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世の中、裏目ばっかりよ 最終回「お江戸華町未練なし」

2009.11.25 (Wed)

必殺仕置人26話 「お江戸華町未練なし」

最終回です。
テレビ埼玉の「仕置人」の放送はもう終わって、今は「仕留人」放送してます、遅いです、すみません。

冒頭、ひび割れた大地、燃え盛る炎と流れる祈祷の声、狂ったように踊る白装束の女。
あちこちの井戸が枯れ、残った水のある井戸に人々は殺到する。
半次が向かった井戸には水があったのだが、岡っ引きの仁王門の寅松(山本麟一)が疫病が出たので、近隣の井戸は奉行所からのお達しで全部使用禁止だと言う。

夜遅く、病気の父親の為にこっそりと閉鎖された井戸を開け、水を汲んでいたみ乃という娘は見つかって寅松の手下の辰三という男の慰み者にされてしまった。
水を持って帰ったみ乃の様子で異常を知った父親の佐平は、半次とおきんに噂で聞いた仕置人に辰三の始末を頼みたいと言った。

仕置人に頼むには相応の金が必要だが、金はない。
金がないのでは仕置人は動けないと言う半次とおきんだが、佐平は娘が自分の身と引き換えに持って来た水で払いたいと言う。
しかし鉄は骨つぎの仕事以下の金での仕置きは嫌だと言う。

水を渡せば佐平は死んでしまうとおきんは鉄の人情に訴えるが、「人情話ってのはベタベタしてどうにも好きになれねえんだよ、棺桶も嫌だって言ってるだろう」と鉄は拒否。
そう言っておきんと別れた鉄は、寅松が辰三たちに水泥棒が出ないよう、見張らせながら水を大量に汲んでいるのを見る。
鉄が見ているのに気づいた寅松は、「何か文句があるのか」と十手を振り回しながらすごみ、鉄は無言で立ち去った。

結局、娘の身と引き換えにした水など飲めないと言っていた佐平はなくなった。
その夜、辰三が水を持ってみ乃のところにやってきたが、父親がなくなった今、もう水などいらないとみ乃は言う。
帰ってくれと言うみ乃を辰三は無理やり押し倒し、み乃は抵抗しながらかんざしで辰三を刺してしまう。

翌朝、み乃は捕えられた。
連行されていくみ乃を鉄も錠も、そしておきんと半次も見ていた。
み乃を連行しに来たのは、主水だった。

おきんは主水に「八丁堀の旦那!」と呼びかけ、辰三は死んだのかと聞いた。
主水によるとしんではいないがかなりの傷で、近所の者に話が聞きたいと言うと、おきんと半次は番所について行った。

番所で事情を聞いた主水は、「かわいそうな娘だなあ」と言い、おきんは鉄にも錠にも、先に仕置きをかければこんなことにならなかったと猛烈に怒っていた。
しかし危ない仕置き仕事を水1杯で引き受けるわけにもなあ…、と頭をかく主水にもおきんは「銭金じゃありませんよ!」と怒った。

鉄はこうなったのも全て、水のある井戸まで使えないようにしてしまったお上の責任だと言う。
それは疫病のせいだと言う主水だが、いつどこでどんな疫病が発生したのかは主水にもわかっていない。
しかも鉄はお上の御用水と称して、仁王門の連中が大量に水を汲み出しているのを見たと教える。

主水は筆頭与力の塩見内膳に井戸水使用禁止の原因の疫病のことを聞いたが、疫病は発生したのではなく、発生する危険があるから公儀の命令で閉鎖したのだと言われる。
御用水は城内に運んでいる。
「人々の苦しみ、目に余ります!」と言う主水に塩見は、井戸のある寺や神社の管轄は寺社奉行だから、筆頭与力の自分にも何もできないと言われ、雨乞いでもするしかあるまいと言われて終わってしまった。

夜に鉄と半次が見張っていると、仁王門たちによって水は造り酒屋の山城屋に運ばれていた。
仁王門たちは大名屋敷や造り酒屋、酢や醤油を作っている店、旅籠、料理屋などに水の横流しをしていたのだった。

主水が鉄を連れて牢にやってきた。
牢番に気の荒い奴だから気をつけろと言ったが、鉄はいきなり牢番を殴って気絶させた。
鉄は鍵を奪うとみ乃が入っている牢の鍵を取り、「おみ乃さん」と呼びかけ、鍵を開けた。

み乃を連れて逃げる際、主水は打ち合わせどおりに自分も殴らないと疑われると言うと、そうかと言って鉄は我慢しろと主水を殴った。
「ばかやろう、少しは手加減しろよ…」と言って主水は倒れた。

牢破りに気づいた町方は追いかけてきたが、その時、鉄と錠が棺桶を持って通りかけた。
中を聞かれた錠は中身は死人に決まってると答えたが、町方は見せろと言う。
だが開けようとした同心に、「疫病が伝染っても知らねえよ」と錠が言うと、同心は「もういい!行け!」と怒鳴って鉄と錠を行かせた。

しかしやはり、と思い直した同心が棺桶を開けさせると、中には目を閉じた女が見えた。
その途端、鉄と錠は町方たち相手に暴れ始めた。
町方を次々組み伏せると、鉄と錠は棺桶をかついで夜の町を歩いて行った。

鉄、錠と半次、おきんはみ乃を助け出すと鉄はみ乃に早く江戸を離れた方が良いと言って金を渡した。
「いいとこあるじゃないか〜」と言うおきんに「人情でやってるんじゃねえ。とっつぁんの頼みを聞いてやってりゃ、娘さんこんな目に遭うこたぁなかったんだ」と答える鉄。
「とっつぁんと一緒に行け」と言って錠は位牌を渡した。
今度は「気が利くじゃねえか〜」と言う半次に、「仏さん扱うのは俺の商売だ」と錠。

仕置人たちに頭を下げながら、み乃は旅立った。
しかし、み乃を見送った4人の姿を影から仁王門の手下の政が見ていた。

翌朝、水の横流しによる売り上げ金を、寅松たちが塩見に渡していた。
塩見は寅松たちの働きを誉め、場合によっては同心の末席に加えると言う。
このことは南北両奉行及び、寺社奉行も承知で、売り上げは全て寺社奉行に渡されるという塩見の言葉を主水はひそかに聞いていた。

さらにそこに、鉄たちの人相書きが配られた。
人相書きを見た寅松が「あれえ」と声を上げた。
寅松はこいつらは自分の縄張りであるかんのん長屋の住人だと言って、瓦版屋の半次、棺桶屋の錠、この女はおきん、この坊主頭は鉄といって腕の良い骨つぎだと次々説明した。

それを聞いた塩見は同心の小林と木谷に人相書きを見せ、こいつらこそ奉行所の手を焼かせてきた暗闇の仕置人ではないかと言った。
鋭い刃物による手口、急所の骨を砕く手口。
特に骨を砕くのは心得のないものには無理だが、この鉄という男ならできるだろう。
もしこの4人が仕置人なら大手柄だと言って、塩見はすぐにかんのん長屋に寅松たちを向かわせた。

しかし4人はもう姿を消していた。
その手際に4人は仕置人だと確信した塩見はすぐに手配書を回そうという小林に、手配書は2人だけにして油断させようと言った。
寅松にこの中で腕の立つものは誰だ?と聞くと、寅松は鉄と錠だと言った。
町に鉄と錠の手配書が貼られる。

潜伏していたおきんは半次にどうして自分と半次の手配書が出ないんだろう?と不思議がっていた。
暗くて見えなかったんだよ、と言う半次は水の横流しをしているお上が許せない、瓦版に書いてやると憤る。
鉄は寺社の水を汲んでいるのに、寺社奉行が何も言わないのを訝っていた。
その時、鉄たちが潜んでいる廃屋の戸を叩く音がした。

みな、すっと隠れ、錠が手槍を閃かせながら近寄る。
破れた穴から子供の顔が見えて、手紙が突き出された。
錠が受け取った手紙は主水からだった。
手紙には塩見の動きが不審だということ、今夕、塩見とある人物・2人が会談することが書かれていた。
1人は南町の筆頭与力の神島源之丞(外山高士)、もう1人は寺社奉行組頭支配・沢井刑部。

料亭で会った3人のうち、沢井は水の一件が奉行にわかったらどうする?と少し不安がるが、塩見は奉行は飾り物、たとえ耳に入っても現場にいる刑部が知らないと言えば良いと言う。
神島も雨が降って水が豊かになるまでの間に出世する為の金を稼いでおくことだ、と言う。
「雨さえ降れば全て綺麗さっぱり、お終いになる」という塩見に2人は笑った。

翌日に自分の顔は割れていないと安心していた半次が、寅松に捕まった。
拷問を受け、半次は鉄たちの居場所を言うことを強要された。
塩見は小林や木谷に、仕置人をおびき寄せる囮だから半次を殺すなと命じる。
翌朝、町中を引き回した末に処刑すれば、必ず仕置人たちは動く。

鉄たちは主水から半次の処刑の報告を受ける。
「罠だ」と錠は言い、主水も「そうだ」と言った。
「このままほっとくわけにもいかねえ。だが、みすみす罠にひっかかっちまっうと、おめえたちの命も消えちまうぞ」と言う主水におきんは「どうすりゃいいんだい。今日まで苦労を分け合ってきた半公を見殺しにするってのかい!」と言う。

鉄も主水も、水の横流しで儲ける奉行所内のカラクリは察しがついた。
「本当に汚ねえ。あまり汚なすぎらあ」と言う鉄。
「念仏。タダ働きしねえとおめえ、いつも言ってたな。…今度は違うぞ。違うか!」と錠が手槍をギリギリさせて床に突き刺す。
それを見た鉄は「ああそのつもりだ。やらなきゃ煮えくり返った、この腹の虫が収まらねえ」と言う。

向こうから仕掛けられる前に先手を取って、こちらから仕置きを仕掛ける。
「乗るかそるか、どっちに転んでもこれが年貢の納め仕事だ」と言う鉄に主水も、「そうと決まれば俺も命賭けるぜ」と言う。
鉄は「銭勘定しねえで危ねえ綱渡りをするのはバカバカしいが、何となくマシな人間になったような気がするじゃねえか!」と笑った。
「力あわせてやろうぜ」。

巡礼姿のおきんが、昼日中、鈴を鳴らしながら歩いていた。
おきんが持っているのは、中に濃厚な紫色の液体が入った鉢だった。
歩いていくおきんは、橋を渡りかけた沢井に話しかける。
「沢井刑部さまですね。あなた様にこれを差し上げようとお待ちしておりました」。
「何?」

足を止めた沢井におきんは「鉄をも溶かす、強い薬でございます」と言うと、鉢を沢井に向かってひっくり返した。
液体は沢井の顔にかかった。
沢井は悲鳴をあげ、横流しの金を放り出し、目元を押さえてのた打ち回った。
おきんは散らばった金を集めて拾い、辺りを確かめると、のた打ち回っている沢井を置いて立ち去った。

南町の神島の元へは、主水が訪ねてきていた。
塩見から神島が胴太抜という立派な刀を持っていると聞いたので、目の保養に見せてくれと言う主水を神島は拒否したが、胴太抜には偽者が多いと聞くと「わしのは正真正銘じゃ!」と言って持って来た。

「良く見ろ!」と言われた主水は、胴太抜を抜き、水平に構えて刃を見ると、刃を懐紙で包んだ。
「どうじゃ」と言った神島に向かって、主水はそのまま胴太抜を突き刺す。
「なっ、何をする!」と叫んだ神島を、主水はそのまま奥まで追い詰め、倒れた神島になおも胴太抜を突き刺す。

続いて神島を起こして座らせると、主水は後ろに回って羽織を脱がせ、着物の前を開き、そのまま前のめりにさせた。
神島が悶絶して動かなくなると、主水は正座し、静かに一礼する。
「見事なご自害であった」。

半次の処刑の朝、激しい雨が降った。
人々は空を見上げて、「雨だ!」「雨が降った!」と狂喜していた。
最初の囚人の処刑が行われるのを、半次が目の前で見ていた時、鉄と錠は刑場の塀の上に登っていた。

半次が目隠しをされて、首斬り役人の前に座らされる。
刃に水がかけられ、半次の前にさらされた時、鉄が役人を突き飛ばして走ってきた。
鉄は一直線に塩見に向かうと塩見の刀を抜き、首に押し付けながら「動くとこいつの命はないぞ!」と叫んだ。

同心の小林や木谷が向かってきたが、塩見を盾にされ「刀を捨てろ!」と言われて、役人たちは次々刀を捨てた。
そこへ錠が走ってくる。

刀を拾った錠は振り回して、役人たちを一箇所に集めた。
「貴様、何者だ!」と叫ぶ塩見に鉄は「闇の仕置人だ!」と叫び、半次を解放せと叫んだ。
拒否する塩見を盾にした鉄は、錠に半次の縄を切れと言う。
縄を切られ、目隠しを取られた半次は錠の「半次!」との呼びかけに「おお!」と答えると、2人は逃げた。

「水不足をいいことに私腹を肥やすとはいい度胸だ!」と鉄は言うと、指を鳴らし、塩見の背中に当てた。
息を詰めた塩見の背筋を指でたどった鉄は、ボキリと塩見の背骨を折った。
小林が鉄に斬りかかって来るが、鉄は小林の腕を掴むと小林の骨を外した。

斬りかかろうとした木谷を、飛んできた錠が刺す。
更に刑場の隅に逃げた寅松を追うと、傘を広げた錠は傘の向こうから手槍で寅松を刺した。
傘が破れ、寅松は最期に錠の怒りの目を見る。
そして鉄と錠はどしゃぶりの雨の中、逃走した。

雨上がり、旅支度をした主水が仕置人たちがいる廃屋へ入ってきた。
主水の気配にサッと散った鉄たちだが、主水を見ると鉄は「八丁堀!おめえは来ちゃいけねえんだよ!帰れ!」と言った。

「何を言うんだよ。俺もおめえたちと行くぜ」と言う主水に鉄は、「バカなこと言うんじゃねえ」と言い、「勝手についてきてもらっちゃあ困るな!」と言った。
旅姿の半次も主水には家庭があり、立派な勤め先があると言い、錠も「俺たちに義理立てするこたぁねえ!」と言う。
おきんも「そうだよ。お前さん何も疑われてないんだから、江戸をうることはないよ」と言った。

「しかし、おめえたちを別れるのは、なあ…」と言って、主水はうつむいた。
その言葉に、おきんもうなだれた。
すると鉄は、「別れるのはおめえ1人じゃねえ。みんなここで別れるんだ」と言った。
半次とおきんは顔を見合わせて「え?」「あたしたちも?」と驚いた。

人相書きまで出回った自分たちが一緒にいれば、また目をつけられる。
ここで別れて、それぞれ新しい道を探した方がいい。
それを聞いた半次は、「俺は嫌だ!」と言った。
4人とも命の恩人だ、こんな良い仲間には二度と出会えない。
そう言う半次におきんも「その通りだよ、あたいだって独りぼっちになるの嫌だよ」と言う。

「1人ぼっちの方が足を洗いやすい」と言った鉄に、錠は「念仏、おめえ、足洗う気か?」と聞いた。
「洗うかもしれねえ。洗わねえかもしれねえ。だがよ、いつまでも続けるほどありがてえ商売でもねえだろう」と、錠の後姿に鉄は言った。
半次は「鉄つぁんらしくねえぜ。俺はついていくぜ」と言い、それを聞いたおきんも「あたしも」と言った。

鉄は「よし、じゃあこれで決めよう!」と、一文銭を出した。
「表が出たら一緒に道中、裏が出たら別れる。後から文句は聞かねえぜ!」と言うと、錠も「わかった」と言う。
鉄は銭を宙に放り投げた。
一文銭は落ちて回り、倒れて裏が出た。
「裏だ!決まった。別れるぜ!」と言うと、鉄は旅道具を持って立ち上がった。

「鉄さん!」と声をかけたおきんに鉄は、「またいつか5人揃って会えるよ」と言った。
「会えるってどこで?」。
「どうせ極楽へは行けねえ俺たちだ。会えば地獄だろうぜ」と笑い、「生者必滅、会者定離」と言うと、「あばよ!」と大きく声をかけて勢い良く戸を開けて出て行った。
「鉄さん!」とおきんが追った。

鉄の去った後を見送っていたおきんの後ろで、錠が立ち上がった。
主水の横に来た錠は、ちらりと主水を見ると出て行った。
「錠!」。
そして半次が立ち上がり、杖をつきながら戸口から出た。
「半公…」。
おきんは主水を振り向いて見ると、外に走り出た。
主水は1人残って、みんなが出て行った雨上がりの外を見ていた。

鉄が先ほど賭けに使った銭を出すと、その銭は2枚が貼り合わせてあった。
どうなっても裏が出るように貼り合わせてあった銭をはがすと鉄は薄く笑いながら、「世の中、裏目ばっかりよ」と言って勢い良く銭を放り投げた。
そしてどこへともなく、歩いて行った。

橋の上でおきんと半次は川の方に向かって足を投げ出し、並んで座っていた。
「半公、これからどうする?」
「どうする?…どうしよう」と半次は答えた。
「見てごらんよ。広いねえ」と、おきんは空を見上げた。
「広いねえ」と、半次も見上げた。

「日本は広いやぁ」とおきんが言うと、半次も「日本は広いや」とつぶやいた。
そして、「じゃっ。さいなら」と言って半次は立ち上がった。
おきんは黙って、半次を見送って座っていた。
錠は船で川を渡っていた。

のんびりと後ろ手に手を組んで、奉行所の門をくぐって帰る主水。
後には奉行所の単調な日常が主水を待っている…。



最終回でした。
おきん役の野川由美子さんが言うには、「仕置人」の撮影で、ある時、暑い盛りの中、衣装をひきずりながら「暑いねー」と言いながら、まるで海水浴帰りのように疲れていたけど、食事に行ったそうです。
その時、野川さんが「ねえ、またこれやるって言ったら、やる?」と聞いたら、全員が「やる!」と。

「おきんは手足縛られたりしたし、監督が『顔打つな』って言ったって当たっちゃう。
無茶言うな〜と思った。
でもおもしろかった、やってて楽しかった。
だから嫌だとか、もういいやなんて思わなかった。
『仕置人』のメンバーは全員がイキイキしてて、役が手の中に入ってた」とのこと。

今なら野川さんは、元締めの役がやりたいそうです。
それがおきんだったら?
「お金貯めて元締めになってたりして、あの性格で姉御肌ですもんねー」と。
「お茶なんかたてて」って、あ、見たい、見たい!
それで普段は楚々としているんだけど、何かの時に啖呵が飛び出す。
見たい!

「『仕置人』、『必殺』は、よそのドラマより時間も3倍かかるし、傷だらけになったこともある。
でも出来上がりの映像がすごく良いし、おもしろいから誰も文句言わなかった」そうです。

最終回前半は、仕置人が追い詰められる原因となる旱魃による水騒動。
後半は、窮地に立つ仕置人。
濃密な最終回ですね〜、これが1時間に収まっている。
これだけの展開があるのに、駆け足の印象がないんですから、やっぱり当時のスタッフはすごいですよね。

後の必殺最終回にも受け継がれる、正体がバレるピンチ、仲間のピンチ。
しかし解説にあるように、過激な場面はなるべく自粛するように要請されたせいなのか、意外にも仲間は誰も悲惨に死なない。
それでも1人また1人とばらけて旅立っていく様子は、とっても寂しい。

いくら旱魃だからといっても、仕置人は自分の命も危険にさらされる非合法の危ない仕事をタダでは引き受けられない。
それにタダで引き受けてしまえば、歯止めがなくなることも事実。
しかし、み乃が牢に入れられて、鉄も錠も責任感じてる。
仕置人は能力は普通の人間を上回るものを持っているが、情の部分は普通の人間よりむしろ篤い。そして訪れる別れ。

かんのん長屋って、仕置人が集まってて、楽しかったんでしょうね。
みんな仕置人なんてやるぐらいだから、過去にはいろいろとあったんだろうけど、やっと見つけた自分の居場所、自分の仲間。
だから別れるのが嫌だって、おきんの気持ちがすごくわかる。
主水までが旅支度で来ちゃうし。

ここで解散かどうか、決めるのは中心的な人物であり、主水より自由な立場である鉄。
イカサマしてまで、鉄が別れる理由は何か。
みんなと一緒にいれば、いずれ誰かの死を見なければいけない。
今回は逃れたけれど、いつかきっと誰かが。

「またいつか5人揃って会えるよ」。
「会えるってどこで?」。
「地獄で」。
「生者必滅、会者常離」。

出会ったものには、必ず別れが来る。
鉄はすごくあっさりと出て行くように見えたけど、そうしないと去って行けないからだと思います。
「世の中、裏目ばっかりよ」は、結局別れなくてはならない運命に対しての言葉。
自分の地獄行きは覚悟しているけど、みんな揃って行くことはない。
なるべく、1人でも生きていった方がいい。

今度は切り抜けたけど、次はどうかわからない。
今別れれば、仲間の死を見なくて済む。
どこかでちゃっかり生きていると、信じていける。
おきんの「日本は広いや」は、おそらく、もうこの広い空の下、二度と彼らとは会えないだろうという気持ちが出ているよう。

この後、おきんと半次は「暗闇仕留人」で主水と再会しますが、半次は途中から姿を消すし、最後の別れはやっぱりとても寂しいものでした。
そして、主水はいつも1人残される。
今だから思えるんですけど、このラストは後の、常に1人残される主水を暗示しているよう。

錠は「仕事人大集合」という、いわゆるお祭り番組でその後を見せてくれましたが、本編だけでなかったことにする人もいますし、その後の彼として納得する人もいました。

鉄とはもう、ごまかしようがなく?再び「新・必殺仕置人」で出会う。
「仕置人」の最後の「完」の文字は、後に「新・仕置人」でも繰り返され、それは仕置人の崩壊と鉄の物語の完結となっていると思います。
これは主水にとっても「戦友」鉄との別れであり、裏稼業の一つの終わり。
事実上の「必殺」シリーズの始まりの「仕置人」は、「必殺」のひとつの区切りにもなっているんだと思いました。

今から30年以上前の作品ですが、やっぱりものすごくおもしろいですね。
野川由美子さんも、「テレビの画面であれだけの映像を作ったのはすごいことだし、このドラマは確実に一つの石をドラマ界に投げ込んだ作品だったと思う」と、おっしゃってます。


00:01  |  必殺シリーズ  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

Comment

ようやく書きましたね、最終回

結局金を貰わずに仕置きをしてしまう。
プロのはずの彼らがプロらしからぬ仕置き・・・それが正体露見に繋がるというのは見事です。

その後は一度この世界に入ってしまったら、足を抜けられるのは死んだ時だけだってなるんですが、この時はまだ足は抜けようと思えば抜けられたんですねぇ。

以後、主水は江戸に残り続けるわけですが、考えてみれば主水のみはその後に全員と一緒に仕事してるんですね。錠と顔を合わせたかどうかは不明ですけど・・・。

おきんさんの元締め、見てみたいですねぇ。寅の元締めの死神的役割に半次がいたりして。w

オギャン |  2009.11.26(木) 13:37 | URL |  【編集】

オギャンさん

>オギャンさん

遅い、遅い、書くのが遅い。
すみません。

>結局金を貰わずに仕置きをしてしまう。
>プロのはずの彼らがプロらしからぬ仕置き・・・それが正体露見に繋がるというのは見事です

ですよねー、この展開、見事ですよね。
怒りと自分たちが引き受けてさえいれば、という気持ちが自分たちの危険に繋がる。

こうやって主水も鉄も、タダではなく、「噂で聞いたんだが、晴らせぬ恨みを晴らす稼業があるらしい」などと言ったりして、とにかく頼み人になって、お金を出させることを考えるようになるんですね。

>その後は一度この世界に入ってしまったら、足を抜けられるのは死んだ時だけだってなるんですが、この時はまだ足は抜けようと思えば抜けられたんですねぇ

このままバラバラになって、普通の人に戻るって選択肢があったんですね。
でもおきんと半次、それから錠はどうなったかわからないですけど、主水と鉄は結局抜けてない。

錠も「仕事人大集合」とかをどう考えるかによりますけど、あの性格だと抜けてないような気が。

>以後、主水は江戸に残り続けるわけですが、考えてみれば主水のみはその後に全員と一緒に仕事してるんですね

そうなんですよ!
錠が「八丁堀も久しぶりだな」って言ったことはあると思うですが、顔は合わせたかな…。
対面したシーン、少なくとも会話を交わしたシーンはなかったような。

>おきんさんの元締め、見てみたいですねぇ

これは、ほんと、見たいです。

>寅の元締めの死神的役割に半次がいたりして

元締めおきんの横にはぜひ、半次にいてほしい(笑)。
ちゃーすけ |  2009.11.27(金) 00:21 | URL |  【編集】

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