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人間なんてのは大体が嘘つきなんだよ 「暗闇仕留人」第24話

第24話、「嘘つきにて候」。


しじみ売りの少年・佐助は中村家でせんとりつに、「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれますよ」と叱られる。
ところが佐助は「この前抜かれた舌が、生えてきました」と言いのけ、せんに「子供の癖に末恐ろしい」と言われるような少年だった。
佐助のしじみを買ってくれる米問屋「備前屋」では、主人の大八が火事で焼け出された人々に食事を振る舞っている。

一生懸命働けば、お天道様は見ていてくれる。
必ず、報われる。
人間の本当の勇気は、人の為に何かができることだ。

その言葉を聞いた佐助は、大八に尊敬のまなざしを送る。
大八は先代の主人の妻のよねに、食事を運んでいく。
よねは気が触れたということで、座敷牢にいるのだった。

町で芝居小屋の為に絵を描いている貢は、大吉と外で飯を食っていた。
佐助が忠臣蔵の芝居の絵を見て、「ちぇっ。吉良の殿様はいい殿様なんだ。忠臣蔵の芝居は、でたらめだよ」と言う。
貢のところに来て、「ねえ、絵描きさん、あんた、嘘描くのかい?おいら、三州の生まれで知ってるんだ。吉良の殿様は良い殿様でね、赤穂の殿様はケチなんだよ!」と言う。

貢は笑って、「本当はそうだったかもしれないなあ。でも本当のことは本当のこと。芝居は芝居じゃないか」と言う。
描き直しなよと佐助は言うが、大吉も「固いこと言うんじゃねえよ」と笑った。
その時、数人のならず者に、若い女性が追われて来た。
女性は助けを求めるが、誰も助けない。

大吉に女性がしがみつくが、ヤクザ者は「余計なことするな」と言う。
佐助が「かわいそうじゃないか」とかばおうとするが、ヤクザに突き飛ばされ、足を強く打ってしまう。
女性はなおも逃げようとしてヤクザに捕まるが、貢も大吉も表立って目立ったことができず、見て見ぬ振りをするしかない。

その時、佐助の頭に、大八の「人間の勇気は…」という言葉が蘇った。
決心した佐助は天秤棒を持って、「やめろ!」とヤクザ者に向かって行った。
女性を逃がした佐助は、ヤクザ者に袋叩きにあう。
大吉が見ていられず、立ち上がった時、佐助は通りかかった大八に助けを求めた。

だが大八は無言で佐助を振り切ると、歩いていく。
佐助は叩きのめされてしまった。
貢が声をかけると、佐助はフラフラと立ち上がる。

大吉が「大丈夫か」と声をかける。
佐助は「大人なんて、大人なんて嘘つきだ!」と言って、絵に絵の具をぶちまけて壊す。
「嘘つきだ!嘘つきだ!」と言って、佐助は絵に絵の具をぶちまける。

その日、よねが食事を終えて、座敷に声をかけると、座敷牢の戸が開いた。
よねは牢から出ると町に出て「助けてくれ」と騒ぐが、大八が来て、「この女は気が触れている」とみんなに教える。
そして、やってきた十手持ちの虎松に袖の下を渡し、人を追い払わせると、佐助が来る。
大吉がそれを見ているが、虎松は佐助を殴って追い出す。

大吉が茶店で、おきんを見つける。
おきんに大吉が聞いたところによると、この虎松は十手は打ち出の小槌だと言い、十手をかさにきて金を巻き上げる男だと言う。
「あれは虎松ではなく、猫松だ」とおきんは言った。
大吉は佐助のことを心配していた。

主水が奉行所に戻ると、虎松が半年前の備前屋の、前の主人の殺しを調べ直していた。
備前屋を殺した犯人は、夜烏の三次という男で、この男は島抜けをしている。
虎松が再び備前屋に現れた時、表に佐助がいた。
佐助を覚えていた虎松は、追い払おうとする。

備前屋の人足の中に、三次がいた。
三次は虎松に「自分の話を聞いてくれ」、そして「手柄にするか、儲けにするか考えてくれ」と持ちかけた。
その夜、三次を連れて虎松が絵描きの留吉を訪ねて来た。
だが留吉は今、体を悪くして休養しており、代わりにいたのは貢だった。

虎松は、ならば貢でも良いと言って、人の顔を描いてもらいたいと言う。
そして三次を呼ぶ。
手ぬぐいを取った三次の顔を、貢は凝視する。

その翌日、佐助は備前屋に入ると、座敷牢まで踏み込み、しじみをばらまいた。
大八にもしじみをぶつけ、金はいらない、施しだと言って出て行く。
「ざまあみろ!」と言うと、「おいしそうなしじみだろう」と座敷牢のよねにも、大八にもぶつける。
奉公人に「なぜこんなことをするのか」と聞かれると佐吉は、「理由は旦那様に聞いてみろ」と言う。

その時、備前屋に虎松が来た。
佐助は虎松に自分を差し出しても良いと言うが、大八は「お前も気が済んだならお帰り」と言って、虎松に会いに行った。
あしらわれた佐助は、「ちぇっ」と言って見送った。

虎松は貢の描いた人相書きを手にしていた。
貢が描いたのは、この先代の主人殺しの三次だった。
この三次が島抜けして、大八に借りを返してもらおうと帰ってきていると虎松は言う。

三次の言う、借りとは何か。
実は先代の主人殺しは三次ではなく、本当は大八がやっていた。
三次は、このことをネタに、虎松と組んで、備前屋にたかろうというのだった。

その頃、よねの前で、佐助は「人間の本当の勇気とは、人様の為に何かできるということだ」と大声を出していた。
しじみをそっと回収しながら、よねは佐助の顔を見る。
虎松が大八に「よねに会いたい」と言った時、奥から大八を呼ぶ声がした。

すると、よねにしじみの殻剥きの小さな刃物を押し付けた佐助が現れ、「女将さんを返してほしかったら、大八が自分に頭を下げて詫びに来い」と叫ぶ。
虎松がどうしてほしいんだと聞くと、大八はとりあえず、よねを取り戻したいと言う。
それを聞いた虎松が、佐助の前に出る。

よねは「奉行所へ行きましょう」と言うが、佐助は大八に「出て来て謝れ!」と言って、しじみの殻剥きを振り回す。
「みんなの前で謝れ!」
やがて追い詰められた佐助は、自身番に立てこもった。

だがよねは、佐助から逃げたりしないと言う。
佐助は「女将さん、正気なんだね?気が触れてないんだね?」と驚く。
「初めから私と一緒に、奉行所に行ってればこんなことにならなかったのに」と言われると佐助は「大人は信用できない!」と答える。

自身番の前には、人が集まってきていた。
よねは佐助にはまだわからないだろうけど、「まじめ一方の番頭だった大八をあんな風にしてしまったのは、自分かもしれない」と言う。
大八はよねがほしいばかりに、備前屋の前の主人を殺したのだ。

佐助は「出て来い」という呼びかけに対して、大八が「一人だけで入って来い」と叫び、「大八の化けの皮をはがしたい」「それまでは出て行かない」と言い張る。
叫んでいる佐助の横で、よねは懐から小判を出し、佐助に「逃げて」と言った。
「逃げられるなら逃げて、幸せになってください」。
「女将さん…!」

見物人の中、貢もやってくる。
捕り方が大勢、やってきた。
それに感付いた虎松が、戸を破って入ってきた。

捕り方が来た脇を、佐助が逃げていく。
虎松は、「あの小僧ですよ」と捕り方たちに佐助が犯人だと教える。
自身番にいるよねに、大八が迫っていた。
大八は佐助が持っていた、しじみの殻剥きをよねから取り上げる。

貢と見物人たちが見ている前で、自身番から大八の泣き叫ぶ声が聞こえる。
よねに取りすがって、大八が泣いている。
「あの小僧、女将さんを殺しやがった」。

だが貢だけは何も言わず、ただ、眉をひそめて見ている。
同心がよねを殺した凶器であるしじみの殻剥きを取り、懐紙で血をぬぐう。
貢はますます、眉をひそめる。

その夜、町には捕り方が溢れた。
大吉の家に戻って来た貢が「おーい、石屋」と声をかけるが、中は暗いままだった。
すると、家に上がった貢の後ろから「灯りをつけるなよ!」と佐助が布団をはねのけて現れる。
「お前、三州の小僧だな」と、貢が冷静な声で言う。

「そんなこと、どうだっていいや!」
「お前、大変な騒ぎを起こしたな。外に出ないほうがいいぞ」。
そう言った時、大吉が鼻歌を歌いながら戻って来る。
佐助が、土間の作業部屋に走っていく。

人の気配に気づいた大吉が「誰だい」と声をかけると、貢が「ああ、私だよ」と答える。
「糸さんか、脅かすんじゃねえよ」と言って家に入った大吉に佐吉が「し、静かにしろ」と言う。
「なんだい、こりゃあ」。

「うん?例のしじみ売りの小僧さ」と、貢が笑う。
大吉も佐助を見て、「なぁんだ、おめえかぁ」と笑う。
灯りをつけようとした貢を見て、「つけるな。つけるとこいつの命ねえぞ」と大吉を刺す振りをして言うが、大吉は「ああ~、つけたってつけなくったって同じなんだよ」と笑う。
「おめえは、えれえことやりやがったなあ」。

灯りをつけている貢に、佐助は悲壮な声で「つけるな。つけるなよぉ~」と言う。
明るくなると佐助は「ひっ」と言って、顔を伏せる。
「おめえ、備前屋の女将さん、殺したんだってなあ」。
それを聞いた佐助は大吉を振り返って「ええっ?女将さんを?!」と言った。

「おいらが?」
「私ゃ、見たんだよ」と貢が言う。
「嘘だ!」
「嘘じゃない。女将さんはな、お前が持っていた殻剥きで刺されて死んでたんだよ」。

「おいらがやったんじゃない。おいらじゃないんだ。そんなはずないんだよ。だって女将さん、おいらに逃げろってお金までくれたんだよ」。
佐助は、よねに貰った金を見せる。
「しかし、備前屋と岡っ引きが踏み込んだ時、女将さん、もう死んでたんだぞ」。
だが佐助は「おいらがやったんじゃない。おいらじゃないんだよ」と言い張る。

「糸さんよ、あんた見たんだろう」と大吉が聞く。
「ああ」。
そう言うと貢は、佐助を見る。
「しかし、女将さんが殺されるところを見たわけじゃない」。

大吉は佐助に、なぜ、女将を自身番になど引き込んだのかと言うが、佐助は「そんなつもりじゃなかった」と言う。
人様の為に何かができる人こそ、勇気のある人だと大八は言ったのに、佐助が困っていた時、知らん顔をして行ってしまった。
貢も大吉も、それは見ていたはずだ。
大八は嘘つきだ。

「嘘をついたぐらいで、あんな大それたことをしたのか」と貢が言う。
「だって!」
貢は「人間なんてのはな、大体が嘘つきなんだよ」と言い、「人のことには関わりたくねえや!」と大吉は苛立つ。

その時、表からおきんの「よっ、八丁堀!」と言う声がする。
主水がずっと、大吉の家の表で話を聞いていたのだ。
佐助は怯えるが、主水が入ってきながら言う。
「小僧、外出るんじゃねえぜ。御用提灯がウロウロしてる」。

大吉は佐助が嘘ついてるとは思えない、何とかならないかと聞く。
しかし、虎松が見ていると言うし、証拠も揃っている。
佐助の無実を証明するのは、難しそうだ。
それを聞いて、佐助は大声で泣き始めた。

「おいら、もう、どうなってもいいや!でも…、おいら、何もしちゃいねえんだよ。おいらがあんなことしたばっかりに、女将さん死なちまった。おいら、おいら、申し訳なくて!」
しかし、佐助は本当にやっていない。
本当にやった奴を探し出してくださいと言って、佐助は頭を下げた。

佐助は主水によねがどこにいるか聞くと、主水は「自身番だ」と答えた。
「謝んなくっちゃ…」と言うと、佐助は「これ、置いてきます」と貰った小判を置いて外に出る。
主水がその包みを突付き、「4両へえってるぞ」と言った時、おきんが早くしないと佐助が捕まってしまうと叫んだ。
「おい、坊主!」と主水が追っていくが、佐助は「放っておいてくれよ」と走っていく。

佐助はその足で「女将さん、おいらだよ!」と言いながら、自身番に飛び込む。
主水が戻った時、自身番には虎松がいて、土間にはムシロをかけた佐助の遺体が置いてあった。
座敷にはよねの遺体と、寄り添う大八が座っていた。
虎松によると佐助は血迷って、今度は大八にまで向かって行ったのだと言う。

手こずったが、所詮は子供。
一発でぽっくりと、と、虎松は十手を拭きながら、「まあ、これも御上のご威光ってやつですかねえ」と言う。
佐助は十手で殴り殺されたのだ。
主水は黙って、ムシロを元に戻す。

大吉の家で、戻ってきた主水の話を聞いて、大吉はどうも佐助がやったとは思えないと言う。
その横で、貢は絵を描いている。
主水は大八がよねを殺す意味があるのかと、疑問に思っている。
貢が描いていたのは、虎松が連れてきた男の人相書きだった。

それを見た主水は、三次だと気づく。
全員が驚き、虎松と三次がグルだったことがわかる。
大八がよねを殺したわけが、これでわかった。

「そうか。あの小僧、誰もやったわけじゃねえんだな」。
「そうだろう、だから俺が言ってるじゃねえか!小僧の置いて行った銭だ!」
大吉が佐助の置いて行った小判を投げ出す。

さっそく、その夜、備前屋で部屋にいる大八の元に女中が、河岸の蔵に来てくれと言う人がいると知らせに来た。
これを見ればわかると言って、大八が渡されたのは、貢が描いた三次の人相書きだった。
虎松も三次に、大八が用があるからということで、河岸の蔵に呼び出されていた。
三次にかぶせた濡れ衣のことで、大八が金を出すのだと思った2人は笑っていた。

大八が蔵の鍵を開けていると、表で女が歌う声がする。
何かと思った大八が表を見に、ほんの少し、蔵の前を離れた時、貢と大吉が蔵に入る。
歌っていたのは、おきんだった。

大八を見ておきんが笑う。
おきんを見て、大八は蔵に戻り、暗い中に灯りをともす。
表で虎松が合図をすると、大八が蔵の中から戸を開けに行く。

虎松と三次が、蔵に入ってくる。
そして、大切な用とは何かと聞く。
大八の方が虎松と三次が、自分を呼び出した用は何かと聞く。
不審に思った大八が貢の描いた人相書きを見せると、虎松が自分が持っている人相書きを出して、同じものだと言う。

どうもおかしい。
だが今はそれより、金の話だと虎松と三次は言う。
三次に罪を着せて島送りにしたのだし、よねの殺しもある。
大八がいくら出すかと話をしている陰で、米俵に米を確かめる為の竹筒が差し込まれ、さらさらと米粒がこぼれ出す。

その音に大八が、気づく。
大八が金の話をごまかしているのかと思った虎松と三次だが、大量にこぼれ出した米粒の音に2人も気づく。
三次の後ろに、人影が映る。

「だ、誰かいやがるな」。
影が見えなくなる。
「誰もいるはずはない」と大八は言う。
しかし、三次と虎松は蔵の中を探しに行く。

米俵が積まれているだけで、蔵は静寂に包まれていた。
だが、三次の耳には、胡桃のすり合わせる音が響く。
しかし虎松が米粒がこぼれている俵を見つけ、三次に「これだよ」と声をかける。
一瞬、ビクッとした三次に虎松が「誰か細工しやがった奴がいるはずだな」と言う。

三次は匕首を手に、虎松は十手を手に、探し始める。
大八は座って竹筒を手に、2人を待っていた。
ピンという、貢が矢立の仕掛けを押す音がして、大八が顔を上げる。

匕首を手に、三次が進んでいく。
貢が突如現れ、三次をつかんで、大八の方に突き飛ばす。
大八が握っていた竹筒に、三次が刺される。

血に染まった竹筒を手に、大八が震え、竹筒を投げ出して逃げる。
大八が走ってきたところを、大吉が捕える。
目の前に迫る大吉の手を、必死になった大八が握って押さえる。

すると、グキリという音がして、大八の指が握りつぶされる。
目の前で胡桃が砕かれて、落ちて来る。
大吉が心臓をつかむ。

虎松は1人、蔵の中を進む。
ふと覗き込んだ先に、主水が歩いているのが見える。
驚いた虎松は、頭を引っ込める。

十手を持ったまま、歩いていくと、俵の陰に三次が倒れているのが見える。
虎松が駆け寄るが、三次が死んでいるのを見て、怯える。
貢の矢立の音がする。
虎松が、辺りを見回す。

そっと進んでいく虎松の前に、突然、貢が現れ、虎松の目に向かって矢立を振るう。
虎松が悲鳴をあげる。
貢が刃を収める。
目を押さえて虎松は走り、大八の死体につまづく。

手探りで大八の遺体と知った虎松は、声にならない悲鳴をあげながら戸口に走る。
必死に戸を開けようとしていた時、主水が虎松に近づく。
虎松の背中から、一気に刀を振り下ろす。
悲鳴をあげた虎松を、今度は正面から斬る。

仕事を終えた主水が振り返る。
貢がいる。
おきんが蔵の前を走っていく。

大吉は妙心尼に鐘がつきたいと言った。
その為に、1両持って来ていた。
主水が戻ると、せんとりつがツンツンしながら出て行く。

貢は再び、芝居小屋でかかる見世物の絵を描いていた。
鐘をつく大吉の手に、妙心尼が自分の手を添える。
2人は顔を見合わせ、笑って一緒に鐘をつく。



佐助に、すごく見覚えがありました。
すごく懐かしかった!
金子吉延さんですね。
「仮面の忍者 赤影」「河童の三平 妖怪大作戦」「どっこい大作」。

佐助、しじみ売りの少年、というより、まだ子供。
出かけていく主水に「旦那様、いってらっしゃいまし」と丁寧に挨拶するところがわざとらしくておかしい。
貢に芝居が嘘だと言って、描き直しなよと言うのでわかるけど、融通の利かないところがある。

しかし、部屋にしじみをばらまくぐらいなら、「こらー!」でお客さんを1人なくすだけだった。
何でよねを人質にしちゃったんだー!
ばかばかー。

だけど、佐助がよねに謝りに走るところは、純粋でかわいそう。
よねはもう、死んでいるのはわかったけど、佐助が殺されているのはショック。
どっこい大作が殺されてる~。

虎松役も、すごく懐かしい。
潮建志氏です。
「悪魔くん」のメフィスト、そして何と言っても「仮面ライダー」の地獄大使!

この人に似ている人を、私は知っている。
小学校の時、近くに住んでいた人だけど。
10年ほど前に小学校を訪ねたら、この人の家はまだあった!
その人はとっても気が弱い人だったけど、まだここに住んでいるんだろうかと思った。

貢と大吉が、芝居小屋の外で一緒にいるのが、個人的におもしろい。
よく一緒に遊んでるな~と。
佐助が街のヤクザにやられているのなんか、大吉は本来なら止めたかったと思います。
頭に来た佐助が「嘘つきだ!」と言って、貢の芝居小屋の絵をメチャクチャにするのを見た貢の「あちゃー」って顔がおかしい。

大吉の家に来た貢、暗い大吉の家を見て、「なんだ、『なりませぬ』の最中じゃないだろうな」って言う。
まじめな貢の言葉だからおかしい。
「あがるぞ!」と暗い中、上がりこんだ貢は散らかっていた茶碗につまづく。
「ああ~、汚ねえ奴だなあ」と言うのも、地味におかしい。

貢、それでも崩れた茶碗を元に戻していると、後ろから佐助が現れる。
それで、佐助をまともに扱わない貢。
さらに家にいるのが佐助だとわかると、「なーんだ」って感じの大吉。

そうだよね、当たりは柔らかくても、殺し屋なんだから、佐助が怖いわけはない。
佐助の話を聞いていると、おきんが来て、表で主水が聞いているのがわかるのも上手い。
「人間なんてのは大体が嘘つきなんだよ」と、貢が話す。
貢は頭がいいし、大人だから、そういうものも許容する懐の深さがある。

仕留め仕事では、蔵の中、佐助を追い詰めた男、殺した男を散々、怯えさせる仕留人たち。
さらさら、さらさら、米が流れる音が不気味。
ここのシーン、殺人鬼が潜む蔵で、エジキになる被害者のシーンに思えるほど、緊張感があって怖い。
まさに「暗闇」仕留人。

貢が手を下すのではなくて、三次は大八に刺される形になるのが意表をついてます。
意外にも、大吉の手を押し留めようと奮闘する大八。
でもその指が折れるから、すごい。

虎松が見ると、蔵の闇の中、主水がふっと見えて消えるのが不気味。
場違いなところに、場違いなものが見えるって怖い。
静寂の世界で、貢の矢立の、ピンという音が効果的。

いつ、どこから仕留人が来るか。
そして突如現れ、襲い掛かる貢が、虎松の目を封じる。
結構、残酷。

逃げる虎松が遺体につまづき、パニックを起こす。
そこを主水がバッサリ。
仕留めシーンは潮氏の動きがメインで、潮氏の演技がこのクライマックスを支えている。

最後におきんが、仕留めが終わった蔵の前を走って行く。
大吉が妙心尼に鐘をつきたいというと、妙心尼が何か勘違いして横たわるのがおかしい。
ちゃんと代金として、1両持ってくる大吉。
2人で鐘をついているのが、微笑ましい。

その鐘が響く中、せんとりつにツンツンされる主水が対照的に映る。
絵を描いている貢も映る。
佐助と、よねの供養になる鐘の音の中、ほのぼのして終わります。


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[ 2016/01/28 ] 暗闇仕留人 | TB(0) | CM(0)