昼間、10何年振りに「徹子の部屋」を見ていたんです。
するとゲストが、宗方勝己さんと奥様。
宗方勝己さんというと私が思い出すのが、「仕置屋稼業」の主水の上司!
与力の村野様です。

主水を怒る、怒鳴る、バカにする上司はいましたが、村野様は違った。
怒るというより、叱る。
しかし、主水に手柄を立てて、何とかやって行ってもらいたいと思ってる。

良い上司でした。
主水にサポートされたこともあった。
最後、左遷された主水を諭し、励ましの言葉をかけてました。

宗方勝己さんは、大病もされたようですが、とても穏やかな紳士でした。
ダンディー。
女優の奥様と仲良く、楽しい毎日を長く送っていただきたいと思いました。

スポンサーサイト
2016.06.30 / Top↑
立ち上がることもできなくなった、土曜日の夜。
休日でも診療してくれる診療所に行った日曜日。
まだまだ立つのに、時間がかかった月曜日。
安静にした火曜日。

そして水曜日。
何とか普通の態勢で起き上がれるところまで回復!
いろんな予定をキャンセルしました、とほほ。

今日はメンチカツ作れたし。
自分の体が、自分の思うように支障なく動くこと。
ありがたいことだとわかりました。
目の前のテーブルにある電話機の子機が、取れないんですから…、とほほ。



2016.06.29 / Top↑
突如、というか、原因はわかってはいるけど、昨夜襲ってきた腰痛。
立てなくて、床をずるずる横にずれながら移動。
自分の体で床掃除してるみたい。
治ったら、家中、綺麗に掃除しよう。

日曜日なんだな、今日。
も~、ネットで、近くで日曜日やってる診療所を検索。
朝、診療開始時間を待って電話。

お昼に診療してもらえた。
良かった~。
お風呂に私は、20分漬かるんですが、これが痛みを発生させたみたいです。
今回は、冷やさなきゃいけない。

腰は冷やすものじゃないと思っているから、あっためてしまった。
診療所で冷やして、1週間は通って治療することになりました。
明日も行く。

ソロソロと、ですが、日常の動きができます。
あ~、良かった。
腰痛で動けない人の気持ちが、わかった…。



2016.06.26 / Top↑
た、立てない…。
座ることもできません。
腰が痛い!
まずい…。


2016.06.25 / Top↑
19歳、いや、20歳になる家の猫が、昨夜というか、日付が変わった12時28分にこちらの世界から旅立ちました。
4月、5月と5日ほどの入院を繰り返していました。
今回の入院は9泊10日目でした。

獣医さんが、入院費をサービスするから、しばらく預からせて欲しいとまで言って治療してくれました。
それで、今日は親戚の法事。
獣医さんにそれは伝えていました。

法事が終わり、帰宅した5時近くに獣医さんからの電話が来ました。
猫がついに動かなくなった。
帰します。
これは「看取る」ことを意味しています。

今回の入院では猫は、非常に検査の数が悪く、治療しても改善しないと言うことでした。
さらに食べない。
1日中、うつらうつら寝ている。
しかし、苦しまない。

これを聞いた時、「あっ、寿命だな」と思いました。
これは聞いた話ですが、自然死に向かっている者は、食べなくなる。
食べない内臓は、栄養が来ないため、活動をやめていく。

次に水も飲まなくなる。
すると、排泄をしなくなる。
栄養もなく、排泄もしない体は、急激に衰えて行く。

意識がなくなり、寝てばかりになる。
そして最後の臓器の心臓が、すうっと鼓動を止める。
苦しまない穏やかな死。
これを自然死と言うそうです。

医療の発達は自然に死に行こうとする体を生かすことも、できるようになった。
家にも帰れず、ひたすら耐えることもある。
苦痛を伴わないなら、看取る覚悟をすることも大切なのではないか。
この話を、思い浮かべました。

それまではもう、はた迷惑なうろたえ方、落ち込み方をしていましたが。
7時近くに猫は帰宅し、その約6時間後に息を引き取りました。
最期は、私の腕の中でした。
やはり最期は苦しかったようでしたが、私の腕の中で猫は落ち着いて、安心していたようでした。

たくさん、たくさん、大好きと言えました。
思い出をありがとう。
愛情をありがとう。
信頼をありがとう。

あなたのおかげで、私の人生は楽しいものになった。
あなたと会えなかったら、私の毎日はどれだけつまらないものになったか。
ありがとうと、感謝できました。

最期、瞳孔が開き、目が濁るまで、猫の瞳には私が映っていました。
いつものように、額にキッスすると、うれしそうでした。
もうおぼつかない手を、私の顔に向かって伸ばして来ました。
最期まで、私をじっと見つめていました。

目を閉じ、体を清めて、いつも寝ている私の隣に寝かせました。
割りと悔いはない看取りが、できました。
前の時、この猫の兄弟の猫にはかなり悔いが残りました。
2010年の秋、草なぎ剛さんが日系移民を演じたドラマの放送中でした。

あまりにつらくて、後にこの時の記事を削除してしまったほどです。
この猫のつらさがあったから、今度は悔いが残らないようにできたと思います。
あの子の経験を生かせた。
だとしたら、あの子はちゃんと生き続けていると、こちらもまた、勝手な考えですが、そうして納得しています。

ペットは天上からのお預りものだから、やがて送り返す時が来ると聞きましたが、そうなのだと思います。
神様にお返しする時が来たのだと思います。
こんなこと言って、喪失感はすごいでしょうし、寂しいでしょうし、明日なんか、いや、しばらくは号泣することでありましょうが。

でも、ありがとうありがとう。
獣医さんありがとう。
良い話を教えてくれた方、ありがとう。
不安とパニックに付き合ってくれた友達ありがとう。

猫ありがとう。
いろんなことに、ありがとう。


追伸:「自然死」「ペットはお預り」のお話の出典は、ハート出版、塩田妙玄さん「ペットがあなたを選んだ理由」の「第6章 祈り」より
さすが、お坊様!


2016.06.19 / Top↑
「聖二郎!なぜ獣のような真似をするのですか」。
尼僧の桃源院の声が、悲痛に響く。
相手は葵の紋を背負い、狼藉無法の限りを尽くす松平聖二郎だった。
剣の腕も、剣豪といって良い腕を持っている。

「必殺仕事人」、第6話「主水は葵の紋を斬れるか?」。

道場破りをした聖二郎が、外に出て来る。
「看板もらって行きましょう」。
「先生の仇」。
「叩ききってやる」。

聖二郎は、道場の看板の上を土足で歩いている。
襲い掛かる門弟たちを、看板の上を土足で行き来しながら叩きのめす。
左門が見ている。

倒れた門弟たちの刀をまとめて、防火用水に突っ込むのは、用心棒の舎熊。
葵の紋の提灯を倒れた門弟に見せ付けるようにかざして、用人の陣内が行く。
先頭には着流しの聖二郎。

「待てい!」
一人の男が刀をかざしながら、追ってくる。
「お前に俺が斬れるかな」。
聖二郎は見向きもしない。

「これが目に入らぬか」と陣内が提灯を持つ。
「葵のご紋にはむかうってことは、わかってるなあ?」
「一族郎党、死罪だぞお」と、舎熊も言う。
しかし、男は追って来た。

振り向きざま、聖二郎は刀を抜くと走りながら、男を斬った。
ものすごい腕だった。
主水たちが来る。

「おい、役人、なぜ、俺を捕まえん」。
聖二郎が言う。
「十手が泣くぞう!」
「どうだ、意地を見せて俺を捕まえるか」。

「それともこの、葵の紋をくぐるか、どちらにする?」
陣内が提灯を手に、股を広げる。
そこをくぐれ、と言うのだ。
「黙って引き下がるんですか」。

筆頭同心井沢が屈辱に、思わず、身を乗り出す。
その殺気を感じた主水は、「いけません。絶対に逆らっちゃいけません」と止める。
主水たちは地面に這いつくばい、葵の紋の提灯を持つ陣内の股の下をくぐった。

この無法を、役人たちは取り締まらない。
主水が袖の下をもらった商人が、怒りの目で主水をにらんでいる。
しかたなく、主水は袖の下を返した。

金をむしられた挙げ句、妻子を死に追いやられた恨みを晴らしてくれと、鹿蔵に頼んできた商人は、無理だと判断され、鹿蔵の前で川に飛び込んだ。
これに打たれた鹿蔵は、仕事を引き受けた。
だが主水も左門も秀も、相手が葵の紋を背負っているため、仕事は断った。

しかし意外にも聖二郎の殺しを、老中稲葉が鹿蔵に頼んできた。
子供のいない稲葉は、甥っ子の伊藤伊織を息子と思って育ててきた。
その伊織の妻が、聖二郎に辱めを受け、死んだ。
妻の無念を果たそうとした稲葉の甥を、聖二郎は斬った。

市中で主水たちを辱めた時、斬ったあの男が伊織だったのだ。
それだけではない。
秀と左門の暮らす長屋の娘の嫁入り行列の前に聖二郎は立ちはだかり、娘をさらった。
娘は殺された。

左門も秀も、嫁入り行列からさらわれ殺された娘を前にしてはもう、許せなかった。
再三にわたり、この仕事を断った主水もついに引き受ける。
「この仕事から逃げる奴は仕事人じゃねえ。元締めはそう言いてえんだね」。

仕事料は25両という大金だった。
大物の証だ。
「気をつけろぉ。相手はばけもんだぞお」。
主水は左門と秀に、そう言った。

主水たちが仕事に向かう頃、聖二郎を尼僧・桃源院となった実の母親が訪ねてきていた。
追い返せという聖二郎だったが、母はすでに部屋に来ていた。
「聖二郎、やはり、生みの母をお忘れか」。

用心棒の舎熊と用人・陣内がギョッとする。
舎熊が思わず、顔をそらす。
聖二郎は母親の顔を見て、「出て失せろ」と言った。
「出て行け」。

母は聖二郎の前に座った。
聖二郎が、刀を抜く。
母親の前に刺す。
だが桃源院は動じない。

聖二郎は舎熊と陣内に「表へ連れ出しなさい」と言った。
「聖二郎!なぜ獣のような真似をするのですか」。
尼僧の桃源院の声が、悲痛に響く。

「同じ松平家の血を引きながら兄じゃは将軍、お前は日陰の身!そんな風にした私を恨んでいるのですか!」
「聖二郎!せめて人様に迷惑をかけないような人間に!」
「聖二郎!聖二郎!」

だが舎熊と陣内は、桃源院を門前に放り出した。
「若がああ言っている。2度と来ないほうが良いよ」。
そう言って、扉を閉めた。

その直後、秀が、舎熊と別れた陣内を襲う。
壁に押し付けられた陣内はろくに抵抗もできず、秀に首筋を刺された。
酒蔵に酒を取りに来た舎熊を、左門が襲う。
刃を合わせた末、左門が斬る。

葵の紋の入った提灯が、燃えている。
暗い廊下を誰かがやってくる。
明かりのついた座敷が見える。

聖二郎が飲んでいる。
廊下から現れた主水が頭を下げる。
聖二郎が、不思議そうに見る。

市中で老中・稲葉の甥っ子を斬った時にいた、同心の1人だ。
斬ったのが稲葉の甥っ子だったとは知らなかったが、妻を辱められたために刀を抜いてきた。
だから一刀の元に、返り討ちにしてやった。

市中だったため、同心たちがやってきた。
だから同心たちを、葵の紋で震え上がらせてやった。
舎熊の股の下をくぐらせてやった。

その時にいた、同心の1人だ。
一番風采が上がらない、下っ端のようだった。
「何の用だ」。

「はい、ちと悪いお知らせがあってやってまいりました」。
「何?」
「はっ。ただいま、葵のご紋の提灯持ちが2人、なくなられましてな」。
「それで」。

聖二郎の声には、驚きもなかった。
「わたくしめ、八丁堀同心中村主水と申します」。
主水が平伏する。

「お願いでございます。提灯持ちにわたくしめを新規ご採用願えませんか」。
主水は大刀を、自分の前に横にしておいた。
その前、主水と聖二郎の間には膳がある。
これ以上ないほど、主水は頭を下げる。

聖二郎が、じっと見る。
「葵のご紋から」。
そう言いながら主水の手は、眼の前で横に置いた大刀をつかんでいる。

「月々いただく三十俵二人扶持のお手当てでは」。
平伏した主水はそっと、大刀の柄をつかみ、鞘から出している。
主水の前におかれていた、聖二郎の刀がすうっと引いていく。

入れ替わりに主水の抜き身の刀が、聖二郎と主水の間にある膳の下に入っていく。
膳が聖二郎に、ひっくり返される。
主水が膝を立てる。
聖二郎と主水、お互いの刃がはじかれる。

立ち上がった聖次郎がもう一度、刀を振り下ろす。
主水は交わす。
聖二郎は、刀の切っ先を回転させる。
「ええい!」

膝を立てたままの主水の左手に握った小刀が、聖二郎に突き刺さっていた。
主水の頭の上には、聖二郎の刃がある。
刃は主水の頭まで、降りてこなかった。

深く、もう一度、主水は聖二郎に自分の刃を突き刺す。
主水が立ち上がる。
聖二郎は主水に刃を向けたままの姿勢で、ジッと見つめる。
主水が立ち上がり、聖二郎と対峙する。

「良い奴に巡り合った…」。
聖二郎の刃は、主水の肩の上にあった。
「いつか俺を殺してくれる奴を、ずうっと待っていた…」。

聖二郎の声には、わずかだが笑いが含まれていた。
「葵の紋に、逆らう奴をな」。
聖二郎は首にも、一筋の傷を負っていた。

主水はそのまま、聖二郎を刺す。
黒い着流しに白く染め抜かれた、葵の紋が見える。
聖二郎の手が、だらりと落ちた。
目は、主水を凝視したままだった。

主水が清次郎から刀を抜いた。
「うぅ」。
聖二郎が倒れる。

刀を杖として支えながらもう一度、聖二郎は立ち上がろうとする。
そしてなおも振り返り、主水に向かって刃を閃かせた。
だが主水は一気に、今度は右手の大刀で聖二郎を斬った。
さらにもう一度、横殴りに斬った。

聖二郎が、うずくまる。
主水は両手に刀を持っている。
両手に刀を持ったまま、部屋の奥に歩く。
ろうそくの炎を吹き消す。

聖二郎は暗闇の中、1人残った。
「母上、これで良いんだろう」。
そう言うと、聖二郎は動かなくなった。
暗い、部屋の隅で。

数珠が飛び散る。
聖二郎の母・桃源院は、門前で自害していた。
秀と左門が、主水を待っている。
主水が来る。

「門の前を見たか」。
左門が聞いた。
「あんまり気にするな。後味の悪いのはお互い様だ」。
「人にはそれぞれ、いろんな生き様ってもんがあるんだ。じゃ、けえるぞ」。

主水が去っていく。
先ほどの激闘を、微塵も感じさせない口調だった。
左門と秀も帰って行く。



松平聖二郎は、目黒祐樹さん。
やっぱり、すごく良いね!
葵の紋が入った、黒の着流しがお似合いです。
裾裁きも綺麗。

すばらしいのは、道場破りをして取り上げた看板の上を歩くシーン。
一直線に線を引いたようにまっすぐ、歩く。
端まで行くと、引き返す。
この所作が、すごく綺麗。

着流しの裾のさばき方も、綺麗。
殺陣はやはり、さすがの迫力。
さすがだなあと思いながら、見ていました。

無法をしても、それで聖二郎の心が休まるわけではない。
聖二郎の兄が将軍であり、自分は日陰者であることは変わらない。
兄にこの気持ちも、感情もぶつけることはできない。

自分の根本が解決しない限り、人にぶつけても解決はしない。
心は荒む一方。
しかし、そんなことは他の人間には何一つ、関係がない。

そんなことに巻き込まれた人間が、納得できるはずはない。
聖二郎がやったことは決して許されない。
市中の者の怨嗟のまなざし。

あれは放置したら、そのうち幕府、将軍への非難となっていくことでありましょう。
いや、聖二郎は案外、そうなってほしかったのかもしれない。
それが兄への、将軍への何よりの復讐になる。

葵の紋には、誰も逆らえない。
聖二郎は葵の紋をたてにして無法を働くが、その実、葵の紋に誰も逆らってこないことに苛立っている。
少しも楽しくない。
それは自分もまた、葵の紋の力には決して勝てないと思い知らされるだけだから。

逆らってきた相手はいても、聖二郎を斬るに至らない腕ばかり。
本気を出した聖二郎には、あっさり斬られてしまう。
誰も自分を斬ってくれない、葵の紋を地に落としてくれないのだ。

ついに主水が、闇の暗殺者としてやってくる。
対決。
じわじわと高まる緊張感。

平伏しながら、刀を抜き始める主水。
聖二郎は密かな殺気を察知し、こちらもまた太刀を引き寄せる。
交わされる主水の刃、交わされる聖二郎の刃。
刃が閃き、重なる。

これはもう、暗殺ではない。
優れた剣の腕を持つ同士の、ぶつかり合い。
初めて、初めて聖二郎は充実感を感じたのかもしれない。

勝負は一瞬の間で決まった。
一瞬で決まったようだが、それはどちらが斬られていても不思議はない勝負だった。
主水が、二刀流で対抗するほど。
そして聖二郎の武士としての意地は、最期まで主水に向かって抵抗を試みる。

一方、聖二郎は言う。
誰か、俺を斬りに来る奴を、と。
俺を眠らせる奴を待っていたのだ、と。
憎み、憎みながらも離れることができなかった葵の紋を地に落とす奴を。

「誰も斬ってくれなかった…」。
葵の紋があるゆえに。
異常に強い腕があるゆえに。

聖次郎の苦悩は、全覚の地獄を彷彿とさせる。
主水が全覚との地獄を見ていなかったら、勝てなかったかもしれない。
いや、この時の主水なら、全覚にこうして安らぎを与えられたのだろうか。

激闘の末、やってきた主水は門前で尼僧が自害していることを聞く。
左門も秀も、嫌な気分だった。
だが剣士として勝負を決めてきた主水は、あっさりしている。


さてこの回は、この後、元締めの鹿蔵とっつぁんが主水の家までやってきます。
そして、当分の間、戻らないと言う。
今回、直接仕事を依頼した稲葉に、自分がいることで迷惑が掛かるかもしれない。

鹿蔵は主水に、半吉の面倒をよろしくと言っていく。
尾張の方に大きな仕事があるから、それをして帰ってくる。
その時はまた、2~3人殺してもらいますよと言って、晴れ晴れと笑う。

この晴れ晴れさに、凄みがある。
笑顔で去っていく鹿蔵。
実に貫禄があり、大物の元締めという感じがある。

次回から、山田五十鈴さんが登場。
舎熊と左門さんの侍対決もあり、こちらの殺陣も楽しめる。
いろいろと見所ある回です。

2016.06.17 / Top↑
中川梨絵さんが、おなくなりになったとは…。
「必殺仕置屋稼業」の沖雅也さんの名作で、魔性の女・おるいを演じました。
沖さんの市松を絶望させた、中川さんのおるい。
おるいは、「必殺」史上に残る魔性の女と思います。


中川さんが、実に良かった。
哀れさ、ひたむきさの中に見え隠れする怖さ。
あの利己的な冷淡さ。
うまかったですね~!

「新・仕置人」では「正ちゃん」「正ちゃん」と正八を追い回す女性。
うって変わったコミカル演技。
もっと「必殺」でも見たかった。

ショックです。
御冥福をお祈りします。
中川さん、すばらしい演技をありがとうございました。

2016.06.16 / Top↑
「仕置屋稼業」の第11話、「一筆啓上悪用が見えた」。

南町で同心も与力も一目置く、腕利きの岡引き・佐平次。
この佐平次が駕篭かきの雲助と組んで、悪事を働いていた。
雲助が札差の女房のお栄に絡む。
それを助けた伊三郎という男が、雲助に怪我を負わせた罪で島送りとなる。

お栄は、自分のために伊三郎の一生がめちゃくちゃになったのをすまなく思っていた。
そこにつけこみ、佐平次は罠を仕掛ける。
伊三郎とお栄を不義密通に仕立て、お栄から百両を巻き上げた。

知った伊三郎は佐平次を刺そうとするが、逆に殺されてしまう。
おこうのところに、佐平次、駕篭かきの源造と辰次、そして佐平次の殺しの依頼が来る…。
佐平次の所業に、印玄は憤る。

「とんでもねえ岡引きだ!こともあろうに、雲助と組んで女をゆするなんて!」
捨三は「伊三郎って奴も、気の毒な野郎ですね」と寂しそうに言う。
市松が言う。
「他人と関わりあうと、ろくなことはねえんだ」。

主水が言った。
「人の難儀を正面から救うってのは、勇気の要ることなんだ」。
ため息に近い状態だった。
「とてもじゃねえが、俺たちにはできねえことだ」。

次の瞬間、それは怒りに変わる。
「佐平次って奴ぁ、許せねえな!」
印玄が「佐平次は俺にまかせろ」と言って来る。

だが主水は止める。
「あの野郎は、ただの岡引きとは、わけがちがうんだ」。
「だったら、俺が仕留める」。

市松だった。
「いや、おめえでも無理だろうな」。
「とにかくあの野郎は南町切っての腕利きだ。あいつを殺れば、南町は面子にかけても下手人を探し出すぜ」。

「南だろうが北だろうが、奉行所怖がってちゃ、この稼業はできねえぜ」。
「おめえには、組織の怖さってのがわかっちゃいねえんだ」。
「それにな、あの佐平次ってのは鎖帷子、着込んでやがる。今度ばっかりは、おめえの竹串も通用しねえぜ」。
「だったらなおさら、ゆずれねえな!」

主水が市松の顔を見る。
そのキッパリとした様子に「うん…」とうなづく。
小判を配分する。

その小判を持って、印玄は女郎屋に急ぐ。
市松は竹串を削る。
傍には、鎖帷子を着せた人型がある。

1人、市松は黙々と竹を削る。
先を尖らせる。
切っ先を凝視し、鎖帷子を指す。
ぴきりと音がして、竹串は折れ、先が曲がった。

印玄は酒代をはずむからと言って、渋る源造と辰次の駕籠を寺まで走らせた。
喜んだ源造と辰次は、寺に急ぐ。
寺に着くと、印玄は金を「ひとつふたつみっつよっついつつ、むっつ」と源造の手のひらに載せた。

「なぁーんでぇ」と2人が不満を口にする。
「三途の川の渡し賃だ」。
2人が「はっ?」と言う顔をする。
「おめえたちの死に場所だ」。

印玄は2人を力ずくで屋根に引っ張っていく。
「ゆけ!」
2人の背中を押す。

「やめて、とめて」。
「やめて、とめて」。
2人は悲鳴を上げながら、屋根の上を滑るようにして歩いていく。

止まらない。
「ああ~あああ!」
絶叫し、屋根から落ちる。

グキリ。
骨が砕ける音がする。
見届けた印玄は、屋根から姿を消す。
その頃主水は、医師の良庵を酒に誘っていた。

市松は…、竹串を削っていた。
竹串の先を、ろうそくの炎にあぶる。
見つめる。
水につけた。

人型に、手拭いをかぶせる。
竹串を構える。
ざっ。
刺す。

手拭いに、小さな穴が開く。
竹串は、楔帷子の穴を通過していた。
折れてもいない…。

番屋に「おまちどおさま、蕎麦屋です」と出前持ちが入っていく。
主水は番屋の前の屋台で、良庵と飲んでいた。
続いて、番屋に佐平次が入っていく。
佐平次がみんなに、蕎麦を振舞ったのだ。

「いただきます」。
番屋ではみなが、そう言って食べ始めた。
佐平次は障子に背を向けた席に、座っている。

市松が番屋の裏の路地の暗がりから近づく。
懐から竹串がのぞく。
市松が竹串を手に取る。
ちらりと、番屋を見る。

障子に映る、佐平次の影。
すっと竹串の先が、障子を縦に切って行く。
小さな裂け目ができる。
その小さな裂け目から市松が、中を見る。

佐平次の鎖帷子の首筋が見える。
市松が狙いを定める。
一気に刺す。
竹串は、佐平次の首に刺さった。

佐平次が口を開ける。
市松は、抜いた竹串の先を見る。
血がついている。

ガシャン!
佐平次が、持っていたどんぶりを落とした。
何も言わず、前のめりに倒れた。

「親分」。
「親分が!」
「大変だああ!」
番屋は大騒ぎになった。

外で飲んでいた良庵は、「騒々しい奴だなあ。静かにせんかあ」と怒った。
主水も「せっかくの酒がまずくなるぞお」と言った。
「さ、飲みなおして」と良庵が、主水に酒を注いだ。
「ところが先生、そうはいかなんだ」。

「ボツボツ、先生の出番ですぜ」。
「え?」
主水の言葉に、良庵がきょとんとした。

「お、親分が」。
大騒ぎの番屋に、主水が入っていく。
主水を見て「佐平次親分が急に倒れたんで」と訴えた。

良庵を前に出し、主水が「先生、こりゃあ病気でしょう?」と聞く。
佐平次を見て良庵が「こりゃあ、心臓が止まっとるぞ」と驚く。
「で、病名は」。

酔いがまだ完全にさめない良庵は主水に聞かれて、「え、びょ、病名はな」とうろたえた。
「心の臓のほ、発作」。
「はっきりしとくんなさいな」。
「心の臓の発作じゃ」。

今度は良庵は、はっきりと言った。
「報告書書くんだ」。
主水が命令した。

「早くしろ。間違えねえようにな」。
筆を持ってきた男に主水が念を押すように「心の臓の発作だ」と言った。
そして、「心の臓の発作か」と、つぶやいた。
「いや、俺も気をつけなくっちゃ」と肩をすくめる。

「検屍報告書」。
与力の村野が、つぶやく。
「心の臓の発作か。中村、人の命というものは、わからんもんだなあ」。

「惜しい男を亡くしましたなあ」。
「天命とあればしかたがない」。
村野は振り切るように検屍報告書を閉じ、「中村、お前たちも佐平次の功績をよぅく習うんだな」と言った。

奉行所の表で、同心たちが佐平次の話をしている。
「人の命は本当に儚いもんだな」。
「まったく良く働きましたな」。
「奉行所の名物男」。

「では!」
主水が手を上げ、去っていく。
「亀吉!」と、岡引きの亀吉を呼ぶ。

「だんな、これを見ておくんなさい!」
亀吉が襟を開け、佐平次の着ていた鎖帷子を自分も着ているのを見せる。
それを見て主水は「おめえ、腹でも壊したのか」と言う。
「へ?」と亀吉が言う。


この11話、話自体は基本的な悪を滅ぼす仕置屋の話です。
でもこれ、いろんなところに壷にはまる見所があるんです。
まず、仕置き前の合議で主水たちが見せる憤り。

基本的にみんな、正義感が強い。
印玄は怒っている。
捨三は、伊三郎の運の悪さを嘆いている。

市松の「人と関わるとろくなことがない」も、市松が実は困っている人を放置できないから。
「幽鬼が見えた」では、酔客に絡まれた依頼人をどうしても放置できない。
自分を呪うように目を閉じ、酔客をぶっ飛ばしに行く。
そしてもめる。

トラブルは避けなければならない。
しかし見過ごせない。
だから、関わってはいけないのだ。

主水の言葉も良い。
いかにも、表の役人としての正義に失望した主水らしい。
「人の難儀を正面から救うってのは、勇気の要ることなんだ」。

奉行所同心、正義の施行者の主水はこの難しさと勇気を、身にしみて知っている。
だから、主水は仕置人になったのだ。
それでも「とてもじゃねえが、俺たちにはできねえことだ」となる。

自分たちができるのは、恨みの結末をつけることだ。
正面から、表から人は救えない。
それができたなら、仕置屋はなくていいのだ。

自分たちにできないことをして殺された伊三郎への、思い。
次の瞬間、それは怒りに変わる。
「佐平次って奴ぁ、許せねえな!」
印玄は怒りで「佐平次は俺にまかせろ」と言って来る。

主水は止める。
「あの野郎は、ただの岡引きとは、わけがちがうんだ」。
主水は知っている。

そこに反発するのが、若い殺し屋・市松。
「だったら、俺が仕留める」。
この時の主水の止め方がまた、味がある。
「おめえは組織の怖さを知らない」。

「あいつを殺れば、南町は面子にかけても下手人を探し出す」。
役に立たない奉行所の正義。
それでも組織として動く時は、怖ろしい力を発揮する。
奉行所の裏も表も、知り尽くしている主水の言葉。

さらに佐平次の鎖帷子を指摘する。
鎖帷子まで着込むということは、佐平次が自分のしていることを自覚していることでもある。
だがこの言葉は、市松に火をつけた。
「だったらなおさら、ゆずれねえな!」

市松のプライドをかけた一言。
主水はその意地と誇りを、確かに感じ取った。
だから、「うん」と言う。
市松のために主水は、飲めない酒を顔をしかめて、捨てながら良庵に付き合う。

この流れが、ほんとに見ていて気持ちが良い。
市松が竹串を作るシーンに流れる音楽。
暗がりから近づく市松と、白く浮かび上がる障子。
映る佐平次の影。

流れる仕置きのテーマ曲。
暗がりに浮かぶ、市松の美しい顔。
竹串の切っ先。

市松は、障子をすっと、切り裂く。
ほんの少しの隙間に、目を凝らす市松。
見事に刺さる竹串。

仕留められる大木さんの演技も最高。
抜いた竹串の血を確認する、市松。
怖ろしくもすばらしい、プロの殺し屋のプライド。

市松のプロ根性は、第20話でも炸裂します。
最後の疾風の竜と会った時の、お互いを認める視線。
この話もすごかった。
そしてこの時も主水の、市松への最高のサポートがあります。

さて、番屋の騒ぎを背に、主水がしゃっきりする。
今度は主水のテーマ曲が流れる。
主水だ。
主水がいるから、主水の関わった裏稼業はいつもちゃんと成立するのだ。

いつも、主水が鍵なのだ。
コミカルな演技の影に見え隠れする凄み!
結末をちゃんとつけながら、コミカルにとぼけて見せる。


人が良いのが不運を呼んだ悲劇の男、伊三郎が平泉征さん。
同心も与力も一目置く黒門町の佐平次が、大木実さん。
お栄は「子連れ狼」で拝一刀の妻も演じた清楚な美女・松本留美さん。
ある意味、ファム・ファタールにふさわしい。

ファム・ファタールといえば、この次の12話に、すごいのが出てきます。
魔性の女・おるい。
怖いですよ~。

こういうすごい魔性の女が出て来るのが「必殺」。
この当たりの仕置屋稼業の話は、名作揃い。
「仕置屋」が好きな人の気持ちが、十分理解できる名作揃いです。
市松が仕置屋仲間に心を許して来ているのが感じられます。

2016.06.11 / Top↑
主水の優しさが見える第9話、「一筆啓上偽善が見えた」。

大奥をモデルにした滑稽本を書き、お上の怒りに触れた作家・文蝶は手鎖の刑にされた。
手鎖で動けない文蝶の家に、2人組が押入る。
女房のおきくは乱暴されてしまうが、文蝶はこれを筆を折らない自分に対しての奉行所の仕業と考えた。
そしておこうに、この犯人の仕置きの依頼をしてくる。

文蝶に筆を折らせることを命じられている主水はこの依頼に渋い顔をするが、引き受ける。
女房のおきくは文蝶の本の挿絵を描いていたが、そのモデルが市松であった。
捨三が調べたところ、おきくの家に押入ったのは清太と三次というヤクザ者と判明。

だが再びおきくの前に現れた清太がおきくを誘うと、おきくはなんとその誘いに乗ってついて行ってしまった。
呆れた捨三が帰ろうとした時、おきくが殺される。
おきくは清太を自分の手で刺すつもりで、誘いに乗った振りをしていたのだった。
実は清太と三次に指図していたのは、文蝶に再び本を書かせようと尽力していた貸し本屋・孫兵衛だった。

孫兵衛は文蝶ら、お上にとって都合の悪い人間を見張る隠密廻りだったのだ。
しかし孫兵衛は隠密廻りの一方、売れっ子になった作家が増長しないようにひどい目に遇わせ、版元から金をもらっていた。
仕置屋たちが、動き出す。

三次は印玄が屋根から突き落とした。
そして、孫兵衛が文蝶に本を書かせている現場に、主水が踏み込む。
「その目つきや身のこなしは、只者じゃねえと踏んでたんだ」。

孫兵衛が、ため息をつきながら言う。
「文蝶さん、諦めましょう。運がなかった」。
孫兵衛に累が及ぶのを怖れた文蝶が言う。
「中村はん、わいが悪いんですわ。わいがこの人に頼んで、書いてもらいましたんや」。

「うるせえ!」
主水は孫兵衛に「立て!」と言う。
そして孫兵衛の懐から、十手を出す。
「何だ、こりゃ」。

文蝶が目を丸くする。
「ま、孫兵衛さん?!」
「文蝶、おめえも人が良すぎるぜ」。

主水はそう言うと「番所で訳、聞かせてもらおうか」と孫兵衛を連れて出て行く。
人気のない路地に来た孫兵衛は「てめえ、やっぱり昼行灯だな」と言った。
「俺を誰だと思ってやがんだ」。
「誰とも思っちゃいねえ。根性の曲がった隠密廻りだ」。

「何い!」
「やり過ぎ」。
主水は言った。
「やり過ぎだよ!」

孫兵衛は隠密の使う道具の紐を出すと、主水の刀の柄にかけ、刀を奪った。
その刀で主水を斬ろうとしたが、主水がそれより早く小刀を抜いた。
主水が孫兵衛を刺す。
取り返した刀で、今度は孫兵衛を上から斬り降ろす。

清太は孫兵衛に匿われた部屋で、文蝶の本を読んでいた。
「お、おもしれええ~!」
もう、夢中だった。
次々、ページをめくる。

「文蝶の奴、書きやがったなぁ!」
忍び寄る市松に、清太は気がつかない。
清太が見ているページに挿絵がある。
それはおきくが市松をモデルに描いた挿絵だった。

市松は清太の首筋に向かって、竹串を降ろす。
深く、首に刺す。
清太は文蝶の本に顔を押し付けて、息絶えた。

翌日、主水は与力の村野に今度の件を丸く治めたことで誉められていた。
だが、報奨を期待する主水に村野は「文蝶は筆を折ったのか」と聞いた。
「それまでお預けだ!」

褒美をお預けにされた主水は、女房の墓参りをしている文蝶に会う。
「町方にも、ええ人はおるんやな」。
主水を見た文蝶はそう言った。

今度の件は、文蝶に被害が及ばないよう、主水が収めた。
それを聞いた文蝶は「すんませんな。おおきにおおきに」と礼を言う。
「じゃあおめえ、筆折ってくれるんだな!」
「へい」。

「世の中は持ちつ持たれつだ!」と、主水が喜んだ。
だが次の瞬間、文蝶は「折らしまへん!」とキッパリと答えた。
「ええーっ」。
主水が思わず、顔をしかめる。


仲間同士の集まりといった感じから始まった「仕置人」、義兄弟の「仕留人」。
しかし「仕置屋稼業」の主水には、おこうという仲介役がいる。
だからプロとして、依頼人に感情を動かされながらも、立ち入ることをしないようにする。

さらには、市松という存在がある。
市松に対して、馴れ合いは許されない。
若い市松に対しては、大人としての対応をすることもあります。

確かに捨三とは旧知の仲のようですが、仕置屋としてかなり厳しく接することもある。
たまに捨三はぶっ飛ばされてますから。
この中で、印玄は潤滑油みたいなところがありますね。
そして主水は、依頼人に対して感情は動くが、立ち入りはしない。

文蝶は寺田農さん。
寺田さんが珍しく、コミカルな被害者役です。
この後、寺田さんは25話で今度は仕置きされる側を演じます。
同じ人とは思えないほど、軽く、飄々として悲しい。

孫兵衛は、長谷川明男さん。
隠密廻りとして、文蝶を懲らしめるために罠を仕掛けたんでしょう。
しかし版元からもお金をもらっていた。

これが単にずるい男…というより、文蝶という男を苦しめてやりたいからやったように見えます。
文蝶が嫌いなんじゃない。
成功した男が嫌い、憎い。

仲の良い女房との暮らしを壊してやりたい。
何だか、そんな風に見えるんです。
だから主水が「根性の曲がった隠密廻り」と言ったんじゃないでしょうか。
長谷川さんの不気味な演技が良いです。

主水の「やり過ぎ!やり過ぎだよ!」が、まるで「飲み過ぎ!」と言っているような軽さ。
その口調と「根性の曲がった隠密廻り」に軽蔑と怒りが見えます。
主水だって、ちょいちょいと袖の下を要求します。

でも役目を使って、人を苦しめるようなことはしません。
それは主水が最も嫌い、軽蔑する行為。
だからこの隠密廻りを、軽く扱ってやるんでしょう。
それでいて主水は、隠密廻りの技など通用しない腕を見せる。

自信満々の隠密廻りが、あっさり斬られる快感。
中村主水の情け深さ、それでいてそれを見せないところも含めて、カッコいい。
最後に筆を折らないと言われ、ガックリ来るところまで、緩急がきいています。

そして市松。
こりゃ、モデルにもなりますよ。
どういう人物のモデルかな。
隣に美女が描かれてるけど、やっぱり色男なんだろうな。


2016.06.07 / Top↑
ギャグとシリアス。
「仕置屋稼業」は、バランスの取れた構成だと思います。
それは主水と市松という、キャラクターの構成もかなり影響しているのではないか。

さらに「仕置屋稼業」の見所のひとつは、やはり市松。
市松の心情を見るところにある。
そう思った、第11話「一筆啓上姦計が見えた」。


市松は、天涯孤独になった小太郎を育てると言った。
「おめえのオヤジが、おめえを育てたようにか」。
「違う!」と、市松は反発した。
「あの子はちゃんと堅気にする」。

「へへへへ。やめろ、やめろ」と、主水は笑った。
子供をほしがっている大店がある。
そこにやった方が、あの子のためだと主水は言った。

「余計なお世話だ」。
「うん、じゃ、ま、ゆっくり考えるんだな」。
この時にもう、主水は、全てわかっていた。

小太郎の親を殺した男たちを神社でお百度を踏む、りつに目撃されないように仕置きする。
仕置きを終え、すっかり明るくなった竹林を通り、市松が帰って来る。
戸を開こうとした市松は、見た。

小太郎が、市松のように竹串を研いでいる。
振り向いた小太郎は、床を這う蜘蛛を見た。
竹串を構える。

カーン。
音が響く。
小太郎の下ろした竹串は、蜘蛛を指し貫いていた。

それを見る小太郎の目。
何の感情もない目。
殺し屋の目だ。
未来の小太郎が、透けて見えた。

愕然とし、後ずさりしていく市松。
「門前の小僧、習わぬ経を読む、だ」。
主水の声が響く。
ハッとする市松。

「あの坊主、手放すなら今のうちだ」。
「わかった」。
掠れた声で、市松はそう言うだけで精一杯だった。

このシリーズは、若い市松に対して、主水の大人ぶりが目立つ作品でもあります。
「仕置屋稼業」の主水は、力が抜けているところと力が入っているところ。
熟練したところと、熱い部分が交互に見えます。
それはやはり、若い殺し屋・市松の存在があるからでしょう。

ラスト。
子供の中に、過去の自分、未来の殺し屋を見た市松。
己の怖ろしさと罪深さを思い知った市松の表情が、絶品です。


2016.06.06 / Top↑