こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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あなたは自分が何を望んでいるかわからない方ですものね 「ヤヌスの鏡」原説

宮脇明子さん原作のマンガ「ヤヌスの鏡」。
原作は繊細な画が美しく、不気味で、残酷な物語。
しかし!
大映ドラマでは突っ込みながら、楽しく見られるドラマに!

おばあちゃまのタカさんは、初井言栄さん。
菅井きんさんか、初井さんか、という方でした。
あ、原泉さんという方もいらっしゃいましたね。
原作のおばあちゃんのイメージは、原さんかと思いますが、それだとしゃれにならないぐらい怖くなっちゃうかも。


さて、「ヤヌスの鏡」にはテレビ化記念で「原説」という、番外編が描かれました。
これは、タカおばあさんの若い頃の話。
戦争ちょっと前の話。

タカは1人、病室にいる。
「ヤヌスの鏡」本編。
タカは孫のヒロミに虐待に近いほど、厳しく接していた。
しかし、ヒロミの中にはもう一つ、残酷で奔放な人格、ユミがいる。
様々な事件を起こし、人を死に追いやることもするユミ。

ユミの存在に気づいたタカは、それがヒロミの別人格とは理解できず、不良になったとヒロミを折檻した。
なぜ、いつも信じてくれないのか、自分が自分でわからなくなり、相談しようとしていたのに。
悲しみに沈むヒロミに、ユミはこんなばあさん、あたしがとっとと始末してやると、と囁く。
ヒロミ、あんたには口答えなんかできないだろ?

その時、今まで言いたいことも言えなかったヒロミは初めて、祖母に「嘘つき!」と言い返す。
思わぬ反逆をされ、タカは衝撃のあまり倒れた。
そして、ヒロミは自分の中の怖ろしい人格・ユミに気づき、精神科へ行って消そうとした。
その為、ユミはヒロミを乗っ取り、ヒロミを道連れに母親が身を投げたのと同じ海に落ちた。
止めようとしたのは、ヒロミを密かに恋する進藤さんであった。

ヒロミは松の木がクッションになって助かった。
進藤さんは、あれはユミがヒロミとの心中を図ったのか、それとも下を見た時、松の木があるのを見たのか。
あれがクッションになって助かると、計算した上のことかわからなかった。

ヒロミの母親代わりの叔母が、駆けつけてきた。
病院のベッドの上で、ヒロミは目が覚めかけていた。
ある時はただ、おとなしいだけの少女だった、そしてある時は自由奔放だった自分。
きっとどちらかの自分が本当で、どちらかが鏡に映った自分なのだ、と思う。

もうすぐ目が覚める、そうしたらどちらが本物の自分か、わかる。
ほら…、と目を開けて見えてくる病室の風景。
ベッドの上で目覚めるのは、ヒロミ、それともユミなのか?
「ヤヌスの鏡」本編は、ここで終わっていました。

そして描かれた「原説」。
タカは1人、病室に寝ている。
看護師たちが、お孫さんが北陸で事故にあったと噂している。
本編では、最後の、ユミとヒロミの無理心中?の事件のこと。

倒れたタカは暗い病室のすみに、誰かいる、と感じている。
誰だ?ヒロミかい?
いや、あれは水鏡だ。
異母妹の…。

タカの回想が始まる。
若き日のタカ。
ある日、父親の新興貿易商の会社に呼ばれる。

「あら?これは珍しいわね。顔が二つある」。
ヤヌス神という、裏表のある神様が刻まれたメダルをタカは見る。
まだまだ珍しいものがございますよ、お嬢様もこちらにいらっしゃれば…と勧める秘書に、「物を売り買いする場所に出入りするのは品がないと母に言われました」と答えるタカ。

タカを呼んだのは父で、「異母妹を家に引き取るのでございましょう」とタカは言う。
「何だ、知っておったか。話が早いわ」と笑う父親。
話が早いも何も、人がどう思おうと関係ないのでございましょう?とタカは心の中でつぶやく。

廊下で挨拶しているみすぼらしい格好の娘。
「悪いと思うなら、わたくしの前に顔を出さぬのが礼儀というもの!」と叱り飛ばされ、「お下がりなさい。奥様はお加減がお悪いのでお休みになられます」と側近が異母妹を追い返す。

「ほら、もう、あそこに見えるのは…」。
振り返る異母妹。
ヒロミそっくりの容貌。
父の囲っていた女性から生まれた、異母妹・水鏡。

タカの母親は、没落した華族の娘。
しかたなく、なりあがりのタカの父に嫁いだが、タカの母は父を軽蔑しており、夫婦仲は良くなかった。
その気位の高さは、娘に受け継がれた。

タカの異母妹の名は、水鏡、と書いて、「ミカ」と読む。
いい名前だろう、わしの娘は揃いも揃って美人だと笑う父親。
「こんな娘がいたとは、忘れておったわ」と笑う。
水鏡の母がなくなったので、水鏡は引き取られたのだった。

父親の命令で、タカは水鏡に夕べ仕立てた着物を着せてやってくれ、和歌の本も見せてやってくれと言われると、その通りにする。
あまりにみすぼらしい着物だった水鏡は、その豪華な着物に頬を染め、「夜にはお返しします」と言うが、タカさんは「いいから差し上げるわ。それから和歌の本も」と言う。

しかも「あんなおめかけさんの娘をねえ」
「公家の出である奥様は、さぞかしくやしゅうございましょうねえ」と噂する使用人にピシャリ、「おやめなさい」と言う。
「主人が決めたことを、使用人がどうこう言うことはないでしょう」と。

その気高さと、かばってもらったうれしさについ、水鏡はタカの後をついていく。
「ついてきていたのですか」。
「はい、あの…」と異母妹、「おねえさ…」と言いかける。

すると、バシッという音がして、水鏡は叩かれる。
「着物も、和歌の本も差し上げましょう」。
タカさん、美しい庭園でビシッと言う。
「ただし、わたくしを姉と呼ぶことだけは、絶対に許しません!」

去って行くタカ。
「あんなおめかけさんの子をねえ」。
「こんな娘がいるとは、忘れておったわ」。
屋敷で聞いた、様々な言葉が水鏡の耳に蘇る。

ひとり、涙ぐむ水鏡の前にタカの婚約者・寛治が来てしまう。
「頬が赤い、どうしたんです?」と聞かれ、「何でもありません。何でも…」と答える水鏡。
泣きながら走り去る水鏡は、寛治の心に強烈な印象を残した。

ある日、タカの婚約者として屋敷に呼ばれた寛治は、ひっそりと庭にいる水鏡にそっと何かを手渡しする。
驚く水鏡。
「つらいことも多いでしょうが、がんばってください」。
水鏡の手には、そう書かれた手紙があった。

手紙を手に、涙ぐむ水鏡。
寛治はタカの婚約者、だがタカの父は水鏡にもいい相手を考えていると言う。
タカの母は、「あんな田舎者と結婚させられるなんて」と嘆くが、「小沢の家だけは守らなければならない」と言う。
常日頃、その為には辛抱してくださいとタカに言う。

タカは父親にヤヌスのメダルを半分に割って、ペンダントにしたものを渡される。
もう片方の顔の部分は、水鏡に。
2人で一つのメダルを持っていることになる。

父の言葉、母の言葉、両方にむしゃくしゃしたタカは、父親が渡したメダルのペンダントを床にたたきつける。
水鏡がそれを見ていたが、タカは無視する。
「隠さなければならないものでは、ないけれど」と水鏡はそっと、メダルの片方を拾う。

婚約者の寛治と2人きりになっても、何も話さず、タカは、つんとしている。
「つつじが咲きましたね」と話しかけられても、「ええ」としか答えない。
思わず、寛治、「お嬢さんは僕がお嫌いなんですね」と言う。

しかしタカは、「わたくしは小沢商会の娘。そしてあなたは父が後継者にと選んだ方。何の不満がありましょう」と言う。
「ご自分の家を思ってゆっくりなさってください」、タカ、そう言うとすっと立ち上がり、ぴしゃ、と戸を閉める。
残された寛治は、庭を見ていた。

そして、庭にいる水鏡を見て、自分の境遇を話し始める。
寛治は寺の和尚が、この子は頭のいい子なんです、とタカの父親に頼んで、進学させてもらった青年だった。
成長した寛治は、タカの父親の会社を手伝い、父親は寛治をタカの婚約者にした。

立場の苦しい水鏡と寛治、2人の気持ちは接近していく。
水鏡は鏡に映った自分を見て、「今、私は卑しい顔をしている」と思った。
寛治への気持ちは、水鏡の中で膨れ上がっていく。

水鏡は自分の部屋の前の廊下を掃除する使用人に、自分の部屋は自分でやるから、と告げる。
ずっと自分でやっていたことですものと言う水鏡だが、使用人は、でもお嬢さんは自分とは違う、大金持ちの人と結婚するのですからと言った。
何も聞かされていなかった水鏡は驚く。

相手の名を知り、水鏡は寛治に聞いてみる。
すると、相手の名を聞いた寛治は、「あの方は確か、今年で60になられるはずです」と言う。
「私が16だから、ひっくり返せば61、同じですね」と笑う水鏡。

あの人と私、と、水鏡はタカのことを思う。
二つに割られたヤヌス神のメダル、鏡に映せば同じものなのに、と。
ショックをうけた水鏡は、思わず、母親のいない水鏡を屋敷にやってくれた父親の秘書に相談する。

秘書は会長は言い出したらきかない、相手が60歳なら水鏡を孫のようにかわいがってくれる…と考えたらどうかと言う。
水鏡のような、寄る辺ない若い女性が今、世間に出たら、1人で暮らしていくには、廓のお女郎になるしか手がない。
だが今の自分のどこが、廓のお女郎と変わらないのか、と水鏡はつぶやく。

その足で水鏡はつい、寛治の家に向かってしまう。
雨にうたれ、立ち尽くす水鏡を、戻ってきた寛治は抱きしめてしまう。
水鏡が遅くまで帰らないのを、育ちの悪い娘は…とタカの母が嘲笑う。

気分を悪くした父親は、タカの母親の葬式のことを口に出す。
貧乏公家どもが、あっというような葬式にしてやると言う父親。
そこに水鏡が戻ってきた。
しかし、父親は階段から降りようとして口を開き、突然体を硬くし、表情を凍りつかせて階段から落ちた。

「父上、どうしたのです?!」
「だんなさま!」
父親はそのまま、急死した。

タカの母親の葬式の心配をしながら、父はなくなった。
だが、良い死に時だったかもしれない、とタカは思う。
そろそろ貿易商には、やりにくい世の中になってきていた、と。

タカの父がなくなると、母は床を離れて元気になった。
そしてタカにふさわしい人をと、勝手に元華族の男との見合いをセッティングする。
同じ公家相手の見合いの席、タカは1人、父がいなくなってから頑張って仕事をこなす寛治の姿が目に浮かぶ。

寛治は1人、がんばってタカに会社のことを教えながら、仕事をこなしていた。
疲れて、机に突っ伏したまま、眠ってしまった寛治。
タカは寛治に、上着をかけてやろうとしたが、その行為につい、ハッとして、ひっこめてしまう。

目覚めた寛治は、「すみません、つい」と謝るが、タカは無言だった。
寛治は、懸命にタカに仕事を教えながら、心の中では自分はここを辞める準備をしているのかもしれない、と思う。
そして、水鏡と、この家を出て行く…。

「大学などは功名心の高い俗物の集まり」と言うような、見合い相手。
突然、「帰ります」と立ち上がるタカ。
「そちらから出ては!鬼門です」と言う相手に、「わたくしはこちらから出たいんです!」と怒鳴る。

「わたくしの血の半分は、俗物の父から受け継いだもの。それに目をつぶってもいいぐらい、小沢商会の財産は魅力ありまして?」。
嫌味な相手に言葉をたたきつけ、タカは席を立つ。
母親は仰天し、乳母にタカの後を追わせるが、タカはそのまま家に走る。

その頃、水鏡と寛治は、離れで逢引していた。
「私は鏡の中に、自分を閉じ込めてしまったの」。
抱き合う2人。
だが2人が会っている時、タカが帰ってきてしまう。

離れから話し声が聞こえたタカは、離れにあがり、2人が会っているのを見る。
「けだもの!」
逆上したタカは、水鏡を張り倒す。

「やめてください。お嬢さん!」と止めに入った寛治は、手をつく。
髪も乱れ、逆上しているタカに寛治は、水鏡と自分をこの家から追い出してくださいと手をつく。
タカには本当はすごいショックだったが、口から出る言葉は、「なりません」という事務的な冷たい言葉だった。

「父のいいつけ通り、私はあなたと一緒になって小沢商会を継がねばなりません」。
「駆け落ちしても同じことなんです」と寛治に言われたタカは、寛治の村の生糸を他よりも自分の会社が高く買い取っていることを告げる。
売るものが他にない村で、会社が生糸を買わなかったらどうなるか。
寛治は、何も言えない。

今夜のことは、3人の胸にしまっておけば済むこと。
冷たく言い放ち、タカは出て行く。
水鏡はすぐに嫁入りさせると言われるが、翌日、彼女は自殺を図る。

しかし、間一髪、命を救われ、ついに「恥さらし」と罵るタカに恨み言を言う。
「どうして助けたんですか。あのまま、死なせてくれればよかったのに」。
「あなたは、何でも思い通りになる人なのに、せめて私の願いぐらい」。

部屋を出て行こうとするタカは、後姿で言う。
「私は物事が思い通りになったことなんて、一度もありません」。
それは本当に得たいものが得られない、タカの本音だった。

プライドにがんじがらめの、タカの本当の気持ち。
すると、水鏡の笑い声が返って来る。
「ふふ」。

笑い声に、タカは思わず振り返る。
「そうね。あなたはご自分が何を望んでいるか、わからない方ですものね」。
おだまりなさいと言ったタカに、水鏡は言う。
「自分がどうして死のうと思ったか、わかりますか」と。

「聞きたくもありません!」と叫ぶタカに、「幸せだったから」と水鏡は言う。
タカがどうしても一緒にさせてくれるような人ではないと、水鏡にはわかっていた。
「それでも、あの人は両手をついて、追い出してくださいと言ったわ」。

本当に自分は、幸せだった。
「そのまま死んでもいいぐらい、幸せだったわ」。
タカは幸せそうな水鏡を、見下ろしていた。

水鏡は言う。
「でももう、自殺なんてしない。
私の死を自分のせいだと思って、あの人が自分を責める。そんなことがあっては、ならないから」。

その後、水鏡は嫁入りした。
タカも年が明けて、寛治と祝言をあげた。
寛治はタカの脅迫を恐れることはなかったのだ、とタカは思う。
あれからすぐ、世の中は戦争で生糸どころではなくなったのだから、と。

いろんなことが、起こりましたとタカは言う。
水鏡も寛治も、みな、鬼籍に入った。
タカは、部屋の隅に座っている横顔の水鏡を見る。

そこにいるのは水鏡かい?とタカは、呼びかける。
また、私を笑いに来たのかい?
あの時のように。

私は今でも、お前を恩知らずのひどい女だと思っていますよ。
でも、私は何一つ、自分の思い通りにはならなかった。
何一つとしてね…。

割れたヤヌス神の、メダルのペンダントが蘇る。
タカの頭の中に、水鏡の声がする。
「あなたはご自分が何を望んでいるか、わからない方ですものね」。



若き日のタカは、すごいような美人なんですけど、宮脇さんはこういう迫力ある美人を描くと本当に上手い、綺麗。
タカは人に威圧感を与えるような、元華族の血を引く美しいお嬢さんなんですね。
まあ、身分が違う…という言葉が、当たり前だった時代ですから、しょうがない。
問題はタカさんが、そのまんまずっといたであろうことでしたけど。

元華族の母親に育てられたタカは、気位が高すぎる。
それが素直になれない原因だった。
いや、元々、甘えたり、優しくしたりするのが下手な人なのかな。

家に今いる猫がそうなんです。
クールで独立心の強い奴だなあと思ってたんですが、そうではなく、むしろ甘え下手だったんです。
私は猫はベタベタに甘やかすことにしているので、ベタベタしているんですが、「いいの?」「受け入れてもらえるのかな?」って様子でした。

それがわかると、かわいそうでね。
安心して甘えさせる為、かわいがるしかない。
信用させ、自分が愛されるべき存在だってことに自信を持たせてやろうと思いました。

母親は父親を軽蔑しているけど、華族の考え方がそうなんでしょうか。
小沢の家だけは、守らなければならないから、タカに辛抱してくれと言う。
それに対して、「はい」と言うタカ。

本当はタカだって、自分を殺して生きている。
でもそれは誰にも言えない。
言うことは弱いこと、それは恥だとでも思っているように。

水鏡を叩くタカ。
結果として水鏡と寛治、貧しい苦しい境遇の2人は、とてもインパクトのある出会いをしてしまう。
お互いの苦しさ、そこから来る優しさは、タカにはないものだった。

本当はタカは、寛治に上着をかけてやる優しさを持っているんですけどね。
寛治だってタカのそんな気持ちを見たら、気位の高いお嬢さんの恋心に対して、いとおしいという気持ちを抱かないことはなかったはず。
だけど、ろくに寛治と目を見て、話もしない。
あれじゃあ、寛治にタカの気持ちは伝わらない。

水鏡と寛治が抱き合っているのは、タカにはものすごいショック。
タカは寛治が好きだ、見合いの席でタカは確信したばかりなのに。
あの冷静なタカが、取り乱して水鏡を叩くので、その嫉妬の深さが、衝撃がわかる。

しかし、そこから発する言葉は、極めて事務的な冷酷なもの。
本当はそこまで言うってことが、ものすごいタカにはショックだってわかるんですが。
家にかこつけて、寛治を縛るしかタカにはない。

それでタカは、結局は寛治と一緒になったんですが、この性格だとあんまり幸せじゃなかったでしょうね。
ずっとずっと、寛治は水鏡を愛していると思っていた。
夫に愛されていないという思いを、抱えていたんじゃないかと。
それで、誰にも心の内を言えず、生きてきたんじゃないか。

最後、水鏡はそんなタカを嘲笑う。
タカの見栄、弱さを、隠していたものを水鏡は見透かした。
そうだ、タカは自分が本当にするべきことが、欲しいものが何かわかっていない。
家をねたに、寛治を縛り付けるしかできないのだ、この人は。

自分が追いやったはずの水鏡は、タカの不幸を見破り、嘲笑った。
そして幸せそうだった。
寛治の愛を得て、寛治への思いやりを持った水鏡は、タカが到達できない高みへ行ってしまった。

タカは生涯、水鏡に勝った気がしなかったのではないか。
ヒロミは、水鏡にそっくりだった。
タカがヒロミにつらく当たったのも、実はその辺が原因だったではないか。
そしてタカはあまりに厳しくヒロミに当たった為、多重人格を引き起こし、最後はそのヒロミにしっぺ返しをされたようになった。

タカの娘は母親に反発したあげく、父親のないヒロミを生んだ。
本当に何もかもタカの思い通りには、ならなかったらしい。
でも例えヒロミの母がタカの思う通りの優等生であっても、生涯タカの心は穏やかにはならなかったと思います。
何という人生。

強権的で、何もかも思い通りにしていたように見える老婆が、人生の本当に最後の最後かもしれない時に、「自分の思い通りには何一つならなかった」とつぶやく空しさ。
タカが考えないようにしていた望みは、水鏡のように、優しく、愛されることだったのではないのか。
だけどタカは結局、自分のほしいものに対して素直になり、得ることは生涯、なかった。

しかし、「ヤヌスの鏡」は多重人格ものの話ですが、こうして「原説」を見ると、因縁だったのかなあ…という気がします。


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