空気に春

春の気配が空気に感じられた、ここ数日。
2月も終わり。
空気に花粉が混ざってきました。
夕暮れが遅くなってきて、日が伸びてきました。

やっぱり春はいいなあ、と思いました。
あったかくなるのは、いいなあ。
また寒くなるみたいですけどね。
色とりどりの花、チューリップとかが目に入るようになる。

梅が咲いて、桜が咲く。
街がほんのり、ピンク色になってくる。
生暖かい風が強い。

夜も風がやまなくて、いろんなものが巻き上がる。
ざわざわと、埃っぽい。
砂っぽい。
私は花粉症で、くしゃみ連発。

それでも春は、良いなと思う。
春が待ち遠しい。
ぼーっとしてしまっても。
眠くなってしまっても。


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自分の時代のチャンスは一度 「徳川家康」

ビルの中で密談すれば 外の社会が私物に見える
凄い男になるためにゃ 汚れた金でもびくつくな
野望 陰謀 存亡 3つそろえ
野望 陰謀 存亡 金をばらまく

FRONT お前はリーダー
FRONT お前はレーダー
FRONT お前はフィクサー
FRONT 支払いたのむぜ

自分の時代のチャンスは一度 金の全てに命を賭けろ
空の部屋から下界を見れば 地球も私物に思えてくるのさ
野望 陰謀 存亡 3つそろえ
野望 陰謀 存亡 金にかみつく

FRONT お前はリーダー
FRONT お前はレーダー
FRONT お前はフィクサー
FRONT 支払いたのむぜ

これは、泉谷しげるさんが、今太閤・田中角栄氏を歌ったであろう曲の歌詞です。
野望、陰謀、存亡、3つ揃え。
まさに、太閤・秀吉となる男の姿にこの曲が重なりました。

信長が光秀に倒されたと知った時、武士も町人も百姓や山賊に至るまですべての人間が思ったのは、乱世への逆戻り。
ひたすら、三河を目指す家康の一行の後も、落人狩りや、武器を扱う狼たちがつけてくることが何度もあった。
夜盗たちに行き会ったときは、茶屋四郎次郎と金蔵は夜盗・多羅尾兄弟の振りをして道を退かせた。
「策というのは、あるものぞ。理を説く代わりに我らは夜盗の仲間入りをしたぞ」と言う家康。

堺を出て、3日目の朝。
食料は尽き、飲まず食わずで山を抜ける家康一行は十数人。
河内と山城の国境は越えた。
茶屋四郎次郎は田原まで先に出て、食料を調達するために、金蔵とともに先に行った。

田原に差し掛かった頃、一揆の群れがやってきた。
8百人はいる。
一揆の群れなら、黄金で追い払ったらどうだろうと家臣たちは言う。

いや、逆だ。
金を持っていると見れば、身ぐるみはぐだろう。
それを聞いた家康は、「八百か。何が望みかわしが聞いてやるゆえ、首謀者を連れて来い!」と言った。
「殿!話してわかる手合いではございませぬぞ」。

しかし、家康は「いいか、誰も口をはさむでないぞ」と言って、一揆の首謀者を連れて来させた。
弱気で善良な人間も集団を成すと、計り知れない凶暴性を発揮する。
これがまさに、その集団であった。
一揆の首謀者3人が来て、「やい、旅の侍!身包みを脱げ!」と、磨いた竹やりを向けてきた。

「その方たちは、領主に恨みがあるのか」。
冷静な家康の言葉に「こいつ、何をえらそうなことを言う」と3人が顔を見合わせた。
「わしはのう、その方たちを苦しめたのが誰であったのかを聞いておる」。

すると1人が、「わしらを虫けら扱いした奴は。みんな敵じゃい!」と激する。
「そう言う、うぬらの首も、はねてくれるぞ!」
「身ぐるみみ脱げ!」

家康の家臣たちはすでに、刀に手をかけていた。
だが家康は「落ち着いて話してみよ!」と言う。
「わしは良く話を聞いたうえで、その方たちに褒美を取らそうというのだ」。
「なに?褒美を?」

3人は、きょとんとした。
「そうじゃ。武将というはな、民をさまざまな乱暴者から守ってやるのが、頼みの勤めじゃ」。
「ごまかすな!」

3人は顔を見合わせた。
だが、表情に不安が走る。
「こいつは、たちが悪い奴じゃぞ」。

だが家康の次の言葉は、百姓たちの心を捉えた。
「年貢はどれぐらいじゃ」。
「え?」
「年貢?」

「どれほど、取られておった?」
「し、七三じゃ。三部の取り米で、年寄りや子供を抱えて、どうして食って行けと言うんじゃ!」
百姓の言葉に、感情が混じる。

「いや、その三部の米さえ、また戦となりゃ、取り上げくさる!戦は農民どもを守るためとお侍たちは言うが、だったらなんで、なけなしの米まで取る。何で、わしら馬のようにこき使う!」
「もう、戦は嫌じゃあ!だからわしらは、先手を取って…」。
「筵旗を立て、領主の米倉を開いたのじゃな?」

3人は、うなづく。
家康はさらに聞く。
「まさか、同じ苦しみの、ほかの村の百姓は襲いはすまいな?」
「なに?他の村の?」

3人が。顔を見合わせる。
顔色が曇る。
「仲間は守れよ」。

家康の言葉に、3人が明らかに動揺した。
「確かに織田殿は討たれたが、このまま乱世にはあいならぬ。わしの軍勢10万の他、羽柴筑前もただちに引き返す。それまでの間の乱れじゃ。その間、武将に代わって、よく仲間を守ってやれ。さあ、忠勝。黄金を。さあ」。
家康が本多忠勝に、黄金を渡せとうながす。

小さな袋を差し出された百姓は、恐る恐る、それでもひったくるように奪う。
「いずれ天下が治まり次第、名乗って出よ。必ず力になってやろう。今日はその黄金と、墨付けを遣わしておく、茶屋殿」。
家康は、茶屋から矢立を受け取り、筆を走らせる。

「さて、その方の名から順に」。
真ん中にいた百姓が、「へえ。わしは大石村の孫四郎、です」と答える。
「次は」。
左にいた百姓が、「わしは桜谷のセキ兵衛」と名乗り、一番右にいる男のことを、「これはししとび村の弥六でございます」と言った。

「右の者、田原の山中にて、道案内を努める段、殊勝なり。よって後日のため、一札、渡し置くものなり。家康」と、家康は読み上げた。
お墨付きを両手をあげてもらい、孫四郎は思わず、頭を下げていた。
一揆の群れに飛びかえり、みんなに見せる。

それは家康に従うものたちにとって、信じられない成り行きであった。
家康たちは無事、山口光俊の館にたどり着き、飯をほおばる。
だがそれもつかの間。

宇治の茶を一服差し上げたいと言う山口に対し、家康は半時もしないで立ち去る。
家康の、この判断は正しかったのだ。
この出発もまた、家康の動物的な勘であり、待ち受けていた危難を交わすことになる。

通過する伊賀では、伊賀衆は信長に征伐されていた。
織田に、恨みを持つものが多い。
伊賀衆は百姓一揆のようなわけには、いくまい。

家康たちが山道を行くと、「お待ちくだされ」と声がかかる。
行く手に2人の男が現れ、「このまま進まれては一大事でございます」と跪いた。
男は、「それより伊賀の丸橋に」と言う。

男の名は、柘植三乃丞。
その背後に、あの百姓・孫四郎がいた。
三乃丞が言うには、伊賀の衆が二つに分かれてしまったらしい。

この地の地侍は、織田に征伐された恨みを持ち、明智に味方するというものが多い。
だが我らはかつて、お館様に暖かい扱いを受け、恩義があると三乃丞は言った。
そこで、柘植三乃丞は説得した。
だが、納得できない者たちとは、結局、袂をわかってきたのだという。

三乃丞は、孫四郎を案内に、道を変えることを勧める。
家康は、すぐに承知した。
それを見た孫四郎は、「やっぱりお館様はすぐに話のわかるお方じゃ」と笑った。

孫四郎が案内に立つ。
事実、昼の間はわからなかったが、夜になると家康に味方する伊賀衆が、道の前後左右にたいまつをともし、警護していた。
夜の中、雷が鳴る。

孫四郎が声をかける。
「お館さま」。
「孫四郎と申したな。そちはなぜ、わしが頼みもせぬのに、伊賀衆の下に駆けつけた?」
「あの時、お館様を討っていたら、勝って負けになります」。

「ほう、それはなぜじゃ」。
「優しいお方を殺して、それよりもっとひどい人に天下を取られたら、百姓はまた、一生泣き続けねばなりません。だからお優しい方とわかったから、これを助けるのが結局は得策と、そう解いたら一揆の衆は納得しました。一揆の衆が納得したことゆえ、お侍衆が納得せぬはずはないと思うて」。
「伊賀衆の下へ、かけつけたというわけか」。
「へえ。そうしたら、この通り」。

「お館様、道理というものは強いものでございますな」。
「そうか、それが道理か」。
「へい」。

稲光が光る。
「どうじゃ。竹千代」。
孫四郎の顔が、稲光の中、鉄斉の顔になる。

家康が、驚き、息を呑む。
「おもとは心から、この百姓を哀れんで、優しかったのではあるまい」。
「鉄斉禅師!」
「あの場のわが身の無力を計算し、争うては千の一つの勝ち目もないと見たゆえ、それならば見苦しくないようにと、武将の務めを口にしてみたにすぎん」。

「だがそれがこの暴徒を動かし、やがておもとの危機を打開していく道につながった。おもとには、駿府で幾たびも説き聞かせたはず」。
「民の声は、深く深く味わいなされ、と。民の声に従うほかに、真理はないぞ!」
「竹千代、まだまだじゃの」。

そう言って、鉄斉の顔は孫四郎に戻った。
雷鳴がとどろく。
家康は思った。
「そうじゃ、この男。鉄斉禅師が、わしのためにつかわされたのじゃ」。

やがて家康たちは信楽に着き、伊勢湾の白子浜に到着した。
だが。ここの領主は、舟一艘も漕ぎ出すことを禁止していた。
その触れを出した高札が、立っていた。
漁師たちの家は、どこも硬く戸を閉ざしていた。

家康は、「わし自ら頼んでみよう」と言って、一軒の漁師の家の戸を叩いた。
「これ、ちょっと聞きたいことがある」。
戸の向こう、芯張り棒をつかみ、必死の形相の漁師の男が答えていた。
家の中では、子供と妻が恐怖に抱き合っていた。

「ご覧の通りのあばら家で、銭金はありませぬ」。
「盗賊ではない。あんじるな。対岸の常滑の浜まで舟を一艘、工面してほしいのだ」。
「そりゃあ飛んだ難題だ」。

「いかにも、舟を出してはならんと達しのあったことは存じておる。だが天下を再び騒乱の世にせぬため、三河等々み駿河三国の主・徳川家康が夜の明けぬ間にこの海を渡り、本国へ戻りたいと申しておる」。
「では」。
戸が開いて、主の漁師が出てくる。

「こなた様は、徳川様の御家来か。そうか。では、あきらめた。さあ、勝手にこの首をお斬りなされ」。
そう言って、漁師は膝をついた。
「首斬れと?」

「舟を出さずば、斬る気だろう。わしが斬られるを怖れて舟を出したら、今度はわしの家族親類がみな、御領主様の手で斬られる」。
「影で見ていた忠勝たちが、その言葉に驚く。
「これが乱世の領民の、むごい定めとあきらめているゆえに。さあ、お斬りなされ」。

漁師は、うなだれた。
愕然とした家康の耳に、再び鉄斉の声が響いた。
「聞いたか、竹千代!国と民を守護するはずの武将は、武器を持った厄介者と見られている。これが民の声じゃ!」

家康は言った。
「そうか、そのほうはそれほど、武士を無法者と思うていたのか…。よし、では他へ頼んでみよう」。
その引き下がり方に、今度は漁師が驚いた。

「もし、他に頼んだところで同じことじゃが。一体お前様は、徳川が他のなんとおっしゃるお方か」。
「家康自身じゃ」。
漁師が、ヒュッと悲鳴のような小さな声をあげた。
「家康は良いことを、こなたから聞いた。本国へ戻ったら、今のこなたの言葉を味わいなおそう。自身一心のためには決して、兵を動かさぬようにな」。

家康はそう言うと、歩き出した。
その足に、漁師がすがりついた。
「お、お待ちなされて!」
「出しましょう、舟を出しましょう」。

「なんと?!」
「わしはこの歳まで、わしらの言葉を聞いて下さったお侍様に、初めて出おうた!われら一族、たとえどのようなことになろうと、お館さま直々のお言葉とあれば、船を出します。出さずにはおられませぬ!」
漁師は言うが早いか、階段を駆け降りていく。
この漁師・孫蔵は正体不明の闖入者に舟ごと拉致されたことになった。

だが、もし、家康が伊勢を治める日がなければ禁を破った、彼ら親子はその生涯で再び相会う日は来ない。
舟の上で、家康は孫蔵に言った。
「孫蔵。駿河に送ってやろう。駿河までは決して、戦場にはさせぬからのう。そこでそなたが働ける土地を選んでやるゆえ、家族を呼んで暮らすが良い」。
孫蔵が微笑んだ。

伊賀越えに続いて、この白子浜で漁師たちが家康を助けたのは、意識していると否とにかかわらず、平和を保証されたいと願う心の現われなのである。
朝日に向かって、家康が合掌している。
本多たち、家来が「殿が合掌してござる」と言った。

「よほど、うれしかったのじゃ」。
「三方が原戦の時でも、合掌はせなんだからのう」。
家康は今、地獄の底から這い出るような、不眠不休の脱出劇に終わりを告げようとしている。

堺を出発してから、4日間。
全長、3百キロの強行軍であった。
京都に戻った茶屋は、今は納屋蕉庵となった波太郎に会い、家康の運の強さを報告していた。

納屋蕉庵は、言った。
次の天下は、誰に取らせたらよいか。
堺の商人たちで、入れ札を行った。

明智光秀5票。
羽柴秀吉5票
「すると、徳川様は」。

納屋蕉庵の娘の木の実が言う。
「1票ずつの、あとの6人でございます」。
「明智光秀を天下人と見るならともかく、羽柴秀吉とは…」。

蕉庵が言う。
「秀吉というのは、よほど不思議な魅力を持っておるらしい。彼に頼まれた者はみな、彼の味方になって働いている。それゆえ、浜松のお方にこれをみやげにするがよい」。
「流れに逆らうものは溺れる。次の天下人は、羽柴秀吉だ」。

その秀吉は今、姫路城に帰り着いていた。
6月8日。
秀吉は髪を剃髪し、坊主にしていた。

亡き御大将へのお志だと、秀吉は言った。
弔い合戦の準備が伴わなかったため、今までは剃髪しなかったのだ。
人間は、生まれたときは素っ裸。
自分も今、生まれたときに返る。

秀吉は、ある限りの金銀を、領内のすべての家臣に分けろと堀尾吉晴に命じた。
金子8百50枚、銀8百貫。
「よいか、よう今までわしのようなものに仕えてくれた!この秀吉はこれからもう一度、裸に返る。死んでもも生きても、もうこの城には二度と帰ってこん!」
「殿!」

「死んだら、誓詞だと思ってくれ。もし生きておったら、もっと大きな城を迎えるとるまでの食い代じゃと思え!」
「良いか、金銀と米の分配が終わったら、出陣じゃ!矢はツルを放れた!」
もはや秀吉の眼中には、姫路城はなかった。
光秀を倒して信長の偉業を継ぐか、玉砕するか。

二つに一つであった。
その秀吉、一気に京都を目指す。
11日にはもう、尼崎だった。
次第に味方の軍勢を増やしながら、信じられないような速さで秀吉は進軍していく。

今川義元を破った時、信長はすべてを捨てて完全とわが運命に立ち向かった。
その時、信長、27歳。
それと同じ気迫で今、己の運命をかける秀吉、すでに47歳である。

この勢いに世間はすべて、秀吉の弔い合戦を認めた。
秀吉の本陣に、明智の軍勢が総退却していく報が届く。
秀吉が立ち上がる。

「良くやった…」。
秀吉は、立ち上がる。
拳を、握り締める。

「良くやった秀吉!」
「良くやったーっ!」
自分で、そう叫ぶ。

雨の中、退こうとした光秀は山の中、落ち武者狩りにあって命を落とした。
本能寺から。13日だった。
家康は熱田の本陣で、茶屋からその報告を聞いた。
熱田から、安土に入ると見せかけて、家康は熱田から動かなかったのだ。

「そうか、光秀、暴民どもの手にかかって果てたか」。
「はい。思いもかけぬ、哀れな末路でございました」。
茶屋がそう言った。
「して、羽柴筑前はそれから何とした」。

秀吉は14日には京都に入り、本能寺に信長の供養をした。
「安土城は焼かなかったのか」。
「それが…」。
「焼いてしもうたのか!」

15日の夕刻、安土城が燃える紅蓮の炎は天を焦がした。
しかも城に火をかけたのは、織田信勝だったt。
敵までが焼こうとはしなかった名城を、手にかけるとは。

…織田家の前途の紛糾は免れまい」と家康は暗い顔になった。
茶屋にも、織田家の行方はわからない。
家康は熱田から兵を帰し、東の守りを固める。
やがて、秀吉の使いがやってきた。

まるで秀吉が、織田信長に代わったような口調であった。
家康の家臣たちは、大いに不満を持った。
「なんじゃあれは!」
「羽柴秀吉は、信長の家臣ではないか!」

だが家康は意に介さない。
「光秀は討たれたか。この際、秀吉に徳川軍の威力を見せてからの退却でなければ、後日侮られるのでは?」と家臣たちは言った。
しかし石川数正は、このまま引くのが良いという。
このままでは、秀吉と衝突の怖れこそあれ、何も得るものがない。

このたびの戦乱で、甲州信州には主なき土地がたくさんできている。
家康は、自分は秀吉の家臣ではないから、東をしっかり固めていれば、誰が天下を取ろうが、自分は自分で動けると言う。
数正に、「無理して取った天下は長続きしない」と言った。
東に憂いはないと、秀吉に思わせる。

必ず、それが後々のためになる。
その頃、秀吉は信長直系の孫、三法師に会っていた。
みやげをもち、自ら馬になり、三法師を手なずけた。

「殿どうやら浜松殿は、ここで殿に天下を…」と、家康の様子を報告する家臣に秀吉は「けえっ!」と声を出して、さえぎる。
「我、これから三法師君(ぎみ)は、猿めがお守りするということで」。
ほほほほほ、と秀吉は笑った。
周りにいた女性たちも笑っていた。

浜松に戻った家康は、無事帰還したことを祝う祝宴の最中だった。
しかし平八郎は、筑前の口上にまだ、納得していなかった。
家康は言う。

「まことの戦は、その局面の勝ち負けにないと悟ったから、陣払いをしたのだ」。
「わかるか」。
「わかりませぬ」。
「今にわかる」。

「わしはここ当分、わしの翼のもとで、安穏に暮らせる家人や領民の数で、秀吉や勝家と競うて行くぞ。領民の願いを果たし、願いを守る。わしの翼の元で安らかに暮らすものが多ければ、きっと行く末はわしの勝利じゃ。よいではないか」。
しかし、徳川家は織田家にとって、三河の親類と称された格別の家。
平八郎はまだ、納得していない。

「家さえ整っていらば、必ず大きな流れを味方にできる。それが力じゃ。その力を味方に持たずに動いたところに、光秀の惨めな末路があったのじゃ」。
ここは退いて、しっかりと足元を固めておく。
「光秀はあの年でこの二十日間、地獄の責め苦におうたであろう。そして報いられたは、泥でまみれた首を京わらべの前でさらし者にすることであったのじゃ。この教え、決して忘れてはならぬぞ」。

「かつて信玄公は我らに武略を教え、光秀はまた政略を教えていった」。
「世が安穏におさむるとき、己の欲に任せて兵を動かすのは…邪道だとな」。
「あいわかりまして、ござりまする…」。

亀姫・お愛と2人になったとき、家康は言う。
「わしは、武というもの字を思い起こしていた」。
「武功を遂げる。まことの武とは、殿のお言葉どおりか」。
「わしはこの、堺からの敵中突破の間、禅師の言葉を聞いた」。

家康の共の者には武者が揃っていたが、「戦乱の世を怒る百姓の前では、そのような力は通じない」。
「民の声を聞き、民の求めるものに答える。そのほかに、命を守るすべもなかったのじゃ」。
「天下とは何か。天下とは、己一人の天下にあらず。これ、万民のもの、天下は天下の天下なりじゃ」。
信長没後の20日間は、光秀と秀吉の生涯を決定したが、同時に家康にとってもその生き方を決めさせる重大な二十日間であった。



自分の時代のチャンスは一度。
今川義元を破った時の信長。
それと同じなのが、今の秀吉。

時流の読みの正しさ。
次々と危機を交わす頭の良さ。
本能とも思える勘の良さ。
人をひきつける魅力。

家康もすごいが、秀吉もすごいというところ。
ただ、これは後の歴史を知っているからいえることだけど、家康の最大の力は運の良さだったかなと思ってしまう。
つかもうとしてもつかめないこれらのものが、とてつもなく強い男、家康。

茶屋四郎次郎がこのところを感心しますけど、何かに守られているとしか思えない。
間近で見ていたら、そりゃ「この男、何かを持っている!」と思っちゃうでしょう。
天下を取る人には、こういうのが必要なんじゃないかって思ってしまう。

だからか、納屋蕉庵が家康1票、その他の6人の中の1人と言うと、茶屋四郎次郎は納得いかない顔してます。
降りかかる危機を次々交わし、潜り抜け、味方を作っていく様子を近くで見たら、それは納得いかない。
納屋蕉庵は、家康に対して、そこまでの評価はしてない。
まだ時の流れは家康に来ていないのが、わかるのか。

信長、秀吉に比べると地味な感じはします。
そのぶん、ここでの家康はかなり、良い人に描かれてます。
おもしろみには、かけるかもしれない。

当時、前半に話題になったのは、ほとんど無名だった役所広司さん演じる信長。
そしてこれから当時、話題になったのが秀吉です。
武田鉄也さんの熱演。

金八先生が鎧兜を着たようなのかと思ってたら、これがなかなか。
この土臭さが、秀吉にぴったりなんです。
金八先生より調子が良くて、当然、金八先生にはない腹黒さがある。

しかしパワフル。
良くやった、秀吉!
良くやったー!って自分で自分を誉める憎めなさ。

生きて、もっと大きな城に住むか。
もう、戻ってこないか。
今持っているものは、だからもう、いらない。

これから生まれたときに戻る!
そう言って全部、家臣に配ってしまう度胸。
思い切りの良さ。
彼のために働くのが、よくわかる。

「ここで殿に天下を…」。
家臣のこの言葉を「けえっ!」と、このタイミングで、ありありの野望をおもしろおかしく隠すのも秀吉ならでは。
三法師を自ら道化になって、手なずけるのも秀吉ならでは。

コミカルな顔がうまければうまいほど、そこにかくkれた野望は大きい。
本当に怖いのは、こういうおどけ役に徹することができる男なのだ。
道化を演じられる男だ。
秀吉を見ていると、思ってしまう。

元からの武士の柴田勝家たちが、サルと呼んでいた男に頭を下げるのは大変だと思う。
でももう、時代は秀吉に流れている。
流れに逆らえば溺れる。
そこで面子にこだわらず、自分の足元を固めていればいいと思える家康は、やっぱり強かった。

この話、後半の秀吉の派手さに目が行ってしまうけど、一揆の百姓を味方につける家康はすごい。
家康に仲間と言われた時、はっとする一揆の首謀者。
自分たちでさえ、忘れかけていた弱者への思いやりを問われて、ハッとする。

仲間は守れよ。
その言葉に彼らは、おとなしくなってしまう。
最後はつい、一揆の首謀者が家康に頭下げちゃってますもん。
ありがたく、すみつきを受け取っちゃってますもん。

孫四郎は、小島三児さん。
良い人を殺して、残酷な人が支配者になったら、自分たちの負けだ。
そう思ったら、言われもしないのに伊賀者たちの説得にまで行っちゃう人の良さ。
体が大きいので、気は優しくて力持ちという感じがすごく出てる。

そして次はさらに殺される運命を受け入れるしかない、あきらめきった漁師が出てくる。
悲惨な境遇に、家康の供も言葉がない。
彼にとって、武士は百姓たちを守る者ではない。
武器を持った厄介者なのだ。

現実を突きつけられても、家康は怒らない。
そのまま、漁師の言葉を受け入れる。
初めて出会ったそんな侍に、漁師は危険を承知で舟を出す。
この辺りは感動的。

家康の、本当の心のうちを知っている鉄斉が現れる。
これは家康の良心が見せているのかもしれない。
たとえ最初は「民の声を聞き、民の求めるものに答える。そのほかに、命を守るすべもなかったのじゃ」だったとしても。

秀吉はもともと、民から出てきた男だから、こういうところは言うまでもない。
人の心をつかむのは、ものすごくうまかったに違いない。
家康は武士。
しかし自分の苦し紛れの言葉に民が命がけで動いてくれたのを見て、家康は鉄斉の言葉の意味を知る。
「天下とは何か。天下とは、己一人の天下にあらず。これ、万民のもの、天下は天下の天下なりじゃ」。

最後の最後に、人はお金や名誉では動かない。
人は、人のために動く。
天下への階段を、一気に上る秀吉。
家康は自分のやり方で、ゆっくりと階段を登っていく。


野望 陰謀 存亡

ビルの中で密談すれば 外の社会が私物に見える
凄い男になるためにゃ 汚れた金でもびくつくな…




泉谷しげるさんの「FRONT」。
野望 陰謀 存亡 3つそろえ
野望 陰謀 存亡 金をばらまく
…迫力。


元祖・暴れん坊将軍

大岡越前は、もちろん、享保の時代だから、吉宗が登場します。
これが、山口崇さん。
「暴れん坊将軍」の吉宗は、松平健さん。

健さんの吉宗は、とても暴れん坊と言いつつ、そうは思えない品の良さ。
優等生です。
山口さんの吉宗は、さすがに品はいいけど、これはかなりやんちゃな少年、青年だったなと思わせる吉宗。

暴れん坊将軍の松平吉宗方が、市井には溶け込んでる。
山口さんの吉宗は、町にお忍びで出ても全然マイペース。
たとえば、女郎屋に売られた農村の娘がいる。
売り込もうと懸命な女将を、そなたと話はない!と追い払い、娘に「では、話すが良い!」と言っちゃう。

どんな暮らしで、どうやって売られてきちゃったのかと。
その上で、売られてきた娘の借金棒引きのお触れなんか出して、越前に全然わかってない!って言われてへそを曲げる。
そういう天然さ、雲の上の人の超越した感覚が山口さんの吉宗。

松平吉宗は、部屋住みの三男坊とは言うけど、あんまりそんな感じはしない。
山口吉宗は、そういうところがどこかからにじみ出る。
暴れん坊だったのだろう。
それはもう、紀州のはみ出し者だったからだろう。

母親の身分がなくて、苦労した。
でもその分、人の気持ちがわかる。
いつも周りをギョッとするようなことをするけど、ただしいことを話せばわかってくれる。

気持ちの良い男。
魅力的な人。
いつでも、周りは吉宗に振り回される。
しかし、今の世には必要な人。

だから、越前も全力で上様の御政道を支える。
じいは、吉宗に刃を向ける相手に、体を張って立ちはだかろうとする。
この点、松平吉宗は自ら剣を取って戦うと、天下無敵ですけどね。
山口吉宗は、大勢を相手に剣を振るうと、ちょっと危ないところもいかにも殿様。

尾張公は、吉宗の人柄に触れて、自分は生まれながらの殿であった。
そんな自分ではできないこと、感じ取れないことが吉宗にはできる、わかる。
自分がかなわないのは、あたりまえかもしれないと言う。
今の世の中には、吉宗のような将軍が必要なのだろうと思う。

山口さんの吉宗は、ほんとにそんな感じが良く出てる。
大岡越前はおもしろいけど、山口吉宗が出てくる話は特におもしろい。
吉宗の天真爛漫さと、それが起こす騒動が楽しい。
後の「暴れん坊将軍」には、山口さんの吉宗像がかなり影響したのではないかと思ってしまう。


今週雑記

先週は前半は慣れない雪かきのせいか、腰が痛かったり、腕があんまり良く動かなかったりしました。
そして後半は、食べ過ぎたせいか、胃腸の調子が悪かった。
気持ち的には良かったんですけどね。

駅に向かう途中、進学校のチラシが配られていました。
自分には縁がないと思い、会釈してやりすごそうと思った時。
「簡易カイロ入ってます!」

思わず、受け取ってしまった。
うまい!
そして、自分。
浅ましいぃ~。


だから彼女は愛される

いや、もう、見ている最中から涙で画面が曇った、浅田真央ちゃんのソチ・オリンピック、フリーの演技!
圧巻だった。
世界でこれができるのは、たった一人。
浅田真央だけなのだ。

そんな気持ちが、じわじわと高まってくる。
最初にトリプルアクセル成功に始まって、次々ジャンプを決める真央ちゃんを見ているうち、胸が熱くなってしまった。
記録にも残るだろうけど、それ以上に記憶に残る選手だ。

前日の状態から何が起きたのか。
見事に立ち直って果敢に難易度が高いジャンプに挑戦し、最後の最後に成功する姿は感動だった。
スケートを越えて、彼女の姿勢は心を揺さぶるものを見せてくれた。

こういう姿を見られるから、私たちはスポーツを見ることをやめられないのだと思う。
だから彼女は愛されるのだと。
勝つことはもちろん、すばらしいこと。

しかし、何かをするうえで大切なことは成功することだけじゃない。
成功するために挑戦し、努力することなのだと思わずにはいられなかった。
彼女のような人がいなければ、進化はしないのだと思った。
本当に、彼女はいろんなものと戦ってきたのだと思った。

メダル持って帰ってこられないことを、彼女は詫びていた。
とんでもない。
メダルどころか、今まで見られなかった、これから先もいつ見られるかわからないものを見せてくれた。
大満足。

すばらしいものを見せてもらいました。
これから先、彼女がどうするかはわからないけど、まずはゆっくり休んで、そして彼女の思う道を進んでいってほしい。
何よりも、彼女のすがすがしい笑顔が見られて良かった。



パンが買えなかった

パンが買えないなら、お菓子を買えば良いじゃないの!と言われたりはしませんが、パンがどこ行っても売り切れてました。
まるで震災の時のよう。
雪で流通に影響が出ていたんですね。

私もあれだけ慣れない雪かきして、良く、あんまり体痛くならなかったと思います。
しかし、今週降ったらもう雪かきできないなあと思ってたから、回避。
同僚と「良かったね~!」と、喜びあいました。

バイト先で、広大な土地に雪かきした友人は、まだ、立ち直れない。
伸びてます。
雪というより、スキーが大好きなのかな?
自分の子供に雪が良く降る地名、というか、スキーが盛んな土地と同じ土地の名前をつけた人がいるんです。

雪はイヤだと聞くと、まるで子供の悪口言われたみたいにムッとしてる。
それで、雪やスキーがどんなに楽しいか、語ってる。
今、雪かきやらで体痛い人、困ってる人がいっぱいいるんだから、そんな人の前でスキー語っても、あなたもスキーまでもが嫌がられるだけだろうに。

私だって、熱帯夜で参ってる人の前で「夏は大好き!」なんて言わない。
伸びてる友人「雪ダルマでも作って遊んでろ!」
ツボにはまって笑った。

夏は何着ても1日でクリーニング、お洗濯は困るな。
朝、会社に着く頃にはシャワー浴びたくなるのは、困る。
帰宅したら、まずお風呂。
しかしお風呂上がりのあの解放感は、すばらし~。

雪ダルマと言えば、こないだの雪で、近所の子供がカマクラ作ってました。
ワンちゃんくらいしか入れない大きさ。
あんなに降ったのに。
ほんとに、大量の雪が必要なんだな~。

子供は、人が入るカマクラ作りたかったみたいです。
また雪降らないかなあ~と言ったら、ママが「雪で困ってる人がいっぱいいるのに、そんなこと言ったら、ダメ!」
良い教育してる…!

来週からあったかくなって来るらしい。
ガーデニングやってる人は、やっぱり春が一番好きと言う。
春は花粉の季節。
あったかくなったら、始まるんだろうな…。



おもしろい生涯でござりました 「徳川家康・本能寺の変」

夜中、ふと信長は目を覚ます。
宴で酔った家臣が騒動を興しているのかと思った。
だがすぐに、それは違うと悟った。

ひづめの音。
馬だ。
ケンカではない。

小姓たちが外をうかがい、水色に桔梗の紋が見える。
光秀だ。
謀反。
謀反でござるぞ!

さすが、信長が選りすぐって連れてきた小姓たち。
このような事態を誰も予想していなかったにも関わらず、一瞬にして最良の防御の体制を取った。
「かくなる上はぜひもなし。目に物見せて、腹切ろうぞ!」
そう言うと、弓矢を構える信長。

ふと傍らの濃姫に気づく。
「お濃か!」
「はい!」
「そなたは女どもを引き連れて、今のうちに早く落ちよ!」

だが、お濃は動かない。
「お濃!」
「そのお役目、他のものにお申しつけください」。

今、本能寺には足軽、小物まで含めてせいぜい3百。
明智軍、1万を3対に分け、本能寺を取り囲んでいる。
弓矢を構えながら、信長の顔に笑みが浮かぶ。

「信長も、おかしな奴よ。尾張一の大うつけ。他人が右と言えば、左と言い、白いと言えばあくまでも黒いと言い張ったつむじ曲がり」。
「叡山、高野と僧俗を問わず、徹底的に殺戮した」。
「七層聖天の安土城も、奇観瞠目の南蛮寺も建立した」。
「大砲を積んだ軍艦も建造して、目の青い南蛮人の度肝を抜いてやった」。

「その信長が今、最期の時もまた、日本中をあっと言わせる羽目になったわ」。
はははは、と信長が笑う。
濃姫が見つめている。

「光秀め、うまうまとやりくさったのお!」
信長が、矢を構え、放つ。
お濃が次々、矢を渡す。

乱入してきた鉄砲隊が、火を噴く。
小姓たちが倒れていく。
信長の矢が、明智の兵に次々当たり、信長は家臣の一人を呼ぶ。
「今だ!女どもを連れて落ちよ!光秀は女子供は斬らぬ奴だ」。

「でもお濃の方さまは!」
濃姫は動かない。
「急げ!」

信長の声で男は、女を引き連れ、落ちのびていく。
女たちが、悲鳴を上げて逃げていく
信長が矢を射ろうとした時、弓のつるが切れる。

「槍を持て!」と、信長が叫ぶ。
濃姫が「はいっ!」と答える。
信長は、乱丸たちの戦いを目に焼き付ける。

「お濃、うぬも落ちよ」。
「落ちませぬ」。
「信長は最期に、女子(おなご)の力は借りぬ!」
「濃は女子ではございませぬ!それより御自らの戦いはおやめなされませ!」

「たわけ!うぬの指図を受ける信長か!」
信長は槍を持ち、自ら戦う。
乱丸が駆けてくる。

「上様!御自らの働き、恐れ多し。いざ、ご生害を!」
濃姫が、笑みを浮かべながら言う。
「上様。おもしろい生涯でござりました。この濃には」。

「うぬは、この俺とともに死ぬ気か」。
「殿はさぞかし、ご無念でございましょうな。光秀づれにこのような」。
濃姫は、愉快そうに見えた。

「たわけめ!はははは」。
信長も笑った。
「生死は一明!無駄ごと言わず控えておれ!」
もはや小姓たちは、信長の自害の時を稼ぐことしか考えていなかった。

濃姫は白装束に身を固め、長刀を持っている。
「殿、そろそろご用意なされませ」。
明智の兵が、「御しるし、頂戴に参上!」とやってくる。

乱丸が応戦する。
そして、斬られていく。
信長がそれを、じっと見つめる。

「殿。わらわもそろそろ、この腕に血塗ります」。
濃姫が、長刀を手に立ち上がる。
「こしゃくな女め!」
信長が、笑う。

明智の兵が、名乗って出る。
濃姫が長刀を構える。
「こしゃくな!」と兵が叫ぶ。
「どけ!女子供に用はない!」

この間に、信長は十分に奥へ入れる。
そうしてくれることを、濃姫は願った。
濃姫を、兵士の槍が貫く。

だが倒れながら、濃姫は振り上げた長刀で相手を切った。
相手が倒れる。
濃姫が倒れる。
信長が見つめる。

一瞬、敵の姿はなくなった。
濃姫が、目を閉じる。
それを見た信長が、奥へ入る。
かすかに、濃姫が笑った。

火が放たれる。
炎の中で信長が自刃する。
大将を探せと、兵がなだれ込んでくる。

戸を明けると、奥は火の海だった。
生きたい。
信長が、つぶやく。

もうしばらく生きたかったぞ、お濃!
もう2年だけ。
そうしたら必ず、日本を平定して見せてやる。

いや、2年が無理ならば1年でも良い。
1年が無理なら、一月で良い。
一月あれば。
一月あれば、俺は中国を平定できる男なんだ。

一月が無理なら、あと10日。
5日。
3日!
倒れた信長を、炎が包んでいく。

その時、家康が目を覚ました。
「誰かある!」と声をかける。
その時、家康の六感は確かに信長の声を聞き取っていたのだ。

すると、茶屋四郎次郎の手の者が明智の謀反、信長が討ち死にしたことを知らせに来る。
都の内外は、明智勢で一杯だ。
その頃、信長、自刃の報を聞いた秀吉は号泣していた。
秀吉はすぎさま毛利と講和をし、姫路に引き上げ、一気に都に駆け上る。

「これが成功すれば、信長公は喜んで…!」
秀吉は、言葉を飲み込んだ。
(喜んで天下をわしに下さる!)

信長が自刃したと聞いて、百姓農民までが暴徒化する。
三河へ引き返し、光秀討伐をする。
当初、信長に殉じ、切腹すると告げていた家康の、これが本心だった。

家康は山越えをする際に、家臣に黄金を、みなに2枚ずつ分配せよと申し渡した。
「身を守るは、刀だけと思うな。黄金2枚で1つずつ。2度はそれで命を拾うて行こうと思う」。
「堪忍じゃ!」

「これからは堪忍だけが通行切手と硬く心に刻み込み、必ず生きて三河の地をふまねばならぬぞ」。
伊賀を越えて奇襲を受ける危険のない荒い山道を踏み越え、伊勢から三河に入り込む。
「今宵はここで野営と思うたが、これが生死の分かれ道となるやもしれん」。
その決断が良かったのだ。

茶屋四郎次郎から使わされた金蔵は、命に代えても三河まで家康を案内していく。
当然、明智にもその案を察知したものがあった。
事実、この決断が遅かったら家康たちは夜道にその屍をさらしていたのだ。
明智の追撃が始まっていた。



この本能寺は、記憶にありました。
史実は違うみたいですけど、信長と濃姫の最期が泣けました。
決して逃げない濃姫。

最初からピタリと、信長についている。
信長がそれを見る。
濃姫は、逃げない。

信長と一緒に、自分は死ぬ。
こんな時が来ても、来なくても、そう決めていた。
それに対し、最期におなごの力は借りぬわ!と怒鳴る信長。

信長が、自分の生涯を振り返っている。
自分の道は、自分のしてきたことはわかっている。
おもしろい一生であったわ…。
最期もまた、日本中をあっと言わせる。

無念さを振り払うように、信長が笑う。
いや、本気でおもしろがっているのかもしれない。
やはりこの男、只者ではない。
相当に怖ろしく、相当に魅力的な男なのだ。

魔王のように。
まさに覇王の名にふさわしい男。
最期にこんな風に思うなんて。
こんな時に笑う男なのだ、信長は。

黙って、このつむじ曲がりについてきた濃姫もこれには驚く。
そういう男なのだ、わかっていても、改めてこんな時に信長という男を濃姫はすごい男だと確認する。
こんな男と添えて、私もおもしろい生涯だった。
泣いているような、笑っているような、愛しさと無念さが入り混じった表情。

濃姫は、尾張一の大たわけを誰よりも理解した。
今度は濃姫が殿はくやしいだろうと、信長の心中を代弁し、笑い飛ばしてやる。
濃姫が口に出して言うことで、信長が笑うことができる。
言葉には決して出さなくても、そんな濃姫を愛しく思っている信長。

なんという、似合いの夫婦。
もう信長も逃げろとは言わない。
この男に、自分はついていく。
だから、この男と死んでいく。

濃姫の凛とした表情。
この2人の間には、常人には入り込めない絆がある。
信長は、自分のために命を捨てていく小姓たちの姿を、目に焼き付けるかのように見ている。
まるで、小姓たちを助けるかのように、矢を放ち、槍を投げる。

その弓が、ぷつりと切れる。
信長の命運が尽きた、と言わんばかりに。
ここまで。
ここで終わりなのだと、言わんばかりに。

濃姫が、今度は自分が、と長刀を手に立ち上がる。
信長は、濃姫の願いとは違って、濃姫を見つめる。
濃姫の姿もまた、目に焼き付ける。

無念でないはずがない。
もうしばらく生きたかったぞ、お濃!と心の中で、信長は呼びかける。
濃姫だけが、信長の本心を知っている。

もう2年だけ。
2年が無理ならば1年でも良い。
1年が無理なら、一月で良い。

一月あれば。
一月が無理なら、あと10日。
5日。
3日!

振り絞るような、願い。
悲しそうな濃姫が、少し笑みを浮かべて事切れる。
信長との楽しい思い出が、濃姫の最期の時、脳裏に浮かんだのかもしれない。

この濃姫、藤真利子さんの凛として美しいこと。
狂気と理性と知性と漢な、役所さんの信長とまさに絵になる一対。
私のベスト濃姫です。

信長、自刃。
光秀、謀反。
その報告を聞いて、号泣しながら秀吉は考えている。

「これが成功すれば、信長公は喜んで…!」
秀吉は、言葉を飲み込んだ、というのがすごい。
(喜んで天下をわしに下さる!)

そんなわけないと思っても、これが秀吉という男なのだ。
何としても、光秀を討たねばならない。
弔いだ。

それだけじゃない。
これが成功すれば、天下は自分のものだ。
そしてやってくる、秀吉の時代…。

家康は、三河まで逃げなければならない。
決断が遅ければ、危なかったのだ。
家康という男、とことん運が強い。
この先の道は、家康にとって、まるで雪斎の教えを実践で知るために歩く道のようになる。

それは天下を取る人間が、知っておくべき世界を家康に教えてくれる。
後の歴史を知っている者が見ると、すべては家康が天下を取る取るために通るべき道だということになる。
しかしそれは、後の世の私たちが思うこと。
今は秀吉、家康、すべての人間が必死に生きているだけ。

いてて

土曜の昼過ぎから、ご近所さんたちと雪かきしました。
1時間くらいかけて、玄関から自分の家の前の道路から、雪をよけました。
とにかく、人が通れるように。
このままでは、新聞も牛乳も、宅急便も配達できない。

この後、手が笑ってたし、腰が疲れはててました。
まずい。
筋肉痛で、月曜からの仕事に支障が出るのは避けたい。
いや、慣れない労働でギックリ腰になりかけたことを思い出す。

これで、ギックリ腰になって、動けなくなったら、…だから、雪なんか大嫌いよ!
雪国が実家の友人が、「だから言ってんじゃない」と言う。
これ、別に、雪好きな人に言ってんじゃないんですよ。
雪に怒ってんです。

雪国が実家の友人は、言う。
雪国の人は雪嫌いだよ。
雪が好きだあ~?
雪は、生易しいもんじゃないぞ。

1m以上は普通に積もるから、雪かきは重労働。
道路も狭くなるから、雪をかく。
朝出勤前。
帰宅後。

1時間は、キツい肉体労働しなきゃならない。
毎日、屋根の雪降ろし、雪かき。
雪捨て場が遠くなるほど時間もかかるし、疲れる。

本当にキツい。
毎年、除雪車に巻き込まれたりする事故で死亡する人だっている。
とんでもなく迷惑。

雪なんか、必要がないものだと思った。
雪が降るのは、スキー場だけで良い。
雪が好きなんて、雪見てるだけで良い、そういうことしない都会の人が言うことだって思ってた。

雪が好きなんて言う人は、自分だけ楽しければ良いんだと思ってた。
雪が待ち遠しいなんて言う都会の人は、身勝手で、自分たちだけが良ければいいんだって思ってた~!
好きならうちに雪降ろし、雪かきに来て!と思ってた。

…と言っていた。
ああ、気持ちがわかる。
さて、私は何回、雪って書いただろう。

雪国の人、みんながそうじゃないとは思うけど。
そう言えば、わざわざ、雪国に引っ越した友人もいる。
さかなが、おいしいんだそう。
この人なんかは、雪が平気なんだろうな。

羽生くん、おめでとう!

羽生くん、おめでとう!
初めて羽生くんを見た時は、かわいらしいと思ったけど、ずいぶんたくましく強くなったんですね。
相変わらず、かわいらしく、ほんと、王子様みたい。

しかし、精神力は強い。
たおやかに強い。
ものすごい、前向きなエネルギーを感じます。

おめでとう。
すごく、うれしいです。
いいもの、見せてもらってうれしい。
町田くんも、高橋くんも、すばらしい演技をありがとう。


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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