こたつねこカフェ

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「次の誕生日なんて来ない」 バースディプレゼント (1/2)

宮脇明子さんの「バースディプレゼント」。
ちょっといろいろと、考えさせられるホラー作品でした。


植田穂波と林葉大輔は、中学3年で同級生。
美少女で勝気な高樹さん、家が病院経営で近所では有名な洋館の三枝くん、将来はオリンピックの短距離選手かという諫早くん、秀才の大本さん。
この4人とは班も同じで、よく一緒に行動していた。

だがこの班には、もう1人、女の子がいた。
中学3年になってすぐに入院してしまったクラスメートで同じ班の、甲田彩華。
彼女が入院している病院で、従兄弟が看護師をしているという諫早くんは甲田さんの病状が思わしくないという話を聞いてきた。
3年になってすぐに入院した為、彼女とはほとんど交流のない4人だったが、それを聞いて甲田さんを見舞いに行く。

甲田彩香は、長い髪に青白い顔をして赤いバラ模様のガウンを着て、個室に入院していた。
4人が見舞いに行くと、甲田さんは「1人部屋がいいって言ったら、変えてくれたの。最近、みんなどんなワガママも聞いてくれるの。どうしてかしらね…」と暗い顔をして言った。
雰囲気を変えようと高樹さんが、星占いで甲田さんの誕生日を聞いた。

すると、来月、8月だという。
じゃあ、バースディプレゼントは何がいい?と聞いた4人に、甲田さんは言う。
「…誕生日プレゼントをくれるの?」
甲田さんは、4人を指差して言った。

「じゃあ…。大きな家の三枝さん、あなたからは大きな家を。綺麗な顔が自慢の高樹さんからは、顔を。諫早くんからは、速い足を。大本さんから、成績を」。
さらに、穂波と大輔を指して、「植田さんと林葉くん、あなたたち仲がいいんですってね。そうね、あなたたちからは…、植田さんから林葉くんをもらって、そして植田さんからは幸せを」と言う。

「あなたたちを幸せになんかさせない!」
そう言った甲田さんは、発作を起こし、ベッドの上に突っ伏した。
廊下にいた母親が、あわててかけつける。

だが、甲田さんは「何しに来たの。自分たちはこんなに元気です、って見せ付けに来たの?」と叫ぶ。
そして、ベッドに横たわった彼女は悲しそうに、「次の誕生日なんて来ない…、来ないのよ」と言った。
帰り道、勝気な高樹さんは「何かむかついてきた」と言う。
「かわいそうな病気の人、って、同情してたのにさ」。

三枝くんも同意した。
しかし、帰り道の関係で、穂波と2人になった時、大輔だけは言う。
「でも俺、甲田の気持ち、わかるような気がする」。

穂波が驚いて大輔を見ると、大輔は「甲田、あれ気づいてるぜ。自分がもう、長くないってことを」と言った。
「それが俺たちの元気な姿見て、どうして自分だけ死んでいかなきゃならないのか。みんなはあんなに元気なのに。何百人に1人かは14歳で死ぬ者はあるとしても、それが何故、自分でなくてはならないのか、って」。

大輔は普段と違う、とても思いつめた様子だった。
「やり場のない気持ちを俺たちにぶつけるしか、なかったんだと思う。こんなの、不公平だ、って」と言った。
それを聞いた穂波は、大輔のしみじみとした言葉に思わず涙をこぼす。

本当にそうだ。
自分は、そこまで考えていなかった。
でも、本当にそうだ。

そんなに深く考えず、見舞いに行こうだなんて、自分は浅はかだった。
涙をこぼす穂波に、大輔はそんなつもりで言ったんじゃないとあわてた。
その時、大輔の母親が通りかかり、泣いている穂波を見て、大輔が女の子を泣かしていると責めた。

大輔の母親は、ふっくらと太った、優しそうな女性だった。
翌日、穂波がそのことを大本さんに話すと、大本さんは意外なことを話す。
やっぱり、あんなことがあると、林葉くんには甲田さんの気持ちがわかるのかもしれない、と。

大輔は幼い頃、自分以外の家族全員を交通事故で亡くしていた。
では、昨日会ったのは…。
母親ではなく、それは大輔の叔母だった。

そんなことがあった3年生の夏休み、穂波に大輔から電話がかかってくる。
甲田さんがなくなった、という知らせだった。
なくなったのは、8月の29日だった。

もうお見舞いになんて、行かない方がいいのだろうか。
あれからそんなことを考えて気にしていながら、一度も会いに行っていなかった…と穂波は思う。
葬儀の日は暑く、甲田さんのことより、流れ出る汗を気にしていることがかえって、申し訳なく、悲しかった。

2学期が始まると、花が供えられた甲田さんの机を見て、クラスではほんの少しの間、話題にはなった。
しかし、教師が学力テストの話をすると、みんなすぐにそちらに気を取られた。
中学3年生の生活が、みんなを追い立てた。

そんなある秋の日、穂波は大輔と一緒の帰り道、車にひかれそうになる。
間一髪、避けた2人だが、穂波は走り去る車の背後の席に、こちらを見ている白い顔を見る。
その顔は、甲田さんだった。

凍りついた穂波。
さらにひこうとした車は、Uターンして戻ってくるかに思えた。
自分たちをひこうとしている…!

だが自転車が通りかかると、車はそのまま去って行った。
家に戻った穂波は、その日が9月29日。
甲田さんの月命日であることを知った。

翌日、その話をした高樹さんは笑い飛ばした。
そして、苦手な教科の宿題を、大本さんに見せてくれるように頼むが、大本さんは宿題は自分でやらなければ意味がないと、冷たく断る。
大本さんの態度と言葉に怒った高樹さんは、大本さんを成績が良くてもあの顔じゃ、自分なら自殺ものだと影口を叩く。

しかし、去ったと思った大本さんがドアを開けると立っていた。
忘れ物をしたのだと言う。
焦りながらもきっと聞こえてなかっただろうと、高樹さんは言った。

その日の帰り道、たくさんの消防自動車が走っていくのを穂波は見る。
火事だった。
しかも、火事の元は、三枝くんの家だった。
見物人の中に、甲田さんそっくりの長い髪の女性の後姿があるのを、穂波は見た。

翌日、、学力テストが返される。
うっかり足を組んだ高樹さんにつまづき、大本さんは転んでしまう。
わざとじゃないと謝った高樹さんだが、その拍子に大本さんは点数の悪かったテストを見られてしまう。
あれで成績も悪けりゃ、どこにもとりえないじゃない…、と高樹さんは嘲笑う。

家が火事にあい、父親の経営する病院で寝泊りしていた三枝くんの下に、1本の電話がかかる。
電話は「バースディプレゼント、どうもありがとう」とだけ言って、切れた。
この話を4人にした三枝くんに、大本さんは自分にも同じ電話がかかってきたと話す。

火事にあった三枝くん。
成績が落ちた大本さん。
もしかして、甲田さんが自分たちの一番大事なものを持っていこうとしているのではないか?

大本さんはそんな不安を訴える。
そして、穂波はあの暴走車に襲われた日、あの日は甲田さんの月命日だったと大輔に訴える。
だが、大輔は、「甲田はちょっと前まで、一緒に机並べていたんだぜ」と言う。

「それが死んだ途端、悪霊扱い。うまくいえないけど、残酷だぜ」。
残酷。
机の上の花を見て、改めて穂波はその言葉を噛み締めていた。
大輔はふと、とても深いようなことを言う、と穂波は思った。

その頃、諫早くんのN大付属高校への、スポーツ推薦入学が決まる。
しかし、大輔は練習に励む諫早くんの足を心配する。
少し前に、足をねじった、と言っていたのだ。

帰宅途中、私服に着替えて遊びに行こうとしていた高樹さんだが、突然、デパートの洗面所の電気が消える。
そして、顔が熱くなったので、触ると、ぬるりとした感触があった。
ポタポタと血が落ちる。

鏡には、甲田さんの白い顔が映る。
長い髪、赤いバラ模様のガウン。
顔を切られた高樹さんは、絶叫する。

学校で高樹さんの事件は話題になり、ちょっと勝気で綺麗な高樹さんを良く思っていない人たちは高樹さんの顔は元に戻らないと噂していた。
放課後、穂波たちは教師に視聴覚室に呼ばれた。
そこには、顔をガーゼで覆った高樹さんがいた。
事件として捜査がされているが、これは甲田さんのしわざだと高樹さんは言った。

高樹さんの言葉を聞いた諫早くんは、自分は足を、と言われたことを思い出す。
せっかく、N大付属に推薦入学が決まったのに、足を取られるなんてとんでもないと叫び、諫早くんは飛び出していく。
だが、その途端、諫早くんは階段を踏み外し、転んだ。

足が妙な方向に曲がる。
諫早くんは、足首を骨折していた…。
甲田さんの言葉が蘇る。

「林葉くんをもらって、植田さんの幸せを」。
次は林葉くん。
そう思った穂波は、帰宅する大輔の寄り道に心配でついていく。

だが大輔の寄り道は、実の両親の墓参りだった。
ふと、穂波は甲田さんは、大輔が好きだったのではないかと思った。
だから「林葉くんをもらって…」と言ったのではないか。

墓を見て、自分はここにまもなく入るんだろうか?そう言った大輔に穂波は、「林葉くんが死んだら、私は不幸だわ」と口走る。
そうだ、大輔がいなくなったら、穂波の幸せはなくなる。
「林葉くんがいなくなったら、私は不幸なんだから」。

大輔が驚く。
「大好きだから。好きな人が死んだら、不幸のどん底だわ」。
突然の穂波の言葉に、驚いた大輔たちの横を墓石を積んだ車が通る。
その時、石灯篭が崩れてきた。

もう少し、体がずれていたら危なかった。
頭が直撃されていた。
甲田さんだ、と穂波は確信した。

どうやって、大輔を助けたらいいんだろう?
思い余った穂波は、五寸釘を買いにホームセンターに行く。
そこで穂波はいつか会った、ちょっと怖い感じのする大輔の「兄」と会う。

大輔の兄は包丁を手にしており、これなら人間でもぶつ切りにできるだろうと穂波に言った。
近所の人間は「林葉のところのドラ息子が帰って来た」「あそこの会社も、今は厳しいだろうに」と噂した。
五寸釘を買ったものの、甲田さん相手にどうやって呪い返したらいいのだろうと穂波は途方にくれた。

その朝、穂波は学校の席に甲田さんが座っている夢を見た。
目覚めた穂波は、自分の部屋に甲田さんが来る夢をまたしても見る。
「もらいに来たわ。林葉くんを」。

悲鳴をあげて目を覚ました穂波の部屋に、母親がやってきた。
そして、大輔が兄に刺された…と話した。
泣きながら、穂波は目を覚ます。
もう、自分が夢を見ているのか、現実なのか、穂波にはわからなくなった。


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