こたつねこカフェ

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「警察は競争社会だ」 横山秀夫サスペンス「引き継ぎ」

「警察は競争社会だ。上を目指すには多くの手柄を立てるしかない」。
三ツ鐘署刑事課・盗犯一係主任の尾花久雄(北村一輝)は、病院に父親の面会に行く。
いつか、本部に行って働きたいと思っている。
その為には、検挙数を上げなければ。

ほとんど動けない、話せない父親の敬三(小野寺昭)。
父親はかつて、非常に優秀な盗犯一係の刑事であった。
その為、「ジュニア!」と山根春男署長(伊武雅刀)から呼ばれる雄花は、父が書いていたノートを、自分でも書き写す。
父に手紙が届いていた。

中には「還暦なので、引退します 岩政」と書かれた紙が入っていた。
伝説の窃盗犯・岩政。
父のノートには、岩政について細かに書いてあった。
年間約300件の犯行を重ねる本名・岩田政雄(大杉漣)こと岩政を、尾花は一度だけ、姿を見たことがある。

それは父が、岩政を逮捕した時だった。
父が岩政を逮捕した時、署員はみんな出迎えに出て、「あれが岩政か」と言い、父を尊敬のまなざしで見送った。
岩政は、父が取り付かれたように逮捕することに執着した男だった。
「良い泥棒は、刑事を狂わせる」。

窃盗犯逮捕強化月間なのに、三ツ鐘署は他の署に遅れをとっていた。
山根春男署長は職員を叱咤する。
尾花の現在の狙いは、3ヶ月前に出所したばかりの野々村一樹(片桐仁)だった。
野々村は生活パターンを変えたのか、内縁の女性の家にもこれまでのように現れない。

張り込みをする尾花の周りをうろつく有坂は、岩政らしき男の目撃情報を話す。
だが、岩政は引退したはずだ。
野々村から目をそらせようとしている、と尾花は考えた。
同期の有坂は、あからさまな態度で敵意を示していた。

有坂とは仲が悪いと言われるが、尾花は相棒の荻野豊(岡田義徳)に、警察学校時代は仲が良かったと話す。
仲が悪くなり、顔を見るのも嫌になったのは同じ部署、同じ盗犯係になってからだ。
荻野も同期と同じ部署になればわかる。
尾花は、情報屋・矢部俊夫(池田鉄洋)に接触するが、野々村はやはりいつもと生活パターンを変えていた。

岩政については、引退したと言う。
初心者なら逮捕を恐れて生活を変えるが、野々村は逮捕3回の窃盗犯だから、それは考えられない。
尾花は表向きは立ち飲み店、裏では闇金融を営む木島(螢雪次朗)が経営する「トニーの店」に行く。
木島から情報を仕入れようとしたが、野々村も岩政も知らないと木島は言う。

しかし、岩政と野々村は同じ刑務所に服役していたことがある。
尾花は岩政のことで頭が一杯で、まったく自分を顧みなかった父の背中を思い出していた。
その父が残した岩政についてのノートを読み、書き写す尾花。
尾花の開いていたパソコンを背後から見ていた有坂に気づいた尾花は、パソコンを閉じる。

有坂は尾花がうらやましい、と皮肉を言った。
父親からの地盤、情報屋、全てを引き継いだ尾花は、まるで世襲した政治家のようだ、と有坂は口をゆがめる。
1人残って仮眠を取っていた尾花のもとに、スナックのママが盗難に遭ったと知らせが入る。
現場に向かった尾花は、その手口に目を見張る。

それは岩政が得意としていた、「三角割り」という手口だった。
尾花は父とともに岩政に詳しい、父の友人であった県警本部捜査一課手口係の財津(本田博太郎)を訪ねた。
財津は尾花の父のことを、厳しい人だったと振り返る。
自分に窃盗係のイロハを教えた刑事であり、若かった頃は反発したこともある、と財津は言った。

岩政について尋ねると、財津は目の前で「三角割り」の手口を見せてくれる。
それは尾花の父が考え、たどり着いたものだった。
こんなことができるのは、岩政しか考えられない。
だが、岩政の手口はもっと鮮やかだ。

年なのかもしれない。
服役もしていて、窃盗から遠ざかっていたから腕が多少鈍ったのかもしれないと財津は言う。
その直後に、空き巣に遭ったと通報があった。
5年前にも窃盗に遭っていると言った老婆が目撃した相手は、まさしく岩政だった。

現場に行った尾花は岩政を見つける。
岩政は尾花を見ると顔色を変え、逃げ出した。
追う尾花は有坂と張り合うが、何とか尾花が逮捕した。
署長はさすがジュニアだと喜び、署員は色めきたつ。

しかし、取調べで岩政は犯行を否認した。
岩政は確かに、まだ窃盗を働いていないようだった。
老婆は立っている岩政を見ただけだ。
せめて、たんすに手をかけていれば…。

署長も立件できないと焦り始める。
三角割り、腕が鈍ったのではなく、未熟なのではないだろうか。
引き継ぎ。
不安と疑惑を感じた尾花はもう一度、財津に連絡を取る。

だが財津は、資料は有坂が持って行ったとだけ答え、電話を切ってしまう。
そんな時、有坂が野々村を逮捕して現れた。
野々村を連行する有坂が振り返り、尾花を哂う。
尾花は岩政に問う。

岩政は野々村に、三角割りの手口の引き継ぎを行ったのだ。
「なぜ引き継いだんだ?」
岩政は答える。
「そりゃあまあ、残したいでしょ、誰だって1つくらいは。この世にせっかく生きて来たんだしね。良いことでも悪いことでも、やっぱり1つくらいは」。

釈放されていく岩政の追想の中、木島の前で岩政は三角割りを野々村に伝授していた。
岩政の見事な技に、野々村が目を見張る。
「なぜ、自分に?」
岩政は家族を持たない、友達も持たない。

泥棒一筋の人生だった。
岩政は言った。
この年になると、1人は堪えるんだよ…。
そう言って、木島から昔は飲まなかった酒を受け取り、岩政はご機嫌だった。

面会で父親の車椅子を押しながら、尾花は言う。
情報を有坂に渡したのは、財津だった。
「父さん、財津さんとの間に何があったの。相当、恨まれてたみたいだね…」。
財津はかつて、父と窃盗検挙数を競った仲だった。

おそらく、有坂は財津に呼ばれて、手口係の部屋に入って行ったのだろう。
資料を渡されて、驚く。
「なぜ、自分に?」
そんな有坂の肩に手を置き、財津は何事か囁いた。

父の書いたノートを膝に、尾花が遠い目をして、そしてわずかに涙ぐむ。
すると、何も話さない、反応しなかった父の目から涙が一筋、頬をつたう。
尾花は翌日から、精力的に動く。
汚名を返上しなくては。

いつか、本部で働きたい。
尾花は、荻野の同期の、生活安全課の三田村の横を通る。
三田村は何事か、考え込んでいた。
いつか刑事課に来たいんだろ?と尾花は三田村に気合を入れ、窃盗犯検挙査の為、外に出て行った。



財津役で本田博太郎さんでしょ、元大泥棒・岩政に大杉漣さんでしょ。
好きな俳優さんばっかり!
北村一輝さんと本田さんのツーショットのシーンでは「ぎゃー、いい画!」とか言ってるのであった。
こういうの、今度は時代劇でも見せてください。


さて、サスペンスのうま味は、事件をとりまく人間模様。
そう考えると、苦いラストといい、それを招く人間の複雑な感情が見えるよう。
いい感じのサスペンス!
1時間だけど、しっかり描けている。

その分、トリックには時間を割いていない感じはします。
尾花と有坂が同時に、2人がなぜ仲が悪いのか相棒の後輩から尋ねられて答えている場面といい、おもしろかった。
有坂役の津田寛治さんも、いや~な感じを上手くやってます。
わざと、遅れをとって、尾花に岩政を逮捕させたんですね。

既に有坂は岩政ではなく、まだ未熟な技の野々村だと確信していた。
なぜ確信していたのか。
それには、岩政を良く知る手口専門官・財津の存在があった。

財津は知っていた、岩政はこんな未熟な腕じゃない、岩政の技を引き継ぎした者がいる、と。
それは同じ刑務所に服役していた、野々村に違いない。
有坂に財津は、そう囁いたはず…。
でも手口を熟知していただけじゃない。

財津には老いた窃盗犯の、そんな気持ちもきっとわかっていたんじゃないでしょうか。
なぜなら、財津も…。
かつて窃盗犯検挙数を、尾花の父と競っていたという財津。

おそらく、刑事課窃盗係の中心にいたはず。
それが今は手口係の部屋で、ぽつん、とほとんど1人でいる。
定年を間近に控え、一線から退いた男には老いた窃盗犯の気持ちが理解できたのかもしれない。

老いて引退を前にして、家族も何もいない窃盗犯。
「この年になると、1人は堪えるんだよ」。
尾花の父も子供、おそらく家族を顧みなかった。
たぶん、きっと、財津も…。

岩政が老婆の家にいた理由を問われて、「昔盗んだ金を返しに来た」と言う。
逮捕された時、あんたの父親に説教された。
老人の虎の子盗って、相手はどれだけ困るかとか。
人の道みたいなことを、延々と言われたって。

だから返しに行った、自分は引退したんだから。
せめてもの罪滅ぼしだった。
岩政は尾花に向かって言う。
「あんた親父さんにそっくりだ」。

本当はすごく欲深いのに、綺麗事言うのが。
財津もしみじみ尾花を見つめて、「親父さんに似て来たな」と言った。
父親の鼻持ちならない面も、尾花は引き継いでるのかもしれない。
尾花は、その言葉を噛み締める。

苦い「引き継ぎ」を、尾花は終えた。
それは父親の職業と、地盤だけではなく、執念も引き継ぐことだったのか。
さらには父親への怨念まで。
今まで、何にも反応を示さなかった車椅子の父親の目に涙。

今回もやっぱり、一癖あるラストでした。
苦いラストへの導き手が、本田さんだったのも大満足。
…やってくれましたね。
いいですねー、この展開。

やっぱり、あの専門官、只者じゃなかったか!
本田さんの使い方が上手い、良い!
こうでなくちゃー。

テレビの前で、うなづく私。
良い俳優さんばっかりで、それだけで見応えあったなー。
男っぽいドラマだったなー。
来週もまた、楽しみ。


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