こたつねこカフェ

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紋次郎が振り返る 「見返り峠の落日」

「木枯し紋次郎」第13話、「見返り峠の落日」。


紋次郎は関八州の案内をしている親分、2足のわらじといって渡世人たちからは軽蔑されている富郷の喜代造。
喜代造に北風の伊之助と間違われたのだ。
伊之助は喜代造に捕えられる前、紋次郎に息子に20両渡してくれるよう、頼まれる。

息子の忠七は労咳で、金が必要なのだと伊之助は言った。
喜代造はその20両を置いて行くように言って、紋次郎を襲った。
だが、仏に頼まれたら断れないと紋次郎は言って、喜代造の手下をみねうちにして去る。

喜代造は関八州に訴え、紋次郎に7人を斬った無実の罪を着せてお尋ね者にしてしまう。
人相書きを後ろに街道を行くと、老婆がすがってくる。
どこかの娘が、蒲田の喜助の手下に竹やぶに引きずり込まれたから助けてやってくれと頼まれる。
紋次郎のような渡世人でなければ、とても百姓では手が出せない。

20両を渡す為、先を急いでいると断った紋次郎だが、娘の悲鳴が耳について引き返す。
しかし、1人の男に呼び止められ、結局は通り過ごす。
どうもその男が腹いせにやらせていたようだ。

紋次郎は土地の豪商・金丸屋に向かい、そこの奉公人であった男・北風の伊之助から預かったという20両を渡す。
訳あって頼まれたというが、20両渡すはずの男の息子の忠七はそこにおらず、金丸屋が預かる。
紋次郎が帰ると、金丸屋はバカ正直な渡世人だと嘲笑っていた。
金丸屋には出戻りの長女・お初がいて、婚礼間近で帰りが遅い次女の八重を探しに行った。

帰り道、紋次郎は襲われていた娘の帯が街道の脇にあるのを見て、密かに心を痛める。
無実を訴えてもしかたない、信州に逃げ込もうとしていたが、襲われていた娘が身投げをしているのを見つける。
娘を水から引き上げ、介抱しているところにお初が通りかかり、それは妹の八重だと言う。

金丸屋の主人はうろたえ、何とか婚礼までごまかせないかと思っていた。
奉公人がお初に人相書きを持って来た。
お初は人相書きの男が八重を救った紋次郎と気づく。
去ろうとしていた紋次郎だが、お初は一晩泊まっていくよう勧める。

紋次郎はお初に人相書きを見せられ、どうして無実を訴えないのかと聞かれる。
だが、紋次郎は無宿人の自分には無駄なことと言う。
お初は紋次郎に見過ごす取り引きとして、八重のことを黙っていてくれと話す。
しかし、紋次郎は自分には話す相手などいないと答える。

金丸屋に口止め料も要求しない紋次郎を、お初は興味を持って見ていた。
泣く八重に、お初は忘れて婚礼のことはまかせておけと言った。
この婚礼には金丸屋の身代がかかっている。

その夜、お初は紋次郎の部屋に行き、酒を勧めるが紋次郎は断る。
紋次郎に金を託した忠七は、八重の前だと飼いならされた犬のようだったと教える。
お初は浮気者の亭主に苦労させた揚句、離縁されて戻ってきたと言う。
何が何でも八重の縁談を成功させたいお初は、黙っててくれるならと紋次郎にしなだれかかる。

しかし、紋次郎は忠七を探したくなったと言って、お初を振り切って外に行ってしまう。
翌日、紋次郎に助けを求めた老婆がお初に、ある渡世人に竹やぶに連れ込まれた娘を助けてくれと訴えたが無視されたと話す。
薄情な奴だと老婆は憤っていた。
渡世人の特徴から、お初はそれが紋次郎であることに気づく。

表にいた紋次郎にお初は、早くこの土地から出て行くよう言い渡す。
峠を越えれば、信州に行ける。
この峠は、見返り峠と言う。
村を出て、峠を越える時、どうしても振り返りたくなるからだ。

残してきた者を、どうしても思い出すという。
だがお初は紋次郎なら一度も振り返らずに行ってしまうわね、と吐き捨てる。
金丸屋に、昨日の喜助の手下がやってきて、八重のことで脅迫を始める。
父親はうろたえ、昨日の20両を差し出そうとするが、相手は5百両寄越せと言った。

お初は喜助の手下を張り飛ばし、逆に張り倒される。
しかし、喜助たちは明日来ると帰って行った。
そこへ紋次郎が忠七を見つけたので、20両を渡したいから返してくれとやってきた。

昨日の男たちが脅迫に来たとお初は言い、主人は7人斬ったのならあの4人も斬ってくれと頼む。
そうすれば、紋次郎のことは見逃す。
だがお初は紋次郎は血も涙もない薄情者だから頼んでも無駄、と話す。

紋次郎は昨日拾った八重の櫛を置いて行く。
「お達者で」。
紋次郎は去ろうとした。

「ろくでなし」。
お初の声が追いかけてくる。
障子が開いて八重が顔を出し、紋次郎に会釈する。
立ち止まっていた紋次郎は、それを見つめる。

八重を襲った男たちは、上機嫌で酒を酌み交わしていた。
そこに紋次郎が忠七を探して、やってくる。
昨日、紋次郎を止めた男が忠七だった。

紋次郎はそれに気づくと、忠七を張り飛ばす。
張り飛ばされた忠七は怒るが、紋次郎は自分の胸に聞いてみろと言う。
すると、忠七は、自分は八重に仕返ししただけだと言う。
紋次郎は、忠七の父親の伊之助から預かった20両を投げる。

忠七は金さえくれたら親だと思っていやがると悪態をつきながら、拾う。
紋次郎はその金を運ぶ途中、伊之助は捕えられて斬られたと教える。
喜助の手下たちは、この渡世人が紋次郎だと気がついた。

忠七は机の下で震え、手下たちは紋次郎と斬り合いになった。
紋次郎が4人と斬りあっているのを見た金丸屋の目が輝く。
最後に残った1人が、お尋ね者の紋次郎だと叫ぶが、金丸屋はあと1人だと番頭を制す。
残った1人を紋次郎が斬ると、金丸屋は番頭に八州を呼ぶように指図する。

知らせを聞いたお初が八重にもう心配はないと言うが、八重は家を抜け出して峠に向かっていた。
関八州は見返り峠の山道を塞ぎ、怪しいものは撃てと命じていた。
八重は紋次郎を、昨日助けられたところで待っていた。
20両を届けてくれた礼を言い、自分は昔、忠七と付き合っていたと話す。

そして心を決められなかった自分が悪いのだ、と。
八重は見返り峠への行き方を教えた。
日が沈むと方角がわからなくなるので、早く行くように教えた時、追っ手が来た。
「ありがとうござんした」。

紋次郎は岩陰に八重を避難させる。
八重にここから動かないように言って、紋次郎は峠に向かう。
お初も八重を追ってきていた。

銃声が響く。
紋次郎が振り返る。
河原をフラフラと歩いていた八重が、撃たれて倒れる。
紋次郎が戻ってくる。

八重は動かなかった。
紋次郎を狙った がやってくる。
火縄銃を持った男を蹴り飛ばし、紋次郎がツルを伝わって降りてくる。

相手は5人だが、紋次郎は火縄を避けて斬る。
火縄銃を構えようとしていた男も斬る。
1人残った は怯え、紋次郎の無実を証明する証文を書いた。
書き終わり、血判を押す。

差し出された証文を紋次郎が受け取ると、 は飛びかかってきた。
刃を交わし、紋次郎が斬る。
去っていく紋次郎の背後で、証文が風に舞う。
長楊枝を吹き、紋次郎は証文を縫い付ける。

死んでしまった八重にすがり、お初が泣いている。
「これより信州路」。
紋次郎が見返り峠を越える。
その時、紋次郎が振り返る。


何か、みんなずるくて汚いんですよね。
その中で紋次郎と、八重だけが違う。
だけど、八重は死んでしまう。

気丈なお初は、市原悦子さん。
あ、後の「うらごろし」の先生とおばさんです。
でもここでは、全然違います。
当たり前なのかもしれないけど、そんな片鱗も見せません。

お初は亭主で散々苦労してきて、おそらくまったく違うストイックな紋次郎に惹かれてます。
しかし、紋次郎はお初が身を投げ出しても手をつけない。
亭主のことと、紋次郎がなびかないことに苛立ったのでしょう。
「血も涙もない」というのは、八重の件ばかりではないような。

20両という大金を、斬られた男に託された紋次郎は寄り道できない。
通り過ぎてしまったけど、とっても良心が痛んでいる。
だから八重を助けてしまったし、手下4人が許せないで結局斬る。

人を責めるばかりの忠七と、自分に責めがあると言い切る八重。
あんな男の、どこが良かったんだろうと思ってしまうほど、忠七は卑屈だった。
あの後、お初が忠七をろくでもないことにしたような。
全てを終わらせるかのように、八重は撃たれる。

しかしあの金丸屋も、汚いんだ。
八重の心配がなくなったら、八州につげ口しに走らせるとか。
20両、紋次郎が持って来た時も横取りする気、満々だったし。
脅迫にさっさとあの20両、差し出そうとするし。

婚礼だって、八重の事なんか考えてなかったに違いない。
八重がいなくなって、困るんだろうな。
天罰と言いたくなるけど、八重はかわいそう…。

紋次郎は八重に峠を越える道を教えられる。
そして結局は喜代造も斬ることになる。
4人+6人、この回、結構な斬り合い。

「木枯し紋次郎」は善人が、心が美しい人が報われるとは限らない。
むしろ、ひどい目に遭うことが多い。
そして、渡世人という、人から蔑まれ、嫌われる職業の紋次郎が一番純粋であることが多い。
今回なんかもまさにそう。

八重と紋次郎だけが、純粋な気持ちを持っていた。
そしてその2人が一番過酷な目に遭う。
だけど紋次郎は、ずるくなったりしない。

人として、一番嫌われる職業とわかっているからこそ、1人の人間としては恥かしくない行動を選ぶ。
だからこそ、八重のことは気にかけてしまった。
助けられなかった八重のことを。

「ブロンディ 女銀行強盗」という映画のコピーに「一流のオンナがつける、一流のオトシマエ」というのがあった。
どうも紋次郎を見ていると、「一流のオトコがつける、一流のオトシマエ」という言葉を思い浮かべる。
誰もが越える時、振り返ってしまうという見返り峠。
残してきた人を、思いを。

一流の男が、一流の落とし前をつけて見返り峠で振り返る。
振り返った紋次郎の胸に去来するのは、何だっただろう。


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