長くなったので、2つに分けました。


冒頭、料亭のいつもらしさ、日常。
部屋に入ると、雰囲気は一変。
そこは殺し屋同士の世界。

曇りの仇吉を問い詰める迫力!
じわじわと、狙われたことへの怒りを感じる。
そして、仇吉も負けていない。

ついに、第1回の蘭兵衛殺害から持っていた、曇りへの怒りが爆発する。
「あたしたちの世界に証拠は要りません」。
そう、ここは証拠は?なんて言って、証拠が揃わなければ白!なんて世界じゃない。

仇吉は、曇りの提案をきっぱり断る。
「私たちは涙としか、手を組まない。涙のこぼれるような依頼しか、引き受けない」。
だから、からくり人は切ない話が多いのだと思った。

そして今まで曇りが所帯の小さい花乃屋に手を出さなかったのは、少数精鋭を知っていたから。
下手に手出しすれば、こちらも相当痛い目に遭う。
両替商を脅すやり方は、まさに鳥居という後ろ盾あってのこと。

曇りに向かって「勝負!」と言う仇吉がかっこいい。
受けて立つ曇り、須賀さんもかなりカッコイイ。
そして始まる全面対決。

曇りの側近中の側近・喜十郎は五味龍太郎さん。
「佐渡からお中元をどうそ」では、氷奉行だった。
どちらもお似合いです。

息つく間もなく始まる殺陣、全編、殺し合い。
匕首をとんぼに渡す籐兵衛の男らしさ。
籐兵衛の水中戦。

次々やってくる刺客、曇りの配下の多さに対して、今までの「必殺」の最終回を知っているこちらは、すごい無力感を感じる。
きっとダメだろう…と思ってしまう。
だけど撃たれ、刺されても籐兵衛は仇吉を迎えに行く。

姐さん、待っててください…。
仇吉の元へ、何が何でも向かおうとする籐兵衛。
2人の深い、深い信頼関係。
そういえば籐兵衛はいつも、こんな感じの誠実な男だった。

同時に花乃屋にいるとんぼは、誰かが来たのを知る。
戸を叩く音、外でとんぼを呼ぶ男の声が不吉、不気味。
とんぼが来ないとわかると、声が途切れる。
怖い。

天井から音がする。
怖い。
ホラー映画並みに怖い。

しかし、刃傷沙汰には縁がないと思ったとんぼは、見事に敵を撃退する。
花乃屋を出る仇吉が、一瞬、座敷を見るその間の取り方。
いろんなことを思い出し、仲間に対する思いがあふれているであろうことがわかる。

上から追ってくる刺客。
そして、親子の絆を感じさせる、へろ松が見る父親の籐兵衛の最期の姿。
今まで「アホ」と言われていたへろ松が、天平をしっかりサポートする。

大きな子供のようだったへろ松が、父を亡くしてなお、天平を支える。
それだけ、天平とへろ松の絆も強いことがわかる。
間寛平ちゃんも、見せ場。

蘭兵衛と時次郎の位牌を持っている仇吉の、仲間に対する思い。
「黒髪」を歌って、とんぼとの別れ。
今生の別れということが、胸に迫って来る。
「悪いおっかさんだったねえ…」。

延重という、悪い男が父親だったこと。
そして、それを眼の前で殺したこと。
この話を知ってこの場面を見ると母親として、とんぼへの愛情が迫ってくる。
すまない、そして生き残って欲しい。

曇りを出せー!と殴りこむ天平。
セリフがたまに、「くもりょーだせー」になってしまうのは後から何回か見てわかるご愛嬌。
しかし、一気に廃墟になるほどの爆発で、ご近所さんは何もしなかったのだろうか。
いや、曇りの屋敷はすごい広いんだなと解釈。

仇吉は「必殺」シリーズの山田さんで一番攻撃的と思うのだが、どうか。
そして一番、動きが良いような。
年齢的なものもあるだろうけど。
花乃屋の仲間を思い出しながら、目を閉じていく仇吉の顔は穏やか。

結局、とんぼとへろ松だけが生き残った。
殺し屋はどちらも、全滅。
凄まじい最終回。
「必殺」の中でも、指折りだと思う。


「必殺」は、娯楽である。
でもその他に「殺し屋」という、命のやり取りをするギリギリの場面で見せる人間ドラマだ。
そして、ここ「からくり人」では親子の、仲間の絆を見せるドラマだった。
だから「必殺」は、殺し屋の話なのに心に残ったりするんだと思う。


鳥居さまはまた、曇りに代わる人間を探したのか。
でも、歴史の波の中では、鳥居さまも無事ではいなかった。
世の中は変わった。
明治になった。

とんぼは、清元の名人・延寿太夫と呼ばれるようになっていた。
裏稼業をしているという意識が薄く、奉行所に駆け込もうとしたこともあるとんぼ。
しかし、とんぼは父親のことから意識が変わったのだと思う。

母親と、その仲間が事情があって寄り添っていること。
だから同じように泣いている人に対して、裏稼業をしていると。
とんぼは強くなった。
父の殺害を乗り越えて、へろ松は天平を支えた。

結果、とんぼとへろ松は生き残れたのだと思う。
仇吉そっくりの、年齢を重ねたとんぼ。
清元の名人となったとんぼの姿は、まるで、からくり人たちを偲ぶよう。
きっと彼女の胸の中には、仲間がいつまでもいたと思う。


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2011.07.08 / Top↑
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