女坂、そして男坂

愛宕神社、出世の石段を見上げて右側に、もう一つ、石段があります。
出世の石段を男坂、右側のやや、なだらかな石段を女坂と言うそうです。
なだらかでも、相当…。
ちらりと、出征の石段を上がる時にくぐる赤い鳥居が見えますね。


女坂を見下ろして


降りて、下から見上げるとこんな感じです。
高いところ怖い私は、へっぴり腰で降りました。
天気が悪い日は、男坂も女坂も怖いですね。
私はきっとダメです。


女坂を見上げて


こちらが男坂。


さあ、登るそ!


怖いけど、一気に登ると出世すると言われてますので…。


目の前ボルボ


怖くて、端まで行って見下ろせないの。
でも愛宕神社は、とっても気持ちの良い場所です。


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小網神社

東京は人形町。
ビルの中。
強運厄除けの神様。
小網神社に参拝してきました。


小網神社


東京が地獄絵図と化した東京大空襲。
私の身内にも、この経験者がおります。
自分はこれを直接体験した人から話を聞く、最後の世代になるのでしょう。
この大空襲で、小網神社は焼けることがなかった。

そしてやはり、戦争中のこと。
小網神社の氏子が出征して行く時、出征奉告祭に参列。
御守を受けた全員が、生還したのだそうです。

関東大震災では、社殿も被害を受けました。
宮司さんが稲荷大神、弁財天の御神体を抱え、新大橋に避難。
そこに大挙して人々が、避難してきました。
近くの新大橋の避難記念碑にも、そのことが記されています。

人々は御神体を伏して拝み、ご加護を願ったそうです。
奇跡的にも人々に混乱はなく、新大橋も落下しなかった。
多くの人が助かったそうです。
ビルの間にある小さな神社ですが、強運厄除けとして、パワースポットとして有名。

5月28日は例大祭。
でも私が参拝したのは、前日の5月27日なのです。
前年の平成28年は、鎮座五五〇年でした。

福禄寿さまも、銭洗い弁天さまの御像もございます。
ビルの合間のすがすがしい空間。
とっても気持ちが良いので、皆様もこの気。
ぜひご一緒に味わってください!


レンちゃん

東山氏主演の必殺仕事人シリーズ。
いろいろと批判はあれども、必殺シリーズを復活させてくれたのはうれしいです。
また、必殺を復活しようとしてくれるスタッフさんがいるのもうれしい。
そして、その方たちが働けるのもうれしい。

仕事人の中で、田中聖さんが演じていた仕立て屋のレン。
悪たれと言われていたレン。
これが非常に、必殺世界とうまく合わさっていた。

思えば、念仏の鉄はこういうテイストだった。
せんとりつが家に来て主水の治療をした鉄を見て、「無頼漢じゃありませんか!」と怒る。
同心の妻と姑が眉をひそめるような人物が、鉄。

金に汚くて、インチキなこともたまにする。
だが自分を頼ってきた人間のためには、驚くほどの誠意を見せる。
自分より弱い者に対して、非道はしない。
…正ちゃんはたまに、大した意味なくひどい目にあってましたけど。

鉄や他の仕置人たちが持つ、こういうところをレンは持っていました。
実はもっとも、仕事人というか、仕置人に近い感じがしました。
鉄よりもずっと若いせいか、情にはもろかった。

殺されるのを覚悟した最後の仕事では、かわいがっていた文鳥を逃がす。
生きて帰ってきて、文鳥が戻った時の笑顔。
おかえり。
また、飼っているのが文鳥と言うのが、レンの内面をよく表している。

レンは小さく、弱い者に対して、優しい。
慈悲深い。
実は仕置人に必要であり、見せてはならない部分を持っているのがレンだった。
このレンという役に、田中さんは実にうまく溶け込んでいた。

だから突然いなくなり、それに対して何の説明もされなかった時。
演じる人の事情でも、寂しかったものです。
良いキャラクターが見られなくなったな、と思いました。

そして田中聖さんの大麻所持による、逮捕。
仕事人シリーズで、レンの出演した回は再放送されなくなったということでしょうか。
実に残念です。

やってはならないことを、やった。
彼の出演している仕事人は、新作放送前でも再放送しない。
こういうこと、周りに及ぼす影響も迷惑も、考えてほしかった。

その点については、言い訳できない。
でもレンは、良い味を出していた。
おそらく、彼の持っているものとピタリとハマるものがあったのでしょう。

レンを演じる田中さんを見ていると使い方では良い俳優にもなれた気がするだけに…。
残念です。
レンちゃん。


またまた思い出の大河ドラマ

思い出の大河ドラマと言うと、「独眼竜政宗」も思い出深いです。
これがなかったら、 渡辺謙さんという俳優はこれほど世に出なかったんじゃなかろうか?
そう思えるぐらい、ハマっていた。
登場人物の男たちが、みんな熱かった。

片目をなくした幼少の政宗が、乳母に「梵天丸は醜いか?」と聞く。
そんなことはありませんと乳母は言うが、幼い子供の心の傷はどうにもカバーできない。
寺で、不動明王の像を見る。
仏様なのに、なぜ怖ろしい顔なのかと梵天丸が聞く。

すると側にいた、政宗の生涯の師となる僧侶・虎哉宗乙が言う。
「あれはありがたい仏様じゃ。怖い顔は悪を懲らしめる為じゃ」。
それを聞いた梵天丸が言う。
「梵天丸も、かく、ありたい」。

これ、流行語にもなりました。
それを聞いた虎哉宗乙は、断り続けていた梵天丸の養育係を引き受ける。
大滝秀治さんの演技が見事で、忘れられません。

さらにすごかったのは、政宗が勝新太郎さん演じる秀吉。
渡辺さんも答えていましたが、この対面シーンはリハーサルなしで行われたとか。
どうりで、真剣勝負みたいだった。

死ぬ覚悟の白装束で来た政宗。
すると秀吉、ひざまづく政宗の首に、ステッキを振り下ろす。
「運の良い奴よの。この首討たれていたわ」。

打ち合わせにないシーンで、スタッフも渡辺さんも驚いたとか。
うーん、秀吉になりきっている、勝さん。
さすがだ。

そして、政宗に懐剣を持たせ、秀吉は背中を向けて立小便をする。
一瞬、ほんの一瞬、政宗の目に天下をとるチャンスという野心の光が浮かぶ。
同時に、信じられないという表情が見える。

結局、政宗は秀吉を討てない。
後に、自分に懐剣を持たせて背を向け、立小便をする秀吉という男が怖ろしかったと語る。
その器の大きさ、凄みにとても討てなかった。

凄みのある演技の数々が堪能できた大河。
正宗の周辺以外にも、素晴らしいキャストが次々登場。
目が離せません。
柳生宗矩を演じた石橋蓮司さん、金田龍之介さんもたまらない。

「武田信玄」、「春日局」も素晴らしかった。
春日局は、苦労する幼少期から、大奥の主として君臨するまでを描く。
大原麗子が綺麗だった。

「翔ぶが如く」では、「泣こかい翔ぼかい」「泣くよか、ひっ翔べー!」の鹿児島弁が流行った。
「太平記」は、鶴太郎さんの北条高時が、ほんと、どうしようもなかった。
北条家が滅亡していくのも納得で、これは鶴太郎さんの名演だと思います。

「信長 KING OF ZIPANGU」は、トレンディー大河と呼ばれました。
信長と最後まで一緒の占い師、随天の平幹二郎さんがすごい迫力でした。
本能寺、奥の座敷にいる信長のところに、兵が来ないよう、「では、食い止めてまいります」と言う随天。

その異様な容貌を前に、ひるむ兵士たち。
しかし随天もまた、刺される。
だが刺されながらも、平然とした口調で言う。

「来れば…、祟るぞ」。
兵たちは怖ろしくなって、奥に進めない。
これは祟る。
本当にそう思う。

その姿、まるで亡霊。
兵士はこれ、生涯、夢に見ますよ。
毅然とし、兵たちを怯えさせた随天は、信長の前まで来ると力尽き、倒れる。

愛と憎しみの間を、行ったり来たりした信長と随天。
何だかんだで、因縁が深かった2人。
最期は一緒。

そして、「琉球の風」放送。
この年の後半は「炎立つ」。
部隊は南国沖縄から一気に、雪の奥州へと変わった大河。

「八代将軍吉宗」。
このドラマ、良かったけど、疱瘡になった吉宗が包帯を取ると子役から西田さんに変わっているのが、おかしかった。
「秀吉」「毛利元就」。
「葵徳川三代」は、第1話の正月から合戦シーンでした。

こうやって見ると、大河ドラマって立派な文化だと思います。
そして、俳優さんたちの個性ある演技が堪能できるドラマだった。
フィルムが残っているなら、デジタルリマスター版で。
そうじゃなくてもいいから、残っているなら見せてほしいものです。


思い出の大河

時代劇専門チャンネルで、大河ドラマの再放送をしています。
再放送して欲しいと思う大河ドラマ、たくさんあります。
緒形拳さんと石坂浩二さんの「太閤記」とか、見たいですよ。

もう見られないと思っていた、「風と雲と虹と」も見られました。
奥方が京都から将門様が帰るたび、「お連れの方は」と従者に聞いていたのを覚えています。
要するに、側室を作ったのではないか。
誰か、他の人を好きになったんじゃないかと聞いているんですね。

真面目な将門様は、いつもお1人で帰宅なさる。
だから従者は「いいえ」と、いつも答える。
奥方は、そっと微笑んでいた。
それがある時は、従者が口ごもる。

「お連れが…、いらっしゃるのですね」。
それが、吉永小百合さん演じる側室。
将門様の幼馴染の貞盛の恋人でもあり、京都で遊女に身を落とした女性だった。

最後、将門様が討たれる。
私が覚えているのは、屋敷に暴徒と化した兵たちがなだれ込んできた時です。
美しい彼女を見つけた兵たちは、大喜び。
大勢の男たちは、彼女を担ぎ上げます。

その時、彼女は心の中で、ずっと経文を唱えている。
もう、自分の運命を覚悟しているんですね。
そして、うっすらと笑みを浮かべる。

経文と、笑み。
この哀れさ、残酷さ。
身に迫る迫力が、忘れられません。

それを見た男たちは、「おお、姫が笑っているぞ!」
「この姫は笑っている!」と、一層熱狂する。
しかし次の場面では、彼女は仰向けになり、身じろぎもしない。

後で知ったのですが、彼女はいろいろと不運な女性だったんですね。
しかし、いろんなことが子供過ぎて、よくわかっていない当時。
彼女は将門と幼馴染の貞盛との間を行ったり来たりする、フラフラとした女性に見えたものです。

あの時代、彼女のような女性は、そうすることでしか生きていく方法がなかった。
とても不運なことが、重なった。
そういうことは、後でわかったこと。

侍女の桔梗も、殺されます。
桔梗が殺された桔梗が原は、今でも桔梗が咲かないと言われている…というナレーションが流れました。
戦に負ける武将は、こういうこともわかっているから、さぞ、無念だったと思いますね。

そして、物語の最後。
将門様の妻子まで捕えよと言った経基の近くに雷が落ちたり、次々と関係者が雷で打たれてなくなる。
錯乱して刀を天に向かって掲げたところに、雷が落ちるさまは怖ろしい。

しかも討伐軍として加わった貞盛が、将門には火雷天神がついていると言う。
菅原道真の怨霊騒動がまだ、記憶に新しい都の者たちにとって、これは恐怖。
貞盛なんて嫌な役っぽいですが、彼も苦悩の果てに討伐軍に加わり、先頭で向かっていたのですね。

忍びのような玄明(はるあき)は、若き日の草刈正雄さんが演じていました。
同じく反乱を起こした藤原純友の忍びの「オババ」は、吉行和子さんだったかなあ。
純友は、緒形拳さん。
このオババは年齢不詳で、子供にまで化けられる。

将門様が討たれて玄明は、オババに「すべて終わった」と言う。
すると、オババは「しんではいない」と言う。
「心の中にいると言うのか」と玄明が聞くと、オババは「いや」「何万回でも生まれ変わる」と言う。

「では生まれ変わるのを待とう」と玄明が言うと、空に虹がかかっている。
馬のひづめの音が響き、将門様が人々とともに進軍していく姿が見える。
「将門は、死なず今も生きている」。
この語りで、終わったんですね。

主演は、加藤剛さん。
これ、本当に良かった。
良かった、良かった、フィルムが残っていて、本当に良かった!

翌年の「花神」は、ちょっと理解するのが難しかった。
でも、今見るとこれもすごくおもしろい。
「黄金の日日」では、やはり夏目雅子さんが美しい。
根津甚八さんが彼女を失って、錯乱するのも納得。

「草燃える」では岩下志麻さんが、すごい迫力だった。
「おんな太閤記」は放送当時、盛り上がったはず。
翌年の「峠の群像」主演の緒形さんは、「去年が派手だったから今年はね。でもそれがいい。透明感ある静かな大河だと思っている」とおっしゃってました。

「徳川家康」では、夏目雅子さんが淀君。
織田信長の役所広司さんと、濃姫の藤真利子さんが良かった。
秀吉を演じた武田鉄矢さんも、話題になったはず。
「ひろいを頼む」と言い続けながら、家康の手を取る秀吉に無常を感じました。

そして、近代史の大河ドラマも作られるようになります。
「山河燃ゆ」では、兄弟が日米軍に分かれて対峙したシーンに涙しました。
綿引勝彦さんが演じた、嫌な軍曹がうまかったです。

「バナナ野郎」と蔑まれてもアメリカ軍人として生きた沢田研二さんも良かった。
東京裁判の中、チューインガムを噛んでいる沢田さん。
キャスティングが、ものすごくうまかった。

戦後、軍隊では臆病者扱いされていた矢崎滋さんがどんどん、商才を発揮していく。
彼をいじめていた軍の上官は、落ちぶれていく。
精一杯の虚勢を張って威張る彼のプライドを傷つけずに、金を融通してやる優しさ。
威張っていながらも自分のみじめさに気付いている、元の上官。

戦前、戦中、戦後、と変わっていく世の中、変わっていく日本、変わっていく人々と立場。
戦勝国の人間でもあり、敗戦国の人間でもある主人公の弟の、西田敏行さんが素晴らしかった。
主人公である兄の最後の身の処し方は、あれで良かったのか。
兄を発見した弟、彼の心の恋人はどう思っただろうか。

戦争と国家と、個人。
その流れにあらがえず、飲み込まれていく人たち。
人間の運命が人生が、こうやって押し流され、変わっていったこと。
残酷な時代を、思想云々を交えず描いていたと今は思います。

やはり、昭和を舞台にした大河ドラマ「いのち」。
戦後、農地改革により、小作人だった人たちが農地を手にする。
地主たちが没落する。

「いい気味だ」と言う妻に対して、自分の働いていた地主家族にそんなことを言ったらたたき出す!と怒る伊武雅刀さん。
彼は自分に教育を受けさせてくれた一家に、終生恩義を感じ、尽くす。
この辺りの昭和史の大河ドラマも、思い出深いです。
あー、全部見たい。

芝の愛宕へ月参り

伊勢へ七度、熊野へ三度、芝の愛宕へ月参り。
愛宕神社の、出世の石段。
曲垣平九郎(まがきへいくろう)が、馬でこの石段を駆け上がり、山上の梅を手折り、家光公に献上。
家光公より「日本一の馬術の名人」と讃えられたことから、こう呼ばれています。


愛宕神社 出世の石段


ここを登ります。
高いところが怖い私は、結構、怖かったです。
怖いから振り返れない、一気に登りました。
手すりにしがみつくようにして、登ってました。

さあ、登るそ!


登り終わって下を見ると、本当に高い。
こんなとこ、本当に馬で登れたのか!って思いますが、実際に明治になって登った人のお名前があります。
本当に大都会の中にある神社なんです。
目の前にボルボ。

目の前ボルボ


境内には猫さんがいました。
もう1匹、白い猫さんが参拝している後ろを走り抜けていきました。
社務所にこの猫さんと、駆け抜けた白猫さんの写真がありました。
ここに棲んでいるんですね。

神社の猫さん


池にはたくさんの鯉がいて、緑が豊富で、すがすがしい。

梅

大都会の中の不思議な空間です。
愛宕神社のサイトで写真を見ただけで、気が澄んでいるのはわかりますが、実際に本当に気持ちが良かったです。
このすがすがしさ、ご一緒にどうぞ!
う~、石段は怖いけど、また行きたい。



優しい人が描く悪い女と男 「あなたのことはそれほど」

今夜見るドラマは「あなたのことはそれほど」の第5話。
いくえみ綾さんの原作です。
学生の時から読んでる作家さんですが、息の長い活躍をされてますねえ。
昔から好きな作家さんです。

この作家さん、すごく優しい。
そう思ったのは飼い猫たちを描いた「そろえてちょうだい」を読んだ時。
特に「そろえてちょうだい」「0」。

その中に「お蔵出し」マンガがありまして、世話をした元野良ネコちゃんの話があります。
病気持ちで、しばらくは太って元気だった。
でも、徐々に症状が現れた。

後ろ足が利かなくなった猫さんの後ろ足を持って歩くいくえみさん。
腰に来ると言いながら、猫さんと一緒に冬の北海道のアスファルトをてちてち歩く。
前足も立たなくなった猫さんが、表に行きたがる。

元野良さんだから、表に行きたい。
すると今度は雪の中、いくえみさんは猫さんを抱っこして外を歩く。
「散歩したね~」。

「日向ぼっこ、気持ち良かったね」。
「ここで、てちてちしたね」。
「白い猫いたね、ケンカいっぱいしたね」。

猫が「うん」「うん」と返事してる。
抱っこしているいくえみさんに頬を寄せて。
「もう帰ろっか、寒いね」。
「うん」。

後ろ足は冷たくて、前足も硬くなってきた。
『それでも頑張って生きようとした。頑張り屋さんだった』。
『えらかったねえ』。
『かわいかったねえ』。

『今度は病気を持っていない、長生き猫に生まれて来るんだよ』。
『うん』。
『頑張ったのんたん(猫さんの名前)に、百点』。

猫だけじゃなくて、6歳になった時から一緒に暮らしたワンちゃんの話も良い。
優しい人だなあ、と思います。
この「そろえてちょうだい 0」には作家の町田康さんとの対談も載っています。
パンクバンドだった頃から、ファンだったとのこと。

この町田さんも、ぶっとんだ作品を描きますが、猫を書いた著作には優しさがあふれています。
「猫にかまけて」
「猫とあほんだら」

そのいくえみさんの原作のドラマだから見始めましたが、なかなかおもしろい。
波瑠ちゃんの自覚のない悪女ぶりも「ひどいことしてるなあ…」と思いつつ、楽しんでます。
その夫の東出昌大さんが徐々に壊れていくのも、これからの見もののようです。

波瑠ちゃんの不倫相手の有島くんの、これまた自覚のないひどい男ぶり。
気づいていそうな、奥さんの複雑な心情を演じている仲里依紗さんも良い。
これ、もしかしたら全員が悪い人なのかな。
誰でも持っているかもしれないけど、良識や理性で抑えているものを抑えない人たちの話なのかな。

でも一番好きなのは、波瑠ちゃんの母親を演じている麻生祐未さん。
清濁併せ呑んできた大人の風格と味わいを、見事に出してます。
さて東出昌大さんがこれから、佐野史郎さんがかつて演じた「冬彦さん」みたいになるのか。
楽しみに見たいと思います!


デビルマン 「世界の終わりと始まりに」

アニメのデビルマンについて、何度か記事を書いていました。
原作のデビルマンには、衝撃を受けました。
やっぱりそういう人が多いらしく、「最凶トラウマ最終回」という本ではトップで扱われていました。

高校生の時の同級生がすごいファン?で、彼女が私にデビルマンを読めと言ったんです。
もしかしたら、彼女がくれた本だったかもしれません。
試験期間中に読んだもんだから、もー、テストにならなかった。

なぜ、これを読めと?!と言ったら、トラウマを共有したかったとかひどいこと言ってました。
もー。
ほんと、もー、もー言って、牛になっちゃう。
そのぐらい、もー!って言いたくなる感じでした。

さて、今、原作の「デビルマン」を扱った本で、「世界の終わりと始まりに」という本が家にあります。
これ、何で家にあるのか、ちょっと記憶がないんですが…、誰かからもらったっぽいです。
永井豪さんの作品について、本人にインタビューして語ってもらってる本です。

まず宗教学者の中沢新一さんが序文で、「デビルマン」について書いています。
それによると手塚治虫さんの「鉄腕アトム」は人間と機械の共存、民主主義の理想。
「デビルマン」は、「アトム」の対極の作品だそうです。

少年たちに初めてむき出しの暴力と、善良な民主主義の幻想を嘲笑う世界を見せた衝撃の作品。
「デビルマン」前は、邪悪な存在は正義の主人公に粉砕される存在だった。
または正義の前に改心し、ともに戦う存在だった。

しかし「デビルマン」では、悪魔は悪魔のままだった。
「デビルマン」は、邪悪を行動原理として動く存在であり続けた。
デーモン族というのは、そういう存在だった。

彼らデーモン族は、生物と合体してその特長を取り込み、変化(へんげ)していく。
常に戦い、勝利して相手を乗っ取ることでしか、存在できない。
愛とか情とか、そういうものはデーモンが生きていくうえで必要ない、関係ない。
力しか意味がない。

そう、原作のデーモンの怖いところは、まさにここだと私は思うんです。
自分を愛し、保護してくれた家族。
愛する者。

彼らが外見だけを残して、中身は違うものになっている。
それがある日、自分に対して牙をむく。
牙をむかれた方はただ、その事実を信じられず、絶望する。

そして、愛する者を自らの手で消滅させるか。
自分に対する一片の情も感じられずに、かつて愛した者に食われるか。
どちらかしか残っていない。
そのどちらにしても、自分には絶望と悲しみだけしか残らない。

だからデーモンは怖い。
この残酷な絶望の選択を突きつけて来るデーモンは、恐怖の存在です。
実際に原作の中で、ママが怖いというエピソードがあったはず。
友達がすごく後味が悪くて、嫌だと言っていた、その通りのエピソードがありました。

さて中沢先生は、「デビルマン」にはある「邪悪」への共感、理解があると思った。
ここが、非常に興味深い。
それは破壊神である「ゴジラ」が殺される時、「ゴジラ死なないで!」と思った気持ちに似ているそうです。
あれほどの破壊と恐怖をもたらしたにも関わらず。

邪悪は徹底して排除し、滅ぼすべきという西洋の思考。
「悪」と「善」。
天使と悪魔がパッキリ、分かれている西洋の思考。
それは自分たちとは、全く別の存在である。

対して、日本、アジアの思考はそうではない。
善も悪も、自分たちの中にある。
その通りに「デビルマン」には「ゴジラ」同様、西洋の正義とは異なる、日本人的な思考があると先生は主張します。

「悪」の「デーモン」は、自分たちの中にこそ存在する。
つまりデーモンと戦うことは、自分たちの中にある悪と戦うことだ。
「デビルマン」とは、壮大なドラマに見えて、実は自分たちの内なる邪悪と戦う話だった。
そう、中沢先生は書いています。

「デビルマン」ではついに自分たちの中の「デーモン」が、「美樹」を殺してしまう。
「美樹」を失ったデビルマンは、人間を焼き尽くす。
デーモンたちは殺戮をしていき、デビルマンももう、人間を守らない。
こうして、人類は滅亡する。

「美樹」とは、何だったのか。
愛、慈悲、善良さ。
その象徴が、美樹であった。

少なくとも、デビルマンにとってはそうだった。
「デビルマン」の人間たちは、自分たちの手でその、「美樹」を殺した。
世界は滅びるべくして滅びた。

現実でも、自分たちはたくさんの「美樹ちゃん」を失いかけていると中沢先生は、おっしゃいます。
「プチ・デーモン」たちがたくさん、いる。
自分が「プチ・デーモン」であるという自覚のないまま、彼らは「美樹ちゃん」を殺していく。
そうしていけばやがて、デビルマンは「プチ・デーモン」を焼き尽くすだろう。

「美樹」を殺して世界は滅びるだろう。
「デビルマン」とは、予言のような作品だとおっしゃってます。
宗教学者の中沢先生が、こんな解釈を展開する作品。
うーん、「デビルマン」って深い!


「世界の終わりと始まりに」は、東京百科出版。
2003年10月発行。
定価・税抜き1400円です。

神様ならあたしたちの、ここに住んでるわ! 「妖獣ゴッド 神の奇跡」

魔王ゼノンから人間を滅ぼす最前線を担うため、人間界に降りたデビルマンは、不動明の体を借りる。
だがそこで牧村美樹という少女と出会ったデビルマンは一瞬で恋をし、美樹を守ることにする。
人間に味方することはデーモンを裏切ることであり、この時からデビルマンは裏切り者として孤独な戦いをするようになる。

美樹を通して、デビルマンこと不動明は人間と触れ合うようになった。
やがてデビルマンは、美樹の周りの大切な人を知り、守るようになる。
そして人の世の愛、優しさ、美しい世界を守りたいと思うようになった。
デビルマンは孤独なヒーローであり、変化するヒーローなのだった。

最終回「妖獣ゴッド 神の奇跡」。
デーモン一の猛者・デビルマン。
デビルマンは、魔王ゼノンの親衛隊だった。

親衛隊の隊長がゴッドだった。
つまり、デビルマンの上官。
ゴッドには、思考を現実にする能力がある。
その能力を使い、羽田空港にバベルの塔を、銀座にスフィンクスを登場させる。

デビルマンの前に現れたゴッドへ、美樹に正体をばらされたくなければ黙って見ていろと言う。
しかたなく、デビルマンはゴッドが世界をめちゃくちゃにするのをただ見ている。
だがゴッドのせいでタレちゃんとミヨちゃんが、火の海の中に取り残されてしまった。

どうしても火の海になった道路を渡って、こちらに来ることができない。
恐怖と絶望に抱き合って泣く、タレちゃんとミヨちゃん。
やはり、絶望する美樹の両親。

明はゴッドとの約束を破り、変身。
2人を助けて戻る。
ただ見守るしかなかった美樹の父と母に2人を渡すと、病院に急ぐように言う。
「ありがとう!」と言って、美樹の両親はタレちゃんとミヨちゃんを連れて病院に行く。

「ありがとう、明くん」。
美樹の顔には、危険を顧みずタレちゃんとミヨちゃんを助けてくれた明への感謝と愛しさがあふれている。
そこに、ゴッドの笑い声が響く。
現れたゴッドを見た美樹は「化け物!」と言う。

ゴッドは言う。
「俺は確かに化け物だ。人によっては神と呼ぶものも、いるがな」。
そう言うとゴッドは「雨よ、あれ!」と叫び、雨を呼ぶ。

「雷よ、あれ!」
今度は雷が鳴り響き、落雷する。
自分の能力を見せつけたゴッドは、「わかったか牧村美樹」と言う。

「俺は全知全能の神。心に念ずるだけで、ありとあらゆる奇跡を起こすことができるのだ」。
「じゃあ、バベルの塔もスフィンクスも!」
「その通りだ、だが驚くのはまだ早い。不動明!奴もまた、俺と同じ化け物だ!」

「ええっ」。
「デビルマンとは、彼のことだ」。
観念したように目を閉じ、美樹に背を向けて歩く明。

変身を呼ぼうとして叫ぶ声が、悲しみのあまり途切れる。
うつむいたまま、明はデビルマンに変身した。
「美樹の目の前でついに変身したか、デビルマン」。

そうデビルマンに言うとゴッドは、勝ち誇ったように今度は美樹に言う。
「これが不動明の正体だ。わかったか!」
「正体を見られてしまったな、美樹」。

デビルマンの声は、悲しく、優しかった。
だが美樹は叫ぶ。
「嘘!」

ゴッドが仰天する。
「何だと!」
「あなたなのね、また、奇跡とやらを起こしたんでしょう!」

驚いたゴッドは「今の変身は俺の仕業ではない、不動明の」と言いかけた。
「嘘つき!」
美樹は聞かない。

「あなたのせいに決まってる!明くんが化け物であるはずないわ!」
さらに美樹は叫ぶ。
「むろん、あなたは神でもない。神様があなたみたいに人間の世界に害をくわえるもんですか!」

「神様なら!」
美樹は胸に手をやる。
「あたしたちの、ここに住んでるわ!」

美樹の言葉に、ゴッドは怒り狂った。
だが美樹は、ひるまない。
「神の名を語る化け物!さあ、明くんを元の姿に戻してよ!」

ゴッドはついに、切れた。
「神を恐れぬ罰当たりめ!」
怒り狂ったゴッドは、「竜巻よ、あれ!」と叫ぶ。

竜巻が美樹に向かって、進んでくる。
「はっ!」
美樹がおののく。

デビルマンが、デビルアローで竜巻を粉砕する。
「こうなれば、神と悪魔の一戦を交えるしかないようだな」とゴッドが言う。
「望むところだ!」

ゴッドは次々、竜巻、雷を繰り出す。
デビルマンは竜巻に巻き込まれ、雷に打たれ、落下していく。
そして火を噴く怪鳥が現れ、デビルマンを追って来る。

デビルアローで怪鳥をかき消したデビルマンはゴッドに「神なら神らしく戦え」と言う。
ゴッドとデビルマンの、お互いの力を尽くした一騎打ちが始まった。
「デビルカッター!」
「ゴッドカッター!」

「デビルアロー!」
「ゴッドアロー!」
デビルマンが持つ能力は、ゴッドも持つ。

戦いは全くの互角。
2人は空中で組み合った。
「ゴッドビーム!」
「デビルビーム!」

双方がビームを放ち、どちらも落下する。
地上に落ちたゴッドは、満身創痍。
だがデビルマンもまた、満身創痍で立ち上がれない。

「明くん、負けないで」。
美樹が固唾をのんで見守り、心の中で叫ぶ。
「負けないで明くん」。

「明くん」。
「明くん」。
「…美樹」。

デビルマンが起き上がる。
ゴッドを羽交い絞めにして、飛ぶ。
「デビルビーム!」

ゴッドがデビルビームを浴び、断末魔の叫びをあげる。
地上に向かって、ゴッドは落下していく。
炎に包まれ、ゴッドは消滅した。

翌日。
明は、美樹をバイクの後ろに乗せて走っていた。
「良かったわ。元の明くんに戻って。化け物のままだったら、どうしようかと思ったわ」。
明の背に頬を寄せ、美樹が言う。

「もしそうなら、俺を嫌いになったかい」。
「そうでもないわ」。
「ふうん」。

「案外、かっこよかったわ」。
「ありがとうよ」。
「何が」。

「俺を信じてくれたことさ。目の前でデビルマンになった俺を」。
「どんな格好になったって、中身は同じ明くんじゃない」。
「そうだよ」。

明はそっと、ささやく。
「好きだぜ美樹」。
「なんか言った?」と美樹が聞く。
「何でもねえよ!」

明は乱暴にバイクを飛ばした。
「きゃあっ」と、美樹が言う。
「明くんったら」。
そう言うと、明の背に頬を寄せる。


最終回。
やっぱり美樹は「デビルマン」の女神だった。
明がどんな姿になろうとも、明は明だ。
変わらないと、美樹は信じている。

ゴッドは自分を神と称していたが、美樹の言葉はそのプライドを打ち砕いた。
神が、人間の少女に拒絶される。
美樹の前ではゴッドは神でも何でもない。
悪魔であり、化け物でしかない。

対して、悪魔に変身したのに明は悪魔ではない。
デビルマンを脅す、最強の切り札が無力になってしまった。
もうデビルマンに恐れるものはない。

神を名乗る悪魔ゴッドと、悪魔だが悪魔ではないデビルマンの対決。
今考えると、非常におもしろいです。
デビルマンは、デーモン族一の猛者。
ゴッドはその猛者のデビルマンの上官。

妖元帥とか魔将軍、妖将軍はいましたが、親衛隊というのはまた別組織なんでしょうね。
ゼノンの側近中の側近。
さらにゴッドは、思考を現実にする能力がある。

デビルマンも、その力には苦戦。
しかしそれだけでは、苦戦はしてもデビルマンを殺すには至らない。
結局最後は、力と力のぶつかり合い。

デビルマンが持つ武器は、ゴッドも持っている。
能力は互角、いや、それ以上の力を持つ上官ゴッド。
デビルマンとゴッド、どちらも能力の限りを尽くし、落下。

どちらも立ち上がれないほどの傷を負っている。
そこで勝敗を分けたのは、「明くん」「明くん」と祈る美樹の心の声だった。
目の前で変身した明を化け物呼ばわりして逃げていたら、デビルマンはゴッドに負けていたかもしれない。

「明くん」。
見守る美樹の祈りの声に、デビルマンは起き上がる。
最後の力を振り絞り、ゴッドにビームを炸裂させた。

途中、ララのけなげさに印象が薄くなった感じもした美樹。
確かに最初の頃の美樹なら、明が変身したのを見て逃げたかもしれない。
シレーヌやザンニン、誘拐されたり崖から落ちたり、アドバルーンに吊るされたり。
美樹も結構、ひどい目に遭ってるんです。

でもこのゴッドに向かって叫んだ美樹には、この時のような弱さはなかった。
美樹を通して人間を知り、デビルマンは人間界をデーモンから守る存在に変わった。
デビルマンが変わったように、美樹もまた変わった。

デビルマンは、成長していくヒーローの物語だった。
さらにヒロイン美樹も、成長していく物語だったのです。
そしてやっぱり美樹は、「デビルマン」世界の女神だった。

もしかしたら美樹とは、神が選んだ人間だったのかも。
デビルマンと美樹の出会いこそ、神の奇跡だった。
この出会いが世界を救った。

最後に美樹は「良かった、明くんが元に戻って」と言います。
美樹は明の正体を、本当はデビルマンと知った上で、知らないふりをして受け入れたのか。
それとも本当に、ゴッドの仕業と思っているのか。
ここのところは見ている方に判断させて、デビルマンは終わります。

初めて知った人の愛。
その優しさに目覚めた男。
この世界には、戦う価値がある。

アニメ版の「デビルマン」は、原作とは全く違う終わり方をした。
カリスマ的な魅力を持ち、いまだにファンが多く、いろんな人や作品に影響を与えた原作は名作。
それに対して、アニメの評価は、いまいちなのかもしれません。
でも一つのデビルマン世界の完結として、私はこのアニメ版が大好きなのです。


妖獣ドリムーン 「月は地獄だ」

最終回に向かって、デーモンの攻撃は地球規模になっていくアニメ「デビルマン」。
マグドラーの次は木という木、植物が人間に牙をむくウッドドゥが登場。
そして最後は、地球が月に吸い寄せられていく地球全体の危機。
妖獣ドリムーンです。

私が見た最終回は、このドリムーンだった。
でもこの後、妖獣ゴッドという、デビルマンの上官だった妖獣が出て来るんです。
これが本当の最終回。
知らなかった。

ドリムーンが最終回と思っていた人、多いんじゃないでしょうか。
少なくとも、家の近所(!)ではそうだったはず。
ゴッドが最終回だとすると、確かにとっても最終回らしい。
でもドリムーンも最終回らしかった。

月が地球に接近してきた。
引力のために日本では洪水が起き、今度は逆に海が干上がる。
世界中で異常事態が起きる。

ニューヨークでは、列車が片っ端から脱線した。
月の引力に引き寄せられたのだ。
誰もいなくなった学校でアルフォンヌ先生は授業をし、用務員さんは中学の生徒となって立たされる。
ポチ校長は「海ゆかば」を大声で歌っている。

あと3日。
満月の夜。
美樹は宙に浮く。
明も宙に浮く。

もう、最期なのね、あたしたち。
そうらしいな。
2人はしっかり抱き合ったまま、月に向かって行く。

今度の満月が来たら、地球のものはすべて月の引力で吸い寄せられる。
地球は滅亡する。
美樹がつぶやく。
大人はみんな、狂ってしまった。

だが明は、これはドリムーンの仕業だと気づいた。
明は、「どこにいる、妖獣ドリムーン!」と叫び、ドリムーンを探すために走っていく。
「誰か来て!明くんまで狂ってしまった」と美樹は叫ぶ。

デビルマンは、ドリムーンを探す。
満月が見えるところにドリムーンは潜み、月を吸い寄せているはずだ。
だがドリムーンは、見つからない。
デビルマンは、気が付く。

地球が、月を吸い寄せているのではない。
月が、地球を吸い寄せているのだ。
ドリムーンは、月にいる!
デビルマンは、月に向かう。

帰らない明を、洪水でソファの上に乗ったまま、美樹は待ち続ける。
タレちゃんが美樹のところに来て、眠らないの?と聞く。
眠っておかないと、洪水で眠れなくなると心配する。
だが美樹は言う。

「先におやすみなさい、タレちゃん」。
「そうやって明兄ちゃんの帰って来るの、待ってるの?」
「そうよ、どうせあたしたちみんな、満月までの命なら、一分一秒でも明くんのそばにいたいから」。

「良く言うよ」と笑ってタレちゃうんは水の中、去っていく。
だが水の中、戻ってきて「心配しなくても明兄ちゃんは帰って来るってば」と言う。
「どうもありがとう」と美樹は微笑む。
「おやすみなさい」。

そして今度は不安げに、言う。
「明日の朝は、また会えるんだよね?美樹姉ちゃん」。
「満月まではあと3日もあるのよ!」
美樹は微笑む。

タレちゃんもミヨちゃんと一緒に死ねることに気付いて、ほっとしている。
勉強一筋、東大一直線だった東大寺も、「そうさ!みんな死ぬんだ!」と言って、本を破り捨てた。
「死ぬのに試験も勉強もあるもんか!」
「こうしちゃいられない!」

東大寺は水でいっぱいになった部屋を出て行く。
そして水でいっぱいの夜道を自転車でこいでいく。
すると道の曲がり角から、チャコが走って来る。

「入郎(はいろう)さん!」
「チャコ!」
東大寺とチャコが抱き合う。

「あと3日で死んじゃうのね」。
「そうさ、まだ3日もある!」
東大寺の声は力強かった。

「今こそ、僕は青春を取り戻すんだ!」
東大寺はチャコを抱きしめる。
「うれしいわ、入郎さん」。

抱きあう2人を見た明は、「はっ、東大寺のやつ、今頃気づきやがって」と言う。
「おめでとうよ」。
心の中でつぶやく明の声は、優しかった。
明は美樹のところに戻ってきた。

大人はみんな、狂っちまった。
子供はみんな、正気に返った。
後はこの俺が、ドリムーンを倒せばいいのよ。

美樹の寝顔に明は話しかける。
ドリムーンは月にいるが、自分の力では片道飛行しかできないだろう。
明は美樹に別れを告げる。
「あばよ、美樹」。

はっと気が付いた美樹が「明くん!」と叫んで追いかけて来る。
美樹は外に出る。
外は静まり返っていた。

水が庭にも満ちていた。
「明くん」。
美樹の目に涙があふれる。

だがデビルマンは月に行かずに済んだ。
ドリムーンは月ではなく、月と同じ周期で飛ぶ人工衛星に潜んでいたのだ。
しかしドリムーンの胸にある穴は、ブラックホールと同じ力を持つ。
すべてを吸い込んでいき、吸い込まれたら二度と外には出られない。

デビルマンも吸い込まれそうになる。
このままでは、吸い込まれて終わりになる。
デビルカッター、デビルアローはドリムーンに吸い込まれ、何もダメージを与えることができない。

最後の手段と言って、デビルマンはデビルビームを放つ。
ドリムーンは一瞬、ひるんだ。
だがすぐに前を向いた。
しかし、デビルマンの姿がない。

「ドリムーン、後ろだ!」
デビルマンの声に驚いたドリムーンは、再び攻撃する。
しかしドリムーンの姿は崩れていき、やがて消滅してしまった。
「成功だ。ドリムーンのやつ、あわてて自分自身を吸い込んでしまったんだ」。

マグドラー、ウッドドゥも被害甚大でしたが、ドリムーンは冷え上がったアマゾンが出てきたり、海の底に沈んだハワイが出てきます。
列車が脱線するニューヨークなど、被害は世界規模で出ています。
誰もいなくなった学校で授業をしているアルフォンヌとポチ校長。

美樹の大人はみんな、狂ってしまったという言葉。
スケールが大きいんです。
月に吸い寄せられていく明と美樹の描写は、幻想的。

美樹はもう、明への思いを隠さない。
印象に残るのが、ガリ勉キャラの東大寺。
親が望み、東大寺が親の望みをかなえようとして偽ってきた自分を捨てる。

同じく、チャコも東大寺のもとへ走っていた。
2人が出会い、チャコがもう終わりなのだと言う。
「あと3日で死んじゃう」と言うチャコに東大寺は「まだ3日もある!」と言う。
ポジティブ!

「今こそ、僕は青春を取り戻すんだ!」
東大寺の声にはもう、迷いはない。
充実し、満足し、力強い。
何と頼りがいのある声。

「3日しかない」ではなくて「3日もある」!
東大寺の賢さが、最大限に発揮された感じがします。
抱きあう2人を見た明は、「東大寺のやつ、今頃気づきやがって」と言う。

しかし、その後に「おめでとう」と祝福する。
最初の頃の明だったら、東大寺のことなんか気にもかけなかったはず。
明の口調は、暖かった。

ここで晃は、美樹と同じ言葉を言う。
「大人はみんな、狂ってしまった」。
でも明は、重要な言葉を付け足す。
「子供はみんな、正気に返った」。

そして言う。
だから、あとは自分がドリムーンを倒せば良いだけだ。
それだけで、世界は蘇る。
明はもう、美樹だけではなくてこの世界を救いたいと思っている。

ドリムーンの回が好きなのは、ここです。
結局ドリムーンは、自分で自分を吸い込んで終わってしまう。
デビルマンって、人間界にいて、知恵をつけて一層強くなったかも。

ドリムーンを倒した後の、大人がみんな狂ってしまった世界は、どうなるのか。
牧村家の理性的で公平な父と母も、出て来ない。
あの両親までもが、おかしくなってしまったのだろうか。
気にはなりますが、この話、良い話だと思います。


プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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