第18話、「主水、お嬢様に振り回される」。


佐代は町で評判の、両替商武蔵屋の1人娘のお嬢様。
奉行所ではお嬢様たちが、奉行所の見学にやってくる。
主水が案内係だが、お嬢様たちは好き勝手に行動してしまい、主水は田中さまから叱責を受ける。

このお嬢様ブームに目をつけたのが、加代。
早速、お嬢様養成講座を開く。
講師は組紐を教える竜、そして政に相談したところ、政は琴が上手い同じ長屋に住むお千賀の話をする。
何でもお千賀は元、お嬢様だったらしい。

加代が交渉に行くと、あまり人前に出ないで暮らしていたお千賀はためらう。
お千賀には、道場に通っている1人息子の仙之助がいる。
感じの良い好青年の仙之助は、実は佐代と付き合っていた。

お嬢様養成講座が開かれ、いろんなお嬢様になりたい娘がやってくる。
中には加代も驚くような娘もいたが、お金を払えばいいんでしょと言われ、加代はそりゃまあ、そうだと言う。
女性たちに混じって、壱も入ってくる。
講師をすると言う壱に、加代が思わず「色の道かい?」と聞く。

それぞれに講座が開かれ、竜もお千賀も好評だった。
久しぶりに表に出たけれど良かった、とお千賀は加代に礼を言う。
お千賀は18年前、長崎で骨董を扱う大店の娘だったが、武家に嫁いだ。

だが、実家で殿から「鑑定を」と預かった家宝の香炉を盗まれた。
5百両と、父が大切にしていた煙草入れも盗まれた。
店は取り潰され、夫も後を追うように自害した。
当時、夫婦者の奉公人が姿を消したが、2人が盗んだという証拠はないとお千賀は言った。

仙之助が付き合っている佐代の武蔵屋に、ヤクザ者3人が押しかけた。
何でも田舎から出てきたばかりの初心な舎弟が、佐代にたぶらかされたと言うのだ。
武蔵屋の主人の久兵衛と妻はお金を出すと、ヤクザ者は引き上げて行った。

その後、久兵衛は番頭に指示し、店の用心棒の辰五郎とその手下の直次たちに後をつけさせる。
ヤクザ者たちは金を手にして、近くの神社で大笑いしていた。
そこに辰五郎たちが来て、3人をたちまち殺してしまった。

部屋で着物を広げている佐代に武蔵屋夫婦がやってきて、いい加減にしなさいとたしなめる。
しかし、佐代はああいう連中は結構おもしろいと全く気にする風はない。
武蔵屋夫婦は、しょうがない娘だと笑う。

そして、佐代を純真なお嬢様と疑わない仙之助は佐代から呼び出され、茶屋に連れて行かれる。
佐代は仙之助に対する思いをぶつけ、身を任せた。
仙之助と佐代が付き合っているのを見た加代が、お千賀に注意を促す。
だが、佐代は呉服屋の息子との結婚が決まっていた。

武蔵屋の前まで行ったお千賀は、出てきた佐代の後をつけていく。
すると、佐代は婚礼を前に、様子の良くない男に金を渡して手を切っていた。
お千賀は仙之助に佐代と付き合っているのかと聞いたが、仙之助はいずれ母上にも紹介すると笑う。
佐代はお嬢様育ちで、と言う仙之助に、お千賀は世間にはあなたが知らないようなことがあると言った。

翌朝、道場で仙之助は、佐代が呉服屋の息子と祝言を挙げると聞く。
道場を飛び出し、武蔵屋に行った仙之助だが、佐代には会わせてもらえず、外に放り出され、番屋の役人を呼ばれる。
番屋にお千賀が迎えに行った夜、仙之助は加代の元を訪ねる。
加代に手紙を託すと、仙之助は走って行ってしまう。

手紙はお千賀へ当てたもので、もう一度だけ、佐代にあって本当の気持ちを確かめたいと書いてあった。
武蔵屋では、佐代は婚礼の衣装を両親に見せているところだった。
うれしそうな佐代に、騙されたことを知った仙之助は潜んでいた庭から思わず、佐代の前に飛び出す。
逆上した仙之助は辰五郎たちに抑えられ、近くの神社の境内で殺されてしまった。

お千賀は武蔵屋に行き、そこで久兵衛夫婦を見た。
それは、お千賀の実家にいた奉公人夫婦で、事件の後、失踪した夫婦だった。
しかも、父の煙草入れも持っていた。
お千賀に気づいた久兵衛夫婦は「これはこれはお嬢様」と言うが、18年前の盗みも仙之助のことも言いがかりと、番頭がお千賀を雨の中、放り出す。

翌朝、仙之助の遺体が上がり、お千賀は仙之助にすがって泣いた。
失恋の末の覚悟の自殺というが、主水は自害にしては傷口がおかしいと言った。
だが、田中さまが叱咤する。
半月も琴の音がしないと、政がお千賀を心配する。

闇の会が開かれた。
頼み人は、お千賀だった。
標的は武蔵屋親子、そして番頭と用心棒3人。
お千賀はみすぼらしいが、派手な柄の着物を着ていた。

「父や母、夫の恨みも」。
お千賀はが必死に働き、12両貯めたと言う。
夜の暗い道で、客を引くお千賀。

お千賀は夜鷹をして、稼いだのだ。
期日は2日後。
他の仕事人が退席する中、加代は「お受けいたします」と言った。

仕事料を加代が配って歩く。
武蔵屋には、凄腕の用心棒がいる。
主水は壱につなぎをとれ、と言う。

加代が戻ると、家に壱がいる。
「抜け駆けは良くありませんよ、お嬢様」と言って、右手を出す。
加代が仕事料を渡すと「雨の日にやってきたんだよ、ねえ、お嬢様」と、左手を出す。
「わかったわよ、お・じ・さ・ま」と、加代が仕事料をさらに渡す。

祝言の夜、竜と加代は招待客に紛れ込み、挨拶をしながら、座敷に向かう。
頭の名代としてやってきたと、壱と政は職人風のはっぴを着てやってくる。
用心棒たちも、酒を飲んでいる。

「アニキだいぶ酔ってますね」と言われた辰五郎が「頭でも冷やしてくるか」と、立ち上がって外へ行く。
壱と政が、それを見ている。
政が動く。

祝いの為に張られた幕の前に座り込んだ辰五郎の後ろに、政の影が見える。
政が手槍を組む。
壱が姿を見せる。

立ち上がろうとした辰五郎に壱が、「おっとっと、あぶねえよ、旦那」と言う。
「あぶねえよ、あぶねえよ、旦那、あぶねえ」と言って、壱が辰五郎を幕に押し付ける。
「危ないですよ」。
壱が言い終わると、政が刺す。

辰五郎が仕留められる。
壱が離れる。
他の用心棒2人が飲んでいる部屋の窓が開く。

2人が酒を飲んでいるのを、壱が見る。
壱がすばやく、2人の首を押さえる。
「おっ」と声をあげた途端、壱が2人の喉骨を砕く。

武蔵屋の廊下で、加代が「奥様、旦那様が及びでございます」と佐代といた武蔵屋の妻に声をかけた。
「わかりました、すぐまいります」と答え、「まだ祝言の酷には間があるのに」と妻はつぶやいた。
廊下を行く妻の首を竜の紐が捕え、背中越しに、竜が締める。
武蔵屋の妻は、目を見開いて膝を崩した。

母親が戻ってこないので、佐代は花嫁姿でうろうろしていた。
戸を開けて廊下を見た佐代は、母親の姿を見ると「おかあさま!」と叫んだ。
同時に隣の部屋の戸が開き、竜が紐を投げる。

佐代が悶絶する。
廊下の障子に、浮かび上がる2人の影。
竜が佐代を締め、佐代が倒れる。

久兵衛が番頭に、娘の様子を見に行くように言う。
番頭が、佐代の部屋に行く。
壱が庭に潜み、こちらを見ている。
そっと廊下に上がりこみ、佐代のいた部屋に入る。

番頭がやってくる。
「奥様、奥様」と声をかけると、灯りが消えた。
不審に思った番頭が、戸を開けて中に入る。
「奥様」。

かけられた花嫁衣裳の後ろで、壱が手を握る。
「お嬢様」。
突然、「高砂や…」と、壱の歌が聞こえる。
かけてあった花嫁衣裳が倒れる。

壱が番頭の首を押さえる。
番頭が壱の力に屈し、ひざまずく。
次の瞬間、壱が無表情に番頭の喉を砕く。

部屋に誰もいないという報告を受け、久兵衛が蔵に走る。
蔵に置いてあった千両箱から、久兵衛は金を出した。
外に主水がいる。

久兵衛が金を出していると、主水が入ってくる。
「銭は、でえじょうぶか」。
現れた主水に驚きながら、久兵衛は「おかげさまで、このとおり」と言った。

天井裏で、壱が千両箱を持って天井裏の穴に近づける。
「千両箱が一つ、足りねえんじゃねえかい?」
「えっ?」

天井から壱が千両箱を持って、小判を降らせる。
主水が久兵衛の腹を刺す。
「命の用心も、忘れねえようにな」。

小判の雨が降る。
久兵衛は、千両箱にすがって死んでいる。
主水がふっと、灯りを消す。

主水が家に帰ると、せんとりつが料亭から取り寄せた料理を食べている。
1ヶ月に一度ぐらい、お嬢様のような食事をしたいと言う。
そして、請求書は主水に押し付ける。



この時、お嬢様ブームだったらしい。
高田純二さんが「お嬢様ー!」と叫び、走ってきて「お嬢様ですか?」と質問。
聞かれた女性が笑いながら「はい」と答える、そんな番組のコーナーがありました。

お嬢様が、そんな言ったりしたりするか。
あれはお嬢様じゃない。
そんな声もたくさんありましたが、おもしろがって見ていた記憶があります。

冒頭、中村家に1人の老婆が訪ねて来るんですね。
せんを見て、お嬢様と叫ぶ。
母親に乳母がいたとは、娘のりつさえも驚くが、せんは戸惑いながらも名乗った乳母の名前を呼び、懐かしがる。
すっかりいい気分になったせんだけど、老婆は隣の斎藤様のところに来たのだとわかる。

どうも面影がないと思ったと、ブツブツ言いながら去っていく老婆。
話を合わせたせんは、恥をかく。
という話なんですが、いくつになっても、お嬢様扱いはうれしい、得意になっちゃうということですか。
そうなっちゃうこと自体が、実はお嬢様じゃない、少なくとも現在は、お嬢様が進化した奥様状態じゃないということなんでしょうが。

加代のお嬢様要請講座、加代が目を話した隙に、壱が花札の打ち方の手つきを教えているのがおかしい。
「そこのお嬢さん、もう少し肌を軽く見せてください。そうそうそうそう」。
居並ぶ「お嬢様」たちが、足を見せながら構える。

「上体をひねって、手を右頭上後方に、そして、ひじをかるく出してください。そして掛け声と共に行きますよー、よいしょお」。
すると、「お嬢様」たちが「よいしょお!」と声を出す。
「あんた!これはお嬢様の遊びと違うでしょ!」

駆け込んで怒る加代に、壱はすまして「こういう下品な言葉は、使わないようにしてください」。
爆笑。
加代がやめさせようとすると、入り口で「あなたもお嬢様になりたいの?」と聞かれた娘が「おもしろいんだから、ほっといてよ、おばさん!」と言う。
お嬢様要請講座に行くこと自体、お嬢様じゃないんですけどね、壱のこれはおかしかった。

これ、女性がお坊ちゃまに騙されるなら、仕事の対象として良くある話ですよね。
だけど道場に通うような男が騙されたからって女を仕置きしてくれって言ったら、どうでしょう?
たぶん、主水あたりの「騙されるお坊ちゃんがマヌケ。まあ、いい勉強したわな」という言葉で終わり。
そこで佐代がヤクザ者とも通じて平気な悪女で、邪魔になると用心棒に殺させるという性悪親子って描写が必要になるんでしょう。

さらに、だいたい、そうじゃないかと思ったんですが、武蔵屋はお千賀の家を滅ぼした奉公人夫婦でしたね。
これでめでたく?と言っていいのか、仕事にかける理由が成立。
だけど、夜鷹をしていても、どこかお千賀は背筋が伸びていて、品があるのがさすがだと思いました。
それだけに、お千賀が最後、夜鷹に身を落としてまで仕事料を稼いでいるワンシーンが悲劇的でした。

しかし、父親から夫、そして息子までが武蔵屋の手にかかるとは、何か因縁があるんじゃないかと思ってしまいました。
それにしても、主水が気がつく傷口を無視するとは、ここあたりの奉行所はほんと、闇の会同様やる気ない。
「仕置屋」で市松に「だめだ!おめえは組織の怖さを知らねえ」と主水に言わせたあの奉行所が、どーしちゃったんでしょう。

仕事のシーンは、なかなか大人数。
壱が3人始末します。
弐と参がいれば、ちょうど良かった人数ですね。
政をサポートし、そして残りの用心棒を一気に片付ける。

さらに恨みの高砂やの歌と、番頭。
主水から久兵衛の注意をそらすサポートまで、こなします。
確かに壱の仕事料は、上乗せ分要求も納得。
お役に立ちます。

今回も政が関わり、そして壱の描写がおもしろかった。
政のいい人ぶりは見ていてしみじみします。
話自体は以前も見ているような感じは、確かにあるんですよね。
そこで壱の動きや政の好漢ぶり、さらに加代との絡み方が、良い感じで刺激になっていると感じます。


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2011.09.30 / Top↑
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