こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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「藍の色は…、血の色だよ」 助け人走る 第33話「忠誠大心外」

第33話、「忠誠大心外」。


しのの茶屋に、思いつめたような様子の女性がいる。
気にするしのに文十郎は、余計な係わり合いは持たないよう、自分たちは人様の世話を焼ける身分じゃないと釘を刺した。
だがその途端、その女性は倒れる。
しのが医者を呼んだが、やがて医者は笑顔で帰って行く。

女性に、子供ができていることがわかったのだ。
来年の春には出産となる。
文十郎も喜び、しばらく休んでいるように言うと、夫に知らせてくると言ってやる。
しかし女性は泣き崩れ、自分にはもう夫もいなければ帰る家もないのだと言った。

女性の名は日田つやといい、夫は須坂藩の勘定吟味役の日田平之助。
平之助は突然、つやに離縁状を突きつけ、とりあえずの当座の資金を渡すと姿を消した。
そして、すぐに藩の者が追って来た。

家老の坂田の話によると、平之助は苦しい藩財政の中、蓄え、商人からも借金した千両の金を横領して脱藩したという。
確かに、つやに渡した金にも、藩公金の封印がしてあった。
住み慣れた役宅も追われたつやは、町をさまよい歩いていたのだった。
話を聞いた文十郎は平之助をひどい夫だと怒ったが、つやは夫はそんなことはしない、これは何か訳があると信じていた。

その頃、平内は女性に反物を買ってやろうとしたが、藍染の反物は平内の予想外に高く、藍染の手ぬぐいで誤魔化そうとした平内は振られる。
平内は龍に愚痴を言うが、阿波の藍染は藍玉の作り方も染めも特殊で、他では真似ができないのだと龍は言う。
自分は阿波にいたことがあるのでわかるが、百姓は米を作らず、畑で藍を作っている。
阿波は藍で持っていると、龍は言った。

そこに文十郎が来て、平内たちと背中合わせに座る。
「久しぶりだな」と言う平内に、後で集まってくれと文十郎は言う。
しのは利吉につやを紹介したが、利吉は公金を横領するようなら夫はもう江戸にはいないだろうし、そんな夫のことは忘れて故郷に戻った方がいいと忠告した。
だが、つやは平之助を信じて、探してくれるよう、5両を差し出した。

利吉から話を聞いた平内は、日ごろ真面目な男が魔が刺して公金横領することなど、よくある話と言う。
しかし、利吉はひたすらつやが夫を信じていることを話した。
龍は、1万石ぐらいの藩では、千両に血眼になるのは無理はないと言った。
侍の金は良くわからないと平内も言うが、利吉は文十郎としのはつやの人柄を信用しているし、自分も信用していると言う。

そして、平之助探しを依頼した。
同じ頃、お吉のお座敷では阿波の藍商人・藍屋徳兵衛が景気良く芸者たちに金をまいていた。
徳兵衛は、阿波の藍大臣と呼ばれている。

お吉も必死になって、小判を拾う。
小判をまきながら「つまらんなあ。銭で動く女は…」と、徳兵衛は言う。
その時、徳兵衛をあの家老の坂田が訪ねてきた。

坂田は日田平之助に公金を横領されたことを話し、借金の返済を延ばしてくれるように頼んだ。
作り話ではないかと言って徳兵衛はが鼻で笑ったのでい、坂田の側近の佐々木は刀に手をかけた。
しかし、徳兵衛は阿波徳島25万石・蜂須賀藩がバックにいると言って強気だ。

だが徳兵衛は、横領して脱藩したのは勘定吟味役の日田と聞いて考え込んだ。
日田には、つやという美しい妻がいるはずだ。
徳兵衛も一度見たことがあるが、あの美しさは忘れるものではない。

つやと2人だけで会わせてくれれば、借金の返済のことは考えても良い。
「魚心あれば水心」と、徳兵衛は言う。
事情によっては、返済を待たないでもない。
坂田は「よくわかった」と返事した。

座敷が引けたお吉は、文十郎に徳兵衛が座敷で撒いた小判を見せていた。
途中から客が来て、その客が須坂藩の江戸家老の坂田と知った文十郎は、何の用だったかお吉に聞いてみる。
お吉は、おおかた、借金返済を待ってくれといったところじゃないかと言う。
「武士が商人に頭を下げて金借りる、悪いご時世だってなあ」。

その頃、旅姿の清兵衛の姿が茶店にあった。
清兵衛は木彫りの仏を作っていた。
「ご精が出ますなあ」と声をかけられた清兵衛は、お辞儀をする。
仏を完成させると清兵衛は寺に行き、仏を寄進した。

「お見事なできばえでございますなあ」と僧侶は、感嘆した。
さらに清兵衛は懐から金を出し、無縁仏の供養を申し出た。
僧侶は「あなた様はこれからいずこへおいでなさるおつもりかな」と尋ねた。
清兵衛は「風の吹くまま、雲の流れるままに身をゆだねておりますので」と答えた。

利吉とつやが平之助を捜し歩いている時、佐々木がつやを見つけてやってきた。
佐々木は、家老が平之助のことで話があるからと探していたことを告げ、つやを連れて行こうとした。
利吉は警戒するが、つやは「大丈夫です、必ず夜には戻ります」と言って、佐々木についていった。
つやに会った坂田は言った。

役宅を追い出したことを恨んでいるだろうが、自分の本意ではない。
一応、形だけでもケジメはつけなければいけなかった。
世間の風当たりも強いだろうが、やがてほとぼりも冷めよう。
そうすれば好きな時に戻っても良いからと坂田が言うと、つやは「ありがとうございます」と頭を下げた。

そこで坂田は、藍屋徳兵衛に平之助が横領した千両の返済を迫られて困っている。
一度会って、つやからも口添えをしてもらいたい。
佐々木も、つやは平之助の罪を償わなければならないだろうと言う。
つやは黙って、承知した。

その夜、徳兵衛の座敷につやが呼ばれた。
途中、坂田と佐々木は用事ができたと退席していったので、徳兵衛とつやは2人きりになった。
つやは徳兵衛に、夫のしたことに合点が行かないと言う。

徳兵衛の座敷からの帰り道、坂田は佐々木に「自分たちも遊んでいこう」と誘う。
「千両の金は使い出がある。おかげでこの年になって初めて世の中が楽しくなったわ」と坂田は笑った。
その頃、つやは徳兵衛に襲い掛かられ、寝所に連れ込まれた。

お吉と料亭の庭にいた文十郎は、女性の悲鳴を聞きつけ、声がする部屋に駆けつけた。
障子を開けると、襦袢姿のつやが泣いており、横には徳兵衛が悠々とタバコを吸っていた。
現れた文十郎を見て徳兵衛は「ばかもん、何してんだ!あっち行け!」と怒る。
お吉は「てやんでい、こんちくしょう!」と叫んだ。

文十郎が座敷に飛び込み、徳兵衛を殴りつけた。
つやが座敷から走り出て行き、お吉が着物を持って後を追う。
橋の上で、つやは川に飛び込もうとしていた。
文十郎がつやを止め、「夫のことの真相を知るまでは死ねないんじゃなかったのか」としかりつける。

川のほとりで落ち着いたつやは、お吉に着物をかけてもらいながら、「文十郎様のおっしゃるとおりです」と言った。
「夫の真実をこの手でつかむまでは、決して死ねないわたくしだったのです」。
お吉も「そうですともさ。お腹の赤ちゃんだっているんですよ。それをお忘れになっちゃいけませんよ」と優しく言った。

うなづくつやを見た文十郎は、お吉に「よう、帰ろうか。夜風は体に毒だ」とうながした。
笑いあう文十郎とお吉につやは、「わたくし、自分の家に戻ります」と言う。
驚く2人に「もう大丈夫です。あの家で、良い報せを待っています」と笑った。

翌日、街道に1人の男がいた。
その男は、数人の後ろから来た編み笠をかぶった侍に後ろから背中をばっさりと斬りつけられた。
さらに肩を斬られ、「蜂須賀だな!」と叫んだ。
編み笠の侍は「貴様、生かして江戸には帰さん!」と叫ぶ。

たった1人で応戦していた侍は、川に飛び込んで逃れた。
岸に泳ぎ着き、瀕死の体ではずれの一軒家にたどり着く。
そこには清兵衛がいた。

物音に身構えながら「どなた」と清兵衛が尋ねると、侍は刀を構えながら「声を立てるな。水をくれ」と言って倒れる。
清兵衛は倒れた侍を、手当てしてやった。
「すまぬ…。名は何と言う」と侍は、床に伏しながら聞く。

「江戸者とお見受けするが、何ゆえこんなところで」。
その問いに清兵衛は答えず、「かゆでも作りましょう」と立ち上がる。
侍は「私は須坂藩士、日高平之助と言う」と名乗った。

阿波蜂須賀の手の者に追われている。
だがこの傷では、もう逃れられまい。
そう言って平之助は、清兵衛に「頼みがある」と言う。

包みを取り出した平之助は、「これを須坂藩江戸屋敷に届けてほしい」と言った。
だが、清兵衛は「お断りします」と即答した。
「正直に言おう。この中で書付がある」と平之助は言った。

平之助が持っていた包みには、平之助が命がけで調べた、阿波の藍の製造方法が書き込まれていた。
「何にも聞いてはおりません」と清兵衛はただ、横を向いている。
「待ってくれ。これが国元に届き、わが須坂の民百姓が藍作りに励めば、飢えて死ぬ子供がいなくなるのだ」。

そう言って平之助は、頭をさげる。
「私はこの仕事に命をかけている。頼む…、この通りだ」。
その時、清兵衛が外に気配を感じ、灯りを消す。
表には、蜂須賀の手の者が迫っていた。

平之助は刀を手に、出て行こうとする。
「そんな体で。斬り死になさるおつもりですかい」。
平之助は包みを振り返って「これさえ江戸表に届けば、私の死は犬死とは笑わせずにすむ」と言った。
「頼まれてくれ」。

頭を下げた平之助は「妻に伝えてほしい。平之助は藩の為、国の為死んで行った、と。頼む」と言う。
清兵衛は平之助を呼び止める。
そして「裏に船があります。あっしも江戸までお供いたしましょう」と笑った。

お座敷では、またしても徳兵衛が小判をまいていた。
だが、お吉は拾わずにいる。
徳兵衛は「どうした、お前、金はほしくないのか」と言った。
「欲しいに決まってるでしょう。でもね、あんたの金なんて拾うものか。女を手篭めにするなんて最低」とお吉は言う。

徳兵衛が「いつまでも手厳しく責めるもんじゃありません」と言ったが、お吉は「顔見るたんびに言ってやる!」と返す。
「こいつ!」と、お吉を抑えようとした番頭にお吉は平手をくらわせた。
すると徳兵衛は「そうは言っても、据え膳を食わない男は少ないだろう」と言った。

「据え膳?」
「ご家老があつらえてくれた馳走だったからな。あの奥様は」。
お吉は助け人たちに、つやをひどい目にあわせたのはあの家老だったと知らせた。

平内も家老は妾を3人も囲い、湯水のように金を使っていると言った。
側近の佐々木も似た真似をしている。
ということは、平之助は濡れ衣を着せられたのか。
はたまた、何かの理由があって、自分から濡れ衣を着たのか。

翌日、平之助は清兵衛に付き添われ、江戸屋敷に到着した。
「かたじけない!この恩は一生…」。
「さ、早くお行きなせえ。ご家老さまが首を長くして、お待ちでしょう」。
「何の礼もできぬが…」と平之助は、路銀のあまりを受け取ってくれと差し出した。

驚く清兵衛平之助はに「案ずるな。横領したものではない。ご家老様から頂戴したものだ」と笑った。
「頂戴いたします」と清兵衛は受け取った。
「うん。必ず、屋敷へ訪ねてきてくれよ!」
「はい」。

「十分、ご養生なさいませよ」。
清兵衛に笑いかけ、平之助は屋敷の戸を叩いて、「ただいま、帰参した!」と声をかけた。
つやは夫の影善を据えながら、夫を待っていた。
そこに清兵衛が訪ねてきた。

「日田平之助さまの奥様でいらっしゃいますか」。
「はい」。
「やっぱり、この家においでになりましたか…、いえね、ご主人さま、たった今、江戸へお戻りになりました」。
「えっ!まことでございますか!」

「はい、ようございましたなあ、奥様」。
「あっしは信じておりました。奥様はきっと、ご主人様を信じてお待ちになっていらっしゃるだろうと。世の中にはそういう夫婦が一組ぐらいあってもいいはずだ、と。そう思っておりました」。
「夫は藩の為に、阿波の国までまいったのでございますね」。
「はい、公金横領も、脱藩騒ぎも、みんな、ご家老様とご相談の上のお芝居だったんでございます。敵を欺くにはまず、味方から」。

つやは微笑んだ。
「…では、離縁状も?」
「はい。男の命がけの仕事。もしもの時、災いが奥様に降りかかることを案じて、お書きになったのでございましょう。それも、奥様をお信じになっていたればこそ、お書きになれたんでございましょうね」。

つやは涙を隠しながら、「会いたい…、一目」と言った。
その様子を見た清兵衛は「こりゃ、どうも。長居をいたしまして」と腰を上げた。
つやは立ち上がったが、清兵衛は平之助を連れてきますと言った。

鐘が鳴る。
1人、座敷に座っているつや。
「あなた…、やっぱりつやが信じていたあなたでした。うれしい…、つやはうれしゅうございます」。

道を行く清兵衛は、不吉な鴉の群れに目を留める。
白装束に着替えたつやは、懐剣を膝に「ごめんなさい、あなた。生きてお会いできるつやではないのです」と言った。
懐剣を抜き、つやは一気に喉を突いた。

須坂藩の江戸屋敷では家老が「よくぞやった。平之助!大義であったぞ!」と言い、傷を気遣った。
だが、平之助は一日でも早く、民百姓が藍作りに励む姿が見たいと言った。
「下がってよい。養生せいよ」。
「はい」。

そう言って下がろうとした平之助を、佐々木の後ろにいた側近の石坂が刺した。
「何をするか!」
続けざまに刺された平之助は、「何故だ。何故なのだ」と叫び、絶命した。

佐々木は「迷わずに成仏しろ。貴様の仕事は我々の役にたててやるぞ」と言う。
絶命している平之助に歩み寄った、坂田も言う。
「平之助。民百姓の為、咲く藍の花は美しかろう。だが、わしはそのような遠い先の日を待つよりも目の前の千両の楽しみを…、選んだのじゃぞ」。

平之助を訪ねてきた清兵衛は、屋敷のものに、逃げられないと知った平之助は家老の前で腹を斬ったと言われた。
「えっ、何ですって!」
信じられない表情の清兵衛の前で、屋敷の戸はあっさり閉まった。

そして徳兵衛には坂田が、平之助が持って来た藍作りの書が突きつけた。
「お前の負けだな」と坂田は言った。
藍玉の作り方から、染めの技術まで、阿波の藍の秘密はここにある。

「見事に盗まれましたな」と、徳兵衛はため息をついた。
やがて、須坂藩の千曲川のほとりに、藍の花が咲くだろう。
財政は潤うことだろう。
「隆盛を誇る阿波の藍を蹴飛ばしてくれる。貴様のお大尽遊びもこれまで…」と佐々木は笑ったが、しょげる徳兵衛の助かる手はあると言う。

「須坂藩は、藍作りを諦めてやっても良いのだぞ」。
そう、徳兵衛がこの書を千両で買い戻す、というのなら。
「安い買い物だろう」。

徳兵衛はわかりましたと言うと、千両の証文をすぐに坂田に渡した。
佐々木が証文をやぶると、坂田は「あと千両出してもらおう」と言った。
「話が違う」と言う徳兵衛に、「女1人世話させたことを忘れるな」と坂田は言った。

「つやの操に、千両払っても不服はあるまい!」
言われた徳兵衛は、ガックリと頭をたれた。
「そういうからくりだったのかい」。
床下に潜んでいた清兵衛が、つぶやく。

その時、清兵衛は床下にいるもう1人の何者かに遭遇する。
黒装束のその男は、利吉だった。
だが利吉は清兵衛とは気づかなかった。

塀を登り、外に待っている文十郎と平内に利吉は「やばい!逃げろ!」と言う。
逃げる3人を清兵衛は追いかけ、「待てっ!」と叫ぶ。
文十郎が兜割りを手に清兵衛に斬りつけるが、清兵衛は文十郎の手を取ると地面に転がる。
そして「俺だよ」と言う。

手ぬぐいを取った清兵衛を見た3人は、「あれっ!」と驚いた。
「棟梁!」と利吉が駆け寄り、文十郎と平内も清兵衛の手を取る。
助け人たちと再会した清兵衛は、全員が無事でいてくれたことを喜んだ。

しのが微笑み、お吉はみんな待っていたと言う。
平内が「いや、待ちかねていたんだ。なあ?」と龍に言う。
龍もが微笑みながら、うなづく。
「よく戻ってくれました」と文十郎が言う。

そして早速、清兵衛は平之助から受け取った小判を並べた。
すると利吉が、つやから預かった小判を出す。
「やっていただけますな」。
全員の顔がひきしまる。

龍が須坂藩の江戸屋敷の門の前に行き、下駄を脱ぐ。
おもむろに戸を叩くと、見張りが出てくる。
それを気絶させて走り出てきた侍を次々、気絶させる。

石坂が出て来て、驚いて龍を見る。
龍は宙を飛ぶと、下駄を投げる。
下駄を避けた石坂だが、龍に投げ飛ばされ、頭から落下した。

動かなくなった石坂を龍は持ち上げ、振り回す。
振り回された石坂は、木に激突した。
血を流して、石坂が放り投げられる。

坂田は屋敷内で、千両を並べて、酒を飲んでいた。
佐々木が、満足そうに小判を並べていく。
すると坂田の杯に、何かが投げられ、落ちていく。

藍玉だった。
杯の中、藍の色がゆっくりと広がっていく。
「何だ、こりゃ?」

辺りを2人が見回しながら、佐々木が「これは藍玉とこころえまするが」と言う。
「藍玉?」
障子の外の気配に「何者だ!」と、佐々木が近寄る。

突然、障子が開いて、平内が現れ、佐々木を廊下に引きずり込む。
紫煙が立ち昇る。
佐々木の前に、針をかざす。

「ひえええ」と、佐々木が怯える。
平内は佐々木の額を、一撃した。
小判が、飛び散る。

後退しながら、坂田は刀を手に取った。
だが、背後から文十郎の手が伸び、刀を抜く手を抑える。
そのまま、坂田を羽交い絞めにして、文十郎は「ご家老」と呼びかける。
「藍の色は…、血の色だよ」。

文十郎が手を離すと、坂田は斬りかかってきた。
坂田の刀は宙を斬り、文十郎が坂田を正面から兜割りで刺す。
兜割りを抜くと、坂田はうめいて倒れる。
並べた小判に、血が流れる。

血は流れて、小判を押し流す。
文十郎はそれを見つめる。
平内もそれを見ている。
文十郎と平内、そして龍は連れ添って、拍子木の鳴る夜の町を帰って行く。



江戸を離れていた棟梁、おかえりなさいの回。
為吉の骨を故郷に返してから、慰霊の旅の棟梁は仏像を彫っては、寺に寄進していたらしい。
そこへ文十郎たちが探している平之助を逃げ込ませるという、上手い接点。

最初は関わりになりたくない…とそっけなかった清兵衛だけど、生来の性格が出て、命をかけた平之助の様子に協力をする。
いつでも江戸に戻れるように、船は用意していた。
結局は困っている人、必死な人を前に手を差し伸べずにはいられないのは文十郎も同じ。

つやを気にするしのに関わるなと言っておいたけど、結局、関わっている。
最初に徳兵衛の投げる小判に群がったものの、つやに乱暴したのを知って小判に知らん振りするお吉もいい。
いいカップル。

阿波の藍の話…、というと、後には「新・必殺仕置人」の「阿呆無用」があります。
こちらでも当たり前ですが、阿波の藍は門外不出の秘密になっている。
それを外にもらしたという罪で、依頼人の父親が捕えられる。

それだけ阿波の藍は、話の軸になる重要なものなんですね。
しかしそれだけ厳しく守られている秘密を平之助はどうやって探ったのかは時間の関係上か、描かれてません。
解説にもありますが、秘密をつかむのがすごく早い。

この誠実な真面目すぎる夫婦を踏みにじる、むごい家老たち。
つやさん、お腹に子供がいるのに自害してしまった。
最後に、この夫婦、一目会えなかったし。

つや役は、松本留美さん。
「子連れ狼」でも、拝一刀の妻・あぐり役でした。
綺麗で気丈な武家の妻役が、ピッタリ。

そして利吉より、やはり潜入は清兵衛が上。
殺気がこもっていたかどうかは別にして、文十郎をかわす清兵衛は、頭目らしい身の軽さ。
再会を喜ぶ助け人たち。
龍も和やかになっている。

徳兵衛は千両をフイにされた上、もう千両取られたお吉いわく「スケベじじい」だからか、仕置きの対象にはならない。
結局、おバカさんだったということなんでしょうか。
後でつやさんも、坂田も死んでたら、怖いだろうなあ。

石坂役で、今も悪役で活躍している内田勝正さんが、ちらっとご出演。
この時はまだ、メインで悪を働いていません。
投げられた下駄が落ちてくる、それをかわす、そこへ龍に踏み込まれる映像も美しい。

平内さんが藍玉を投げて、それで杯が青く染まっていくのも美しい場面。
文十郎が坂田を仕置きする寸前に、殺しのテーマが止まる。
「あれ?」と思うと、文十郎、「藍の色は血の色だよ」。

「藍の色」は、「愛の色」にも置き換えられる。
そして小判が血に染まる。
この小判は、日田夫婦の愛を血に染めた小判。
決まりすぎなぐらい。

仕置きが済んで、夜の町を行く3人。
3人が角を曲がると、今まで歩いていた道に火の用心の拍子木打ちが歩いてくる。
これは日常。
3人はまた、日常に戻っていくんだ、と思うラストでした。


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