またまた「深夜食堂」。
第12話、唐揚げとハイボール。
唐揚げ食べながら見たくなる。


常連客が見守る。
サヤという女の子のお客が、カウンターで眠っている。
忠さんは微笑み、小寿々はちょっとあきれ顔。

初めてやって来た時、サヤは唐揚げを頼んだ。
サヤは唐揚げができるまでの間、目を閉じた。
そしてカウンターに座ったまま、寝ていた。
「寝かせてやんなよ、よっぽど疲れてんだな。きつい仕事してんだよ」と忠さんは言った。

そばでそれを見ていたゲンが、お札を置いて立ち上がる。
「釣りは?」
マスターが聞くとゲンは、眠っているサヤを顎で示して、「唐揚げだよ」と言って去って行く。

サヤは目を覚まし、お酒の注文に対してはビールが飲めないのでと言う。
するとマスターは、ハイボールを作って持ってきた。
それからサヤはちょくちょくやってきては、唐揚げを頼み、出て来るまでの間、カウンターで眠るようになった。

常連の男の客の五郎は、サヤちゃんの寝顔を見ていると、酒が進むと言う。
小寿々は、「簡単ね男って」と言う。
サヤが目を覚ます。
マスターが「いい夢だったかい?」と聞く。

サヤは「せっかく作った唐揚げ、また食べられちゃった。だから唐揚げください」と言った。
常連客がサヤのハイボールを見て、自分もハイボールと頼むと、マスターはサヤの分だけだと言う。
常連のを見てハイボールを頼むと、マスターはあれだけと言う。
「マスター、えこひいき~!」

すると、戸が開いた。
サヤの彼氏の章介だった。
章ちゃんと言うと、サヤは出て行った。
すぐに戻ってきて、ごちそうさまと言って出て行こうとする。

「唐揚げは?」
するとサヤは「良かったらみんなで食べて」と言って出て行った。
見ていた常連の客の女性が「あの男、見たことある、たぶん、お笑い芸人」と言った。
「深夜番組で一度見たことがある」。

小寿々が「売れてる人?」と聞く。
「全然だと思う。それでしか見たことないもの」。
深夜食堂の外で章はサヤに「ごめんな、サヤ」と言いながら、後輩に食べさせると言ってお金を取って行く。
サヤが「一緒に行っちゃだめ?」と聞くと、後輩に弱いところ見せられないと言って章は断った。

章はサヤに、「見ていてくれ、俺変わるから」と今までかけた苦労の分、サヤに還すと言っていた。
しかし、章のステージに、客は本当に数えることもないほどにしかいなかった。
サヤはパチンコ屋で、懸命に働いていた。

ある夜、ゲンが深夜食堂を出ると、その前にある小さな社でサヤが座って祈っていた。
ゲンに気が付いたサヤは「彼が売れますように、って」と教えた。
「芸人なんです」。

「へえ、おもしろいの」。
「たぶん」。
「なんだよ、たぶんって」。

サヤの答えに、ゲンが笑う。
「この頃よくわかんないの。売れてほしいのは本当なんだけど。あたし、何のために東京来たんだろう」。
ゲンは黙っていた。

相変わらず、深夜食堂でサヤは眠っている。
五郎がそれを見て「最近、やつれたなあサヤちゃん」と言う。
すると、ガラッと戸が開いて章が姿を現した。

「おっさん、ビール!」
横柄に言うと、サヤの横に座った。
「また唐揚げかよ」。
そう言って、一つ取って食べる。

目を覚ましたサヤが「どうだった?」と聞いた。
「何が」。
章の答えは、つっけんどんで冷淡だった。

「お笑いルーキーズ」。
「誰だよそれ」。
章の答えは、いら立っていた。

思わずサヤが「…ごめん」と謝る。
「ごめん?ごめんってなんだよ」。
章が絡む。
「…」。

サヤが押し黙る。
「なんだよ!」
「ごめん」。

「お前に何がわかるんだよ!」
章が怒鳴る。
「俺の気持ち、わかんのかよ!」
「正ちゃんごめん」。

サヤは明らかに、うろたえ、怯えていた。
「何で謝んだよ!」
章は唐揚げを、サヤに投げつけた。
サヤが思わず、顔をかばう。

マスターが厨房からビール瓶を手に、飛び出そうとする。
ガラッと戸が開いた。
マスターが見る。
ゲンだった。

入ってきた時、店にはサヤの「ごめん」という言葉が響いていた。
「俺のこと下に見てんだろお前!」
章が怒鳴り、唐揚げを投げつける。

それはゲンの顎に当たった。
ゲンが顎を撫でる。
振り向くと、にやりと笑って「痛ってえ」と言った。

刑事の野口と部下の夏木が、話をしている。
すると、声が聞こえて来る。
ゲンと章のケンカだった。

それを懸命に、サヤが止めようとしている。
章がゲンを罵倒していた。
夏木刑事が動きを止めた。

「早苗」と言う。
サヤも夏木を見て、固まった。
「ボケ!ボーケ!」と章は罵倒している。

夏木刑事を見て、動かないサヤを章がひっぱたく。
「てんめえ!何やってんだよ!」
怒鳴りつけ、章を殴り飛ばしたのは夏木刑事だった。
「俺の妹に何やってんだよ!」

章が驚きのあまり、夏木刑事を見る。
「もう、ほっといてよ!」
サヤが叫び、章の手を引いて行く。
野口に抑えられ、ゲンも帰って行った。

深夜食堂で野口刑事と夏木刑事が、話をする。
夏木刑事には父親がいなくて、母親が仕事が大変だった。
兄である夏木刑事が、妹のサヤの面倒を見ていた。
年が離れていたせいか、サヤには厳しくなってしまった。

夏木の言葉に野口は、「まあ、刑事やってるとな。そうなる時もあるよ」と言う。
サヤは高校出るとすぐ、章と付き合って家を飛び出していった。
夏木は止めたがその時、サヤに「私が選んだことに一度も賛成してくれたことがない」と言われた。
店の隅に、唐揚げが落ちていた。

夏木刑事が拾って言う。
「あいつ…、好きなもの変わってないな」。
マスターが「夢の中でいつもお兄さんに食べられちゃうんだって」と言った。
「だからつい、いつも唐揚げ頼んじゃうんだって、子供みたいな話、俺に教えてくれたよ」。

「すごいねえ、楽屋入ったの、あたしが初めて?」
ロングヘアの女の子が章の楽屋で、はしゃいでいた。
章は女の子に「カワイイ」と言った。
「何しても、かわいいな」。

女の子が笑い、「後で飲みに行くでしょ」と聞いた。
相方がやってきて章に「出番」とうながした。
章が女の子に笑いかけて、ステージに出て行く。

ステージに出て行った、相方が沈黙した。
続いて出て行った章が、客席を見て目を見張る。
小さな客席は、やくざで埋まっていた。

さっきの女の子が客席にやってくる。
周りを見ると、一目散に逃げていく。
章は言葉が出ない。

最前列にいたのは、ゲンだった。
ゲンは章を凝視していた。
必死に章はギャグを言おうとするが、相方は微動だにできない。

章も黙ってしまった。
ゲンが立ち上がった。
ステージに上って来る。

章の前に立つと「女に貢がせて、この程度かよ」と言う。
「お前、男やめろよ」。
章は声も出ない。

サヤが、深夜食堂に向かって歩いて来る。
足を止める。
階段の方に、兄の夏木刑事がいた。

深夜食堂に、唐揚げをあげる音がする。
「母さんには連絡してんのか」。
兄の問いにサヤは無言だった。

「そうか。どんな生き方してくれてもいい。俺はずっとサヤの味方だから」。
唐揚げが2人の前に置かれる。
夏木が箸をとって、サヤに渡す。
唐揚げを、サヤの皿に載せる。

サヤが箸を持つ。
食べる。
サヤの顔が、ゆがむ。
涙をこらえる。

泣きそうになりながら、サヤは食べる。
やがて、泣き始める。
兄が箸を置く。
サヤの頭をそっと撫ぜた。

ガラッと戸が開く。
ゲンが入って来る。
のれんをめくる。

章がいた。
動かない章は、ゲンに肩を押される。
章が店に入って来る。

「いろいろなことがあったみたいだけど、結局サヤちゃん、この男とは別れたみたいだよ」とマスターの声がする。
「サヤちゃんは母親の家に戻ったが、こうやってたまに遊びに来る」。
深夜食堂にサヤが入ってきた。

忠さんが「サヤちゃん、このごろ眠らなくなったね」と言った。
「うん、だって良く寝られるんだもの」とサヤは笑った。
「サヤちゃんの寝顔が見られなくて残念がってるお客が、けっこういるんだけどな」とマスターは言う。
深夜食堂の壁に貼られたメニューに、ハイボールが加わっていた。

「マスター、結局男ね~!」
客に笑われて、マスターがメニューをはがす。
それを止めようとする客。
深夜食堂に笑いがあった。



サヤは、平田薫さん。
「猫侍」で北村一輝さんのお隣さんでした。
かわいい。
でもなんか、不幸そうと思ったら、あんな男に貢いでたのですね。

こんなところで、夏木刑事とつながるとは思いませんでしたが。
夏木刑事の先輩刑事の野口が、竜ちゃんと個人的な関係があった。
今度は竜ちゃんの舎弟のゲンちゃんと、夏木刑事が個人的に関わった。
深夜食堂は、それぞれの肩書を取ったつながりができる場所ですね。

売れない芸人の章は、サヤに良いかっこしてお金を引き出している。
後輩に良いところ見せるのに、サヤからお金もらってるんだからそれだけでダメだなってわかる。
なのにサヤをバカにしきっていて、横柄な態度を隠さない。
サヤに暴力も振るってたんでしょう。

この時のマスターの殺気が、すごい。
とっさに醸し出す殺気。
あ、追い出す。
この人、やっぱりただもんじゃないんだと思いました。

しかしその時、ゲンちゃん登場。
「痛ってえ」と言って、笑うところが怖い。
調子に乗っている章は、ゲンちゃんを罵倒。
夏木刑事にぶっ飛ばされて唖然。

その時のサヤの態度と、夏木刑事の話から、サヤは兄に反発していたんだとわかる。
サヤは自分を肯定してほしくて、いつも章を甘やかしていたのではないでしょうか。
自分の選んだ人がダメで、いや、ダメにしたのは甘やかした自分かもしれない。

でもいつも兄に反対されていたサヤが、兄に反発して選んだ道だから、修正できなかった。
章に貢ぎ、報われなくても兄に対する意地で別れられなかった。
だけど兄の自分への愛情を確認して、兄に「何があっても俺は味方」と言われて意地を張る必要がなくなった。

今回、マスターも迫力ありましたけど、かっこよかったのはゲンちゃんです。
アニキの竜ちゃんも、小寿々さんが惚れ込む男だけど、舎弟のゲンちゃんもなかなか。
ゲンちゃんの怖さも知らず、罵倒した章は怖ろしい目に遭う。

さすが、竜ちゃんの舎弟。
ゲンちゃん、かなりな顔なんですね。
あれぐらいの人間を連れてくるぐらいの、顔ではある。

章はサヤをなめきっていて、浮気もしていた。
その女の子は、さっさと逃げてしまった。
まあ、あれで逃げない娘はいないと思いますけど。
章はサヤをなめきっていて、そのために人を見る目ももう、鈍っていたんでしょう。

サヤから別れを切り出したのか、章が切り出したのかはわかりません。
でもおそらく、章は自信喪失しているでしょう。
サヤは吹っ切って、よく眠れるようになった。
けど、章に安らかな眠りは訪れていないように思います。

これ見ていたら、唐揚げが食べたくなってしかたない。
マスター、ハイボールは結局、メニューに加えなかったんでしょうか。
最後の唐揚げの作り方を説明するサヤ。
後ろで夏木刑事が食べているのが、楽しい。


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2017.07.06 / Top↑