なんですね。
人によっては、高橋幸治さんだって言う。
ああ、高橋さんは良いだろうな。
冷徹、頭脳明晰さと、狂気が混在している目ですもん。

高橋さんの信長を、リアルタイムで見た人はそうとしか思えないでしょう。
それでいいと思うんです。
誰にもその時、心に残るハマリ役がいる。

私は秀吉はこの、武田鉄矢さんもかなり、はまっていると思う。
ぺらぺらと良く喋り、人懐こい、調子が良い、育ちがあんまり良くない、でも憎めない。
この辺りがすごく良く出ている。
しかし、緒形拳さんの秀吉は、これしかないって感じが今もしている。

だから「黄金の日々」なんて大河ドラマは、私にはすごい良かった。
家康はですね、中村梅之助さんが良かった。
タヌキ!って感じがして。

於大と元信改め元康の、涙の再会も泣ける。
そして、何と言っても、もう、この、役所・信長。
鬼神が乗り移ったかのようです。

桶狭間を見ながら、思ってしまった。
信長もすごいけど、この事実もすごい。
これ、本当に起きたことなんだって。
いや~、歴史ってすごいですね。

この時の信長って、どんなだったんだろう。
桶狭間を見下ろした信長の目って、こんな目だったんじゃないだろうか。
名を上げ、家を興すのはこの一戦。

その一戦を、運命の一戦を、まさに天に駆け上がる一戦を前にした目、顔ってこんなだったんじゃないか。
この信長を前にした家臣たちは、どんな気持ちだったんだろう。
もしかしたら、こんな気持ちだったんじゃないだろうか。
見ているこちらにも、この瞬間を体感させる。

世の中が変わるんだ。
戦乱の世が変わる、と思わせる。
こちらもそう思ってしまう、役所・信長。

雷鳴が、とどろく。
近くまで、雷雲が来ている。
こんなにも、青空なのに。

天も、下界で、力が大逆転をするのを見ている。
長き戦乱の世が変わるのを、天もが見つめている。
天も、雷神も、高揚しているんだ…。

そう思わせるのが、俳優。
まるで体験させる、それがドラマ、映画というもの。
改めて、そんなことを感じてしまった。

今回見ていて、なぜこの信長が、心に残るのかわかった。
この一戦で名を上げ、家を興した信長。
この1作で世に出たと言っていい、役所さん。
あの桶狭間を前にした信長は、これで世に出ると確信した、決意した役所広司という俳優さんの気持ちと重なっているのではないか。

自分というものをあまりに役に入り込ませすぎても、それは自己満足、自己陶酔になる。
あまりに入り込むと、見ているこちらが入り込めなくなる。
これまでの人生をちゃんと役に反映させ、こちらに共感させる。
それをするのが俳優なんだと、改めて思った。

これをしてくれると、歴史上の人物にも血が通う。
生きていた彼らの人生を、見守ってしまう。
どうなるか、すべての結果を知っているこちらが、知っていてそれでも精一杯生きていた彼らに思いをはせる。

しかし、この時期に徳川家康を放送するとは…。
時代劇専門チャンネルさん。
なかなか、挑戦的だと思ってしまう。

瓶の中には

たまに通る道の途中のウインドウに、おもしろいものがあります。
瓶の中に入ったキティちゃん。
キティちゃんは瓶一杯のサイズなので、瓶の口からは到底入りません。

ルパン三世の瓶もある。
ブルーのジャケットのルパン。
ルパンの、こちらから見て左隣には、やっぱり瓶に入った次元大介。
右隣には、セクシーなドレスを着た峰不二子ちゃん。

さらには、ゴジラの瓶もある。
ゴジラの隣には、ミニラ。
バルタン星人も、となりの瓶の中にいる。
これ、何?!

こういうことができるようにする技術を、持っている会社らしいんですね。
この技術、すごいんでしょうね。
密かな楽しみなので、シャッターが閉まっていると残念なのです。

追伸:ゴジラが、瓶の外に出ていました。
また入る予定と見た。


信がなければそれは獣 「徳川家康」

1983年放送の大河ドラマ「徳川家康」。
今川と織田の両勢力に挟まれた、小さな松平家。
やがて竹千代は、織田へ人質に入ることになる。

織田の若殿の信長は、尾張一のうつけと評判。
茶せんのような髷、帯は腰紐。
それに川でとった魚を下げ、真っ黒な顔をしてわらじをはいて、馬にまたがり、野山をかける。
この、うつけ者が、どういうわけか、竹千代をかわいがった。

まるで実の弟のように、実際「三河の弟」と呼んで、ほっぺたをつねりながらもよく面倒を見た。
竹之内波太郎という、仏に仕える一族を率いる男がいる。
波太郎の知恵者ぶりには、水野の於大の兄も屋敷に寄る。

だが波太郎は於大の兄・水野信元の器の小ささ、意見の違う弟・信近を暗殺する陰険さを密かに軽蔑しているのだった。
信元は於大が岡崎の松平広忠に嫁ぐ時、婚儀による和平に反対し、岡崎と戦をしてねじふせることを主張した。
そして岡崎に向かう於大の行列を、波太郎を使って襲わせようとした。

波太郎は逆にその計略を聞くと、戦国の世に道具のごとく扱われる於大たち女性に心を痛めた。
必ずや、自分が守って見せようと誓った。
そして、瀕死の信近をかくまい、密かに於大の再婚先に紹介し、於大の近くに勤めさせることに成功していた。

波太郎の一族の土地は、今川でも織田でも、水野でもない。
天文学に通じ、天気も予測する。
仏に祈祷する。
彼ら一族が仏に仕えるための土地として、ここはいわば聖域であった。

この戦国の世はもしかすると、自分たちの代では終わらないかもしれない。
波太郎はそう危惧しており、この戦国の世を治めるには、強い指導者が必要と考えていた。
そして、その指導者の姿をまだ幼い頃から信長の中に見ていたのだ。

さらには辛抱がきく少年・竹千代がこの信長の必ずや力になるであろうと見ていた。
はじめは於大の身の上に心を痛めていた波太郎だったが、今は於大の人柄から力になろうとしていた。
波太郎は於大には、次の嫁ぎ先に、織田と近い久松弥九郎の方を勧めた。
いざとなれば、竹千代の力になれるであろうと。

その頃、岡崎の広忠は酒に溺れ、暗闇の湯殿で於大と間違え、お春という下女に抱きついた。
広忠もまた、今川によって正室を迎えたが、お春もまた、自分の側室とした。
だが、彼の心にはいつも於大がいた。
お春にもまた、負傷した婚約者で、松平の家臣の岩松八弥がいた。
やがて、お春は広忠の正室の嫌がらせに流産し、狂っていく。

酒に溺れ、よりどころをなくした広忠は、再婚した於大までも斬って来いと八弥に命じた。
さらにお春の様子に心を痛めた八弥は、お春を自ら手に書ける。
だがお春は、狂ってはいなかった。
彼の手によって、命を絶たれたいと願っていたのだった。

お春を手にかけた八弥は岡崎に戻り、広忠に刃を向ける。
しかし広忠もまた、自ら八弥の刃に貫かれる。
こうして、誰かに殺されたかったと言って。
殿をなくした岡崎に、さらに戦が迫る。

次々とまるで、自分たちを嬲り殺しにするかのような運命。
だが、彼らの希望は竹千代であった。
竹千代がいる限り、岡崎は、松平は滅びない。
松平の家臣たちは、恐るべき勇猛果敢さを発揮し、安祥城を攻め落とし、信長の兄を人質に取った。

一方、竹千代は織田と今川の人質交換で、今度は織田から今川に渡ろうとしていた。
だが今川家のブレーンでもある太原雪斎は、竹千代の祖母であり、於大の実の母の華陽院に、竹千代の養育をかってでると打ち明けた。
彼は無垢な竹千代に、自分の知恵を与え、指導し、後の世をたくすつもりだった。
それほど、彼の目に竹千代は光って見えていたのだ。



徳川家康をアップしたつもりで、アップできず、昨日はまだ下書きの時点でアップしてるし。
なんだか落ち着きがない、レビューが続きます。
昨日、未完成のレビューをちょこっと読んでしまった方、すみませんでした。


さて、竹千代の養育を買って出る雪斎の、孔子の教えが深い。
天下を治めるのに必要なものは、3つ。
食と信と兵。
このうち、1つを捨てなければならないとしたら、何を捨てる。

竹千代は言う。
兵。
孔子もそう言った。

では、もうひとつ捨てるなら?
信である。
なぜか。
食がなくては、生きてはいけぬ。

そう言った竹千代に雪斎は、竹千代はよほど、食が大切と見たと言う。
織田家に預けられている時は、ひもじかったか。
竹千代は言う。
ひとつのものを3つに分けて、食べたことがある。

竹千代は食べるものを、自分についてきた家臣の息子と分けた。
その時、竹千代は2番目に食べた。
なぜなら、徳千代は自分が食べなければ食べなかったから。

三之助が、最初に食べた。
なぜか。
三之助は、小さいからと竹千代は答えた。
だが次からは、三之助も一緒に食べた。

すると、雪斎は言う。
三之助が最初に食べたのは、竹千代に全部食べられると思ったからだ。
しかし竹千代は、全部自分ひとりで食べなかった。
だから次からは、三之助もちゃんと同時に食べたのだろう。

三之助は、竹千代を信頼したのだ。
これが信だ。
信がなければ、食があってもそれは獣と同じこと。
いくら食があっても、戦いは止まない。

うわ~、ためになるわ~。
本気でそう思いました。
先生が、大河ドラマは見なさいと言ったわけです。

波太郎は、石坂浩二さん。
彼のインテリさ、万能さ、影での活躍。
あなたは後の、忍びの頭領ですか?

於大は再婚先でも、大事にされている。
再婚相手は竹千代のことも、思いやってくれる。
於大の人柄なら、どこに行っても信頼される。
一方、悲惨なのは広忠。

しかし、松平はいい家臣を持っている。
松平の家風は、相手が殿でも言いたいことを言えること。
だからこそ、いい意見が出るし、みんながんばれる。
於大の花嫁行列が、兄にも教われそうで危ない時、賊を装って奪ったと見せかけ、無事岡崎まで送り届けるという知恵で名も上げた。

さて、何といってもここでは織田信長で役所広司さんが登場。
濃姫と最初に会った時の無礼さ、濃姫の虫を見るような目。
信長が嫁をもらうと聞いて、嫁はどんな姫かと竹千代が聞く。

美濃の斎藤道三という、まむしの娘じゃ、食わせ者だ。
嫁は食わせ者が良いのか。
ははは、そうじゃ!

おい、竹千代、何か祝いをよこせ。
では、と、竹千代は物干しを差し出す。
これは物干しではないか!
物干しではござらん、これは竹千代が唯一持たせてもらった槍じゃ!

竹千代がそう言うと、信長が受け取る。
礼には馬が一頭ほしい、と竹千代が言う。
大将には、馬が必要なのじゃ!

この生意気なこせがれめ、わしのゆすり方を心得ておる!
ぎゅうっと、信長が竹千代の口をつねる。
一頭だけじゃぞ。
ありがとう!

信長は、於大から母の心を受け取り、於大に影から竹千代を見せてやる。
そして信長は、竹千代の槍から戦のヒントを得る。
しかし、竹千代の運命はまだ流転する。

竹千代は今度は、織田の、信長の兄が人質に捕らえられたので、今度は人質交換で今川に行くことになった。
最後の夜、信長は竹千代に膳を振舞う。
濃姫を見た竹千代は、「うるわしき姫まむしじゃ!」と言う。

「かわいそうな小僧、そなたは首をはねられるのじゃ」。
「首がのうては、飯も食えん。今夜は信長が馳走してやろう」。
この乱暴な、かわいがりかた。

信長の乱暴な、それでいて人の心を読む、そして思いやれる器の大きさ。
波太郎が、見込むわけです。
役所さんが、ものすごい当たり役。
このときの役所さんを超える織田信長は、私個人の中ではまだいないです。


情けに振り向けば危険に陥るのみ 「眠狂四郎 円月殺法」第8話

第8話「闇に光る女吹き針無想剣 沼津の巻」

にわか雨で狂四郎は、お堂の下で雨宿りをした。
同じお堂の下で雨宿りをする、足袋職人に話しかけられた。
気の良さそうな男であった。

夜半過ぎ、狂四郎は沼津の宿に差し掛かった時、一軒の商家が盗賊に襲われて助けを求めているのに遭遇した。
中では女将が、盗賊たちに組み伏せられていた。
狂四郎が盗賊を追い払い、女将の縄を切って、猿轡をはずした。

猿轡から現れた女将の口に、針が含まれていた。
女将は狂四郎のまぶたに向かって、針を吹き付けた。
両まぶたに針が2本、刺さった。

先ほど助けを求めた使用人の男女が、刀を抜いて襲い掛かる。
男の槍を叩き切り、女の刃を交わし、上から下に無想正宗を振り下ろす。
女の着物が真っ二つに斬られ、肌があらわになった女は胸を隠して逃げた。

男が持っていた槍を正宗がはじくと、女将の顔すれすれのところで、柱に刺さった。
女将の顔色が青くなる。
狂四郎がまぶたの針を抜いて、うずくまると、薩摩の刺客が現れた。

吹き針で目を射られていてもなお、剣勢は衰えない…。
たちまち2人が斬られると、狂四郎は正宗を行灯に突き刺し、灯りを消した。
逃げながら1人を斬る。
暗闇の中、刺客は狂四郎を見失った。

夜の街に、お蘭が歩いていく。
薩摩の刺客が狂四郎を追うのを見たお蘭は、漁師の網が下がっている縄を切り、刺客の行く手を阻んだ。
橋下の舟の筵の下に狂四郎を匿い、お蘭は舟を操る。

沼津の宿・駿河屋の主人の仁兵衛が、先ほどの女将に化けた女性・千佐に約束の小判を出した。
千佐がすぐには小判を受け取らないので、仁兵衛が「どうしました?」と聞く。
「怖ろしい男だと…」。
先ほど、顔のすぐ横に槍が突き刺さったのを思い出したのか、千佐の顔が青い。

「吹き針に目を射られても、少しもたじろがずに、まるで目が見えるような鋭い剣。侍衆があの男を眠狂四郎と呼んでおりましたが、いったいあの男は何者なのでございましょう?」
「余計な詮索はせぬことでございますな。約束どおり、わたくしはあなたの吹き針の特技を3両で利用させていただく。その交換条件として、私はご主人源之助様のご仕官の口ぞえをする。それが千佐さんとの商取引でございましたな」。
仁兵衛は、そう言って、仕官の手は打ってあると言った。
「商人が商取引に偽りを申したら、潰れてしまいます。心配なさいますな」。

「なにとぞ、よろしくお願いいたします」。
千佐は、頭を下げて出て行く。
隣の部屋から、蔵人が入ってくる。
「女は怖ろしいのう。虫も殺さぬ優しい顔をしていて吹き針の特技とは。一寸の針が、槍よりも怖ろしいと言われる武器だ」。

その時、薩摩隠密の弥十郎が狂四郎を見失い、2人の男女の隠密が追っていると告げた。
吹き針に両目を刺されたので、遠くには行っていまい。
しかし、この状態でまだ逃げられるとは…。

だが眠狂四郎といえど、鬼神ではない。
今、包み込んで討てば討てるだろう。
その頃、お蘭は狂四郎の手を引いて、逃げていた。

千佐は家に戻る。
家には先ほど、雨宿りの時に狂四郎と言葉を交わした男がいた。
狂四郎と雨宿りした男が、千佐の夫だったのだ。

男の名は倉本源之助といい、元は奥義まで修めた剣の使い手であったが、今は足袋職人として暮らしている。
そこまで極めた男が足袋作りなどしているのが、千佐には悔しくてたまらない。
しかし源之助は自ら、3年前に武士を捨てた。

その話は二度とするなと言う源之助に千佐は、「でも子供には侍の家を継がせとうございます」と言う。
千佐に子供ができたのだ。
これには源之助も「めでたい。でかしたぞ」と大喜びした。

お蘭はどこかの小屋で、狂四郎の目を手当てする。
「狂四郎のだんなともあろうお方が、吹き針なんかで目をやられるとはね…」。
「場所に死角があるように、人間にも盲点がある。それが心の隙というものだ」。
「おや、だんなにも心の隙なんてもんがあるんですか」。

お蘭がそう言った時、狂四郎が戸に向かって小刀を投げた。
戸が倒れ、黒装束の忍びが倒れる。
お蘭を突き飛ばし、自らは身をよけると手裏剣が刺さる。

「お蘭、火を消せ」。
言うとおりにお蘭が火を消すと、あたりは闇になった。
狂四郎が手探りで立ち上がり、進む。
3人の刺客がやってくるが、狂四郎は一刀で斬り捨てた。

続いて2人が戸口で待ち受けているが、これも斬った。
くの一が離れたところから手裏剣を構えていたが、あきらめて去る。
「心配するな。暗闇ならばこちらに七分の利がある」。
だがお蘭は「ここも危なくなってきたねえ」とつぶやく。

お蘭は狂四郎を医師の玄庵に見せるが、玄庵は灯りを目の前にかざしてこれがわかるか聞く。
幸いにも傷は、眼球まで達していなかった。
だがだいぶ腫れているので、それが引くまではまぶたは開けられないだろう。
お蘭が玄庵にそう言われて戸を明けると、外はすっかり明るくなっていた。

狂四郎が見つからず、追っ手がすべて斬られたので、蔵人はいらだっていた。
仁兵衛の命令で、再び追っ手がかかる。
「今のうちなのだ。やつを討つのは…、今のうちなのだ!」
蔵人があせる。

お蘭が目を包帯に覆われた狂四郎に、薬を持ってくる。
「毒が入っているのではないだろうな」。
「だんなったら!」

「お蘭とて、油断はならん」。
「ええ、ええ、毒もしびれ薬もたんと入ってますともさ」。
お蘭が茶碗を狂四郎の手に持たせると、狂四郎が薬を飲む。

「でもね、だんな。あたしゃ何も好き好んで、だんなの面倒を見ているわけじゃないんですよ」。
「誰も面倒を見てくれとは言っていない」。
「おや、言ってくれるじゃございませんか。もっともだんなには人の親切なんかわからないでしょうけどね」。

「情けに振り向けば、危険に陥るのみだ。何も背中の死神を喜ばすことはあるまい」。
「そこまで言われちゃ腹立ちも足踏みですよ」と、お蘭は笑う。
その時、玄関で「ごめんください、玄庵先生は…」と言う声が聞こえた。

お蘭が応対に出ると、そこには千佐がいた。
玄庵が留守だと知って帰る千佐だが、窓から狂四郎の姿を見て顔色を変える。
お蘭はその様子を見逃さなかった。
狂四郎に吹き針の相手が女だったと言うことを確認し、千佐の後をつける。

千佐の家では源之助が道具を探して壷に行き当たり、小判を発見した。
まさか…。
千佐が吹き針の芸を披露して、座敷で拍手喝さいを浴びている様子が思い出される。

その時、千佐が帰ってくる。
源之助は千佐に、何か隠し事があるのではないかと聞いた。
この大金は、駿河屋に言われて、吹き針を座敷の座興として見せたのではないか。

だが千佐は駿河屋が足袋の前金と、問屋筋への卸業者を辞めて、一手に足袋を引き受ける仕度金にくれたと嘘を言う。
「私はまた、お前が吹き針を…」。
「それはあの時、一度きりでございます!」と千佐が叫ぶ。

源之助が病に倒れた時、千佐は駿河屋に頼んで吹き針を使って見せたのだ。
言いかけた千佐をつわりが襲い、源之助はそこで千佐を問い詰めるのをやめた。
「すまん。疑ったりして。私はのう、千佐。その日その日をお前と2人で静かに暮らせればそれでいいと思っているのだ。決して、多くを望んではいない。そうか、これからは2人ではなく、3人だったな」。

玄庵医師が、狂四郎の包帯を取ろうとしていた。
腫れが引いていればいいのだが、と言った時、狂四郎が「迎えが来たようだ」と立ち上がる。
「世話になった」。

玄庵に治療代を渡すと、「こんなに、たくさん?!」と玄庵が驚く。
「私にはもう、必要なくなるかもしれん。とっておいてもらおう」。
「しかし!まだ目が!」

狂四郎は包帯をしたまま、外に出て行く。
無想正宗を、帯同する。
玄関を出たところで、無想正宗をいきなり抜き、背後に振る。
「ぐうっ」と声がして、黒装束のくの一が落ちてくる。

倒れたくの一を背に、狂四郎が前に進む。
行く手の玄関を出た道に、3人の刺客が現れる。
奥から出てきた玄庵がくの一の死体を見て、「おお」と驚く。

狂四郎は走り、医師の家の前から消えた。
道の途中で、塀を背にして狂四郎は立ち止まり、包帯を取った。
向こうからも、刺客がやってくる。
目を開いた狂四郎の視界はまだぼんやりと、白くぼやけてはいるが人の姿が確認できた。

塀を背に狂四郎は、手探りで進む。
ぼんやりとした視界の中で、白羽の刃を手に刺客が襲い掛かってくるのが見えた。
あっという間に1人、2人…、5人まで斬られた。

狂四郎は手探りながら、前に進む。
お蘭が帰ってきて、くの一の死体を見て、「だんな!」と叫びながら家に入る。
玄庵から大勢の人間がいきなり襲ってきたと聞いてお蘭は、狂四郎の名を呼びながら探しに行く。

夜になっていた。
狂四郎が居酒屋で、酒を飲んでいた。
その居酒屋に、源之助が来た。
店のオヤジに子供ができたことを報告した源之助は、狂四郎に気づいた。

雨宿りの時に会った武士だとわかって、源之助は話しかけてくるが、狂四郎の目の異変にも気づいた。
狂四郎は、虫に刺されただけだと言う。
「災難でしたな」。
源之助が帰った後、店のオヤジが源之助がうれしそうだ、あんなに夫婦仲が良いのだからと言うのを狂四郎は聞いていた。

弥十郎は、蔵人に叱咤されていた。
だが弥十郎は、狂四郎の目が見えるようになっていると言った。
しかし何とかして、この沼津で狂四郎を討っておきたい。

弥十郎は「もう一度吹き針の女を差し向けたら」と言うが、蔵人は「おろかなことだ。眠狂四郎、二度と同じ轍は踏まぬ!」と怒る。
そこで仁兵衛が千佐の夫の源之助が、心形刀流の使い手だと教えた。
心形刀流は、心の剣である。

円月殺法もまた、心の剣である。
心と心をぶつける。
狂四郎を心形刀流なら敗れるかもしれないと、蔵人は考えた。

家に戻った源之助は、居酒屋で目を腫らしていた武士に出会ったと話す。
千佐の顔色が変わる。
源之助は、千佐の様子に気がついた。

鋭い目で千佐を見て、駿河屋と縁を切ったほうが良いと言った。
だが千佐は、今、駿河屋と手を切れば、仕官がかなわなくなると反論した。
蔵元家は、勘定方150石の由緒ある家柄。
いつか、きっと再び源之助が仕官することを千佐はひたすら思い続けてきた。

それを聞いた源之助は、言った。
「私はのう、千佐。つくづく侍の世界がバカらしくなったんだ。常に上司の機嫌を伺い、同僚といえば微笑の裏に針をもつごとし。すきあらば仲間を蹴落として出世をと、あることないことの告げ口。おまけに二言目には命をとして殿に忠義だ」。
そして源之助は、3年前、勘定方に出入り商人との不正事件があったことを語る。

だがそれで罰せられたのは、当の本人の上司ではなく、平役の源之助だった。
「そんなことが平気でまかり通る世界に、ほとほと愛想が尽きた」。
「侍を捨てて、本当に芯から幸せだとおっしゃるのですか」。

「今の私には自由がある。誰にも拘束されず、この命は私自身が握っているんだ。侍になることだけがすべてではあるまい」。
「この世のなかにしっかりと生きていくためには、誰にも頼らず、己の力で、己の腕で大地に立たねばならんのだ。それが本当の生き方だと思う」。
だが千佐は言う。

「このような貧しさに耐えるだけの生活が、本当の人間の生き方だと申されるのですか。病気になっても薬代もなく、そんなみじめな暮らしをすることが人間の生き方だと言うのですか」。
「生まれての町人暮らしならば、何も申しません。でもあなたは侍です。もしご仕官なされば、あなたの剣法とご器量をもってすれば、立派なご奉公ができるに違いありません。それをあなたは、捨てると申されるのですか」。

「わたくしには納得が行きません。いいえ、耐えられません」。
その時、表の戸が叩かれる。
叩いた者は、駿河屋の使いと名乗った。

「ほっとけ!」」と源之助は言うが、千佐は立ち上がり、戸を開けた。
だが辺りを見回しても、誰もいない。
千佐が不審に思った時、千佐の口がふさがれ、当て身をされて連れ去られる。

「千佐?」と表に出た源之助の前に、手紙が着いた手裏剣が刺さる。
手紙には「千差は預かった。命を助けたかったら受け取りに参れ」と書いてあった。
差出人は、駿河屋仁兵衛だった。

お蘭が、宿屋にやってくる。
向かいの部屋が戸を開けると、狂四郎がいるのが見えた。
「だんな!」

お蘭が叫び、目の具合を心配する。
そしてお蘭は玄庵のところに来た千佐が吹き針の女で、駿河屋仁兵衛が使った女だと教える。
駿河屋は薩摩の隠れ宿。

この沼津中が敵ばかりだと言うと、狂四郎は「いまさら惜しい命でもない」と言った。
お蘭は絶句する。
「人がこんなに心配しているのに!憎たらしい!」

駿河屋はやってきた源之助に、狂四郎を討つのに、剣の腕を借りたいという。
「断ったら?_」
すると駿河屋は、千佐を連れてきた。

千佐に、四方八方から刃が突き出される。
源之助は、うなづくしかなかった。
「そうですか。それは良かった」。

翌朝、お蘭が向かいの部屋の狂四郎に声をかけると、狂四郎はもういなかった。
女中に聞くともう発ったと言われる。
狂四郎が一人、竹林の中を歩く。
まだ目は閉じている。

行く手に、源之助が現れる。
「やはりおぬしだったか」と源之助が言い、自分の名を名乗る。
「お手前とは縁も所縁もない。まして恨みなどない。だがおぬしを斬らねばならぬ」。
「侍を捨てた男が、なにゆえ刀を手にした。おろかなことだ」。

狂四郎は、そのまま歩く。
源之助は刀を抜く。
「何も好んで、命を捨てることはあるまい」。
「妻の命を救うために、おぬしを斬らねばならん!」と源之助が叫ぶ。

千佐を連れた弥十郎たちが近くで、見ている。
「眠どの!参るがいいか!」
狂四郎も源之助の刀をひらりとかわし、正宗を抜く。

蔵人たちも近くで、見ている。
狂四郎が、うっすらと目を開ける。
ぼんやりとした視界に、刀を構えた源之助が見える。

狂四郎は、再び目を閉じる。
大きく手を振りかざし、刃を下ろす。
刀の先が、狂四郎の足元に向く。

つま先で、刀が裏返る。
源之助もまた、同じように刀を下を向ける。
狂四郎の正宗が、弧を描いていく。

源之助は刀を、上に上げていく。
千佐も息を呑んで、見守っている。
狂四郎の動きが止まった。

源之助が斬り込んでくる。
2人は斬りあった。
狂四郎が源之助の刀を、交わす。
次に狂四郎が正宗を横に払った時、源之助の腕から血が流れた。

源之助が、刀を落とす。
千佐が「あっ」と言う。
仁兵衛と蔵人が、うなづいて去る。

「これで二度と刀を握ることはできまい。薩摩のご一党、この男、もはやおぬしたちの役にはたたん。妻女を人質に取っておく必要はなくなったはずだ。離してやったらどうだ」。
「あなた!」
千佐が、駆けていく。

その時、千佐の動きが止まった。
千佐が倒れ、源之助が斬られる。
続いて、刺客たちが狂四郎に向かってくる。

弥十郎が、狂四郎に斬りかかってくる。
狂四郎が弥十郎を斬り、倒れた。
千佐と源之助の2人は、並んで倒れていた。
うっすらと開けた目で、狂四郎は2人を見た。

狂四郎は去っていく。
そして、橋を渡っていく。
向かいから、巡礼がやってくる。

巡礼はすれ違いざま、狂四郎に向かって刃を抜いた。
狂四郎が振り向きもせず、斬る。
仁兵衛だった。

「眠…、狂四郎…!」
それだけ言うと、仁兵衛は倒れた。
顔を狂四郎に向け、仁兵衛は恨みの形相で息絶えた。
狂四郎は正宗を納めると、静々と歩いていく。



千佐は、岡まゆみさん。
仁兵衛は、田口計さん。
源之助は、原口剛さんです。

冒頭から、感じの良い源之助。
次には加勢した狂四郎が、目を射られる。
ふっつり、まぶたに刺さった針の映像が、生理的に怖い。

これでも敵を撃退し、千佐の横を狙って刃物を刺す狂四郎、強すぎ。
鬼神じゃないって言うけど、鬼神ですよ。
まぶただけで傷が済んでいるというのも、反射神経の良さか。
千佐の攻撃は、そこまで強力じゃなかったということか。

その後も刺客が襲うが、敵ではない。
蔵人が今やらなくてはできないと言うが、それは正解。
直後も、玄庵のところで襲撃するのも、全部失敗。
あれだけのハンディをもらって討てないんだから、討てないでしょう。

千佐の、最初から町人なら平気だが、という言葉。
源之助の立派な姿を知っている千佐には、今の姿が屈辱的でしかないのだな。
どうしても、武家のプライドが捨てられない。
でも狂四郎に話しかけた様子からしても、源之助は今の生活が楽しい。

確かに病気になって医者に見せる金もないというのは、困る。
武家の嫌な部分を直接体験している源之助と、今の生活の困る部分を直接体験している千佐。
どっちの言い分もわかる。
間違っていないと思う。

だからこそこれは、埋められない溝。
この2人の会話って、現代にも通じる会話だなあと思う。
そして千佐の武士復帰への執念が、悲劇を呼んでしまう。

狂四郎の「場所に死角があるように人間にも盲点がある。それが心の隙というものだ」と言う言葉は、ああいう弱者がやられそうなシチュエーションに自分は弱いと自覚している言葉。
「情けに振り向けば、危険に陥るのみだ」と言う言葉は、そういうのを放置できない自分の甘さ、隙を自覚して自嘲し、戒めている言葉。
「何も背中の死神を喜ばすことはあるまい」という言葉には、自分に関わったために死ぬことになった人々を思い出した痛みが感じられる。

お蘭は憎たらしいと思いながらも、絶対放置できない。
むしろ、狂四郎がおとなしく自分の目の届く範囲にいてくれてうれしそう。
でも狂四郎はお蘭も死なせたくなくて、冷たくしているのだと思う…。

玄庵のところで、表に刺客が来たのを気配で察知する狂四郎。
お金をたくさん置いて「自分には必要なくなるかも」などと言うことは、今回はかなり覚悟していたんですね。
帰ってきたお蘭が血相を変えて探すも、その後は描かれていない。
しかし夜になって居酒屋で酒を飲んでいるところを見ると、撃退し、相手をまいてきたんですね。

狂四郎が「侍を捨てた男が、なにゆえ刀を手にした。おろかなことだ」と言うのは、居酒屋での話から子供ができたのを知ったから。
そして捕らえられた千佐を見て、自分を襲った女が源之助の妻であることも、子供がいるのもわかった。
だから狂四郎は、源之助を斬らなかった。

二度と刀を握れなくなれば、彼の剣を目当ての者が付きまとうこともないし、千佐の執念も終わる。
ところが!
それが仇となって、彼らは斬り捨てられてしまう。
狂四郎の目は、立会いを終えて、橋の上でやっと開いている。

向こうから来る巡礼を装った仁兵衛を、振り向きもせず斬り捨てている。
倒れて、狂四郎の方を悔しそうに見る仁兵衛。
だが、狂四郎は最初から最後まで歯牙にもかけていない。
しかし、千佐の中には子供がいると言うのに、容赦ない展開です。


そなたも鬼になろう 大河ドラマ「徳川家康・竹千代誕生」 

1983年放送の、大河ドラマ「徳川家康」。
第1話は、岡崎の松平と敵対している水野家・水野忠政の姫・於大を嫁にもらうよう、松平の家臣たちが松平広忠に勧めているところから。
松平と水野は、力の均衡がどちらかに傾くのを繰り返しながら、今日まで来た。
広忠の父の時代には、松平の力が強く、酒宴の席で広忠の父が戯れに、忠政の妻・華陽院の美しさに目を留め、嫁にもらいたいと言った。

強者の戯れは、弱者にとっての戯れではすまなかった。
忠政は妻・華陽院を差し出した。
つまり、於大は血のつながりはないとはいえ、広忠の義理の妹でもある。

そんな娘を嫁にもらうほど、松平は今は水野とことを構える力がないというのか。
広忠にとって於大との縁組は、偉大な父と比べて明らかに劣る自分を思い知ることでもあり、反発するばかり。
しかも広忠にはすでに、お久という側室がいて、子までなしていた。

忠政の考えは違った。
水野と松平、双方が争えば、後ろに控えている強大な今川、織田に食われる。
したがって、二つの国は決して争ってはならない。
ともに栄えるのが、この戦国の世を生き延びる方法との考えだった。

於大は母に会えるうれしさと、素直な気持ちで広忠の元へ嫁ぐ。
だが広忠は於大を寝首をかきに来た女と疑い、また於大の身を案じる侍女たちの目に於大を疎ましく思う。
於大は梅の心。
梅がうぐいすを呼ぶことなく、うぐいすが来るように、梅の花のように広忠を癒す気持ちでいようと思っていた。

於大に母は言う。
人の心には、仏と鬼が棲んでいる。
鬼の心を見るではない。
さすれば、そなたも鬼になろう。

於大を突き放し、お久の元へ行った広忠だったが、自分の器の小ささに嫌気が差す。
作らずとも良い敵を作るところだった。
そう言うと、広忠は於大の元へ帰る。
自分は於大の控えめさ、賢さ、度量に嫉妬したのだと打ち明ける。

於大はお久にも気を使い、菓子を持っていくが、お久はいまだ懐妊していない於大が子供を毒殺するのではないかと疑った。
お久の気持ちを知った於大は、自ら菓子を食べてみせる。
「母とはありがたいものですね」。

その言葉に、お久はひたすら、恥じ入るしかなかった。
しかし、その帰り道、於大は具合が悪くなる。
あの菓子は悪いものだったのか、於大は心配するが、それは懐妊だった。

やがて於大は寅の年寅の刻に、男子・竹千代を産む。
於大は侍女に子供が生まれる時、寺から菩薩像を隠し持ってくるように言う。
はたして、竹千代誕生と同時に消えた菩薩像。
その話を、人々はあれは消えた菩薩がこの世に現れた、竹千代は菩薩の生まれ変わりだと噂した。

しかし、平和な時は長く続かない。
巨大な今川の圧力に、広忠は於大と離縁せざるを得なくなる。
離縁の朝、お久が密かに竹千代を抱いて見送りに現れる。

お久の心遣いに涙する於大。
於大と別れた広忠は、酒に溺れる。
そして、於大はまた、嫁がされる。
戦がまた、始まろうとしていた…。



鬼の心を見るではない。
さすれば、そなたも鬼になろう。
こういうセリフがあるから、大河はおもしろかったなあと思いました。

大竹しのぶさんが、愛らしくて。
於大の悲しさ、けなげさ、前向きさ。
母の愛に、涙してしまう。

広忠の近藤正臣さんも、いいです。
この殿は、平和な世だったらいい殿様だったと思う。
人柄が良くて。
しかし、戦国の世ではおそらく戦略的な力強い父に比べて、繊細で弱い人ということになってしまう。

自分でそれがわかっているから、とても扱いにくい人になってしまっている。
それでもちゃんと、於大の気持ちをくめるんだから、良い人なんです。
自分のような弱い男ではない。
強い男を生んでくれと言う、広忠。

お久もまた、子供を身ごもる。
しかし、もう、お久の子は誰にも見向きもされない。
お世継ぎ誕生の華やかな喜びの中、ひっそりとしている側室の部屋。

お久が子を生んだのは、竹千代と同じ、寅の日、寅の刻。
誰も名前をつけてくれない。
父親がやってくる。

名前を携えて。
それは松平のどんないわれのある名前なのですかと、お久が尋ねる。
僧侶の名前だ。

竹千代と同じ日、同じ時刻に生まれたこの子は、後に必ず、争いの種になる。
余計な血を流さず、この子を生かしておきたかったら、道はそれしかない。
号泣するお久。
この無情さもまた、良く描いてます。

この頃、信長はまだ9歳。
秀吉は、泥にまみれた海のものとも山のものとも知れない7歳。
まだ誰も、後の運命を知らない。


降るんでしょうか

寒いわあ、と思いながら、土曜日は外出しました。
会社に持って行って飲むポットに入れる飲み物は、なぜか私は紅茶。
いつも飲むのは、コーヒーなんですが、なぜか持って行くのは紅茶。
これ、やっぱり部屋の環境から体調によって、体が欲するもの、心地良いものが変わるということなんでしょうね。

去年1年はお正月に買ったフォションの、キャラメルクリームとブルボンバニラを煎れて、また、お茶パックに茶葉を入れて自分で作ったティーバッグを持って行って会社でポットにお湯もらって飲んでました。
香りの良いお茶は、和み。
どちらも甘い香りってことは、疲れるってことなんですかねえ。
その紅茶を買いに行ったんです。

寒いけど、中にボアがついてるモッズコートに、首にはスヌードを巻けばあったかい!
寒さに負けず、無事に紅茶は仕入れ完了。
パッケージが変わるということで、フォションブレンドという紅茶が安くなってて、な~んか良かった。

帰って来て飲むのが、お正月に福袋二つも買ってたくさん仕入れたコーヒー。
わけわかんない。
また、このセールの時期に飲み物ばっかり買ってるのも変。
お祭り気分に乗りたいけど、欲しいコートはないし、通勤のための服は持ってるし、ブーツも気に入ったのまだ健在だし。

さて、日曜は朝起きて、布団から出ないで、猫を抱っこしたまま、ウダウダしていられる。
いつもしたいことができる。
そう思ったんですけど、夜に天気予報見て、びっくり。
雪、降る?

しかも翌日の日曜は、センター試験。
手術のあとが痛むという人もいるし、私もそうだった。
シクシク痛む。
降らないで欲しい。

幸せでないはずがない

体がすっかり、南方系になってしまっているので、日本の冬がつらい。
これは、29年と3ヶ月、戦争が終わった後もルバング島で潜んでいた日本兵・小野田さんのこと
小野田さんが、なくなりましたね。
寂しい。

「人が思うほど、苦ではないのです」。
「信念を持って生きられたことは、幸せです」。
そんな風に言える小野田さんの一生が、幸せでないはずはない。


淡路恵子さんが、なくなりました。
壮絶な一生だったと思います。
でも、怒りを感じている人や許せない人はいても、恨みの人生ではなかったように感じます。
苦労が、にじみ出て来ない。

打ちのめされない。
潔い。
人に、世の中に、恨みがましくしない。
自分の不幸を武器にしない。

最近、自分に関わった人を思い、淡路さんみたいにしていられるってすごい難しいことなんだと実感。
すごい人だと思う。
ゆっくりお休みください。



降らなかったね

やっぱり、大河ドラマ「徳川家康」、いいですよ。
すごくいい。
おもしろい!


いやいや、水曜日に雪予報が出ていたので警戒していたんですが、降らなくて良かった。
だって、朝の交通が乱れると、会社行くのに困る。
友人の会社は、交通のアクシデントも遅刻に考慮してくれないので、雪は困る。

雪は交通が麻痺する。
去年は雪で電車が遅れたのに、遅刻つけられたと言ってました。
2時間も早く、駅に行けるかっていうの!この寒いのに!とお怒りでした。

私も遅れるのが嫌だけど、会社の近くも家の近くも坂が怖い。
「雪で喜ぶのは子供だけかな?」と言ったら、同僚が最近の子供も雪で喜ぶのは低学年だけだよと言う。
家の子供は雪かきさせられるから、もう雪が嫌いだと言う。

そうか。
でも子供が雪が嫌いっていうのも、ちょっと寂しいね。
それも変な思い込みか。
まあ、でも、私も雪が好きだと言う人に雪かきはまかせたいものだと思う。

昔、雪国にいたと言う人は、年を取ったら住めない!雪かきができない!と言う。
人に頼んだら一冬で相当な額を覚悟しなければならない、10万なんかであがらない!倍でもすまない!って、言う。
私の周りで、雪を幻想的だとか、ロマンチックだとか言う人は、雪かきしないでもいいマンションの人だったせいか、雪が好きと言う人は、雪かきしなくていい生活の人じゃないかとは思いましたけどね。

やっぱり雪が好きだと言う人に雪かきをまかせれば、お互いが幸せかも。
周りに雪が好きな人がいたら、今度、雪が積もった時は私の家のところの雪かきを、ぜひ、お願いしますと言いたい。
いまどきのインナーもアウターもかなりあったかいから、寒さの点ではかなり楽になって来てて、昔ほど冬がつらくない。
それでも朝寒い中起きるのと雪かきは、やっぱりつらいと思う。


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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