土曜ミッドナイトドラマ枠で放送していた「幻想ミッドナイト」。

冒頭のナレーション。
「人はなぜ恐怖を求めるのか。あなたが喜びを実感したいのなら、深い悲しみを知るべきです。
幸せを噛み締めたいのなら、不幸を味わってみることです。
そしてあなたが人生の平穏を退屈ではなく、幸せだと思える為には時には血の凍るような恐怖を体験してみることです」。

「人は無意識のうちにそれを知っている。しかし、現実の恐怖は誰も歓迎しない。だからこそ、人は時々のぞいてみたくなるのです。
幻想の恐怖を…」。

第1回は「リング」の原作者である鈴木光司さん原作の、「夢の島クルーズ」。

東京湾をクルーズする小型ヨット。
それは牛島夫妻の持ち物で、バーテンの榎吉正幸は、そのヨットの上にいた。
以前、店に勤めていた女の子の再婚相手が牛島で、正幸は彼女に招かれたのだった。
しかし、その目的はどうやら、正幸にマルチ商法を店の女の子や客に売り込めとの誘いだった。

「マルチやると、友達なくすんだよなー」。
正幸は来るんじゃなかったと後悔しながら、海をながめていた。
すると、海の真ん中でおもちゃのロボットが浮いているのが見えた。
ヨットはそれを追い越して行った。

全く乗り気じゃない正幸の様子を見て、牛島の妻になった女性は彼を責めた。
正幸は海から、「かずひろ」と名前が書かれた小さい運動靴を拾った。
話を聞く気がない正幸は、「あー、これ、かずひろのだ」と言ったが、牛島はそれを見て、急に気を悪くした。
早く捨てろと言い、まるで見たくないものを見たかのようだった。

牛島の妻がまた、正幸を責める。
何てことするんだ、と。
一体何がそんなに牛島の気を悪くしたのか、正幸にはわからなかったし、興味もなかった。

日が暮れて暗くなった海の上、突然ヨットが止まってしまう。
全く動かなくなったヨット。
しかし、故障ではない。
何かが船に絡まってしまっているようだ。

牛島はしかたなく、海に潜って船体を調べることにする。
妻が心配する中、牛島は海に潜る。
牛島は気づいていなかったが、何かがこちらへ進んでくる。
それは牛島が海に放り込んだ、あの「かずひろ」と書かれた運動靴を片手につかんでいる。
ボロボロの皮膚、青黒い手。

何かがスクリューに絡まっている…、と思った牛島は、足を何者かにつかまれる。
海にひきずりこまれそうになった牛島は、必死にもがく。
パニックを起こし、溺れかけた牛島は必死に浮上する。

正幸に引き上げてもらうと、船室に逃げ込む。
自分をひっぱったものは、牛島を見たのだと言う。
ぶよぶよに膨れていて、そして…。

怯えきった牛島の話を聞いて、正幸はいよいよ嫌になった。
服を脱ぎ、ランニング姿になった正幸を見て、牛島は正幸が代わりにもぐってくれるのかと期待した。
だが、正幸はそれらをビニール袋に入れる。
体にそれを縛り付けると、正幸は泳いで岸まで帰ると言った。

置いていく気!と怒る妻。
正幸は泳ぎきったらちゃんと知らせて助けをよこしてやる、と言うと、海に飛び込んだ。
暗い海の中、正幸は岸に向かって泳いでいく。

泳いでいくうち、怯えきった牛島の言葉が蘇ってきた。
俺を見て、そして足をつかんで…。
まるで水死体みたいだった…。

何かが水中を泳いで、やってくる。
片方だけで、もう片方はつぶっているかのような目。
ボロボロの皮膚の、青黒い腕。

何かが、正幸の足に近づく。
泳ぐ正幸の足をつかむ。
正幸は、急に海に引きずり込まれそうになる。
何かが自分の足をつかんでいる。

今まで順調に泳いでいた正幸が、バシャバシャと水しぶきを立てておぼれそうになる。
片方の手は、「かずひろ」と書かれた運動靴をつかんでいる。
正幸は必死にもがく。
そして、自分をつかんでいると思ったものを水上にひっぱる…。

正幸がつかんでいたのは、海藻だった。
自分は何を怯えていたのか。
正幸は再び冷静になると、泳ぎ始める。
やがて、正幸はごつごつとテトラポットのある岸にたどり着いた。

さすがに疲れて岸に上がる。
一息ついた時、正幸は何かがテトラポットの間に挟まれているのを見つけた。
拾い上げると、それは「かずひろ」と書かれた小さな運動靴だった。
それも、正幸が拾った運動靴の、もう片方。

「かたっぽだけじゃ、泳げねえよなあ」。
正幸はそう言うと、運動靴を海に放り投げた。
弧を描いて、運動靴は暗い海にチャプッと音を立てて着水する。
「返したぞお」。

海に向かって、正幸は呼びかける。
そして、海を後に去っていく。
正幸が投げた運動靴は、夜の海に浮いていた。
誰もいない暗い海に、チャプンと音がした。

水中から腕が出てくる。
ボロボロの皮膚の青黒い腕。
腕は、海に浮いている運動靴をつかむ。
再び腕が沈んでいった後、海は静まり返っていた。




原作はあえて読まずに、ドラマ見た時のことを思い出して書いてます。
もう映像も見られないので、ところどころ違っているかと思いますが、ご容赦を。
榎吉正幸は高橋克典さん。
牛島は矢島健一さん。

妻はどうも、正幸に話しかける様子やら、その口調からすると、正幸とちょっと付き合っていたことがあるように思いました。
正幸は別に未練も何もないけれど、妻に頼まれてやってきた、という感じ。
後の展開から見ても、基本的に悪い奴ではないんだと思います。

何かと思えば、マルチ商法、要するにちょっと詐欺っぽい話に人を巻き込むことだってわかってウンザリ。
話も真面目に聞いてないから、かずひろの運動靴を見て、「あー、これ、かずひろのだ」とか言っている。
しかし、それを見た途端、牛島が顔色を変える。

妻が正幸をとがめる。
子供の運動靴なんか、拾って…、というようなことを。
牛島は再婚ということなんですが、過去に子供に関して何かあったんじゃないか?って思わせる描写。
いや、どうも離婚はその辺に原因があるんじゃないか、と。

正幸は、そんなこと知るか、って感じですが。
そして、日もくれた夜の東京湾で、ヨットが止まる。
どーするんだ、って。

ヨットが大事な、当たり前なんですけど、牛島は自分のヨットだから、もぐって調べてみる。
その時、向こうからやってくる、人間…?のような形のもの。
まるで水死体みたい。
片目だけ開けて、夜の暗い水中からやってくる。

運動靴からなんかもう、嫌な感じだった牛島、それにつかまれてパニック。
やっぱり、何かあるのかなあって。
本当に付き合いきれない正幸、ヨット見るんじゃなくて、泳ぎ始める。
海に飛び込み、こちらを見ている妻をちょっと振り返り、もうウンザリ、これっきりバイバイという感じで泳ぎ始める。

だけど、途中から夜の海を泳いでいて、牛島の怯えっぷりが気になりだす。
道中、長いし、不安ですから、この心理はわかる。
すると、牛島の時同様、何かが水の中やってくる。
近づいて、それで正幸を引っ張る。

やっぱり、何かいる!
心理的なものじゃないんだ!
…と思ったら、海藻。

あーあ、何怯えてんだ、俺。
あんな男の言葉、ちょっと気にかけちゃったりして。
そんな感じで、正幸、再び泳ぎ出す。

だけど、岸について見つけたのは、かずひろのもう片方の運動靴。
まるで、あなたに見つけてほしい…と言う意思を感じるような。
「これじゃあ、泳げねえよなあ」と、正幸もそれを受け取ったかのような反応。

ちゃんと海に投げてやる。
って、でも、最初にロボットを見た時から、何か、嫌~な感じがしてたんですよね。
もしかして、行方不明の子がいたのか?って。
海で行方不明なのは、おもちゃとか、運動靴じゃなくて、子供なのか?

だけど、全ては人の心の見せるものだった。
幻想の恐怖…。
そう思った時、夜の海の暗い海中から青黒い手が出てくる。

うわあああ、やっぱり、何かいたんだ。
気づいてほしかったんだ?
最初にロボットを見たせいで、彼を選んだのか。
それとも、たまたま彼がだっただけか。

警察に届けると、かずひろくんが誰だったのかわかるのかな。
詳しく描写はしていなくて、こちらにいろいろと想像させる作り。
幻想とも、現実とも言えない恐怖がコンセプトなら、ピッタリの話。
高橋克典さんは、東京湾を泳いでの熱演でした。


スポンサーサイト
2010.11.19 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://kotatuneco.blog59.fc2.com/tb.php/1503-10d822f0