第4話、「顔と態度で損した親分の一生」。

勤続20年を表彰される主水。
せんとりつは、金一封でどこか温泉に行けると楽しみにしているが、今年から金一封は出ないことになった。
その頃、上州では代官が新たに課した重い年貢に耐え切れなくなった百姓たちが一揆を起こしそうになる。
代官所の役人と一瞬即発のところを、侠客・仁吉が割って入り収める。

日頃から人望の厚い親分の仁吉は百姓たちの為に代官たちと対立し、米を奪っては百姓たちに配る。
対照的に百姓たちから忌み嫌われるのが、今では子分衆もいなくなり、1人になった吉蔵親分だった。
闇の会に仕事が入る。
頼み人は吉蔵で、標的は仁吉だった。

ヤクザの揉め事じゃないのか。
そう思われた仕事だが、加代は受けてきた。
同時に、主水の温泉旅行も伊香保に決まる。

政、竜、加代が上州へ向かい、壱は仁吉のところにわらじを脱ぐ。
加代は札を売って歩き、吉蔵の家に上がる。
凶悪な面相をしている吉蔵だが、意外にも加代の札を買ってくれた。
赤の他人の加代に、吉蔵は身の上を語り出す。

本当は自分は、カタギの人々の力になりたかった。
だが皆、自分の顔を見て怖れ、逃げ出し、子供は泣き出した。
立ち回りの下手な吉蔵は、悪事をいつのまにか、吉蔵の仕業にされていた。

ある日、吉蔵は代官に呼ばれた。
ちょうどいい機会だから、年貢の重さ、百姓の窮状を訴えようと思ったが、代官は現れない。
悲鳴が聞こえたので、その部屋に吉蔵が走る。

すると、女房が刺し殺されていた。
さらに娘は手篭めにされていた。
娘は仁吉の仕業だと言う。

吉蔵は仁吉を町で見つけ、落とし前をつけようとしたが、村の者は仁吉をかばって逃がそうとした。
その間に代官所の役人が来て、吉蔵を連行してしまった。
吉蔵は女房を斬り殺した冷血漢にされており、戻った屋敷の中では娘が首を吊って死んでいた。
子分も誰一人いなくなった吉蔵は、佐渡金山で労働すると自分の身を売り、闇の会に依頼してきたのだった。

吉蔵の訴え通り、仁吉は代官と通じており、百姓の青年を斬り殺す。
そして、嘆く恋人の娘を手篭めにし、殺してしまった。
政と竜は、娘の遺体を捨てに行く途中の仁吉の子分2人を仕事に掛ける。

湯に入ろうとした仁吉の前に、壱が現れる。
ギョッとする仁吉に、壱は急にわらじを履くことになった。
その前に遣り残したことがあると言って、その殺気に怯えて逃げる仁吉を捕えた。
無表情に仁吉の喉の骨を折る壱。

主水は、お座敷にいる代官を斬った。
壱が仁吉の遺体を運んでくる。
主水は双方、斬りあったように細工して座敷を出る。

伊香保温泉から帰る主水たちの前に、身を持って代官を斬った仁吉の立派な墓があった。
せんとりつの、「何と立派な」「婿殿には無理」という声を聞きながら、せんを背負って帰り道を行く主水。
美しい満月に照らされ、吉蔵が操る船が水面を滑っていく。



ああ、もう、絶妙のキャスティング!
仁吉は、「新・仕置人」で死神を演じた河原崎建三さん。
どちらかというと、この頃は被害者役が多かった。

そして、吉蔵は悪役俳優さんとして、数々の時代劇にご出演の遠藤太津朗さん。
「必殺」でたま~に、被害者だったりもしますが、鉄に首を後ろに回転されたり、印玄に屋根から落とされたり。
あまりに素晴らしいお仕事をしている。

この2人のイメージを全く逆手に取った、意欲的なキャスティング。
というか、もう、これまで「必殺」を見て来た人にはニクイ配役。
子供に柔らかい物腰で接しているのに、問答無用で泣かれている遠藤さんには大爆笑!

妙に器用な壱は普段、どういうことをしているのか謎なんですが、ここでは仁吉のところにわらじを脱ぐ。
その際、子分が以前もわらじを脱いだお人だ、と言う。
すっと仁吉に接近できる下地ができていたんですね。
仕事の時は、仁吉を怯えさせる殺気をかもし出す。

悲劇の親分・吉蔵はどうなるかというと、佐渡で人足として働くことになったけど、加代はそう何年も持たないだろうと言う。
それでも仇を討ったことを確認して、吉蔵は1人、船で出て行く。
あまりに美しい満月の下、あまりに損をした親分が行く。

伊香保から帰る主水の前に、仁吉が身を捨てて代官を斬った功績をたたえた墓標が現れる。
単純に感心するせんとりつ。
婿殿にはちょっと無理かも、と笑う。

うーん、主水が、仕事人たちが屈折するのは無理もないと思ってしまう。
世の中の裏の裏、表向き美しくて実は醜いもの。
知らなくて幸せなことをすべて、知り尽くしてしまうんですから。
せんをおぶる帰り道、これは「新・仕置人」の能登出張の話、「宣伝無用」を思い出しました。

吉蔵親分、最後の国定忠治を真似たセリフ、せめてこのぐらい決めたかったと半泣きで去っていく。
顔がごつい分、おかしくて、悲しい。
今回は遠藤太津朗さんの為に用意された一編、といっても良いぐらいの回でした。

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2011.09.06 / Top↑
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