第3話、「賭けるなら女房をどうぞ」。
今回もすごい。


曇りと米屋が、米の値段を吊り上げようとしていた。
米の値が上がる原因はまず天気だが、天気だけは人にはどうにもできない。
ならば一揆。

その為に百姓一揆を仕掛ける。
仕掛けるのは米問屋備前屋、協力するのは曇り。
さらに戸田藩の江戸家老が、1万5千両の借金を返済する為、協力する。

一揆の先導者に利用されるのは、女房を博打で女郎にしてしまった魚屋の伝次。
身請けの金につけ込まれ、生き仏を装って百姓たちの心をつかむ筋書き。
一揆は2日間。
それが過ぎれば、伝次は用済みで始末される。

伝次は坊主の姿にさせられ、曇りの配下が百姓にまぎれて嘘の怪我をし、念仏で治った振りをする。
見た百姓たちは驚く。
そこへ目が悪くなった母親を連れてきた娘・キヨ。
伝次が念仏を唱えると、なんとその母親の目が見えるようになってしまった!

生き仏を指導者に得た百姓たちは、狂喜乱舞。
本当に一番驚いていたのは、伝次だった。
心配して見ていた時次郎と天平の前で、念仏を唱えながらの一揆は膨れ上がる。

打ち壊しが起き、一揆は城下へ向かう。
もはや曇り組にも、コントロール不可能になってきた。
曇りの配下の麻吉たちはあわてるが、伝次も言うことを聞かない。

危険と見た麻吉たちは、伝次を始末することにした。
闇に紛れて襲い掛かる麻吉たちを、時次郎と天平が始末した。
時次郎は伝次に、帰ろうと呼びかける。
お前はただの魚屋なんだ。

明日は城下。
藩の方も鉄砲隊を揃えて、待っているはず。
帰りなさいと言う伝次にキヨは、生き仏様と一緒なら、何も怖くない。
死んでも後悔はしないと言った。

だがこのまま城下に入れば、必ず藩のものに殺される。
時次郎は説得したが、伝次は首を縦に振らない。
自分を慕う百姓たちを、見捨てて逃亡はできない。
この窮状をなんとしても、藩に訴える。

すると時次郎は言った。
伝次は、キヨをがっかりさせたくないのではないか。
キヨを、自分をひたすら慕うキヨを裏切りたくないのだろう。

伝次にそう言って、無理やり連れ帰ろうとした。
すると、伝次は裏切り者がいると声をあげた。
百姓たちに追われ、しかたなく時次郎たちは逃げた。

翌日、伝次は百姓たちに来るなと言う。
自分には弾丸は当たらない。
必ず、藩に説得にいく。

キヨだけはついていこうとする。
歩く伝次はキヨに、私は生き仏なんかじゃないと言う。
くだらない魚屋だ。
女房を女郎屋に売った、ばくち打ちだ!

ええっ?とキヨが驚いて立ち止まると、伝次は駆け出す。
藩の侍が鉄砲を構えている。
聞いてくれと叫んだ伝次に向かって、発砲する。
為すすべもなく見守っていた時次郎と天平は、伝次の遺体を物陰に引きずり込む。

戸田藩の江戸家老は、一揆をなんとしても抑えろと言う。
そして、殿にはなんの責任もないと書き残して、腹を斬った。
こんなことにさえ、曇りのような男と商人の手を借りなければならない。
嫌な世の中だ…と家老は言っていた。

江戸では米屋、今回の件を仕組んだ備前屋に仇吉が向かう。
まず、伝次の50両を寄越すように言う。
備前屋が拒否すると、仇吉はぱちんと扇子をならす。
表に控えていた籐兵衛が、備前屋の大黒柱を叩いて屋敷全体を揺らす。

すると、香典と言う形なら、渡してもいいと備前屋は言う。
仇吉は承知した。
もう一つ、3千人の百姓が丸3日、仕組まれているとは知らず、一揆の為に働いた。
1人3朱。

500両あまり、頂こう。
今度の件では藩の家老が切腹している。
これを公儀に訴えれば、さすがに捜査の手が及ぶだろう。

女相手に備前屋の身上を賭けますか?
備前屋は首を振り、出て行けと走る。
仇吉がバチを投げ、備前屋が手をかけようとしたふすまに刺さる。
ゆっくりと、仇吉がバチを手に取る。

備前屋は怯えた。
千両箱を持ってくると、仇吉の周りに金を撒く。
くれてやる、持っていけ!
そう言って備前屋は逃げた。

金を包んだ包みを、籐兵衛が持つ。
「今日も暑くなりそうだねえ」と日傘を差して、仇吉が町を行く。
その夜、時次郎が伝次の女房の女郎屋に行く。

身請けの金を渡す時次郎に「あの人は、どこにいるんですか?」と女房が尋ねる。
時次郎が言う。
「遠くに」。
「これだけの銭作るんだ。ずいぶん遠くに旅しなくっちゃな」。

部屋に1人、女房は座っている。
時次郎は枕を売りに、水路を行く。
ね~むれぬ夜は、な~がくてつらい…。
時次郎の声が響く。



冒頭、曇りと備前屋、藩の家老の密談を、とんぼが読唇術で読む。
この読唇術、とんぼが幼い時、島流しになっていたことから得たもの。
「一揆」という言葉がわからなくて、読めなかった。
最初から江戸家老は腹を斬ればいい、と覚悟していたら、最後には本当に切腹していた。

そして伝次。
この空しさ。
さすが、からくり人です。

コントロールが効かなくなって行く一揆。
「南無阿弥陀仏のお浄土は、町の商人たちの蔵の中にある!」
伝次のかけ声で、群集が動き出す。

一揆は2日だけ。
それだけの時間がなければ、米の値段は上がらない。
しかし、2日過ぎれば、幕府も動く。

だが伝次でさえ、曇りの手を離れていく。
麻吉たちさえ、伝次に「働きなさい!」と叱咤される。
始末してしまおうか、でも一揆は2日続けなければならない。

曇りの配下たちも、どうにもできなくなっていく。
ただの魚屋は百姓、そしてキヨへの思いがあふれて本物の指導者となっていく。
キヨの母親の目が見えるようになるなど、思い込みの怖さ。

熱狂していく群集。
最後の伝次の告白を聞いたキヨは驚く。
でもきっと、キヨはあれは生き仏様が自分を助ける為についた嘘…と思うのではないか。

なんたって、母親の目は治ってしまったのだから。
おそらく、時次郎たちによって、伝次の遺体は見つからなかったのだから。
自分たちには3朱という、金が手に入ったのだから。

しかし、伝次は扇動した者として、責任を取る。
そこまで伝次は、なりきってしまった…。
いや、自分を慕うキヨ、群集を巻き添えにできなかったのだろう。

女だてらに乗り込んでくるには、それなりの証拠もある。
勝負しますか?
仇吉の啖呵も迫力。

でも、からくり人たちは、騒動の後始末をするだけ。
伝次の女房がぽつん、と座っている。
夫はもう帰ってこないのを、察したように。

天保の一揆の記録には、一揆の主導者を捕えたらただの漁師だった、とある。
「はて、奇怪な」。
きっと別の魚屋伝次がいたのでしょう、と話は結ばれている。


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2011.06.25 / Top↑
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