こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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最近楽しみ

最近の番組で楽しいのは、お坊さんバラエティー「ぶっちゃけ寺」。
身近でいて、良く知らないお寺とお坊さんのぶっちゃけ話が楽しい。
お坊さんの話を聞いていると、ためになる。

家にもお彼岸やお盆に、お坊さんが来る。
先代のご住職は子供の頃から、会っていた。
ご住職も息子さんの代になって、付き合いは続く。

最近の番組で、ドラマの楽しみは「猫侍」。
もう1つ、「ヤメゴク」が楽しい。
どっちも北村さんが出ていて、別人の演技。
さすが。

「ヤメゴク」には遠藤憲一さんが出ていて、キャストがすごい好みの世界。
この番組の宣伝も兼ねて、元警察関係の人を集めたバラエティー番組がありました。
あれもおもしろい。

遠藤さんが「今度の自分の役はヤクザの親分ですが、自分としては何か足りない。何が足りないと思いますか?」と聞いてました。
足りなくない、ちゃんと見えると言われてました。
さすが。

北村さんがいたら、おもしろかった。
すごい、ぶっ飛んだ演技なので…。
主人公の大島優子さんは、かつての浅野温子さんの「沙粧妙子」路線でがんばってます。

ちょっと苦しいな、と思うところはありますが、北村さんのぶっ飛んだ演技がそこを補ってると思います。
良いコンビ…、とまでは打ち解けてないですが、一応、良いコンビ。
今日も楽しみ。

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萩原流行さん

萩原流行さん。
個性的な俳優さんです。
「里見八犬伝」で蛇の化身。
私の好きな志穂美悦子さんが蛇に好かれ、人に気味悪がられ、孤独になる毛野役でしたが、彼女につきまとう。

猫好きで、コテツちゃんという猫との写真を良く見ました。
うつ病を患ったり、心配もしました。
事故のニュースを聞いた時は、信じられませんでした。

奥様の気持ちを考えると、一層悲しくなります。
ラジオの評判が良いんですね。
残念です。

萩原流行さんの演技を楽しんだことある者として、今はどうか、萩原流行さんが安らかでありますようにと願わずにいられません。
悲しい。
萩原流行さん、ありがとう。
猫たちと安らかに。



大切な思いなら伝えておかなければ 「猫侍」第3話

(55,56,57、58…、今日はここまで)
斑目久太郎は今日も長屋の裏庭で、刀の素振りを欠かさない。
気が付くと、久太郎の座布団の上に玉之丞が乗っている。
(てぃっ!)

久太郎は玉之丞を追い払う。
(おっ、座布団が!)
座布団が、玉之丞の毛だらけ。

(キサマぁ…)
玉之丞は、ジッと久太郎を見ている。
じいっ。

そのまなざしに久太郎は、(猫の所業に罪はなし)と思い直した。
(いざ!切るべし!)
気合を入れて久太郎が目の前にかざしたそれは、にぎりばさみ。
これで玉之丞の爪を切るつもりだった。

(おっ、おっ)
久太郎は玉之丞を抱いて、手を握り締める。
玉之丞の爪が飛び出る。

久太郎は、恐る恐る爪を切り始める。
(あ、どきどきする)
ぱちん。

(切れた…)
はあはあと、久太郎の息が荒くなる。
(ん?んん?)

握った玉之丞の肉球を握り締めた久太郎が、その感触を確かめる。
(ん?ん?んん?んん?)
(肉球)

玉之丞の喉が、ゴロゴロ言い始める。
ゴロゴロ。
(おお、おお)
久太郎が玉之丞の肉球を握り締める。

玉之丞の喉が、気持ち良さそうに鳴る。
(おおっ)
(おおおおお!?)
玉之丞の喉が、一層大きく鳴り出す。

(やめられん!)
(おおっ)
玉之丞と久太郎、どちらもうっとりする。
(きもちいー!)

久太郎が町を歩く。
「ほんとに忙しい。忙しい」と言いながら、向こうから1人の男が走ってくる。
(ん?あれ?)

久太郎が、その男に目を留める。
誰だかmわからない。
男は久太郎とすれ違って、去っていく。

口入屋のぴんはね屋の前で、主人の天引が水をまいていた。
久太郎に気づくと「だんな」と声をかけ、走って寄ってくる。
玉之丞を見ると、「あら!こりゃあかわいい猫ちゃんですねえ」と言った。

「抱かせてもらっても良いですか、ああそうですか!ああ、イイコだイイコだ。こりゃあ良い猫ですねえ。へへへ」。
久太郎の答えも聞かず、一気にまくし立てて玉之丞を抱っこする。
そして「そうだ、旦那。あれからまた、新しい仕事が入りましたよ、改めてご紹介させてください。さあ、どうぞ、どうぞ!」と言って、久太郎を店の中に入れた。

「あらー、かわいいねえ。で、お名前は」。
久太郎はぼそりと、「斑目」と答えた。
天引屋は顔をしかめ、「そいつは先日お伺いしました。猫ですよ、猫!」と言う。

玉之丞のことだったと気づいた久太郎は「玉之丞」と答える。
「玉之丞、こりゃあまた粋なお名前ですねえ。しかも男前だあ!」
久太郎が目をむいて「メス!」と強調する。
「メス!」

久太郎の顔に気づいた天引屋は「そりゃあ失礼しました」と頭を下げた。
そして久太郎に、玉之丞を返す。
久太郎は玉之丞を、びくに入れる

すっと頭から入っていく玉之丞を見た天引屋は「あらら。あらららら」と驚いた。
「お利巧ちゃんですねえ」と感心する。

「実はね、だんな。わたしんんとこにも猫がいるんですよ。ほら、よしよし」。
天引屋は太った猫を連れてくる。
「こちらが斑目様だ。ちゃんとご挨拶しな、ネズミ」。

(ネズミ?)
猫と天引屋を見た久太郎の視線に天引屋が「いやいや、色がネズミなもんでね」と言った。
(まぎらわしい)
「よかったらどうぞ。抱っこしてやってください。ちょっと重いですけど」。
そう言うと天引屋は一方的に、久太郎にネズミを渡した。

「よかったなあネズミ!気に入ってもらって!」
目を細める天引屋を見た久太郎。
(猫バカまるだし!)

「そうだ、斑目様にピッタリなお仕事が入っておりますよ」。
天引屋は、本来の話に入った。
「依頼主は武家のご隠居様ですから、仕官の足がかりになるかもしれませんよ」。

(うん?)
「条件は丈夫で勇敢な武人」。
(俺にピッタシ!)
「えっとね、何でもね、猫を探すとか」。

久太郎は「猫仕事はやらぬ!」と断った。
「またそんな。猫を抱っこしながら言っても、何の説得力もありませんよ」。
久太郎は天引屋にネズミを返す。
「あ、そうですか。どうします、猫探し」。

久太郎は黙って玉之丞の入っているびくを持ち、立ち去ろうと背中を向けた。
「何?謝礼は三両」。
天引屋の声が、久太郎の背中にかぶさる。
(三両!)

「ねっこ、ねこねこ♪」
玉之丞が撫でられている。
「かわいい猫ちゃんですなあ」。

玉之丞を抱っこした田沼のご隠居。
依頼主だ。
「うう、よちよちよち」と、まるで子供をあやすような声で玉之丞を撫でる。
(猫バカ、2匹目…)

ご隠居は玉之丞を撫で終わると、「いや、失礼しました」と言った。
「わたくしにも飼い猫がおりましてな。名を紋次郎と言って、子猫の時分からずっと、10年以上も一緒に暮らしておりました」。
「5年前、連れ合いをなくした時も、ずいぶんと慰めになってくれたものです」。

「それがひと月前…。突然いなくなりましてな」。
「猫は死期を悟ると家を出るというのを、ご存知ですかな。飼い主のおらぬところでmひっそりと…とは、けなげだが寂しいもんです」。
ご隠居は、はらはらと泣き出した。
「別れの挨拶もできなかった…」。

ひと月前の夜。
ご隠居は、机に向かって書署を書いている。
ちりん。
鈴の音がする。

「にゃーお」。
白い、綺麗な猫が姿を現した。
「紋次郎。今忙しいから後でな」。

書を書き続けるご隠居の背中を、廊下から紋次郎はじっと見ている。
ちりりん。
ご隠居が振り返った時、紋次郎はもういなかった。
その時、深く考えずにご隠居は再び筆を取る。

「結局あの子は、そのまま行ってしまった」。
ご隠居の手は玉之丞を撫でる。
心の痛みを癒そうとするように。
紋次郎のことを思い出しているように。

(まさか、死んだ猫を探すのか?)
「探してほしいのは猫の魂です」。
(え?魂)

「猫山と言うのをご存知ですかな」。
(猫山?)
「猫の神様が住んでおられる山です」。

(御伽噺だろう?)
ご隠居は久太郎の前に、「紋次郎殿」と書いた手紙をすっと出した。
「猫神様にお願いして、この手紙を紋次郎に渡してほしいのです」。

(猫に手紙?)
(やっぱり来なきゃ良かった…)
久太郎は後悔した。

背中に荷物を担ぎ、久太郎は雪の残る山を行く。
首から提げた風呂敷の中から、玉之丞が顔をのぞかせている。
ザクザクと音をさせ、久太郎は橋を渡り、山を登っていく。

すれ違った1人の男が、久太郎に「お侍さんどちらへ?」と声をかけてきた。
「この先は猫山だ。危ねえとこだ」。
久太郎は黙って歩き出した。

「まさか!猫山に行くんじゃ?!」と男は驚いた。
「悪いことは言わねえ。やめたほうがええ!」
男は声を上げた。
「おらの言うことをきかねえで登って行って、戻って来ねえ奴は、いっぺいいるんだ!」

(そうなの?)
久太郎が振り向いた。
「猫神様だか何だか知らねえけど、ありゃ死神の類だ」。

(死神…)
カアカアと、カラスが飛び立っていくのが見える。
(金より命。帰ろう)

ザクザクと音をさせ、完全に怯えた久太郎が引き返す。
「にゃおーん」。
玉之丞が、声をあげた。
まるで「戻っちゃダメ!」と言われているようだった。

(な、何、え?い、行くの?)
久太郎が玉之丞を見る。
(行かなきゃダメ?)
玉之丞の表情を見た久太郎は、山を登り始める。

♪斬るべし!斬るべし!斬るべし!♪
久太郎は心の中で、歌を歌って自分を勇気付ける。
♪たらちねの母の言ううことにゃ 刀を抱いて生まれたと 天下無敵 百戦錬磨!それが斑の一本道♪

♪死ぬまでお前は武士たれと 夢枕に立つ父の声 腕立て100回い、素振り1000回 それが斑の一本道♪
♪拙者 元加賀藩 剣術指南役 名を斑目久太郎 我が手前 無双一刀流免許皆伝♪
♪誰が 誰が 誰が言ったか ついたあだ名は斑鬼!♪

歌いながら久太郎は、山道を歩く。
途中、お地蔵さんに手を合わせる。
久太郎は歩き続ける。

だがまた、お地蔵さんの前に出た。
さらに久太郎は歩く。
するとまた、お地蔵さんがいる。

何度も何度も、久太郎はお地蔵さんの前に出る。
「にゃおん」。
「にゃおん、にゃーおん!」

玉之丞が鳴く。
久太郎がお地蔵さんの前で止まる。
(あれ?あれ?先ほども通ったような…)
(ええ?)

(えええええ?)
(おかしい)
何度も同じところを回っていることに、久太郎も気づいた。
バサバサと、鳥が飛び立つ。

久太郎に恐怖が忍び寄る。
(こ、こわい)
(ダメだ。これは…ダメだ)

久太郎が怯えた時、「にゃおん」と玉之丞が鳴いた。
(え?行くの?)
久太郎が辺りを、キョロキョロと見渡した。

(まったく…)
とぼとぼ、久太郎は再び歩き出す。
すると玉之丞が「にゃあおん」と鳴いた。

その声はまるで、久太郎に教えているようだった。
(何?こっちじゃない?)
久太郎が逆方向に歩こうとするとまた、玉之丞が「にゃおん」と鳴いた。

(何だ?こっちでもない?)
(うん?では、こっちか?)
久太郎はまた、違う方向を向いて歩こうとする。

今度は玉之丞は鳴かなかった。
(こっちか)
(よし!)

久太郎はさらに、山の奥に入っていく。
「にゃおおおん!」
玉之丞が鳴いた。
久太郎は、立ち止まった。

目を凝らして見ると、先に小さな古い祠があった。
久太郎は近づいていく。
祠に向かって小さな階段を下り、辺りを見回す。

周りにはまだ、雪が残っている。
(ここか?)
(ま、ここということでひとつ)

「頼もう!」
剛毅な声を出すつもりだったが、声は緊張感からか、見事に裏返った。
誰も聞いていないが、久太郎はうろたえた。
「頼もう」と再び、声をかける。

「紋次郎に会いに来た!」
だが山の中はシーンと静まり返ったままだった。
鳥の声がする。

(あれ?)
ご隠居は言った。
「山頂で秋刀魚を焼くと、猫神様がおいでになる」と。

久太郎は荷物を降ろした。
中からは秋刀魚と、それを焼くための道具が出てきた。
網の上で、秋刀魚が焼け始める。

(本当に、こんなんで出て来るのか)
ヒューッと、風が吹いてきた。
風で秋刀魚を焼いている煙が、久太郎にかかる。

ごほ、ごほっと久太郎がむせる。
だが、風はますます強くなる。
ゴウ、ゴウ、ゴウと音を立て始めた。
視界は煙で真っ白になり、見えなくなった。

その時だった。
「かぐわしきかな、かぐわしきかな」と声がした。
久太郎の前。
煙が切れ、そこには人間の大きさの、白髪の白猫が立っていた。

「ねこがみ…」。
「さよう」。
(何かうそ臭い!)

「本物でおじゃる」。
(おじゃる、って…)
「齢八百ゆえ、古式ゆかしい口調なのじゃ」。
(え?心が読まれている)

「当然じゃ。神様であるからして」。
(おお、確かに)
「して、用向きは何じゃ?」

「これを紋次郎に渡していただきたい」。
久太郎がご隠居に託された手紙を出したが、(あれ?あれ?いない)。
猫神様の姿がなかった。

「どれ」。
声がすると、いつのまにか猫神様は久太郎の顔の横にいた。
「うぎゃーっ!」
久太郎は思わず、絶叫した。

「猫は文字が読めん」。
猫神様は、久太郎の驚きに構わず、そう言った。
(そりゃそうだ)
「それに人間からは、物を受け取らぬ決まりじゃ」。

その時、「にゃおん」と玉之丞が鳴いた。
「お?何じゃ玉之丞。物言いを申すか」。
「にゃおん」。

また、玉之丞が鳴いた。
(え?話してる…)
それは猫神様と玉之丞が話しているとしか、思えない光景だった。

「なるほどなあ。それは一理あるのう」と猫神様は言った。
(んんん?)
「ははは、うまいこと言うのお」と猫神様は笑った。

「にゃおーん」。
「わかったわかった。その手紙、確かに紋次郎に渡しておこう」。
猫神様はそう言うと、手紙を持った。

そして「じゃあな。おじいの気持ちは、紋次郎にもう届いておる」と言った。
「何て言うことはない暮らしの中で、愛情は猫に伝わるもんじゃ」。
そう言うと、シューッと辺りは再び、白い煙に包まれた。

ゴホゴホと、久太郎が咳き込む。
煙が切れた時、辺りには何もいなかった。
ただ、秋刀魚が真っ黒に焼けていた。

鳥の声が響く。
すべてが夢のようだった。
(何だったんだ)

だが久太郎の手の中には、何かがあった。
(うん?)
(首輪…?)
久太郎はそれを、握り締める。

ご隠居の家。
「これはまさしく、紋次郎の首輪」。
そう言うと、ご隠居はほろほろと泣き始める。

「ありがとうござった」。
「これでやっと、お別れを言えた気がします」と、ご隠居は言った。
「紋次郎に会えて良かった。私は幸せ者です」。

ご隠居の表情は、穏やかだった。
「別れと言うものは、突然やってくるものです。その時後悔しても遅い。大切な思いなら、伝えておかなければ」。
ご隠居の言葉は、久太郎に沁みた。

夜。
長屋で、久太郎は文机に向かっていた。
(お静)と、久太郎が妻に呼びかけた。

玉之丞は大人しく、丸いざるの中に入っている。
久太郎が、筆を取る。
薄灯りの中、久太郎は思い出す。

お静は久太郎の身支度を整えながら、言った。
「私は何も心配しておりません。人生ですもの。良い時も悪い時もありましょう」。
「その道を、あなたとともに歩めることが私は、うれしいのです」。

「ほら、この帯、おもしろいでしょう?」
帯には、かえるやうさぎなどの鳥獣劇画が描かれていた。
久太郎がうろたえる。

「良いじゃありませんか、家の中ですもの。笑う角には福来る。笑ってください。ほら!」
お静は笑うと、久太郎を叩いた。
久太郎が帯に手をやる。
帯はその時の、鳥獣劇画の帯だった。

久太郎に想いが溢れる。
筆を取る。
(お静。いつもありがとう…)。

白い紙に、その通りの言葉が書かれた。
その時、「にゃおん!」という声がして、ガシャンと大きな音がした。
久太郎が、筆を置いて立ち上がる。

玉之丞がひっくり返ったざるをかぶっていた。
ざるの切れ目から、玉之丞の顔が見えている。
久太郎は、そっとざるを取ってやる。
怒らずに静かに玉之丞を抱き上げ、顔を見る。

そのまま、玉之丞を膝に乗せる。
「お前も、ありがとな」。
そう言って、玉之丞を抱きしめる。
玉之丞も静かにしている。

一句。
胸に満つ 比ぶるものなき この思い 世にありふれた 言葉に込めて
長屋の夜は、静かに更けていく。



やったー!
今回のゲストは、清水紘治さんです。
良い!
すごく良かった!

好きな俳優さんですが、それを差し引いて見ても良かった。
やっぱり、大ベテラン。
話がぐっと引き締まったというか、話に入り込んだと言うか。
出て、セリフを言った時から、清水さんの世界が出来てる。

まず、玉之丞に頬を寄せてデレデレ。
猫バカぶりを見せて、微笑ませてくれます。
しかし次に、いなくなった愛猫のことを語りだすと、「その気持ちわかる…」。

紋次郎の声に振り向いてやらなかった。
いつもの、良くあったちょっとしたことだった。
たいしたことじゃなかった。

すぐに紋次郎の元へ行って、抱っこしてやるはずだった。
紋次郎もまた、すぐに来て抱っこしてもらうはずだと思っていた。
それが…。

悔やんでも悔やみきれない思い。
何とかしたい。
このままでは、身が張り裂けそう。

おそらくご隠居は、ひと月、ろくに眠れなかったに違いない。
紋次郎の姿を追い求め、安らかな時はなかったに違いない。
玉之丞を撫でる手が感じる感触は、紋次郎を撫でた感触そのまま。
心の痛みが、こちらにも痛いほどわかる。

久太郎にもおそらく、その気持ちは伝わった。
しかし依頼は、猫の魂を探してほしいと言う突拍子もないもの。
さらには猫神様に会って、手紙を渡してほしいというもの。
来なきゃ良かった…と思うのも、無理はない。

だけど同じ猫と暮らすものとしてご隠居の痛みがわかったのと、おそらく、断る勇気がなかったのとで、久太郎はやってきた。
しかし猫神様の山は、魔の山だった。
うーん、たぶん、ここの山は人の方向感覚が狂っちゃう何かがあるんだな。
それで普段人が入らないから山菜取り放題とか、安易な考えで山に入って迷って出てこられなくなった人が結構いるんだろう。

ビビッた久太郎が引き返そうとした時、玉之丞が鳴く!
ダメと言うように。
いや、一緒に暮らしている者には何て言っているか、少なくともどういう感情がこめられているか、わかる。

玉之丞、今回は久太郎と積極的に会話。
そして久太郎を見えない力で導く。
守る。
玉之丞、大活躍じゃないですかー。

道に迷った描写で、何度も同じお地蔵さんに遭遇するのは、山岸涼子のマンガにもあった。
実際にあった話だそうで、これは怖い。
パニック起こしちゃいそう。
ましてや久太郎は1人。

そこで久太郎を落ち着かせたのは、玉之丞。
さらに玉之丞は久太郎に正しい方向を教える。
いや、もしかしたら玉之丞がいなければ、久太郎も帰ってこられなかったのでは…。

その割りに、猫神様がまるで「にゃんまげ」でした。
ここは笑えるところですが、白猫玉之丞に対して、神秘的なたたずまいの黒猫が現れて声だけがしても良かったかも。
人間からは物をもらえないと言う猫神様に、玉之丞が物言い。
さすが猫神様、玉之丞の名前をご存知。

玉之丞が何て言ったかわからないけど、猫神様は玉之丞の言うことを聞いてくれた。
久太郎だけだったら、無理だった。
玉之丞、大活躍。

ぶっ飛んだ設定の猫神様だったけど、「気持ちは、紋次郎にもう届いておる」という言葉は猫と暮らしている者には響いた。
「何て言うことはない暮らしの中で、愛情は猫に伝わるもんじゃ」の言葉も、心に響いた。
そうだと良い。
本当にそうだと良い。

不思議なことに、紋次郎の首輪が久太郎の前にあった。
「これでやっと、お別れを言えた気がします」。
「紋次郎に会えて良かった。私は幸せ者です」と言えた。

心が穏やかに、楽になった。
猫への詫び状が、猫に伝えられて、猫からの穏やかな返事が聞ける。
本当にそんなことがあったら良い。

そう思うから、いろんな話が伝わる。
本当にそんなことができたら、どんなに心が安らぐだろう。
そのためには、出来る限りのことをしたい…。

「別れと言うものは、突然やってくるものです」。
そうなんだ。
大切なもの、いつもそばにいるものは空気のようになってしまっている。

なかったら、とても息が楽に出来なくて、苦しくてしかたがない。
でもあるのが当たり前になっているから、改めて感謝も伝えていない。
だから「その時後悔しても遅い」ということになる。

後悔しても、しきれなくなる。
「大切な思いなら、伝えておかなければ」。
清水さんの言うこと、しみじみと心に沁みました。

久太郎にも同じだった。
だから、お静に素直に手紙を書いた。
その時、玉之丞が何かをひっくり返した。

今朝は座布団に毛がついていて、怒った久太郎。
でも今度は、怒ったりしない。
それは助けられからだけじゃない。

「お前もありがとうな」。
素直になれない久太郎から、すんなりと言葉が出る。
助けてくれてありがとう、仕事がうまくいってありがとう、だけじゃない。

星の数ほどいる猫と、星の数ほどいる人と、縁が合って出会って暮らしている。
ご隠居も、天引屋も、久太郎も同じなんだ。
そこに愛がある。
この奇跡に、心から感謝しておかなければ。

かわいくて笑って。
癒されて。
肉球もみもみ、最高!
でも肝心なことは、ちゃんと入っていて伝わってくる。

今回は「猫侍」の基本があった回だと思いました。
しんみりした…。
「猫侍」って、だから好きだ。

だけど、スタッフさん、猫の名前が紋次郎って良いですね。
清水さんの口から、愛情たっぷりの「紋次郎~」の言葉が聞ける。
猫バカな清水さんも見られる!

すばらしい回でした。
「猫侍」に出演を決めてくださった清水さん、大好き!
「必殺」シリーズファンも必見ですよ、この清水さん。
清水さん、また出てほしい~。

さて次回予告。
猫弁当。
子猫登場?

相性抜群と、大家の菊乃から玉之丞を隠すため、動きをピッタリあわせる久太郎。
コタツ大好き。
もみ、もみ、もみ、もみ。

目覚める母性?
指圧の心は猫もみん、って何?!


確かに、目玉の真ん中に。「怪談 利根の渡し」

日本怪談名作劇場。
第6話は「怪談 利根の渡し」。
前にも書いたけど、改めて見ました。
二度と見られないのかと思っていたので、感動です。

奥州。
本多能登守の城下。
野村家の奥方・お徳が、植木職人の男と話していた。
野菜を届けてくれたので、礼を言っていたのだ。

若頭の治平を従えて、主人の野村彦右衛門が戻ってくる。
お徳が植木職人と話しているのを見た彦右衛門は、たちまち不機嫌になる。
「職人風情と付き合いがあるのか。そなたは百八十石の野村家の妻。もはや足軽の娘ではない」。

その時、お徳の母親のお信がやってきた。
だが彦右衛門は治平に、追い返せと言う。
治平から話を聞いたお信は、先代であり、お徳にとって大切な祖父の命日。
法要に来られるようにしてほしいと言って、お信は帰った。

治平は確かに主人に伝えると言った。
それを見ていた野村の弟の政次郎が、哀れんだ。
治平からの頼みを聞いた彦右衛門は、激怒して治平を蹴り飛ばした。
「野村家に、足軽の親戚などいない!」

お徳は治平に謝る。
身分違いの家に嫁いだ自分を、バカな女だと思っているでしょうとお徳は言った。
「でもどうしようもなかったのです。逃げられなかったのです」。

お徳はそう言うと、走り去った。
治平の目に、哀しみが溢れる。
翌日、出かけようとするお徳の前に、酔った政次郎が現れた。

「お出かけですか、姉上」。
「ええ」。
「遠慮することはない。おでかけなさい」。

しかし、政次郎はお徳の前に立ちはだかり、どかなかった。
「この政次郎は、姉上の味方だ。日ごろの兄上のあなたに対する仕打ちに、腹を据えかねていたのです」。
そう言うと、政次郎はお徳を部屋の中に押し込んだ。

「何をするのです!」
「私はずっと前から、あなたが好きだった!」
その時、治平が入ってきた。
「なりません、政次郎さま!」

治平はお徳をかばい、後ろに逃がした。
「おのれ、主人の弟に向かって手向かいいたしたか!」
だが治平はきっぱり、どかなかった。
「そうか、おぬしたち2人は、そういうことだったのか!」

政次郎はそう言うと、立ち去った。
「放っておくのです。私たちは潔白。何も怖れることはありません」。
お徳は治平に供を頼み、法事にでかけた。

父親も母親も、娘が戻ってきたと言って喜んだ。
本当に、輿入れして初めての里帰りだった。
だが帰り道、お徳はめまいに倒れた。
近くの小屋で、治平が介抱した。

お徳の閉じた目から、涙がこぼれた。
「ご新造さま」。
「とうとう、そなたに見られてしまいました。誰にも見せなかった私の涙を」。
「初めてではございません。お庭の隅で、ご書院の机の上で、そっと涙をお拭きになるご新造様の姿を、この治平は何度も見ております」。

「治平」。
「お心のほど、この治平には痛いほどよくわかります。だが治平はここの若頭。どうすることもできません」。
「治平。その心根だけで、私は良いのです」。
2人の心が通い合う様を、政次郎が覗き見していた。

翌日、昼日中から酒をくらって寝ている政次郎は、兄にとがめられた。
政次郎は自分ではなく、姉上に意見しろと言った。
治平がわらじをお徳に手渡しているところ、彦右衛門がやってきた。

そしてお徳の頬を張った。
お徳が吹き飛ぶほどの、力だった。
「旦那様!」
止めようとする治平も「野良猫め!」と言って、彦右衛門は蹴り飛ばした。

「治平、覚悟はできていような!」
不義の疑いに対して、お徳は抗議した。
だが彦右衛門は政次郎を呼ぶと、お徳を部屋に閉じ込めるように言った。
「治平は成敗する」。

「旦那様、これは何かの間違いでございます!」
「黙れ!」
治平の前に、彦右衛門の刀が突きつけられる。

部屋に閉じ込められたお徳に、治平の悲鳴が聞こえてきた。
彦右衛門が入ってくる。
「治平に何をなされたのですか」。

「見たいか。見せてやる。よく見るのだ!」
縛られたお徳の前に、目を切られて血を流す治平が突き出された。
「何と言うことを!鬼!あなたは鬼です」。
しかし彦右衛門は、今度はお徳を叩き始めた。

その夜、目を布で覆った治平の下に、お徳がやってきた。
治平の手を、お徳が取る。
「ご新造さま」。
「逃げましょう、2人で」。

「でもわたくしは、目が」。
「私がそなたの杖になります。私はどうなろうとも、そなたを死なせるわけには行かず」。
2人は手を取って、逃げる。

山の中、2人の前に政次郎が現れた。
「政次郎さん、お願いします。どうかお見逃しください」。
「よしわかった。だが駆け落ちするのは、俺と姉上だ」。

お徳の手を引っ張った政次郎を、お徳は拒絶した。
「嫌です!」
「私は、治平と…、どこまでも!」
「この男は邪魔だ!」

政次郎は刀を抜いた。
お徳は阻止しようともみ合う。
その時、刀は政次郎に刺さった。

「ご新造様、どうなされました」。
「私は…、政次郎さんを、殺した!」
「逃げましょう、ご新造様。そして、生きられるだけ、生きましょう。二人で!」
「治平!」

お徳は治平を支えて歩く。
もうすぐ峠だ。
あれを超えれば…。

馬のひづめの音が近づく。
彦右衛門が、馬に乗って追跡してきたのだ。
ついに峠を越えようという時、2人は追いつかれた。

「見つけたぞ。お徳!治平!」
「覚悟!」「治平、逃げて!」
お徳は彦右衛門に斬られた。
「ご新造様!」

治平は道から転落した。
「おのれから地獄に落ちたわ!」
彦右衛門は去っていった。

お徳の遺体は、そのまま放置されていた。
長い時間が過ぎた。
治平は必死の思いで、這い上がってきた。
「ご新造様…、ご新造様」。

見えない手で、お徳を捜し求める。
冷たくなったお徳に触れる。
「さぞ…ご無念でござりましょう」。
「もし、生あれば七たび生まれ変わってこの恨み、治平が…!きっと…!」

7年後。
雨の日だった。
利根の渡しで船頭をしている平助とお咲夫婦が、魚を取ろうと悪戦苦闘していた。
その時、何かが飛んできた。

「刺さりましたか」。
声が聞こえる。
2人が見ると、道に座頭が立っている。

目玉に針が刺さった鯉が浮いてくる。
「確かに、目玉の真ん中に」。
平助とお咲はゾッとして、手を取り合って座頭を見つめていた。
確かに、鯉の目玉の真ん中には、針が突き刺さっていた。

「あれは何だ?」
船で運ばれてきた客が、船着場に立っている座頭を見て、不思議がった。
「人探しなんだ」と平助が教える。

1年前から毎日あそこに立って、上りの客にも下りの客にも聞いて回る。
素性も何も、どこから来たのか、どうしてきたのか、何も言わない。
「もし、あなたは野村彦右衛門というお人ではありませんか」。

「あっしは富山の薬売りだよ」。
「俺は大工の八五郎ってんだよ」。
山伏にも聞いた。
「いや、違う」。

雨が降ってきた。
平助はお咲が営む茶店に、座頭を誘った。
座頭は確かに、治平であった。
平助は毎日毎日、なぜ、野村彦右衛門という男を探して船着場に立つのか、聞いてみた。

だがお咲の言うとおり、治平は何も言わなかった。
「名前を聞いても無駄かい?」
「無駄で、ございます」。
平助は笑った。

それにしても、座頭の顔色が悪い。
心配する平助に茶を飲んで礼を言って、治平は出て行った。
だが治平は雨の中、高熱で倒れてしまった。

平助とお咲は放置できず、そのまま治平の面倒を見ていた。
お咲が止めるのも聞かず、ふらふらの体でも治平は船着場に行って、野村彦右衛門がいないか、聞いて回った。
「あきらめぬぞ。たとえ、5年、10年かかろうとも…」。

雨がひどくなった。
川止めになるかもしれない。
治平の体の調子は、良くならなかった。
熱があろうと何だろうと、船が出れば立って、野村彦右衛門を探して回るのだから、良くはならない。

「船着場に立って、1年目に俺んところに転がり込んで、かれこれふた月。1日として休んだことがねえとすると。その野村という男によほどの…」。
「恨みってことかい?」
「だろうなあ」。

お咲は、部屋から聞こえる音に気づいた。
「あの音、なんだい?」
座頭の部屋だ。
平助とお咲は、そっとのぞいてみた。

治平はこちらに背中を向け、針を研いでいた。
ふと、治平が振り返る。
平助とお咲は、顔を見合わせた。

その晩。
雨がひどかった。
お咲が目を覚ました。
座頭の部屋の戸が、そっと開く。

治平が顔をのぞかせた。
針を口にくわえる。
そして針を手に、近づいてくる。
お咲は声も上げられない。

目の前に針が突きつけられた。
ぎゃあー!
お咲は喉元に針が突き刺さる夢を見て、飛び起きた。

「喉笛に、針だろう!」
隣の平助も飛び起きた。
「俺もおんなじ夢を見ていたんだよ!」
治平はだが、静かに眠っていた。

次の日も、足を引きずりながら、治平は船着場にやってきた。
「のむら、ひこえ、もん」。
「おい、この座頭、何か言ってるぜ」。

治平は倒れた。
「だから寝てろといったじゃねえか」。
平助は治平を連れて帰り、医者を呼んだ。

「今、死ぬわけにはいきません…。野村、彦右衛門に出会うまで、は」。
「いかん、これは」と医者が言った。
お咲は怖がって、座頭を早く追い出すべきだったと言った。
「『刺さりましたか。目玉の真ん中に。刺さりましたか』。あたしゃ、あの声、一生忘れないよ!」

お咲は今、非常に嫌な気分だ、だから早く追い出せば良かったのに…と嘆いた。
だが平助は、そんな不人情なことはできないと、お咲はそんな奴だったのかと怒った。
医者はとにかく薬は置いていったが、長くはないだろうと言った。
弔いの用意をしなければならないが、名前もわからないのでは墓の作りようもない。

その時、船頭仲間の2人が治平に頼まれたと言って、鯉を2匹、たらいに入れて持ってきた。
だがもう、治平は鯉どころではないだろうと平助とお咲は止めようとする。
しかし奥から「松造さんに長治さんですね」と、治平の声がした。

「へい」。
「あれを、持ってきてくれましたか」。
「へえ。確かに」。
「ここへ。ここへ運んでください」。

2人は言われたとおり、治平の枕元に鯉の入ったたらいを置いた。
そして部屋を出た。
「どうだった」と聞かれた2人は、息をしていないように見えたと言った。
「冗談じゃねえよ」。

平助とお咲は、そう言って治平を見に行った。
「座頭さん。おい、座頭さん」。
お咲は顔をゆがめて、「死んでるよ、お前さん」と言った。
「なんまいだぶ」と松造と長治が手を合わせた。

「祟るぜえ…、この顔」。
「よせよ!つまらねえことを」。
みんな、手を合わせた。

その時、お咲が悲鳴を上げた。
たらいの中の鯉の、目玉の真ん中に針が刺さっていた。
「刺さりましたか」。
どこからか、声がする。

「今の声、座頭さんの!」
「確かに、目玉の真ん中に」と声は続けて言った。
4人は恐る恐る、「今のは、確かに」「座頭さんの声だ」と言い合った。
そして治平を見て、「死んでるよ…?」と言う。

その頃、野村家。
彦右衛門が苦しみ出した。
目を押さえて廊下に転がりだし、のたうちまわる。

「目、目が。突如、痛み出した」。
「旦那様!」
「医者を、医者を早く呼べ!」

平助とお咲は、治平の墓を作って弔った。
お咲が「成仏しておくれよ」と言った。
だが平助は言った。

「無理だよ。なあ、座頭さん。おめえさん、まだ成仏できねえはずだよな」。
「いやだよ、お前さん、けしかけたりして」。
「けしかけてるんじゃねえよ。俺にはわかるんだ」。

「たとえ死んだって、野村彦右衛門という人に巡りあわねえうちは、どうして浮かばれるもんか。なあ、座頭さん」。
平助が墓に話しかけた。
「そうだろう?」

その時、松造がどうしても渡してほしいという客が来ているとやってきた。
渡しはもう、お仕舞だと平助は断った。
だが若い侍が主人が眼病を患い、どうしても医者に診せなければならないと言って、土下座した。

平助はしかたなく、船を出すことにした。
若い侍に手を引かれ、男がやってきた。
「ああっ、いっ、痛いぃい!」
男が悲鳴をあげた。

霧が出てきた。
「船頭さん、急いでください!」
しかし、船の前も後ろも、深い霧でまったく前が見えない。
「急げったって、この霧の中じゃどうにも…」。

平助が振り返った時だった。
船には、確かに平助と、若い侍と、身分の高そうな男の侍しか乗っていなかったはずだった。
だが、船の奥。
あの、座頭、治平が座っている。

「痛い」と言って、川の水に手ぬぐいを濡らし、目に当てる男をじっと見ている。
「座頭さん」。
平助が驚いてつぶやいた時、男が一層、痛そうに悲鳴を上げた。

「痛いっ、ううっ、いたいいい」。
「これほどの痛みはいまだ…!」
「そうか…!もしや、お武家様は、野村彦右衛門さまと…!」

「どうして、みどもの名前を」と、彦右衛門が答えた。
「やっぱり!」
治平が、彦右衛門を開かない目でにらむ。

「痛いいいいっ!」
彦右衛門が悲鳴を上げた。
開かなかった治平の目が、うっすらと開く。
彦右衛門をにらみつける。

「あああっ!」
彦右衛門が叫ぶ。
声にならない声をあげて、平助が目をそらす。
目を閉じ、ひたすら船だけをこぐ。

「いたいいいい」。
おそるおそる平助が振り返ると、治平の姿はなかった。
彦右衛門は悶絶している。
若侍はただ、おろおろしている。

治平の目が、見開いた。
彦右衛門の背後。
船のふち。
ゆっくりと、自ら何かがあがってくる。

指だ。
手がにゅっと、突き出された。
その手は背後から、彦右衛門の背をつかんだ。

「なっ、何をする!」
彦右衛門は川に引きずり込まれた。
ごぼごぼと息を吐く。
だが上がれない。

誰かの手が、ガッチリと足首をつかんでいる。
彦右衛門が、必死にもがく。
髪の毛がばらけ、乱れる。
苦しい。

首を左右に振る。
しかし、逃れられない。
ぐさり。

ごぼごぼ。
水面に、泡が上がってくる。
そして、紅く染まる。

平助はびしょぬれになりながら、帰ってくる。
お咲が、船がひっくり返ったと聞いて、心配してやってくる。
船頭が溺れてたまるかと平助は言う。
そこに松造が飛んでくる。

「おおい、上がったぜ!さっきのお侍が土左衛門で、よう…」。
「それが奇妙なことに…、あのお侍」。

「目玉の真ん中に針」。
平助の言葉に、松造が驚く。
「どうしてそれを」。
お咲が「お前さん、もしかしてあのお侍」と言う。

「俺には聞こえるぜ」。
平助が言う。
「あの座頭の声が」。

水際に、彦右衛門の死体が上がっていた。
両目に、深く針が刺さっていた。
「刺さりましたか。確かに、目玉の真ん中に」。

船が行く。
その上には、治平とお徳が乗っていた。
船は霧の中、消えて行った。


日本の怪談は、化けて出る方に肩入れしてしまう場合がありますが、これなんかそう。
怪談じゃなくて復讐するとしたら、代行してくれるのが仕置人なんだな、って思いました。
これは念仏の鉄が目潰ししたり、主水が同じように斬ってくれても話が成立する。

怪談だから復讐は幽霊がやったり猫がやったりしますが、弱者の怨念がパワーとなり、最後に恨みを晴らすのは必殺シリーズに通じます。

毎日毎日、船着場に立って待っている。
恨みだね…、それも相当の。
これもまた「からくり人」の東北から盲目の娘が7年かけて江戸に来た話を聞いた仇吉が、「恨みだね」と言ったエピソードに通じます。

そりゃ、化けて出なきゃ。
許せるわけがない。
この話なんか、そうじゃなかったら気が晴れないわ!

いかにも誠実そうで実直そうな治平は、船戸順さんが演じてます。
座頭となってからボロボロの着物を着て、ふわふわとまるで、この世のものではない様子で不気味です。
この変化もすごい。

船頭の奥さんのお咲が結構、怖がってますが無理はない。
「刺さりましたか、目玉の真ん中に…、ああ、あたしあの声だけは一生忘れないよ!」
「祟るぜえ…」。
すごい納得しますもん。

目を斬られた治平があれから、どんな風にして生きてきたのか。
どんな思いを込めて、針を目玉の真ん中に命中させるだけ、練習してきたのか。
こもった怨念が感じられます。

今の様子がどうだろうと、ここまで来るにはどんな人にも過去があり、人生がある。
現在とは、まったく違った時があったかもしれない。
そんなことも、思ってしまう。

揃いも揃って、根性悪い兄弟。
状況が違えば殺しあったかもしれない。
あの兄が、どんな風にあの奥方を見初めたのか。

どれほど追い詰めて、執着したのか。
そしてあの後、奥方の実家にどんな仕打ちをしたか。
見なくても予想がついてしまいます。

「痛い」って、治平だって痛かったよ!
でも声はあげなかったよ!
上級武士のくせに、うるさいっ!って言いたくなっちゃう。
完全に亡霊側の味方です。

治平が死んで、目を押さえて苦しみだした彦右衛門。
利根の渡しにやって来る。
見ているこちらは、「来た来た!」って感じです。

船頭もすべてを納得。
もうわかる。
関係者、みんなわかる。
座頭さんの目を潰したのは、この武士だ。

はかなげな奥方・お徳は、渡辺やよいさん。
人の良い船頭は、左右田一平さん。
奥さんは海原小浜さん。
陰惨な物語の中で、ほっとする明るさを見せてくれます。

原作は、岡本綺堂。
さすがですね。
これを見事な映像にしてくれています。
DVDで残って、本当に良かった。

裕福な武家社会の冷たさと、貧乏庶民の暖かさの退避も見事。
怖がってるけど、葬ってまで面倒見た船頭夫婦。
恨みが深い分、情を示してくれた人への恩も深い。
船頭夫婦と利根の渡しは、きっと座頭さんがずっと守ってくれたことでしょう。



坊や~、良い子だ

ひ、ひえ~!
まんが日本昔ばなしが、時代劇専門チャンネルで放送!
うわ~、うれしい!

5月5日は、先行放送。
朝7時から始まり、夜10時放送終了。
1時間に4話のペース。
60話を選りすぐって放送します。

市原悦子さんと常田富士男さんの、二人芝居。
姫から妖怪まで、声の見事な演技。
バラエティに富んだ作画。

「桃太郎」
「カチカチ山」
「花咲か爺さん」

「金太郎」
「さるかに合戦」
「浦島太郞」

「一寸法師」
「舌切り雀」
「おむすびころりん」

「三枚のお札」
「雪女」
「牛若丸」

由来。
民話。
土地や風習にまつわる話。
伝説。

全てに魂が宿ると考える日本人らしく、いろんな動物、物が動き、語る。
日本人のDNAが、揺さぶられます。
必見!
時代劇専門チャンネル、ありがとう!



きたーっ! 「猫侍」第2話

ぶっ飛んだ展開の「猫侍」第2話。
いやいや、黒沢明監督の「蜘蛛巣城」見たのでね。
「猫侍」のぶっ飛びぶりに癒されたいと、思ったり。


拙者、元加賀藩、剣術指南役!
無双一刀流免許皆伝。
ついたあだ名が斑鬼。

ものすごい形相で、構える久太郎。
狙い定め、振り下ろした刀。
…と思ったらそれは鍬。
裏庭に野菜でも植えて、食費の助けにしようと言う考え。

(種、たね…、うぉう!)
植えようとした大根の種を、玉之丞が食べている。
「ていっ、ていっ!」

あわてて、久太郎が追い払う。
(おお、こんなに減ってる。ん?そんなにうまいのか?)
種を摘み上げて、見てみる。
一粒、口に入れて、久太郎は顔をしかめた。

しかし、(へっ?ん?結構いける)とすぐにまた一粒、口に入れた。
じいい、と玉之丞が久太郎を見つめる。
(うまっ)
種を食べる久太郎が、玉之丞の視線に後ろめたくなり、背中を向ける。

「いただきます」。
久太郎の前には、ご飯1杯とめざしが乗った皿がある。
玉之丞の前には、やはりご飯が入った茶碗がある。

にゃおん。
玉之丞が鳴いた。
(なんだ?)
にゃおん。

玉之丞が、じーっと久太郎を見つめる。
(これは俺のだ)。
じー。
(そんな目で見るなよ…)

玉之丞は、久太郎を見つめる。
そのつぶらな瞳。
(しかし…。う、うーん)

ため息。
次の瞬間、めざしは玉之丞の前にあった。
玉之丞はにおいをかぎ、食べ始めた。

(うまいか?)
思わず、久太郎はにっこりする。
(お静。おハル。変わりはないか?こちらは玉之丞とめざしを取り合う)

「うふふ。たまにはね」。
「いただきます」。
お静とおハルの前には、うな重があった、

久太郎の声が響く。
(お前たちには苦労をかけて済まない。仕官が決まればすぐに迎えに行く)
そこまでつぶやくと、玉之丞がめざしを綺麗に平らげていた。
(はっ。もう食ったのか?全部?!)

久太郎は庭を見る。
(大根さえできれば…)
あおん、と玉之丞が鳴く。
(今は我慢だ。早く仕事を決めねば)

家を出る久太郎。
大家の菊乃がやってくる。
(出た!)
「おやあ?おでかけかい?」と菊乃は言ったが、すぐに鼻をヒクヒクさせた。

「ん?ん?獣のにおい。このにおい…、また猫?」
久太郎は「猫などおらん!」と言うと、(まずい。さいなら~)と逃げるように走っていく。
「竿は?釣りに行くんじゃないのかい?」と菊乃が言う。

久太郎は、猫見屋へ寄る。
その途中、美少年の役者に群がる女性たちを見た。
すごい人気だ。

(何だ?この騒ぎは?)
するとその美少年が「斑目さま!」と言った。
(んん?)

「これはこれは。ご無沙汰しております」。
(誰?)
「うわあ、懐かしい」。

美少年がしなを作る。
女性たちの嬌声が上がる。
久太郎は去っていく。
「斑目様?」

猫見屋ではお七が玉之丞を抱いて、「少し痩せたあ?相変わらずの貧乏暮らしなのねえ」と言った。
(ほっとけ!)
「そういえば、この近くに新しい口入屋ができたのよ。行ってみれば?玉ちゃんは私が預かってあげる」。

久太郎が壁を見る。
値段表が改正されている。
(んん?おおっ。猫預かり、半日30文。また値上げ!こいつ…!)

久太郎の視線にお七は「何よお」と言った。
「これで仕事が決まれば、安いもんでしょう。さあ早く、行った行った!」
久太郎を送り出し、玉之丞を抱っこしながら、「がんばってねえ!行ってらっしゃあい!」と手を振る。

口入屋の看板には、ぴんはね、と書いてあった。
(ぴんはね…。えげつない名前だなやっぱり帰ろう)
踵を返した久太郎の背中に、店から出てきた主人が「旦那!仕事をお探しですか!」と声をかけた。
「お侍様にピッタリな仕事を取り揃えております!」

そう言って、久太郎の前に回ると、その顔にびくっとなるがすぐに笑顔になると「どうぞどうぞ」と店の中に招き入れた。
「亭主の天引と申します。先ずはこの、登録帳にご記入願います」。
(名前…、斑目久太郎。年、47)

「47!結構行ってらっしゃるんですねえ」。
(大きなお世話だ)
(経歴、元加賀藩、剣術指南役、無双一刀流免許皆伝)。
それを見た天引屋の主人は、「おお、おお、それはすごい」と感心した。

「どうしておやめに?」
(まあ、一身上の都合)
「ああ、首、ですね」。
(たっ、失礼だなこいつ!)

(好きな食べ物。んん?ようかんだな)
その答えを見ると天引屋は、「ぷっ。甘党ですね」と吹き出した。
(いちいち!)

(自分を動物にたとえると。うん…、トラ。いや、イヌワシかな。…この質問、(就職に)関係あるかな?)
「ところで、どういったお仕事をお探しで?」
(剣術指南役)
「いや、いやいやいや、無理ですよ。もうちょっと妥協していただかないと」。

「あははは」と笑いながら、「そうだなあ、用心棒なんかいかがでしょう。その怖い顔だ、立ってるだけで相手が逃げ出しますよ」と言った。
(怖い顔は生まれつきだ!)
「そう、その怖い顔!用心棒にピッタリだ!間違いない!」
(こいつ…)

久太郎は黙ったまま、店を出る。
「あ、ちょっとお待ちを!斑目さまー!」
その名前を聞いて、店先で腰掛けていた武士が立ち上がり、後を追いかけてくる。

路地で久太郎を見つけたその太った武士は、「お待ちください!」と言った。
「拙者、戸田藩士、小野寺信吾と申す。失礼だが、おぬし、斑目久太郎殿か」。
「うむ」。
「おお、そうか。剣の達人との噂だが、それはまことか」。

ハエが飛んでいる。
久太郎は答える代わりに刀を抜き、閃かせ、鞘に収めた。
「ん?」

小野寺は気が付かない。
(ん!)と久太郎は心の中でつぶやく。
だが、小野寺は気が付かない。

(ふん!)と、久太郎が地面に向かって視線を送る
「ハエ?」
小野寺が地面を見る。
「羽が切れてる。まさか今ので?お見事!」

(えっへん)
「その見事な剣の腕、我が藩にて生かすつもりはないか?」
(きたーっ!)
久太郎は心の中で叫んだ。

その頃、お七は玉之丞をブラッシングしながら、「相変わらず良い毛艶してるわねえ」と言った。
「私も分けてほしいわあ」。
玉之丞をとかしていた櫛で、自分の髪をとかす。

小野寺の屋敷で、久太郎は「息子に剣術を教えてほしい」と言われていた。
それも、子供向けではなくびしびしと教えてほしいと。
成果が上がれば、剣術指南役に推挙すると言われた。
(剣術、指南役…)

久太郎の顔が、思わずほころぶ。
(いかんいかん、気合。気合)
「貫太郎!」と小野寺が自分の息子を呼ぶ。

「父上、貫太郎です」。
まだ年端も行かない子供がやってくる。
「こちらは斑目久太郎殿。今日からお前の師匠だ」。

貫太郎と言われた子供は、久太郎の顔を見ると途端に泣き出した。
「顔が怖い!」
(へっ?)
「鬼みたいだよ~」。

小野寺がうろたえる。
(お、鬼?まずい、いかん)
久太郎も内心、あわてる。
(し、しまった!ええ。えええええ。やってしまったのか…)

話はなかったことになった。
その帰り、久太郎は再びあの、美少年がいた芝居小屋の前を通った。
(猫又座?)
「斑目さま!」

声がして、中から、あの美少年が出てきた。
(あ、またあいつだ)
(え?こっち来た。おっ、来た)

美少年は、久太郎の前まで近づいてきた。
(何か、怖い…)
「なぜお逃げになるのです」。
(だから、誰?)

「拙者、職を変えたでござる」。
(誰だ?)
「私ですよ。ほら」。

美少年はそう言うと、手にした扇子で手のひらにすらすらと書く仕草をした。
「ひい爺ですよ!」
(ひい爺?)

久太郎の脳裏に、猫と一緒に裏路地に座っていたあの老人の姿が蘇った。
(ええええ?ジジイ?まじ?!)
「その節はいろいろお世話になりました。絵描きをやめて、今は役者の世界で生きております」。

(理解不能!)
「すべてはあれのおかげです」。
ひい爺だった美少年が指差す先には、一軒の店があった。
(整形?)

「私は生まれ変わったのです。ひい爺から、相崎すみれの助」。
そして袖をめくり、力こぶを見せた。
「青春を取り戻します!」

「座長、そろそろ」と、男が呼びに来た。
「ちょっと待ってておくれ」。
そして、「さらば。お名残惜しいが、これにて失礼!」とポーズを決めて去っていく。

(なんだ、いちいち?)
(えええ?なんだ、あいつ?)
整形屋と書かれた店の看板を見て、(さらば、さえない私?ううん?)とつぶやく。

「いらっしゃいませー!」と、店の中から、青年が出てくる。
「いかがですか、整形!人生が変わりますよ!」
しかし久太郎は、あわてて逃げていく。

その夜。
「そば、そば~。いつもあなたのそばに~」と呼びかける夜鳴きそばの屋台があった。
そこで、同心と岡引きがそばを食べている。

「あちちち」と同心が、そばから口を離す。
「だんな、猫舌ですか?」
「うるさい!」

岡引きの問いに起こった同心だが「あちちち」とまた、そばから口を離す。
くすっと岡引きが笑う。
「あっちい!」

同じ夜。
長屋。
玉之丞は、ざるの中。
(人生は変えられる、か…。ううん)と、久太郎は考えていた。

布団をはがし、座り、玉之丞をざるから取り上げる。
玉之丞の顔を見て、抱きしめる。
そして思案する。

翌日、久太郎はまた、猫又座の前を通る。
整形屋の前で、足を止める。
(何が整形だ、まったく)

「そうそうそう、その怖い顔。用心棒にピッタリだ」と天引屋の主人は言った。
「顔が怖い」と、小野寺の息子は泣いた。
「青春を取り戻します!」と、ひい爺は力こぶを見せた。

(ばかばかしい!)
(うん?)
1人の老婆が、整形屋に入っていく。

(ま、まさか)
「いらっしゃいませえ!」という声がした。
(うん?)
「ありがとうございましたー!」

(早や)
久太郎の前を、整形屋から若い女性が出て行った。
(えええ、ええ?ぴちぴち?!)

(まじ?)
(んん?)
信じられない思いの久太郎の前を、ひい爺だった美少年が「みんなついておいで!」と言って走っていく。
女性たちがその後を追いかけて走り、久太郎が巻き込まれる。

その嵐が去った後、久太郎は「玉之丞?」とびくの中に呼びかける。
びくの中は、空だった。
あおん。

玉之丞の声がする。
「玉之丞!」
玉之丞を探して、久太郎が整形屋の中へ入る。

「いらっしゃいませ!」
「違う!」
「どうぞこちらへ!」

「やめろ!」
久太郎が叫ぶ。
「あああああーっ!」と悲鳴が聞こえる。
ばたん、がしゃんと音がする。

「玉之丞、俺だ玉之丞!」
玉之丞が逃げていく。
「玉之丞、玉之丞!俺だーっ!」
叫ぶ久太郎の顔は、まったくなさけない顔に変わっていた。

一句。
鬼面と 言われ続けて 四十七 うれしはずかし つかの間の夢



もはや、時代劇でもなんでもないと言いましたが、このことか~。
閑話休題の回かな。
玉之丞の愛らしさはますます、パワーアップ。

前回より表情がリラックスしていて、撮影にも慣れた感じがします。
良い表情が撮れてます。
あんな目で見られたら、食事譲りますね。
久太郎の職探しも、スタート。

しかし、ひい爺の若返りはわからない。
あんな技術は、現代にもない。
整形って、どーいうこと。
つかの間の夢ということは、期間限定のような気がする。

かる~く見られるお笑いの回。
玉之丞の愛らしさを愛でる回。
しかし、久太郎がめざしで、妻子がうなぎってかわいそう。

お静の実家がいいのかな。
それでお静さんが、おっとりしているのかな。
お七こと、高橋かおりさんが綺麗ですね~。
高橋さんの楽しそうな笑顔が見られるのも、猫侍の楽しいところかな。

久太郎の表情も、パワーアップ。
北村さん、顔の筋肉すごい動くなあ。
今回はストーリーは進展なかったですが、 久太郎の心の声と表情に笑わせてもらいました。
シーズン2は、2人でいろんな人と関わり、いろんな経験をして、人の人生を見ていく物語みたいですね。


参った

先週は体調悪くなりまして、通勤するだけで必死。
仕事でいろいろと、今まで使ったものがチェンジして、疲れてるんですね。

私だけじゃない、みんな疲れてるのだ。
わかっていても、ヘロヘロ…。
がんばれ、今週乗りきったらGWは近い。

私のハチ公物語 「怪談 佐賀の怪猫」

日本名作怪談劇場、第5話は「怪談 佐賀の怪猫」。


備前鍋島藩35万7千石。
鍋島の殿・丹後守が、龍造寺の当主・又一郎をお手討ちにしたことから始まる化け猫騒動。
丹後守は又一郎の妹の冬を奥方に望んでいたが、又一郎は良い返事をしなかった。
冬は又一郎の家臣の小森半左衛門を想っており、半左衛門もまた、冬を想っていた。

側近の磯早備前は、自分の妹の豊を殿の奥方にと画策していた。
豊が子供を生めば、実権は自分が握り、事実上、鍋島家を乗っ取れる。
そのためには冬と又一郎が、邪魔だった。
豊もまた、丹後守が冬にばかり見とれていた時から、いつか冬を貶めてやろうと想っていた。

色良い返事をしない又一郎に丹後守は不満を募らせた。
さらに、龍造寺家が元は鍋島家の主家筋であることから、又一郎が自分を見下しているのではないかと思い始めた。
この機会を備前は最大限に利用した。
登城しようとする又一郎を、愛猫のコマが止めるかのように邪魔をした。

備前の陰謀により、又一郎は殿にお手討ちとなり、地下の蔵の壁に塗りこめられた。
龍造寺家では、コマが長い鳴き声を上げていた。
その夜、龍造寺政は碁盤の向こうに血まみれの夫の又一郎を見る。
又一郎を壁に塗りこめさせた職人たちも全員、備前に斬られた。

備前はさらに手を回し、龍造寺家を取り潰し。
冬の義姉の政は、家臣たちに暇を出した。
路頭に迷わぬため、鍋島家、備前に雇ってもらう道もあったが、家臣たちはみな、拒否した。

ところが半左衛門は、自分は野良犬にはなりたくないと言って、備前の元へ行った。
一刀流の使い手である半左衛門は、備前に召し抱えられた。
政は衝撃を受け、その夜、夫のあとを追って自害。
その血を、愛猫のコマがなめていた。

備前のはかったように、殿は冬を諦め、豊を寝所に呼ぶ。
ことはすべて、備前の思惑通りに運んでいた。
冬は食べたあとのないコマのご飯の茶碗を見て、「コマ。お前、どこに行ったの。もう帰ってこないの」と泣いた。

しかし、廊下を歩く備前に、猫の鳴き声が聞こえる。
又一郎を塗りこめた壁を前に、備前がほくそえんだ時だった。
猫の鋭い声が響く。

振り向いた備前の目に、こちらをにらみつける猫が見える。
すると今度は背後に、猫が現れる。
今度は足元にいる。
備前は、あわてて逃げた。

城に、コマが現れはじめた。
豊の懐妊の知らせを受けて満足そうな備前に、コマの鳴き声が聞こえる。
「またあの猫か!」

コマの姿を見た半左衛門が、「コマ!コマではないか!」と声をかけた。
あれは龍造寺家の猫と知った備前は、コマを捕まえるように家臣たちに命ずる。
だがコマは捕まらなかった。
コマは備前を付けねらうように姿を見せ始めた。

地下の蔵の前で座るコマの前で、壁が落ち始める。
コマの鳴き声に呼応するように、壁から血が流れる。
備前は猫を差し向けているのは冬だと言って、冬を捕らえさせた。

冬を捕らえて牢に入れれば、猫は必ず現れる。
備前に命令されて、半左衛門が数人とともに冬を捕らえる。
牢に入った冬は、半左衛門に言う。

「そなた、恥ずかしくはありませぬか。コマは恨みを呑んで自害してお果てになった姉上の仇と、備前さまをつけているのでしょう。獣と言いながら、元の主人の恩を忘れぬコマにそなたは…、恥ずかしいとは思わないのですね」。
「冬様、悪いことは申しません。ご家老様に正直子に申し上げたほうが、お身のためだ」。
「そなたとは口もききたくない!」

牢で1人、冬は幸せだった日を思い出し、涙する。
子猫のコマ。
抱き上げる自分、姉上がコマをあやす。

その夜、廊下を歩く備前の耳に奇妙な音が入ってくる。
コツ、コツ。
それは碁石を打つ音だった。
備前の立っている廊下。
その前に部屋で、備前は又一郎を斬ったのだった。
又一郎の顔に、血に染まった白い碁石が張り付く。
その無念の表情。

殿の寝所では、豊が心変わりをしない約束に、冬を殺してくれとねだっていた。
その時だった。
怖ろしい声が響く。
殿がふすまを開けると、大きな猫の影が映る。

仰天した殿は、登城した。
牢の冬を連れ出すため、鍵が開けられる。
「鍵を!」

だが牢番は出てこない。
牢番のいる部屋の障子に手をかけた時、大量の血が飛び散った。
ギョッとした家臣たちの前に、喉を食い破られた牢番の死体があった。

猫の声が響く。
壁一面に大きな猫の姿が映る。
パニックを起こした家臣たちに向かって、半左衛門が刀を抜く。
一刀流の使い手である半左衛門は、家臣たちを次々斬る。

猫の声と姿、半左衛門にパニックを起こしている家臣たちは倒れていく。
「さあ!冬様!」
半左衛門は冬を逃がす。
「そなた!」

「この三月の間、備前の身辺を探りましたが、いまだに何の確証も得ず。冬様、本心をお隠ししたことをお許しください」
「そうでしたか。そなたの心も知らず、ひどいことを私は言い続けました。許して…」。
夜道を冬をつれ、半左衛門はかつての使用人が暮らしている山小屋へ逃げていく。

必ず、備前の口から、又一郎の行方を吐かせる。
「お城へ、帰るの?」
「くれぐれも、お気をつけて!」

冬が逃げたことは、備前の耳に入った。
いよいよ、猫を探す家臣たちの動きは激しくなった。
城下の様子を見ていた使用人は、その動きでコマがまだ捕まっていないことを確信した。
「獣とはいえ、コマはきっと、小森様と一緒にお殿様のお行方を探してくれましょう…」。

2~3日のうち、必ず猫は捕まえる。
備前からの報告を受けた豊は「きっとそのようにお願いしますよ、兄上」と言った。
殿の来るのを待っていた豊だったが、殿は熱を出して来られなくなった。

さっそく見舞いに行くと言う豊だが、誰も良い返事をしない。
「何を怯える。猫を怖がっているんでしょう。ついてこなくても良い!」
豊はそう言うと、1人、廊下を歩く。
猫の鈴の音が聞こえる。

続いて、猫の声。
どこから聞こえてくるのか、わからない。
豊が辺りを見回したとき、突き当りの壁に大きな猫の顔が映った。

悲鳴を上げ、豊は逃げていく。
逃げて、逃げて、蔵の前jまで走っていく。
その様子を、半左衛門が見ている。

何かに追われるように悲鳴を上げて、蔵の前まで来た豊は扉を背にした。
扉が開き、豊は蔵の中へ逃れていく。
半左衛門が中をのぞこうとした時、豊が絶叫する。

扉に耳をつけた半左衛門の前に、血が滴り落ちてくる。
「あっ!」
すると扉が開き、豊が現れた。

豊はもう、何も見ていない。
半左衛門は、すべてを察した。
「殿!殿!」
扉に向かって、半左衛門は叫ぶ。

冬は半左衛門から、すべてを聴いた。
「半左衛門、そなた、備前を斬るつもり!そうですね!」
半左衛門は目をそらした。
「半左衛門、私も行く!」

「なりません!」
「そなたのいないこの世に生きながらえて、何の楽しみが…、私も行く!」
「冬様!」
「行きます、一緒に!」

鍋島の殿は高熱にうかされ、「許せ、又一郎」とうわごとを言っていた。
隙を見て、半左衛門と冬は、城に侵入した。
「なぜ御病室に参らぬ!」と備前は豊を叱った。
「わたくしがまいりましても、とののご病熱がさがるわけでもありますまいに」。

豊が何の抑揚もない言葉で、理由を述べる。
「あれほど、魚を嫌うておったのに…」。
備前は、綺麗に骨だけが残った魚が乗った皿を見る。
「身ごもって、食の好みがかわったようです」。

備前が出て行った後、豊がにんまりと笑う。
呼ばれて出て行った備前は、蔵の中で死んでいる豊を見つける。
骨だけの魚が脳裏を掠める。

部屋にいる豊が、行灯の油に手を伸ばす。
後姿。
廊下を行く冬と半左衛門の横に、備前たちが走っていくのが見える。
ただ事ではない様子に、2人は後を追う。

備前が豊の部屋の戸を開ける。
豊が、ゆっくりと振り向く。
その口は耳まで裂け、目は爛々と輝いていた。
ぺろりと赤い舌を出して、豊は備前を見た。

「見たぞ、己の正体!」
その声に豊は長い爪が生えた手で、手招きをする。
「おのれ…、この化け猫を討ち取れ!」

家臣たちが刀を抜いて迫った時、豊、いや、コマは宙返りした。
回転した足が着地すると同時に、飛び上がる。
天井にコマが張り付き、備前たちを見下ろす。

「たかが化け猫一匹!斬れ!斬れ!」
備前の声に、コマが長い爪をかざす。
目が爛々と見開いて、備前を見据える。

ヒラリと降りてくると、斬りかかった家臣の一人を押さえつけ、コマが赤い口をぱっくりと開ける。
喉笛に噛み付く。
そのまま喉笛を噛み千切られた男が、絶叫する。

冬と半左衛門が、部屋に飛び込んでくる。
目の前で男の喉笛を食いちぎったコマが、回転する。
「コマ!」

気が付いた冬が驚く。
備前が刀を抜き、コマに斬りかかる。
コマはするりと刀を避け、別の斬りかかってきた家来を押さえつける。
鋭い爪で、その額を切り裂く。

おののいた備前が、冬たちの前に背中を見せる。
冬がキッと備前を見据え、懐剣を手にする。
それを見たコマが再び、宙返りして備前の元へ降りてくる。
備前が転ぶ。

うなり声を上げて、コマが備前の上に降りた。
背後から備前を押さえつけ、首筋にガブリと噛み付く。
「うわああああ!」
備前がのけぞる。

深く、深く、備前の首に牙を突き刺し、コマは飛び上がる。
備前をつれ、天井まで登る。
「ぎゃあああ!」

垂れ下がった備前の足が、ばたばたと動く。
痙攣する。
そして、だらりと垂れ下がり、動かなくなる。
恐怖に目を見開いたまま絶命した備前が、落ちてくる。

コマが血に染まった口を拭い、天井を走る。
「逃げたぞ!」
「殿を守れ!」

寝込んでいる殿の枕元に血が滴る。
腰元たちが悲鳴をあげ、腰を抜かして逃げていく。
目を開けた殿は、天井に張り付き、自分を見下ろしているコマを見た。

「豊!」
コマは冷然と、殿を見下ろす。
「お方さまではございません!」
「正体は猫でございます!」

家臣たちが走ってくる。
「許してくれ、又一郎!」
殿は悲鳴をあげた。

コマは平然と近寄ってくる。
家臣たちは刀は構えているが、一歩も動けない。
「許してくれ!」
殿が叫ぶ。

「待って!」
冬が走ってくる。
殿は冬の元に駆け寄り、「助けて、助けてくれ、冬!」と懇願する。
斬りかかった家臣がまた1人、コマに喉を食いちぎられた。

コマはひらりと飛び、天井に張り付く。
血に染まった口をぬぐい、殿を見下ろす。
うなり声を上げ、降りたコマが殿を背後から捕らえた。

「う、うわあああ」。
ぱっくりとコマが赤い口を開けた。
殿が悲鳴を上げた。

喉に噛み付く、その瞬間だった。
「コマ、やめて!お願いやめて!」
冬の声で、コマが動きを止めた。
殿を放し、天井に駆け上る。

「コマ!私よ!」
コマが冬を見る。
「冬よ!お願いだから、やめて!」

コマは冬を見ていた。
「コマ!私がわからないの?!」
コマは、じっと冬を見ている。

冬の目から涙が溢れる。
「コマ!」
コマが、うつむいた。
だが次の瞬間、コマはうなり声を上げて降りてきた。

冬の上に降り、そして転がった。
コマの胸には、冬の懐剣が突き刺さっていた。
「コマ、お前、わざと私の手にかかったのね…」。
半左衛門も、息を呑む。

コマの姿が消えた。
血まみれになったコマは、荒れ果てた龍造寺家の仏間で息絶えていた。
姉が息絶えた場所だった。

それからしばらくして、冬と半左衛門は、墓の前にいた。
墓には、猫塚と掘られた小さな石の墓標もあった。
その前に、コマの首輪が置かれている。

冬と半左衛門は、手を合わせる。
子猫のコマ。
冬が抱き上げる。
姉が毬で遊ばせている。

冬の顔に、微笑が浮かぶ。
「コマ、龍造寺家は再興しましたよ。お前のおかげです」。
にゃおん。
どこかで猫の声がする。


猫ネタが続きますな。
偶然です。
こちらの猫話は、怪談。

豊役は、緑魔子さん。
私の大好きな女優さんです。
もう、ただでさえ猫っぽいのに、この緑魔子さんは絶品!

殿に甘える口調とか、嫉妬に狂った表情とか。
「お願いしましたよ、兄上」と言うねちっこく、かわいらしい口調は誰にも真似できません。
人を狂わせる、まさに魔性って感じがします。
猫っぽい女優さんだ。

そしてコマが変化した時の、冬を見る時の哀しそうな表情。
うつむいた時の目。
わからないはずはない。

コマには冬が、わかってるんです。
化け猫になった自分は、戻れない。
見ていて、こちらも哀しくなってしまいました。

備前役は、亀石征一郎さん。
良い悪役コンビです。
化け猫にとって、相手に不足なし!の迫力。

「猫に知恵を授けて、わしにわざわいをもたらそうとしているのだろう」って、猫にそんな知恵授けられるのか。
猫に吹き込んだのだろう、って、そんなことできるのか。
あるなら教えて。
やられっぷりも良く、徹底して楽しませてくれます。

冬は、永島映子さん。
はかなげで、涙が似合ってしまう。
緑魔子さんと対照的で、これまた良い感じ。

冬を救出する半左衛門を、サポートするように現れるコマ。
盛り上がる、盛り上がる。
化け猫の表現に、壁一杯に映る猫の顔。
つい、カワイイ…って思ってしまう。

死を覚悟した半左衛門についていく冬。
影で涙をこらえる使用人。
時代劇のお約束でも、こういう場面に日本人のDNAがグッと来る。
化け猫にグッと来るのは、主人と猫の絆にグッと来るんでしょう。

そういう意味では、ハチ公物語と同じ。
動物が、人を思うけなげさに泣ける。
化け猫に泣いてるって何なんだと、思うけど。
コマは私のハチ公物語。


ぼろ長屋、はじまり 「猫侍2」第1話

雪の中の白猫は、実に風情がある…。
って、白い雪の中に白い猫!
どうやって見つけるんだー!
「猫侍 シーズン2 第1話」。

雪の中、玉之丞を探す斑目久太郎。
降り続く雪。
玉之丞!
久太郎の声が、こだまする。

風が吹く。
真っ白な世界の中、玉之丞が鳴いた。
玉之丞に駆け寄ろうとして、久太郎はころんだ。
その前に、玉之丞の赤い首輪だけが残っていた。

闇夜にカラス。
雪に猫。
「玉之丞!」

声が、必死さを帯びていく。
玉之丞は、小さなカマクラの中にいた。
久太郎は気づかない。
ここで久太郎は、ハッと目覚める。

「夢か…」。
玉之丞は、旅姿の久太郎の傍らにいた。
「そろそろ、参るか。江戸は近い」。
これからの波乱を予感させるような夢。

「拙者、斑目久太郎。もと加賀藩、剣術指南役」。
「我が手前、無双一刀流免許皆伝ながら、ついた呼び名は斑鬼」。
「ゆえあって、いまだ浪人の身なり。これにおるは我が連れ、玉之丞。再び江戸に舞い戻り候」。

玉之丞を片手に街を行く久太郎に、1人の同心が目を留める。
立ち止まり、上から下まで、久太郎の様子に目を走らせる。
先に行っていた岡引きが、やってくる。

「旦那、どうしたんですか?」
「ふん、侍のくせに、猫なんかかかえやがって」。
同心は、そう言った。

長屋に久太郎が、帰ってきた。
ちょうど家から出てきたおかみさんが気づいて、「おや、帰ってきたのかい?」と声をかけた。
久太郎は相変わらず、愛想がない。
でもおかみさんは気にせず、「玉ちゃんは?」と聞いた。

久太郎は無言で、首から懐に向かって提げている風呂敷をめくってみせる。
「にゃー」と玉之丞が鳴く。
「あっら~」と長屋の女将さんの顔が、ほころぶ。

長屋の部屋の中。
久太郎の持っていた風呂敷からは、招き猫の貯金箱ができた。
それに向かい、久太郎は手を叩いて拝む。

「あおん」。
玉之丞が鳴いて、のそのそ歩き出す。
招き猫の中からは、小判が5枚。
久太郎の心の声(ご利用は計画的に!)

玉之丞がジッと、久太郎を見る。
(なんだ、その目は)。
(明日からまた仕事探しの日々だ。いそがしくなるぞ)。
「よし」。

大家の菊乃がやってきた。
前の大家の娘で、父親の後を継いで大家となった。
久太郎の家に入ろうとして、さきほどのおかみさんが「ああ!大家さん!」と声を上げた。

それに気づいた久太郎が、あわてて玉之丞を隠す。
「斑目様~、いるかい~?失礼するよ!」
菊乃が入ってきた時、ちょうど玉之丞を押入れに隠した久太郎は不自然に押入れに手をかけたポーズで立っていた。

不思議そうな菊乃の前に、久太郎が座る。
「はじめまして、だね?」
菊乃は「長屋のしきたり」を話し始めた。

「おとっつぁんの時からいるからわかっていると思うけど…、猫は禁止!」
(どきっ)。
久太郎の目が、思わず、泳ぐ。

「以前、野良猫が住み着いちまって大変だったんだよ。おとっつぁんの話じゃ、誰かがこっそり猫を飼っていて、その匂いに集まってきたんじゃないかって」。
(ばれてる!)
「それはもう、すごい数の猫でさ。追い払うのに苦労したよ」。

そう言った菊乃は「ん?」と鼻をヒクヒクさせた。
「臭い!」
(ええっ。そうかな?!)
自分のことかと思った久太郎が、自分の袖の匂いをかぐ。

「この部屋、なんか臭うね?」
(ま、まずい)。
「もしや、猫?」
(ぎくっ)。

菊乃が部屋をのぞこうとする。
久太郎は、菊乃の視線から部屋の中をかばうように身を乗り出す。
右に、左に、菊乃がフェイントをかけ、部屋を覗き込む。

「見つけたら出てってもらう…」。
「猫などおらぬ!」
キッと久太郎が視線を菊乃に当てると、菊乃は「そんな怖い顔しなくたって」と口をとがらせた。

「でもその顔じゃ、猫のほうが逃げていくか!」
そう言って、菊乃は笑う。
(ほっとけ!怖い顔は生まれつきだ)。
「あと、家賃滞納は絶対に禁止だからね!」

そう言って、菊乃は出て行った。
(鼻のきく女だ)。
久太郎は「玉之丞」と、押入れに向かって声をかけるが、玉之丞がいない。
「玉之、玉の…、玉之丞!」

焦った久太郎は、玉之丞を探す。
「あおーん」。
猫の声がする。
(ん?なんだ?)

久太郎が障子を開けると、裏庭、縁側の向こうにいたのは、猫、猫、猫!
猫の集団だった。
(ああっ、なんだ?)
十数匹はいる。

(ね、猫?)
(なん、なん、えっと。落ち着け。落ち着けい!)
一度障子を閉め、久太郎が心を落ち着かせる。

にゃーんと言う声が響く。
再び障子を開けて、裏庭を見た久太郎。
(ううっ、やはり!猫!野良猫!戻ってきたのか。まずい!)

にゃーおんと、声がする。
猫たちは久太郎の部屋の障子の一番下の紙を破り、次々と入ってくる。
猫が障子の穴をくぐって、続々入ってくる。

あおん、にゃーおん。
猫の声がこだまする。
一匹、また一匹。

(えええ)。
久太郎の顔がおどろいたり、困惑に皺が寄ったりする。
(なんだこれ!)
久太郎がどんなに怖い顔をしても、猫たちはかまわず侵入してくる。

(ああっ!こ、こら!)
(あ、こら、入るな!)
(まずい!ひっじょ~に、まずい!)

猫の集団の中、それでも落ち着きを取り戻した久太郎は、机に向かっている。
「お静、おハル、無事江戸に着いた」。
周りでは猫が座って丸まっていたり、ついたてで爪を研いだりしている。

にゃーおん。
猫の声が響く。
「まだ苦労をかけるが、しばらく辛抱してくれ」。

深刻な面持ちで、手紙を書く久太郎。
その横で、そんなことにはまったく構わず、鳴き声をにゃーにゃーとあげる猫。
久太郎の前にも後ろにも、猫。

「必ずや仕官し、武士として家族を迎えに行く」。
猫たちは、それぞれ勝手に歩き回り、座る。
(けっ、てっ、まっ、まったく…)。

玉之丞は棚の上、小さなたんすの上に乗って、この様子を見下ろしていた。
それを見た久太郎。
(キサマ…、高みの見物か)。

その時、一匹の猫が久太郎の書いている手紙の上に乗った。
(ぐっ…)。
久太郎は、猫をどかす。

しかし猫はそのまま、座ろうとした。
(ちゃっ!)
久太郎は猫を、机から落とした。

落とされた猫は数歩歩き、久太郎の横にいる猫に突然、猫パンチを見舞った。
見舞われた猫も応戦し、2匹の猫は立ち上がってパンチの応酬を始めた。
(なっ!)
久太郎がビックリして、肩をすくめる。

んぎゃーっ!
2匹は、激しく声を上げた。
ケンカが終わったと思った久太郎は、再び手紙に集中しようとした。
(集中、集中!)

机から落とされた猫が、辺りを見回す。
(よし…)。
久太郎が再び、手紙に向かう。

落とされた猫が、壁にへばりついている先ほどの相手の猫に向かって、再びパンチを繰り出した。
繰り出された猫も、うなり声を上げて対抗する。
(うおおっ!?)

猫同士は激しく、パンチの応酬をくりかえす。
うぎゃあああ、とうなり声があがる。
(…ううううっ)。
久太郎は、まったく集中できない。

他の猫はその様子を、丸まりながら見ている。
気が済んだのか、猫のケンカが収まった。
(いかん、いかん。集中。集中~)。

結局、集中できなかった久太郎は道を歩いていた。
(まったく、困ったもんだ。どうする、どうすればよい)。
(あ)。
目の前に猫見屋があった。

「いらっしゃい」。
お七が後ろを向いたまま、声をかける。
振り向いたお七は、久太郎と玉之丞を見た。

「久しぶり~!」と、うれしそうに声をはずませる。
「会いたかった~!」
(どきっ)。

「玉ちゃーん!」
お七が駆け寄り、抱きしめたのは玉之丞だった。
(そっちか…)。

久太郎は、お七に事の次第を話した。
「猫部屋ねえ…。それで野良ちゃんたちは何匹いるの?」
「ひい、ふう、みい…、んん?」
久太郎は数え、途中で詰まった。

「そんなに?じゃあ、お世話が大変ね」。
(お世話?)
「だって家に住み着いたなら、家族でしょう?」
(家族う?ええ?)

「遊んであげたり、お風呂に入れてあげたり」。
(めんどくせえ~)。
そう思った久太郎は、猫見屋の値段表に目を留めた。
(ん?おっ、ね、値上がりしてる!)

「お腹を空かせた猫ちゃんにはもちろん!にゃー飯(にゃーはん)が、おすすめよ!」
「ちょっぴりお高いけど、滋養たっぷりだからね」と、お七は言う。
(相変わらず、たくましい商魂)。

「なによお、怖い顔して。猫ちゃんは福を招くのよ。大事にしてあげれば大量の福がやってくるかもよ?」
(福?)
猫見屋から帰る久太郎の手には、瓶に入った、にゃー飯があった。

(結局、買わされてしまった。商売上手な奴め)。
「ほら、にゃー飯だ」。
久太郎は野良猫たちに、皿に盛ったにゃー飯を差し出した。

猫たちはグルグル言いながら、食べ始めた。
久太郎の顔も、ほころぶ。
「ほら、お前も食え」。
玉之丞にも声をかけたが、玉之丞は動かない。

(む、無視かよ)。
にゃー飯がなくなった猫たちが、鳴き始めた。
(もうない?まったく、どんだけお腹すいてるんだよ)。

一匹の猫が障子に手をかけ、穴が開いた。
(くっ、こら!)
久太郎が抱き上げ、やめさせる。

(まったく、油断も隙もない…)。
猫たちは、満足そうだった。
(しょうがないか。高いけど)。

次に久太郎は猫たちを一匹一匹、かかえて拭き始めた。
拭きながら、斑鬼の歌を歌い始める。
♪天下の妖刀…♪

斬るべし!斬るべし!のところは、♪拭くべし!拭くべし♪になった。
一匹一匹、久太郎は捕まえて体を拭く。
(拭くべし、拭くべし!)
(結構、楽しいな)。

ふと、物陰からこちらを見ている玉之丞と目が合う。
(んん?)
(もしや、嫉妬してる?)
そっと、覗き込む玉之丞。

久太郎が玉之丞に気を取られた瞬間、水音が響いた。
(お、おのれええ)。
抱えていた猫が、久太郎のはかまで粗相をしたのだ。
怒ろうとした久太郎に、お七の声が蘇る。

「根気良く、絶対に怒っちゃダメよ!」
(忍耐、忍耐)。
玉之丞と目が合う。
(そんな目で見るなよ)。

次に久太郎は猫たちを抱え、目の前まで顔を持ってきて名前をつけ始めた。
(少々不細工だな。お前はブサカワ)。
(よし、次はお前か。お前は…)。
久太郎は、ジッと猫を見る。

(豆大福。大福。お前は大福だ。うん)。
(ようし。次は…。うん?あれ?)
玉之丞が、たんすの上にいない。

(あれ?玉之丞?あいつ、どこに行った?)
久太郎は外に出る。
辺りを見回すが、いない。
(まったく…)。

(どこへ行った?)
玉之丞は、長屋の横の木の上にいた。
「玉之丞。そこで何をしておる」。

「にゃーん」。
(まさか、降りられんのか)。
「にゃっ、にゃっ、にゃっ」。
玉之丞が、小刻みに鳴いた。

久太郎は樽の上に乗って、玉之丞を木から降ろした。
「世話の焼ける奴だ、まったく」。
そう言いながら、久太郎はうれしそうだった。

玉之丞を抱えて、部屋に戻ろうとした久太郎は(ちょっ!まずい!)
あわてて身を隠す。
道の向こうから、菊乃がやってくる。

「斑目様、いるかい?」と、菊乃が久太郎の家の前で声をかける。
(大ピンチ!)
久太郎は抱えている玉之丞に、人差し指で「しー」と黙るように指示する。

「失礼するよ」。
菊乃が、久太郎の家の戸を開けた。
次の瞬間、「ぎゃああああーっ」と言う菊乃の声が響いた。

菊乃が呆然として、後ずさりしていく。
「しっ、しっ、しっ!」
(三十六計、逃げるにしかず!)

「何してんのよ!それで逃げてきたってわけ?」
猫見屋に避難してきた久太郎に、お七が声を上げた。
(声高っけー)。

「猫ちゃんたち、処分されたらどうするの!」
(処分…)。
それを聞いた久太郎は、走って長屋に戻る。

戻ってきた久太郎を見た菊乃は「あ、斑目様」と言った。
「悪いことしちまったね。野良猫が舞い戻って来ちまって、大変だったでしょ」。
「ね、猫は」。

「もういないよ。安心しておくれ」。
「ど、どこに!」
「扇屋」と、菊乃は言った。

「角の扇屋の旦那さ、大の猫好きでさ。相談したら全部ひきとってくれたよ」。
(猫好き…)。
「お詫びに家賃ちょっとおまけしておくからさ」。
(おまけ?)

夕暮れ。
長屋では、おかみさんたちがご飯の用意をしながら、談笑している。
玉之丞を膝に、久太郎は縁側のほうを見ていた。

「2人だと静かなもんだな。玉之丞」。
玉之丞は、落ち着いていた。
雪の舞う中。
久太郎は、扇屋の前にいた。

にゃおんにゃーおんと、確かに店の中から猫の声がする。
久太郎は「扇屋」と書かれた大きなのれんのある店の前に、持ってきた風呂敷を置いた。
そして「にゃおん!」と、不器用な声を出した。

番頭が、やってくる。
久太郎は身を隠し、陰から見ている。
番頭が、風呂敷を解く。

中からは、瓶が出てきた。
瓶の上には、「猫のご飯 猫飯 滋養満点」と書かれた紙があった。
「旦那様!」
驚いた番頭が、店の中へ走る。

ほっとした表情の久太郎。
玉之丞が1人、長屋で待っている。
久太郎は、街を行く。

ぼろ長屋 くつろぐ猫の福招き てんやわんやの始まり始まり



ぎゃー、かわいい。
かわいい。
連発して30分。
パワーアップした猫侍。

あなごさんのかわいさも、パワーアップ。
久太郎と撮影に慣れたのか。
安心して、いろんな表情をしているように見えます。

前回は自分の心の動きにうろたえながら、玉之丞に惹かれて行く久太郎が描かれました。
今回はもう、玉之丞にはラブラブ状態を隠さなくて良いし、玉之丞も久太郎にラブラブから始まっています。
だから今回はラブラブの2人に起こる、いろんなことが描かれている展開です。
楽しい。

そしてご祝儀?
たくさんの猫が登場。
猫たちのマイペースぶりが、よくわかっておかしかった。
障子を破って猫が部屋の中に行進して入って来るのにも、笑った!

「ブサカワ」って名前、あんまりじゃないですかー、って、でもかわいいの。
豆大福も、かわいい。
また出てほしいぐらい、かわいい。

それでもって、どう見ても洋猫って感じの猫が混じっていたのも、北村さんが言う「ぶっとんだ猫侍」なのかな。
「ピンチ」なんて言っちゃうのも、「もはや時代劇でもなんでもない猫侍」なのかも。
これはこうやって、突っ込みながら楽しんでしまう。
菊乃も猫禁止!と言いながらもちゃんと猫好きの扇屋さんに相談したり、引き取ってもらったり、良い人なんじゃないか。

今回、一番笑ったのは、アドリブ?
久太郎の横で、思いっきりケンカする猫。
斑鬼さんがビビって、肩を避けてます。

終わったと思ったら、もう一度。
気が済まなかった猫が、ふすまに張り付くようにして後退している猫に向かってまた一発猫パンチ。
ぎゃー、ぎゃー。

本気です。
久太郎の邪魔どころじゃありません。
まったく、撮影の都合とか考えない猫。
北村さんも止めようか、どーしようか悩んだ?

あの猫、机の上に座りたかったんだろうな。
どかされて、八つ当たり?
いや、笑った。

木の上から降りられない玉之丞だけど、猫って甘えるとああなったりする。
久太郎も何か、うれしそう。
やっぱり2人はラブラブ。
本命は玉之丞!

久太郎の本当の姿を知っているおかみさんは、怖がらない。
それどころか、久太郎に菊乃の登場を知らせたりしてる。
久太郎を見ている同心が、今回の久太郎と絡む同心ですね。

お七は、美しさパワーアップ。
会いたかった~って言われて、思わず久太郎もドキッ。
当たり前のように、玉之丞に対してですが。
抱っこされている玉之丞、絵になる2人です。

しかし、にゃー飯が5両って大変。
それをあげてきちゃう久太郎って、本当に優しい。
福が来るって言われて、早速、家賃がおまけされてる。

久太郎の心の声の、北村さんの口調がほんっとーに!おかしい。
おかしさが文面だけでは伝わらないのが、もどかしい。
北村さんは、かなりの芸達者さん。
玉之丞とのコンビは、見ていて幸せな気分になる。

あ、「どにゃつぼう」若菜がいなかった。
きっと、どにゃつぼうが当たって、どこかに店を出したか、呼ばれて行ったんだ。
そうだ。
今で言うドーナツのようなお菓子が、江戸時代にもあったらしいから、きっとどにゃつぼうは成功してるんだな。

次回予告も、相変わらずおかしい。
「新世界の果て」。
玉之丞をバックに「うなぎが食べたい!」の文字。

「仕事をお探しですか?」
おお、モト冬樹さんだ。
「美少年」
「誘惑」って何!

パワーアップしたのは、オープニングも
同様。
でも曲は同じで、アレンジが変わってるところがうれしい。
劇中音楽は、知ってる曲なのもうれしい。
エンディングが同じなのも、うれしい。


CMまで

「猫侍」の前に北村さんがやってるCMが流れました。
爆笑。
布団、寝具のCM?

いや、あのスタイルが絵になって、笑いになるというのが北村さんだなあ。
北村さんの右に出る人は、いない。
すごい楽しませてくれるな~。
CMまでニクい、「猫侍」…。