こたつねこカフェ

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殺し屋の恋は悲劇に終わる 「新・必殺仕事人」第17話

テレビ埼玉と時代劇専門チャンネルの両方で、「新・必殺仕事人」を放送しているので、今日はどっちが何を放送したか、混乱します。
時代劇専門チャンネルの方が、テレビ埼玉より回が進んでますね。
それで、テレビ埼玉の方でついこの前、第17話「主水心中にせんりつする」 が放送されてました。

身分違いの恋の末、旗本が百姓の娘と心中した。
事実を隠すも、人の口に戸は立てられないのことわざどおり、この心中話は噂になる。
これを聞いた加代は、心中するほどの恋に憧れてしまう。
そんな時、加代は何でも屋で請け負った仕事先で、酒の代金の代わりに刀を置いていく浪人・井上と知り合う。

加代と井上はやがて恋に落ち、真剣になった加代は仕事人から足を洗おうとする。
おりくは同じ女性として、加代に理解を示してくれた。
だが、主水はかつての仲間で悲惨なことになった例をあげて、加代を引きとめようとする。

加代が恋した井上だが、仕官の為にある一家を斬殺していた。
そこで井上は、仕事にかけられる。
恋した男は、仕事にかけて良い外道だった。
衝撃を受ける加代。
おりくは加代を気遣うが、加代は仕事を引き受け、そして自ら手を下す決意をする。

「待っていてくれ」と言った井上。
その言葉どおり、加代は待っている。
加代に井上が近づいた時、加代は匕首で井上を刺した。

「な…ぜ…」。
驚愕の目で加代を見る井上。
井上を見上げる加代。
その時、背後から井上を主水が刺す。

加代が震えて、座り込む。
匕首が硬直した手から離れない。
加代が握り締めた匕首を外してやる主水。
匕首の先に、井上の血がついている。

それを見た主水が言う。
「こんなもんで、人が殺せるわけがねえ。いいか、殺ったのは俺だ。いいな」。
無言の加代をおりくが肩を抱いて、立たせる。
一点を見つめたままの加代を、おりくが連れて行く。

その後、中村家では、絵草子を見たせんとりつが、その中の登場人物の優しさと気遣いに感動している。
このような殿方は、絵物語にしかおられぬものか…。
うっとりとした2人に、主水が無遠慮に茶碗を突き出し、「おかわり!」と言う。



仲間が好きな人の為、足抜けをする話というと、ざっと思い出すのが「暗闇仕留人」の「懸想して候」のおきん。
主水も大吉も渋い顔をして、今さら抜けさせるかという反応に対して、花束を持ってきて祝福するのが貢。
涙ぐむおきん。

そんなことさせるか、と言う大吉に、「そりゃあんたの勝手だろう。人に押し付けるのはどうかと思うね」と言ってのける。
仲間が幸せになるのが、なぜいけない?
裏稼業の常識というか、そんなもの全く考えにない、普通の寿退社扱いする貢に大吉、唖然。

しかし、おきんを繋ぎとめておけなかった自分が悪い、お願いだからおきんを行かせてやってくれと半次が懇願する。
自分の幸せを思ってくれる半次の気持ちに、涙するおきん。
だが、相手の男は殺し屋の1人だった。
しかも、元締めは金次第で何の罪もない人間を殺せと命令する外道。

この仕事さえ終われば、自由にしてやる。
その言葉に、彼はお店乗っ取りを狙う女の依頼で、子供を手にかける。
外道仕事を知った仕留人、そしておきん。
泣く泣くこの恋を諦め、男が仕置きにかかるのを黙認する。

何で殺したんだ、何で…。
結局、自分は普通の幸せには縁がないのか。
殺し屋は殺し合うのが運命なのか。

男の仕置きを見届け、翌日も放心するおきん。
そのおきんの横には、明るく、でたらめな商品を売りつける半次の姿。
おきんの顔に、少し笑みが戻る。
半次がうれしそうな顔になる。
鉄火肌のおきんの、悲しい恋。

「仕事屋稼業」でも政吉が一緒に逃げようと決心した女が、殺し屋の一味だったことがありました。
「新・仕置人」はもう、正八がメインの名編があります。
最初、遊びで付き合ったおたみという女性の一途さに、いつしかカタギになりたいと願う正八。

だが、鉄は許さず、どうしても抜けるなら、女ひねり殺してやると言う。
鉄に食って掛かる正八、到底かなわずぶっ飛ばされる。
主水も「俺だってカカアはいる。だが足洗うのだけはよせ」と忠告する。

だが、正八は追われる覚悟で、おたみと江戸を出る決意をする。
しょうがねえ、俺が殺してやると言って出て行く主水。
キセルをふかしながら、「しょーがねえ野郎だ」とつぶやく鉄。

しかし、おたみは悪事に気づいたと勘違いした悪党に殺されてしまう。
おたみと子供と、3人の生活を夢見ていた正八は泣き崩れるが、その脳裏に鉄の言葉が浮かぶ。
「女、ひねり殺してやる」。

殺したのは鉄と確信した正八は、匕首を抜いて鉄に斬りかかる。
正八をねじ伏せず、かわすだけの鉄。
己代松が頭に血が上っている正八を押さえつけ、やったのは仁吉で、しかも正八の不注意が原因だったと怒鳴る。

呆然とする正八。
畳みに刺さった匕首を抜き、その正八の前に差し出して「こればっかりは誰にも譲れねえだろう。…仁吉を殺るか?」と聞く鉄。
黙って匕首を取る正八を見て、「松、八丁堀呼んで来い!今夜やる!」と鉄が言う。

己代松が出て行くと、鉄が言う。
「一度人を殺したら、もう、足を洗いたいなんて甘いこたぁ言えねえぞ」。
「もう思い残すこと、ねえもん」と正八が答えて、鉄が笑う。

加代の場合は女性だし、直接殺しはしていない点で、おきんのパターンに近いでしょうか。
相手が外道仕事をして、結局、仕事にかけられて、一緒になれないところも。
しかし、自ら絶望して手を下すのは、正八っぽい。
正八の場合は、恋人を殺された相手で、いわば仇討ちさせてやるのが気遣いですけど。

加代が最後、刺したけどトドメは刺してない。
相手を確実に殺したのは、主水。
やっぱり、密偵で、女性で、恋人だった男に加代に手を下させるには忍びなかったんでしょうね。

加代が自分で殺したという罪を、背負わないようにしてやる。
確かに匕首の先は血に染まってましたが、あれで死んだかどうかはわかりません。
割と深かったような気もするし、致命傷ではないような気もするし。

何だかんだ言って、主水は優しいんです。
きっと、おきんの時も、正八の時も、最後は何とかしてやるつもりでいたには違いない。
正八の時は中村家で「私もかわいそうだと思うんです」と口走り、せんとりつに浮気をしていると誤解されてますし。

「新・仕置人」で、はっきり出てましたが、彼ら殺し屋には殺し屋の優しさがある。
それも、ちょっと普通はない形の。
こんな葛藤も苦悩も知らず、能天気に勝手なことを言っているのはせんとりつ。

その気遣いができる男が、まさに目の前の婿殿とは知らない2人は憤慨し、呆れ、主水を軽蔑する。
主水はそんなことには構わず、おかわりをする。
この「おかわり!」という言い方が、本当明るくて、雰囲気ぶち壊しで思わず、笑ってしまいました。

軽蔑を平然と受け止めること自体、主水の器が大きいってことですが。
いいんです、中村家はこれで。
これで、ホッとして日常に戻って、終わるんですね。


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Comment

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この話、主水さんも優しいけれど、男陸産もすごく優しい。

同じ顔、同じ声、同じ殺し技の音羽さんなんか秀さんが女に惚れたってだけで左門さんに始末を命じていたのに・・・おりくさんは加代の気持ちを大事にしてあげようという。

この辺が初期の仕事人と、新必殺仕事人以降との大きな差でしょうね。
主水さんがとどめを刺した後、見守っていたおりくさんはお加代の肩を優しく抱いて立ち去っていく。
こういうおりくさんの優しさが、その後も5まで出演が続いた要因の一つかもしれませんね。

でも、この優しさが・・・やがて馴れ合いになっていく。
おりくさんが帰ってきてから、主水一派と三味線屋の確執みたいなものも、ほとんど消えちゃいましたねぇ。
2010年12月02日(Thu) 13:59
編集
ふと思い出したんですが・・・おぎん・・・鬼熊とか言ったかな?長屋の部屋に押し込まれて、人質にされて・・・でも、二人っきりであれこれ話しているうちに情が移ってしまって・・・そんな話がありましたよね?

あれ、私はおぎんがあの男を好きになったと解釈してたんですが・・・違いますかね?

男に惚れてしまったおぎん。そのおぎんがもうどうにもならないと知って、外に待ちかまえる奉行所に涙ながらに男の男sんざいを訴え出て報奨金を貰い、その報奨金を仕置両にする・・・その心情のむごたらしさが実に見事な話だと記憶しています。

仕事人での加代と六蔵さんの関係も、なかなか悲しいものがありましたね。しかも、あれが六蔵さんの最後の出番でしたねぇ。
2010年12月02日(Thu) 19:38
オギャンさん
編集
>オギャンさん

そうなんですよ、 おりくも女性として加代の気持ちを思いやってやる。
それでもって、もうひとつ、そうなんですよ、秀なんて殺されそうになっていたのに。
もっとも、おとわさんはそんなことして足を洗うのを阻止していたのに、自分は傷心のあまりいなくなっちゃったんですけどね。
女性を好きになると裏切る可能性があるけど、あれは仕事人を裏切る危険性がないからいいという解釈?

>この辺が初期の仕事人と、新必殺仕事人以降との大きな差でしょうね。

全体的に仲間に優しく、ゆるくなっていきますよね。
仕置屋とか、仕業人とか、仕置人の時は密偵に対しても怖い怖い。

>主水さんがとどめを刺した後、見守っていたおりくさんはお加代の肩を優しく抱いて立ち去っていく。
>こういうおりくさんの優しさが、その後も5まで出演が続いた要因の一つかもしれませんね。

あの仕草、加代の気持ちを優しく包むのが、目に見えてわかりました。
確かにおりくさんが母親的存在になってくれたから、仕事人は上手くいったのかもしれません。

>でも、この優しさが・・・やがて馴れ合いになっていく。
>おりくさんが帰ってきてから、主水一派と三味線屋の確執みたいなものも、ほとんど消えちゃいましたねぇ。

厳しさがなくなりましたね。
そうそう、「商売人」も最初は主水・正八と新次・おせいに緊張感があるのが、段々仲間として認め合うようになりました。

新・仕事人は、危ない橋を渡る仲間として信頼が芽生えた…、というより、何か一気に勇次が仲間入りしてたような感じに見えました。
2010年12月02日(Thu) 20:37
オギャンさん
編集
>再び、オギャンさん

>ふと思い出したんですが・・・おぎん・・・鬼熊とか言ったかな?長屋の部屋に押し込まれて、人質にされて・・・でも、二人っきりであれこれ話しているうちに情が移ってしまって・・・そんな話がありましたよね?

はい、「仕置人」の「狙う女を暗が裂く」ですね!
鬼寅です、本当は優しいまじめな板前だった。
だから故郷が近くで、小さい頃会ってたかもしれない!と話がはずみ、同じ故郷の歌を口ずさむということになる。

>あれ、私はおぎんがあの男を好きになったと解釈してたんですが・・・違いますかね?

そうだと思います。
仕留人の時のように足抜けまで考えるほど、関係が進まなかったというか、そういう出会いではなかったですが。
鉄たちに「うるさいよ!」と言って、真面目に話を聞いてます。
まさしく、ほんのつかの間の恋。

鬼寅自身も「あんたみたいな女の人に、もうちょっと、早く会ってれば良かったのにな」と言いましたね。
実際、もっと早く会っていれば鬼寅の為に足を洗って料亭の女将さんになろう、と思ったかもしれません。
それを鉄と錠、主水が何て言うかわかりませんが。

>男に惚れてしまったおぎん。そのおぎんがもうどうにもならないと知って、外に待ちかまえる奉行所に涙ながらに男の男sんざいを訴え出て報奨金を貰い、その報奨金を仕置両にする・・・その心情のむごたらしさが実に見事な話だと記憶しています。

懸賞金を自分のものだ、あたしが鬼寅を見つけたんだ!と叫ぶんですね。
それが仕置き料に。
鉄と錠が「鬼寅」を名乗って、彼を犯罪に追いやった金持ちを仕置きしてくれる。

>仕事人での加代と六蔵さんの関係も、なかなか悲しいものがありましたね。しかも、あれが六蔵さんの最後の出番でしたねぇ。

加代もいろんな過去を背負っていたんですね。
能天気に見えて、おしまは悲しい過去をみんな知っている。
だけど、六蔵さんは途中から出なくなって、ほんと、残念でした。

あとですね、「仕事屋」で政吉が女性と仕事屋をやめて出て行く、殺してもいいと言う話もあったんですね。
長くなったし、主水シリーズではないし、仕事屋好きだし、で、別の機会に、と入れませんでしたが…。
やっぱり、あれもカタギになって一緒には暮らせなかった悲しい話でした。
無理なんでしょうね。
2010年12月02日(Thu) 20:47
編集
裏稼業に生きる者の色恋沙汰。
仕置する側と悪党。でなければ被害者とか。どのみち悲劇で終わるのですが…。

ちょっと変ったところで『仕事屋』の政吉。
狙う悪党のフトコロに飛び込もうと、悪党の愛娘に近づいたけれど…逆に娘に誘われて、やがて恋におちた。親父が溺愛のあまり男を寄せ付けなかったとか。結局二人の仲を親父に知られるところと…。これ以上はネタバレになりそうなので。
その際にも元締のおせいさんに思いきっり平手打ちされてたような気がします。裏稼業に生きる者なら…と。

『新仕置人』の正八主役の傑作あたりには劣るかもしれませんが…。

政吉も正八も、最後、何かを吹っ切ろうとしている場面で切なくなります。

ところで余談になりますが、『新仕置人』で正八の相手役、おたみを演じた津田京子氏が先月亡くなられたそうです…。
2010年12月02日(Thu) 23:13
おばらあつひろさん
編集
>おばらあつひろさん

>ちょっと変ったところで『仕事屋』の政吉。

「仕事屋」って半兵衛も政吉も、依頼人にすごく肩入れしちゃうじゃないですか。
裏稼業の人間としては素人なんですけど、ものすごく感情移入して、真剣に遂行してくれる。
その分、入れ込んじゃいますよね。
人がいいというか。

>狙う悪党のフトコロに飛び込もうと、悪党の愛娘に近づいたけれど…逆に娘に誘われて、やがて恋におちた。親父が溺愛のあまり男を寄せ付けなかったとか。結局二人の仲を親父に知られるところと…。これ以上はネタバレになりそうなので。

あ、知ってますよそれ!
大丈夫です。
お気遣いありがとうございます!
悪党の親父が今井健二さんで、娘だけは心底かわいがっているんですよね。

>その際にも元締のおせいさんに思いきっり平手打ちされてたような気がします。裏稼業に生きる者なら…と。

おせいさんも、つい、政吉に対する態度が感情的に。
元締めとしてなら、もっと冷静に、突き放して諭しましたよね。
あれ、怒ってますよね。
みんな、ちょっとびっくり。

>『新仕置人』の正八主役の傑作あたりには劣るかもしれませんが…。

「仕事屋」ってあんまり知られてないみたいですが、いい作品ですよね。
私、大好きなんですよー。
「新・仕置人」も大好きです。

>政吉も正八も、最後、何かを吹っ切ろうとしている場面で切なくなります。

結局、すごく切ないラストに。
お金ばらまいてる政吉の、どこにもやり場のない気持ち。

>ところで余談になりますが、『新仕置人』で正八の相手役、おたみを演じた津田京子氏が先月亡くなられたそうです…。

ええっ…。
レギュラーはもちろんですが、悪役を始めとして、出演していた方の訃報って悲しいですね。
時間というものも、切々と感じてしまいますし。
教えていただいて、ありがとうございます。

「海よりも好き」の、おたみちゃん。
ご冥福をお祈りします。
2010年12月02日(Thu) 23:46












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