こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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「林葉くんをもらって、植田さんの幸せを」  バースディプレゼント (2/2)

以下、ネタバレ、注意です。



登校した穂波たちは刑事に呼ばれた。
高樹さんの事件を捜査しているのだ、と刑事は言う。
事件?

三枝くんの家の火事は、タバコの火の不始末だった。
大本さんは、成績が下がった。
だが、この2つが重なることは、ありえる。
問題は、誰かがこの偶然を利用して、高樹さんの顔を切ったのではないか?ということだった。

確かに高樹さんは長い髪と赤いガウンは見たかもしれない、だが、暗がりでパニックを起こしていたのかもしれない。
誰かが成りすますことは、可能だ。
そしてドサクサに紛れて洗面所の個室でガウンを脱ぎ、人ごみに紛れることはできる。

では、諫早くんの足は?
実は諫早くんはかなり前から無理な練習を重ね、足に疲労がたまっていた。
そういえば、N大付属に推薦が決まった時、大輔は諫早くんが足をひねったことを心配していた。
あの事故は起こるべくして起こった。

じゃあ、あの暴走車も、石灯篭も偶然だったのか?
穂波が思った時、大本さんが泣きながら、叫ぶ。
高樹さんの顔を切ったのは、自分だ、と。

バカにされて、許せなかった。
そこへきて、成績が下がった。
すると、成績が下がったのも、何もかも自分をバカにした高樹さんが悪いような気がしたのだ、と。

驚く担任、そして泣きじゃくる大本さん。
あわてて外に出された穂波たちだが、それが彼女が大本さんを見た最後の姿だった。
大本さんは、署に連行されて行った。

帰宅した穂波に、甲田さんの両親から手紙が来ていた。
お見舞いのお礼と、それと…。
甲田さんは穂波たちが帰った後、つぶやいていたという。
悪い事をしてしまった、と。

3年になってすぐに入院したので、思い出はない。
「だけど、あのお見舞いは確かに、自分の3年生の思い出だね」と言った甲田さんは微笑んでいたという。
その翌日、彼女の容態は急変した。
手紙は、娘に中学3年生の思い出をありがとうございました…、と結ばれていた。

読んだ穂波は泣いた。
ごめんね、ごめんね、甲田さん。
呪いだなんて思ったのは、後ろめたさの裏返しだった。
お見舞いぐらい、何度でも行ってあげればよかった。

そして、大本さん、ごめんね。
高樹さんだけじゃない、私もきっとどこかであなたを傷つけていたのね…と。
中学3年生のその出来事は、穂波に人の心の美しさと醜さ、人生の煌めきと残酷さを胸に刻んで行った。
そう、最後の最後まで…。

大本さんは転校し、遠くで心の療養生活を送ることになった。
高樹さんの顔は元に戻り、登校してきた。
しかも、ニュースを知ったあるプロダクションが連絡を取り、アイドルとしてデビューの話がまとまったということだった。
家に帰った大輔を、「母親」が「兄」が電気技師試験に通ったと、豪華な夕食を用意して待っていた。

町の本屋で穂波は、高樹さんの事件を担当した刑事に会った。
諫早くんのケガも治り、呪いなんて考えた自分がおかしいと穂波は言った。
あの暴走車も、石灯籠も思い過ごしだった。
穂波がそう言った時、刑事の足が止まった。

ああ、刑事さんには話してなかった…、と穂波はあの暴走車と石灯籠の話をした。
話を聞いた刑事は、何だか嫌な話だなあと言った。
特に、車がもう一度、引き返して来そうだった辺りが…。

刑事は事件に際して、彼らの家庭環境も調べていた。
大輔の事情が、少々複雑なことも知っていた。
「じゃあ刑事さんは誰か、林葉くんの家の人が、って言うんですか?」

「いや、そういうわけじゃないんだけどね」。
穂波の頭の中に、大輔の「兄」の陰険そうな姿が蘇る。
「あのお兄さんだわ!」

夕食を食べた大輔は、風呂に入ろうとして足を止める。
「兄」が買ったばかりの大きな包丁を、丁寧に研いでいた。
包丁を研ぐ音が響く。

大輔が風呂に入った後、「父親」が「兄」に何をしているのか聞いた。
すると「兄」は、明日、友人と釣りに行くので包丁を研いでいるのだと言った。
大輔の入っている風呂の戸が、すっと開く。

「母親」だった。
大輔は戸惑いながら、「あのさ、おふくろ、よしてくれないかな。俺が入っている時に来るの」と言った。
「小学生のガキじゃないんだから」と言った大輔だが、「母親」が何か持っているのに気づいた。
「おふくろ、何持ってるんだ?」

ドライヤーだった。
コードが繋がっていた。
「母親」がスイッチを入れ、ドライヤーが作動する。

大輔は「風呂場でそんなもん、振り回しちゃ危ねーよ。感電するぜ。湯船にでも落としたら死ぬんだぜ」と注意した。
その時、「母親」の形相が変わった。
「…大輔」。
スイッチが入ったままのドライヤーを振り上げた「母親」は、「死んでちょうだい!」と言った。

穂波は大輔の家の人間に事情を聞いてくれ、と刑事を大輔の家に連れて行こうとしていた。
事件でもないのに行けない、と言う刑事だったが、穂波は友達の自分が呼び出すからと言ってきかなかった。
…嫌な予感がする。

大輔の家の近くまで刑事を連れてきた時、大輔の家の中から悲鳴が上がった。
刑事が大輔の家のベルを鳴らす。
「出ないな」。
ドアに手をかけた刑事は、ドアが開くことを確認して、中に入る。

家の中に駆け込むと、廊下にガウンを着て、大輔が立っていた。
呆然とした大輔は、穂波を見て、「おふくろが…」と言った。
ドアから、横たわった女性の足が見える。
刑事が飛び込むと、意識のない「母親」を「父親」と「兄」が囲んでいた。

「母親」の瞳孔を見た刑事は、人工呼吸を始めた。
ゴホッと咳をして、「母親」の意識が戻る。
どうして、こんなことに?

大輔は「母親」が自分が入っている湯船に、電源が入ってモーターが回転しているドライヤーを突っ込もうとしたのだと言った。
とっさに大輔が風呂の蓋で防いだら、誤って自分が感電してしまったのだった。
「おふくろが、何故、こんな真似を」と、「兄」がつぶやく。

刑事が言う。
「大輔くんが相続した財産を使い込んだ為ですね、林葉さん」。
刑事が大輔を調べた際、「父親」と「母親」が文書を偽造し、大輔が相続した財産を使い込んだ疑いが出てきた。

「父親」は会社を拡張したが、思うように業績は伸びなかった。
その為、大輔が相続するはずの遺産に手をつけてしまった。
だが大輔が中学を卒業する時には、弁護士と3人で今後の協議をすることになっていた。

その時には全て、ばれるだろう。
会社は整理しなければならなくなり、大きな負債を抱えるだろうと「父親」は言っていた。
それもしかたのないことだ、と「母親」も覚悟していた。

しかし、「兄」である息子が帰って来た。
やっと家業を継ぐ気になり、真面目になって帰って来た息子。
今、会社をつぶしたら、今度こそ犯罪者になってしまうかもしれない。
会社をたたむわけには、いかない…。

大輔が死ねば、財産は大輔の父の兄である主人が継ぐ。
使い込みもうまく、カムフラージュできるだろう。
自分は大輔を実の子のようにかわいがっていたから、誰も不審には思わないだろう。

9月の終わりに「母親」はキーのついたままの車を見て、ついふらふらとそれに乗って大輔をひこうとした。
それには失敗し、またその後、何度も思い悩んだが、息子が電気技師の試験に合格した。
今度こそ、と、「母親」は決心した。

「私は今まで、大輔を我が子のように育ててきました。信じてはもらえないでしょうけど…、本当に」。
そう言って「母親」は泣いた。
「でも、大輔が死ねば全てが丸く収まるような気がしてしまった。今思うと、どうしてだかわからない。まるで、何かに取り憑かれたように…」。

全てが明るみになり、大輔の後見人には叔父夫婦の代わりに、本当の父親と親しかった弁護士がなった。
大輔は言った。
会社が苦しいことも、遺産のことも、自分は全然知らなかった、と。
そんなもん、どうでもよかった。

事故直後によく思った。
どうして、自分だけ、あの車に乗っていなかったのか。
今また、考える。
乗っていれば、自分もここにいなくて、今度みたいなことにはならなかった…。

「ダメ、そんなこと言っちゃ!」
穂波は思わず、大輔に抱きついていた。
甲田さんの呪いだと思った時も言った、林葉くんが死んだら自分は不幸だって。
だからそんなことは、言わないでほしい…。

月日は流れた。
アイドルになるはずだった高樹さんは、スカウトしてきたプロダクションが倒産。
年賀状には、3人目の子供ができ、またまた太ってしまったと書いて来た。
もう美少女の面影は、あとかたもない、と書いてあり、どっしりとした重量級の彼女の写真があったが、何だかんだで幸せそうだと穂波は思った。

諫早くんは、体育の教師をしている。
結果的にあの時のケガが原因で、選手としては大成しなかった。
三枝くんは二浪して入った医学部を1年残して、神様を探しにインドに行ったまま、音信不通になったとのことだった。

大本さんには、あれから会っていない。
療養先で自殺したとか、大学に数年遅れて入り、今はそういった施設で教師をしているとかの、風の噂をいくつか聞いた。
穂波は大本さんはきっと、いい教師になっていると信じた。

そして、穂波と大輔は大学を卒業した後、結婚した。
女の子が1人、生まれた。
大輔はなくなった母親と同じ、「文香」という名をつけた。

ある日、穂波はアルバムを整理していた。
すると、大輔の幼稚園の時の写真が出てきた。
大輔と並んでいる女の子に、穂波は見覚えがあった。

名前の欄には、「甲田彩華」とあった。
大輔は全然、覚えがなかった。
甲田さんと大輔は、幼稚園で一緒だったのだ。

穂波は、今になって思う。
あの一連の出来事には、確かにそれぞれ原因があった。
だが、結果的に甲田さんの言う通りになったのだ。

あの4人の自慢の持ち物は、やっぱり甲田さんがあちらの世界へ、持って行ってしまったのではないか?
自分が見た白い顔は、本当に幻だったのか?
あの時、自分は大輔が殺されるということばかり考えていたが、別の意味はなかっただろうか?
…甲田さんは大輔が好きだったのではないかという、15歳の少女の勘はやはり正しかったのではないか?

穂波は親子で、遊園地に遊びに来ていた。
2人の子供の文香は、遊園地でハンカチを落とし、拾ってもらっていた。
大輔はアイスを買いに行き、疲れた穂波は、文香が見える少し離れたベンチで休んでいた。

「文香」と刺繍されたハンカチを見て、拾ってくれた人は「フミカちゃん?それともアヤカちゃんかしら?」と聞いた。
「フミカ、でも私はアヤカの方がよかったな」と、文香は答える。
穂波は、少し離れたところで、文香をボンヤリ見ていて思う。

大輔は、気づかなかっただろうか。
母親と同じ名前だといってつけた娘の名前、「文香」が、「アヤカ」とも読めることに。
以前、文香と同じ誕生日の人がいたことに。
そして、文香は自分たちのどちらにも似ていないが、知っているある人にはとてもよく似ていることに。

そこまで考えて、穂波は首を振る。
きっとそんなことを考えるのは、疲れているせいだ、と。
大輔がアイスを買って、文香のところに戻ってくる。

文香が大輔に抱きつく。
「パパ、文香のことが好き?」
「大好きだよ」。
「誰よりも?」
「誰よりも、だよ」。

文香は大輔を見上げて言う。
「ママよりも?」
甲田さんの言った言葉が、蘇ってくる。
「林葉くんをもらって、植田さんの幸せを…」。


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