テレビ埼玉で放送されている、「仕事人V」。
友人ははっきり、京本政樹の仕事人を覚えているのですが、私は「V」を見ていなかったらしく、まったく記憶がない。
「III」で自分の視聴は終わっているのかと思ったのですが、「IV」まで見ていたらしい。

「V」を見ていない理由はたいそうなことじゃなくて、あの放送時間にも忙しくなっていったのが大きな原因だと思う。
京本さん演じる竜。
市松が原型だって話ですが、えらい力持ちじゃありませんか。
人、吊り上げちゃってますよね。


昨日放送の第5話、「主水、奉行所の人員整理にあわてる」は、村上弘明さんが演じる政の過去編でした。
仲間、いえ、自分の恋人だろうが平気で結託している同心に売る仕事人のお京。
野際陽子さんが、演じました。
そうして、お京は闇の世界に生きてきた。

お京はかつて、政の父親を密告し、その為父親は9歳の政を置いて処刑された。
しかし、お京はなぜか、政を引き取り、育てた。
政の花の枝を折る仕事は、お京が師匠だった。

同心がお京を怖い女だと笑い、「そういえばあの時も」と話したのは、政の父親のことだった。
床下に潜んで探索していた政は、お京の正体を知ってしまった。
自分の父を陥れたのが、お京であることも。
確か、あの時の仕事人には9歳になる男の子がいた。

同心に言われたお京の脳裏に、親子のようにはしゃぐお京と幼い日の政の姿があった。
お京は無言だった。
そして仕事の時が来る。
仕事装束の美しいお京と、政の対決は一瞬で決まった。

「政…、腕ぇ上げたね」。
お京は崩れ落ちる。
「なぜ、俺を育てた?」
「気まぐれさ」とお京は答え、政の胸の中で息絶える。

お京が何を考えて、政を育てたのかわからない。
罪滅ぼし…と思うのが、普通かもしれない。。
でももしかしたら、こんな生き方をする自分自身がもう、嫌だったのかもしれない。

いつかこの子は、自分を殺しに来る。
その覚悟で、そして密かにそんな終わり方を望んで、お京は政を育て、殺しを仕込んだのかもしれない。
お京は何も語らないけれど、そんな風に思えてくる。

育ての親が実の親を殺していたという設定は、「必殺」には、しばしば登場します。
「仕置屋」の市松。
「仕業人」の又右衛門。
「仕事人」の勇次とおりく。

市松は殺し屋として、父親を裏切った相手が良いように育てられた感じがします。
育ての親を仕置した後の、市松の背中。
ああ、市松は泣いている…と思いました。
でも振り返った市松は不敵な笑みを浮かべ、ピンチを救った主水に仕置料を請求し、安い命だなと憎まれ口をたたく。

仲間が「腕はいいが、嫌な男だ」と見送る中、市松の背中は「誰も愛さない、誰も信じない、仲間なんかいらない」と言っているかのように見えました。
顔は見えないけど、市松の目に涙が溢れているのがわかる。
沖雅也さんの演技と、素晴らしい演出だったと思います。
それから、敵役の津川さんの熱演。

右衛門の親が裏切りで殺された後、育ての親は愛情を持って育ててはくれた。
しかし再会の時、その親は外道に堕ちていた。
育ての親が子供でさえ手にかける外道に堕ちていたことを、確認した又右衛門。

仕置して去っていく時、又右衛門は過去に、人間らしい親子の情に、別れを告げるように教えてもらった数え歌を歌います。
その手前では、相手の為に自分の人生を投げ出し、一蓮托生の剣之介とお歌がいます。
自分にはそういったものは縁がない…、と言っているように去っていく又右衛門。
こちらも素晴らしい演技と演出でした。

両者とも、多少なりとも感じていた情を断ち切られるように、相手の仕置に踏み切ってます。
勇次とおりくは、おりくが深い罪悪感を感じ、勇次がそんなおりくを気遣う。
2人は完璧な親子であり、その辺に軋轢は生じませんでした。
今回は殺した相手がおりく同様、女性だからでしょうか。

政に市松や又右衛門のような、人間不信に陥る様子はなかったように見えます。
母と幼い子は理屈を超えて、愛情で繋がっていたのかもしれない。
友達でも何でも、普通の関係が築けない裏の人たちってやっぱり哀しい。

だからこそ、仲間に得たた仕置人たちは、相手の為には全てを失う覚悟ができたのかもしれない。
「仲間を裏切ってみろ、地獄へも行けやしねえぜ」と言った主水の言葉は、伊達じゃない。
主水や鉄、己代松、正八なんかもふと、思い出しました。


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2011.06.10 / Top↑
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