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「いらないのは、あんたの命だよ!」 翔べ!必殺うらごろし 第6話

市原悦子さん、お元気なんでしょうか。
あの方の声や語り方って、すごく心に沁みるんです。
子供の頃の「まんが日本昔ばなし」の記憶のせいもあるでしょうが、良い女優さんですよね。

どんな役も似合う。
こなす。
しかしこの「必殺うらごろし」の「おばさん」は、市原悦子さんじゃなかったら、ここまで凄みはでなかったはずです。
シャレにならないぐらい怖く、優しく、一度見たら忘れられない強烈さ。


第6話、「男にかけた情念で少女は女郎に化身した」。


空腹を抱えて、おばさんが先生と向かい合って焚き火をしている。
夜空には、満天の星。
おばさんが見上げて、つぶやいた。

忘れちまった昔のことも、あの星は知ってるんだろうか…。
娘の時のことも…。
赤い流れ星が、2つ流れる。
何か不吉なことが起きる前兆ではないのか。
「かもしれない」と先生。

旅の宿・戸倉屋で働く少女、毬は「若旦那、行かないで」と心で叫ぶ。
毬を背に出て行く若旦那・宿の1人息子の孝之助は女郎のお葉に会いに行ったのだった。
出会って抱き合う2人。
宿で1人寝ている毬だったが、いつしかお葉とシンクロしていく。

女郎を嫁にはできないと親は孝之助を、土蔵に監禁してしまった。
毬が見に行く。
みっともないだろう、と言う孝之助に向かって、毬は「嫌い」と言う。
掃除をしている毬の目に鏡が入ってきて、その鏡にお葉の姿が映る。

すると、毬は鏡に向かって紅を塗り始めた。
鏡の中のお葉が笑うと、毬も笑った。
その後ろから戸倉屋に止まっている正十が「大人の真似をしちゃいけませんねえ」と、声をかける。
だが毬は大人になったら女郎になると言う。

女郎になって、好きな人にかわいがってもらう。
夜になり、毬がこっそり女郎屋を伺いに行くと、お葉が女郎屋の仁平に折檻を受けていた。
女郎屋の主人の勘造は、戸倉屋の若旦那をたぶらかすのは結構だが、それ以外の客をとらないお葉に困っていた。
倒れているお葉の前に、毬が書付を置いていく。

それを見てお葉は、いつもいつもありがとうと手を合わせた。
孝之助もまた閉じ込められていると知って、お葉は「会いたい」と泣いた。
朝、若が博打に負けて戻ってくると、正十が毬にちょっかいをかけている。

戸倉屋は大地主。
毬は遠縁に当たる少女で、ここで働いている。
働き者の毬はかわいがられ、まもなく養女になる予定だった。
正十は毬と一緒になると、ここの若旦那になるとうそぶくが、若は笑い飛ばす。

戸倉屋は番頭の与八に、戸倉屋が早く毬を養女にしなければと言う。
おまけに、お葉が若旦那以外の客をとらないことも告げると、「したたかな女だ」と不快感をあらわにした。
だが蔵を抜け出した孝之助は、死んでもお葉と添い遂げると言う。

正十はそれを影から見ていて、戸蔵屋に若旦那とお葉を別れさせる話をもちかけた。
戸倉屋は、金で済むことなら助かると言う。
蔵にいる孝之助に、与八がやってくる。
お葉との仲を取り持ったのも、与八だった。

町でおねむは札を売っている。
札は大売れし、その背後では先生の売込みをおばさんがしていた。
正十はおばさんに声をかけると、おねむは大儲けしていることを正十に話す。
そこに毬がやってきて、おばさんと先生のことを当ててみようかと言う。

2人は仲の良い夫婦だと無邪気に言う毬に、おばさんは私たちは先生とただのおばさんと微笑む。
毬は先生に向かって、お願い、家に来てと言う。
病気を治してほしいのだと。

先生は戸倉屋に祈祷を行う。
戸倉屋は起き上がり、通風の痛みが嘘のように消えたと言った。
病は気から、心穏やかに過ごすこと、と諭す先生。
戸倉屋は恥を忍んで…と、息子が女郎にうつつを抜かしていることを話す。

色恋のことは自分にはわからないとおばさんに答えを求める先生だが、おばさんもわからないと言うばかり。
泊まって行ってくれと言う毬だが、おばさんは謝礼を受け取って出て行く。
おばさんは、毬が若旦那を好きであることを見抜いていた。

正十は小判をお葉の前に積んでいた。
借金を払ってもらって、身請け金に15両、後々の暮らしに10両。
いい話だと、若旦那のことさえ諦めてくれればいいと正十は言うが、お葉は拒絶する。

若旦那とお葉を別れさせようとした正十に、おばさんは怒る。
好きあった者同士を別れさせるなんて、とおばさんは言うが、若旦那と女郎が一緒になれるわけがないと正十は言う。
先生も意見を求められて、わからないながら、一緒になると地獄を見るかもしれないと言った。
だがおばさんは「わかってないんだねえ、2人とも。女はね、例え地獄が見えてもついていくよ」と言う。

孝之助が蔵を抜け出した。
女郎屋では、お葉が与八の手配で身請けされていた。
勘造はお葉の若旦那一筋の心に負けた、と言っていた。
話が決まったなら、明日早くに出立だ。

小判を抱きしめるお葉。
与八に感謝する孝之助。
「幸せに暮らしてくださいよ」と言う与八に見送られながら、旅姿の孝之助とお葉はうれしそうに女郎屋から旅立った。

2人が行ってしまった後、見送っていた与八の背後に勘造と仁平が出てきた。
仁平が与八に、「あんたの悪知恵にはいつも感心しますぜ」と言い、数人の男たちが孝之助とお葉の後を追って行った。
若旦那がいなければ、戸倉屋の身代は与八に転がり込む。

礼はたっぷり貰うと勘造は言った。
河原で草舟を流し、幸せを噛み締めていた若旦那とお葉は、追ってきた勘造たちに捕まった。
「だましたな!」と叫ぶ孝之助に勘造は、あの世で一緒になれと言う。

札を売り歩いていたおねむは、ふと、朝もやの中、振り返る。
目線の先には、血に染まった匕首を片手に持ち、両手をしっかりと結ばれた孝之助とお葉の心中死体が転がっていた。
与八に背負われ、毬に案内されて戸蔵屋が心中の現場に走ってきた。
先生とおばさんも見物人に混じって、それを見ていた。

正十は「だから言わないこっちゃねえ」と言って、見物人から離れて行った。
心中死体を見ていた毬の様子がおかしくなる。
死体の前にひざまずき、じっとお葉を見つめる。
悲鳴をあげて、逃げ出す毬。

1人、部屋で足を投げ出して座っている放心状態の毬に、与八が声をかける。
戸倉屋は、どうしても毬を養女にし、婿をとって戸倉屋を継がせる気だった。
放心状態の毬に、与八が言い寄った時だった。
毬が似つかわしくない甲高い声で、笑い声を上げた。

「ふざけちゃいかんばい!私を誰と思うとるとね!」
その口調は、毬のものではなく、お葉のものだった。
毬は笑いながら、戸蔵屋を飛び出す。
見ていた正十は後を追いかけようとした与八を、「みっともないよ、あんな娘相手に。もっと年増にしたら」とたしなめると、与八は退散した。

河原にいた若に、「おにいちゃーん」と毬が声をかける。
「おつかいかい?」と尋ねる若に、毬は男の人を探していると言って笑った。
「毬ちゃん」と驚く若に、「違うわ。あたしはお葉です」と答え、危うい足取りで去って行った。
若の報告を聞いたおばさんは、おかしいと言った。

先生は引き筋といって、他人の霊を引き寄せてしまう体質の人間がいると言った。
異様な目つきで、夜道を歩く毬。
屋台で酔った客が路地に立っている毬に目をつける。
「い、いくらだ」と客がうわずった声を出す。

先生が霊視する。
男を先導していく毬が見える。
「見えたぞ!」
先生が夜道を走っていく。

夜鷹のような行動をしている毬を見つけると、先生は槍を地面に刺し、男に近寄る。
「失せろ!」と言うと、男を引っぱたいて追い払う。
おばさんも、男をひっぱたく。

先生は毬、しっかりしろと言うが、「あたし、お葉です」と言う。
毬をしっかり先生が抱きしめると、毬は「あの人のところへ行かなきゃ。死ななきゃ!」と言う。
「死んで。一緒に死んでください」。
先生は「よし、俺も一緒に行こう」と言う。

焚き火の前で先生は毬の手を取る。
目を閉じた毬の脳裏に、孝之助と楽しそうに遊んだ日々が蘇る。
見えるでしょう、一緒に見て?とうれしそうな毬。
だが毬は途中で、お葉に変わった。
悲鳴をあげる毬に、もう一度見るんだ!と先生は言って、再び毬をトランス状態に入らせる。

逃げる孝之助とお葉。
引き離され、孝之助が刺される。
「人殺し」とお葉が叫ぶ。
「あの心中は殺しだった」と先生が言う。

先生は河原に毬を連れて行く。
2人はここで殺された。
おばさんは先生と毬が見たことを、信じると言う。
正十と若が飛んで来る。

2人が調べたところ、与八と勘造はグルだった。
与八は女性客を騙して、勘造に売り飛ばしたりもしている。
「あいつら」とおばさんが憤るが、先生はだが、勘造たちが犯人だとは確信がないと言う。
すると正十が確かめてくると言った。

仁平の前に、札を売る口上のおねむが座り込んでいる。
おねむが魅力的に、仁平に笑いかける。
仁平はおねむに寄って来ると、おねむは何か食べさせてくれるかと聞いた。

すごい勢いで食べるおねむは仁平に、「あんた悪い人でしょ」と言う。
「人も殺したしね」。
「何?」
「みんな知ってるよ。女郎屋の亭主と戸倉屋の番頭とつるんで、2人殺した」。

あたりを見回した仁平は匕首を出すと、おねむに「そんなこと喋りやがると…」と脅した。
背後で聞いていた正十が仁平を殴り、おねむを連れて走る。
追ってきた仁平に自分をひきつけ、おねむを隠して正十は走る。

横から出てきた若が仁平を殴って気絶させ、「やっぱりこいつだ!」と言う。
朝日が昇る。
拝んでいた先生に、今度ははっきりと、孝之助とお葉が刺される光景が見える。

夜明け。
先生が走っていく。
女郎屋の店の前の道を、しじみ売りが行く。

しじみ売りの声に代わって、おねむの「熊野権現の守り札、いらんかね~」の声がする。
途端に女郎屋から仁平が飛び出して来る。
「あのアマ~!」

走って広場まで来た仁平だが、声を出しながら札を燃やしていたのはおばさんだった。
勢い良く走っておばさんの顔を確認した仁平は、「違うか」と吐き捨てると引き返そうとした。
「違わないよ」。

仁平の足が止まる。
「何が!」
引き返してきた仁平におばさんがたくさんの札を差し出し、「あげるよ、ただで」と言う。
「ばあさん。んなものはいらねえよ!」

おばさんが顔を上げて、仁平を見る。
「いらないのは」。
おばさんは、札を仁平の顔めがけて投げた。

視界を遮られた仁平。
途端におばさんが仁平を刺す。
「あんたの命だよ!」

仁平が驚愕に目と口を開いて、宙を見つめる。
おばさんの匕首は、仁平のさらしを巻いた上の肌に、にしっかり刺さっている。
血が流れる。

ぐううっ、と仁平がうめく。
おばさんが刺さっている刃を横に向け、えぐる。
刃を抜くと、仁平がおばさんの前に仁王立ちしている。
退いたおばさんに向けて、仁平が持っていた刀を鞘に入ったまま、振り上げようとした。

だが、振り上げる途中で、仁平は膝を折り、地面に転がった。
大の字になって仰向けに引っくり返った仁平を後に、おばさんは匕首の血を拭いていた。
憤慨して、現場を離れながらおばさんは言う。
「ばあさんなんて言われちゃ…、たまらないよ!」

正十が、いい女が自分を追ってきたから働き口を探してやってくれと、与八を誘い、町はずれまで案内してきた。
あそこに、と正十が指さした大樽が詰まれた上には、若が座っていた。
振り向いた若を見た与八は、「からかっちゃ困りますよ」と言う。
すると正十は若に「渡したよー」と言って逃げ、突き飛ばされた与八は若に蹴飛ばされた。

若は与八を連続して殴る。
勘弁してくれと懇願する与八を樽に放り投げると、樽ごと上から若が肘鉄を食らわした。
与八の入った樽が、バラバラになる。
離れたところで座っていた正十は、「終わったみたい」とつぶやく。

勘造が朝、目覚めて桶で顔を洗っていた。
先生が走ってくる。
歯を磨き始めた勘造。
静まり返った女郎屋の前を、先生が走ってくる。

風が吹く。
勘造のいる庭の前で、先生がジャンプする。
口をゆすごうとした勘造は、気配に上を見上げる。
太陽が光り、逆光になっている中、先生が旗を構えて飛び上がってくる。

仰天した勘造は悲鳴をあげて、奥に逃げ込もうとした。
柱にしがみついた勘造は、背中から先生の持つ旗の柄に貫かれる。
勘造がガックリと首を垂れる。
廊下の向こうから先生がそれを見る。

先生を先頭におばさん、若、最後を正十が歩く。
「あの子、どうしてるだろう」と、おばさんが言う。
若が「子供の癖に色気づいて、変わった子だったなあ」と言った。
「変わってないよ。女は女だもの」。
寒空の下、4人は歩いていく。


憑依現象。
そう、ナレーションが言います。
空間を乗り越えて、相手と同じ動作を無意識に行っている毬。

もう、このドラマは不思議なことがあったかないか、本当かどうかではなく、起きたんです!という不思議なことが当たり前の前提に話が進みます。
それで、今度はかわいい少女の毬ちゃんが、お女郎さんとシンクロする。
ちょっと色っぽいシーンがあります。

毬役は、久永智子さん。
「仮面ライダーX」や、「スパイダーマン」で特撮ファンにはおなじみということで、わかる方はわかると思います。
後の仁和令子さんだそうです。

無邪気かと思うと、妖艶になる。
すねたようにとんがらせた口が、かわいいです。
「新・仕置人」の「阿呆無用」のおみつも、こんな感じです。

お葉役は、必殺ではおなじみの大関優子さん。
佳那晃子さんです。
後には悪女役がはまり、この後の「仕事人」では半吉を出世の為に陥れて殺させる役なんか演じる大関さん。
ここではまだ、かわいそうな被害者役です。

毬はお葉がシンクロするせいか、大きくなったらお女郎さんになる!とかドキッとするような発言をします。
その反面、正十にキッスされると悲鳴あげてます。
だから、正十がとまどってます。
そうやって毬にちょっかいかけている癖に、与八が子供の毬に言い寄っていると「子供相手に」とたしなめてるのがおかしいです。

孝之助にとって、毬は妹。
すごくかわいがっている妹だということが、わかります。
お葉にとっては、いつも連絡を伝えてくれる、ありがたい妹。
ほんとに感謝してると思います。

だけど、おそらく、孝之助にもお葉にも毬の気持ちはわからない。
毬としたら、すねることもできやしない。
おばさんは恋愛沙汰はわからないと言う割りに、毬の気持ちを見抜いて鋭い。
先生も正十もわかってないと言って、お葉の覚悟にも言及する。

おそらく与八がお葉を使って孝之助を堕落させようとしたんでしょうが、お葉が本気になってしまったんでしょうね。
彼女が悪女ではなかった。
一緒になれると思った2人が、すごくうれしそう。

かなわないと思っていたものが実現して、すごく幸せそう。
手に手をとって、町を離れていくのに、すぐに…。
幸せそうであればあるほど、かわいそう。

その後、毬がお葉になってますが、「あの人のところに行く」って言ってるんですね。
「一緒に死んで!」と口走っているから、下手すると毬は、男を誘っては殺す…。
なんてことになったんじゃないでしょうか。

勘造は、八名信夫さん。
仁平は、阿藤海さん。
阿藤快さんと改名してますね。
今回、ゲストに改名している人が多いですね。

阿藤さん、好きな俳優さんでした。
悪役が多かったですけど、「八丁堀捕物話」で復讐に燃える名取さんに協力する、かつての悪党なんて良かった~。
仇を討った名取さんを船から脱出させるのに、「太夫、しっかり捕まっていなせえよ」って抱えて川を渡る。

太夫を命をかけて守ろうとしている男の覚悟。
うなづいてしがみつく太夫。
信頼し、命を預ける女性と、守る男性。

もうね、2人が水に入っていくんですが、冷たい川、反して燃え上がる情熱が伝わって来る。
忘れません。
良いシーンでした。

ここでは、おねむを引っ掛けようとして、逃げられる悪党・仁平。
そして翌朝、おばさんにおびき出される。
このおばさんの殺しがまた、すごい。
侮っている仁平に札を投げつけ、それでも何の危機感も持っていないところをグッサリ。

またしても、おばさんの相手は、予想外の相手から予想外の攻撃を受けて、驚くばかり。
刺された後、おばさんに向かって刀を振り上げるんですが、おばさんの一撃が既に致命傷となっている。
腕は途中で止まり、倒れる。

また、この倒れ方が上手いんですよ。
力尽きてガクリ。
小さな「おばさん」と、大きな仁平。
大の字になって死んでいる仁平を背に、ばあさんと呼ばれたことに憤るおばさん。

おかしいような、こわいような。
何度見ても、絶対おもしろい!
おばさんの殺しはいくつも名場面がありますが、これもその一つですね。

最後、毬は出てこないですが、獅子身中の虫の与八がいなくなって戸倉屋は良くなったんですよね。
あの子、どうなったんだろうって言ってますが、毬は幸せになったんでしょうね。
冬の風景と、そこを行く先生たち。

サギがいる河原を行く、先生たち。
寂しい人たちの寂しさと、事件の悲しさ。
とても寒そうな光景だなあと思いました。


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