こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
2017年07月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2017年09月
TOP時代劇・特別ドラマ枠 ≫ 「す、まなかった…」 「怪」第4作「福神流し」

「す、まなかった…」 「怪」第4作「福神流し」

「必殺仕掛人」の「地獄花」。

この話は何回か必殺では用いられています。
WOWOWで制作されたドラマ、京極夏彦さん原作の「怪」では、4作目の風見という敵方の用心棒の設定に使われていました。
「怪」のストーリーは原作にはない、オリジナル。

福の入っている箱を奉公人だった富蔵(船越英一郎)に、奪われた商人・叶屋幸左衛門(岸部一徳)。
どんどん没落した叶屋は、最後のお金をかき集め、御行の又一(田辺誠一)に今や江戸一番の商人・福乃屋になった富蔵から箱を取り戻してくれるよう、依頼する。

又一は仲間の山猫廻しのおぎん(遠山景織子)、算盤の徳次郎(火野正平)、事触れの治平(谷啓)とともに行動開始。
箱には七福神と同じ、謎の7人がついて箱を守っている。
まず、又一たちは妖怪を装って用心棒たちを怯えさせ、逃げ出させた。

だが、風見一学(杉本哲太)という男だけは恐れず、妖怪が目くらましであることも見抜く。
その風見はおぎんを見て、驚く。
用心棒となる前の風見。
これが「地獄花」の浪人・神谷の設定です。

元は立派な武士だが、浪人となった風見は仕官の口を捜していた。
ある日、念願の仕官がかなったが、それは妻が上司に当たる男に身を任せていたからだった。
それを知った風見に、追い詰められた妻は悲しく叫ぶ。

武士道が、剣術が、忠義が何だというのです。
私が身を任せなかったら、あなたは仕官など叶わなかったのですよ、と。
…ここが無言で斬られた神谷の妻と、違うところです。
妻としては、悲しい開き直りしかないんでしょうね。

その言葉に風見は思わず、妻を斬り、出奔。
金で雇われる用心棒生活を送っていたが、内面は荒みきっていた。
「地獄花」の神谷は死に場所を求め、「仕掛人」を狙う側に雇われるんですが、風見は福乃屋の用心棒になる。
そして、自分たちに仕掛けをする又一の仲間のおぎんを見て驚く。

おぎんは妻に似ていた。
しかし、おぎんはそんなことは知らない。
だから、敵対しながらも、風見は最後の斬り合いでおぎんに加勢し、仲間の用心棒に「貴様、裏切ったな!」と言われる。

おぎんは何故、風見が自分を助けて、他の用心棒を斬っているのか、わからない。
わからないが、おぎんの前の敵は全滅する。
だが、最後に、風見はおぎんに斬りかかる。

「何すんだい!」と叫んだおぎん。
この男が何を考えてるか、おぎんにしたら全然わからない。
武器にしている歯が刃となっている人形の頭が、風見の刀で飛ばされる。
おぎんに刃を突きつけながら、風見はおぎんを斬らない。

風見を睨むおぎん。
背を向ける風見。
地面に倒されたおぎんは立ち上がり、すらりと匕首を抜く。

まるで、風見の背中が「斬ってくれ」と言っているようだった。
おぎんと振り向いた風見は斬り結ぶが、おぎんの匕首は風見を刺していた。
風見は「す、まなかった…」とつぶやいて倒れる。


風見は、ずっと後悔していた。
妻だって本当は風見の為にやったことだとわかっていたのに、妻を許せなかった自分。
あの、妻の無慈悲な言葉は、実は風見が言わせてしまったんだということ。

もう取り返しがつかない。
荒れた生活を送る風見が救われる、唯一の機会。
それが、妻にそっくりのおぎんに斬られることだった。

もう少し、自分に大きな心があれば、浪人でもいい、2人は仲良く乗り越えていけたかもしれない。
「すまなかった」。
おぎんは何のことやらわからなかったでしょうが、風見はやっとそれで安らぎを得た。

杉本哲太さんの名演です。
「仕掛人」の「地獄花」の浪人・神谷は田村高廣さん。
さすがであることは、言うまでもないです!

立派な侍ぶり、その後の荒み方。
死に場所を求める神谷に、互角に渡りあった梅安が哀しそうに一言。
殺すまでもない。
あんた、もう死んでるよ。

しかし、緒形拳さん、田村さんの共演なんて今から考えたら、なんて贅沢。
豪華ですね。
山村聡さんは「仕掛人」でも「助け人」でも元締め役。
なので、「助け人」元締め・清兵衛さんを、「助け人」の文さんが狙うという展開です。
いや、「助け人」が後ですけど。

又一の仲間の算盤の徳次郎は火野正平さんが演じているんですが、七福神を退治する時、弁天が出て来るんですね。
算盤で弁天が目くらましをくらって、くにゃくにゃになるんですが、刀を抜いておきながら、徳次郎「女、斬れませーん」と言って去っていく。

火野さんっぽい感じで、笑っちゃいました。
まあ、弁天だけ残っても何もできないから、見逃してもたいしたことはないでしょうが…。
又一のレーザーポインターから逃げた七福神の1人が、入り乱れての斬り合いでこそこそっと退場しているのが、何かおかしかったです。

この「怪」、「必殺」を知っている人には、いろんなところで思い当たるものがあると思います。
あ、これはあのエピソードから!なんて思って見て、楽しかったです。

さて、「怪」の結末は結局、福の箱を巡って人が争う。
だから、乱闘の末、見事に箱を手に入れた又一は開けて中を見る。
すると、中には小さな福の神が座ってお茶を飲んでいる。

又一は黙って箱を閉め、箱を川に流す。
これは存在してはいけない箱、と言って。

箱の中の福神さまは、作家の荒俣宏さん。
お茶を飲みながら、こちらを見上げてニコリと笑う福助人形のような姿がかわいかったです。
どこ、行っちゃうんでしょうねえ。


スポンサーサイト

Comment













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL