断捨離中…。

回線の工事が入るのをきっかけに、断捨離中。
年末に大規模な断捨離はしましたが、もっと思い切ってやってます。
本が捨てにくいですね。

服はもう、ほんとに思い切って処分。
靴も思い切って処分。
かなりスッキリしましたが、まだ残っている部屋が…。
そこは本来は自分のテリトリーではなかったんですが、今は自分がやるしかない状況。

出すゴミ袋の大きさ、数。
ご近所さんは、何やってるんだと思うことでしょう。
きっと今年の年末の掃除は、楽だ。
楽なはずだ!

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せめて切腹

楽しみにしていた「必殺仕事人2016」が放送。
今回、すご~く期待していたのは、安田顕さん。
期待以上に良かった!
悪役、すごく良かった!

動かない視点が、人を人と思っていない感じを出している。
剣の腕も立つ!
選ばれた人間であるという傲慢さ。
プライドの高さがビシバシ伝わってくる。

最後に、勝負に勝った笑みが歪んでも、せめて切腹と口にするほどのプライドと勝手さ。
悪役は、こうでなくっちゃ。
仕事人って勝負してるんじゃないからね、暗殺だからね。

安田さんを、今度は仕事人サイドで見たい!
裏の顔と表の顔。
二面性があるキャラクター、ハマると思うんです。

あと、出番は少なかったですが、遠藤憲一さんの殺しのシーンは良かったです。
相手が言い訳するのに対して、「事情知らないし」「金少ないし」「早く帰りたい」。
このビジネスライクさ、標的への非情さ、常識はずれなところが、すごく無頼で裏稼業の人っぽかった。

寺島進さんも、良かった。
小五郎の同僚の、平和な日常に登場していたレギュラーが、非業の死を遂げる酷い展開。
容赦のなさが、必殺だなあと思いました。

被害者が、都合で登場した1回限りのキャラクターじゃなかったですから。
娘、いや、あの一家が無事で、まだ良かった。
尾美としのりさんも、やっぱりハマってました。

うさ忠…、お頭に怒られるよ…、と、つぶやいてしまいました、すみません。
酷い展開でしたが、楽しかったです。
魅力的なキャストで、また作って欲しいです。

完全生命体

「シン・ゴジラ」のゴジラは、最初は深海魚のような生物だった。
衝撃の形態。
その水生生物は上陸し、立ち上がる。
さらに巨大化して、再上陸する。

ゴジラが生きて行動すると、人間社会は破壊される。
ゴジラがいる限り、行動する限り、人間社会は破壊される。
人間とゴジラは、そういう関係。

「シン・ゴジラ」のゴジラは、進化して行く。
それもすごいスピードで進化を遂げる。
弱点を補完して行く。
熱放射の際に、目に遮蔽膜がかかるまでに進化していた。

上空からの攻撃もブロックもした。
やがて群生化、有翼化する。
単体で増殖していくという。

しかしゴジラに人類を滅ぼす意思は、ないらしい。
吸血鬼ゴケミドロは、はっきりと人類を滅ぼすと言った。
だがゴジラは、数々の侵略者と違って、意思を持って破壊をしているのではないらしい。
まずゴジラに意思があるかが、不明だ。

おそらく、感情はないのだと思う。
ゴジラについては、ほとんどのことがわからない。
だから倒す方法がわからない。
しかしゴジラがこのまま進化することは、日本そして人類が滅びるということ。

日本の必死な抵抗、攻撃はすべて通用しない。
対してゴジラからの攻撃は、防御不可能。
何かを食べているわけではないから、飢え死にさせることもできない。

対策・手段がどんどん塞がれ、なくなって行く。
全ての手段は、予想もつかない手で返されて来る。
全てが人間の想定の上を行く。
想定外の生物。

エイリアンの「完全生命体」という言葉が、頭をよぎる。
ゴジラについては、何もわかっていない。
ただ、このままでは、自分たちは負けることだけはわかっている。
このままでは確実に日本が滅びることは、わかっている。

やがて日本だけではなく、人類が滅ぶだろう。
核兵器は不明だが、それ以外の既存の武器では対抗できないことはわかった。
だからその前に人類世界は、日本を滅ぼしてもゴジラを仕留めようとする。
そして日本は間一髪で、ゴジラとの勝負を引き分けに持ち込む。

だが、最後のシーン。
やっぱり人類は、ゴジラによって滅びるしかないのか。
間一髪で、それは阻止されたのか。

「シン・ゴジラ」のゴジラは、最後まで日本を、人類を滅びの予感から完全に解き放たない。
このゴジラは、完全生命体。
人類を滅びへ導く完全生命体だった。



「いろはの『い』の字は何てぇの?」 翔べ!必殺うらごろし 第3話

第3話、「突然肌に母の顔が浮かび出た」。

針の行商に行くというおばさんに、先生は売れないよと言った。
何か妙なことが起きそうだ、とも言った。
探している子供に会えるのかとおばさんは言ったが、そうではないらしい。

空腹のあまり、正十と若は畑で野菜を盗んで食っていた。
「芋泥棒!」という声がして、百姓に若い侍が追われていた。
「ただ、休んでいただけだ」と侍は言う。

正十と若が飛び出してきた。
早速、正十は百姓に「捕まえてやるからいくら出す」と聞いたが、その途端、正十の懐から盗んだ芋が落ちる。
かわって今度は正十が追われた。

芋泥棒と間違えられて追われた若い侍は、真之助といった。
「頼りない歩き方…」。
真之助がフラフラ歩いているのを、おばさんが見る。

疲労のあまり、倒れた真之助は子供の頃を思い出す。
「そなたは私を殺す目をしている」。
そんなことを言っては、幼い息子の真之助を遠ざけていた母親。

その病を治してくれると言って、旅の修験者・弁覚とその一行・千手坊と自光坊は真之介の家に入り込んだ。
結果、美しかった妻は弁覚に陵辱され、連れ出された。
弁覚を追ってきた父は斬られてしまった。

うなされている真之助の胸に、母の顔が光とともに浮かび上がる。
やがて、真之助は目覚めた。
おばさんが介抱してくれていたのだ。
「母親を探しているのか」とおばさんは聞き、「親と子は会えるほうがいい」とおばさんは言った。

真之助は母親を探し、父親の仇を追っているのだ。
身の上を知ったおばさんは、真之助に食事を食べさせた。
何年かけても会えるかはわからないし、返り討ちに遭うかもしれない。
真之助は、例え生涯をかけても母親と玄覚を探し出すと言う。

返り討ちにされた、その時は死んでいくだけだと言う。
同じく息子を探しているおばさんは仇を探してやりたいと言うが、正十は「金にならない、真之助の探す者を探せない先生は修業不足だ」と茶化す。
おばさんは正十をたしなめるが、先生は正十の言う通りだと言う。
先生は真之助の母の心の叫びを聞こうとしたが、途中で切れてしまうのだと言う。

息子が母親を思う気持ちより、母親が真之助を思う気持ちのほうが弱いのかもしれない。
それを聞いたおばさんは、「そんな母親なんか、日本中に1人もいやしないよ!」と怒る。
「1人もいやしないよ…」。
先生はおばさんを見つめる。

真之助は翌朝、外で剣術の練習をしている。
若が真之助の刀に向けて、棒切れを投げる。
棒切れをはじいた真之助に若は笑って「やるじゃねえか」と言う。

若は「敵討ちと言うが、本当は母親に甘えたいだけではないのか」と言った。
「男と逃げた母親が、いつまでも亭主やガキのことを思っているはずはない」と乱暴なことも言う。
「母はそんな人じゃない!」
若の言葉にカッとなり真之助は、刀を抜く。

だが、すぐに刀を収めてしまった。
「ケンカはせん。女相手に」。
「何だとぉ?!おいら、女じゃねえや!」
真之助の言葉に、若はカッとなる。

「お前も地獄を見て来た、かわいそうな女だ」。
真之助の言葉に若は、激高する。
「うるせえ!」

若は棒切れを手に、真之助に殴りかかる。
「お前の母はお前を裏切ったのか!だから母を慕う俺が憎いのか!」
真之助の言葉に「お袋がなんだってんだ!」と若が叫ぶ。

若は真之助を追い掛け回す。
棒が真之助の背中に当たる。
だが「これで気が済んだか?」と静かに言う真之助を見て、若は「…男だな、お前」と呆然とする。

その頃、おねむは御札を売り歩いては「いらない」と言われていた。
若がおねむを見つけて、「どこに行ってたんだ」と聞くと、「あたしはずーっと食べて寝て、のんびりしてた」と答える。
「この世の中を極楽のように思ってやがる。うらやましいよ!」
寝転がったおねむの赤い帯に、顔が影になって見えない母の姿が映るのを真之助は見る。

「母上、ここにおられたのか」。
お堂で寝ているおねむの手を真之助は取る。
それを見た先生とおばさんは、おねむを起こす。
「良く見ろ、これはお前の母ではない」。

先生は真之助の前に手をかざし、しっかりと母の面影を浮かべろと言った。
白い闇の中、母親の笑顔が浮かんでくる。
先生は目を開けと言って、そのまま母親の顔を思い浮かべるように言う。
そして眠いと言うおねむの肌をあらわにし、背中を見るように言った。

おねむの肌に真之助の母の顔が、ぼんやりと浮かぶ。
想念が人の肌に映る、肌絵、フィルモグラフィーという現象。
それを基に先生は母親の似顔絵を描き、若と正十に渡した。
これで母親が見つかるかもしれない。

正十と若は、博打に行く。
嘘のように当たった正十と若の前に、弁覚が現れた。
弁覚ににらまれて、気持ちが動揺した正十は勝負を切り上げ、若と飲みに行くことにした。
若と正十が去った後、賭場では弁覚たちが暴れ、全員斬り殺して掛け金を奪って逃げた。

御札を売り歩いていたおねむは料理屋の前で、志乃という女に呼び止められる。
おねむから御札を買い求めようとした志乃だが、弁覚が現れ、余計な金を使うなと札をおねむに放り返す。
料理屋に入った弁覚は志乃を借りると言って、2階に連れて行く。
「気味の悪い男だよ」と料理屋の女将は、弁覚を見送る。

志乃はいつか必ず弁覚の寝首をかき、夫の仇を討つと言うが、弁覚は志乃をとりこにしている自信に溢れている。
弁覚は「そろそろ息子が敵討ちに現れる頃だが、外道に落ちた母親も一緒に討つだろう」と言う。
「安心しろ、その時は返り討ちにしてやる」。

正十と若は、料理屋で酌婦としてやってきた志乃を見て、似顔絵の女性、すなわち真之助の母と気づく。
「会ってやんなよ」と2人は志乃に言うが、志乃は「母親はもうないものを思ってくれ」と言う。
今の自分は母親として名乗れない。

「やっぱり弁覚と一緒なんだろう、離れられないのか」と若は言い、「親の心子知らずと言うが、広い世間には逆もあるんだ」と皮肉を言って去っていこうとする。
その時、志乃は去って行こうとしていた正十を呼びとめ、真之助に渡してくれと言って、小判を渡す。
料理屋を出た正十は「おい、あの人泣いてたぞ」と若に言う。

先生は真之助に仇討ちの訓練をしていた。
相手は妖術を使う、目の光に誤魔化されるなと言って、先生は真之助を鍛える。
そこに正十と若が、志乃が見つかったと飛び込んでくる。

小判を前に、志乃の「もはや母は亡き者と心得よ」という言葉を聞く真之助。
しかし、真之助は母に会うと言う。
「見たくもないものを見るかもしれない」と先生は忠告し、若も同意する。
「だが、目をそらすわけにはいかない」と真之助は出て行こうとする。

おばさんは「そうだよ」とつぶやく。
正十は小判を「これ」と指差すが、真之助は「預かっておいてくれ」と言う。
「お前、帰って来いよ」と正十が言う。
「帰ってこねえとこれ、使っちゃうぞ」。

真之助は振り向き、おばさんは微笑んで見送る。
外に出た真之助を若も追ってくる。
「気をつけて」。
真之助も若を見て、微笑み「ありがとう」と答える。

表でずっと座っている若に正十は、「何考えてる」と聞く。
「別に」と答える若に正十は「真之助に惚れた?」と聞くが、若は答えない。
真之助は志乃に会いに走る。

おばさんは先生に「どうしても気になる」、と言った。
幼い頃、真之助は母に「自分を殺す目をしている」と言われていたのだ。
先生は「それぞれの人の命、何があっても不思議ではない」と言った。
不安そうにおばさんは先生を見る。

真之助は志乃のいる料理屋へ走った。
だが料理屋では、志乃は勝手にやめたと怒っていた。
どこに行ったかわからないと言う。

その頃、志乃はどこに行ったらいいか途方にくれながら、夜道を歩いていた。
男から逃げ、息子から逃げ、志乃はもうどこへ行っていいかわからない。
道をはずれ、懐剣を手にした志乃の耳に、「母上」と叫ぶ真之助の声が聞こえる。

鐘の音がした。
振り向いた志乃の前に真之助がいた。
真之助が駆け寄ろうとした時、「命を捨てに来たのか」と弁覚が現れる。
父が斬られた時の光景が蘇る。

「討てるかな」。
弁覚の眼力に負けそうになる真之助だが、先生との練習が生きた。
真之助は弁覚を追い詰める。
弁覚を討とうとした瞬間、母親が真之助の名を叫ぶ。

一瞬、気を取られた真之助。
真剣勝負にあってはならない一瞬の隙を、弁覚は見逃さなかった。
弁覚の刃が真之助を斬り、真之助が倒れる。

「鬼!」と弁覚に懐剣を向ける志乃。
だが、弁覚は懐剣を取り、志乃を連れて行ってしまう。
真之助は最期の力を振り絞って、刀を投げた。
しかし、刀は弁覚の前にいた志乃に当たってしまう。

母親が倒れる。
もがきながら母の元へ手を伸ばした真之助に、戻ってきた弁覚がトドメをさした。
2人の手は、ついに結ばれることがなかった。

時間が経った。
おばさんの赤い足袋が2人の手の前に現れる。
「子を思わない母親なんて、日本中に1人もいやしないよ」。
おばさんはつぶやいて、2人の手を取り、しっかりと握らせてやる。

2人をじっと見詰めるおばさん。
縁側に座っている先生のところに正十が飛んで来る。
先生は目を閉じている。

弁覚一行が朝もやの中、道を歩いているのが見える。
若が走って後を追う。
おばさんは既にその先の道端で、焚き火をしている。
うつむいているおばさんは焚き火の中から芋を取り出し、焼き加減を確かめる。

太陽が昇り、先生を照らす。
先生が目を開ける。
志乃の、真之助を呼ぶ声がする。
真之助の「誰か、この恨みを晴らしてください」という声が響く。

太陽が昇った。
先生が気合を入れて、叫ぶ。
夜明けの道、先生が走る。
正十が後を追う。

弁覚一行は、小川を越えた。
越えたところで千手坊が、草鞋を結びなおす。
その先におばさんがいた。

「お坊さん、お坊さん」とおばさんの声に千手坊が顔をあげる。
「芋、よく焼けてるよ」。
おばさんが陽気に、串にさした芋をかざす。
「おっ、芋か」。

おばさんが笑顔で芋を差し出し、千手坊が笑いながら近寄る。
「こりゃあ、うまそうだな」。
千手坊はおばさんから芋を受け取り、頬張る。

「物知りのお坊さん、いろは数え歌を教えとくれ。いろはの『い』の字は何てえの?」
千手坊は芋を頬張りながら、「犬も歩けば棒に当たる、だ」と答える。
「違うよぉ、お坊さん」とおばさんは笑って言う。
「いろはの『い』の字は」。

おばさんが上着を脱ぐ。
目に留まらないようなすばやい動きで、おばさんは匕首を懐から抜く。
千手坊の背中に、すごい速さでおばさんが飛びつく。
おばさんは千手坊が振り向いた時、既に背中に匕首を刺していた。

「命いただきます、の」。
動かない千手坊を見上げて、おばさんが笑い声を含んだ声で言う。
「『い~』ですよぅ」。

おばさんが匕首を抜く。
無言のまま、千手坊は倒れた。
倒れた千手坊には目もくれず、おばさんは真剣に匕首の血をぬぐう。

やがて、追いついてこない千手坊を弁覚と自光坊が探しに戻ってくる。
千手坊の紐が水辺に落ちているのを拾っているのを、竹やぶからおばさんが見ている。
2人は千手坊を探すが、焚き火の跡があるだけで、千手坊の姿は見えない。

その時、走ってくる若と先生に、弁覚と自光坊が気がつく。
自光坊は若を、弁覚は先生を迎え撃つ。
若は自光坊を投げ飛ばし、殴り倒す。

うつぶせに倒れた自光坊の上に、若がジャンプして乗る。
骨が折れる音がして、自光坊がえびぞる。
弁覚は先生と向き合った。

先生は旗を手に、弁覚は槍を手にしている。
お互い、構えて走ってくる。
先生と弁覚が交差した。

次の瞬間、先生は指から血を流しながら、弁覚の槍を手にしていた。
先生の背後にいる弁覚には、先生の旗の柄が刺さっている。
竹やぶで見ていたおばさんが、息を呑んで、そして立ち去る。
見守っていた正十も、先生の勝利を確認して去る。

弁覚が断末魔をあげる。
先生は振り返り、弁覚の最期を見る。
そして、弁覚の槍を地面に叩きつけるように刺して捨てた。

おねむが志乃と真之助の墓を作ってやっている。
花を供え、墓を見つめる。
「仇はとったし、金は分けたし…」と正十が言う。
「先生どっち行くんだろう」と若が言う。

先生は道の険しい方へ進む。
おばさんは振り返りながら、先生についていく。
「また~…」と言いながら、正十もついていく。



今回の軸は、離れ離れになった母親と息子。
真之助に「あなたは?」と尋ねられて、おばさん、「私はただのおばさん」と答える。
このうらごろしメンバーには、名前がない。
DVDボックスの解説にもありましたが、だから第三者が呼ぶのにちょっと困る。

ちょっと笑っちゃうんですが、でもこれで良いんですね。
彼らは、どこにも属してない。
定住していない。
だから表の稼業を持たない。

若を見て思ったんですけど、どこかで心がひどく傷ついているんですね。
最初はつっかかるというか、そこが若の心の傷を思わせました。

だけど、何か揉め事が起きて、それを越えるとものすごく認める。
信頼する。
逆にそういうのがないと、心を開かない。

若は正十に「惚れた?」って聞かれましたけど、そうじゃない。
真之助には、友情を感じてたんだと思いました。
「帰って来いよ」と言う正十。
彼なりの「死ぬなよ」の伝え方。

この前回の話でも思ったんですが、若は女性が嫌いですね。
女性の弱さが嫌い。
母親に関して、何かあったのかなあと思います。

志乃は弓恵子さん。
憎みつつ、妖術を使う邪悪な男のトリコになっている。
同時に母親としての情も捨てきれない。
業の深い女性を演じます。

何で息子が自分を殺すと言っていたのかはわかりません。
予感が的中してしまうのが悲しい。
この不安が、弁覚から離れられない理由だったのかもしれません。

弁覚は藤岡重慶さん。
妖術使いのやり方を知っているから、真之助を鍛えます。
そのかいあって、弁覚に勝てそうだったのに。

ラストの先生との祈祷師対決の殺陣も、見応えあります。
剣豪ならぬ、術使い同士の対決。
向き合って走ってきて、あっという間に先生が弁覚の槍を手にしている。
おばさんも先生も、すごく動きが速いんですよね。

さて、おばさん。
子供を捜す母親の立場から、真之助に肩入れする。
そして、最後の殺し。

コ、コワ~イ…!
焚き火焚いてる肩の辺りから、無言の怒りと悲しみ、殺意がにじみでている…。
そして、まさしく通り魔。

あんなニコニコして、誰が疑うものか。
芋差し出されたら、近寄って行っちゃいますよ。
一気に殺人者の顔になり、上着を脱いで匕首を出し、相手に近寄って刺す。
すばやい。

のんびりしたおばさんの、欠片もない。
相手は「?」「??」ですよ。
声も立てずに倒れる。

それでいつまで経っても来ない仲間を探しに来ると、焚き火の跡だけがあって、探す仲間はいないんです。
仲間どころか、誰もいない。
空恐ろしい。

おばさんがずるずると、千手坊を引きずって竹やぶに持って行ったんだろうと想像すると、とっても怖い。
殺し屋の本領を発揮してきました。
「命いただきますの」で、楽しそうで、声に笑いが含まれてる。

「『い~』ですよ~」なんて口調は、もう、「まんが日本昔ばなし」の妖怪みたい。
これ、もうどんなに文章にしても伝えられない。
頭の中で、市原悦子さんの声と調子を再現しながら想像してもらうしかありません。

志乃と真之助の仇を討ち、先生たちはまた旅に出る。
人と関わるのも、旅の中の一時だけ。
このグループの寄る辺なさは、名前を持たないこと、定住していないところから漂ってくるんでしょうか。

生きるも地獄、死ぬも地獄 「必殺仕置屋稼業」第13話(2/2)

主水も、捨三も、うつむいていた。
市松も無言だった。
「そうか」。

主水が口を開いた。
「殺したもう一人の女ってのは、おふくろだったのか」。
「これで洗いざらいぶちまけた。俺を仕置きするなら、してくれ」。

主水は無言だった。
捨三は目を閉じる。
市松の横顔は、無表情だった。

印玄は。およねの座敷にいた。
およねは印玄に背を向けて、話を聞いていた。
「15年間、俺が捜し求めたおふくろは、おふくろじゃあなかった」。
「実の我が子でさえ、抱こうとする畜生にも劣る女だった」。

「その憎しみのあまり、おめえのオヤジを巻き添えにして殺した…」。
「俺は許しを請おうなんて来は毛頭うない」。
「俺を恨みたければ恨め。殺したければ殺せ!」
「生きるも地獄死ぬも地獄、どっちに転んでも変わりはねえ」。

およねは泣き崩れた。
顔を上げる。
印玄に向かって。手を振り上げた。

およねの手には、かみそりがあった。
かみそりには、血がついていた。
印玄の袖口が切れて、血がついている。
およねがガックリとうなだれる。

「どうした」。
「私も…、おりんに夢中になっていた父を恨んだこともあります…」。
「父が帰ってこない夜、1人泣きながら寝たことも」。
「でも、私にとってはかけがえのない父だったんです」。

その時、「およねちゃん!おふくちゃんが!」と女郎が駆け寄ってくる。
おふくが、清吉に殴り飛ばされていた。
「労咳、隠してやがって」。

伝兵衛が「清吉、そんなに殴ると傷物になる」と止めた。
「今ならまだ、労咳をとぼけて鞍替えをさせることもできるんだ」。
およねたちが、全員で入ってくる。

「何だ。おめえたちゃ」。
「おふくちゃんを鞍替えするなら、私たち働きませんよ」。
みんな、年季明けまでおふくの分まで働くから、と言った。

「おい、おめえらそんな口利いていいのか!」
清吉が凄む。
「清吉」と、伝兵衛が止める。

「わかったよ。おめえたちの言うとおりにしよう。だから店出ろ」。
「オヤジさん、こいつらの言うこと、いちいち聞いてたら示しがつきませんぜ!」
ところが伝兵衛は「まあ、いいじゃねえか。みんな、わしの娘も同然だ、なあ、およね。さあ、店へ出ておくれ」と言う。

「おふくちゃんのことは」。
そう言うおよねに伝兵衛は「ああ、わしが悪いようにはしねえ。わしに任せておけ」と言った。
「さ」と、伝兵衛はおよねたちを店に出した。

およねたちを店に出すと伝兵衛は清吉を呼んだ。
「清吉。おふくを裏口から連れ出せ。売り飛ばすなら甲州路辺りの方がいいなあ」。
「オヤジさん」。
「およねたちがぎゃあぎゃあ言いやがったって、あとは何と言ったってカタをつける」。

主水はおこうに、印玄の殺しを断った。
そして、頼み人に金をちゃんと返せと言った。
おこうは不満そうだったが、しかたなく言うことを聞いた。

岡場所で、およねたちはおふくの分も、必死に客を引いていた。
伝兵衛がそれを横目で見ている。
そこに1人の女郎がやってきて、およねに耳打ちをした。

聞いたおよねは「えっ、おふくちゃんが!」と声を上げた。
立ち上がり、店を出て行く。
「およね!」と伝兵衛が声をかける。

夜道で、おふくが清吉に連れられて歩いていた。
清吉に「おめえがいりゃあいるだけ、およねたちの足手まといになるんだ。わかったな」と言われ、おふくはうなづいた。
「おふくちゃーん!」

およねが走ってくる。
清吉の手から、おふくを取り返すと「話が違うじゃないか」と言った。
「何だ、おめえは」。
「旦那さんは私にはっきり約束したんだ。旦那さんに会って話をつけます」。

「待て」。
清吉は匕首を出した。
およねの体が一瞬、硬直する。
「さあ、おめえは店に帰ってろ」。

だがおよねは引き下がらなかった。
清吉ともみ合いになった。
「きゃあ!」
清吉の匕首は、およねにを刺さっていた。

「およねちゃん」。
他の女郎たちが飛んでくる。
それを見た清吉は「ばかやろう、てめえが、でしゃばりやがるからだぜ」とうろたえていた。

およねは梅の屋に運ばれてきた。
「旦那さん、およねちゃん死んじゃいます!」
女郎たちが悲鳴をあげた。

だが伝兵衛は、いかにも迷惑そうな顔をしていた。
「医者に診せたからって、すぐ治るわけでもねえ。余計なことしやがって!」
「およねなんかにかまってねえで店出ろったら!大事なかき入れ時が台無しだよ!」

「でもおよねちゃん、このままでは」。
「ええい、言うことききやがやらねえと、奴女郎に叩きうるぞ!」
それでも立ち去れないでいる仲間たちにおよねが「私のことはかまわないから」と声をかけた。

「およねちゃん」。
伝兵衛に蹴飛ばされ、女郎たちは店に出させられた。
およねは1人、残った。
よろよろと身を起こし、這うようにして筆を取る。

翌朝、おこうが梅の屋に来る。
「ごめんやす」。
泣き声が響いていた。

「あのお。すんまへんけど、およねちゃんにちょっと」。
「およねさん、死んだんです」。
声をかけられた女郎は、おこうに背を向けて号泣していた。

「死んだ?!」
おこうの目が見開いた。
「およねはん、死にはったんですか!」

死んでいるおよねの枕元に、線香があげられる。
おこうが手を合わせる。
「女将さん、おこうさんですね?」
女郎がやってくる。

「おこうでおます」。
女郎が懐から、手紙を出して渡す。
おこうが手紙を開くと、そこにはひらがなで書かれた字があった。

「いんげんのしおきを とりけしてください」
「そのかわり あたしたち じょろうをくいものにしている」
「でんべえとせいきちのしおきを おねがいします」

手紙には、そう書いてあった。
おこうがおよねの髪をていねいに整えてやる。
その時、入り口にいた女郎が合図をする。
おこうがさっと、手紙をしまう。

伝兵衛と清吉が現れる。
「ろくに稼ぎもしねえうちに、くたばっちまいやがって」。
伝兵衛はそう悪態をつく。

おこうの横を乱暴に通ると、「着物はまだ使えるからな、とっといてくれ」と言って、およねから着物をはぎ始める。
むしろが広げられる。
泣き声が響く中、むしろに包まれたおよねが運ばれてくる。

「およね!」
やってきた印玄が、声を上げる。
およねのむきだしの腕が縄で縛られ、天秤棒にくくりつけられる。
印玄が走ってくる。

「待ったあ!」
「この仏、俺が買った!」
印玄は叫ぶと、懐に手を入れる。
「俺が買った!」

そして床に銭をばらまく。
伝兵衛が飛んでくる。
「ごき徳なことで!なんまんだぶ、なんまんだぶ!」

そう言いながら、銭を拾い始める。
階段の上から、おこうが見ている。
印玄がおよねの縄を解く。
おこうの目に涙が浮かぶ。

印玄は墓を掘っていた。
およねの棺桶を埋め、丁寧に土をもる。
石を置き、花を置いていく。
手を合わせる。

釜場。
主水が言う。
「正直、言って俺はあんまり、坊主に引導を渡すのは気が進まなかったんだ」。
捨三も「良かったな」と言う。

主水と捨三と印玄が、銭を分けていた。
「おめえの分だ」。
残りを市松が持っていく。

折鶴が見える。
その後ろで、市松が竹を削る。
外は真っ赤な夕日だった。
その夜は、花火だった。

市松が夜道を行く。
その背後に、印玄がいる。
うちわを使う、市松の顔に花火の赤や青の光が映る。

印玄もまた、赤や青に染まる。
新地に入ると、市松は横に、印玄はそのまま進む。
川の水面に花火が映っている。

清吉が金を手に、橋の上にやってくる。
花火を見ている。
市松が背後にそっと近づく。

清吉は手のひらの金を見る。
市松の手が止まる。
うちわを帯に挿す。

市松の手が開く。
懐に竹串がある。
大きな花火が上がる。

市松が竹串をかざし、一気に清吉の首筋に叩き込む。
ピキン。
竹を折ると、市松は残った竹串を全部、首に押し入れる。

「わあ、綺麗よ」。
人々の歓声が上がる中、清吉の体ががくりと前のめりになる。
手から銭がこぼれ、水の中へ落ちていく。
市松の姿はもう、ない。

物干し場で、伝兵衛は酒を手に花火を見ていた。
辺りが明るくなる。
印玄の姿が浮かび上がる。
そしてまた、暗くなる。

印玄が身を乗り出す。
伝兵衛に向かって、手を伸ばす。
「おっ」。

伝兵衛が驚き、声を上げた。
印玄は伝兵衛の首をつかむ。
口をふさぐ。
そのまま、力任せに上に引きあげる。

主水が屋根の上で花火を見ている男たちに、「降りろ!」と怒鳴る。
男たちは聞かない。
すると捨三が「いけねえよ、あれは南町切っての堅物だ」と言う。

「一番いいとこじゃねえか」と文句を言う男たちを促がし、捨三は屋根から人を降ろす。
捨三が主水を見てうなづく。
主水もうなづく。

最後の一人が屋根から下りる。
主水が振り返る。
屋根の上に、伝兵衛をつかんだ印玄が現れる。

主水がうなづく。
印玄もうなづく。
それを見た主水が去っていく。
口をふさがれた伝兵衛は、声が出せない。

「行け」。
印玄が、伝兵衛の背中を押す。
「ひやああああ」と、伝兵衛が悲鳴をあげた。

「止めて助けて」
「止めて助けて」
「止めて助けて」
「止めて助けて」

悲鳴を上げながら、伝兵衛が屋根の瓦の上を滑っていく。
「あああああ」。
グキリ。

伝兵衛が落ちる。
骨の砕ける音がする。
印玄が姿を消す。

「おおい、人が屋根から落ちたぞ」。
野次馬が走っていく。
それを見た主水が「言わねえこっちゃねえ」と独り言を言う。
「高けえとこ登るのは、バカだけでいいんだ」と言って笑う。


いつも明るく、ちょっとした表情や仕草が笑いを呼ぶ怪力坊主、印玄。
この時も冒頭、岡場所を追い出されそうになって柱にしがみつく表情がおかしい。
しかし、印玄はときたま、魂が抜けたようにぼんやりする。
落ち込む。

感情の浮き沈みが激しい。
それもこれを見ると、納得。
印玄の過去話です。
ビックリするほど、悲惨。

印玄が坊さんになった理由。
描写はなかったけれど、様子からして旅の行き倒れたお坊さんの衣を着たものと思われる。
お坊さんの衣を着ていれば、食えないことはない。
子供の頃から飢えて放浪せざるを得なかった印玄の、生きるための手段だった。

この母親を見て、よく女性を恨まなかったものです…。
印玄の殺しの技にも、納得。
DVD-BOXの解説にありますが、印玄は母親を屋根から落として殺すことで殺し屋への道を歩み始めた。
最後、印玄はおこうを助けて、屋根から落ちて死ぬ。

母親を屋根から落として殺した男が、最後に女を助けて屋根から落ちて死ぬ。
殺し屋の末路、因果応報と言う言葉では、しっくり来ない。
印玄という男の人生を考えずには、いられません。
当時のスタッフは本当に、構成がうまい。

「生きるも地獄、死ぬも地獄」と淡々とおよねに伝える印玄。
普段は明るい印玄の抱えている深い闇を感じさせる、口調と声。
第1話でも、この言葉を言う印玄には凄みがあった。
印玄の過去を知ると、凄みがさらに増します。

印玄が殺しの相手と知って、動揺する捨三。
信じられない思いだが、仕置屋として全うしようとする主水。
感情を表に出さない、冷徹に仕置きを口にする市松。

仕置屋稼業が危うく、バラバラになるところだった。
そしてこれをきっかけに、印玄は仕置屋の仲間に絶大な信頼を置くようになる。
印玄だけじゃない。
主水も印玄に対して、そして市松も印玄に対して信頼を置いたのではないか。

市松は父親を亡くしてから、父親の仇に育てられ、殺し屋になった青年。
第10話、第12話で市松にはほとんど、子供らしい子供でいられる時間が少なかったことがわかる。
市松は、一切の感情を表さない。
だが仕置きの調査で市松は、およねたちの悲惨な境遇を見る。

この時の、おふくに対する市松の優しさ。
おふくにかける言葉の温かさ。
背中に伸ばす手。
市松は決して、冷酷な殺し屋ではないことがわかる。

そして市松が、およねという女性を信じたのがわかる。
市松は、虐げられた者の境遇を瞬時に理解する。
その市松が、印玄の悲惨な境遇を理解しないはずがない。
無言だが、印玄の生い立ちに市松は、深く同情したに違いないと思います。

およねは、武原英子さん。
つらく悲しい境遇にいる女郎たちの、リーダー的存在。
強く、思いやりを失わない。
遠藤さんの演じる伝兵衛の仕切る梅の屋、まさに生き地獄。

父親を恨んで泣いた夜もある。
おそらく、父親の残した借金が元で、女郎になった。
それでも自分には、たった一人の父親だったと言う。
およねは、印玄の悲惨な告白を聞き、印玄を赦す。

印玄は、およねのために泣き、手厚く葬る。
自分と同じ、肉親によって哀しい道を歩まなければならなかったおよね。
彼女誰よりも理解したのは印玄だった。
こんなことにならなければ、印玄は必ず、およねを救い出したと思います。

伝兵衛は、遠藤太津朗さん。
これ、もう、遠藤さんのベストワークといって良いんじゃないでしょうか。
強欲で、冷酷で、利己的。

死んだ女郎の遺体を運ばせる時。
おふくを折檻している時。
瀕死のおよねに何の関心も持たない時。

およねの着物を剥ぎ取り、平然と運ばせる時。
完璧な、これ以上ない憎々しい表情です。
さらに印玄の小銭に飛びつく時の浅ましさ。

どこから見ても、少しの憐れみもわかない、完璧な悪です。
「暴れん坊将軍」などでも、遠藤さんの悪役は見ることができます。
しかし、この遠藤さんの破壊力はすごい。

ここまでの表情ができる、遠藤さんはすばらしいと思います。
数々の悪役を演じてきたけれど、これぞ遠藤さんの真骨頂。
これが遠藤さんだ!って言いたくなります。
一見の価値ありです。

清吉は、松山照夫さん。
こちらもまさに、卑怯者という感じがして良いです。
清吉を仕置きする時の、市松の殺しも見所。
いつもの仕置きのテーマではないけれど、これがまた、ピッタリ。

花火で大勢の人がいる中、そっと背後につく市松。
市松は顔色一つ変えないが、女郎たちを見てきた怒りが感じられる。
怒りと軽蔑と嫌悪が感じられる。

標的を見据え、ぽん、と、うちわを仰ぐ手を止める。
この仕草が美しい。
うちわを帯に挿し、手を広げる。

絽か紗かわかりませんが、着物が透けて市松の手が見える。
黒く、シルエットになっている市松の手。
スッと、懐に手が伸びる。
トン、と竹串がふところからのぞく。

長い竹串を構える。
群集は花火に夢中だ。
一瞬で、市松は清吉の首筋に竹串を刺す。
目にも留まらぬような速さで、竹串の手元の方を折る。

清吉の首筋が少しのぞいている先端を、グッと指で押し込む。
突然死にしか見えない。
前のめりになった清吉の手から、銭が落ちる。
プクッと音をさせて、銭が川に落ちていく。

もう市松の姿はない…。
プロ!という感じの市松の仕置きです。
本当は暑かったであろうはずですが、沖さんの周りは、ひんやりしているように見える。
空気が違って見える、さすが沖雅也!

印玄の仕置きは、主水と捨三がフォロー。
どうやって花火見物が多くいる中、印玄の屋根落としを成功させるか。
今回、主水の殺しはありません。
しかし捨三、印玄にうなづいてみせる主水は殺しに匹敵するほどカッコいい。

腕ひとつで、伝兵衛をつかみ、持ち上げる。
花火の灯りが印玄を浮かび上がらせ、照らし、闇になる。
屋根に連れて行き、「行け」。
静かに、だが強烈な怒りを込める印玄の仕置き。

市松の殺しが、このテーマ曲ではなかっただけに、今回は印玄がメインなんだということがはっきり出ていて良かった。
誰もが主役で、物語が成り立つのと、すばらしいドラマになると思う。
印玄メインの、名作だと思います。


この格好なら食いっぱぐれはなかった… 「必殺仕置屋稼業」第13話(1/2)

第13話、「一筆啓上過去が見えた」。

女郎の人別調べに向かった主水は、女郎たちがグッタリしているのを見る。
聞けばすごい客がいて、女郎たちはその客のために寝付く者もいるということだった。
その客がつまみ出されようとしているのを見れば、印玄だった。
思わず、主水も印玄も顔をそらす。

その夜、女郎たちが印玄に声をかけ、取り合いになるところだった。
1人の女郎が印玄の顔を見て、ギョッとする。
そっと人相書きを見ると、悲鳴を上げて逃げていく。
人相書きには印玄が描かれており、商売に差支えがあるため断れと書いてあった。

その時、1人の女郎が折檻を受けていた。
病を隠していたということだったが、女郎は息絶えてしまった。
殴っていた清吉が楼主の伝兵衛に「死んでますぜ」と言う。

伝兵衛は「ろくに稼ぎもしねえうちにくたばりやがって」と悪態をついた。
そして他の女郎たちに店に出るように命じる。
およねという女郎が「今夜だけは堪忍してください」と懇願する。

今夜はおきみの通夜をしたい。
すると伝兵衛は「お通夜なんてのはな、人並みの人間がすることだ」と言う。
「おめえたちには、銭がかかってんだ。人並みのことがしたかったら銭を返して、綺麗な体になってからだ」。
着物を剥ぎ取られ、天秤棒に括り付けられむしろを巻かれたおきみの死体が運ばれていく。

女郎たちが「おきみちゃん!」と声を上げる。
行き先は投げ込み寺。
どんなことがあっても、ここでは死ねない。
そう言いながら、女郎たちは泣きながら手を合わせる。

するとそこに読経が聞こえてくる。
印玄だった。
伝兵衛がやってくる。

「おい、おめえは人相書きの回っている…」。
印玄は伝兵衛を見ると、吐き捨てるように言う。
「せめてお経ぐらいあげてやるよ」。
「縁起の悪い坊主だ。頼むからこの岡場所だけはウロウロしねえでくれ」。

おきみが運ばれていく。
女郎たちの泣き声が、さざ波のように響く。
印玄は経を唱え、手を合わせ、頭を垂れて見送った。

その印玄を見て、およねの顔色が変わった。
目を見開き、印玄を凝視する。
伝兵衛が泣いている女郎たちにむかって、「借金残していっちまいやがったおきみの分まで働け!」と怒鳴る。

その時、およねが、印玄に声をかけた。
「ねえ、お客さん!」
立ち去ろうとしていた印玄が振り向く。

「あがらないかい?」
「俺のことかい?」
伝兵衛が飛んでくる。

「この男が誰だか、わかってんだろう!」
だがおよねは、「お客さんをどんどん取れって言ったじゃないですか」と言う。
「およね!」
伝兵衛が青くなるのをよそに、およねは印玄をあげた。

座敷に通された印玄は、「おい、本当にいいのかい?」と聞いた。
「今夜はお通夜だろう!さっきの仏のよ」。
「あんた、顔に似合わず、殊勝なことを言うのね」。
「それにしてもおめえ、どうして俺を?」

「…あんた、上州の…。仲宿の出じゃないのかい?」
印玄は「ああ、俺は仲宿だが」と答えた。
「ふうん。やっぱりそうかい」。
「おめえも、あっちの出か?」

「ええ」。
およねが印玄に煙管を差し出した。
「そうか。それで俺を」。
印玄は納得した風だった。

おこうに殺しの依頼が来た。
一生懸命貯めたであろうお金は小銭で、まとめて5両だった。
依頼人は、およねだった。
「頼み人は、女郎か」と、主水が言った。

「で、誰を仕置きすりゃ良いんだ?」
主水は、殺しの相手を聞いた。
おこうが言う。

「印玄という、鑑真坊主だす」。
「おめえ、今、なんて言った?」
「印玄という、鑑真坊主を殺してほしいんだす」。

主水の顔に、驚愕の表情が浮かぶ。
「!印玄だとお?!」
「それに間違いはねえか」。
主水の驚きに怪訝そうな顔をしながら、おこうが言う。

「間違いおまへん」。
「とにかく、わけを聞こうじゃねえか」。
「え?」
おこうは主水のあわてぶりに不審そうな顔をしながら、女郎屋に髪結いに行った時のことを語った。

新地の、梅の屋と言う岡場所におこうは髪結いに行った。
髪結いが終わった時、およねという女郎が目配せで合図をした。
別室に行ったおこうは、およねから話を聞いた。

およねの父親は、9年前、印玄と言う鑑真坊主に殺された。
自分の目の前だった。
「あんさんの、目の前で?!」

印玄は、一緒にいた女も殺した。
およねが14の時だった。
では、印玄という坊主は14歳のおよねの目の前で、2人も殺しているのか。
おこうは驚いた。

さらに驚いたことには、その仇が客としてここにやってきたのだと言う。
およねが相方を勤めて確認した。
確かに、あれは印玄だ。

「あんさんが、相方を!」
おこうはさらに驚いた。
あの生き地獄のような岡場所をおよねはあちこち鞍替えし、9年越しにやっと仇に会えた。
父親を殺した相手を仕置きしたい一心だ。

ここまで言ったおこうは、主水の様子がおかしいことに気づいた。
「中村はん、聞いてはりまんのか?」
「…うん、聞いてるぜ」。

「どないしはりましてん」。
「何でもねえや」。
「いや、何でもないという顔ではおまへん。何ぞ、わけでもおますのか?」
「わけなんか、ありゃしねえわな」。

「それじゃ、この、およねはんの恨み晴らしてもらえまんな?」
「印玄という男を殺してもらえまんな?」
「だからその、およねの言い分に間違えがなきゃ必ず殺す」。

「街が絵がなければって、中村はん。わての言うことが信用できまへんのか。このお金を見たらわかりまっしゃろ」。
「ちょっと待ってくれ。この件はもう一度よく、調べさせてくれ」。
そう言って、主水は引き上げた。

釜場で主水は捨三に、事情を話した。
「旦那、悪い冗談言いっこなしですよ」。
捨三は、にわかには信じられなかった。

「俺も大概のことには驚かねえが、今度ばっかりはぶったまげたな」。
「仮にも印玄は、俺達の仲間なんですよ」。
それを聞いた主水は「仲間、か。市松、おめえどう思う」と市松に聞いた。

「全ては事の次第だな」と市松は言った。
「そりゃどういうことだ」。
捨三が市松の傍に飛んでくる。
「黒と出りゃ印玄殺すってのか!」

「殺す」。
市松は何の感情も入れずに答えた。
「それが掟だ」。
市松の顔にも、何の感情もなかった。

捨三は苛立った。
「俺たちゃ、仲間じゃねえかよ!」
「仲間でも掟は掟だ」。
市松の声は鋭かった。

「こんの野郎!」
捨三は市松につかみかかろうとした。
「やめろよ!」

主水が止める。
「こんなとこでもめてたって、始まらねえんだ」。
そして捨三に印玄を見張るように命じる。

「俺が印玄見張るんですかい?」
主水のにらみに、捨三は「へい」と答えるしかなかった。
「万が一つにも間違えがあっちゃならねえぞ」。
市松は、およねの方を洗うことになった。

その時だった。
「やあ、皆さんおそろいで!」
「いいとこへ来たよなあ!」
印玄が明るい様子でやってきた。

だが全員、無言で顔をそらした。
「どうしたんだい?何だよ?え?」
「八丁堀、早いとこ銭ひとつ!」

主水は無言だった。
「いや、何だってやるよ!」
「何だってやる、って言ってもな」。
「はん?どうしたんだい?何だよ、え?」

印玄は捨三に「銭貸してくれ!」と手を出した。
「だめだ」。
「だめだっておめえ、いつも貸してくれたじゃねえかよ」。
「悪いけどよ、今までおめえに貸した銭全部けえしてくれ」。

「いや、わかんねえな。俺が貸せって言ってんだよ。返せってってんじゃねえんだよ」。
「あのな、おめえはな、いずれはいくら俺に返したくても返せなくなっちゃうんだよ」。
「何言ってんだよ」。
印玄は捨三の頭を、ぽかりと叩いた。

「いや、もっとぶってくれよ」。
印玄は捨三をぽかぽか叩いた。
その騒ぎの中、市松と主水は出て行った。

市松が夜道を歩いていく。
男が5人、走ってくる。
すれ違う市松に「よお、女が逃げてきたはずだがな」と声をかけたのは、清吉だった。

「見かけなかったかい?」
中の1人が「隠すとためにならねえぜ!」と凄んだ。
「さあ」。

市松はウチワで、風を送りながら言った。
「知らないねえ」。
その涼しい様子にむっと来た男が、「なぁにを、こらあ!」と言って市松の肩をつかんだ。

「よしな」。
清吉が止める。
「そんな男に関わりあっているヒマはねえや」。
「まだその辺にいるはずだ。新地に入り込まれたらことが面倒になるからな」。

男たちは市松が来た方へ、走っていく。
市松が歩いていくと「お願いでございます」という声がした。
ふりむくと、女がいた。

「私はおしんと申しますが、新地の梅の屋のおふくちゃんに伝えてください」。
市松が近寄る。
「新地の梅の屋?」
それは、おこうが髪結いに行った時、もうすぐ年季が明けると、うれしそうにしていた女郎だった。

「はい。伝兵衛と清吉に騙された。故郷へ帰ろうとしたら清吉に『お前には借金が残っている。さんじの三島宿へ行くんだ』と無理やり…」。
「おふくちゃんも騙されないように、と。お願いします」。
市松が、おしんの顔を見た。

「おしんさんから、だな?」
「はい!」
市松は確認すると、再びうちわで風を送りながら離れていく。
「おっ、いたぞ!」

「このアマ!」
「ああっ」。
背後で声がしている。

市松はその足で、梅の屋へ行った。
おふくに事の次第を伝えると、おふくは「私が後半年で年季明けだから…」と言った。
部屋の外で、およねともう1人、女郎が話を聞いていた。
おふくは、激しく咳き込んだ。

「でえじょぶか?」
市松が背中をなぜる。
「おふくちゃん」。

およねともう1人、女郎が入ってくる。
「お客さん、すみません。表で話を…」。
およねはおふくの背中をさすりながら、「おふくちゃんが労咳だってことは、店の人には黙っていてください」と懇願した。
「お願いします、お客さん」。

もう1人の女郎も頭を下げた。
「おふくちゃんは、あと半年で年季明けになるんです」。
「もし労咳だってことが店の人にバレたら、早いうち、他の岡場所に売り飛ばされるんです」。

「そうなったらもう、生きて…岡場所出ること、できないんです」。
およねは市松の手を取り、「お客さん酸、沖に入らないかもしれませんが、おふくちゃんに代わって私に相方させてください。一生懸命勤めますから」。
「およねちゃん、私、大丈夫よ」。

おふくが起き上がる。
「何言ってんのよ!無理したら体に良くないわ」。
「何としてもここを抜け出さなきゃ」。
「そうよ、あと半年なんだもの!」

「半年頑張れば」。
「私たちもできるだけのことするから!」
「あ、ありがとう。私、頑張る」。

そのやりとりを、市松は見ている。
「ですからお客さん」。
およねが、市松の袖をつかむ。

「あんたが、およねさんか」。
「ええ」。
「俺はおしんって人のコトヅケを頼まれてきただけだ」。

そう言うと市松はおよねに、金を握らせた。
「今夜はこの人の体は俺が買いきる。ぐっすり眠ると良い」。
市松は出て行く。

帳場では清吉がおしんを捕まえたことを、伝兵衛に報告していた。
「あの女は年季明けまで勤め上げた、稼ぎの良い女だ。5両じゃ安かったかな」。
「清吉、おめえの取り分だ」。

帳場の横を通る、市松が足を止めた。
「年季明けになるのは」。
「おふくだな」。
「おふくかあ。ありゃ確か信州でしたね」。

「うん」。
「木更津辺りへ飛ばしやすか」。
「そうだな」。

帰って行く市松の背に「若旦那、またどうぞ」と声がかかる。
おふくが、帳場に入ってくる。
「何だ、今けえったのはおめえの客だろう」と伝兵衛が言う。

「はい、お客さん、泊まりをつけてくださいました」。
「泊まりを?そりゃ気前の良い客だな」。
伝兵衛は金を受け取ると、おふくにまた店に出ろと命じた。

「でもそれじゃ、今のお客さんに申し訳が…」
伝兵衛はじろりとおふくを見ると、「客への義理立てより、店とこのわしに義理立てすることが大事なんだよ」と言った。
「年季明けまで、しっかり稼いででもらわなきゃ」。
「…はい」。

翌日、托鉢していた印玄は、捨三が後をつけているのに気づいた。
印玄は捨三に詰め寄る。
「だから俺、この仕事嫌だって言ったんだよな」。
「わけを言え、わけを!」

釜場に来た印玄に主水が言う。
「印玄、俺の聞くことに答えろ」。
「俺たちは頼み人あっての稼業だ。その頼み人におめえの殺しを頼まれた以上、ここではっきり白黒つけなくちゃ」。

「じゃあ、本気で俺を」。
「それが仕置屋稼業の掟だ」。
印玄が口を開く。

「確かに俺はその、およねとかって女の父親を殺した」。
捨三が振り向く。
市松の手が、懐に伸びる。

主水がかすかに、首を横に振る。
「1人じゃねえ。てめえ、女も殺したろう」。
主水が刀の柄を、印玄に向けて詰問する。
「…ああ」。

捨三が目を伏せる。
印玄はなぜか座り込み、土瓶から湯飲みに水を注いだ。
「だがこの話には、俺のガキの時分からの話が引っかかってくる…」。
「印玄ってのは拾った名前で、太助ってのはガキの時の名前だ」。

印玄が話し始める。
…5つの時だった。
おふくろが旅の小間物屋とできて、村を捨てたのは。
あとには、体の不自由な、働くこともできねえ親父と俺が残された。

「太助!」
父親は小さな太助を抱きかかえ、崖から飛び降りた。
「おとう!」

印玄は、父親の遺体に取りすがって泣いていた。
幸か不幸か、俺だけが生き残った。
そして俺は旅に出た。

俺を捨てたおふくろだが、会いたかった。
お袋とできた小間物屋を見つけて会ったが、もうそこにはお袋はいなかった。
印玄は、子供の時、雨の中、1人、雨宿りをしているのを思い出していた。

お袋は別の男とできて、小間物屋を捨てて去っていた。
青年になった印玄は廃屋から、僧侶の姿で出てきた。
この格好なら、食いっぱぐれはなかった。

そしておふくろに会ったのは、14年目の秋。
水戸街道の取手宿だった。
「おっかさん!」

印玄の顔は、喜びに紅潮していた。
母親のおりんは、しどけない姿で三味線を弾いていた。
「へええ、お前があの太助かい。驚きだねえ。それじゃあ道ですれ違ったって、わかりゃしないよねえ」。

妙に艶っぽい声だった。
「おっかさん」。
「お前、もうすっかり一人前の大人だね」。

「おっかさんが村を出てすぐ、おとっつあん死んだよ」。
「そうだってねえ~。聞いたよ、その話は。お前を抱いて崖から身投げしたそうじゃないか」。
「じゃあ俺が生き残ったことも」。
「ああ、知ってたよ」。

おりんは、平然としていた。
「知っていて、それで…」。
印玄は絶句していた。

だがおりんは、ニコッと笑って、印玄に擦り寄った。
「いけるんだろう?ふふふ」。
おりんは、印玄に盃を差し出した。

「さあさ、こんなものお外しよ、ね?ね?」
そう言って、おりんは印玄の笠を外した。
印玄の隣に、おりんが擦り寄る。

「お前もう女を知ったのかい?」
「ふふふ」と、おりんは笑った。
「何ならさ、私が教えてあげたって良いんだよ!」

「おっかさん!」
すがりついてくるおりんを思わず、印玄は突き飛ばした。
「何するんだよ!」

「おりん、どうしたんだい」。
男が部屋に入ってきた。
「平さん助けておくれよ!この男がね、あたいをいじめるんだよ!この男が」。

おりんの声は甘かった。
「なんだい、てめえは!」
平さんと呼ばれたヤクザ風の男は、印玄を突き飛ばした。

「痛い痛い兵衛さん、ここ、痛いの」。
印玄の母親は、男に向かって自分の胸をさする。
「怪我でもしたのかい!」

印玄がたまらず、部屋を出て行く。
「待ってたんだよ、このところすっかり、お見限りじゃないか!」
「へっへっへ、だからその分だけかわいがってやるよ」。

「本当?ううん、うれしい」。
印玄は、部屋の外にいた。
おりんの嬌声があがる。
「平さぁん」。

けたたましい声が、一層大きくなる。
赤い唇が、男の口に重なっていた。
印玄はいきなり、戸を開けた。
絡み合っている2人に近づくと、首根っこをつかんだ。

「あいたたたた、何すんだよ!」
おりんが声を出す。
印玄はそのまま、2人を外に放り落とした。

手すりが壊れ、おりんが屋根の上を転がっていく。
続いて、男も転がる。
2人は屋根から落ちた。

「きゃああああ!」
下で女性の声がする。
「おとっつぁあああん!」

およねだった。
「おつっつぁん、おとっつぁん」。
必死に駆け寄って、声をかけているのが聞こえる。

屋根の端から、およねの姿が見えた。
窓のそばにいる印玄を見る。
「ひとごろしーっ!」

およねが印玄に向かって、叫んだ。
印玄はただ、立ちすくんでいた。
「人殺し、人殺し、ひとごろしーっ!」
およねの最後の声は、泣き声になっていた…。



マタンゴとゴケミドロ

初めて見ました、「吸血鬼ゴケミドロ」。
1968年の作品だそうです。
これは「マタンゴ」と並ぶ子供が見たらトラウマになる昭和特撮映画では。
同時に「宇宙人東京に現わる」も見ましたが、こちらは和んだ…。

そして、私の携帯の調子が明らかにおかしい。
買い換えになるかなあ。
いろんな設定がやり直しになるのが、つらいっ。


最凶トラウマ最終回「デビルマン」

「人気マンガ・アニメのトラウマ最終回100」。
マンガやアニメ、ドラマなどの最終回から私たちの心に大きな傷を残した作品を、年代別に編集した本です。
笑っちゃう終わり方もあるんですが、ほとんどが結構な傷、トラウマになるだろうって最終回です。
悲惨なだけではなく、やる気がなくなったような最終回や、何かの事情で中途半端に終わらせたのか、納得いかない最終回もあります。

私のトラウマは、「デビルマン」。
これはトラウマの人、多いんじゃないでしょうか。
だって私が高校生の時、友達に「悲惨だ」「ひどい」「ひどいから見てくれ」って言われたんですもん。
「ひどいから見てくれ」って何なんだと思うんですが、トラウマの共有がしたかったんでしょう。

試験期間中に見たもんですから、めちゃくちゃ。
頭の中、デビルマンやシレーヌ、美樹ちゃんで一杯。
嫌でしょ。
この本でも「マンガ史上最凶のバッドエンド」として、紹介されています。

話は、すごい流れです。
人類は滅亡します。
どこかで読んだ話ですが、作者の永井豪氏は人類を滅亡させて、心がすごく残ってしまったそう。
だから次にデビルマン世界を描く機会が訪れた時は、滅亡寸前の無法地帯ながら人類は滅亡しない結末にしたとか。

私の「デビルマン」の一番のトラウマは、ヒロインとヒロイン一家を襲った惨劇。
デーモンの襲撃の方が、まだ良かった。
デビルマンである明と暮らしていたことから、ヒロイン一家も人間に成り済ましたデーモンではないか。
そう思った人たち、おそらく近所の人たちまでが暴徒となって、ヒロイン一家に押し寄せて来る。

まさに中世の魔女狩り。
ヒロインが、ヒロイン一家が「何もそこまで」と言いたくなる悲惨な最期を迎える。
人間の怖ろしさ、醜さを見せ付けるシーンです。
それを見たデビルマンは人間に絶望し、守らなくなる。

デビルマンに守られなくなった人類はデーモンの攻撃により、というより互いに『人間に成りすましたデーモンじゃないか?」という疑心暗鬼に陥り、殺し合い、自滅する。
人類は滅ぶべくして滅ぶ、という形でした。
これ、「ウルトラセブン」のメトロン星人が見たら、笑うでしょうね。

作者の永井豪氏は、前世を見るという人に会った時、永井氏は前世でこういうことをやってると言われたらしいです。
さすがマンガ史上最凶のバッドエンド。
いろんな話が出てきます。

アニメの「デビルマン」は、オープニングの曲もエンディングの曲もカッコいい。
オープニングに、デビルマンを連載している本がクレジットされるんですが、その中に「たのしい幼稚園」が出て来る。
「たのしい幼稚園」でデビルマンを見ていたお子さんたちも、後にマンガを見たらトラウマになったことでしょう。
思わず、微笑んでしまう自分がこわい…。



ツイてる?

「重版出来!」の第5話に、運を使わないようにギャンブルはやめるエピソードが出てきました。
この話で思い出したことがあります。
「奇妙に怖い話」という、作家の阿刀田高さんが選者の本の中にあった話です。
体験談か、作った話か、どちらも問わないということなので、この話が本当なのかはわかりません。

その話の前日、作者はパチンコで負けに負けた。
出なかったのは、その作者の台だけだった。
逆にそばにいたお客さんが、「その台、明日出るわ」と言ったぐらい、負けた。
だから作者は翌日、朝一番に並び、その台の前に座った。

台を巡る不愉快な小競り合いはあったが、作者は昨日の出なかった台に座ることができた。
すると本当に、見る間にその台はパチンコ玉を飲み込み、電飾を輝かせた。
両隣のお客さんが、「ほー」と言って身を乗り出して見る。
大当たり。

それを出して、さらに次回来店した時の当たりも保障する当たりまで出た。
12回連続で、大当たり。
足元には、パチンコ玉が詰まった箱の山ができた。

さらに数万回に一度という、プレミアムリーチが出た。
その全てが当たった。
…私にはわからないので、描写されたところによると、こういう当たり方らしい。

周囲のお客さんも初めて目にする光景に、集まってきた。
それが何度も何度も、続いた。
20回目の大当たりの時だった。
「兄ちゃん、すごいね」と声をかけてきた男がいた。

「7で来ただろう」。
「それから5回続けて、7」。
「3が3回」。

「5、5、7、7」。
「最後が8」。
その人は出た当たりの目を、全て言い当てた。
20回目まで全部、言い当てた。

なぜだろう?
疑問に思った時、男は「あと10回出るよ」と言った。
その言葉に、作者が感じた疑問はかき消されてしまった。

まだ、当たるんだ!
男は言った。
「俺の連れが、兄ちゃんとまったく同じ目で勝った」。
なぁんだ、そうだったのか。

男の言った通り、当たりが来た。
ついに9回目まで、当たりが来た。
ダメだろうなと思ったのに、当たるのだ。

帰り支度を始めた男に、作者は「あと1回来ますか」と聞いた。
男の言う通り、10回当たりが出るなら、あと1回当たるはずだ。
「そうだな。連れと同じだ。最後は4で終わる」。

男は背中を向けながら言った。
「この当たりの出た帰り、連れは死んだけどな。トラックにはねられて」。
「え…」。

息を呑んだ瞬間、機械音が「リーチ」と言った。
目の前のパチンコ台は、まさに「4」の当たりが出るところだった。
それを見た男は、薄く笑って帰っていった。


会社にある自動販売機のジュースを買った同僚が、大当たりしてもう1本もらいました。
「良かったねー」と言う私に同僚は、「こっ、こんなところで運使って…」と言いました。
やっぱり、そういう感覚ってある。
自分は割り込みや強引に電車やらで席を取られたり順番を後にされた時、相手に対して「あーあ、アナタ、こんなところで今日1日の運を使いましたね」と心でつぶやいております。




「シン・ゴジラ」に描かれる政治家・官僚

ゴジラの誕生は、核実験によるもの。
「シン・ゴジラ」のゴジラはかつて海底に廃棄された核のゴミが原因です。
映画で赤坂が言います。
「そう、生物です。自然災害ではない」と。

だから、殺すことができたはずでした。
ところがゴジラは人間の想定を超え、武器がまったく通用しない。
なぜここなのか、どうするつもりなのか。
そんな意思も、まったく見えない。

行動パターンといっても、ただ歩いているだけというセリフがありましたが、確かにそうです。
「何でこっちに来るんだよ」という苛立ったセリフもありましたが、本当にそうです。
何で?!
こういうところが、自然災害を思わせます。

自然災害を起こす神、荒ぶる神のようです。
カヨコが言います。
「まさに神」と。
このゴジラは自然災害を起こす、残酷な神の化身のようでした。

ゴジラはフィクションです。
でもまったくのフィクションでも現実味を帯びなければ、映画を観ていても怖くはない。
その点、「シン・ゴジラ」は、とてもリアルでした。
その理由のひとつに政府、官僚の描き方があったと思います。

「シン・ゴジラ」は自衛隊を出動させるまでに想定外の事態に対して、政府が会議に会議を重ねます。
この映画が怪獣映画、ゴジラ映画ではなくて戦争シュミレーション映画。
いや、災害シュミレーション映画と言われる理由でしょう。
ここに興味を持った人が多かったために、普段はゴジラ映画を観なかった人も劇場に足を運んだのではないでしょうか。

また、実力派俳優のみなさんが、いかにもいそうな閣僚たちを演じていました。
閣僚たちは想定外の事態に右往左往しながらも、対処をしていきました。
「えっ、上陸した?!」
「今、ここで決めるのか?」

「それ、どこの役所に言ったの?」
などと笑ってしまうような言葉があります。
だから、バカにしてしまうかもしれない。
しかし、それは観客がゴジラと言う存在が、とんでもないということを知っているからできること。

大河内総理は「自衛隊の弾丸は絶対に市民に向けてはならない」と、攻撃を中止させます。
今、ここで叩けばもしかしたら、撃退できたかもしれなくても。
…実際にできたかどうかは、あの進化を見るとわからないですが。

さらに官邸を退去する時、総理はここにいる義務があると言う。
自分が逃げるわけには行かないと。
これって本当は当たり前なのかもしれませんが、私は大河内総理に誠実さを感じました。
私はこの映画に、特定の方向に偏った感じや政治的思想的なものは感じませんでした。

でも閣僚や官僚の描き方に庵野監督の、現在の日本に対する感想が見えていたと思います。
共感できない映画は、つまらない。
「シン・ゴジラ」をつまらないと言う人の中には、こういうところに共感できないという人もいたのではないでしょうか。

庵野監督は、政治家や官僚たちを絶対的に正しいとは思っていない。
でもバカだとは思っていない。
まったく評価していないわけじゃない。

むしろ、優秀だと思っている。
実際に私なんかの想像も及ばないほど、すごい人たちでしょう。
その人たちは最後には私利私欲ではなく、日本のことを考えて動くと思っている。
信頼はしている。

さらには日本は、日本人がちゃんと守らなければならないと思っている。
軍備だけの問題じゃなくて。
こんな感じを抱きました。

やはりこの考え方は、幾度かの震災を経て、日本人が感じていることなのではないか。
少なくとも庵野監督の考えは、現在の多くの観客に共感されたんじゃないでしょうか。
そのために、この映画はヒットをしたのだと思っています。



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Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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