始まった「必殺必中仕事屋稼業」。
第1話、「出たとこ勝負」。


女房のお春の目をかいくぐり、蕎麦屋を放り出し、売上金を持ち逃げしてかけつけた賭場で半兵衛だが、サイコロの目はさっぱり出ない。
ツキのなさを、政吉と言う若い男にからかわれる。
からかわれた半兵衛は、政吉と5両を賭けてサイコロの3番勝負となる。

1番目、政吉の勝ち。
だが2番目は半目で、半兵衛の勝ち。
政吉の笑いが止まる。
そして3番目の勝負。

政吉はもう笑っていない。
真剣そのものの顔。
サイコロは「しっぴん(4-1)の半」が出て、半兵衛は勝った。
政吉の5両を得て、悠々と引き上げる半兵衛。

戻った蕎麦屋で仕事をしていた半兵衛だが、食い逃げが出た。
だが追いかけた男は殺され、半兵衛は同心の三村に容疑者として連行されてしまった。
一晩中、責められた半兵衛だが、同心の同僚は三村に、この前の瓦版屋の件もあると言い、証拠がないなら釈放するように言われる。
渋々、釈放されて奉行所を出た半兵衛に、ある男が「迷惑料」として、1両を手渡した。

男は「渡してきました」とお店の女将風の、美しい女性の元へ急いだ。
女性が目を見張る。
背後には半兵衛が。尾行してきていた。
この人は飛脚屋みたいに足が速くて、参った!と笑う半兵衛。

半兵衛は女性に、あの殺された男を雇っていたのはあんたじゃないのかと言う。
同心の三村を殺させようとしていたのを、逆に襲われてしまったのではないか。
半兵衛の推理と、さらなる迷惑料の要求に、男は憤るが女性は応じた。

その後、その女性はある若い娘に、父親の49日までに三村を殺そうとして果たせなかった詫びを入れる。
若い娘はそこからの帰り、絶望して入水しようとした。
そこに通りかかった政吉がとめる。
女の身の上話と極楽船には一度は乗ってみるもんだ、そう言いながら政吉は娘の身の上話を聞く。

すると娘は瓦版屋の娘で、父親は三村と言う悪徳同心の罪を暴いた為、無実の罪を着せられ、殺されたのだと言う。
娘は政吉に自分が勝ったら、三村を殺してくれるかと持ちかけた。
政吉の持っていたサイコロで、即興に賭けが行われる。

娘が投げたサイコロは、「しっぴんの半」。
「おめえの勝ちだ」。
政吉は目を丸くして、最近ついてないとぼやく。

半兵衛は飛脚の嶋屋に呼ばれていた。
相対したのは、女主人のおせい。
半兵衛のことは何もかも調べさせてもらったと、おせいは言う。
失礼をお許しくださいと頭を下げたおせいは、自分は表向きは飛脚屋だが、裏で仕事屋という稼業を営んでいると話す。

「何ですか、それは」。
「この世の中には偉い人や強い人が、見向きもしないような人たちがいる。あたくしの仕事はその人たちが本当にして欲しいと思っていることを、偉い人や強い人に代わってさせていただく仕事です。ですから、時には怖ろしいこともしなければなりません…」。
先日、殺された男は仕事屋で働いていた伊之と言う男で、半兵衛に伊之の代わりをしてほしいとおせいは言う。

そして半兵衛の前に小判を積む。
半兵衛はそれを見るが、首を縦に振らない。
そっぽを向く半兵衛を、先日の男、番頭の利助がちら、と見る。
おせいはさらに小判を積む。

半兵衛はにやりと笑って、小判を手に取り、「で?さしあたり、あたしは何をすればいいんです?」と聞く。
おせいは北町奉行所の三村を殺してくれ、と言う。
理由を問う半兵衛におせいは、言われたことをやってくれればいいと言った。
「わかった」。

家に戻った半兵衛は、暗い台所で持っているひげを剃る為のカミソリを手にする。
砥石で丁寧にカミソリを研ぎ始め、目の前にかざした紙を切ってみる。
次に半兵衛は蕎麦をこね、人の顔ぐらいの塊を作り、人の背と同じぐらいの高さにくっつけてみる。
カミソリでその、喉元を切り裂いてみる。

翌日、三村を尾行する半兵衛は、同じく三村を尾行してきた政吉と鉢合わせる。
この前の博打の借りを必ず返すと言う政吉がまったく同じ方向に進むのを見て、思わず半兵衛は「ちょっと待て、お前あっちに行くのか?」と呼び止める。
「いけねえか?」
「いけなかねえよ、行けよ、勝手に」。

三村はある料亭で、弟が島帰りで板前として包丁を握っていることをネタに、料亭の女将に300両寄越せとゆすっていた。
半兵衛が隙をうかがっている時、奉行所から迎えが来て、ゆすりは中断。
利助がやってきて、今夜は三村は泊まりと告げ、半兵衛も諦めた。
家に戻った半兵衛は、この頃、様子がおかしいとお春に言われる。

半兵衛はお春に「怖い…」と訴える。
お春に抱きつこうとして拒絶された半兵衛は外に出て、歩き始める。
その半兵衛に利吉は、三村が明後日の朝早く、長崎へ旅立つと知らせに来た。
散々悪事で溜め込んだ金を賄賂として使い、長崎へ出世だ。

となると、三村を殺すには、チャンスは明日しかない。
翌日、三村はある大店が送別の会を開いてくれるということで、供を2人連れて、料亭に向かった。
到着した三村を、利助が迎え、奥に3人を連れて行く。
陰に半兵衛が潜んでいる。

半兵衛の額に汗が光る。
奥に進んでいく利助の後に三村と、もう1人がついていく。
だが、最後の1人がいない。
廊下を歩く最後の1人は、半兵衛に代わっている。

角を曲がったところで、もう1人の口を半兵衛が塞ぐ。
半兵衛の顔が緊張する。
利助と三村が、部屋に行く。
離れに到着した時、三村はあとの2人がついてこないことに気づいた。

「供の者はどうした」。
利助が振り返り、「ただいまお呼びしてまいります」と席を外す。
がらんとした離れで1人、三村は座った。
不安になってくる。

半兵衛が廊下に立つ。
カミソリを自分の頬に当ててみて、包んでいた手ぬぐいに押し付ける。
口にカミソリをくわえる。
1人になった三村が、イライラしてくる。

大刀を手に立ち上がり、利助を呼びに部屋の障子を開ける。
その時、廊下にいた半兵衛が三村の背後に回り、三村の首筋にカミソリを当てる。
上から手ぬぐいで押さえる。
同時に庭に潜んでいた政吉が飛び出し、三村を懐剣で刺す。

「げえっ」と三村が声をあげる。
ギョッとした半兵衛と政吉の目が合う。
三村が倒れる。

半兵衛がカミソリを一振りして、懐に入れる。
政吉が懐剣をゆっくりと収める。
半兵衛が汗をぬぐい、血の滴る手ぬぐいを絞る。
無言で、並んで外に出た2人。

「見たな」。
「死ね」。
その声を合図に、2人ともカミソリと懐剣で斬りあう。
お互いがお互いに狙いを定めて構えた時、利助が「おやめなさい」と声をかける。

利助の後ろにはおせい、そして政吉に頼んだ娘がいる。
「政吉さん、ありがとうございます」と娘が頭を下げ、半兵衛にも頭を下げる。
政吉が「あんたも頼まれてたのか」と言い、半兵衛が「じゃあ、お前さんも」と言う。
「あぶねえところだったぜぇ」と言った政吉が、赤い懐剣を収める。

その時、おせいの顔色が変わった。
じっと懐剣に視線が注がれる。
おせいの回想…、赤ん坊の前に、懐剣が置かれている。
それは政吉の懐剣。

あの子が生きていた…。
私の子が…。
私の子が…!
おせいが政吉からうろたえて、目をそらす。

4人が長い影を作る。
政吉はおせいたちに「俺を仲間に入れるのか、入れねえのか」と迫る。
「こうして会ったのも、何かの縁でしょう…」とおせいが言う。
「仕事をしていただきましょう」。

政吉が指をパチン、と鳴らして「そうこなくっちゃあ」と言う。
「厳しく、つらい稼業ですが、これだけはお約束します。あなたが地獄に堕ちる時は私も一緒です」。
半兵衛がおせいを、じっと見つめる。

おせいと利助が去っていく。
残った半兵衛と政吉。
政吉が半兵衛の背中をポン、と叩く。

どうせあの世も地獄と決めた。
命合切、勝負に賭けて、燃えてみようか、仕事屋稼業。
ようござんすね?
ようござんすね?
勝負!



いやー、緒形拳さん、軽やかで粋だ~。
博打好きの、蕎麦屋の主人。
元盗賊の利助の後を軽々とつけていく身の軽さ、すばやさ、そして度胸を買われての、仕事屋スカウト。
単なる博打銭欲しさに飛び込んだと言える、仕事屋稼業。

後でわかってくるけど、人はかなり良い。
でも博打好き。
勝手に店も、なんとお春さんもカタに入れてる。
…緒形さんが演じてて魅力的だからわかんないけど、基本的にはろくでなしっていうんだろうな。

勝ったからいいけど、負けてたらどうするつもりだったんだろう。
しかし、この一か八かに強いのが半兵衛。
これは最後にわかるけど、彼のサバイバル能力のひとつだった。
彼は勝負に強いのだ。

そして相棒となる政吉。
軽い気持ちで、女性から殺しを引き受けた。
半兵衛にも、娘にも「しっぴんの半」で負けている。
これもまた、彼の運命を暗示している。

それでこちらも、ギャンブル気分。
まあ、ヤクザみたいなもんだから、刃傷沙汰には慣れていたのかもしれないけど。
ともに本格的な殺しは初めて。
殺し屋になろうとしたこともない。

仕事屋自体、殺しは最終的な手段で、基本は人助け。
今までの仕置人とは、ちょっと違ってるんですね。
助け人が近いのかな。
請け負ったのはいいけど、決行が近づくにつれて怖くなるリアルさ。

武器も小さいカミソリとは、刀を持つ同心相手になんとも頼りない感じだし。
だけど、同心が1人、また1人と後ろからいなくなる。
一番後ろが同心じゃなくて、半兵衛になっている。
殺しの描写ってなくて、緊張した半兵衛の顔のアップのみ。

でもこれだけで、何が起きてるか想像がつく。
さらに半兵衛と政吉の、殺し合いのシーン。
下から2人がカミソリと懐剣を振り回す様子を取り、ジャンプして2人の位置が入れ替わる。

それで、できすぎかもしれないけど、おせいの生き別れの子供が政吉だったらしい。
どんな事情かわからないけど、旗本に養子に出したのに、今じゃ息子の政吉はヤクザまがいの博打打ち。
半兵衛の内縁の女房・お春は中尾ミエさんで、どんどんかわいらしい女性に見えてくる。

そしておかしいのは、半兵衛につきまとうコワモテの岡っ引き・源五郎。
大塚吾郎さんが演じてて、ごつくて迫力なんだけど、突然女言葉になる。
「昔から半ちゃんって、オニイサンみたい…」。
半兵衛、逃げたそう。

「知ってるぜ、何してたか。夕べ、三村様につかまってただろう」。
ここは岡っ引きらしく、コワモテで。
半兵衛、思い出して「嫌なやろうだ!蛇みてえで!」

お上にそんなこと言うな!と職業柄、ビシッと言ったかと思うと、女に戻る。
「半ちゃん!幼馴染のあんただから心配なのよ。子供の頃からそうなんだから」。
なるほど、幼馴染なんだ。

「博打に負けて、坊主になったんじゃないか」。
そうか、だから半兵衛は坊主頭なんだ。
「あの店だって、お春さんが何とかやってる」。
そうだろうなあ。

「オヤジの稼業を継いだけど、あたしゃ本当は役者になりたかった」。
あ、なるほど。
「お前なんかいい女形になるぜえ」。
私もそう思う。

「ほんと?!半ちゃん!」
手を絡められてる半兵衛がほんと、迷惑そう。
そして迫られて逃げていく半兵衛に一言、「淡白!」

源五郎を使って、実にうまく、自然に半兵衛の周りの人間関係を説明してる。
いいわ~、大塚さん。
「必殺」に出てくるオカマキャラで、この人が一番好き!

三村役は、石橋蓮司さん。
いじめられる女将が、なんと、「仕舞人」の飯炊きのおまつさんじゃないですかー。
この人、「仕置屋稼業」では印玄を絶望のどん底に突き落とす母だった気がする。

利助は岡本信人さんで、もちろん、野草食べたりしない(当たり前)。
ナレーションが藤田まことさんで、声に表情がある。
これからまた、博打を下から映したりと、凝った映像がたくさん出てきます。

あしたの悪役は、菅貫太郎さんが残虐で自分勝手なバカ侍を熱演。
怖ろしくハマる、ザ・菅貫太郎!
被害者はジュディ・オングさん。

そして、あさってはゲストは桃井かおりさん。
緒形さんとの掛け合い漫才みたいな会話が楽しい。
あんまり知られてないかもしれないけど、この作品は映像、ストーリーともに名作ですから!


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2011.04.06 / Top↑
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